掲示板バックナンバー: 2008年


2008年

■ 2008年1月1日(火) 謹賀新年

今日から肩書き、その他が変わりますが、今後もNIMSで粉末回折の研究を続行します。延長戦みたいなものだと思ってください。

一昨年の今ごろはRIETANへのSTRUCTURE TIDYとLAZY PULVERIXの組み込み、一年前はRIETAN-FP・VENUS統合支援環境の構築に熱中しましたが、この年末年始はゆっくり、ゆったり過ごします。無為のうちに終わるでしょう。

■ 2008年1月2日(水) 年末年始、唯一の収穫

あまりにも使い勝手が悪いWindows XPのエクスプローラには、もう愛想が尽きました。Vistaのエクスプローラも悪評紛々です。そこで、多機能ファイラーまめFile5をインストールし、Macユーティリティに追加しました。今時のファイラーらしくタブ切り換えモードを選べます。常駐も可です。

タブへのファイルのdrag & drop、登録フォルダへのジャンプ、ベースネームと拡張子の個別変更、チェックマークの使用が可能なところが素晴らしい!今日使い始めたばかりですが、もう手放せません。

もっともVistaでは恐ろしく重くなるようです。レジストリエディタで圧縮フォルダを無効にすれば改善されるそうですが。

■ 2008年1月3日(木) Ctrl・Caps Lockキーの入れ換えツール

Windows VistaでAltIMEを使うためのノウハウがわかったので、Macユーティリティに追記しておきました。要は、管理者権限でインストールするということ。

DAEMON Tools Lite v4.11.2がリリースされました。

■ 2008年1月4日(金) 豪華なお年玉

VESTA v1.1bがリリースされました。小数点の次の桁が変わっただけのことがある、中身の濃いバージョンアップです。

今回の改訂の目玉は、なんといっても有効配位数(effective coordination number)と電荷分布法(charge distribution method)の計算です。それらの詳細については、

を参照してください。

VESTAが単なる視覚化ソフトでなく、Paulingの規則、有効イオン半径、bond valence sum、マーデルング・エネルギー、サイト・ポテンシャルなどと同様に無機化合物の結晶データを結晶化学的立場から理解・考察するための道具でもあってほしいとの願いを込め、昨年暮れに両機能の追加を門馬綱一君に依頼しました。可視化ソフトへの実装は先駆的な取り組みですが、あっけなく実現しちゃいましたね。配位多面体については、VICS時代から、bond valence sum、中心原子の酸化状態から予想される原子間距離、体積、distortion index、quadratic elongation、bond angle varianceを計算できましたが、今回の改訂により重要な情報が追加されたことになります。

有効配位数は結合距離から容易に求まりますが、電荷分布の方は、隣接するすべての配位多面体について計算を繰り返さなければならぬため、アルゴリズムがかなり複雑になります。門馬君の話では、隣接する配位多面体をすべて描画済みとは限らないので、既成の結合探索ルーチンを再利用し、ユーザーが選択した配位多面体を中心とする一定領域内の原子を探索するよう工夫したそうです。これまでの蓄積が物を言ったということですね。本当にご苦労様でした。

なお、電荷分布とbond valence sumを計算する際には、あらかじめStructureダイアログボックスで各サイトの酸化状態を入力しておくことが望ましいです(酸化状態が記録されているICSD形式ファイルとCIFを除く)。その後、ManipulationをSelectモードとし、Ctrlキーを押しながら配位多面体をクリックすると、有効配位数、電荷分率、周囲のイオンから到達する反対電荷の合計がテキストエリアに出力されます。

2007年12月25日に書き込んだように、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境ではbond valence parameterを記録したCIF(bvparm2006.cif)を容易に参照できます(マクロ → その他 → Bond valence parameters)。

特筆大書したいのが、Windows Vista x64 Edition上でネイティブ動作するVESTAの提供です(先を越されてしまった)。Vistaの最大の利点である広大なメモリー空間をフルに利用できるようになったのは、非常に有意義なことです。

■ 2008年1月5日(土) DV-Xα法計算支援環境利用の手引きの更新

VESTA v1.1bへのアップデートに伴い、坂根弦太氏がDV-Xα法計算支援環境利用の手引きを改訂されました。これをカラー印刷したものを地球惑星科学研究会・高圧物質科学研究会 2007年度合同研究会合「放射光地球惑星・高圧物質科学の現状と課題」で配付されるとのことです。

■ 2008年1月6日(日) 群れに溶け込まない才能

山田玲司の「非属の才能」(光文社新書)を読み始めて間もなく、「僕はノートをまったく取らない子供だった。」という一文に釘付けになりました。小学校時代の自分がそれに近かったからです。「ノートをまったく取らない」訳ではありませんでしたが、最初の数ページを除き、ノートは真っ白のままでした。要するに、クソ面白くもないことをわざわざ書き留め続ける気にならなかったのでしょう。もちろん授業を真剣に受けた記憶もありません。宿題はサボりたい放題。九九はともかく漢字の書き順など、まったく覚えようとしませんでした。

そういう勉強嫌いで怠惰、なおかつ飽きっぽい性格の自分がなぜ、よりによって研究の道に進んだのか、そして今後も何年かは研究に従事する気でいるのかというと、それこそ「非属の才能」に恵まれていたせいじゃないかな、と感じました。

過去数年、3D可視化システムVENUSの製作に熱中してきたのは、一つには、科学教育にエンターテインメント性を付与するべきだという信念からです。研究専用のソフトウェアを製作しようなどという考えは微塵もありませんでした。視覚に訴える教材を無償提供することにより、退屈で味気ない授業や実習を少しでも生き生きとした魅力的なものにしたいと願ったのは、無味乾燥な教育に苦しめられた少年時代のトラウマから来ていたのかもしれません。

■ 2008年1月7日(月) 寝耳に水

アルゴンヌ国立研究所のパルス中性子源IPNSはDOE科学局関連のR&D予算Basic Energy Sciencesが減額されたあおりを受け、運転停止に追い込まれました。

数年間にわたり、高温超伝導体の粉末中性子回折実験のために利用した中性子源がこれほど早く息の根を止められるとは。共同研究者かつ友人だったJim Jorgensenも一昨年に亡くなったし、もうアルゴンヌとは縁が切れたも同然です。時の流れを痛感します。

次はLANSCEの番なのかなぁ。

そういえば、茨城県中性子利用促進研究会の個別研究会は13にも達していたのですが、来年度は3つに集約されるそうです。中性子の産業利用を促進するための研究会である以上、長く続けないと無意味なんですが。せいぜい2・30名、へたをすると10数名しか人が集まらない低調さではモチベーションが失せ腰が引けるばかりで、整理・統合せざるを得なかったのでしょう。予算を減らされたのかもしれません。大体、茨城県の装置と無関係な研究会まで一手に引き受けていたのが理解不能でした。

NIMSが担当していたデータ解析技術研究会は抜群の参加者数を誇っていたにもかかわらず、わずか2年で消滅します。想定外。こちらから縁を切るまでもなかったですね(笑)。

■ 2008年1月8日(火) 26個目の自作マクロ

RIETAN-FPの配付ファイル(2007年12月21日参照)を更新しました。RIETAN-FP・VENUS統合支援環境で、STRUCTURE TIDY用のHermann-Mauguin空間群記号を記録したテキストファイルSpgr.dafを閲覧できるようにしました(マクロ → その他 → Spgr.daf)。秀丸マクロの名前はSggr.daf.macです。Spgr.daf中の空間群記号を*.insにコピー&ペーストすることを推奨しているので、利便性の向上を図りました。

Spgr.dafでは各行の最後の数字がゼロでない場合、その番号の行が後に続くという書式が採用されています。そこで、Spgr.dafを書き換え禁止モードで開いた後、行番号を表示するという芸の細かさを発揮しました。

RIETAN-FPのマニュアルRIETAN-FP_manual.pdfも少しだけ修正しました。執筆後1年を経て、ようやく熟成が進んできました。

■ 2008年1月9日(水) 多からず少なからず

購入後1年半のノート型PC(DELL XPS M1210)を立ち上げると、劣化したバッテリーを交換しろと常に警告されるようになりました。バッテリーを長持ちさせるには、長期保存する前にバッテリー残量を50%程度にしておくといいのだそうです。バッテリー交換後は、バッテリー残量調節ソフトBSBを使うようにするつもりです。

■ 2008年1月10日(木) Windows Vista x64 EditionをインストールしたPCワークステーション

DELL Precision T5400を発注しました。Intel Visual Fortran Compiler for Windows + Microsoft Visual Studio 2005をインストールし、64ビット版のFortranプログラムをビルド・テストするのに使います。Winodws Vista Buisiness 64ビット版、クワッドコア インテルXeon X5450プロセッサー(3.0 MHz)、8 GBメモリ、Quadro FX 4600ビデオカード、250 GBハードディスク(SATA、7200回転)という仕様にしました。

RIETAN-FPやPRIMAなどの64ビット・アプリケーションを一般公開するか否かは未定です。配布先を共同研究者やサポーター(企業)に限定する可能性もあります。独立行政法人で開発されたソフトをすべて無償で配布するのは非現実的だからです。

■ 2008年1月11日(金) 構造解析結果の結晶化学的考察に資するために

1月4日に、重要な結晶化学的知見としてPaulingの規則、有効イオン半径、bond valence sum、予想原子間距離、マーデルング・エネルギー、サイト・ポテンシャル、配位多面体の体積、distortion index、quadratic elongation、bond angle variance、有効配位数、電荷分布を挙げました。しかし、マーデルング・エネルギーとサイト・ポテンシャルを計算するソフトはRIETAN-FP・VENUS統合支援環境からは起動できません。有名なPaulingの静電原子価則はマーデルング・エネルギーの低い構造が安定だと述べているに等しいので、その値くらいは計算できるようにしておくべきです。またサイト・ポテンシャルは各サイトの電荷が適切に中和されているかどうかを把握するのに役立ちます。

そこで、旧FAT-RIETANシステムの一部だったMADELのMac OS 9版をWindowsに移植しました。MADELはポピュラーなエバルト法でなく、フーリエ法を採用しています。フーリエ法は特異点を打ち消し、無限大になるのを抑えながら計算するという凝ったアルゴリズムを採用しています。フーリエ法プログラムはWebで公開されていないようなので、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境に組み込めば珍重されると思われます。

非対称単位内の最大原子数を300(RIETAN-FPと同一)、原点での反転を除く対称操作の最大数を94に増やすとともに、ドイツ語の出力を英語に翻訳し、コメントを加えた新バージョンv1.1に改訂しました。原因不明のコンパイル時エラーに悩まされ、かなり手こずった末、ようやくビルドできました。

オークリッジ形式の対称操作と占有率×サイト多重度/一般等価位置の多重度を入力するのは多少面倒ですが、RIETAN-2000/FPの解析結果がある場合は、*.xyz中にそれらがそっくり含まれているので、再利用してください。

MADELには原子の存在しない位置でのサイト・ポテンシャルを計算する秀逸な機能があります。リートベルト解析における構造モデルに含めなかった電子・原子散乱長密度ピークをMEM解析により検出したとき、当該位置のサイト・ポテンシャルを計算し、どんな化学種がそこを占有しうるのかを調べるのに役立ちます。これが今回MADELをRIETAN-FP・VENUS統合支援環境に実装したモチベーションの一つとなりました。

MADELの移植に引き続き、現在開いている入力ファイルをMADELで処理した後、標準出力ファイル*.madを閲覧するための秀丸マクロMADEL.macを書きました。マクロ → その他 → MADELで実行できます。

これらの機能増強に伴い、RIETAN-FPの配付ファイルを更新しました。MADELの懇切丁寧な英文マニュアルMADEL.pdfがRIETAN-FP¥Documentsフォルダに置かれています。また、RIETAN-FP¥Examples¥YBa2Cu4O8フォルダに高温超伝導体YBa2Cu4O8の計算例を収納しました。YBa2Cu4O8.pmeが入力ファイルです。正孔はすべてCu2サイトにドープされると近似しています。YBa2Cu4O8.pme中の最後の行では、実際には原子が存在しない仮想サイトの座標を入力し、そのサイトのポテンシャルを求めています。計算結果はYBa2Cu4O8.pmeに出力されています。10年以上前にMacでYBa2Cu4O8.pmeを処理したときはかなり計算時間がかかったと記憶していますが、Precision Workstation 670では一瞬のうちに計算が終了します。

RIETAN-FP、VENUS、二つの支援環境とそこから起動できる多くのプログラム(PowderXPowder 4EXPOSUPERFLIPEDMAなど)は宝の山です。私自身が使いこなせないほど多くの解析法やデータ処理法が詰め込まれています。宝の持ち腐れになるか否かは、ユーザーの能力、学習意欲、努力に依存します。使い込むにつれ、慣れ親しむにつれ、ぐんぐん輝きを増していきます。

■ 2008年1月12日(土) 極彩色のカーボン・ナノホーン

第21回DV-Xα研究会(8月6〜8日)は第5回DV-Xα国際ワ−クショップを兼ねて兵庫県立大学姫路書写キャンパスで開催されます。同研究集会のWebページには、VESTAで描画されたカーボン・ナノホーンC170H30の等電子密度表面(静電ポテンシャルで彩色)が飾られています。

1月24日(水)にはDV-Xα分子軌道計算講習会が福岡大学で開かれます。上記のような電子状態計算を行い、美しい3Dグラフィックスを表示してみたいという方はぜひ参加されるようお勧めします。申込み締切は1月18日(金)です。

同講習会で演習を担当される坂根弦太氏は、VESTA v1.1bの新機能(volumetric data間の演算)を使い、原子や分子の波動関数を二乗して電子密度を計算するという追記した「DV-Xα法計算支援環境利用の手引き」(136ページ)をその研究会で配布されるそうです。このPDFはVESTAの入門書としても役立ちます。

■ 2008年1月13日(日) Mac OS X用ノートパッドの最新版MacNote3

MacNote2が全面的に書き直され、MacNote3 v1.0として公開されました。このソフト、特異な一元管理に最初は戸惑いましたが、ボチボチ使い始めました。手軽にリンクを張れるところが素晴らしいです。

RIETAN-FPのマニュアルRIETAN-FP_manual.pdfでは見出し、ページ、図、表、URL、索引にリンクを張り、しおりまで付けました。所望の位置やWebサイトに即座にジャンプできます。一方、書籍などの紙メディアではこういう芸当や加筆修正は無理です。こういう変化の激しい時代ですから、書籍の百科事典はいずれ姿を消すに違いありません。

■ 2008年1月14日(月) 三連休、唯一の収穫

1月8日に記したSTRUCTURE Tidy用テキストファイルSpgr.dafをExcel 97-2004 ブック形式のファイルSpace_groups.xlsに変換しました。軸設定の多い空間群のシンボルが見やすくなりました。

■ 2008年1月15日(火) Space_groups.xls用マクロ

東大—NIMS連携共同研究の一環として、昨日作成したSpace_groups.xlsをRIETAN-FP・VENUS統合支援環境でオープンするための秀丸マクロSpace_groups.macを作成し、Spgr.daf.mac(1月8日参照)と入れ換えました。マクロ → その他 → Space groupsで実行できます。これで、空間群の記号をRIETAN-FPの標準入力ファイル*.ins中にコピー・ペーストしやすくなりました。

この改訂に伴い、RIETAN-FPの配付ファイルを更新しました。RIETAN-FP¥Macros¥Space_groups.xlsを右クリックしてプロパティを選び、Microsoft ExcelOpenOffice.org(具体的にはscalc.exe)などの表計算ソフトに関連付けてからお使いください。

2007年に私の講演・講義を聴講された方は、誰でもRIETAN-FPの最新配付ファイルをダウンロードできます。ご所望なら、昨年12月21日に記した書式のメールを私にお送りください。今月末まで申込みを受け付けます。

■ 2008年1月16日(水) Jedit X Rev. 1.46

がリリースされました。Jedit XAppleScript Macro Collection for HTMLのおかげで快適かつ迅速にこの掲示板を書いています。

本ホームページが多くの訪問者と参加者(研究集会、講習会)を集め、広告塔としての役割を全うしているのは、毎日更新されているだけでなく、リンクが沢山張られていてナビゲーションに便利だからでしょう。上記のマクロ集に含まれているanchorを使えば、リンクを張るのは楽なものです。お試しあれ。

とはいえ、本掲示板の内容はさほど面白いとも思えません。同じようなネタの繰り返しで、マンネリムードが漂ってます。何よりまずいのは文字情報しか掲示していないことです(三次元可視化がキーワードなのに!)。今どき、こういう古風なスタイルは受けません。重くなることを覚悟の上、たまに写真を貼るべきです。少しでも駄文を減らすために、ぜひそうしたい。

■ 2008年1月17日(木) 四つのアップデート

秀逸なエクスプローラ風ファイル管理ソフトまめFile5がv5.35.0.3β1にアップデートされました。カスタマイズがほぼ終わった今、もうこれは手放せません。もはや不要となったLhaplusは削除してしまいました。

Igor Pro v6.03Aへのアップデータがリリースされました。

最近は秀丸エディタv7.08のベータ版をためらわずに使っています。今日、v7.08β5がアップロードされました。

DAEMON Tools Lite v4.12がリリースされました。

■ 2008年1月18日(金) たった一日で…

秀丸エディタがv7.08β6にバージョンアップしました。

■ 2008年1月19日(土) 一般大衆の皆様には満足いただいております —— それでいいのか?

Office 2008 for Macが届きました。早速インストールし、Word 2008をこわごわ使ってみました。さほど重くなったとは感じませんでした。

前バージョンとほぼ同じ操作で使え、Word 97-2004形式(*.doc)で保存できます。書式パレット、ステータスバー、段落記号だけ表示しておけば十分です。

ギリシャ文字(Symbol)や半角記号とカナ漢字との文字間隔を広げてくれない、逆にカナ漢字と上付きの文献番号との間は無様に広げてしまうという「発達障害」は相変わらず。ひどい手抜きです。数式が薄汚いのも旧態依然。要するに、Microsoftは理工系の人々など眼中にないんでしょう。いや、Microsoft曰く「ユーザーのレベルに合わせただけです。」といったところなんだろうな。政治家曰く「選挙民の…」、テレビ局曰く「視聴者の…」、教師曰く「学生の…」という決まり文句と同じようなもんです。

*.docを読み込むと、常に表示メニュー中の"変更履歴"がチェックされることに気づきました。これって、どうみてもバグだよなぁ。*.docを修正する際、図を前面に挿入すると中身が見えなくなる(見かけ上、オブジェクトが消滅する)という不具合もありました。また*.doc中で、数式と本文の間のスペースが変わっているところがありました。Word 97-2004形式ファイル関係の不具合が目立ちます。

結論:Word 2008はまだベータ版同然の代物なので、少なくとも最初のアップデータが出るまで封印しておくのが賢明である。

■ 2008年1月20日(日) VistaのライバルはXP

Windows XP SP3とVista SP1のリリースが近づいているらしいです。Windows Updateを実行したばかりなら、ほとんど改善点が認められないでしょうね。

XPはレスポンスが比較的速く、しかも枯れています。一方、VistaはAeroの負荷がのしかかり、もっさり感が強いです。広いメモリー空間を必要とする64ビット版アプリケーションをハイエンド機で走らせるときだけ使えば十分。低価格機+Vistaの組み合わせは愚の骨頂です。

Core 2 Duoなどの複数コアCPUのマシンにおいてWindows XP SP2を高速化する更新プログラムKB896256がXP SP3に含まれるかどうかは不明です。この更新プログラムはWindows Updateではインストールされないので、試してみたらいかがでしょうか。

■ 2008年1月21日(月) 科学技術計算支援環境構築のすすめ

RIETAN-FPの配付ファイルをアップロードしました。MADEL(1月11日参照)がリートベルト解析における構造モデルの改良、とくに格子間サイトの追加に役立つことを考慮し、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境においてMADELをマクロ → その他の7番目の項目に移し、ポップアップメニューにも含めました。元素の物理量を収めたテキストファイルasfdc中の原子量をATOMIC WEIGHTS OF THE ELEMENTS 2007の値に更新しました。さらにRIETAN-FP_manual.pdfも改訂しました。

昨年に私の講演・講義を聴講され、なおかつ本配付ファイルを入手されたい方は、2007年12月21日に記した書式のメールを私にお送りください。

昨年、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境とDV-Xα法計算支援環境を構築していた際に感嘆したのは、サードバーティーのソフトを両環境に取り込むのがいとも容易いことです。慣れてしまえば、新たなプログラムを起動するマクロを書いて登録し、メニューに追加するのに要する時間は10分程度です。既存マクロを参考にすれば新たなマクロを作成するのはそうむずかしくありませんし、マクロに関する操作はReadme_*.txtに末尾に詳しく書かれていますから、今回のように自分で支援環境を(再)構築するのも可能です。

既成科学技術計算ソフト用の支援環境が次々に構築され、Webで無償配布されることを願ってやみません。

■ 2008年1月22日(火) 書籍版よりDVD-ROM版の方が高価なのは不可解ですが、

発売間もない広辞苑 第6版 DVD-ROM版をAmazonから購入しました。

同梱されていることといLightは使い勝手が悪いので、Mac用のJammingで検索できるようにしました。EPWING第5版以上に対応しているため、Jammingへの組み込みはすぐ終わりました。今のところ、とくに支障なく使っています。

■ 2008年1月23日(水) 少年探偵団ならぬ少年窃盗団

最近、警視庁少年事件課が逮捕した少年窃盗団は、犯行をためらうメンバーがいると、円陣を組んで「そんなの関係ねぇ」と叫んで鼓舞し合ったそうです。

私の場合、

が無関係なものごとのリストです。これほど色々な意味でシュリンクした省エネ・脱力系ライフスタイルを貫いてると、あれもこれも「そんなの関係ねぇ」の一言で片付けられます。

といってレームダック化するどころか、むしろ存在感が高まっているのが不思議でなりません。どうしてなんでしょうか。

■ 2008年1月24日(木) 暗号パスワード付加ライブラリ

これまで自作ソフトのベータ版はダウンロード用WebページのURLをお教えして配付してきたのですが、むしろアーカイブファイル*.zipに暗号化パスワードを付加する方がスマートですね。

●●●●から外部研究資金の獲得を強く求められておりますので、共同研究者や支援企業にだけ提供する配付ファイルを今後少しずつ増やしていく方針です。公開Webページで堂々と人目にさらし、誰でもダウンロードできるようにして、パスワードで保護します。もちろんパスワードはソフトを改訂するごとに変えます。

その目的のためにZCRYPT32.DLLをインストールしました。まめFile5と組み合わせて使います。

少なくとも粉末X線・中性子回折の領域では人集めで一人勝ち、論文引用回数で群を抜く実績を誇っているのに、金集めが不得意な理由はよくわかっています。オスカー・ワイルドの「幸福の王子」と同様に、自分の全財産を無償で誰にでも気前よく与え続けてきたからです。公的研究機関も企業も己にだけ利益をもたらすものにしか対価を支払いません。お客よりはお金を引き寄せる能力を身に付けるべきであり、そのためにはソフトウェア資産配布や知識・情報提供の差別化を図るべきなのです。今後も研究を続行するためには、鉛の固まりになってゴミために捨てられる訳にいきません。そういう意味では、ソースコードの非公開やVENUSの使用規制に踏み切ったのは、めざましい前進でした。

いずれ民間企業限定でVESTAを有料化する可能性があるのは2007年1月24日に述べた通りです。量子ビームプロジェクトの手厚いサポートがあるRIETAN-FPと異なり、個人が労力、知恵、資金を提供し合って開発しているVESTAは、能う限りの経済的支援を必要としています。

とは言いつつ、私の講演・講義を聴講された数十名の方々にRIETAN-FPの最新版の無償ダウンロード法を連日教えまくっている(2007年12月21日参照)くらいですから、お人好し・気前よすぎ体質から脱皮できるかどうかは自信ありません。外部資金を得るよう精一杯努力はいたしますが、時既に遅しの感が強いです。

■ 2008年1月25日(金) DELL Precision T5400

が納品されました(1月10日参照)。セットアップ、Vista対応ソフトのインストール(秀丸エディタ、ATOK 2007、まめFile5、NextFTP4 64bit Edition、Microsoft Visual Studio 2005)、アップデートに丸一日を費やしました。Intel Visual Fortran Compilerは来週インストールします。

私にとってCtrlキーとCaps Lockキーを入れ換えるためのユーティリティは必需品なのですが、AltIMEが正常に動作しなかったため、KeySwapをインストールしました。ここに書いてある通り、管理者として実行する必要があります。

Windows エクスペリエンス インデックスは次の通り:

メモリのポイントがやや小さいのは、DDR2 SDRAMが800 MHzのPC2-6400でなく667 MHzのPC2-5300だからでしょう。Quadro FX 4600価格.comによれば最安価格231,600円!)のおかげでもっさり感はなし。Windows Aeroがキビキビ動きます。当初予定していたQuadro FX 1700を変更したのは正解でした(比較表参照)。

意外だったのは、かなり静かなことです。ファンの音はほとんど気になりません。45 nmプロセス技術を用いて製造されたXeon X5450では、発熱量がかなり減ったのでしょう。

Windows Vistaは64ビット版にしか存在意義を見出せません。32ビット版VistaなどよりはXPの方がよほどまし。そういう私がマイナーなx64 Editionを選び、メモリを8 GBに増設したのは自然な成り行きでした。出荷から1年経った今、Vistaはすでに実用域に入ったはずです。

■ 2008年1月26日(土) Webページの変更2点

Windows Vista機の入手を機に、Macユーティリティから窓の手AltIMEを削除しました。Windowsユーティリティは4つに減りました。

VENUS license agreementの条項12.2を改正しました。VENUS中のプログラムをGUIを通じて起動するソフトウェアの販売には契約を締結する必要がある、というように変更しました。言い換えれば、VENUSを利用するソフトウェアで利益を得ようとする企業を規制するということです。実際には、今後、新たに販売されるソフトウェアにだけ適用するつもりです。

■ 2008年1月27日(日) FortranとCから呼び出せるグラフィック・ライブラリ

PGPLOTは7年前に進化が止まり、死に体となり果てました。現在もっとも普及しているのはPLplotでしょうが、DISLINの方が高機能です。Windows、Mac OS X、Linux上で使えます。

■ 2008年1月28日(月) 悪戦苦闘

Intel Visual Fortran Compiler for Windowsをインストールし、PRIMAの64ビットアプリケーション化に取り組みました。東大ーNIMS連携共同研究の一環であり、ピクセル数や反射数が非常に多いデータの解析を目指しています。単位胞が大きく、対称性の低い有機化合物や錯体への応用を想定しています。

Visual Studio 2005上で支障なくビルドできましたが、空間群に関する情報を収めたテキストファイルspgra.datのアクセス権がないというメッセージを出し、異常終了しまいます。コマンドプロンプトで"dir"と入力すると、spgra.datが表示されません。どうもアクセス権限がないらしい。

不可解なことに、同じspgr.datを使う32ビット版PRIMAは正常に動きます。またspgra.datをカレントフォルダにコピーし、それを入力するようプログラムを書き換えると、64ビット版PRIMAを問題なく実行できます。旧機種(DELL Precision 670、2 GB RAM)での32ビットコードによる計算に比べ大幅に高速化 —— してやったり。本日はここまで。

■ 2008年1月29日(火) 一分の壁を突破

午前中一杯かけてファイルアクセス不可の件を解決しました。一時はどうなることかと思いましたが、対症療法が見つかりました。

早速、RIETAN-FPの配付ファイルに含まれているSorbitolの放射光データを使い、ベンチマークテストを行ってみました。結果は次の通り:

CPU使用率は25%程度でした。32ビット版Vistaで仮想記憶が作動するような巨大データを扱う際には、実行時間に劇的な差が生じるでしょう。残念なのは最適化レベルを/O1(Minimize Size)までしか上げられないことです。コンパイラのバグに由来する障害なので、手の打ちようがありません。

RIETAN-FP・VENUS統合支援環境上で64ビット版PRIMAが正常に動くことも確認しました。

本64ビット・アプリケーションはテストを終えた後、パスワード付きzipファイルとして配付する予定です。パスワードは共同研究者と支援企業にだけお知らせします。

東大ーNIMS連携共同研究はRIETAN-FPとVESTAの熟成に貢献した上、新たな課題も出てきたので、もう一年延長することになりました。PRIMAに引き続きRIETAN-FPを64ビット化するのが今年度最後の仕事となります。

アメリカの某中性子源に勤務している知人からPRIMAによるMEM解析について教えてほしいというメールが届きました。指導してあげてもいいけど、共同研究でないとダメだよ、とドライに宣告しました。国内と国外に向ける顔が違っていたら沽券に関わりますから、無償サポートお断りの姿勢を断固貫きます。お金がなければ共同研究、共同研究が嫌なら資金提供、どちらもダメという人々は縁なき衆生とみなし、相手にしない、というスタンスです。

■ 2008年1月30日(水) 趣味の世界

64ビット版RIETAN-FPを最高レベルの最適化レベル/O3でビルドしました。その後、幽霊ファイルのトラブルが全面解決したため、順調に作業を終えました。

実のところ、RIETAN-FPはさほどメモリーを大食いするソフトでないので、64ビットアプリケーションを使うメリットはとくにありません。要するに自己満足に浸るためです、わざわざ64ビット化したのは。

64ビット版のVESTAはPrecision T5400で問題なく動いています。PRIMAと同様にメモリーを動的に確保するので、64ビット化の意義が大いにあります。

■ 2008年1月31日(木) これで打ち止めにしたらもったいない!

坂根弦太氏の依頼でDV-Xα法計算支援環境に三つの秀丸マクロMAKEC04.mac、CONTR.mac、CMAP.macを追加しました。マクロメニューの下の可視化サブメニューで起動できます。詳しくはReadme_DV.txt中の3.5をお読みください。配付ファイルはここでダウンロードできます。

これらは二次元の等高線図をプロットする際、順次用いるマクロです。VESTAには二次元カラーマップ(等高線もプロット可能)を作成する機能があり、古典的な等高線図より見栄えがし、情報量もよほど多いのですが、既成プログラムを使いたいという方々もおられるそうなので、上記三つのマクロを空き家になっていたところに収容した次第です。

このバージョンアップに要した時間は5分程度に過ぎません(Readme_DV.txtの修正は別として)。本支援環境の改訂がいかに簡単かがよくわかるでしょう。

もちろん、ここまで習熟するのには相当時間を費やしましたよ。しかしもう大丈夫、チョチョイのチョイです。この特殊技能をさらに活用したいので、いずれ第3の支援環境構築に向けて「暴走」します。これまた研究と趣味が重畳した領域への突入といってよいでしょう。

なお、二つの支援環境の基盤となっている秀丸エディタ v7.08β8が本日リリースされました。このベータ版を使っても、まず大丈夫だと思います。

■ 2008年2月1日(金) 最適化の怪

64ビット版PRIMAの最適化レベルを/O3に上げると異常終了するというトラブル(1月29日参照)を解決するべく、捻りはちまきで奮闘しました。秀丸エディタのgrep機能まで活用し、観測構造因子の位相とそのサイン・コサインを計算しているループで何かが起きていることを突き止めました。位相を計算した直後にダミーのIFブロックあるいはWRITE文を入れると、最適化レベルがもっとも高い/O3オプションを指定してビルドしても正常に動きます。当該ループにおける不適切な最適化が抑制されるためでしょう。

ここまではよかったのですが、/O3でビルドしたコードの方が/O1レベルに留めたコードより計算時間が数秒長くなるという摩訶不思議な逆転現象に直面し、はなはだ当惑しました。はてさて、どうしたものか。当面、従来通り/O1レベルでビルドするしかないな。

どうもマルチコアの64ビットCPUの場合、下手に最適化すると、かえって遅くなることがあるようです。

昨日に引き続き、本日も秀丸エディタがバージョンアップ。v7.08β9となりました。

■ 2008年2月2日(土) お待たせしました、ようやく映画の話題です

久方ぶりにDVDで映画鑑賞。昨年7月3日に予告した通り「天然コケッコー」です。

原作はくらもちふさこの漫画です。島根県浜田市近くの、全校生徒が6人しかいない小中学校が舞台。美しい田園風景や海岸が目を楽しませてくれます。水彩絵の具で描いたように淡く心地よい初恋映画でしたが、衝撃を受けたことが一つありました。女子中学生のそよ(11代目リハウスガールの夏帆)が自分のことを"わし"と言うのです。石見弁ですね。"わし"、"わし"の連発に気をとられているうちに、2時間が過ぎてしまいました。

あっ、もう一つ違和感を感じたことがあった。「ブルゾンくれたら●●●してもええよ」ってのは、いかんですなぁ。純朴で天真爛漫なそよの言葉とは思えません。恥じらいを忘れた中高年のオバさんでも、そんなはしたないことは口走りませんよ。いや、こんな初々しい女の子にも娼婦性が芽生えつつあるということなのか。

白眉は、東京の高校に転校するという大沢君にそよが「じゃったら、…」と言い続ける、いじらしいボタンつけのシーンです。これには泣かされました。大沢君が結局どうしたかは、映画を観てのお楽しみ。とにかくハッピーな気分にしてくれる映画ですよ、これは。

この秀作を産み出した山下敦弘監督は映画では到底めしを食えないため、アルバイトで生計を維持しているそうです。本作が経済的苦境から脱出するきっかけになってほしいです。

次回は、やはり同じ年頃の女の子が主人公の「赤い文化住宅の初子」を紹介します。これも原作は漫画です。手元不如意につき、レンタルDVDが3泊モードになるまでお待ちください。

■ 2008年2月3日(日) 32・64ビットVistaに関する初歩知識

Vistaは豊富なメモリと高性能なビデオ機能なしには威力を発揮しません。また、中・大規模な科学技術計算に使うPCには64ビット版Vistaに限ります。自作ソフトの64ビット化を推進している今、Vistaマシンに乗り換えたのは賢明でした。遅きに失した感がありますが。

■ 2008年2月4日(月) 最適化の効果

リリースされたばかりのIntel Visual Fortran for Windows v10.1.014をインストールし、2月1日に記したダミー命令をPRIMAのソースコードに挿入し、最適化レベル/O1と/O3でビルドしてみました。Dell Precision T5400(64ビット版Windows Vista)上でSorbitolの放射光データを使ったベンチマークテスト結果は次の通り:

  1. /O1 (32ビットコード): 82.3 s
  2. /O3 (32ビットコード): 71.7 s
  3. /O1 (64ビットコード): 59.9 s
  4. /O3 (64ビットコード): 60.5 s

64ビットコードの場合、Parallelizationオプションをオフにすることにより、O1・O3レベルで最適化したコードの実行時間がほぼ同じになりました。64ビットコードの方が高速なのは、Core 2 Duo/Quad用に最適化したためでしょう。32ビットコードはPentium 4向けの最適化に留めています。

Core Duoを搭載したノート型PC、Dell XPS M1210(Windows XP)での計算時間は

  1. /O1 (32ビットコード): 132.8 s
  2. /O3 (32ビットコード): 120.6 s

でした。

32ビットコードの場合、32・64ビットのいずれのOSにおいてもO3レベルでの最適化が有効です。今後は32・64ビットのいずれにおいてもO3レベルで最適化するつもりです。

坂根弦太氏DV-Xα法計算支援環境利用の手引きを改訂されました。MAKEC04, CONTR, CMAP(1月31日参照)などに関する記述が10ページ追加され、146ページ(!)に膨れあがりました。一昨年にこれの初版が出たころは、ここまで肥大成長を遂げるとは夢にも思いませんでした。

■ 2008年2月5日(火) 並列処理

三機関連携に基づく共同研究の相手先である日本原子力研究開発機構からRIETAN-FPの不具合が報告されました。Collinearな磁気構造をもつ立方晶系の化合物のリートベルト解析で、等方性原子変位パラメーターBや磁気モーメントμの出力が異常に小さくなるというトラブルです。RIETAN-2000でも同じ症状が見られるとのことです。

ただちにバグ退治に乗り出しました。立方晶系の場合、磁気モーメントの方向は決定できないのですが、それをうっかり忘れてコーディングしていたことが判明しました(汗)。

このバグを修正し、他の出力をわずかに変更したRIETAN-FP v1.61bをビルドし、さらにRIETAN-FP_manual.pdfも少しだけ改訂した後、RIETAN-FPの配付ファイルを更新しました。昨年の私の講演・講義をお聞きになった方々への配布サービス(2007年12月21日参照)はもうしばらく続けますので、遠慮なく申し出てください。

上記のデバッグと平行して、門馬綱一君から送られてきた次期VESTAのアルファ版v1.2aをチェックし、些細な点ではありますが、いくつか注文をつけておきました。v1.1bで実現したcharge distribution法を補完する新機能が追加されており、VESTAが単なる3D可視化ソフトから脱皮したことを如実に示しています。この出来映えだったら、近日中にリリースできるでしょう。

■ 2008年2月6日(水) パスワードつき配布ファイルのWebページ

かねてから予告していた通り、共同研究の相手先と支援民間企業向けの配布ファイルをダウンロードするためのWebページ

http://homepage.mac.com/fujioizumi/download/download.html

を新設しました。私からパスワードを受け取った人だけが解凍できます。

今回、配布するのは64ビット・ネイティブのRIETAN-FPとPRIMAです。1月30日にRIETAN-FPの64ビット版についてはとくにメリットがないと記しましたが、実際にCu3Fe4P6Eを対象とするベンチマークテストを実施したところ、

  1. /O3 (32ビットコード): 81.1 s
  2. /O3 (64ビットコード): 75.6 s

という結果が得られました。64ビットコードの方が高速なのは、Core 2 Duo用に最適化したためでしょう。AMDの64ビットCPUでの動作については、テストする環境を持ち合わせておりません。万一障害が起きたら対処いたしますので、お知らせください。

64ビット版のPRIMAはピクセル数と反射数が非常に多い回折データの解析で絶大な威力を発揮します。もっとも、メモリーを十分積んでいないと、スワップ動作によるブレーキがかかりますが。メモリーの価格低下はとどまるところを知らず、現在PC2-6400 DDR2 SDRAM 1 GBの価格は2,200円程度ですから、8 GBに増設したところで、さほどコストがかかる訳ではありません。

「共同研究の相手先」といえば、東工大総合理工学研究科の八島正知准教授J. Am. Chem. Soc.のCommunicationsへの掲載が決まった研究成果をプレス発表されました。私もその研究の末席を汚しています。プレスリリースはここで、論文のアブストラクトはここで閲覧できます。東工大のニュースにも掲示されています。

■ 2008年2月7日(木) 64ビット版ORFFE

パスワードつき配布ファイルからダウンロードできる64ビット・ネイティブのアプリケーションにORFFEを追加しました。パスワードは同じです。明日はどのプログラムをビルドしようかなぁ。

秀丸エディタ v7.08β10がリリースされていたので、これをインストールしてから、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境上でORFFEを動作チェックしました。とくに問題なく動きました。Fortranプログラムの64ビット化の環境が整い、64ビット化コードのビルドにもすっかり慣れました。今後、少しずつ64ビット・ネイティブのプログラムを増やしていくつもりです。

支援法人・企業には見返りに64ビット化コードの配付だけでなく色々なサービス(技術指導、機能追加、ノウハウ、ライセンスなど)を提供していきます。ソースコードの有償供与も厭いません。「法人」とは独立行政法人、財団法人、国立大学法人を指します。たとえば現在、企業秘密として秘匿しているAlchemyの肝心要の機能は、要請があれば、ソースコードごと公開します。基本的に私の研究費のほとんどは、それらのサービスと引き替えに支援法人・企業から外部資金として調達するつもりです。

ただ、つきあいが広がりすぎると、サポートし切れなくなります。先着順とし、仮に目標金額(●■万円)に達したら、順番待ちリストに入っていただくことにします。はたしてそうなるかどうか、見当もつきませんが(Anyway, I hope so!)。Webやら集会やらに人を引き寄せるのなら得意中の得意なんだけどなぁ。

過去数年、私は印税や講演・講義料のすべてを実質的に研究のために使ってきました(涙)。それらも一種の外部研究資金といってよいでしょう。とにかく、NIMSの運営費交付金以外の財源から研究費を獲得するよう最大限努めます。自分の研究費くらい自分で稼ぐ —— それが私の意地というものです。

研究費に窮したらどうするかって。支援者の優遇による研究資金獲得いう私のビジネスモデルが通用しなかったら、もはや社会が私を必要としていないのは明白ですから、NIMSにしがみつく気はさらさらありません。いさぎよく職を辞し、個人的趣味として100%自腹で研究します。健康を害しておらず、やる気が残っていれば、の話ですが。

■ 2008年2月8日(金) 64ビット版のALBAとMADEL

今日は最大エントロピー・パターソン法プログラムALBA、サイト・ポテンシャルとマーデルング・エネルギーを計算するMADELを64ビット・ネイティブのアプリケーションとしてビルドし、パスワードつき配布ファイルのWebページからダウンロードできるようにしました(パスワードは不変)。それぞれalba64.exeとmadel64.exeというファイル名になっているので、32ビット版と差し替える際には、"64"を削除してください。

これで主要自作プログラムはVESTAも含め、すべて64ビット・ネイティブのWindows用アプリケーションとなりました。残るユーティリティも全部64ビット化します。32ビットWindows Vistaでさえ遅々として普及していない時に64ビット化を急ぐ理由は二つ —— 新しもの好きの性格と共同研究者・支援者へのサービス精神です。

秀丸エディタ v7.08β11がリリースされました。

■ 2008年2月9日(土) Windows XPから64ビット版Windows Vistaへの移行、順調です

Dell Precision T5400のおける未解決のトラブルは、内蔵CD/DVDドライブにディスクを挿入しアクセスした後、取り出そうとすると、"ディスクがありません」というエラーメッセージが出ることだけです。ドライバにバグがあるのでしょうか。Vista用の周辺機器のドライバって、ほとんどゼロから作り直しだそうですから、その可能性が高いです。

まめFile5には、もっさり感は微塵もありません。マシン・パワーがまめFile5の重さを補って余りあるのでしょう。

64ビット版Windows Vistaでは、64ビット版と32ビット版のアプリケーションはそれぞれC:¥Program FilesとC:¥Program Files (x86)に置くのがルールとなっていますが、少し古いプログラムだと、インストール時に前者に入ってしまいます。それでもとくに問題は生じないようです。

■ 2008年2月10日(日) 第三の支援環境

この連休はRIETAN-FP・VENUS統合支援環境、DV-Xα法計算支援環境に続く三つ目の支援環境を構築しています(1月31日参照)。普通はUNIX/Linux上で実行するアプリケーションなので、インストールに四苦八苦。協力者の助けを借り、ようやくWindows用の実行環境を整えることができました。

すでに三つの秀丸マクロを作成しました。核心的なプログラムを実行するためのマクロの作成は、扱うファイルが多く、しかもファイル名の自由度が高いので、結構手こずりました。事前操作抜きで実行するためにgrepを使ったところ、余計なタブが残存し、それを消し去るのに大変な労力を費やしました。この裏技はいずれ再利用できそうです。

今後、少しずつマクロを増やしていきます。余暇に開発するため、いつごろ公開できるか予想がつきません。

■ 2008年2月11日(月) 引き続き、基幹的マクロをブラッシュアップ

次第に名人芸の域に達しつつあります。テスト計算において出来の良さを実感し、うきうきした気分になりました。こういう専門と無関係で、なおかつ集中力を要することに熱中する好奇心とエネルギーが失われていないのは、我ながら驚きです。

■ 2008年2月12日(火) 嗚呼、

別に「名人芸」など発揮しなくても、田楽DLL中のENUMFILEとFINDNEXTを呼び出しさえすれば、同じ目的を容易に達成できることを悟りました。しかも、マクロ実行中に余計なタブが無様な姿をさらすことはありません。すっきりしました。grepなんぞを振り回すのは下手な証拠。田楽DLLは偉大なライブラリです。

急がば回れ、とはまさにこのこと。脇目もふらず突っ走ると、結局、時間の損失につながります。

RIETAN-FPの標準出力ファイル*.lstをCIFに変換するユーティリティlst2cifを64ビット・ネイティブのアプリケーションlst2cif64.exeとしてビルドし、パスワードつき配布ファイルに含めました(パスワードは不変)。

■ 2008年2月13日(水) VESTA v1.2b

門馬綱一君がVESTA v1.2b(Windows、Mac OS X、Linux用)をリリースしました。昨年7月11日にベータ版を初めて公開して以来、最大級のアップグレードです。購入したばかりのMicrosoft Visual Studio 2008に含まれているVisual C++ 2008が早速ビルドに使われました。

今回のバージョンアップの目玉は、MADELによるサイト・ポテンシャルとマーデルング・エネルギーの計算です。この新機能の追加は、私が強く要望しました。配付ファイルにはMADELの実行形式バイナリーファイルも含まれています。

MADELを実行する前に、まずStructureダイアログボックスにおいて各サイトの酸化状態(Charge)を入力し、Utilitiesメニューの下の"Site Potentials & Madelung Energy..."を選びます。"Radius of ionic sphere"と"Reciprocal-space range"を訊ねて来るので、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境に同梱したMADEL.pdfを参照し、それぞれ適当な値を入力すれば、Fourier法による計算が始まります。

格子間サイトのポテンシャルを計算したいときは、まずFileメニューの下のExport Data...を選び、MADEL用の入力ファイル*.pmeを出力します。次にRIETAN-FP・VENUS統合支援環境上で、*.pmeの最後に格子間サイトの分率座標x、y、zをFormat(3F9.6)で必要な行数だけ追加入力します。三つの実数それぞれに9桁ずつ割り当て、小数点を含めて入力すれば大丈夫です。後は[MADEL]ボタンをクリックするだけ。ゼロから*.pmeを作成するのに比べれば、楽なものです。以前にも書き込んだように、この機能はリートベルト解析過程でどんな化学種が格子間に入り込むかを決めるのに役立ちます。

もう一つ私が要望したのは、二次元マップの左側に置かれる虹色のカラースケールに10個の目盛りを付けることです。Illustratorのようなドロー・ソフトで数値をいくつか付ければ、論文やプレゼンテーション用の図ができ上がります。

この他、Change Logに列挙された多くの点が改良されました。v1.1bに盛り込んだ有効配位数とcharge distributionの計算に加え、サイト・ポテンシャルとマーデルング・エネルギーも求められるようになったのは大きな進歩です。今やVESTAは単なる3D可視化ソフトの域を脱し、結晶化学的研究や科学教育にも貢献しうる強力なツールにまで成熟したと自負しておりますが、いかがでしょうか。

三連休をすべて捧げた三つ目の支援環境は、VESTAのプロモーションも狙ったプロダクトであることを申し添えておきます。VESTA関連のメニューやボタンが含まれているのは言うまでもありません。将来はAlchemyに続き、VENUSの一員となる可能性が大です。

■ 2008年2月14日(木) 素晴らしきかな、先走り人生

RIETAN-FP・VENUS統合支援環境で利用可能な自作プログラム8つをすべて64ビット・ネイティブのアプリケーションとしてビルドし、パスワードつき配布ファイルのWebページでダウンロードできるようにしました。パスワードは前と同じです。

再ビルドにあたっては、最適化オプションでPrefetch InsertionをYesに変更しました。また、64ビット化したRIETAN-FPの名前をrietan64.exeに変えました。"64"を取り除けば、RIETAN.mac中で呼び出されているバッチファイルRIETAN-FP.batに書かれているファイル名rietan.exeと一致します。

ピクセル数や反射数が多いと大量のメモリを消費するMEM解析では、32ビット版Windowsにおける2 GB(各アプリケーションあたり)の壁に行く手を阻まれる可能性が大いにあります。そういうときこそ、64ビット化したPRIMAALBAの出番です。32ビット版は試供品、64ビット版は業務用プロフェッショナル・バージョンという位置づけです。単位胞の大きな化合物の単結晶回折データを広いQ空間にわたって測定した場合は、必需品に近いです。

64ビット版Windows Vista用の更新プログラムは結構頻繁に提供されていますね。今日も10個ダウンロードしました。まだまだ枯れていないようです。

Mac OS X用VESTA v1.2bが再ビルドされました。Intel MacでもMADELが動くようになりました。

■ 2008年2月15日(金) DASHとRIETANとの連携

2月13日にリリースされたケンブリッジ結晶データセンター製作の粉末結晶解析ソフトウェアDASH v3.1では、GUIを通じて三つのメジャーな構造精密化プログラムTOPAS、GSAS、RIETANによる半自動リートベルト解析を実行できるようになりました。

口止めされていたため、これまで沈黙を守っていましたが、私はRIETAN-FPに関する情報をDASHの開発者に提供し、当該新機能の追加をお手伝いしました。NIMSの量子ビーム・プロジェクトの産物であるRIETAN-FPの値打ちが国際的に認知されたと考えたためです。実際、抑制条件つきの有機化合物のリートベルト解析では、RIETAN-FPは無類の強みを発揮します。共役方向法のおかげで局所的最小値に落ち込みにくいという点で、他のソフトを凌駕しているはずです。

DASHに関する詳細な情報については、ここをお読みください。

現在、粉末回折分野における最重要かつchallengingな研究テーマは未知構造のX線解析です。DASHのような超有名ソフト上でRIETANを用いるリートベルト解析が可能となったのは名誉なことなので、この際、DASHを購入することにしました。アカデミック・ライセンスの場合、さほど高価でありません。私のPC一台にインストールすることが許されますが、NIMSの全研究者がそれを使っても構わないそうです。

秀丸エディタ v7.08β12がリリースされました。

■ 2008年2月16日(土) 戸惑い

或る学会の会誌の巻頭に掲載される随想の執筆を依頼されました。あっさり引き受けたのはいいものの —— う〜ん、何を取り上げたらいいのか。乾杯の音頭や巻頭言は爺さんに依頼するものと相場が決まっていますが、年寄りの述懐や昔話など読む物好きはそう多くないのが現実です。自分自身も、その類の記事をじっくり読んだ経験がほとんどありません。

以前、大学をリタイアされた某氏が「近頃の学生は…」と罵倒している巻頭言を読んだことがありますが、はなはだ後味が悪かった。反発を買い、やる気を削ぐだけですよ、そういうネガティブなヤツは。私は若い世代を励まし、鼓舞する前向きの文章を書きたい。ろくに読まれないんじゃ立つ瀬がないから、人目を引くようなタイトルを付けてね。締切は12月1日なので、じっくり思案しましょう。

■ 2008年2月17日(日) 充実したドキュメンテーションを目指して

この週末は門馬綱一君から送られてきたVESTAの英文マニュアルの添削に没頭しました。RIETAN-FPのマニュアル同様、LaTeXで書かれています。半分強までしか片付きませんでした。後2日はかかりそうです。

数年前と比べると、集中力と持続力が落ちたような気がします。最終的な英文の質は大差ないでしょうが、以前より時間がかかるのです。他の人と比べたら相対的に速いという自信はありますが、最盛期の自分はこんなものではありませんでした。無理をせず、一歩一歩進むしかありませんね。

■ 2008年2月18日(月) 最強CD/DVDエミュレーション・ユーティリティ

DAEMON Tools Lite v4.12.1がリリースされました。

VESTAのマニュアルの英文添削、88ページ中64ページまで進みました。キーボード・ショートカット+文献+索引で7ページあるので、実質、後17ページといったところ。

それにしても、このマニュアルがLaTeXで書かれていたのは幸運でした。Word文書だったら、疲労が募るとともに余計なストレスを抱え込み、途中で放り出していたかもしれません。

■ 2008年2月19日(火) 昨日の続き

VESTAの英文マニュアル、ようやく本文、図、表を添削し終えました。入出力ファイルフォーマットを説明している章、対応ファイル形式が多すぎて、チェックが大変でした(笑)。もう目がチカチカです。

まだまだ細かいところまでは目が行き届いていません。明日、さらに磨きを掛けます。

門馬綱一君の話では、近日中にVESTA v1.2におけるバグを退治したv1.2.1bをリリースするそうです。あまりにも多機能で、なおかつマルチプラットフォーム対応なので、枯れるのは当分先でしょう。といっても、Release Candidate(RC)のレベルには十分達しています。マニュアルを同梱するようになったら、RC1を名乗ってもいいんじゃないかな。

■ 2008年2月20日(水) 結局、5日を費やし、

VESTAの英文マニュアルのチェック(一回目)を終えました。これほど時間がかかったのは、ページ数(90ページを超えました)が多いだけでなく、英文だけでなくレイアウト、見出し、キャプション、文献などまで徹底的に改善したためです。ドキュメンテーションが優れていなければ、ソフトウェア自身がいくら優秀でも実質的価値が相当目減りしてしまいます。VESTAとRIETAN-FPのマニュアルは、いずれも賞賛に値する立派なマニュアルになるに違いありません。

VESTAのプログラムとマニュアルにはいずれもVICS・VEND時代に築き上げたディジタル資産が徹底的に再利用されています。VICS・VENDの存在がVESTAの製作を可能としたといって過言でありません。今回のマニュアルの執筆過程では、大量のテキストがVICS・VENDの英文マニュアルからコピー&ペーストされました。

■ 2008年2月21日(木) A quick bug fix

VESTA v1.2.1bがリリースされました。RIETAN-2000/FP関係のバグを一つ退治するとともに、Mac OS X版に含まれているMADELをuniversal binary化しました。研究室のPower Mac G5(デュアル 2.5 GHz PowerPC G5、Mac OS X v10.4.11)と自宅のiMac(2 GHz Core Duo、Mac OS X v10.5.2)上でMADELによる計算が実行できることを確認しました。本バージョンアップに対応して、DV-Xα法計算支援環境利用の手引きも改訂されました。

まめFile5 v5.36.0.8β2がリリースされました。もうこれなしにはWindowsを使う気になりません。

第三の支援環境、タスクバー上のボタン10個に名前を付けました。といっても、マクロが完成したのは5個だけ。一連のプログラム群については、協力者と一緒に少しずつ勉強している段階。前途多難です。

■ 2008年2月22日(金) 一言にして言えば、愚鈍

腹立たしいことに、64ビット版Windows VistaのWindows Updateはすでにインストール済みの更新プログラムをダウンロードするよう勧めてきます。更新プログラムのダウンロード・インストールが極端に遅いだけでなく、とんだ間抜けだったとは… Vista出荷から一年以上経ったにもかかわらず、この惨状です。

ちなみにMac OS Xのソフトウェア・アップデートはWindows Updateより一桁速く、かくの如き愚かなミスは絶対犯しません。技術力の違いを感じます。

64ビット版Windows Vistaを使っていて違和感を感じるのは、64ビット・アプリケーション用の"Program Files"と32ビット・アプリケーション用の"Program Files (x86)"というフォルダが存在することです。もっと妙なのは、"Program Files"に32ビット・アプリケーションを収めても、正常に動作することです。これでは、二つに分けた意味がありません —— 不可解。

Mac OS Xは32・64ビットOSに分かれておらず、しかも単一の"Applications"フォルダしか使いません。32・64ビットのOS・アプリケーションをほとんど意識せずに済むシームレスな設計となっています。まさに天衣無縫。こういうところにも技術力の差が歴然と現れています。

世の大勢に順応し、Windows用のRIETAN-FPとRIETAN-FP・VENUS統合支援環境しか作ろうとせず、勝馬(Windows)に乗ったのはいいけれど、その勝馬はとんだ駄馬だった、といったところです。超現実主義者たる私は、ただ目的地まで走ってくれさえすれば駄馬でも構わぬ、と割り切っています。といっても、駿馬(Mac OS X)と乗り心地が違いすぎるのは残念至極です。Windows Vistaを使っていると、画面のデザインも含め、相対的な出来の悪さを随所で感じます。

そういえばDellのデスクトップPCって、Mac Proに比べると相当不格好ですね。これまた、耐え忍ぶしかありません。

■ 2008年2月23日(土) 技術のリサイクルと再利用

2月20日に記したように、VESTAのプログラムとマニュアルはいずれもVICS・VENDの膨大なディジタル遺産を継承しています。

RIETAN-FP・VENUS統合支援環境とVESTAから起動されるプログラムMADELはかつてFAT-RIETANのコンポーネントの一つでした。電荷分布とbond valence sumの計算用にVESTAのStructureダイアログボックスで酸化状態(酸化数)を入力するようになったのを機会に、リサイクルを図りました。MEM解析と連携すれば、リートベルト解析における欠陥モデル修正のための有力なツールになるでしょう。

MADELの入力ファイルを作るのは、Fortranのフォーマットと等価位置座標→行列の変換に慣れていないと、相当大変です。VESTAがMADEL用入力ファイルを作成し、MADELを実行し、テキスト・エリアに計算結果を表示してくれるおかげで、古色蒼然たるMADELにキャピキャピ感(2005年11月25日参照)を付与できました。作成の難しい入力ファイルをプログラムに作らせるという流儀は、これまたFAT-RIETANのメンバーだったPRETEP(ORTEP-II用のテキスト変換ソフト)などで実践していたことにほかならず、手慣れたテクニックを活用したと言えます。

ご存じのように、"International Tables for Crystallography", Vol. Aに収録されている空間群に関する情報を収めたspgraはVENUSの各プログラムでも使われています。

RIETAN-FPの標準出力*.lst中には、各サイトの多重度+Wyckoff文字が自動的に出力されますが、これはRIETAN-FPに包含されたSTRUCTURE TIDYに決めてもらっています。さらに、*.lst中の多重度+Wyckoff文字はVESTAでも再利用されます。

このようにRIETAN-FPとVENUSでは、過去の技術が抜け目なくリサイクルあるいは再利用しています。もちろんDV-Xα法計算支援環境もRIETAN-FP・VENUS統合支援環境の構築で培った技術の再利用にほかなりません。

VENUSの製作過程では、三次元の電子密度を電子密度エネルギーとラプラシアンに変換するユーティリティELENと高分解能透過型電子顕微鏡で撮影する結晶構造像のマルチスライス・シミュレーション用プログラムMULTISまで作りました。これらは日の目を見ないまま、ハードディスク中に空しく埋もれています。もったいない! 同種のソフトがいくつも存在するMULTISはともかく、他に類を見ない先駆的なソフトであるELENはいずれRIETAN-FP・VENUS統合支援環境あるいはVESTAに組み込み、デビューさせたいと願っています。無謀にもゼロからの新規参入にチャレンジしたVENUSプロジェクトは困難を極めましたが、その副産物にすら掘り出し物が含まれているのですから大したものです。

長くソフトウェア開発に携わってきたからこそ、知らず知らずのうちに「引き出し」が増えたのです。時々死蔵品を取り出し、当世風にアレンジして最新ソフトの機能増強に結びつけています。持続こそ力なり、ですね。

■ 2008年2月24日(日) 薄汚いものを見せびらかすな!

Windows Vistaで一番疑問に感じるのがAero Glassという視覚効果です。ウィンドウの外枠やタスクバーが半透明になるだけのことですが、半端でないマシンパワーを要求するにもかかわらず、実用価値はなきに等しいです。しかも、私の目にはちっとも綺麗に見えません。もちろん透明度を変えられますが、たいていの人はそのまま使っているのではないでしょうか。

Mac OS Xでもメニューバーは半透明にできますが、もちろん私は不透明に設定しています。

■ 2008年2月25日(月) VESTAのマニュアル改訂、2回目

94ページ、引用文献68にまで膨張しました。名人芸を発揮して、ツールバー上のボタンの説明を見やすくしました。

■ 2008年2月26日(火) VESTAへのELENの導入

2月23日に書き込んだ未公開プログラムELENはANSI C言語で書かれており、しかも変数などがVENDとほぼ共通であるため、VICS・VENDの後継ソフトであるVESTAとのソースコードの互換性が高いです。門馬綱一君と相談し、VESTAに実装することになりました。現在、表示中の3D電子密度データを処理の対象とし、四つの異なる物理量の3Dデータ・ファイルを一つずつ出力します。VESTAにELENを直接組み込む最大の利点は、VESTAが入力できる形式のピクセルデータをすべて扱えることです。実際に四つの物理量を計算する部分は150行程度ですから、VESTAが肥大する恐れはありません。

ELENはTsirelson(2002)の論文が発表されるや否や作成したソフトですが、なんと6年間もお蔵入りしていたのですね。RIETAN-2000三部作の一つ

中の「3.3 電子エネルギー密度による化学結合の理解」という項で実例を挙げて紹介したのが、ELENに関する唯一の文献です。

学術的に値打ちがあり、類似ソフトが見当たらず、レトロな感じは微塵もありませんから、ユーティリティとしてVESTAに組み込むは意義は大きいです。新たな付加価値をVESTAに与え、「単なる3D可視化ソフトにあらず」というプライドを示し、商用ソフトに対する優位性をアピールできます。結晶構造しか可視化できないような中途半端なソフトの存在意義はますます薄れていくに違いありません。

■ 2008年2月27日(水) VESTAのマニュアル改訂、3回目

ほぼ完成の域に達しました。RIETAN-FPのマニュアル同様、HyperTeXの仕組みを活用しており、最終的には章・節・項、図、表、数式、引用文献、索引、ページ、URLへのリンクを張ったPDFファイルが得られます。もちろん目次、図表一覧でも自動的にリンクが張られます。以前、Commission on Crystallogr. Comput., IUCr Newslett., No. 7に掲載されたレビュー記事をドッキングすれば、計109ページ —— もう十分です。次のバージョンからは、このマニュアルが配布されることになるでしょう。

私は未だかつて有料の英文添削を外注したことがありません。もちろん、RIETAN-FPとVESTAのマニュアルも同じこと。両ソフトのユーザーが専門的な記述の誤りばかりでなく、修正すべき英文も教えてくださることを期待してます。

■ 2008年2月28日(木) No, thank you

ときどき講演(講義)や執筆の依頼が舞い込んで来ますが、最近は慎重に取捨選択するよう心がけています。引き受けるのは約4割といったところです。諾否の基準はあいまいですが、手間の掛かりそうなものはお断りする可能性が大です。つい最近の例だと、英文専門書の1章丸ごとを執筆してほしい、というのを辞退しました。2月16日に記した随想の執筆は、半日あれば片付く仕事なので引き受けました。

面倒なこと、消耗することは避けたい —— 当然じゃありませんか。年相応の分別がついたということでしょう。なにもかも引き受けていたら、身が持ちません。

RIETAN-FPやVESTAの英文マニュアル執筆は面倒かつ消耗することですが、あくまで自主的行為です。他発的でないことから、ストレスはさほどたまりません。しかし、必ずしも楽しい作業ではないので、プログラミングよりはるかに疲弊します。VESTAのマニュアル、ほぼ目処が付いたのは喜ばしい限りです。

私見によれば、無料であること、懇切丁寧な本格的マニュアルが用意されていることは、ソフトウェアの最重要な「機能」なのです。金持ちより貧乏人(学生を含む)の方が圧倒的に多く、一を知って十を知るような頭の切れる人がほとんどいない以上、そう言い切って構わないでしょう。

ただし、富裕層が一銭も払わずに使うのには不条理性を感じます。個人の勤労奉仕に依存しており、経済的苦境に陥っているVESTAについては、とりわけその感が強いです。富裕層からは、お金を徴収しても一向に差し支えないと思います。もちろん、富裕層とは大企業だけを指しているのでありません。

■ 2008年2月29日(金) 巨大ジョブ実証試験の結果

パスワードつき配布ファイルから入手した64ビット版のPRIMA64ビット版Windows Vista専用)による巨大データの処理2件に成功したという報告が開発協力者から届きました:

  1. ゼオライト
  2. 有機化合物

64ビット版のスケーラビリティが見事に実証されました。Fortran 90で書かれたPRIMAでは配列の動的記憶割り付けを全面的に採用しており、使用メモリーサイズが伸縮自在となっています。64ビットWindows Vistaでは、メモリーさえ十分積めば、32ビット版Windowsにおける2 GBの壁(各アプリケーションごと)はなくなります。メモリー価格は急落していますから、さほど大きな経済的負担は生じません。64ビット版のPRIMAは反射数とピクセル数が多いデータのMEM解析には必需品といってよいでしょう。

このような大規模MEM解析でPRIMAが出力した巨大な3Dデータ・ファイル*.denあるいは*.priの3D可視化には、64ビット版のVESTAが必要となるかもしれません。こちらもスケーラブル・アプリケーションなので、十分なメモリーさえあれば動きます。

今後は、VENUSシステムの配付ファイルVENUS.zipに含まれている32ビット版は体験版、64ビット版はプロフェッショナル・エディション(有償)という位置づけになります。次世代Windows(Vienna)は64ビットOSだけになりますし、Core 2 Duo用最適化により計算スピードもかなり上がりますから、PRIMAを研究や業務に利用される方々は、Windows Vista、PRIMAともども64ビット版への移行されるようお勧めします。

■ 2008年3月1日(土) もう手放せません

このところ門馬綱一君とともにVESTAの英文マニュアルの仕上げに追われていますが、私の方はTeXShopのおかげで快適に作業を進めています。門馬君もすっかりLaTeXに慣れました。

73という文献数からわかるように、アカデミックな雰囲気がただよう格調高いマニュアルです。文献がカバーしている専門領域の広さには驚かされるでしょう。そのほか、WEBページのURLもどっさり含まれています。

このマニュアルに作成にあたっては、RIETAN-FPのマニュアル、具体的にはそのLaTeX文書ファイルRIETAN-FP_manual.texを一種の雛形として再利用しました。いわば習得ずみの技能を抜け目なくリサイクルした(2月23日参照)ということです。

TeXShopの素晴らしさを語り出したらきりがありませんが、なんといっても白眉は階層構造のしおりが入ったPDFファイルの自動出力・表示です。凄すぎます。

実用性という観点から見れば、HyperTeX2月27日参照)だけでなくリアルタイム・スペルチェックも実にありがたい機能です。もうExcaliburなどは見向きもしなくなりました。

■ 2008年3月2日(日) 32・64ビットOSの切り換え

64ビット版Windows Vistaの強味は、処理速度を犠牲とせずに(むしろ32ビット版Windows Vista上よりも高速に)32ビット・アプリケーションを実行できることです。エミュレータを介さず、内部的に32ビットOSに切り換えているためです。

既存ソフトのほとんどは32ビット・アプリケーションですから、変換層によるオーバーヘッドが生じないのは巨大なメリットとなります。

といっても、Core 2 Duo以上のCPU、4 GB以上のメモリ、中クラス以上のビデオカードが望ましいですから、ある程度の出費は覚悟しなければなりません。あと一年も経てば、かなり価格が低下するでしょうが。

■ 2008年3月3日(月) あきらめるしかないな

丸一日、肉体労働に従事。その間を縫って、リリースされたばかりのIntel Visual Fortran for Windows v10.1.019をインストールし、PRIMA中の冗長行を注釈として再ビルドしました。早速テストしてみたところ、やはり異常終了してしまいました。お手上げ。

■ 2008年3月4日(火) 経験則

10年近く前、モスクワ大学を訪問したとき、ロシア(ソ連)では禿頭と髪の十分ある人が交互にトップになるのがルールと聞きました。未だにそのルールは通用してますね。

■ 2008年3月5日(水) Slow but steady

VESTAへのELENの実装、予想外に手間取っています。三次元データ(volumetric data)ファイルのフォーマットにはgeneral/periodic gridsの2種類があり、原子単位(電子状態計算の世界)とSI単位(結晶学の世界)がごちゃごちゃになりやすく、出力ファイルが最大4つあることから、バグが忍び込みやすいです。電子状態のシミュレーションと結晶学的計算の接点において、エネルギー密度の単位をどうしたらいいのかについても、迷いが生じました。

また、Tsirelsonの論文をよく読んだところ、ELENにはあらずもがなのオプションがあることが判明したため、あっさり削除しました。要するに、electronic kinetic-energy densityは常にKirzhnitsのgradient expansion methodで近似すべきだということです。

ともあれ、この新機能についてはほぼ片が付きました。今日は門馬君からv1.3a3が届きました。v1.3 (Final Candidate 1)と英文マニュアルのリリースは目前に迫っています。そう、バージョン番号からベータ版を示す"b"がなくなり、"Final Candidate"に昇格します。

■ 2008年3月6日(木) 欠陥製品

Microsoft Word 2008でWordファイル中の図を入れ換え、保存しようとしたら、なんと無視されてしまいました。Word 2004だと大丈夫。う〜ん、一番肝心なことが… 編集済みのファイルの保存をサボるソフトを初めて体験しました。

近日中にMicrosoft Office 2008を初めてアップデートできるようになりそうです。これに期待するしかありません。

■ 2008年3月7日(金) よく言えば懇切丁寧、悪く言えば威圧的

VESTAの英文マニュアルVESTA_Manual.pdf、ついに書き上がりました。アカデミックにしてスタイリッシュ、計118ページ、15.8 MB、目次・しおり・索引・URL・網羅的リンク付きの大作です。VESTA v1.3 (Final Candidate 1)とともに、VESTAのWebページで配付します。本バージョンのHelpメニューでManualを選ぶと、VESTA_Manual.pdfが開かれます。このPDFファイルはVESTAの実行形式ファイルと同じフォルダに置く必要があることにご注意ください。

本マニュアルのページをパラパラめくり、81にも達する文献のリストを眺めれば、VESTAが単なる可視化ソフトからの脱皮を果たしたことが直ちに実感できるでしょう。この類のソフトに原子間距離、結合角、ねじれ角(あるいは二面角)の計算機能くらいはあって当たり前。VESTAはさらに次の14の物理量も求めてくれます:

  1. Physical properties calculated from lattice and structure parameters
  2. Physical properties calculated from bond valence parameters and oxidation states
  3. Physical properties calculated from structure parameters and oxidation states
  4. Physical properties calculated from electron densities

壮観でしょう。結合、結合角、二面角、配位多面体に含まれる各原子の対称・並進操作を表示するという余技もこなします。RIETAN-FP・VENUS統合支援環境も併用すれば、格子間サイトのポテンシャルも計算できます。この値はリートベルト解析用構造モデルの修正の手がかりとして役立つ可能性があります(1月11日参照)。

これほど詳細なマニュアルの製作ともなると、プログラミング以上に消耗します。プログラマーという人種はドキュメンテーションは大の苦手と相場が決まっています。RIETAN-FPの開発でも、一番骨が折れたのがマニュアルの執筆でした。LaTeXのおかげで、いずれもなんとか完成に漕ぎ着けました。感無量です。おバカワープロソフト(Microsoft Word)なんぞに頼っていたら、間違いなく挫折していたことでしょう。

どうして日本語で書いてくれないんだろ、という恨み節が幽かに聞こえてきます。確かに日本語の方が読みやすいです。しかし、メニュー、ダイアログボックス、パネルなどがすべて英語なのにマニュアルが日本語だったら、妙じゃないですか。それに、TeXの文書は英語の方が絶対に見栄えがします。格調高いComputer Modernフォントに統一できますから。竜ヶ崎桃子の弁(2006年6月25日参照)をもじれば、

マニュアルは見かけだもの。

国際的なソフトを目指してというより、美学に立脚した決断です。少なくとも私にとっては。「DV-Xα法計算支援環境利用の手引き」がVESTAの初歩を日本語で教えてくれますから、いいんじゃないですか。こういう頼もしい味方が控えているのもVESTAの強みです。

正直なところ、このマニュアルは完璧からは程遠いです。今後も少しずつ改訂し続け、ブラッシュアップしていきます。間違い(とくに英文)や理解しにくいところがありましたら、遠慮なくご指摘ください。何卒よろしくお願いいたします。

■ 2008年3月8日(土) 文化住宅が赤くなかったのはご愛敬:★

赤い文化住宅の初子」は陰鬱な映画でした。ただただ困窮、悲惨、挫折、不幸、…のオンパレード。初子(東 亜優)は「金、金、金、…」とつぶやきながら、ひたすら耐え忍ぶだけです。まさかこのまま終わりはしないよな、と疑念を抱きつつ観ていましたが、ずっと一本調子を保ち続け、あっけなくThe End。相次ぐ災厄に耐えかねた初子が最後に暴発する、という予想は見事に外れました。

このしょぼくれ感に染まったまま確定申告書を作成していたところ、納税額が思いの外に増えていることに気づきました。よくよく調べてみると、定率減税に基づく控除(125,000円限度)がきれいさっぱりなくなっているじゃありませんか。そう、900兆円の債務を抱えた日本は、これから増税路線を突っ走らざるを得ないんです。衰退しつつある借金超大国 —— 日本そのものが赤い文化住宅状態に陥っている! ますます気が滅入ってきました。

■ 2008年3月9日(日) 美大生に実験やらせるバカがどこにいる、っていうツッコミはなしね

恋するマドリ」?、ガッキーのPVみたいなもんじゃねーの —— と嘲られるのが関の山でしょう。いや、そう捨てたもんじゃありませんよ。パラジウム10 ppm、ニッケル10 ppmと言われ、専門知識が欠如しているため、一つの容器に両溶液を注入してしまい、緑色発光体の光度を一挙に高めてくれました。これぞセレンディピティの極致。大したもんじゃありませんか。

底辺校の落ちこぼれ(ドラゴン桜)、二代目ヤクザのクラスメート(マイボス マイヒーロー)、オヤジの体に心が入り込んでしまった娘(パパとムスメの7日間)といった女子高生役に甘んじていないで、新境地を開いたところが偉い!

ところで、こういうケースではガッキーを共著者にすべきなんでしょうか。やっぱり松田龍平(環境省の研究者)が手柄を独り占めするんだろうな。謝辞にも入れずにね。研究者はみんな亡者ですから。超伝導フィーバーの時代にも同じような話を耳にしました。

ところで、タイトルバックで流れる「メモリーズ」は愛らしい佳曲ですよ。お聴き逃しなきように。

次回は「松ヶ根乱射事件」を取り上げます。

■ 2008年3月10日(月) 良い手本となるマニュアルを目指して

VESTAの英文マニュアルVENUS_Manual.pdfを週末に改訂したところ、7ページ増えました。チェックが終わり次第、ダウンロードできるようにします。

この文書はボリュームが大きいだけでなく、3D可視化ソフトを製作するためのノウハウまで教えてくれます。アプリケーションはもとより、マニュアルも我が国におけるトップランナーとしての存在感を誇示し続けるに違いありません。後追いソフト(if any)が、全体的に見てこれらを凌駕するのはまず無理でしょう。次世代パターンフィッティング・システムRIETAN-FPや超高速MEM解析ソフトPRIMA・ALBAと密接に連携していることが、なおさら新規参入を困難にしています。

VESTAは一月から上海大学におけるX線・結晶学の授業で結晶構造の作画に使われているそうです。また、RWTH Aachen大学(ドイツ)の電子顕微鏡中央施設が教育用に配付するLinuxベースのLiveCD、elmiX中に収録されることが最近決まりました。教育用ツールとしての側面が注目されてきたのは目論み通りです。教育に使われれば、ユーザー数の桁が変わるということを忘れてはなりません。

秀丸エディタ v7.08β13がリリースされました。

■ 2008年3月11日(火) 高級感溢れるキーボード

机の上にPower Mac G5とWindows機(Dell Precision T5400)用のキーボード二つを並べているため、使用していない方がどうしても邪魔になります。そこでWindows機のキーボードを東プレのRealforce91UBK(USB)NG01B0に替えました。テンキーがないためコンパクトですが、どっしりした重量感があります。無接点静電容量方式で、しかも変荷重配列(30、45、55 g)という凝りに凝ったプロフェッショナル仕様です。

■ 2008年3月12日(水) 早くもVESTAを更新

VESTA v1.3.1 (Final Candidate 2)とその英文マニュアルの改訂版(125ページ)がリリースされました。

正式版のリリースまでは、新たなバグの発生を避けるため新機能の追加は避けます。マニュアルには少しずつ手を加えていくつもりです。

Microsoft Office 2008 for Mac 12.0.1更新プログラムがリリースされました。グラフィック・ファイルを張り込むとおかしなことが起きるバグは、案の定、そのまま残っていました。やはりMicrosoftはグラフィック方面が鬼門ですね。

■ 2008年3月13日(木) 威圧感たっぷり

昨日に引き続き、VESTAの英文マニュアル(126ページ)をアップロードしました。全力投球の時期は過ぎましたが、今もなおブラッシュアップを続行中です。DV-Xα法関係の"How to use contrd and makec04d"という文書を追加するので、一両日中に132ページにまで増えます。

3月10日に、VESTAには教育用ツールとしての側面もあると豪語しましたが、教育者になったような顔をして生徒達(VESTAのユーザー)に一問出題してみましょう。本マニュアルの12.4節にMADELの出力例があります。YBa2Cu4O8のマーデルング・エネルギーが4つの異なる単位で出力されていますね。-3.314042 e2/Å(e: 電気素量)をmJ/mol単位の値に変換せよ、というのが私の問いです。学部2年レベルの易しい問題です。変換値はそこに書いてありますので、むしろどのようにして変換するかを説明してください。正解者には、MADEL使用免許を進呈します(笑)。

ただし私に解答を送っても、レスポンスはありませんよ。放射光・中性子源のユーザーの無償サポートなんかやる気ねぇ、と息巻いた(2007年9月2日参照)くらいですから、テストの採点などなおさら敬遠したいです。自己採点してください。そういえば、これまで大学で20回近く(内5回は外国)講義しましたが、試験を実施したことは皆無だなぁ。

■ 2008年3月14日(金) 163 (RIETAN-FP) + 132 (VESTA) + 146 (DV-Xα法計算支援環境) = 441ページ!

VESTAがFinal Candidateのステージに移行したのを機に、RIETAN-FPのマニュアルをそれに合わせて改訂しました(163ページ)。RIETAN-FP_manual.pdfは、いよいよAdobe Acrobatが悲鳴を上げるほど巨大になってきました。

同PDFファイル中のFig. 12.3はWindows Vista使用時のスクリーンショットですが、配位多面体模型の一部が透けて見えるところが薄汚いでしょう。Aero Glassの美的センスを疑います(2月24日参照)。

さらにRIETAN-FP v1.61bとPRIMA v3.6bをIntel Visual Fortran for Windowsの最新版v10.1.019で再ビルドしました。PRIMA v3.6bはv3.6aのマイナーチェンジ版です。パスワードつき配布ファイルで配付している64ビット版のPRIMAはすでにv3.6bとなっています。

昨年の私の講義・講演を聴講された方々にお教えしたWebページで、RIETAN-FPのアーカイブ・ファイルをダウンロードできます。もちろんPRIMA v3.6bも含まれています。

VESTAのマニュアルも更新されました。

またVESTA v1.3.1 (Final Candidate 2)に対応したDV-Xα法計算支援環境利用の手引きもアップロードされました。こちらも146ページ、52.4 MB(!)の力作です。

一昨年、昨年と集客力で勝負してきましたが、あれだけ出番が度重なると、さすがにウンザリ。このたびは、ドキュメンテーション能力の一端をアピールしてみました。来週からは別な方向性のジョブに切り換えます。これまた大仕事。疲弊する一方です。

■ 2008年3月15日(土) 「松ヶ根乱射事件」

くらもちふさこ(天然コケッコー)の世界から夢野久作(いなか、の、じけん)の世界へとジャンプしてみました。いずれも山下敦弘監督の作品です。おぞましいシーンで始まり、最後は心の崩壊。登場人物は変な人、ダメな人、エロい人ばかり。この鬱陶しさは合わないなぁ、常に前向きのオイラには。

■ 2008年3月16日(日) 英文マニュアルだけじゃ使えない

昨年、東京理科大での演習用にRIETAN-FPを使わせてほしい、という申し出があったので、「どうぞお使いください。」と答えました。拙作が教育用に使われるのは大歓迎です。しかし、英語のマニュアルしかないのに、大丈夫だったのかなぁ。

RIETAN-FPよりも教育的価値が高いVESTAの英文マニュアルがこのたび完成しましたが、学生にとってはこれも手強いでしょうね。GUIの操作はすぐ覚えるでしょうが。

研究者と同様に、学生にもピンからキリまでいます。専門知識がろくに身についていない学生、数式を見ただけで吐き気がする学生、英語を苦にする学生は掃いて捨てるほどいるのです。それに、学部はもとより大学院でさえ結晶学の教育は疎かになっています(教官でさえ結晶学に疎いことが多い)。RIETAN-FPのマニュアルは専門用語と数式だらけ、両マニュアルともほとんどが英語 —— 下層レベルの学生に対する教育効果については自信が持てません。

教育が上澄みの学生だけ相手にするものでない以上、最低限の日本語情報(とくにtutorial)は提供する必要があります。それがほとんどすべての授業と教科書が日本語である我が国の情けない現実です。

■ 2008年3月17日(月) これで一安心

久しぶりに、MacとWindows機のデータのバックアップをとりました。

VESTAの英文マニュアルが微修正されました。このマニュアルは評判上々です。驚嘆すべき中身の濃さという声が届いています。VESTAそのものと同様、門馬綱一君の努力の賜といってよいでしょう。

VESTAの正式版のリリースは間近に迫っています。ベータ版の段階で、すでに我が国における標準結晶・電子構造3D可視化ソフトの地位を確立したといって過言でありませんが、正式版の配布により、ますます普及に拍車がかかるでしょう。

■ 2008年3月18日(火) このレビュー、もうobsoleteなんですが…

超高速MEM解析プログラムPRIMAを使用して得た解析結果を報告する際、必ず引用するよう義務づけているレビュー

を読みたいので、ぜひ別刷を送ってほしいというメールがフランスの研究者から届きました。郵送するのは面倒です。そこでcamera-readyの原稿作成に使ったLaTeX文書ファイルをTeXShopでタイプセットしてみましたが、一筋縄ではいきませんでした。これは、今はなきTexturesという商用ソフトで作成したファイルで、graphicx環境とfigure環境がTeXShop互換でないのです。また、拡張子が"ps"のグラフィックファイルは受け付けてくれないので、Adobe Illustratorで全部PDFファイルに変換せざるを得ませんでした。さらに試行錯誤でトリミングと倍率の変更を行い、レイアウトを整えました。散々手こずった末、PDFファイルが完成。54.6 MBもあり、添付ファイルでは到底送れないので、Webサーバーにアップロードしました。

全作業に費やした時間がざっと5時間 —— 郵便にしておけばよかった。

■ 2008年3月19日(水) バージョンアップ4件、Windows Vista SP1

gnuplot v4.2.3、DAEMON Tools Lite v4.12.2、秀丸エディタ v7.08β14、Safari v3.1がリリースされました。

SafariのWebページでは、v3.1について

あらゆるプラットフォームのWebブラウザの中で最速のSafariは、Firefox 2の最大3倍、Opera 9の最大5.5倍のスピードでページを読み込めます。

と豪語しています。まさにぶっちぎりの読み込み速度です。

そして本日、Windows Vista Service Pack 1がついに出ました。Windows Update経由でダウンロードしましたが、121.5 MBもあるため、遅々として進みません。インストール完了まで結局1時間50分もかかってしまいました。

■ 2008年3月20日(木) あと一歩

門馬綱一君ともども、VESTA正式版のリリースに向け突き進んでいます。アプリケーション・マニュアルともに順調に仕上がってきました。

ソフトそのもののパフォーマンスや安定性はもとより、迅速なリリースも肝要です。時機を逸したら、ユーザーの期待を裏切り、技術の差別化を図れなくなりますから。遅くとも4月上旬にはリリースするつもりです。

■ 2008年3月21日(金) STRUCTURE TIDY起動用マクロ

RIETAN-FP内に組み込まれたSTRUCTURE TIDYは秀逸な結晶データ標準化プログラムです。一度使ったら、もう手放せません。STRUCTURE TIDYをRIETAN-FPとは独立に使いたいという声が高いです。確かに、標準化と無関係なデータの方が圧倒的に多いRIETAN-FPの入力ファイル*.insを編集するよりよほど楽に入力ファイルを作成できますし、RIETAN-FPがらみの余計な出力が出ない方がスマートです。そこで、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境から裏技的にSTRUCTURE TIDYそのものを実行できるようにしました。RIETAN-FPにSTRUCTURE TIDYを導入した際、入出力に手を加えた泉改造版の再利用です。

秀丸エディタ上でSTRUCTURE TIDY用入力ファイル*.stiをカレントファイルとしてからctrl-Tを押すと、STRUCTURE_TIDY.macというマクロがSTRUCTURE TIDYを起動し、*.sti中の結晶データを標準化し、出力ファイル*.stoを表示します。標準化は瞬時に終わります。

*.stiで入力すべきデータなどの詳細については、Readme_macros.txtの3.10項をお読みください。*.stiの2行目(対称心の有無)は、キーボードからの入力を不要にするために私が付け加えたフラッグです。

昨年の私の講義・講演を聴講された方々にお教えしたWebページで、RIETAN-FPのアーカイブ・ファイルをダウンロードできます。もちろんRIETAN-FP・VENUS統合支援環境とSTRUCTURE TIDYも含まれています。

このように、秀丸マクロを利用した支援環境は大した手間をかけずに拡張できます。あまりにも簡単で、あっけないくらいです。

■ 2008年3月22日(土) 面倒なことは先送りということで

以前、毎年外国出張していたころ障害保険付きの某ゴールドカードの会員になりました。もうその必要性は薄れたので、スタンダード・カードにグレードダウンしようとしたところ、再契約になるのでカード番号が変わるとデスクに言われました。毎月このカードで支払っている料金があり、その変更手続きが煩わしいです。

それに、ゴールドカードでなくなると、なんとなく零落感が漂いますね。JAFのロードサービスも受けられなくなります。年会費くらい、どこかで稼げばいいんだよね。年会費16万円のブラックカードじゃないんだから。結局、現状維持でいくことにしました。

■ 2008年3月23日(日) 異変

当ホームページへアクセスしてくるPCのOSを調べたところ、最近3000アクセス中約18%がMac OS Xでした。これは近来まれにみる高率です。Macユーザーが増えているのでしょうか。iPodやiPhoneの快進撃がMacの背中を押しているのかもしれません。

ご存じのように、私はMac OS XとWindows Vista 64-bit Editionを主として使っています。いずれもウィルス攻撃に対する耐性が強いです。ほとんどのウィルスは32ビットWindows専用ですから、私のPC環境では通用しません。しかも、ブラウザにはSafariあるいはFirefoxを使っていますから、ウィルスが侵入する可能性はごく低いです。ネット社会では少数派の方が安全なのです。

すべてのメールはNIMSのサーバでウィルスチェックされており、怪しげなサイトには絶対アクセスしません。これらも効果的な危険防止策です。

■ 2008年3月24日(月) 理化学研究所・ゲノム科学総合研究センターが解散

10年間で1264億円もの巨費が投入された一大組織ですが、政府が独立行政法人の合理化を進める中で見直し対象となり、「行革のために見せしめ的に」解散が決まったそうです(3月23日毎日新聞による)。日本のヒトゲノム解読率は1割以下で、しかもたんぱく3000プロジェクトは期待されたほど医薬品開発に直結しなかったのがやり玉に挙げられたとのこと。実績と波及効果が今一で、なおかつ社会から遊離した組織・プロジェクトが見切りを付けられたということでしょう。

ははぁ、SPring-8やJ-PARCが産業利用の拡大に躍起になっている理由が透けて見えたような気がする。いずれの組織も民間企業の研究・開発にも直接役立つ(アカデミックな研究だけやるんじゃない)と称して、巨額の予算をぶんどっているんです。産業界にそっぽを向かれたら、お取りつぶしとまではいかなくとも、予算縮小の憂き目に遭いかねません。一昨年・昨年には、民間企業勧誘大作戦の余波がオイラに向かって押し寄せたというわけだ。新作ソフトの宣伝でお茶を濁しましたが、参加者を何人集めたという数値データの水増しには大いに貢献したはずです。多少なりともお役に立てて幸いでした。

でも、本来は部外者などに頼っているようじゃダメなんだということを肝に銘じておいてくださいよ。企業取り込みの受益者は放射光・中性子施設であり、大学や独法にとっては一文の得にもならないどころか、むしろ逆なのですから、能う限り自力で頑張り、筋を通してもらいたいです。

ところで、一般になじみがなく、敷居が高いパルス中性子を使うJ-PARCの場合、産業利用率●割を実現なんて吹きまくると、後で痛い目に遭うんじゃないかなぁ。現時点では、笛吹けど踊らず状態に陥ってます(閑散とした▲▲▲関係の研究会を見れば明白)。■割を超えれば上出来でしょう。産業活動に及ぼす中性子散乱活用の効果なんて微々たるもの。民間企業は儲かることだったら放って置いても飛びついてきますが、利益に直結しないことには冷淡です。それで結構。ビジネスライクに振る舞い、せっせと利益を追求してもらわんことには、資本主義が成立しませんから。

■ 2008年3月25日(火) なぜかバグ報告は皆無

3月21日にアップロードしたRIETAN-FPのアーカイブファイルに含まれるバッチファイルSTRUCTURE_TIDY.batにSETコマンドが欠落していたため、環境変数RIETANが定義されず、STRUCTURE TIDYが異常終了するという不具合が見つかりました。これを修正し、アーカイブファイルをアップロードし直しました。

テストの際には正常に動いていたと記憶していますが —— ともあれ、私のケアレスミスに相違ありません。

■ 2008年3月26日(水) 配付ファイル二つを更新+セミナーのお知らせ

昨日アップロードしたばかりのRIETAN-FPのアーカイブファイルを早くも更新しました。UNIXライクなユーティリティtee.exeを使って標準出力をコマンドプロンプトのウィンドウとファイルの両方に分岐出力しているバッチファイルのうち、瞬時にして実行が終わるORFFE.bat、lst2cif.bat、STRUCTURE_TIDY.batではパイプ("|")でなくリダイレクト(">")を使うよう改良しました。

さらにパスワードつき配布ファイルのWebページで配付しているアーカイブファイルに64ビット版のSTRUCTURE TIDYを追加しました。パスワードは不変です。

ご存じのように、RIETAN-FPのアーカイブファイルは昨年の私の講演・講義を聴講された方に差し上げています。今年度限りでそのサービスはリセットしますが、来年度も当分、同様の限定配付を続行するつもりです。次回は「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」というタイトルのセミナー(情報機構主催、5月17日)で講義します。参加者にはパスワードつき配布ファイル解凍用のパスワードもお教えします。受講料を払っていただく以上、それくらいのサービスは提供せねばなりません。なお、同セミナー受講希望者で、私と面識のある人には耳よりの話がありますので、ご連絡ください。

■ 2008年3月27日(木) とりあえず一区切り

本日、VESTAの安定版v1.4がリリースされました!!!

VICS・VENDを公式に配布してから5年余、多くの困難を乗り越えた末、全面的リニューアルに漕ぎ着けました。感無量です。

■ 2008年3月28日(金) といっても、

これで一丁上がりという訳ではありません。今後も機能、スピード、安定性、スケーラビリティ、ドキュメンテーションを改善し、他の追随を許さないレベルにまで磨きを掛けていくつもりです。

■ 2008年3月29日(土) 「天下之記者」(高島俊男著、文春新書)

「奇人」山田一郎とその時代、という副題が付いています。数々の奇行伝説に彩られたフリージャーナリスト、山田一郎(万延元年〜明治38年)の一生を178ページにわたり詳述しています。この平凡な名前の男は、我が国に大学が東京大学(東京帝国大学にあらず)しか存在せず、同学年の卒業生がたった27人だった時代に文学士(実質は政治理財科の学士)の称号を得た秀才であり、早稲田大学の前身の創立にまでかかわったにもかかわらず、

といった奇人変人でした。しかし実態は、几帳面かつ清潔好きな小心者が時流に乗り遅れ、高等遊民になる経済的余裕もなく、零落の身を取り繕うため奇を衒っていたに過ぎません。しかも、キャラをつくっていることを同時代人に見透かされていました。それだけのこと。わざわざこの分厚い本を読むまでもなかったなぁ。

奇人変人っていっても、ピンからキリまでいるんですよ。山田一郎は可もなく不可もなし、といったところかな。この中途半端なダメ男の生涯を一冊の書籍に仕立て上げた意図が常識人のオイラには理解不能です。

■ 2008年3月30日(日) Open/Saveダイアログ強化ユーティリティ

Default Folder X v4.0.3がリリースされました。

当ホームページの訪問者のうち、Macユーザーの占める割合が減る気配はありません。最近3000アクセス中、約19%がMac OS Xを使用。想定外の事態に戸惑っています。

■ 2008年3月31日(月) 今日で今年度は終わり。

しかしながら、明日以降、不連続な変化が生じる訳ではありません。一日一日を大事にしたいと願いつつ、惰性で暮らしているという感が強いです。

当面、やり残したことを黙々と片付けていくだけですが、いずれ最後の大仕事として、アンビシャスなことにチャレンジしたいです。RIETAN-FPのリリースなどではありません。単なる願望に終わるか否かは、運と実力と押しの強さ次第です。

■ 2008年4月1日(火) マニュアル二つの更新

VESTAのマニュアルを改訂し、4〜6ページに美しい結晶模型の図を追加しました。石英を種々の構造模型として描いた7つの図も19〜21ページに張り付けました。他の些細な修正も加えた結果、ページ数が135、引用文献が92に増えました。ソースコードの核心部も提示しているくらいで、中身の濃さはマニュアルの範疇を超えてますね。

DV-Xα法計算支援環境利用の手引きも更新されました。

■ 2008年4月2日(水) 4月1日付で

ポスドク1名が定職に就き、私のもとから去っていきました。これで肩の荷が一つ下りました。

定職を得ようと腐心している若手研究者へのアドバイスを一つ —— 自分の強みを一つ持て、と言いたい。これだったら人に負けないという強みなしに生き残るのは困難です。

そういうお前の強みはなんだ、と問われるかもしれませんね。胸を張って「これだ!」と言い切れるような、ずば抜けた才能はないなぁ。上には上がいますから。20世紀は、凡庸な私でも生き残れたんですよ。今世紀は逃げ切っただけ(21世紀枠?)。

もう昔話になってしまいましたが、一時一緒に仕事をした若い女性が私の印象を率直に語ってくれたことがあります:

  1. ずけずけものを言う(会社の人たちはダイレクトな表現を避けるのに)。
  2. 一定のルールに厳密に従ってソースコードを書く(言動の方はそうでもないが)。
  3. アピールの仕方がうまい(一見シャイなように見えるのに存在感がある)。

ここまで身も蓋もなく指摘されると、さすがに良い気持ちはしませんでしたが、人からどういう目で見られているのかがよくわかりました。目から鱗が落ちた、といってよいでしょう。3番(高い訴求力、大衆的人気)が事実だとしたら、強みかもしれません。

1・3番はともかく、2番は的を射ています。ソースコードはもとより、私が書く文章(メールは除く)はすべて自分が定めた一定のルールを遵守しながら杓子定規に記述しています。自由奔放に書き散らしたような印象を与える当掲示板も例外でありません。平成軽薄体と呼んでいる決まりに則り、effectを意識しつつ推敲しています。平成軽薄体についての情報公開は野暮というもの、企業秘密としておきましょう。

あっ、急に自分の強みが思い浮かんだ —— 悪運の強さ。自分で言うのもなんですが、これだけは卓越しています。

■ 2008年4月3日(木) アップデート3件

VESTAのマニュアルを微修正しました。連日の加筆により、完成度がますます高まっています。

二つの支援環境の基盤となっている秀丸エディタがv7.08β15にアップグレードされました。

DAEMON Tools Lite v4.12.3がリリースされました。

■ 2008年4月4日(金) 論より証拠

昨年9月17日にRIETAN-FP・VENUS、両者を統合する支援環境は、数十億円を投じて放射光・中性子源にビームライン2・3本と数台の装置を建設し、以後、毎年巨額の経費と人件費をかけて維持・管理していくのと同程度の波及効果があると豪語しました。大ボラを吹きやがって、と反発されかねない挑発的な発言ですが、誇大宣伝を繰り広げているという意識はまったくありません。日頃実感していることを直截に表現しただけです。

大言壮語でない根拠を示すべきですね。RIETAN-FPの登場により賞味期限が近づきつつあるRIETAN-2000がどの程度広く利用されているかを示しましょう。RIETAN-2000を使用して得た研究成果を発表するとき引用しなければならない論文の引用回数(2000〜2007年)のグラフをご覧ください。もちろん縦軸の値は積分値でなく、各年あたりの引用回数です。RIETAN-FPに移行した(もはや当該論文を引用しない)ユーザーがかなりいるにもかかわらず、引用回数は単調に増加し続けています!

VICS・VEND・VICS-II・VESTAの作成した図を含む論文の数は不明ですが、相当な数に達しているはずです。研究集会に参加すると、VESTAの人気の高まりをひしひしと感じます(2007年9月17日参照)。VESTA正式版と詳細な英文マニュアルのリリースにより、今後ますます研究の現場に受け入れられていくでしょう。科学教育にも貢献しますし、高価な商用ソフトを購入せずに済むという予算節約効果も発揮してくれるに違いありません。

この他、RIETAN-FP、PRIMAALBAAlchemy、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境まで控えているのですから、鬼に金棒。我々のソフトに関する講演・講習会の参加者数は他を圧しています。放射光・中性子源を利用した装置とはユーザー数(分母)が一桁か二桁違うのです。教育用にも使われるVESTAは、とくに多数のユーザーが見込めます。強気の発言は、これらの総合力を確信した上でのことです。

■ 2008年4月5日(土) YemuZip

Mac OS XのFinderはアーカイブファイル*.zipを作成できます。ところが、.DS_storeという不可視ファイルまでアーカイブファイルに含めてしまうため、事情を知らぬWindowsユーザーから「余計なファイルが付いてました。」と指摘されることがあります。Windowsでは不要な画像のサムネールやアイコンといったリソースも保持しています。また、システムが勝手に決めた名前のアーカイブファイルを同一フォルダに作成するという仕様も不便です。

そこで、最近YemuZipというフリーソフトウェアを使い始めました(Macユーティリティに追加)。これですべての不満が解消。StuffItはもう不要です。大体、アーカイバなんか、買う気がしません。

■ 2008年4月6日(日) 春季限定ソフト

例年、3月末か4月初めには都心に出かけるのが常となっています。昨日午後、青空のもと桜の花びらがひらひら散るのを某所で眺めながら、これぞ日本的美の極致とあらためて感じ入りました。

サクラ」を立ち上げると、Macのデスクトップにサクラが舞い散ります。花びらの数、風の強さ、透明度を調節可能です。何の役にも立ちませんが、ささくれだった心を和ませてくれます。

■ 2008年4月7日(月) VESTAのアップデート

VESTA v1.4.1がリリースされました。v1.2b以降の宿痾となっていた2Dマップ関係のトラブルを解消しました。

「安定版」を謳っているものの、決して完璧ではありません。「ほぼ安定版」とみなしてください。今後もバグを一つ一つ潰していきます。

マニュアル(136ページ)も更新しました。

■ 2008年4月8日(火) 早くもVESTAをアップデート

VESTA v1.4.2とそのマニュアルをアップロードしました。それに対応して、DV-Xα法計算支援環境利用の手引きも微修正されました。

■ 2008年4月9日(水) 過激なタイトル通り、

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」には有無を言わさず人を引き込むような、どす黒いパワーがあります。過度の思い込み、むきだしの欲望、残忍な情熱。その凶暴なパワーは"The End"とともに、余韻を毫も残さず消え失せます。激情と暴走の果ての空しさ —— そんな作品です。

このドロドロ、ギトギトした映画の原作者が本谷有希子という若い女性なのには驚かされます。

■ 2008年4月10日(木) 二大エディタのアップグレード

秀丸エディタ v7.08(正式版)がついにリリースされました。

Jedit X Rev. 2.01(製品版)が出荷されました。私がもっともひんぱんに使うMac用ソフトであり、本WebページもJedit Xで編集しています。

■ 2008年4月11日(金) Viva elmiX!

3月10日に記したように、RWTH Aachen大学(ドイツ)が配付する電子顕微鏡関連データ解析・教育用のLinux LiveCD、elmiXにVESTAが収録されることが決まっています。このたび、elmiXのWebサイトが開設され、そこでベータ版がダウンロードできるようになったということをお知らせします。ISOイメージのファイルをCDに焼けば、インテルのCPUを装着したPCで、17本の最新プログラムを無償で利用できます。そのラインアップ中、唯一の日本産ソフトがVESTAです。

VESTAはマルチプラットフォーム・ソフトウェアであり、Linux上でも当然動きます。また詳細な英文マニュアルも提供しており、GUIを通じたユーザーフレンドリーな操作が可能なことが評価され、国際的に認知されたのでしょう。

国際性を備えたソフトたるためには、詳細な英文マニュアルは必需品です。英語論文でないと、まともな科学技術関係の論文とみなされないのと同様です。英文の質も十分高くなければ、機能や使用法が理解されにくいのは言うまでもありません。日本人のプログラマーにとって、英語によるドキュメンテーションのハードルが相当高いのが現実です。

18世紀以前はイタリア語のオペラが圧倒的多数を占めていたのですが、ドイツ語の傑作オペラを創り上げた一連の大作曲家がいた結果、今日それらが多数生き残り、世界中で上演されています。イタリア語とドイツ語は互いに親戚のようなもの。現にスイスでは、ドイツ語ばかりでなくイタリア語も公用語となっています。一方、英語と日本語は血縁関係がこれっぽっちもありません。一般に日本人は英語が苦手 —— 当たり前じゃないですか、語源も発音も文法も日本語と根本的に違うのですから。3月16日にも書いたように、英語アレルギーの人たちは英文マニュアルの「解読」に難儀しているんじゃないのかなぁ。VESTAには英文マニュアルしか存在せず、その和訳が登場する可能性は(ビジネス化しない限り)ゼロなのを私自身が内心、残念に思っているということを告白しておきます。

■ 2008年4月12日(土) 自戒

団塊の世代が再雇用・再就職により安いサラリーで働き出せば、若者たちが低賃金で過重労働を強いられ、使い捨てのフリーターばかりが増えるという指摘があります。老人が若者と同一職種に就き、既得権を行使して仕事を奪うのなら、確かにその通りでしょう。歯に衣着せぬ物言いながら、そういう所行はなりふり構わぬ老害です。

若者との競合を避け、若者のもつエネルギーと情熱を練達の技術や知識で補完し、有為な若者を惜しみなく支援し、なおかつ過去の蓄積を若者にバトンタッチするよう努める —— こういう建設的かつ利他的な姿勢を保てば、社会から歓迎され、敬意を払われるに違いありません。私もできるだけ表舞台に立たず、裏方に回るよう配慮したいです。

もう一つ老人が心がけるべきなのは、余剰のお金はせっせと使い、内需拡大と景気上昇に少しでも協力することです。金は天下の回りもの。活きたお金の使い方を実践すべきです。死蔵したまま、あの世に逝っても仕方ないじゃありませんか。

■ 2008年4月13日(日) 高性能、大容量、低コスト、低消費電力のメモリーを実現するスピントロニクス・テクノロジー

IBMアルマデン研究センターのスチュアート・パーキン博士をリーダーとする研究チームはracetrackと呼ばれるメモリー技術について、Scienceの4月11日号にReviewとReportを一報ずつ発表しました:

Racetrackメモリーには電子スピンを用い、損傷なしにデータを書き込めます。可動部品がないために機械的に磨耗しません。

■ 2008年4月14日(月) まだろくに使っていませんが、

Jedit X Rev. 2.01で気に入った点は、タブモードにおいて個々のタブをダブルクリックすると、別なウィンドウに分離してくれることです。タブをドラッグ&ドロップするより迅速かつスマートです。

■ 2008年4月15日(火) Standardized crystal data → crystal structure database for all non-organics

今日届いたPearson's Crystal Dataのカタログをめくっていたら、"Fully standardized and comparable crystal structure data"という惹句が目に入りました。そのWebページには、"Conversion tool for standardization/Niggli-reduction of unit cell parameters"という機能が明記されています。STRUCTURE TIDY(その改造版がRIETAN-FP・VENUS統合支援環境に組み込まれています)で標準化した結晶データを提供し、単位胞を変換する機能だけを提供しているというように読めます。

Crystal Impactは結晶構造作画ソフトDiamondのベンダーです。う〜ん、やはり結晶データの標準化の有効性に気づいているんだなぁ。単位格子と分率座標の標準化はリートベルト解析のような構造精密化でも有用ですが、とりわけ結晶構造データベースでは重要です。同形の化合物を探索し、構造を比較し、非対称単位を整形しスリム化するのに役立つためです。

■ 2008年4月16日(水) RIETAN-FPのバージョンアップ

RIETAN-FPで、*.ffe中の通し番号を指定(LSER=1)して原子間距離や結合角に抑制条件を付加すると、リートベルト解析終了後、抑制条件に関する情報を出力中に異常終了するというバグ報告が届きました。それらの抑制条件については関係サイトのラベルでなく*.ffe中の通し番号(NSCONS)を出力するよう変更した結果、正常終了するようになりました。関係サイトについては*.ffeを参照するようお願いします。

新バージョン番号はv1.62bです。

パスワードつき配布ファイルで配付している64ビットコードとRIETAN-FPの配付ファイル(29.1 MB)を更新しておきました。いずれも支援企業、共同研究者、テストユーザー、「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」セミナー(5月19日、東京)の出席者に提供いたします。

■ 2008年4月17日(木) やや癖のあるソフトですが…

文献はもとより図、表、章・節・項、ページ、Webサイトにまでリンクを張っているRIETAN-FPとVESTAの英文マニュアル同様、MacNote3のようなノートパッドでも、リンクは実に便利ですね。URLはもとより、Mac内のファイル・フォルダ、ノートパッド中の別メモまでリンクできます。もう手放せません。

■ 2008年4月18日(金) Big news!!!

ベータ版ではありますが、秀丸エディタの64ビット版v7.09β1がリリースされました。田楽DLLのような32ビットDLLとの互換性は確保されています。動作環境に64bit版という項目が新設され、そこで"32bit DLLをマクロのloaddllで動作可能にする"をチェックするだけです。残念ながら本機能はまだバグっていますが、早晩修正されると思われます。

Windows Vista 64-bit edition上で32ビット版を使わざるを得ないのに不満を抱いていた私にとっては、64ビット版の登場は嬉しい限りです。秀丸エディタがいくら有名でも、64ビット・ベータ版を先走って使おうとする極端な新しもの好きはろくにいないでしょうね(笑)。

今日はVESTA v1.4.3もテストし、不具合を二つあぶり出すとともに、要望を一つ送りました。この次期バージョンはマニュアルの改訂版とともに近日中にアップロードされます。

■ 2008年4月19日(土) 結晶軸の変換に関する注意事項

VESTAは結晶・電子構造の3D可視化や結晶化学的知見獲得(3月7日参照)のためのツールであるばかりでなく、強力なファイル(データ)変換ユーティリティでもあります。なかでも結晶軸の変更は得意中の得意です。

ただし、"International Tables for Crystallography", Vol. Aに複数の軸設定が記述されている空間群(斜方・正方・立方晶系)に属する化合物の結晶データファイル(たとえばCIF)をVESTAで読み込む際には、注意が必要です。

設定番号を取得する術のないVESTAは、結晶データを読み込んだ直後、デフォールトで第1設定とみなします。ここに陥穽があります。Structureダイアログボックス中のSettingを見ればわかるように、実際には第2設定以降だったとしても、VESTAは第1設定だと思い込むのです。一方、原子座標は本来の軸設定に基づいた正しい値が表示されます。

たとえば正方晶系、空間群P42/nmc(No. 137)に属する物質の結晶データが原点に対称心をもつ軸設定(設定番号: 2)に基づいているとしましょう。この化合物のCIFをVESTAで入力すると、原点に対称心をもたない第1設定が仮に割り当てられます。当然、結晶構造は正常に表示されません。

こういう場合は、"Update structure parameters"のチェックをはずしてから、正しい設定番号に変えてください。こうすれば、原子座標は第2設定に基づく値のままに保たれます。一方、第1設定に基づく結晶データを入力した後、第2設定以降に変更する場合は、"Update structure parameters"をチェックします。

結晶構造解析はもとよりVESTAによる結晶模型の描画でも、"International Tables for Crystallography", Vol. Aは必需品だということをお忘れなく。

最後にお願いしたいこと —— アプリケーション自体よりサイズが大きく、しおり付き・リンク張りまくりのマニュアルを無償で公開しているのですから、それをよく読んでから(あるいは参照しながら)VESTAをお使いください。Helpメニューからも開けますよ。せっかくここまで作り込んだのに利用してもらえないのでは、立つ瀬がありません。

「日本語じゃないから読む気しねぇ」だって? そんな罰当たりなことを言う無能力者は、激動の時代を乗り切れずにリストラされるかもしれませんよ。

■ 2008年4月20日(日) 手垢まみれの若者言葉

近頃「〜みたいな」というぼかし表現の濫用が目立ちます。一般に語彙が貧弱で、ストレートな表現を好まない若者の会話は「〜みたいな」の連発となりがちです。こういうところで知性のなさが露呈します。

文章でも会話でも、同じ表現をしつこく繰り返されると、読んだり聞いたりする方はうんざりします。たとえば科学技術論文で、carry out+名詞が同じページに何度も出現するのは、へたれ英文の誹りを免れません。動詞一つで置き換えると、より簡潔で生き生きとした表現となりますからね。また、It 〜 that構文やIt 〜 to構文は冗長なので、科学技術論文では能う限り避けるべきです。

「〜みたいな」という婉曲表現も控えめにお願いします。ほとんどの場合、省略可です。

■ 2008年4月21日(月) ソフト開発のモチベーションを低下させる心ない行為について

VESTA v1.4.3とマニュアル改訂版がアップロードされました。6つの点を修正・改善しました。三月下旬の安定版リリース後も、VESTAとマニュアルに磨きをかけ続けています。

粉末回折パターンのシミュレーションを実行した後、三つの出力ファイル*.ins、*.lst、*.itxが保存されるようになったのは、RIETAN-FPのユーザーにとって朗報でしょう。エディタで*.insを編集して、結晶データの標準化やリートベルト解析に移行するのは比較的容易です。

さらに、"Abou VESTA"ダイアログボックスでLicenceとCreditsをタブ切り換えできるようにしました。当該ダイアログボックスを開いた直後には前者が表示されます。こう変更したのは、故意か過失かは知る術がありませんが、VESTA(あるいはVICS・VEND)の使用許諾条件が守られていない例が散見されるためです。当方が指定した文献を必ず引用するのを条件に無償利用を許可しているということを絶対に忘れないでください。それが気にくわんというなら、商用ソフトを購入するなり、別なフリーソフトに切り換えるなり、ご自由にどうぞ。他の選択肢はいくらでもあります。

身に覚えのある人は、今からでも遅くありませんから、知的所有権者たる我々に謝罪してください。さもないと、然るべき措置をとるかもしれません。

一部の不心得者を牽制するために、わざわざタブつきスクロール・ウィンドウを表示する機能を追加するなんて —— あ〜、アホくさ。

■ 2008年4月22日(火) 秀丸エディタ v7.09β2のリリース

64ビット版における不具合4つが修正され、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境の土台として正常に機能するようになりました。現在、同環境はWindows Vista 64-bit Edition上で問題なく動作しています。

すでに32ビット版秀丸エディタをインストール済みの場合は、それをアンインストールしてから64ビット版をインストールするべきです。さもないと、C:¥Program Files¥Hidemaruフォルダが新たに作られるのでなく、C:¥Program Files (x86)¥Hidemaruフォルダが重ね書きされてしまいます。田楽DLLをHidemaruフォルダにコピーすることもお忘れなく。

近日中にパスワードつき配付ファイルで配付しているPrograms_64bit.zip中に64ビット秀丸エディタ用のRIETAN-FP・VENUS統合支援環境の設定ファイル二つを追加する予定です。パスワードを知りたいという人が多いと見えて、「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」セミナー(5月19日、東京)の参加者は、すでにまずまずの数に達しています。

■ 2008年4月23日(水) 危機感

私はXXI IUCr Congress(8月23〜31日)のmicrosymposium "New Algorithms for single crystal and powder diffraction"のchairmanを務めています。Co-chairmanのCooper博士(Oxford)と相談しながら、昨年、世界的な大家を含む3名の招待講演者を決定しましたが、このたび口頭発表者2名の選出を終えました。後は講演の順序を決めるだけです。

当microsymposiumでの発表申込み者数は平均より多いです。口頭発表者の決定に差し支えるようなことはありませんでした。

上記5名の人選にあたって痛感したのは、当該分野におけるヨーロッパ勢の層の厚さと研究レベルの高さです。今後ますます引き離されていくのではないか —— そう感じざるを得ませんでした。放射光源や中性子源に高価なオモチャをいくら取り揃えてもダメだよなぁ、こんなことじゃ。

いや、当該分野の低調さを憂える前に、己の肩に重く食い込んでいる荷が下りるよう精々努力すべきです。「荷」といっても一つや二つじゃありません。嗚呼、しんどい。

■ 2008年4月24日(木) 満願

今年成し遂げるべきことが五つほどあります。内一つはしゃにむに力業で片付けました。

最終的には四つくらいは達成できるんじゃないかな。そこまでいけば上出来、万々歳です。

全部成就したら —— 浅草寺にお参りして、お賽銭をたっぷり上げ直しますよ(2007年12月14・15日参照)。

■ 2008年4月25日(金) VESTAの概要を報じた論文

先月末に門馬綱一君と共著の論文、"VESTA: a three-dimensional visualization system for electronic and structural analysis"をIUCr発行のJ. Appl. Crystallogr.に投稿しましたが、本日受理されました。刷り上がり6ページ(図7、表2)であり、結構長いです。活字になり次第、VESTAで描いた図を論文や報告書などに含める際にはこの論文を引用するよう要請するつもりです。将来的には、RIETAN-2000に関する論文を引用回数で上回るでしょう。

VESTAのマニュアルだけでなく、この論文もLaTeXで書きました。スタイルファイルさえあれば、楽なもんです。捻りはちまきで書き上げたマニュアルとは比べ物にならないほど速やかに執筆が終わりました。早業といって過言でありません。

実は、どこに出しても恥ずかしくない英文マニュアル抜きでは論文として投稿できないため、件のマニュアルの作成を優先した節がなきにしもあらずです。まあ結果よければすべてよし、ということで…

VESTAは約一ヶ月前に産声を上げたばかりの若々しいソフトであり、将来性は抜群です。3D可視化ソフトの範疇を超え、ファイル・コンバーターや結晶化学的考察用ツール(3月7日参照)としても順調に成長しつつあります。ヨーロッパの著名結晶学者も利用を検討しており、講演や講義を通じた前宣伝により知名度・人気ともすでに十分高まっています。長いベータテスト期間を経た後の正式版公開、詳細極まりない英文マニュアルの提供、国際誌への投稿論文の掲載決定と三拍子揃った今、諸分野への普及に拍車がかかるのは間違いありません。今後の一層の進化とスピード・安定性の向上にご期待ください。

これで安心して連休中に「少林少女」を観にいけるなぁ。

しかしその後、地獄が待ってます。12日間に講演・講義を3回。内一つは計4時間の長丁場。その間を縫って●●●の■■と○○○の□□の▲▲▲。身動きがとれません。吾妻ひでお(2005年5月19日参照)と違って、失踪する勇気がない。鬱。

■ 2008年4月26日(土) RIETAN-FP.keyとRIETAN-FP.regの追加

4月22日に約束したように、パスワードつき配付ファイルで配付しているPrograms_64bit.zip中に64ビット秀丸エディタ用のRIETAN-FP・VENUS統合支援環境の設定ファイル二つを追加しました。パスワードが変更になりましたので、今すぐにでも64ビット化されたプログラムを使いたいという方は私にご連絡ください(手抜きモード入りしています)。

■ 2008年4月27日(日) 積読(つんどく)になりそうな予感

私はけっして読書家とは言えませんが、辞書とLaTeXの本は過去にかなり買い込みました。昨日もLaTeXに関する最新刊を衝動買いしてしまいました。:

余談ですが、TeXを使いこなせるかどうかは、プログラマーとして優秀か否かのテストとして有効です。TeXで文書を作成するのは、一定の文法に則ってプログラムを書き、デバッグし、意図通りの計算結果を得るようにするのに似ているからです。ただし必要条件であっても、十分条件ではありません。高度なプログラミングには、応用数学の知識、論理的思考力、記憶力、体力(肉体労働でもあります)、気力も要求されますので。科学技術ソフトウェアの開発には、さらに理工系の専門知識も不可欠であり、一般に敷居はかなり高いです。

■ 2008年4月28日(月) 半分パニック

現時点で悟ったのは、連休にしろ「少林少女」にしろ「そんなの関係ねぇ」ってことです。水面下でいくつかのミッションが同時進行しており、5月末まで一日も休まず仕事し続けないと処理しきれません。最近、平日は家に仕事を持ち帰ってます。26・27日は休日なのにもかかわらず、メール送りまくり。

日ごろ十分余裕をもって仕事できるようスケジュールを組んでいるつもりですが、ときどき割り込みがかかります。そういうヤツに限って研究者としてサラリーをもらっている以上、受けて立つしかないのです。こうした割り込みを受け、5月30日に参加する予定だった某●●●は欠席と相成りました。う〜ん、宮仕えはつらい(涙)。

■ 2008年4月29日(火) 本当はそれどころではないのですが、

少林少女」、心ならずも観てしまいました。映画に疎い私にわかるだけでも、「ドラゴン怒りの鉄拳」、「燃えよドラゴン」、「死亡遊戯」、「ドラッグストアガール」、「キル・ビル」、「少林サッカー」、「カンフーハッスル」で見たようなシーンが含まれていました。ブルース・リーのそっくりさんと覚しき男が現れたのには失笑しました。

他のことは目をつぶるとして、抱きついてお終い(ネタバレ)ってのが気に入らねぇ。禁じ手だよなぁ、そんなの。評点は★ —— ますます鬱になりました。

■ 2008年4月30日(水) 両方同時に計算すればよいだけのこと

必要に迫られ、ある化合物中の全金属サイトについてbond valence sum(BVS)とcharge distribution(電荷分布)をVESTAで計算し、酸化状態を求めてみました。得られた値と形式電荷を比べてみましたが、甲乙付け難かったです。また、同一金属のサイト二つを比べると、絶対的な値はともかく、大小関係は一致していました。

得られた結論は、両者を併用し計算結果を比較することが望ましいということです。BVSは電卓でも容易に計算できるため、今や非常にポピュラーになりました。一方、電荷分布の計算はプログラムに任せないと大変な労力を費やす上、間違いやすいです。VESTAを使えばすべての陽・陰イオンの受け取る反対符号の電荷が計算でき、化合物の安定性の評価にも役立ちます。VESTAで手軽に電荷分布を計算できるようになったことの意義は大きいです。

電荷分布を計算する際に注意すべきなのは、あらかじめBondsダイアログボックスですべての結合を指定しておくということです。未定義の結合は電荷分布の計算時に無視されてしまいます。

■ 2008年5月1日(木) 先走りすぎ:Fortran 2003に関する情報を求めて

Fortran 2003はおろかFortran 95についても、日本語の良書はほとんどありません。そもそもFortran 2003の全機能を実現したコンパイラがほとんどないのです。そこで適当な洋書を探したところ、

というペーパーバックが見つかりました。いずれ購入しましょう。

■ 2008年5月2日(金) 感動物:LaTeXiT

最近は帰宅後や休日に「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」セミナー用の新たなスライド(Illustrator CS3の出力するPDFファイル)を少しずつ作っています。複雑な数式入りのスライドではLaTeXiTが威力を発揮しますね。RIETAN-FPのマニュアル作成時に作ったテキストファイル*.texから数式を記述した部分をテキストエリアにコピー&ペーストし、[LaTeX it!]というボタンをクリックすれば、任意のサイズの数式がただちに得られます。後はPDFファイルに変換し、Illustrator CS3のファイルに貼り込むだけです。

見た目も申し分ありません。Microsoft Wordに内蔵されているEquation Editorの出力する薄汚い数式とは大違い。

ところで最近、Illustrator CS3に付いてきたAdobe Bridgeをようやく使いだしました。これも実に便利。拡張子をAdobeの製品に関連付けておけば、サムネールをダブルクリックするだけで、カレントファイルにすることができます。Illustrator CS3のウィンドウがタブつきでない理由がようやくわかりました。Adobe Readerと同様に、Command-Lを押せばスライドショーが始まります。

■ 2008年5月3日(土) 昨日に引き続き、

スライドを作成。やや疲れ気味で体調が悪いので、5枚で止めておきました。

■ 2008年5月4日(日) PRIMA倍速化計画

パニック状態の今は無理ですが、いずれ64ビット版PRIMAをさらに高速化したいです。目標は32ビットコード比で2倍のスピードアップ(パラレル化抜き)です。すでに64ビットコード化により、メモリー領域に関する制限の実質的な撤去(2月29日参照)に加え24%の高速化(1月29日参照)も果たしたので、そう大したことではありません。

PRIMAで採用したMEMの高速アルゴリズムについては、添付の英文解説書に詳しく記述しました。さらにわれわれはPentium 4で最高のパフォーマンスが得られるよう、試行錯誤でPRIMAのソースコードを徹底的に最適化しました。その結果、MEED比で数10倍の計算速度を達成したのです。

その後、64ビット化、一次キャッシュの容量増加、マルチコア化などを通じ、CPUは著しい進化を遂げました。多重ループをあれこれ弄り回すだけで倍速化(MEED比で二桁上)を実現できるでしょう。ソースコード所有の強味を享受しない手はありません。

パラレル化(並行処理化)については、その後の楽しみにとっておきます。

あまりにも速すぎて一服する暇もない —— 比較的小規模なMEM解析だったら、もうそういうところまで来ています。だからこそ小出しのスピードアップで構わないのです。

■ 2008年5月5日(月) 5月3〜6日は4連休のはずですが、

iCalによると、明日5月6日は振替休日でないそうです(汗)。

VESTAに関する論文(4月25日参照)の校正刷りが届きました。Vol. 41、Part 3(6月)に掲載されるそうです。

VESTAが対応しうる入出力ファイル形式の表(このWebページをご覧ください)中で、プログラム名にはすべて参考文献を付けるよう要求され、門馬君とともに、かなりの時間をかけて文献(あるいはURL)を追加しました。まあ、これらのファイルフォーマットへの対応に費やした膨大な労力と時間に比べれば、ものの数ではありませんが。

若手研究者にとっては、論文にならないプログラミングではモチベーションが一向に上がりません。この論文が日の目を見て、本当によかったです。

■ 2008年5月6日(火) サバイバルゲーム

目立つ強味がないと生き残れない(4月2日参照)のはアカデミック・ポジションの獲得を目指しているポスドクや博士課程学生だけでありません。どの世界も一緒。ソフトも同じことです。他のソフトにない貴重な付加価値を一つや二つもっていないと、存在感を示せません。RIETAN-2000/FPに組み込まれたMPF法はその一例です。重畳反射のグループ化がさほど功を奏さないというMEM/リートベルト法の欠点を見事に克服したMPF法が使えるのは、目下のところRIETAN-2000/FPだけです。超高速MEM解析プログラムPRIMAおよびALBAとの密接な連携もRIETAN-2000の強みといってよいでしょう。

VESTAについては心配無用です。4月25日にも記したように、前途洋々という太鼓判を押せます。一方RIETAN-FPについては、今後それを実質的に生き長らえさせ、活躍させるにはどうしたらいいのかを検討しています。構想がほぼまとまってきたところです。

■ 2008年5月7日(水) LaTeXiTの恩恵を享受

LaTeXiT5月2日参照)に大分習熟してきました。もう、いくらフォントサイズを大きくしてもイメージは劣化しませんし、split環境を使うような複雑な数式もタイプセットできます。Preambleの編集法も習得しました。

Adobe Illustrator CS3との連携により、数式を含むスライドを次から次へと作成しています。LaTeXiTの素晴らしさを最近まで見過ごしていたのは、誠に迂闊でした。

■ 2008年5月8日(木) 三つのアップグレード

Windows XP SP3のリリースを知ったので、早速Dellのノート型PCにインストールしました。

絶対手放せないWindows用ファイラーまめFile5の最新ベータ版v5.39.0.6β3がアップロードされました。

不安定な挙動ゆえにゴミ箱行きと成り果てたCopyPasteがCocoaアプリケーションCopyPaste Proとして生まれ変わりました。5月12日までは割引価格($20)で販売するそうなので、忘れないうちに購入しておきました。派手な視覚効果を演出したclipboard browserには驚かされました。コピー&ペーストを一種の娯楽に変えたといって過言でありません。

■ 2008年5月9日(金) 毎晩、自宅でコツコツ作業し続けた結果、

「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」セミナー用に新たに作成したスライドが30枚に達しました。順調に枚数が増えたのは、なんといってもLaTeXiT5月2日参照)のおかげです。この功績を讃えて、LaTeXiTをMacユーティリティに追加しました。

今後、さらに10数枚を作成する見込みです。既存のスライドにこれらを追加し縮小印刷したものを当日配布しますが、例によってPDFファイルとしてもダウンロードできるようにいたします。

RIETAN-FPやVESTAのマニュアルといい、J. Appl. Crystallogr.に掲載予定の論文(4月25日参照)といい、私はTeXを使う仕事となると、異様に張り切り活性化するようです。趣味嗜好と気質にぴったり合っているとしか言いようがありません。知性と感性がマッチするといっても同じことです。

8年前に日本化学会春季年会で「インターネットによる化学情報の提供と交換」という特別講演を行いました(2001年6月2日参照)。講演時間が45分と長く、時間がやや余り気味だったこともあり、つい「日本化学会の欧文誌(注:Bull. Chem. Soc. Jpn.とChem. Lett.)はLaTeX文書での投稿ができないし、スタイルファイルも配付していません。情けない。そんなことでいいんでしょうか。」と口走ってしまいました。腰が引けるんですよね、おバカワープロ用テンプレートを一瞥しただけで。

■ 2008年5月10日(土) これだけ分厚くなると、手入れも大変

VESTAのマニュアルが更新され、計137ページとなりました。J. Appl. Crystallogr.に投稿した論文の校正時に得た情報をフィードバックするとともに、若干補筆しました。

今後もこつこつ改訂していく所存です。

■ 2008年5月11日(日) 遮二無二、突進中

委細は省略しますが、長年の懸案が一つ片付きました。今年成し遂げるべき五つの目標(4月24日参照)の内、二番目です。鬱陶しい霧が晴れたような気分になりました。

ここのところ、すべて思惑通りに事が運んでいます。しかし、いつまでもその調子で突っ走れるほど世の中は甘くありません。いずれ挫折感を味わうんじゃないかな。

■ 2008年5月12日(月) Googleで何かを検索していて偶然見つけたブログ

研究と教育と追憶と展望」にpolar plotと電子密度の違いが丁寧に説明してありました。非常に有益な記事だと思います。

手前味噌で申し訳ありませんが、VESTADVSCATを使えば「等電子密度面の計算、図示などはPCを用いれば比較的簡単にできるので、polar plotなどで図示せず、等電子密度面(等値曲面)で示して欲しい」というご要望は容易にかなえられます。しかも、四方八方から等値曲面を眺めるだけでなく密度レベルを変えることにより、電子密度分布を三次元的に理解できます。VESTAは研究のためだけに製作したのではありません。大学教育にもぜひ利用していただきたいです。

上記のブログには「MiniflexでRietveld解析はできるか」という記事もあります。私の名前が書かれている一文を読んだときは、おもわず赤面いたしました。

■ 2008年5月13日(火) 鉄面皮にあらず

「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」セミナー用に新たに作成したスライドが45枚にまで増えました。

今日までに申し込んでいただいた参加者の名簿が送られてきました。北は北海道から南は九州まで日本全国の方々が出席されるんですね。ありがたいことです。すでに参加者の数は私が事前に決めた目標の1.5倍に達しています。

(自分が深く関わった研究集会の)参加者数や文献の引用回数に私が人一倍こだわるのは、社会がどの程度私を必要としているかの尺度にほかならないからです。数字は冷酷で、情け容赦ありません。社会的影響力が自己許容限界より低下したら、さっさと研究の世界から退こうと覚悟を決めています。もうあんたはいらないよ、と宣告された男が仕事にしがみつく姿はみっともないだけですから。

そこまで極論したら、早期退職の研究者で溢れちゃいますよ、とツッコミが入るかもしれませんが、人は人、自分は自分です。あくまで私という一個人限定の心構えであり、人様のことまでとやかく言う気はありませんので、ご心配なく。

■ 2008年5月14日(水) RIETANはFPで打ち止め

「第2 回HERMES,HRPD 合同ユーザーズミーティング」— 定常炉中性子粉末回折装置の将来像を考える —が5月23日(金)にNIMS(千現地区)で開催されます。私と門馬綱一君がそれぞれRIETAN-FPとVESTAの現状と将来像について講演します。現状:将来像=1:1くらいの時間配分とする予定です。

実のところ「RIETAN-FPの将来像」よりは「RIETAN-FPの次の世代として登場するソフトウェアの基本構想」(5月6日参照)の方が適切です。二つの理由から、そのソフトはもはやRIETANとは呼べません。RIETANのDNAは引き継ぐものの、完成の暁には規模も外見も中身も劇的な変貌を遂げるからです。現時点で公表できるのはこれだけです。絵に描いた餅にならぬよう精一杯努めます。

■ 2008年5月15日(木) 今後はこれを引用するようお願いします

VESTAに関する論文がオンラインで閲覧・ダウンロードできるようになりました:

早くもフランスの化学者からVESTAに対する賛辞の声が届きました。"All what people needs is included in VESTA."とのこと。

■ 2008年5月16日(金) これだけ取り揃えれば、時間が余ることはまずないでしょう

「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」セミナーでの講義に使うPDFファイルが完成しました。スライド137枚、容量175 MBの大作です。これを縮小印刷したものを当日、出席者に配付しますが、当該PDFファイルもRIETAN-FP配布ファイルとともにダウンロードできるようにいたします。ダウンロード用WebページのURLは講義の最後でお教えします。そのWebページには64ビット・アプリケーションの配布ファイルのパスワードも記載してあります。

研究集会や講習会などの参加者限定で自作ソフトやプレゼンテーション用PDFファイルを差し上げるという公開形式は、とても気に入っています。ただ講演や講義を拝聴したところで、後に残るものはさほど多くありません。やはり、ボリュームたっぷりのおみやげをもらえる方が盛り上がるのに決まってますよ。当方の開発したソフトをWebを通じてダウンロードするだけの人たちと差別化できますしね。当面はこのサービス方式でRIETAN-FPなどを配付するつもりです。

やはり、なんらかの「差別化」は必要不可欠です(2005年11月30日参照)。われわれのソフト開発をサポートしてくれる企業や研究者、共同研究者、研究協力者、さらには研究集会などに足を運んでくださる方々(有料ならなおさら)は特別扱いすべきなのです。悪平等は禁物、何もかもオープンにするのは愚の骨頂 —— そう悟ってからは、まずまず順調に事が運ぶようになりました。

64ビットアプリケーションの解凍にパスワードを設定したのは、まさに差別化のためです。放射光源や中性子源のユーザーの無償サポートに背を向けるのも同じ理由からです。有限のエネルギーと時間しか持ち合わせていない以上、負荷のかかるサービスはドライに切り捨てるしかありません。

■ 2008年5月17日(土) Pearson's Crystal Data

Pearson's Crystal Data(Crystal Structure Database for Inorganic Compounds; 4月15日参照)をNIMS内で利用できるようになりました。現時点での収録データセット数は約150,000件であり、ICSDを大きく上回っています。早速、試用してみました。

CaTiO3(perovskite)を検索し、CIFを出力して、VESTAで読み込んだところ、結晶模型が問題なく表示できました。VESTAとの互換性に問題はなさそうです。CaCO3(calcite)も大丈夫でしたが、異方性原子変位パラメーターはCIFに記録されていませんでした。手抜なのか、どこかでオプション指定する必要があるのかは不明です。ご存じの方はお教えください。

■ 2008年5月18日(日) VESTA: 化学教育への応用事例

信州大学理学部化学科情報科学演習(1年生)でVESTAを使って構造模型を作画するという演習を行っていることを知りました。

■ 2008年5月19日(月) VESTAのアップデート

VESTA v1.4.4がリリースされ、そのマニュアルも改訂され、138ページになりました。マニュアル中にVESTAで描いた図を含む論文に引用すべき論文を明記しました。

この半ば公共的なソフトウェアが無償ボランティアだけに支えられ、事実上「個人的趣味」として開発されているのは驚くべきことです。公的支援はなきに等しいです。実は、本日開催のセミナーで稼いだお金もVESTAの開発に回すことになっています(涙)。

いつまでもそんな放置プレー状態が続くのでは困りますが、今のところ為す術もありません。これがVESTA製作の厳しい現実です。我々は能う限りの支援を必要としています。

■ 2008年5月20日(火) プレゼンテーション用PDFの更新

昨日のセミナーでの講義に用いたPDFファイル中のスライド三枚を改訂し、所定の場所にアップロードしました。

なお、同セミナーの参加者の一人が要望しておられたVESTAの機能(任意の二次元平面上のデータをファイルに出力)について門馬綱一君に伝えたところ、容易に実現可能なので、できるだけ早く実装するよう努めるとのことでした。

■ 2008年5月21日(水) 豚に真珠、猫に小判

疲労が蓄積しているせいか、体調が悪化。元気が出ません。

「第2回HERMES,HRPD 合同ユーザーズミーティング」における講演「RIETAN-FP: 現状と将来像」用のスライド作成中に、これまでAdobe Illustrator CS3をずっと最大スクリーンモードで動かしていたことに気づきました。標準スクリーンモードに変えたとたんに、以前と同じルック&フィールに戻りました。オイラはIllustratorの機能を1/100も使ってないな、と自嘲しました。

いや、Illustratorに限らず、広く世の中のこと、人生の意味、学問、芸術など、何から何まで、まるでわかってませんね。人間、ただ生きていればよいというなら、それでも構わないのでしょうが。社会人として、生活者として、そして研究者としても未熟で荒削りなまま朽ち果てていくのかと思うと、寂しい気がします。

モンテシーノスの洞窟から帰還したドン・キホーテのように、諸行無常を噛みしめています。充電あるいはリフレッシュが必要だなぁ。

■ 2008年5月22日(木) 二三年前の自分だったら、一も二もなく引き受けたでしょうが

RIETAN関係の講演(英語、一時間)をお願いしたいというメールが北米から届きました。気が進まないので、声を掛けてくれた方には申し訳ないですが、辞退しました。

■ 2008年5月23日(金) とっておきのアイデアを封印

「第2回HERMES,HRPD 合同ユーザーズミーティング」、無事終了しました。あまり交通の便のよくないNIMSで開催されたにもかかわらず、第1回ミーティングの2倍近い65名の参加者が集まったそうです。

例によって、RIETAN-FPのダウンロード法を講演の最後で教示しました。これ目当ての参加者も結構おられたはずです。といっても、来月には次の改訂版をリリースすることになるでしょう。私の講演で約束した通り、正式版は今年中に必ず公開します。いや、そうせざるを得ません。

ミーティング終了後の懇親会で、VESTAはすでに見上げるような存在として君臨している、今後さらに大幅な機能の増強を図ろうとしているのは凄すぎる、という感嘆の声を聞きました。「個人的趣味」の産物である以上、それが必然、というのが私の答えでした。趣味への没頭はお金と時間の損失につながるものの、本質的に楽しいこと、心踊ることです。だからこそ長続きするし、魅力的な機能を投入でき、結果として人を惹きつけるのです。「業務」として請け負った仕事では、魂の抜けた中途半端なものしか出来上がらないでしょう。

それに元々、持ちネタが豊富なんですよね。次から次へと、よくアイデアが湧くもんだと、我ながら感心します。

アイデアと言えば、今回のミーティングでは予期せぬ収穫が一つありました。講演用スライドの作成中に、突如としてMEM解析の新しいアルゴリズムが閃いたのです。それは基本的に健全であり、とくに欠陥はないように見えます。思わず、にんまりしました。

といっても、そのmethodologyの有効性を検証する時間的余裕は到底ありません。やらなければならないことが山積みになっていますから。引き出しにしまっておき、メシの種が欲しくなったとき、おもむろに取り出すことにしましょう。

これほど頭の働きが活性化し、しかも物事が期待通り運ぶ時期は珍しいです。押せ押せムードで突っ走ります。

■ 2008年5月24日(土) ★★★

自虐の詩」は暗くて貧乏くさい映画ですが、ハッピーエンドだったのでほっとしました。ただし、しつこく繰り返されるちゃぶ台返しには閉口。可もなく不可もなし、まあまあ、ということで★三つを与えておきます。

■ 2008年5月25日(日) 絶好調

私事ではありますが、確率的にはありえないような幸運に恵まれました。上げ潮だなぁ、オイラは。ますます鼻息が荒くなってきました。

しかし、この勢いがいつまでも続くはずもありません。あまり調子に乗らぬよう気を引き締めます。

■ 2008年5月26日(月) もう一回!

5月30日(金)の午後、名古屋工業大学ー物質・材料研究機構 研究交流会が丸ビル・コンファレンススクエアで開催されます。そこでの講演の準備をそろそろ始めました。

■ 2008年5月27日(火) こちらも、もう一回!

「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」セミナーでの講義に用いたPDFファイル中のスライドを一枚だけ改訂しました。デバイーシェラー光学系用の複合バックグラウンド関数を追記しました。

■ 2008年5月28日(水) 目論み通り

5月23日に記した新しいMEM解析の技法ですが、座視するに忍びず、ある粉末X線回折データを使って検証してみました。

我ながらせっかちだなぁ、大急ぎで片付けなければならないことが、いくつもあるのに。

「案ずるより産むが易し」で、別段どうということもなくテストのセットアップが完了。MEM解析は計算時間が増えるものの、ちゃんと収束しました。制約条件の計算値と電子密度分布はいずれも正常です。本テクニックとRIETAN-FP・PRIMAとの整合性に危惧を抱いていましたから、これほどすんなりとマイ・アイデアを実証できるとは思いも寄りませんでした。「幸運の神様は、常に用意された人にのみ訪れる」(ルイ・パスツール)ってことですかね。

自分が思っているよりずっと大したことを成し遂げたんじゃないかな。このテクニックは「少林少女」のラストで凛(柴咲コウ)が繰り出した必殺技になんとなく似ているところがご愛嬌です。いや、ひょっとしたら、あのしょうもないB級映画から霊感を授かっていたのかもしれません(汗)。

ともあれ、このネタは引き出しに戻し、いずれ裏技としてRIETAN-FPに忍び込ませます。今はそれどころじゃないんだから。浮き足だってますよ、ホント。

■ 2008年5月29日(木) ベータ版ならありますが…

Mac OS X 10.5.3 Updateがリリースされましたが、仕事で使っているPower Mac G5(デュアル 2.5 GHz)は未だに10.4.11のままです。Leopardに対応したFruitMenuの正式版が出るのを待ち続けているためです。わずか$10の可愛らしいユーティリティですが、これ抜きのMacは考えられません。

■ 2008年5月30日(金) 丸ビルにて

名古屋工業大学ー物質・材料研究機構 研究交流会で30分間話しました。東京駅から目と鼻の先で講演するのはこれが最初で最後でしょう。

コラボレーションに向けて準備中なのは、私が関与するソフト開発だけのようでした。なんとかこれを軌道に乗せるよう注力していきます。

■ 2008年5月31日(土) 天気、体調、ともに悪し

終日ぐったり。疲れがたまってるなぁ。

■ 2008年6月1日(日) 余裕綽々でないと…

湯浅 誠著「反貧困」は"溜め"という概念に基づいて貧困状態への転落のメカニズムを説いています。一読をお勧めします。

研究者にも"溜め"が必要なのは言うまでもありませんん。私が未だに研究を続けていられるのも、なみなみと水をたたえた"溜め"を長年かけて形成してきたためです。といっても、意識してそう努めてきた訳ではありません。悪戦苦闘しているうちに、自ずとそうなったのです。

湯浅氏はセーフティネットを張り直し、生活困窮者の"溜め"を拡大するべく日夜奮闘しています。日本再生の急務であるにもかかわらず政治・行政が放置している最重要の事業を民間レベルで実践しているのです。不要不急のサイエンスに従事している自分(たち)とは比べ物にならないほど尊い仕事を遂行している方の前では、頭を垂れるしかありません。

■ 2008年6月2日(月) 毎度おなじみの埋め草ですが、

RIETAN-2000を使用して得た研究成果を発表する際に引用するよう要請している論文

の被引用数が700に達しました。

■ 2008年6月3日(火) 速すぎる…

必要に迫られ、数個の結晶データからVESTAでマーデルング・エネルギーを求めたところ、いずれも瞬時に計算が終了しました。10数年前にMacintosh IIciで同様な計算を行ったときは、相当待たされた記憶があります。MADEL自身はほとんど変わっていないので、純粋にハードウェアの進歩がもたらしたスピードアップです。これほど速いと、かえってありがたみが薄れるような気がします。

PRIMAの場合、MEED比で数十倍高速化したのはいくつかの新アルゴリズムのおかげです。さらにハードウェア、OS、コンパイラのパフォーマンスも日進月歩ですから、MEM解析に費やす時間はほとんど気にならない程度にまで短縮されました。初期パラメーター、構造モデル、諸設定を変えて何度も解析を繰り返すのが常であるリートベルト解析の方がよほど手間暇がかかります。

MEM解析(PRIMA)が段違いに高速化し、3D可視化(VESTA)がルーチンワーク化した結果、MEMによるリートベルト法の補完は常套的な解析テクニックとなりました。こういう時代の流れに乗り遅れると、確実に損をします。さほど難しい技ではないので、ぜひ実践してみてください。

■ 2008年6月4日(水) 

秀丸エディタ v7.09β5がリリースされました。64ビット版は安定に稼働中です。

Default Folder Xがv4.0.6にアップグレードされました。

■ 2008年6月5日(木) じわじわ膨張中

VESTAのマニュアルが改訂されました。10章に図を二つ追加した結果、ページ数が139に増えました。

今日は定期健康診断の日でしたが、腹囲85 cmオーバーの憂き目に遭うのは回避しました。

■ 2008年6月6日(金) 三つ平行してブラッシュアップ

RIETAN-FPをv1.7bにバージョンアップしました。5月28日に記した新MEM解析アルゴリズムに対応するための改訂です。今後、無期限で裏技として秘匿し続け、その有効性を検証していきます。

MADELの瑕疵(非対称単位内の原子1 molあたりのマーデルング・エネルギーの単位: mJ/mol → MJ/mol)も修正しました。

VESTAの仕様上の不備(原子変位パラメーターの取り扱い)を門馬君に指摘しました。次期バージョンで修正されるでしょう。

VESTAのマニュアルについては、Chapter 1に図を三つ追加し、体裁を整えつつあります。次回のアップデートでは、140ページに達する見込みです。

いずれも最新版の公開は少し先となります。

■ 2008年6月7日(土) 解凍専用ユーティリティ

StuffIt Expander v12.0.2が公開されました。

Mac上での解凍にはStuffIt Expander、圧縮にはYemuZipを使えば十分なので、StuffIt DELUXEやStuffIt Standardは無用の長物となりました。もうMac用アーカイバにお金をかけたくありません。

■ 2008年6月8日(日) 南北格差

つくばエクスプレス(TX)が開業して3年弱、営業実績は絶好調です。今秋のダイヤ改正で増便されます。TXのつくば駅からNIMS(千現地区)へは徒歩15分程度で着くため、研究集会をNIMSで開きやすくなりました。

茨城県内で地価が唯一上昇しているのがTX沿線です。ただ、TX効果は今後、次第に薄れていくでしょう。東京へのアクセスが大幅に改善されたとはいえ、守谷以北からの通勤はやや不便です。

つくばと成田が圏央道(4年後に全線供用開始)で結ばれれば、高速バスが走るに違いありませんから、海外旅行にも便利な場所となります。

一方、2010年開港の茨城空港はまず使わないでしょう。駐車場に車を置いて出張する気にはなりませんから。鹿島鉄道が昨年廃止になったことからもわかるように、過疎地同然の地域です。空港だけポツンとあっても駄目ということに気づいてないんでしょうか。今後、県北地域の人口増加と発展は望めそうもないので、赤字垂れ流し必至です。

■ 2008年6月9日(月) Windows Vistaにおけるあらずもがなのサービス

ユーザーアカウント制御(UAC)、SuperFetch、ReadyBoostを停止してしまいました。無用の長物だという点ではStuffIt DELUXE/Standardや茨城空港と同じようなもんです。

■ 2008年6月10日(火) VESTA v1.4.5の動作チェック

この次期バージョンでは、有機化合物の熱振動楕円体模型が描くのがかなり楽になります。まだ完璧とは言い難いですが、よほど分子量の大きな物質でない限り、実用上支障ありません。いざとなれば、正規表現を駆使した置換によりCIFを変換するという荒技を繰り出せばいいでしょう。

上記の改訂は、有機化合物の単結晶X線解析を重視する姿勢の顕れです。当方のソフト開発を支援してくれる民間企業へのサービスでもあります。

■ 2008年6月11日(水) 正規表現の威力

アップグレードされたばかりの秀丸エディタ v7.09β6を使って、CIF中のUisoの値を0.01に全置換してみました:

[0-9¥.]+ +Uiso → 0.01 Uiso

Jedit Xでも同じ方法で全置換できます。こういう前処理を施せば、VESTA v1.4.5で熱振動楕円体模型中のすべての水素原子を小さな球として表せることを確認しました。

■ 2008年6月12日(木) Mac OS X 10.5.3へのアップグレード

Leopard対応のFruitMenu正式版のリリースを待ちかねて、職場のPower Mac G5にLeopardを上書きインストールしました。インストール直後の再起動で立ち往生したのにはヒヤっとしましたが、電源オフ→オンで問題なく再起動しました。

動作はきびきびしており、Windows Vistaのようなもっさり感は微塵もありません。古いマシンではありますが、どこかが故障するまでは使いたいです。

■ 2008年6月13日(金) iDiskの不安定な挙動

自宅のiMacでは、Leopardをインストールして以来、しばしばiDiskにアクセスできなくなるトラブルに見舞われるようになりました。一度そういう事態にはまり込むと、ログオンし直さない限り、iDiskをマウントできません。

iDiskを使い終わったら、すみやかにそれを取り出し、Finderのウィンドウを閉じると、その障害は起こりにくくなります。完璧ではありませんが、今のところ、この手続きに頼らざるを得ません。

■ 2008年6月14日(土) とくに安定性に問題はありません

秀丸エディタ v7.09β7がリリースされました。64ビット版はベータ版しかありませんから、常に最新のv7.09β*を使っています。

■ 2008年6月15日(日) 最近はPhotoshopの代わりにこれを使ってます

MacユーティリティGraphicConverterを追加しました。

CopyPaste ProをMacユーティリティに掲示するかどうかは思案中です。まだあまり使い込んでいません。

■ 2008年6月16日(月) 地震、火災、事故、病気

といった災厄は、いつ我が身に降り掛かっても不思議でありません。そう思えば惰性で生きるなどもってのほか、一日一日を大切にすべきですが、最近、脱力感が強まる一方です。

パワー不足を「充電」で補いたいのですが、「電源」たりうるものが見当たりません。はてさて、どうしたものか。

■ 2008年6月17日(火) 雑用をこなしながら

RIETAN-FP v1.7bを再修正。当分、このバージョンから先に進めそうにありません。

今日は給料日。オンライン給与明細表からは、社会保険料、雇用保険、税金の占めるパーセンテージがいかに高いかを切実に感じます。なんと34%が天引きされている! 今後、この割合はますます増えていき、消費税率大幅アップへとなだれ込んでいくんだろうな。最悪の場合、10%となるかもしれません。個人的にはさほど危機感はありませんが、このような高負担と資源・食料の高騰はわが国の社会・経済・文化全体の衰退に通じているように感じられます。

■ 2008年6月18日(水) うんざり感のピーク: empowermentの必要性

講演・執筆の準備、参加登録、出張時のホテルの予約、メールへの返信などを黙々とこなしているうちに、時間が飛ぶように過ぎていきました。毎日、飽き飽きしたようなことの連続で、新鮮味に欠けています。たまには違うことを悠然とやってみたいですが、様々な仕事に追われ、その余裕がありません。

何か、はっと目が覚めるようなことはないかなぁ。たまには買い物でもして、気を紛らしましょうか。iPhone 3Gはドコモに違約金を払わないと解約できないのがネックです。そこまで踏み込む気はさらさらありません。

■ 2008年6月19日(木) 知らず知らずのうちに

今年成就すべき五つの目標(4月24日5月11日参照)の三番目をすでに達成していたと、今日気づきました。そういえばこいつが目標No. 3だったな、といったところです。

いずれの目標についても具体的に言及しないのは、過去のことなど振り返らないという気持ちが強いためです。次回の目標No. 5は100%実現可能なことにすぎません。大変な労力を費やさなければならぬものの、先は見えています。そう思えば、いよいよ倦怠感が募ってきます。

今のところ目標達成率100%というと、順風満帆で快調に飛ばしているように聞こえるでしょうが、16〜18日の書き込みから明らかなように、舞い上がってなどいません。むしろ精神的に萎縮しています。達成目標No. 1〜3について沈黙を守っていることがその証拠。贅沢な悩みと言われたら、それまでですが… もっとも、頭はよく回りますし、眼前の仕事は手際よく処理していますから、鬱状態からは程遠いです。ご心配なく。

■ 2008年6月20日(金) スタックの有り難み

Leopardに実装された新たなGUIのうち、実に便利だと感心するのが、Dockに登録するスタックです。一種のファイル・ランチャーとして役立ちますし、視覚効果も優れています。役割を果たすや否や、すっとDockに引っ込む様がユーモラス。スタックをクリックするのが楽しみになったくらい秀逸なデザインです。今後は、よく使うファイルのエイリアスを登録フォルダに放り込むよう心がけます。

いずれMicrosoftが真似るんだろうなぁ。

Windows用ブラウザSafari v3.1.2(なぜかMac版はまだ)と秀丸エディタ v7.09β8がリリースされました。

■ 2008年6月21日(土) Charge-flipping法プログラム

Superflipが6月11・20日にアップデートされました。

■ 2008年6月22日(日) 面影

VESTAのマニュアル(7.2.1)にも明記した通り、三つの結合探索法の一つ"Seach Molecules"モードはORTEPにおける"reiterative convoluting sphere"を踏襲したものにほかなりません。20数年前、ORTEPに接したときに受けた感銘がORTEP用プリプロセッサPRETEPを経て、三次元グラフィックのソフトであるVICSひいてはVESTAに同種の機能を盛り込ませたのです。偉大な先達に対してオマージュを捧げたといってもよいでしょう。「レイダース/失われたアーク」の冒頭、巨大な球状岩石にインディが追いかけられるシーンも「地底探検」という映画からの引用だそうです。

これらは明確に出所を意識した模倣の例ですが、知らず知らずのうち局所的に似てしまうということはよくありますね。たとえば、「魔笛」におけるモノスタトスのアリア「だれでも恋の喜びを知っている」はピアノ協奏曲第9番(K271)の第三楽章を思い起こさせます。3月9日に記した「メモリーズ」に「風になる」と瓜二つのフレーズがある理由は、いずれもつじあやのが作詞・作曲したためです(「メモリーズ」で伴奏に使われたウクレレは彼女のトレードマーク)。

毎日書き込むよう努めている本掲示板の場合、極度のネタ不足が歴然としており、同じような文章が執拗に繰り返されています。醜態をさらし続けているに等しいです。平日ともなると、こんな埒もないものを何百人もの方々が読んでいるという事実には驚かされます。いったいどこが面白い(あるいは為になる)のでしょうか。そろそろ間引きすべきですね。あっ、こういう文言も幾度か書いた覚えがある(汗)。

しかし、文章を書くのは頭脳を活性化し、自前の語彙を増やし、ボケ防止に役立つため、それなりに意義があります。書き込みは人のためならず —— 気を取り直して、今後もこの習慣を続行しましょう。

■ 2008年6月23日(月) 超現実主義者の弁

人間、体は一つしかないのですから、あれもこれもと手を出して気を散らし、一度しかない人生を浪費するのはMOTTAINAI。まして、私に残された時はそう長くないのです。「選択と集中」を図り、有意義な仕事に焦点を絞る必要があります。

教育については、これまで集中講義くらいなら渋々引き受けてきました。それ以外はちょっと応じかねます、というのが私の基本姿勢です。国立研の最大のadvantageは教育の義務がないことなんですよ。そのうまみを活かさない手はありません。

最近、放射光や中性子の産業利用がどうのこうの、と姦しいですが、これについても「あっしには、関わり合いのないことで」と、すっとぼけているに限ります。そんな手柄にならない雑事に首を突っ込んだところで、なんのメリットもありません。時間の損失、空しいだけです。もちろん、研究資金やビームタイムを提供してもらうという利益誘導型の技術指導依頼なら、話は別ですが。

念のためお断りしておきますが、教育や産業利用を軽んじている訳じゃ決してありませんよ。単に「職種」が違う、と述べているだけです。本来の責務でないことまで引き受けて自分自身に負荷を掛けたくないのです。

研究活動以外に目を転じれば、私宛に届くサポート依頼のメールに返答する(特定の個人に奉仕する)余裕などないという厳しい現実もあります。返事が届かないと憤っておられる方はご容赦ください。

そうでなくても、種々の(半強制的)依頼やら外部資金の獲得やら内部・外部評価への対応やらに追われ、研究者は多忙を極めています(落伍者は別として)。余計な雑務まで抱え込むと、徒に時が過ぎていくだけ。ろくな業績は得られません。半端仕事はドライに斬って捨てる方が、自分のため、ひいてはサラリーを払ってくれている納税者のためになると腹をくくるべきです。フリーソフトウェアの配付以外にも納税者に対する「お返し」を心がけているのですから、見上げたもんじゃありませんか。

■ 2008年6月24日(火) Windows Vistaのシステム用フォント

Mac OS X上で常用しているブラウザSafariの標準フォントをメイリオ(14ポイント)に変えてみました。結構いい感じです。飽きがくるまでこのままにしておきましょう。

■ 2008年6月25日(水) ケアレスミスの修正

「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」セミナー(5月19日)の参加者に対するサービスとして、昨日、講義に使ったPDFファイルを更新しました。84ページ中の化学式が間違っていました。

■ 2008年6月26日(木) 某誌の原稿締切までちょうど一ヶ月、

ようやく重い腰を上げました。スロースターターの私にしては着手が異例に早いですが、共著者がおり、ほかの記事よりページ数が多い上、別件も抱えているため、そろそろ取りかからないとヤバいです。

といっても、まだ一行も書いていません。下準備しているだけ。まあ、何もやらずに放置しているよりはましです。

図は全部色つきにします。いったい、いくらかかるんだろう。

■ 2008年6月27日(金) MEMの新アルゴリズム

についてあれこれ考えたり、ソースコードを調べたりしていたら、2日が過ぎてしまいました。

粉末回折データから電子・原子核密度分布に関する情報を最大限に引き出すには、MEM/リートベルト法はもとよりMPF法でもまだ不十分です。ではどうすればいいかまでは分かった(5月28日参照)のですが、アイデアを形にするには相当な労力と時間を要します。ところが、そのエネルギーも暇もない、ときている! 嗚呼…

いっそ、そのアイデアをここに書き込み、誰かにやってもらいましょうか。いや、あのB級映画のクライマックスからネタが割れちゃうかもしれない。

実際には、パターンフィッティングとMEM解析のソフトのソースコードを読み切って、双方がconsistentになるよう慎重に改造しなければならないので、第三者にはまず手出し不可能です。秋以降、悠然と取りかかりましょう。

■ 2008年6月28日(土) 最新ベータ版

秀丸エディタ v7.09β9がリリースされました。全体としては、正式版V7.08より安定だと思います。

■ 2008年6月29日(日) 固体酸化物燃料電池中の格子間酸化物イオンをみる

GaO4四面体の二次元ネットワークを含むMelilite型酸化物La1.54Sr0.46Ga3O7.27は比較的低い温度(600〜900℃)で0.02〜0.1 S/cmという高い酸化物イオン伝導度を呈します。英米の国際研究チームはNIST Center for Neutron Research(NCNR)で測定した粉末中性子回折データをMPF法で解析することにより格子間酸化物イオンの空間分布を明らかにしました:

MPF解析にはRIETAN-2000PRIMAが、干渉性散乱長密度分布の可視化にはVESTAが使われました。

この成果はNCNRのRecent Research Highlightsにも"Oxygen Ions for Fuel Cells Get Loose at Low(er) Temperatures"というタイトルで掲示されています。NCNRの研究者Greenは

The combination of neutron diffraction and maximum entropy analysis not only allowed us to determine the location of additional oxygen ions outside of the basic framework, but revealed a new mechanism for ion conduction.

とコメントしています。

時の過ぎるのは早いもので、NISTの招待でNCNRに滞在してから10年余り経ちました。それを最後に、欧米の中性子源へ自ら実験しに行くのは止め、ソフト開発に専念するようになりました。実験はもとより解析にもすっかり情熱を失ったのです。その後こつこつ製作してきた3点セットがNCNRのお役に立てて嬉しいです。恩返しができました。

一般に原子炉に設置されている角度分散型粉末回折装置はMEM解析の目的にはΔ2θが大きすぎることを、ここで指摘しておきます。リートベルト解析用には、じゃありませんよ。MEM解析用には、ということです。|Fo|は推定ブラッグ反射強度の数値積分で求めますから、Δ2θが0.05〜0.1゜では十分な計算精度が得らない上、σ(|Fo|)がかなり大きくなってしまいます。分解能と計数統計がともに向上するのが望ましいです。

上記のHighlightsには、「NCNR拡張計画の一環として新ガイドホールにmaterials diffractometerを建設する予定なので、この種の研究は重要だ。」と本音が語られています。原油の需給逼迫がエネルギー危機を引き起こしているため、エネルギー材料関連の予算は獲得しやすくなっているのでしょうね。

石油需要に供給が追いつかなくなる時期(ピークアウト)は10年以内というのが定説です。国際エネルギー機関(IEA)はそれが2013年と予測しています。ピークアウトに達した後には、どんな世界が現出するのでしょうか。個人的には、ガソリンを含む石油製品の価格、電気料金、枯渇しつつある資源の価格がさらに高騰し、原子炉の建設ラッシュとなり、世界全体の経済成長は鈍化するとみています。よほど画期的な技術革新が達成されない限り、それらの傾向に歯止めはかからないでしょう。原子力発電に対するアレルギーは依然として強いですが、原油価格の上昇が続けば、背に腹は代えられなくなるのは目に見えています。電気料金の値上げは放射光・中性子源用の大型加速器の運転コストの増大に直結する上、低炭素化への圧力は増す一方ですから、NISTのように古い原子炉の延命を図るのは、案外、時代の流れに合致したリスクヘッジなのかもしれません。

■ 2008年6月30日(月) Windows用FTPクライアント・ソフト

NextFTP4 v4.85がリリースされました。私は64ビット版を使っています。

6月26日に記したレビュー、Introductionを短時間で一気に書き上げました。切羽詰まれば、素早いです。これで一安心。

■ 2008年7月1日(火) Leopardのアップデート

Mac OS X 10.5.4 updateがリリースされました。iCal v3.0.4は振り替え休日(今年は5月6日)をきちんと表示してくれます。

昨日に引き続き、今日は結言を書き終えました。

■ 2008年7月2日(水) 少しは軽くなったかな?

Adobe Reader 9は前バージョンに比べ起動時間が約半分になったそうです。とりあえず、Vista機にインストール。

RIETAN-FP・VENUS統合支援環境から空間群のシンボルの一覧表Space_groups.xlsを開くのに使うOpenOffice.orgの最新版v2.4.1もついでにインストールしておきました(あのおバカソフトなんぞ買う気がしないもんで。テヘッ)。

■ 2008年7月3日(木) Award-Winning Software!

このたび、坂根弦太門馬綱一の両氏とともにDV-Xα研究協会 第7回功績賞を共同受賞することが決まりました。業績題目は「DV-Xα法計算支援環境教育用分子軌道計算システムeduDV三次元可視化システムVESTAの開発と普及活動」です。授賞式と受賞記念講演は第21回DV-Xα研究会 兼 5th International Workshop on DV-Xα(8月6〜8日、兵庫県立大学姫路書写キャンパス)の最終日に予定されています。

毛利元就の逸話「三本の矢」のように、三つの力作を取り揃え、しかもそれらの密接な連携によりDV-Xα電子状態計算を支援する仕組みを築き上げたからこそ、今回の栄誉に浴すことになったのです。功績賞という性格上、一本でも欠けていたら、まず無理でした。粉末回折と無関係な仕事で、しかもチームプレーを評価されて賞をいただくのは初めてなので、喜びもひとしおです。

DV-Xα法計算支援環境はRIETAN-FP・VENUS統合支援環境の弟分といったところです(弟の方が図体がでかいですが)。VESTAは両環境に共通する巨大コンポーネントであり、VENUSの仲間であるPRIMAALBAがそれぞれ出力する電子・原子核密度とパターソン関数を3D可視化するのに役立ちます。本賞の受賞によりRIETAN-FP・VENUS統合支援環境の効率性、有用性、存在意義も間接的に認知されたといって過言でありません。構造解析用支援環境の開発にとっても大きな励みになります。

振り返ってみると、DV-Xα法計算支援環境は昨年5月31日、VESTAは今年の3月27日に正式公開した、湯気の出ているような出来たてソフトです。VESTAに関する論文に至っては、先月、活字になったばかり。かくも早々と表彰されるのは異例中の異例と言えましょう。

なお、坂根弦太氏のブログ(7月3日)にも本件についての記述があります。私の主張を代弁していただいておりますので、ぜひお読みください。

■ 2008年7月4日(金) 昨日記した両支援環境の基盤

として活用している秀丸エディタの最新ベータ版v7.09β10がリリースされました。

いずれv7.09正式版が公開されたら、64ビット版秀丸エディタ用の設定ファイルを含むDV-Xα法計算支援環境をアップロードするつもりです。なお、64ビット版PRIMAは6 GBものメモリーを食い尽くす巨大な計算を難なくやってのけるとの報告を受けています。

■ 2008年7月5日(土) 賞味期限はありませんが

6月27日に書き込んだ根本的な改善は、多忙につき頓挫しています。もっとも、たとえRIETAN-FPとPRIMAの次期バージョンをリリースしたとしても、この新機能は解禁しません。もちろん然るべき時期が到来すれば、そうしますが。

株式投資では利益確定と損切りのタイミングがキーポイントとなります。研究も似たようなもんです。然るべき時期とは利益確定時にほかなりません。損切りは簡単、その機能を闇に葬るだけのことです。

■ 2008年7月6日(日) 二つのアップグレード

CD/DVDエミュレーション・ユーティリティDAEMON Tools Lite v4.12.4が公開されました。旧バージョンのアンインストールに失敗するときは、アンチウィルスのソフトを停止すれば大丈夫ですよ。

VESTAのGIU構築に利用しているC++ツールキットwxWidgetsがv2.8.8にバージョンアップされました。大分枯れてきたようです。

■ 2008年7月7日(月) 応用結晶学ソフトとしての性格を強めつつあるVESTA

VESTAの開発にあたっては、意識的に結晶化学的情報の出力と結晶学関連ユーティリティを増やしてきました。単なる3D可視化ソフトに留まることなく、結晶学の応用、ひいては科学教育にも役立つ高度なツールに成長させるためです。3D可視化だけで生き残れるほど甘くはありません。

その甲斐あって、エンターテインメント性と学術的価値を兼ね備えたソフトに育ってきた、と感じます。可視化を主目的とするソフトと一線を画すため、今後も結晶学的機能を一層充実させる差別化戦略を推し進めていきます。自分の土俵で勝負するのですから、思う存分、得意技を繰り出せます。

先日、ある先生から「VESTAはもう、あなたがた(注:門馬・泉)が考えている以上に巨大な存在になってるよ。」と指摘されました。確かにこの二三年、RIETAN-FPとVESTAを中心テーマとする講演会や講習会を開くたびに、どうしてこんなに人が集まるんだ、と訝るほど多くの参加者を引き寄せてくれました。華のあるソフトなんですね。現時点での公表は控えますが、つい最近も上記の発言を裏付けるエキサイティングな通知が届いたばかりです。VESTAの人気沸騰がDV-Xα研究協会功績賞の受賞(7月3日参照)に貢献したのは言うまでもありません。

すでにVESTAはVENUSシステムの中でも飛び抜けて規模の大きな超弩級ソフトとして君臨しています。将来的には、MEMエンジン(PRIMAALBA)とフーリエ・D合成プログラムも組み込むかもしれません。単にそれらの既成ソフト用のGUIを提供するだけで済み、子プロセスを呼び出すという仕組みを採用すれば重くはならないので、それもありかな、と思っています。

■ 2008年7月8日(火) 脱炭素化の極致

ただでさえ車に乗る機会が少ないところを、ガソリン価格の高騰と地球温暖化防止の掛け声にたじろぎ、ますます乗らなくなってきました。少しくらいの雨なら、雨具をまとってチャリを漕ぎますよ、こうなったら。ハイブリッド車もディーゼル車も軽自動車もへったくれもありません。資源小国では、化石燃料に頼らず人力で移動する人が一番偉い!

省エネは交通手段だけじゃありません。職務上排出するCO2が少ないという点にかけては、オイラの右に出るものはいないよなぁ。なにしろPCと液晶ディスプレイくらいしか使わないのですから、徹底してます。紙に印刷するのは稀なため、プリンタでさえ埃をかぶっています。実験や解析に割く時間は皆無。今やまったく興味を失いました。根っから「ものつくり」が好きなんです。

それでもビジネスが立派に成り立っているのはなぜでしょうか。時代の流れを的確に把握し、需要が旺盛で人気があるものをせっせと製造・販売してるからですよ。ソフトウェア・講演・講義・出版物・Webサイト、皆、当方の商品です。コスト-パフォーマンス、教育効果、地球環境に優しいことまで考慮すれば、ビームライン2・3本+数台の装置(2007年9月17日4月4日参照)に匹敵する波及効果があるといってはばかりません。大型施設にとっては「不都合」でしょうが「真実」です。

しかし、こういうビジネス・スタイルって、時代を先取りしてるって言えるんでしょうか。

■ 2008年7月9日(水) 田楽DLLのベータ版

田楽DLL v2.97βがアップロードされています。正規表現・あいまい検索のための関数を追加したとのこと。両支援環境に同梱するのは、正式版が出てからにしましょう。

■ 2008年7月10日(木) いかがしたものか

11月に13年目の車検を控えているシビック、どうしましょうかねぇ。先日、錆びたワイパーとブレーキオイルを交換したばかりだし、調子はけっして悪くありませんが、車検の費用が結構かかりそうな予感がします。

昨今は廃車でも資源ゴミとして売れるんですね。いっそのこと、そうしましょうか。しかし、零落れ感が漂うのが嫌だなぁ。車を捨てないのはショボくれないため、勤勉に働いているのはボケないため、当掲示板に毎日書き込んでるのは"あの人は今"状態にならないためってことで、どうでしょうか。

ところで、本日の13時から約6時間にわたり当Webサイトにアクセスできなくなりました。すべてはアップルの責任です。といっても、仕事に差し支えはありませんが。

MobileMeは安定性に欠けている上、iDiskにFTPでファイル転送できないので、お勧めできません。アップル提供のサービスにしては出来が悪すぎます。まじめに取り組む気がないんじゃないかな。それでも引っ越そうとしないのは、URLが変わるのが嫌だからです。

■ 2008年7月11日(金) 公開一周年の記念品

VESTAのベータ版v1.0bを一般公開してから早一年、本日、そのメジャーチェンジ版

VESTA v2.0

が満を持して登場しました。文句なしの会心作です。

バージョン番号は、だてに上がってませんよ。描画エンジンの根幹部分を一新しました。一部の機能には「ここまでやるのか!」という感嘆の声が上がるに違いありません。J. Appl. Crystallogr.掲載の論文に記載のない追加機能について、明日以降、順次解説していきます。

■ 2008年7月12日(土) 超絶技巧の極み

v2.0ではなんと非対称単位内の各サイトの多重度+Wyckoff文字とサイト対称性を教えてくれるようになりました。

を実行するたびに、テキスト・エリアに分率座標や占有率などとともに表示されるため、とりわけ目立つ秀逸な機能です。最後の結晶データの標準化については、明日説明します。

特筆大書すべきなのは、どの軸設定でも、言い換えれば非標準の軸設定でも、これらの結晶学的情報が得られることです。STRUCTURE TIDY、ひいてはRIETAN-FPは標準の軸設定限定で多重度+Wyckoff文字を出力するものの、サイト対称性までは与えません。

門馬綱一君は、過剰サービスとも言える本機能の実装を100行足らずのコードでやってのけました。最初にそれを聞いたときは度肝を抜かれました。100行足らず —— アンビリバボー!。何ヶ月も費やしてここまで漕ぎ着けたそうです。

どういうアルゴリズムを考案したのかはトップ・シークレットです。今後、この手のソフトでは「あって当たり前」の出力データになるでしょうが、これらの情報の出力を実現しようとする方は、ご自身で知恵を絞ってください。模倣者の能力を判定する恰好の試験問題(時間無制限)となりますよ、このプログラミングは。

■ 2008年7月13日(日) 偉大な先達の遺産を継承

VESTA v2.0では、Utilitiesメニューの下に

という二つの項目が追加されました。10個の項目が勢揃いしたUtilitiesメニューは壮観です。VESTAの学術的値打ちが一層高まりました。それら以外に配位多面体関連の諸物理量も計算できること(3月7日参照)もお忘れなく。

これら二つのユーティリティは、いずれもSTRUCTURE TIDY(泉改造版)を呼び出すことにより起動します。STRUCTURE TIDYについては、2006年1月15日2007年1月17日の記事と次のオリジナル論文をお読みください:

[Standardization of Crystal Data]実行後に、格子定数や原子座標は標準化された値に置き換えられ、同時にそれらがテキスト・エリアに表示されます。異方性原子変位パラメーターβijあるいはUijはVESTA内部で変換しています。

STRUCTURE TIDYはRIETAN-FPにも実装済みですが、*.ins中の格子定数や原子座標を標準化された値に置換してくれるわけでなく、今一実用的でありません。VESTAはRIETAN-FPの入力ファイル*.insを出力できますから、こちらを使う方がよほど便利です。

Unit cell reductionのアルゴリズムはDelaunayーIto法とNiggli法の二つに大別されます:

もちろんSTRUCTURE TIDYはNiggli法を採用しています。Reductionが成功した場合に限り、計算結果をテキスト・エリアに出力します。Reductionが不要なときの処置に不具合がありますが、次のバージョンで修正いたします。

■ 2008年7月14日(月) 劇的な前進をもたらした新OpenGL利用技術

今日はVESTAのバージョン番号が1.4.4から2.0へと跳ね上がった理由を述べましょう。v2.0の開発にあたっては、OpenGLによる結晶構造モデル中のオブジェクト(原子、結合、配位多面体など)の処理方式を抜本的に改め、巨大構造モデルを扱う際のメモリー使用量を激減させ、スピード、スケーラビリティ、安定性を飛躍的に高めました。見た目に変わりはありませんが、構造モデル描画エンジンは全とっ替えしました。原子数、stack、sliceを非常に大きくしても動作がキビキビしていることを確認してください。バージョンアップの結果、重くなるどころか、ぐっと軽くなったというのですから、天晴れではありませんか。

語るに落ちるという事態に陥っては困るので、描画エンジンの動作原理については沈黙を守ります。門外不出の企業秘密ですから。本テクノロジーの導入はVICS・VENS→VESTAの進化過程における最大の改良であり、VESTAがVICSの古い殻から完全に脱皮したことを意味するとだけ申し添えておきます。


DV-Xα法計算支援環境から起動できるようにしている構造データ変換ユーティリティOpenBabelがv2.2.0にバージョンアップしました。実行形式ファイルの名前がOBGUI.exeに変更されたため、同支援環境に含まれる秀丸マクロOpenBabel.macを改訂し、配付用アーカイブファイルDV-Xa.zipを更新しました。

■ 2008年7月15日(火) ちょっとした改善点

VESTA v2.0では、5月20日に記した2Dデータファイルの出力も可能になりました。別なグラフ作成ソフトで2Dマップなどを作成するとき役に立ちます。単一化学種によってフルに占有されていないサイトは、占有率に応じて円グラフ状に表現されます。固溶サイトや欠陥サイトに関する情報量が増えました。また、非化学量論的化学組成の化合物における電荷分布も計算できるようにしました。

■ 2008年7月16日(水) 熱振動楕円体を描く際の小技

VESTAは単結晶X線解析で得られた構造モデル、電子密度、差電子密度、パターソン関数などを表示するのにも、もちろん役立ちます。Shelxが出力した有機化合物や錯体のCIFには、通常、水素サイト以外に異方性原子変位パラメーターUij、水素サイトに等方性原子変位パラメーターUisoが記録されます。それらの結晶構造を熱振動楕円体として表現する際には、便宜上、水素原子を半径一定の小さい球として描くことが多いです。

秀丸エディタなどで、正規表現を用いてCIF中のUiso

0-9¥.]+ +Uiso → 0.01 Uiso

というように適当な値(この場合、0.01)に全置換してからVESTAで読み込ませると、水素原子のUisoをその値に固定して球表示してくれます(6月11日参照)。まるで呪文のように見えるかもしれませんが、単に"Uiso"の直前の数値を"0.01"に置換するだけです。

VESTA v2.0では、Structureダイアログ・ボックスでUisoだけが入力された場合、相当するUijを再計算しないようになりました。したがって、全水素サイトのUisoを共通の値に変更すれば、同じことが実現できます。水素サイトの数が多いとやや面倒ですが、エディタを使わずに済むという利点があります。

■ 2008年7月17日(木) 準備中の英文マニュアルについて

残念ながら、v2.0に対応したVESTAのマニュアルへの補筆は滞っています。われわれは本業を優先せざるを得ないのです。当面、7月12〜16日の書き込みで勘弁してください。

趣味の産物たる無償ソフトは、基本的になんでもありの世界。どんな使用許諾条件だろうがサポート抜きだろうがバグ満載だろうが、好き勝手に振る舞えます。マニュアルとソフトの不一致という、いい加減なことも、もちろんOK。有償ソフトだったら、それでは済まないでしょうが。

VESTAのマニュアルはやがて150ページの壁を突破するでしょう。これほど充実した英文マニュアルを具備した国産科学技術フリーソフトウェアは、寡聞にして知りません。マニュアル執筆にあたっては、長期間にわたってつらい作業を強いられましたが、この厚みにまで達してしまえば良い思い出です。いずれ印刷・製本して、研究集会の折などに配付しましょう。

■ 2008年7月18日(金) VESTAの目指すもの

VESTA v2.0の紹介は本日でお終いです。「掲示板の文章の方がv2.0そのものよりも迫力あるんじゃないですか」というツッコミも耳に入りましたが、虚心坦懐にありのままを綴っただけで、誇張も嘘もハッタリも一切入っておりません。一応、門馬君にも内容をチェックしてもらってます。論より証拠、v2.0を使い込んでいただけば、そのパフォーマンスと志の高さは必ずや実感できます。

VESTAは応用結晶学ソフト的色彩を濃くしつつあり、アカデミックな雰囲気を漂わせながら、単なる可視化ソフトを上から目線で見下しています。あんたら低レベルだよ、ただ視覚に訴えてるだけじゃねーの、という態度でね。

才色兼備 —— これがVESTAの強味です。VESTAは学術的価値とエンターテインメント性を兼ね備えた3D可視化・応用結晶学ソフトとして長く輝きを放ち続け、多くの人々を惹きつけて止まないでしょう。

将来、VESTAは一部の例外(たとえば大学教育)を除き有償化するかもしれません。ここまで凄いと、このまま悪平等に無償配付し続けていいんだろうか、という疑問がどうしても湧いてきます。官業ならぬ「個人的趣味」による民業圧迫になりかねません。それに、抜群の技術力をもつ我々が「趣味と実益」どころか、無報酬の膨大な労力を費やし、なけなしの私的マネーまでつぎ込んで公共的ソフトウェア資産を開発しているという現状は、あまりにも不条理です。生身の人間である以上、霞を食べて生きていく訳にはいきません。魅惑的な新機能を追加投入するとともに、VEND相当部分の動作をぐ〜んと軽快にした後、教育以外の目的に使用する場合は有償とする可能性がある、ということを承知の上、お使いください。有償化に踏み切ったとき「いきなりかい!」と怒鳴られないよう、釘をさして置きます。

■ 2008年7月19日(土) アパタイト型酸化物におけるイオン伝導の機構

東京工業大学大学院総合理工学研究科の八島正知准教授らとの共同研究の成果、すなわちLa9.69(Si5.7Mg0.3)O26.24における酸化物イオンの拡散経路に関する論文がChem. Mater.に掲載されることが決まりました。HREMESで測定した粉末中性子回折データのMPF解析にはRIETAN-FPとPRIMA、得られた干渉性散乱径密度の2D・3D可視化にはVESTAが使われました。また最近、電気新聞にその記事が掲載されました。

詳しくは八島研のホームページ中のお知らせ(2008年7月)をお読みください。プレスリリースもそこで閲覧できます。

■ 2008年7月20日(日) 二つのWindows用ユーティリティ

最近、UnhotplugFastCopyを使い始めました。後者は相当な力作です。こういう小物を活用することで、Windowsの出来の悪さが引き起こすストレスが多少は抑制されます。

■ 2008年7月21日(月) グローバル大競争の果て

「下向きの平準化」、「最下位争い」の結果として、過労死(正社員)か貧困(非正規雇用)かという労働状況が現出しました。小林美希著「ルポ "正社員"の若者たち」(岩波)は就職氷河期に正社員として社会人のスタートを切った若者たちを待ち受けていた厳しい現実を活写しています。

■ 2008年7月22日(火) 擱筆

3連休の間も奮闘し、このところかかり切りになっていた某学会誌用のレビュー(共著者一名)を書き終えました。残るは微修正と長さ(刷り上がり8ページ)の調整のみ。

講演・講義や執筆のたびに、比較的短い時間(20分以下)話したり、枚数の少ない原稿を書くのが苦手だな、と感じます。言い換えれば、饒舌・冗長が特徴なのです。豊富な語彙が裏目に出て、話や文章がとめどもなくオーバーフローし、脱線し、上滑りしているといった感じ。すっきり簡潔にまとめるよう自己鍛錬するのを怠ってきたなれの果てが、これです。今更どうしようもありません。

執筆に焦点を絞りましょう。一般に理工系の人たちの書く文章は劣悪と相場が決まっています。過去に某巨大学会の学会誌の編集委員を3年ほど務め、毎月かなりの数の査読をやらされていたとき、つくづくそう感じました。もちろんピンからキリまでありますが、概して嘆かわしいレベルでした。

英文じゃありませんよ。母国語でさえ、まともに使いこなせない人が多いのです。「劣悪」と断ずる力があるのだから、自分の作文能力は、相対的にはまずまずのレベルなんでしょうね。

大学の教員にならなくてよかった。毎年、やる気のない学生の卒論やら修論やらを添削する(あるいは代筆する)のはおぞましい限りです。

英文ともなると、それどころの騒ぎではありません。はるかに悲惨。しかし「冗長」にならぬよう、この辺で止めておきます。

■ 2008年7月23日(水) ボニョやポケモンはどうでもいいですが、

近所のシネコンでは「丘を越えて」も「百万円と苦虫女」も上映してくれません。といって、東京までわざわざ観に行く気もしないよなぁ。

半年後に「片腕マシンガール」も合わせてレンタルし、自宅でB級映画まつりを開きましょう。

■ 2008年7月24日(木) Windows用最速コピー・削除ツール

7月20日に紹介したFastCopyMacユーティリティ(正確には、下方のWindowsユーティリティ)に追加しました。まめFile5(v5.46.0.3β5がリリースされました)と併用すると、シェル拡張機能が使えないのが残念です。

■ 2008年7月25日(金) 看板の重要性

7月22日に記した原稿、今日投稿しました。これほど細心の注意を払って執筆したのは、近年稀なことです。

昨晩は、タイトルを決めるのに一苦労しました。「〜の概要」という仮題が付いていたのですが、そんな芸のない手抜きタイトルでお茶を濁したら、沽券に関わります。共著者と、ああでもない、こうでもないと議論を重ねた結果、まあそう悪くないな、というヤツに落ち着きました。

さあ、次は●●●(匿名希望)の番だな。

■ 2008年7月26日(土) 関東一周、ローカル線の旅

鉄道のルートは以下の通り:

つくば → 流山おおたかの森 → 大宮 → 高崎 → 前橋 → 小山 → 下館 → 守谷 → つくば

ただし、大宮ー高崎間は新幹線に乗りました。委細は省略しますが、交通費全額支給、謝礼つきのお気楽日帰り旅行でした。

下館ー守谷間は関東鉄道常総線を利用しましたが、1両編成の気動車だったのには驚かされました。そういうのに乗った記憶はないなぁ。おまけに今どきPASMOもSuicaも使えない!ちょっぴり寂しかったのは、桃子とイチゴが語り合った、騰波ノ江のレトロな駅舎が跡形もなくなり、新しい建物を建造中だったことです。

■ 2008年7月27日(日) 6年かけてここまで到達

粉末X線解析の実際」(朝倉)の第9刷が出ました。理工学専門書でそこまで増刷を重ねたのは快挙だと思います。「粉末X線解析の実際」講習会のテキストをもととして2002年に刊行された書籍ですが、翌年以降も毎年増刷を重ね、望外のロングセラーとなっています。過去に出版された結晶学関連の日本語専門書では、発行部数がもっとも多いのではないでしょうか。

本書がここまで売れた主な理由は三つあります:

傍目にはそう見えないでしょうが、私はものを書いたり、講演・講習会を開いたりするのに、さほど熱心でありません。そのような機会がかなり多いのは事実ですが、あくまで他発的です。人目につくこと、人前に立つことを尻込みするのは、シャイで非社交的な性格から来ています。「粉末X線解析の実際」の上梓にあたっては、もう一人の編著者である中井 泉氏が何から何までお膳立てをしてくださいました。同書をテキストとした講習会も同様です。激務の合間を縫って、そこまでX線回折の普及と啓蒙に尽力される熱意とエネルギーと実行力には頭が下がります。

■ 2008年7月28日(月) レジストリの大掃除

Windows機を長く使っているとレジストリにゴミがたまって来るそうです。Wise Registry Cleaner 3 Freeでレジストリをスキャンしてみたところ、案の定、大量のゴミが検出されました。安全に削除可能なゴミだけを削除しておきました。

しかし、重要な部屋のゴミをまったく片付けようとせず、サボりまくっているOSなんて、みっともない限りです。

■ 2008年7月29日(火) *.prfが存在しない場合に対応

RIETAN-FP・VESTA統合支援環境に含まれる秀丸マクロPRIMA.macの改良を試みました。カレント・フォルダにPRIMAの入力ファイル*.prfが存在しない場合は、その旨のメッセージを表示し、雛形ファイルtemplate.prfを*.prfとしてコピーし、*.prfの冒頭に書かれているファイル名数個のベースネームをカレントファイルと同じものに置換し、上書き保存します。カレントファイルに変わった*.prfを手直しした後、PRIMAボタンを再度クリックしてPRIMAを実行します。

もちろん、あらかじめtemplate.prfを自分の解析向きに書き換えておけば、*.prfの編集が楽になります。

いつになるやら確約できませんが、新PRIMA.macはRIETAN-FPの次期バージョンとともに配付するつもりです。

8 GBのメモリーを搭載したPCにおける64ビット・トリオ(Vista+秀丸エディタ+PRIMA)の威力を目の当たりにし、大いに喜びはしたものの、PRIMA実行時のコマンドプロンプトが32ビット版だったのには落胆しました。そこで、PRIMAを64ビット版コマンドプロンプトの下で動かす方法を模索しました。これが意外と難しく、散々手こずった末、なんとかそのノウハウを会得しました。RIMA実行中にタスクマネージャで走行中のプロセスを眺めると、cmd.exeに"*32"が付いていないことが確認できます。

しかし、UNIX互換の標準出力分岐コマンドtee.exeの64ビット版がないのでは片手落ちのため、当該テクニックは当面お蔵入りです。GnuWin64がリリースされるまで待つことにしましょう。

■ 2008年7月30日(水) iPod昇天

iPod nanoが突然死しました。一年足らずの短い命でした。合掌。

iPhone 3Gには事実上iPodが入っていますが、契約期間が1年余り残っているドコモケータイを解約してまで乗り換えたくありません。契約期間が終了するか、次世代iPod touchが発売になるまで待つことにしましょう。

■ 2008年7月31日(木) 八島氏の受賞

東京工業大学大学院総合理工学研究科の八島正知准教授が「高温粉末構造解析によるイオン伝導機構の解明」の業績により平成20年度日本結晶学会賞学術賞を受賞されました。おめでとうございます。今後の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

八島氏はRIETAN-2000/FPとVENUSPRIMAVESTA)のパワーユーザーであり、共同研究者(2月6日7月19日参照)でもあります。2003年日本セラミックス協会年会におけるセラミストのためのパソコン講座ミニシンポジウム「三次元可視化技術のインパクト」で講演していただいたことからもわかるように、数年前から粉末中性子回折によるイオン伝導体中の可動化学種の不規則分布に関する研究に精力的に取り組まれ、多くの注目すべき成果を挙げてこられました。最近は「粉末X線解析の実際」講習会(7月27日参照)の講師としてもご協力いただいております。

イオン伝導体における可動化学種の不規則分布は、実質的に単位胞内の電子・原子核密度で結晶構造を表現するMPF解析にうってつけの研究テーマです。VESTAによる可視化が複雑な密度分布の三次元的理解を助け、デモンストレーション効果を発揮するのは言うまでもありません。我々の開発したソフトが八島氏の研究のお役に立てて光栄の至りです。

■ 2008年8月1日(金) iPod蘇生

iPod nanoが生き返りました! 電池残量ほぼゼロの状態で液晶画面が表示されたため、ただちにiMacに繋いで充電。今は何事もなかったかのように完動しています。

引き出しに大切にしまっておいたので、「アッシャー家の崩壊」のような惨劇にならずに済みましたが、死人が生き返ったのには本当にびっくりしました。

「びっくりした」という文言で思い出しましたが、2月16日に記した随想(巻頭言)のタイトルが決まりました。曰く「びっくりしたい!」。7月26日の小旅行の間に思いついたのです。まあ、こういう奇を衒ったタイトルを実際に付ける人は私くらいしかいないでしょう(笑)。

随想執筆の依頼が来るようになったら、もう先が短いってことですね。iPodと違って、あの世に逝ったら、二度と戻ってきませんよ、私は。戻ってきてほしいと願う人もいないでしょう。そう考えたら、背筋が寒くなりました。

■ 2008年8月2日(土) 公式版elmix

RWTH Aachen大学(ドイツ)が配付する電子顕微鏡関連データ解析・教育用のLinux LiveCD、elmiX4月11日参照)の正式版2008.0が6月末にリリースされていたことに気づきました。USBメモリー版も利用できるそうです。VESTAが唯一の国産ソフトとして収録されています。

■ 2008年8月3日(日) お待たせしました

金・土・日曜日はVESTAのマニュアルをv2.0に対応させるのに大童でした。クソ暑い中、こういう辛気くさいことをシコシコやっていると、本当に消耗します。

ともあれ、明日にはリリースできるでしょう。

■ 2008年8月4日(月) 支援環境へのダイアログボックスの導入

ご存じのようにRIETAN-FP・VENUS統合支援環境とDV-Xα法計算支援環境は多数の秀丸マクロからなっています。両者の評判は非常に良いですが、作者自身はまだ発展途上品とみなしています。とくに気に入らないのが、ボタンをクリックしたり、メニューを選んだりした後、コマンドプロンプトの窓が開き、そこで入力を求められることです。興ざめですよねぇ、こういう時代遅れの操作を強制されるのは。

やはり、リストボックス、チェックボタン、ラジオボタン、プッシュボタン、エディット・コントロールを配置したダイアログボックスでの入力くらいはなんとかしないといけません。

私は年の割に新しもの好きで、未知のテクニックを習得したいという意欲が強いです。そこで秀丸エディタ上でダイアログボックスを出現させるにはどうすればいいのかを、今日からぼちぼち調べてみようと思い立ちました。三通りの方法がありますが、手始めにサイトー企画純正のマクロサーバからトライしました。これが意外とやさしく、1時間後には、三つのチェックボックスと一つのエディットコントロールを備えたダイアログボックスで入力したデータをテキストファイルに書き出すというサンプルが完成していました。

両環境を構築し始めたころ、ダイアログボックスの作成がこれほど簡単だとわかっていたら、よかったんだけどなぁ。しかし、それはVICS・VENDのGUIはwxWidgetsで構築すべきだった、とグチるのにいささか似ています。過去を振り返るよりは、未来志向で突っ走ることにしましょう。

予定通り、本日、VESTAのマニュアルをアップロードしました。145ページにまで膨張しています。

■ 2008年8月5日(火) (DAIGOの口調で)こりゃ、ご老体のやることじゃないっすよ

秀丸マクロの習作を実行することにより生成したダイアログボックスをここに示します。5通りの入力からなっています。マクロサーバと連携したDDE(Dynamic Data Exchange)クライアント機能を利用して作成しました。

この小さなダイアログボックスを作り、テキストファイルに入力データを出力するには、約120行の秀丸マクロを書かねばなりませんでした。けっして難しくはないのですが、細かな単純作業が延々と続きます。これぞまさしく"労働"といった感じ。VICS・VENDVESTAのダイアログボックスをそれぞれ作成したRubenと門馬君が味わった労苦がよくわかりました。もっともwxWidgetsの場合は、GUIを使ってダイアログボックスを構築するツールが提供されているのでしょうが。

時間に余裕ができたら、この雛形マクロを使って、PRIMAの入力ファイル*.prfを作成するためのダイアログボックスを構築し、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境中の秀丸マクロPRIMA.macに導入するつもりです。

■ 2008年8月6日(水) もうすっかり慣れました

昨日は少々泣き言を口にしましたが、己のcapacityを見くびりすぎていたようです。実際にPRIMA用のダイアログボックスを製作してみたところ、さほど時間を費やすこともなく、あっさり完成しちゃいました。要するに、マクロサーバを利用したダイアログボックス構築作業に慣れるには、一日あれば十分だったということです。

これがその試作品です。ラジオボタンとエディットコントロールだけで事が済みました。

今週はこれから第21回DV-Xα研究会に参加するため出張するので、PRIMA.macの作成は中断しますが、ここまで来れば、もう終わったも同然です。来週の月曜には、PRIMA.macの新バージョンを完成させます。今やPRIMAはMEM解析のためのキラー・アプリケーションとして広く使われておりますので、その使い勝手を大幅に改善する新マクロの出現は大いに歓迎されることでしょう。

7月3日に述べた通り、第21回DV-Xα研究会では坂根、門馬の両氏とともに功績賞を授与されます。しかしながら、同賞に値するとの評価を受けたDV-Xα法計算支援環境VESTAは今後も地道にアップグレードしていく必要があります。DV-Xα法計算支援環境用のダイアログボックスは雛形マクロさえあれば容易に構築できるので、誰かがやってくれると助かるんだけどなぁ(色々忙しいもんで)。

■ 2008年8月7日(木) なんで今ごろ

Yahooニュースで、ABBA(アバ)のアルバム「ABBAゴールド/グレーテストヒット」が英国の週間ヒットチャートで再び1位になったと知り、少なからず驚きました。前にも掲示板に書き込んだ覚えがありますが、私はこのアルバムをもっています。とくに好きだったのが「Super Trouper」でした。マドンナの代表曲「ハング・アップ」に「Gimme! Gimme! Gimme!」がサンプリングされているのも、すぐ気づきましたよ。

しかし、もうレトロすぎて聴く気が起きないなぁ。

■ 2008年8月8日(金) 額に入れて飾る値打ちのある賞状

本日午前、DV-Xα研究協会第7回功績賞を森永正彦会長から授与されました。坂根、門馬、泉のそれぞれに賞状と立派な盾が贈られました。

賞状用の額縁までいただきましたが、あまりの大きさにおじけづき、宅急便で自宅に送るよう依頼しました。筒くらいしかもらった覚えがないなぁ、過去の褒賞では。DV-Xα研究協会の気前の良さに感激しました。

なお、坂根弦太氏のブログ(8月8日)に今回の受賞に関する感動的な記事がありますので、ぜひお読みください。

DV-Xα法計算支援環境eduDVを含む)やVESTAは相乗効果の産物です。一人では為し遂げられないことを共同で実現する、一人じゃないから頑張れる。あっ、これは小椋久美子選手の言だった。

午後は書寫山圓教寺へのエキスカーションに出かけました。私がこの類の行事に参加するのは珍しいです。これまでは、たまった仕事が気になり、スキップするのが常でした。心境の変化でしょうか。

■ 2008年8月9日(土) 4ヶ月ぶりの正式版リリース

秀丸エディタがv7.09にバージョンアップされました。これで晴れて正式な64ビット版が使えるようになりました。

■ 2008年8月10日(日) 谷は五輪出場を自主的に辞退すべきでした

昨日の谷亮子が敗れた試合、谷はまともに組み合おうとしませんでした。やる気を失った中高年の管理職がダラダラ仕事してるような感じ。あんな消極的でメリハリのない勝負しかできないんだったら、全日本選抜体重別選手権で谷を破った山崎絵美に道を譲ってやってほしかった。

■ 2008年8月11日(月) 会心作

今日は私の誕生日です。それを記念して、ダイアログボックスでの入力をサポートしたPRIMA実行用マクロPRIMA.mac(8月5日6日参照)を作成しました。とりたてて手こずることもなく、あっさり完成しました。

PRIMA用入力ファイル*.prfがカレントフォルダに存在しない場合に限り、*.prf作成用ダイアログボックスが現れます。入力が終わると*.prfが出力され、秀丸エディタで開かれます。必要なら、一部修正し保存します。もう一度PRIMAボタンを押せば、その*.prfを入力ファイルとするMEM解析が始まります。

このテクニックを応用すれば、コマンドプロンプト窓でのデータ入力を一掃できます。素晴らしいじゃありませんか。

今回のPRIMA.mac更新を終え、好きなこと、目新しいことに取り組んでいるときの集中力と頭の回転はまだ衰えていないな、と改めて感じました。普段のダルな自分とは別人になります。言い換えれば、日頃あれこれ手抜きしている分だけ、肝心な物事にフォーカスできるという寸法です。

■ 2008年8月12日(火) 「掲示板のネタに困ったら…」というタイトルのメールによれば、

名古屋工業大学の岩田知之君(D2)が第62回セメント技術大会で優秀講演者賞を受賞したそうです。おめでとうございます。ここのところ受賞がらみの話題が多く食傷気味ですが、そんなことは気にしておられません。一も二もなく、掲示板のネタに使わせていただきます。

その研究成果(Ca12Al14O32Cl2)の要約は以下の通りです:

Ca12Al14O32Cl2の結晶構造と塩素の固定化メカニズムについて研究した。リートベルト法で構造を精密化し、MPF法によって構造モデルのバイアスをできるだけ取り除いた電子密度分布を求めることにより、構造モデルの妥当性を検証した。最終的に得られた構造パラメーターからDV-Xα法により電子状態を計算し、Ca-Cl結合の共有結合性の高さを確認し、塩素の固定化メカニズムを明らかにした。DV-Xα法の計算結果をMPF法で実験的に決定した電子密度分布と比較し、その妥当性を示した。

2007年12月24日に岩田君が昨年2回も受賞したと書き込みましたが、早くも3回目ですか。凄い勢いですね。

RIETAN-FP、PRIMAVESTAに加え、DV-Xα法計算支援環境も使用したと聞き、大いに勇気づけられました。賞の獲得に貢献しうるソフト —— そう言い切って構わないでしょう。自分ばかりが賞を取ろうとするんじゃなくて、人様の受賞を助けるのも私の指命と心得ています。

今や、古典的な構造精密化であるリートベルト解析だけで高い評価が得られる時代ではありません。放射光や中性子を使ったところで同じこと。なにしろ、リートベルト法が誕生したのは40年近く前なのですから。MPF法で電子密度分布を決定し、DV-Xα法で電子状態を計算し、さらにVESTAで出力した美しい図を提示したからこそ、きらりと光って見えたたのだと思います。

■ 2008年8月13日(水) また受賞ネタで恐縮ですが

今日は日鐵セメントの佐川孝広氏から、「X線回折リートベルト法による高炉セメントの水和反応解析」に関する研究が評価され、平成20年日本コンクリート工学協会賞(奨励賞)を受賞したという知らせが届きました。おめでとうございます。

佐川氏は非晶質であるスラグを結晶化させ、未水和の高炉セメント中のスラグ混合率や高炉セメント硬化体のスラグ反応率を高い精度で定量化し、高炉セメントの水和反応のメカニズムを解明するアプローチを実例により提示しました。北海道大学大学院博士課程在学時の研究成果であり、リートベルト解析や多相成分の定量分析にはRIETAN-2000が使われました。

私は常に波及効果を念頭に置いて研究計画を立てています。パルス中性子のような隙間(ニッチ)市場へのコミットメントを当面回避し、実験室系X線・放射光・中性子回折データのいずれも解析できるソフトやVESTAのように結晶構造や電子状態の研究だけでなく科学教育にも役立つソフトを開発しているのはそのためです。われわれが開発したソフトがセメント(8月12日参照)やコンクリートのような建築・構造材料の分野でも活躍していることは喜ばしい限りです。教育用に使われるのは、ユーザー数が何桁も増えることにつながるので、大歓迎です。

今後も、選択と集中の姿勢を保ち続けます。ただし、隙間を無視する訳ではありませんよ。隙間風が吹きますからね。今のところ需要が盛り上がっておらず(1月7日参照)、スポンサーがつかず、不要不急なものは後回しにするということです。手つかずのまま"The End"を迎える可能性すらあります。

■ 2008年8月14日(木) 科学教育へのVESTAの応用例

昨日、科学教育におけるVESTAの利用について言及したので、実例を一つ紹介します。奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科の西田貴司氏は学生実習でVESTAをお使いになっています。実習用テキストも公開されています。

VESTAを実際に試用し、VESTAに関する論文を読み、150ページ近い英文マニュアルのページをめくってみてください。これが一学生の個人的趣味の産物だということが信じられますか? 既成ソフト(VICS・VEND)のソースコードや私のサポートがあったにせよ、これだけの規模とパフォーマンスのソフトを世に送り出したのは、天晴れと言うしかありません。

博士課程学生や任期付き研究者はあくせくポイント(とくに論文数)を稼ぐのに必死で、彼らが大規模な科学技術計算ソフトを作成するのは、ますます困難となっています。素晴らしいソフトを開発したならば、立派な業績(柔道で言えば、一本勝ち)と見なすべきではないでしょうか。さもなければ、若い世代がユーティリティのような断片的ソフトしか作ろうとしなくなるのは目に見えています。

というか、我が国ではごく一部の例外を除き、すでにそうなっているなぁ。定評あるソフトを使って論文を書く方が、どう見ても手っ取り早く、楽ちんですから。情けないことに、活発なのは既成ソフトのノウハウに関する情報交換ばかり、という惨状を呈しています。

■ 2008年8月15日(金) ドメスティックなソフトにあらず

VESTAのマニュアルが更新されました。計147ページ、引用文献103にまで増えました。URL、文献はもとより、図・表・章・節・ページに至るまでリンク張りまくりのPDFファイル(25 MB)です。

ボリュームといい詳細な記述といい、RIETAN-FPとVESTAのマニュアルは双璧をなしています。国際的に通用するソフトとなってほしいという願いを込め、LaTeX+BibTeX+MakeIndexを駆使して作成しました。英文添削を外注したら、いくら支払わなければわからないほど長大なので、いずれも原文のままに留めています。内容と英文に間違いや分かりにくい箇所がありましたら、ご指摘いただければ幸甚に存じます。

■ 2008年8月16日(土) ついにBlu-rayディスクドライブを購入

発売されたばかりの外付けドライブ、アイ・オー・データ機器BRD-UXP8はWindows機およびMacに対応とのことなので、即発注しました。Mac用のソフトは付属していませんが、Toast 9 Titaniumがあるから大丈夫です。

田楽DLL v2.97がリリースされました。

■ 2008年8月17日(日) VESTAの国際的認知の顕れ

第21回IUCr国際会議(大阪)まで後1週間となりました。私がchairmanを務めるmicrosymposium 3、"New algorithms for single crystal and powder diffraction"(8月24日午前)の講演者はこのプログラムに記載されています。Co-chairmanのR. Cooper博士と協議の上、決定した招待講演者3人は以下の通り:

なお、同国際会議において、IUCr発行の雑誌などをプロモートするためのブースで、VESTAに関する論文

中の図2, 5, 7から一つないし三つを素材に使った絵はがきを配布したいという夢のような申し出がありました(7月7日参照)。もちろん承諾。これが実現したら名誉極まりない快挙です。しかし未だに半信半疑。しかと、この目で見届けるまでは信じないことにします。

■ 2008年8月18日(月) DV-Xα法計算支援環境へのダイアログボックスの導入

坂根弦太氏にダイアログボックスを使用するマクロの雛形をお送りし、eduDVなどでもダイアログボックス中でデータを入力するよう改良していただくことにしました。とくに難しいことではありません。いずれコマンドプロンプト窓での入力は一掃されるでしょう。

■ 2008年8月19日(火) PRIMA実行用マクロPRIMA.macの改良

PRIMA.macを改訂しました。64ビット版PRIMAが環境変数PRIMAで指定したフォルダ中に存在する場合は、そちらを実行するようにしました。さらに、画面書き換えの停止により*.prf中の文字列置換を劇的に高速化しました。

前のバージョンで導入したダイアログボックスによるデータ入力(8月11日参照)では、トラブルはまったく起きていません。あらかじめ雛形ファイルを自分の解析向きにカスタマイズしておくと、一層快適に使えます。

いずれ、PRIMAが出力した3D密度データファイル*.priあるいは*.denをVESTAで自動的に開き、電子・原子核密度分布を3D可視化できるようにします。RIETAN-FP・VENUS統合支援環境と名乗っている以上、当然実現して然るべき機能です。

■ 2008年8月20日(水) Leopard対応のFruitMenu

ついにFruitMenu v3.7正式版がリリースされました。しかし、コンテクストメニューに追加した項目が[その他]のサブメニュー項目に成り下がってしまったのが残念でなりません。Leopardの改悪点です。

■ 2008年8月21日(木) Nature Materialsふたたび

6月29日に「固体酸化物燃料電池中の格子間酸化物イオンをみる」というタイトルでNature Materialsに掲載された論文を紹介しましたが、同じ雑誌にLi二次電池材料であるオリビン型リン酸鉄(LixFePO4)中のLi+イオンの移動経路に関する論文が発表されました:

やはり、RIETAN-2000PRIMAVESTAの連携を通じたMPF解析により得られた研究成果です。

■ 2008年8月22日(金) 学生に対する訴求効果の大きな教育を目指して

これまでも繰り返し述べてきたことですが、私は常に波及効果を考慮して活動しています。粉末回折に関する啓蒙活動や科学教育への貢献を重視するのもその一環にほかなりません。科学教育といっても、特定の大学の学生を対象とするローカルなものでなく、自作ソフトウェアの活用を通じ間接的に教育を支援するというグローバルなスタンスをとっています。

波及効果が小さくマイナーなものは無視、あるいは後回し —— これが鉄則です。しかし、アホくさくてやってられねぇとぼやきつつも、●●●の■■■のような半業務命令的依頼には応じますよ。協調性も大事ですし、フレキシビリティーの高さが私の身上ですから。

波及効果は論文被引用数、知名度、講演会・講習会などへの参加人員、書籍の発行部数、ホームページのアクセス数とリンク数などとして如実に顕れます。リートベルト解析におけるフィットの良さを示す尺度(R因子やS)のようなものですね。

社団法人私立大学情報教育協会が発行した「平成19年度 私立大学教員の授業改善白書」には、8つの先進的な授業事例の一つとして、坂根弦太氏(岡山理科大)の「三次元可視化システムを用いた基礎科学教育」が紹介されています(14ページ)。DV-Xα法計算支援環境VESTAなどを用いたユーザーフレンドリーで、視覚に強く訴える無料ソフトウェアを活用した化学教育が高く評価されたためでしょう*。

この白書は334校の私立大学、125校の私立短期大学で全教員に印刷物として配布されるそうで、宣伝効果は抜群です。同支援環境とVESTAの人気に弾みがつくに違いありません。


*注: その後、坂根氏のブログ(8月26日)に本白書に関する記事が現れました。

■ 2008年8月23日(土) Chairman only

これからIUCr国際会議に参加するため、大阪に出張します。同会議とそのサテライト集会での依頼講演・講義2件は負荷軽減のため辞退したので、座長を務めるだけ。気楽なもんです。

■ 2008年8月24日(日) IUCr国際会議、開幕

国際結晶学連合(IUCr)のスタッフによれば、VESTAで作成したイメージの絵はがき(8月17日参照)はIUCr国際会議の会場にまだ届いていないそうです。私は明日帰宅するので、門馬君に私の分を預けるようお願いしておきました。

私とCooper博士が担当したmicrosymposium(9:55〜12.30)は無事終了しました。好企画だったとみえ、望外に多くの聴衆を集めました。

■ 2008年8月25日(月) かつての弟子に再会

RIETAN-94を開発していたころ、研修生として私のところで10ヶ月ほどリートベルト解析について教育した金 容日氏(KRISS)にIUCr国際会議で会いました。お子さん二人はもう中学生になったとのこと。そういえば、彼と一緒にソウルから釜山まで車で移動した時から10何年の歳月が流れたのですね。あっという間でした。

彼からCASTEPについて色々教わりました。親しい知人の要望もあり、いずれCASTEP形式のファイルもVESTAで読み込めるようにするつもりです。しかし、相当巨額のファンドにありついた大金持ちでないと、CASTEPなど買えないよなぁ。CASTEPの開発グループも金儲けに励んでいるように見えます。そういう状況下で、その新機能を無償で提供するのは考え物です。

金氏から韓国産の海苔を頂戴したので、お返しにalchemy用雛形ファイル(for GSAS)を再配布不可の条件でプレゼントすると約束しました。当方の著作物を特定の個人に配布するか否かは、私の一存で気ままに決めて差し支えありません。

■ 2008年8月26日(火) 翻訳でないので安心

Intel Visual Fortranの解説書が出版されました:

Intel Visual Fortranは最重要の商売道具なので、一も二もなく購入しました。

■ 2008年8月27日(水) 会期9日間にもわたる巨大国際会議で…

IUCr国際会議の出席者から、VESTAで作成したイメージの絵はがきが配られ始めたという知らせが届きました。各絵はがきに図が一つずつ、計三種類が置いてあったとのこと。三つのイメージがすべて採用され、しかも個別に配付されるとは異例中の異例で、想定外の出来事でした。一緒に並べられていた大阪城の絵はがきは不評で、VESTAの絵はがきばかりが捌けていたそうです。そりゃそうだろうなぁ(笑)。

三つの図のうち、一つはKOD(580 K)の単結晶中性子回折データをPRIMAで解析することによって得た干渉性散乱径密度、二つはカドミウムモリブデン七核錯体の結晶データからDV-Xα法で計算した波動関数、電子密度+静電ポテンシャルを球棒模型とともに視覚化したものです。前者では、O原子の周囲にD原子が不規則分布している様子が明瞭に視覚化されています。また後二者のおかげで、DV-Xα研究協会功績賞(7月3日8月8日参照)受賞への恩返しができ、喜んでいます。

それらの絵はがきの配布はVESTAに対する賛辞にほかなりません。VICS+VENDの時代に比べて、等値曲面の画像品質と内部結晶モデルの視認性が向上したことが今回の絵はがき配布につながったのでしょう。VESTAが今後、キラー・アプリケーションとして国際的に認知されていくことを予感させる椿事でした。

■ 2008年8月28日(木) アンコール講義

5月19日に東京で催した情報機構セミナー「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」がすこぶる好評だったことに意を強くし、その内容と配布ファイルをアップデートしたセミナーを11月17日(月)に大阪で開催することが決まりました。関西や西日本における自作ソフトの教育・普及活動も重視するという姿勢の現れです。

生来、引っ込み思案の私は、人前に出るのを避ける傾向が強いです。しかし、ここのところ、MPF法による研究成果が一流紙に続々と発表されており、VESTA人気が沸騰中だという事実に背中を押されました。

場所などが決まりましたら、あらためて本掲示板でお知らせします。ふるってご参加ください。

■ 2008年8月29日(金) 柳楽優弥、薬物大量服用による急性中毒との報道に接して

彼が主演した「誰も知らない」のラストは衝撃的でした。子育てを放棄した母親に見捨てられた子供たちは、飢えに苦しもうが死者が出ようが、児童相談所や児童福祉施設などに一切頼ろうとせずに、あくまで自分たちだけで生きてゆこうとするのです。明日も明後日も、その後も悲惨な日々が続くだけ、でも他人は当てにしない —— そんな強固な意志を感じさせる結末に意表を突かれました。

我が身を省みれば、指導者や評論家としてはともかく、研究者としては疾うに●●■■切れ、「終」の文字がスクリーンに映し出される方がむしろ自然なのに、未だに研究員としてサラリーを頂戴しております。我が事ながら、そこに決然たる意志は毫も感じられません。

では何故そういう惰性で突っ走るような道を選んだのかというと、世間体のためでも、生計を立てるためでも、まだやり残した仕事があるためでもなく、「人のため」です。けっして我欲のためではありません。「人」って誰だ、という問いにはノーコメントで通しますが。

しかし、なんとなく、けりの付け方を間違ったような気がします。これまで溜め込んできたソフト資産を抱え込み、こじんまりしけこんでいる自分は本来の自分らしくなくて、違和感を感じます。かつてはもっと鷹揚で、気さくでした。しかし、Rubenを余儀なくリストラしたルサンチマンから、がっちりガードを固めた上、以前とは見違えるほど強硬路線へと転じたのです。以来、自作ソフトのソースコードを秘匿し、放射光や中性子の無償ユーザーサポートを拒み、ソフトを開発し機能を追加してほしかったら金(研究資金、寄付金)を出せと迫る「上から目線」的スタンスを堅持しているものの、内心忸怩たるものがあります。

とはいえ、こういうふうにドライかつ抜け目なく振る舞うようになって以来、当方にとって万事お望み通り、都合良く物事が回り出したのは厳然たる事実です。人を只で使おうという輩は激減しましたし、外部資金も自ずと入って来るようになりました。

青臭い理想を排し、せちがらい世間に即した現実的態度・行動へと切り換えたからこそ、独法化した組織で生き残れたに相違ありません。常人より何倍も時間をかけて、多額の授業料を払い、ようやく大人になったということでしょう。強い追い風が吹いている今、時計を元に戻す気は毛頭ありません。

■ 2008年8月30日(土) m@stervisionの降臨

かれこれ一年近く更新が止まっていたm@stervisionが再開されました! 嗚呼、このウェブサイトのおかげで、どれだけ素晴らしい(ものばっかりじゃなかったけど)映画に出会ったことか。再開を祝って、乾杯したいくらいです。

しかし、この人、相変わらずエロ映画に高い点数を与えてるなぁ。オイラは観てませんよ、その手のヤツは。別に上品ぶってる訳じゃありませんが、そういう趣味はこれっぽっちもないので。

■ 2008年8月31日(日) 一年余りの沈黙を経て、

TeXShop v2.18がリリースされました。近日中に公開予定のTeX Live 2008に対応しています。少なくとも私にとっては大ニュースです。この偉大なソフトがある限り、Macから離れられません。

RIETAN-FPのマニュアルの製作にTeXShopを使わなかったら、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境にせよDV-Xα法計算支援環境にせよ、影も形もなかったことでしょう。TeXShopの使い勝手の良さに狂喜し、秀丸エディタを基盤とする祝鳥について調べている過程で、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境を着想したのですから。

■ 2008年9月1日(月) 収束電子回折の研究にも貢献するVESTA

8月22日の本掲示板で「常に波及効果を考慮して活動しています」と胸を張りましたが、我々が開発したソフトが活用されている事例をときどき提示しないと、その意気込みが伝わりませんね。今日はX線・中性子回折や電子状態計算で得られた結果でなく、収束電子回折パターンの解析で求めたSiの静電ポテンシャルと電子密度をVESTAで3D可視化した研究を紹介します:

Figs. 5〜9がVESTAで作成したイメージです。

■ 2008年9月2日(火) 変調構造の解析も支援するVESTA

昨日に引き続き、VESTAの波及効果について言及します。

不整合変調構造や非周期結晶の構造を解析するためのプログラムJanaの最新版Jana2006では、VESTAとの連携による電子密度の3D可視化が可能となりました。Janaのホームページでは、"External Programs"としてSuperflipSIR2004EXPO2004といった超有名どころと並んで、VESTAの名前が挙げられています。

■ 2008年9月3日(水) 大阪城天守閣を嗤う

IUCr国際会議で配られたVESTAのイメージの絵はがき(三種類)が送られてきました。VESTAに関する論文のクレジット入りです。IUCrの出版物のブースでは、かなり早い時期に全部はけたようです。

大阪城の絵はがきしか残っていなかった、という報告も届きました。IUCr国際会議の2nd circularにも大阪城天守閣の写真が飾られていますが、コンクリート造りの紛い物を有り難がる人は少ないでしょう。あれが大阪のシンボルとなっているのは噴飯物です。そもそも、オリジナルの天守閣は黒壁だったんだよね… 史実を無視するなんて、デタラメもいいとこだよなぁ。

おっと、11月17日のセミナー「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」(8月28日参照)は大阪で催すんだっけ。会場のエル・おおさかは大阪城からさほど遠くありません。今日はこれでお終い!

■ 2008年9月4日(木) 派手なリアクションには閉口しますが、

MacユーティリティCopyPaste Proを追加しました。かつてコピー・ペースト王を自称していた私ですが、最近は同じような文言を書く機会が減り、評価に手間取っていました。

■ 2008年9月5日(金) 商売道具は常に最新のものを使わなくちゃ!

TeX Live 2008を内包するMacTeX-2008が公開されました。もちろんTeXShopはv2.18にアップグレードされています。MacTeX-2008のインストーラは1.16 GBもの容量があります。私にとってはIntel Visual Fortranと並び必要不可欠のアプリケーションなので、さっそくインストールしました。

Mac用計算機プログラムPCalc 3が2年ぶりにv3.3にバージョンアップされました。これまた、ひんぱんに使うソフトです。

Windows用レジストリ掃除ソフトWise Resitry Cleaner 3 Freeもv3.7になっておりました。

■ 2008年9月6日(土) iPhone 3G急失速

その主な原因は

  1. おサイフケータイ、ワンセグ放送受信の機能が欠けている、
  2. 携帯メールのアドレスが変わってしまう、
  3. 電池の持ちが悪い、
  4. 底辺レベルの内蔵カメラ、
  5. 絵文字が使えない、

だそうです。そこまで手抜きしたら、独自の進化を遂げた(ガラパゴス化した)日本製携帯電話に勝負を挑んでも勝ち目はありません。最低月額料金も高すぎ。

PRIMAVESTAが猛威を振るっている日本の粉末回折の世界もガラパゴス化していると言えますが、絵文字に比べればMEM(MPF)による電子密度・原子核密度分布の3D可視化はグローバル化して然るべき先進テクノロジーです。ソースコードさえ公開すれば、速やかにグローバル化しそうですが、そんなことをしたら自分の首を絞めるだけ。なんのメリットもありません。我々のソフトを使ってればいいじゃん、という唯我独尊的スタンスを貫くつもりです。

■ 2008年9月7日(日) コミック界の原 節子?

犬童一心が大島弓子原作の「グーグーだって猫である」を映画化しました。同じく大島弓子原作で犬童監督が撮った「金髪の草原」(2004年10月28日参照)はDVDを買い込んだほど気に入ったので、「グーグー」の原作を読んでみました。

結果ははずれ —— 趣味に合いません。読み終わってから、動物にまったく興味がないことに気づきました。犬猫の漫画など退屈なだけ。「金髪の草原」の主人公同様、痴呆症に成り果てた己の姿を思い浮かべることはできても、猫を飼い、可愛がっている自分は想像できません。

大島弓子は1995年以来作品を発表しておらず、もう何十年も公の場所の姿を現していません。今年、「グーグー」が第12回手塚治虫文化賞の短編賞に選ばれたとき、授賞式には代理人として小泉今日子(映画版の主演女優)が現れたそうです。

■ 2008年9月8日(月) 自覚症状

研究活動、プライベートな生活を問わず、自分はお金の使い方を知らないなぁ、と痛感しています。例年、人件費を除く研究費の大半は使い切れなくて返上という有様。物欲は少ない方です。もちろん、ブランド品など所有していません。

もう一つ自覚しているのは、自分の才能、エネルギー、熱意、時間をむやみに浪費してきたということです。会議、雑用、学会活動など、やりたくないことからは逃げの一手の癖に、道楽や妄想が仕事に侵入している趣があります。無意味なことに情熱を傾け、やたらに脱線しまくり、なおかつ人目も憚らず好き勝手に振る舞う結果、周囲と摩擦を産み、本業がおろそかになる —— こういったパターンの繰り返しを経て今日に至りました。我がことながら、サイドストーリーがやけに多いですなぁ。しかも無粋なヤツが。

それでいて、まだ伸びしろを残しているのだから、侮れません。いつの間にやら帳尻を合わせ、ときには大ヒットを飛ばし、論文の引用回数ではNIMSでトップクラスに君臨し、斯界では人寄せパンダとして重宝がられているのですから、傍目には魔法使いのように見えるでしょう。かくの如き冗長性に富んだキャラクター、摩訶不思議なバイタリティー、悪運と押しの強さを総動員して、激動の時代を駆け抜けてきました。

まあこの年になっては、今更変わりようがありません。研究の世界から足を洗うまで、このまま押し通します。

■ 2008年9月9日(火) 一般則ではありませんが、

人に勝つとは、とりもなおさず人に負けること —— 最近ようやくそれを悟りました。

■ 2008年9月10日(水) 新世代iPod発売

縦長のディスプレイを備えた9色のiPod nano —— どうしようかなぁ。第三世代の旧機種をもっているのだから、むしろiPod touchを買う方が賢明ですね。

■ 2008年9月11日(木) 背に腹は代えられぬとは言え、

J-PARCの運転開始を控え、産業利用の振興を目指し、JRR-3Mにおける中性子散乱のトライアルユースが実施されています。私も勧誘のための人集め(研究会の講師)に駆り出された口です。異例なほど多くの参加者を研究会に引き寄せ、立派にdutyを果たした後、スタコラサッサと逃げ出したのはご存じの通り(2007年11月9日参照)。

種々の研究会などでトライアルユースの成果が逐次報告されていますが、粉末中性子回折データの解析に関する発表ではRIETAN-2000/FPーPRIMAVESTAのオンパレードだそうです。複数の方々からそう聞きました。確かに、私がたまたま出席した昨年12月のHERMES・HRPD合同研究会のテーマはMEMであり、両装置で測定したデータの解析と3D可視化にはもっぱらそれらのソフトが使われていました。電子・原子核密度分布のイメージは見栄えがし、構造解析に詳しくない人たちにも強くアピールし、J-PARCの利用を目指すユーザーを活気づけているようです。

しかし、角度分散型の回折データを解析するのでは粉末X線回折の延長戦に過ぎず、パルス中性子源を利用したエネルギー分散型回折に関する土地勘を養い、J-PARC用のデータを解析できるソフトに習熟することにはなりません。マルチバンクのデータを同時解析する訳でないですし、入射ビーム・スペクトルが回折強度の計算式に含まれませんし、横座標が飛行時間でなく2θなんですから、真に意義深いトライアルユースとは言い難いです。

おまけに、角度分散型回折法専用のRIETAN-2000/FPはJ-PARCでは役立たずな上、今のところVENUS(PRIMAとVESTAも含む)のサイト・ライセンスはJ-PARC(あるいはその一部)に供与していないときていますから、皮肉なもんです。これらのソフトをトライアルユースで利用するのは、明らかに不適切です。

実質的に拙作ソフトの普及と宣伝に役立つのはありがたいですが、首を傾げちゃうよなぁ、そういう場当たり的な対応には。

本来、J-PARCの装置のコミッショニングが完了し、しかも解析ソフトとそのマニュアルの正式版をリリースした後、トライアルユースを実施するのが筋なんですよ。コミッショニングはおろか、解析ソフトのベータ版すら配付していない(アンビリバボー!)というのに、何を焦り狂ってるんだろう。定常炉とパルス中性子源を利用した粉末回折に精通した専門家としては、ただただ唖然とするばかりです。

最後に警告を一つ。RIETANーPRIMAーVESTAに相当し、しかも使い勝手、機能、スピードで互角以上のソフトを可及的速やかに提供できないようだと、これらのソフトで甘い汁を吸ったユーザーの間に失望感が広がり、J-PARCにおける粉末回折の評判をガクンと落とし、装置グループの当事者能力が疑問視されることになるでしょう。そういう事態に陥らぬよう、衷心よりお祈り申し上げます。

■ 2008年9月12日(金) 昨日の続き

いくら中性子回折を利用しようが、古典的な構造精密化法であるリートベルト法による解析結果を発表しようが、今や誰も感心してくれません。単なるルーチンワークに過ぎないからです。元素分析、IR、NMR、XPSによる同定、熱分析などと、さほど違いはありません。強力パルス中性子ビームを使ったところで同じこと。ソフトウェアの開発者としても、陳腐化・グローバル化したテクノロジーであるリートベルト解析を中心に据えたビジネスモデルでは、さほど大きな利益は期待できないでしょう。

最近、我々は新しいアイデアに基づき、Alchemyの抜本的改良に着手しました。その新バージョンの場合、どのパルス中性子源(J-PARCを含む)で測定したマルチバンク回折データでも、どのリートベルト法プログラム(底辺レベルのヤツを除く)を使用したとしても、プログラムを少々カスタマイズしてやれば、PRIMAを用いたMEM解析が実行できるようになります。もちろん、VESTAによる核密度分布の3D可視化も可能です。

そういう離れ業が繰り出せるように至った理由は企業秘密です。コロンブスの卵のようなもの、とだけ申し上げておきましょう。もちろん、その新バージョンは一般に公開せず、有償で供与する予定です。

■ 2008年9月13日(土) Who are you?

情報機構セミナー「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」を11月17日に大阪で開催しますが、その翌日、ファインセラミックスセンターを訪問することになりました。このように、最近は遠出した折に、できるだけ見聞を広め、普段会えない方々と交流するよう心がけています。

量子ビームセンター発足前の私は、ほぼ毎日、自室に閉じこもり、人との交わりを避けていました。時折、依頼された講演や講義に出かけるくらいでしたね。たまに研究集会の懇親会に出席しても、ほとんど誰も私の顔を知りませんでした。名札を見て、ようやく私だと知ると、みんな目を見開き、後ずさりする —— そんな雰囲気でした(笑)。この2・3年の私は露出度が高まっているので、大分状況が変わりましたが。

「顔を知らない」という文言から、数年前のハプニングを突如思い出しました。某研究集会が開催されていた会場の食堂近くで研究者と覚しき若い女性とすれ違いました。その人はいかにも知人だという顔をして、馴れ馴れしく私に話しかけてきました。ところが、その方がどなたなのか、さっぱり思い出せません。曖昧にうなずくだけです。いまさら「どなたでしょうか。」と問いただす訳にもいかなくなり、別に急ぎの用事があるという顔をしてそそくさと立ち去ってしまいました。自分にだったら立ち話くらいはしてくれると思い込んだ挙げ句、シカト同然の扱いを受け、茫然としているその女性を後に残して。

オイラはあんたと話している暇なんかないんだよ、というデカい態度に見えただろうなぁ。そのときは、さすがに自分のシャイな性格を呪いました。なにごとにも尻込みしがちで、非社交的なキャラクターは生涯不変でしょう。

女性の場合、化粧の仕方一つで見違えるようになっちゃいますよ。まず、名を名乗ってほしかったです(←開き直り)。

いったい誰だったんでしょうか。もしご本人が当掲示板をお読みになっていたなら、ぜひご連絡ください。その節の非礼をお詫びいたします。

■ 2008年9月14日(日) 競争社会の基本原理

この数年、とりたてて自分から外界に働きかけなくても、色々な依頼が内外から舞い込んで来ています。それらに対応しているうちに、どんどん月日が経っていくのが現状です。

先日、巨額の外部資金を獲得し、一大グループを取り仕切り、我が世の春を謳歌している大物にそう語ったら、「それは泉先生に利用価値があるからですよ。役に立つものを囲い込み、お荷物になるものを排除する —— 当たり前じゃないですか。役立たずとみたら、鼻も引っかけませんよ。」という返事が返ってきました。

「ところで、私と一緒に研究しませんか(只働きはさせませんよ)」という方向に走りそうだったので、あわてて話をそらしました。ご厚意には感謝しますが、中長期的に手一杯で、さらに仕事を抱え込む余力など残っていません。

しかし、利用価値があるっていうことは、自らが煌々と輝くのとは違うよなぁ。自主性に欠けてますから。まあ、人から相手にされないよりはましか。

■ 2008年9月15日(月) トレードオフ

一般に「やりたいことをやる」と「やりたくないことをやらざるをえない」はセットになっています。「やりたいことをやる」を「お金を稼ぐ」に、「やりたくないことをやらざるをえない」を「時間を失う」に置き換えても同様です。

「やりたいことをやる幸せ」は「やりたくもないことを渋々やる不幸せ」によって相殺されます。

いくらお金が儲かったとしても、四六時中神経を張り詰めて、あくせく働かなければならないデイトレーディングなど御免被ります。なんの社会的意義も見出せず、生産的でない作業に連日従事する空しさと馬鹿らしさは「無職ヒッキーだめ男が株で樹海に行くまでの日記」を閲覧すれば、容易に理解できます。筆者は昨年だけでも2600万円も稼ぎました。普通のサラリーマンよりはるかに高収入で、樹海無用の経済状況であるにもかかわらず、あまり幸せそうじゃありません。

あくまで私個人のpreferenceですが、研究と教育がdutyの大学教員も苦手な職業の一つです。特定の学生と直に向き合って教育・指導するのはストレスがたまり、精神的苦痛を伴うからです。少子化、理系離れ、大学院重点化に伴う定員増加のために、研究系大学でさえ学生のレベルは相当落ちてきています。来る日も来る日も、ろくに研究室に出て来ない学生や、やる気のない学生を相手にするのは大変です。面倒なこと、イライラすることからは目をそらして生きていたい、あくまで拙作ソフトが遍く教育に貢献すればよい、というスタンスです。昨今は、十分な競争的研究資金を獲得しないと、実質的に研究できない状態に追い込まれるのもマイナス要因の一つです。それに学生の就職やら、学生集め(少子化のために構造不況業種化)やら、諸々の会議・雑務やら、研究・教育以外の苦役も多すぎます。

今後も自分がやりたいことに注力し、やりたくないことからは逃げまくりたいですが、それらが両立しなくなったときはどうすればいいのか。話は簡単 —— 「やりたくもないことをやらずに済む幸せ」の方を選択すればいいだけのことです。窮迫感や迷いなど、これっぽっちもありません。

■ 2008年9月16日(火) ベータ版ではありますが、

Igor Pro v6.10B02(Mac OS X・Windows用)がリリースされました。

■ 2008年9月17日(水) リーマン・ブラザーズを見捨てる一方で、AIGは救済

いずれも破綻寸前の会社だったのですが、経済・社会に与える影響を熟慮した上、差別待遇的措置をとったのでしょう。もっとも、AIGは残務整理のために当面存続させるに過ぎないようですが。

もちろん、法人・組織の破綻はアメリカ経済界だけに留まりません。今後は日本の大学や独法研でも、研究資金や優秀な人材の獲得競争に失敗すると、つぶされる恐れがあります。研究室や研究者レベルでは、形式的に生き残っているだけ(=鳴かず飛ばずで、日干しになる)、という事態もあり得ます。価値の高いコンテンツやアイデアをもたないところ・人は必然的にそうなるでしょう。いよいよ殺伐とした、世知辛い社会になってきました。

こういう生き馬の目を抜く社会に身を置いている限り、ドライ・非情・したたかに生きていくしかありません。私もそう心がけていますが、本来の自分に合わないなぁ、嫌な渡世だなぁ、と常に嘆いています。なにしろ私は数年前まで「幸福の王子」同然の浮世離れした存在だったのですから(2003年4月14日参照)。もっとも、「王子」のまま手をこまねいていたら、今ごろは研究の世界から弾き出されていたでしょう。

本音を言えば、悠々自適の生活にもあこがれているんですよ。ただそうなると、どんどんボケていきそうなのが恐い。頭を酷使する職に留まっていれば、自ずと脳トレに励めますし、成果(ソフトウェア)を社会に還元できます。サラリーのことなど二の次、三の次です。

■ 2008年9月18日(木) 花の命は短くて

13年前の酒井美紀(2007年7月29日参照)しか知らない私にとって、昨晩テレビで観た彼女はショッキングでした。すっかりオバさん顔になってるじゃありませんか。嗚呼。

■ 2008年9月19日(金) アップデート2件

RIETAN-FP・VENUS統合支援環境とDV-Xα法計算支援環境で利用している田楽DLLがv2.98にバージョンアップしていました。

StuffIt Expander v13.0(英語版)がリリースされました。Mac OS X標準の圧縮形式がzipフォーマットになった今、もはやStuffIt Standard/Deluxeを買う必要はなくなりました。

■ 2008年9月20日(土) マウスポインタ変更ユーティリティ

Mac OS X上でPowerPointやAdobe Readerによるプレゼンテーションを行う際に、マウスポインタを大きく、かつ目立つ色で表示したいときは、PinPointを使うに限ります。ただし、現行のv3.00 beta 17にはLarge Arrowの一部が欠落するという不具合があります。お勧めのポインタは緑のPinPoint Logoです。

なおWindowsの場合は、マウスのプロパティでポインタの種類やサイズを変えることができます。詳しくはこれをご覧ください。

■ 2008年9月21日(日) ウンザリ症候群

この二三年、自作ソフトのユーザーからの質問に答える回数はめっきり減りました。ほとんど読み捨てに留めています。

しかし、何の気まぐれか、今日届いたRIETAN-2000のユーザー(外国人学生)からのメールにはきちんと返事を送りました。添付されていた入力ファイルをざっと眺めた上で。折り返し、さらなるヘルプのメールが届きました。初心者なので、ちゃんと解析できるようになるまで面倒見てほしいとのこと。遠慮などという概念は更々ないようです。もうこれ以上、煩わされたくありません。

過去を振り返ると、数年前までの私は、たとえ相手が一介の学生であろうと、時間の許す範囲で可能な限り丁寧かつ親切に接するよう心がけていました。まさしく、来る者は拒まず、という態度でした。半日ないし一日、面と向かってお付き合いしたことさえありました。我ながら、几帳面に応対していたと思います。

今は学生だろうが、誰だろうが、たいていシカト —— この激しい落差はどこから来るのでしょうか。要するに、諸々のことにウンザリしてきたんだと思います。自作ソフトの無償サポートもウンザリ、外国に行くのもウンザリ、ものを書くのもウンザリ、雑用にもウンザリ、云々。そこで、それらに巻き込まれるのを避けているのでしょう。自分がやりたいこと(あるいはduty)とやりたくないことが抱き合わせの場合に限り、致し方なく後者にも取り組むようにしています(9月15日参照)。よく言えば選択と集中、悪く言えば手抜きです。

今は、数日前に届いた某国際会議での招待講演を引き受けるか否かで悩んでいます。昨年来、その手の依頼を三つほど続けて断ってきました。ここ三四年の人前への露出がじわじわ精神を蝕み、別な方面(国際的活動)における反動を引き起こしたと言えましょう。倦怠感に苛まれ、尻込みしっぱなしというのも情けないので、今週いっぱい熟慮するつもりです。

■ 2008年9月22日(月) 無配の赤字企業

ATOK 2008 for Macをインストールしました。ジャストシステムがさらに凋落し、●●したら困るので、毎年こまめにバージョンアップしています。

■ 2008年9月23日(火) 重要書類には書き込み不可

こすると筆跡が消える水性ボールペン、フリクションボール(黒)を買いました。少々色が薄いのが玉に瑕ですが、ちょっとしたメモには便利です。

フリクションインキの前身メタモインキを1975年に開発して以来、30年以上かけて製品化に漕ぎ着けたのですね。その間、どれだけの経費とマンパワーを費やしたかを想像すると、気が遠くなります。

VESTAのGUI構築に利用しているwxWidgetsがv2.8.9にバージョンアップされました。

■ 2008年9月24日(水) 冗費のカット

少々迷った末、某ゴールドカードの会員を来年1月限りで止めることにしました。とくに魅力的な特典があるわけでもなし、年会費無料のカードが一枚あれば十分、という合理的判断です。

毎年必ず外国出張していたころ、障害保険が付くからという理由だけで加入したに過ぎません(3月22日参照)。零落感など気にせず、もっと早く止めるべきでした。

■ 2008年9月25日(木) 漫画ばっかり読んでるそうだけど、自覚してるかな

麻生太郎って「ドラえもん」のスネ夫にそっくりですね。裕福な家の子であるところも一緒。性格も似通っているような気が… ジャイアンがいないと、ずっこけるような気がする。

そういえば、福田康夫はダメおやじに似ていたなぁ。たった一年で政権を放り出したところをみると、本物のダメおやじだったんだ。

■ 2008年9月26日(金) 先走り少数派の悲劇

ハイエンドマシンなのにもっさり感が強いWindows Vista機(Dell Precision T5400)に喝を入れてやりたくなりました。そこで、窓の手Wise Registry Cleaner的効果を期待し、PowerX Vista Optimizer 2008をあてがうことにしました。10月8日まではキャンペーン価格で購入できます。

インストールし始めたとたんに、挫折感を味わいました。なんと、64ビット用Vistaでは動かないとのこと(涙)。64ビット用Vistaなんて、ほとんど使われてないんだろうなぁ。64ビット用ドライバを書こうという人が少なくて困っているそうです。

XPへのダウングレード権つきで販売しているPCさえあるのですから、Vistaの評判の悪さは相当なものです。失敗作という意味ではWindows Meと双璧でしょう。

■ 2008年9月27日(土) グスコーブドリの暴挙
「先生、気層のなかに炭酸ガスがふえて来れば暖かくなるのですか。」
「それはそうだろう。地球ができてからいままでの気温は、たいてい空気中の炭酸ガスの量できまっていたと言われるくらいだからね。」
「カルボナード火山島が、いま爆発したら、この気候を変えるくらいの炭酸ガスを噴くでしょうか。」
「それは僕も計算した。あれがいま爆発すれば、ガスはすぐ大循環の上層の風にまじって地球ぜんたいを包むだろう。そして下層の空気や地表からの熱の放散を防ぎ、地球全体を平均で五度ぐらい暖かくするだろうと思う。」

これは宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」(1932)の一節です。今となっては、その末段を

目前に迫った冷害を防ぐために、我が身を犠牲にしてカルボナード火山島を爆発させたグスコーブドリは、20世紀の代表的英雄として賞賛を浴びました。しかし、21世紀には地球環境の破壊者として世界中の人々から糾弾されるようになりました。

という文言で締めくくらなければなりません。

地球温暖化や温室効果という言葉を耳にたこができるほど聞かされている現代の子供たちには、もはやこの童話は奇異に感じられるでしょう。長期的視野に立って地球環境を保護していかなければいけないのに、どうしてそんな破壊的行為に走ったのかと、非難したくなるに違いありません。

上記のあくどい戯言はさておき、宮沢賢治は76年も前に二酸化炭素による地球の温暖化について、どこから知識を仕入れたのでしょうか。それとも彼の空想の産物なのでしょうか。非常に興味深いです。

■ 2008年9月28日(日) こんな感じの図柄です

坂根弦太氏のブログ(9月27日)に、第21回国際結晶学連合(IUCr)会議でIUCRの出版部門が配付した絵はがき3枚(8月27日参照)の画像が掲示されています。

初めて筆頭著者として発表したVESTAに関する論文中の図3枚が、参加者総数3000名に及ぶ巨大国際会議で配付する絵はがきに採用された門馬綱一君は、幸運としか言い様がありません。今後、その論文の被引用回数がぐんぐん伸びていくのは確実です。

門馬君は日本鉱物科学会2008年年会において研究発表最優秀賞も受賞したそうです。おめでとうございます。

■ 2008年9月29日(月) 2ヶ月半ぶりのバージョンアップ

いくつかの軽い不具合を解決するとともにwxWidgets v2.8.9をリンクしてビルドしたVESTA v2.0.1がリリースされました。v1.4.4 → v2.0のメジャーチェンジに伴い、トラブルが続出するのをひそかに恐れていましたが、杞憂でした。

VESTAのマニュアルも更新しました。図が三つ増えています。

■ 2008年9月30日(火) マニュアルの微修正

VESTAのマニュアルを再アップロードしました。STRUCTURE TIDYの出力するファイルの名前が間違っていたため、訂正しました。

このマニュアルは、ある意味、VESTAそのものより凄いです。日本人が作成した科学技術ソフトで、ここまで詳細にわたる英文マニュアルが付属しているものは希でしょう。文書内外へのリンクが徹底的に張り巡らされていることと、LaTeX文書であるため見栄えがよいこと、引用文献数が多いことも自慢の種です。Native speakerによる添削を受けていない割には、英文も上質だと思いますが、いかがでしょうか。

■ 2008年10月1日(水) 自戒

勤労奉仕や慈善事業めいたことを頼まれた時、仏心を出すのは禁物です。自分(たち)のことだけで精一杯なのですから。なにはさておき頭の上の蠅を追う、ということを肝に銘じるべきです。もちろん、高い評価や外部資金を得られる仕事はその限りでありません。

Windows用ファイラーまめFile5 v5.51.0.1とMac用ポインタ変更ソフトPinPoint 3.00 beta 18がリリースされました。

■ 2008年10月2日(木) 高齢車

来月に満13才を迎えるシビックですが、その際には

  1. 新車に乗り換える。
  2. 車検を受ける。
  3. 廃車にする。

という三つの選択肢があります。新車など欲しくありませんし、とくにトラブルもなく動いているのに廃車というのもナニなので、車検を受けようかな、と考えています。

9月の大企業・製造業の業況判断指数が5年3ヶ月ぶりのマイナスに落ち込み、本日の日経平均株価は今年の最安値を更新しました。来年末くらいまで、景気は回復しないらしいです。サブプライムローン問題に端を発した今回の景気悪化は世界中に拡散していますから、戦後最大の規模となるでしょう。諸原料と物価の高騰と相まって、輸出が頼みの綱である日本経済を直撃する結果、日経平均株価は1万円を割り込む可能性が高いです。

金融不安が長引き、不景気風が吹き荒れている、こういう御時世だと、つい財布のひもを締めたくなります。もっとも、自分の懐具合は公私とも景気と連動していません。高みの見物を決め込んでいるだけ。

私が経済のことなどを書き込んだのに意表を突かれ、目を丸くしている人が多いことでしょう。最近、私はほぼ毎晩WBSを見て、経済学をリアルタイムで学んでいるんですよ。本業と無縁なことを勉強するのは非常に興味深く、格好のリフレッシュメントになります。

■ 2008年10月3日(金) 来る日も、来る日も…

最近、RIETAN-FPなどのバージョンアップが滞っていますが、別に惰眠を貪っているわけではありません。連日、水面下で或る作業に没頭しており、その時間的余裕がないのです。他の仕事もしょっちゅう割り込んでくるため、作業が遅れ気味で、精神的・肉体的に消耗しています。少しはまったりとリフレッシュしたいのですが、無理な相談です。

なんとも意気が揚がらぬまま、9月21日に記した招待講演は辞退してしまいました(advisory boardには加わりましたが)。国際研究集会での招待・依頼講演を4件続けて辞退というのは、過去最悪の記録です(汗)。

できるだけ早く、プログラミングに復帰したいです。そして「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」セミナー(11月17日、大阪)の参加者には、なんとかRIETAN-FPの次期バージョンv1.7bを配付するよう努力します。ベータ版であることを示す"b"こそ付いていますが、ごく安定に動くはずです。それには、PRIMA実行用のダイアログボックスを導入したRIETAN-FP・VENUS統合支援環境も含まれています。あわよくば、PRIMAのバージョンアップ(5月23日参照)にも取り組みたいです。また、MEM・MPF解析について書きためたファイルを再編集し、プレゼンテーション用PDFファイルとともに配ります。

■ 2008年10月4日(土) StuffIt Expanderの再インストール

いつの間にやら、iMac上でStuffIt Expander v13.0による解凍ができなくなっていました。配付ファイルからインストールし直したら、何ごともなかったように解凍できました。どうやらfile mappingに関係するトラブルのようです。

■ 2008年10月5日(日) Windows機としても使えるし、

研究資金が潤沢な割に使用金額が僅少(=予算を返上)という状態が何年も続いています。年度をまたいで繰り越しのできる寄付金に至っては、手つかずのまま。今年度も、年度予算の使い道を真剣に考えるべき時期に入りました。例によって外国出張は避けるとなると、ハイエンドPCを買うのが手っ取り早いです。

一番欲しくて、しかも有効利用間違いないのはMacBook Proですが、クリスマス商戦向けの製品は発売になるのかなぁ。

■ 2008年10月6日(月) 奈落の底へ向かう株価

投資家が総悲観になった時に出来高を伴って起こる急激な下げをセリング・クライマックスって呼ぶんだそうだ。すごい業界用語ですね。現在はまさしくそういう状況です。

NYダウ1万ドル割れと円高で、東証株式は明日も続落間違いなし。株にも投資信託にも外貨預金にも手出ししていない幸せを満喫しています。

■ 2008年10月7日(火) 本務への復帰

最近の株式相場同様、私が意気消沈ぎみなのは、近ごろ「仕事」でなく「労働」ばかりしているためです。「労働」は楽しくありません。鬱々としてきます。ものをcreateするのが本来為すべき「仕事」なのですから、そちらに方向転換しない限り、停滞状態からは抜け出せないでしょう。

そこで、かねてから計画中のコラボレーションを前倒しで実施しようと決断しました。本業に立ち戻り、目新しいことに率先して取り組み、己を活性化しようという戦略です。

老骨にむち打って奮闘しなくてもいいじゃないか、という内心の声も聞こえますが、不完全燃焼のままくすぶっているのは結構つらいです。挫折覚悟で前へ進む方が性に合っています。

とはいえ、急に走り出すとろくなことはありません。一歩ずつ、着実に前進していくことにしましょう。

■ 2008年10月8日(水) 100年に1度あるかないかの「スーパー・クラッシュ」(ジム・ロジャーズ氏談)

本日の東京株式は前日終値比952円安(-9.38%)の歴史的暴落となりました。戦後3番目の下落率です。

昨晩、セラミックス誌、11月号(特集:粉末回折法の最前線)の巻頭に掲載予定のレビューを再校正しながらWBSを見ていたところ、ダウ工業株平均が8,000ドル、日経平均が8,000円という水準が視野に入ってきたと榊原英資が言ってました。その後、世界同時不況に関する議論を聞き流しているうちに、両方とも8,000だと覚えやすくていい、と思っている自分に気づきました。

要するに人ごとなんです。高みの見物なので、なんら痛みを感じません。「あっしには関わりのねえこって…」じゃいけないのかなぁ。個人だろうが企業だろうが、自己責任で好き勝手にやってることでしょう。株式、投資信託、外貨預金の惨状など、知ったこっちゃありません。落ちるところまで落ちやがれ、老後資金が激減したのは自業自得、つぶれる会社はつぶれろ、という気分です。マネーゲーム・プレーヤーの不幸を冷笑するくらいの酷薄さを持ち合わせていないと、今の世では生き残れません。

ところで上述の再校、お送りいただいて本当に助かりました(K女史に感謝)。訂正すべき箇所がかなり残ってました。ダメ出しは得意中の得意だったのに… ヤキが回ってきたか?

当該レビューのタイトルは「新世代システムRIETAN-FP・VESTAへの招待」です。活字になりましたら、RIETAN-FPとVESTAのユーザー、とくに「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」セミナーの参加者は、ぜひお読みください。紙面の都合上、RIETAN-FPとVESTAの一端を紹介したに過ぎませんが、「温泉旅館」などという場違いな言葉まで飛び出すところが受けるのではないでしょうか。

■ 2008年10月9日(木) これじゃMSなみのクオリティー

Mac OS X用Adobe Acrobat Professional v8.1.2でPDF原稿を添削していますが、重い負荷がかかり、非常に不安定で、しょっちゅう落ちまくってます。スーパー・クラッシュは株式専用用語ではありませんね(笑)。まるでMac OS 9の時代に逆行したような感じ。リカバリー機能もまともに動作しないことが多いため、一二箇所修正するたびにファイルを保存せざるを得ません。おまけに操作性が良くないときている。

アドビ製品にしては出来が悪すぎます。結構いい値段だったのですが。

■ 2008年10月10日(金) クラゲだけでなくクラッカーも捕獲

ノーベル化学賞を受賞した下村 脩って、天才クラッカーのケビン・ミトニックを追い詰めた下村 務(努?)のお父さんなんですね。確か、ミトニックとの対決はノンフィクション小説や映画にもなったんじゃなかったかな。

ネット検索で調べた結果、小説と映画はそれぞれ

だと判明しました。

■ 2008年10月11日(土) クラッシュ!

クラゲやクラッカーでなくクラッシュ(10月8日参照)の方に目を転じると、榊原英資の予想通り、昨日の日経平均株価の終値は8,276円にまで下がりました。7年ぶりにサーキット・ブレーカーが発動するほどの大暴落でした。

そして、ニューシティ・レジデンス投資法人と大和生命が文字通りクラッシュ(破綻)しました。大和生命本社は旧鹿鳴館跡の超一等地(帝国ホテル横)を占めているのですが、10年前に売却済みとのこと。

■ 2008年10月12日(日) いよいよ国際的に認知されてきたVESTA

Atomic-scale Friction Research and Education Synergy Hubのwiki、AFRESH中のVisualization Tools for Atomistic Modelingで、VICS-II(obsolete!)とVESTAが紹介されています。

■ 2008年10月13日(月) 性懲りもなく…

不発に終わったPowerX Vista Optimizer 20089月26日参照)を幾分なりとも穴埋めするため、64ビット版Vista上でも使えるWise Registry Cleaner 3 Professionalを購入しました。レジストリの掃除に加え、PCのパフォーマンスを自動的に最適化してくれます。

■ 2008年10月14日(火) 遅ればせながら、

GoogleAdSenseを当掲示板の下に導入しました。動機は(a) 好奇心を満足させるため、(b) 面白半分、(c) ホームページを賑やかにするため、(d) あわよくば収益もゲット、といったところです。正直なところ、(d)はほとんど期待していません。

Adsenseシステムは本Webサイトのコンテンツを自動的に解析し、それに最もマッチした広告を配信します。それぞれのタイトルにはWebサイトへのリンクが張られています。左下の">"をクリックすると下位ランクの広告が現れ、"<"をクリックすると上位に戻ります。

広告と言えども、有用な情報が得られる可能性があります。訪問者のお役に立てば幸いです。

しかし、当掲示板の書き込みの雑駁さからみて、粉末回折と無関係なヤツが頻出するんじゃないかなぁ(汗)。そんなことじゃ、AdSenseを始めた意味が(以下、省略)

■ 2008年10月15日(水) 善は急げ

MacBook Pro(Late 2008)発売 —— もう買うしかない! 早速、15.4インチ・ディスプレイ機の見積もりを依頼しました。4 GBメモリが標準なのには驚きました。できれば2.8 GHz Core 2 Duoの方が欲しいです。

GPUについては、チップセット統合タイプのGeForce 9400Mと外付けのGeForce 9600M GTを搭載していて、用途に応じて選択できるとのこと。凝ってますねぇ。

■ 2008年10月16日(木) MEMに関するノウハウなどの提供

情報機構セミナー「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」で配付するMEM・MPF解析に関する文書(10月3日参照)に手を入れ出しました。終盤が駆け足になった前回の同セミナーの反省も踏まえ、これから実際にMEMを活用していきたいという方々のために、次に列挙する重要情報を追記することにしました:

ついでにリートベルト解析におけるテクニックではありますが、最初の情報と関連するノウハウも記す予定です:

書籍やWebページなどで種々の情報を提供済みのリートベルト解析と異なり、MEM関係のノウハウなどはあまり公にしていません。こういう情報を入手したいからこそ、有料講習会に参加するんでしょう。講義で述べるのを忘れてしまう可能性が高いから、しっかり明記しておかないと。この文書は何度でも再利用できますから、今後もまめに書き足していくつもりです。

私と面識があり、本セミナーに関心のある方(大学教員・学生以外)はご連絡ください。耳よりの話があります。

■ 2008年10月17日(金) OpenOffice.orgのメジャーチェンジ、その他

OpenOffice.org v3.0.0日本語版がリリースされました。Mac版はMac OS Xネイティブコードですので、ATOKによる日本語入力が可能です。試しにWord 97-2004形式のファイル*.docを読み込んでみたところ、数式の一部が文字化けすることを除けば、きちんと中身が表示されました。

WindowsユーティリティWise Registry Cleaner 3 Professionalを追加しました。昨日、v3.73がリリースされました。64ビット版Vistaでも問題なく動いています。

掲示板の上部でGoogleによる検索ができるようになりました。

■ 2008年10月18日(土) 実り多き年

2008年に達成すべき5大目標(4月24日5月11日6月19日参照)の4番目は、約7割片付いたところです。今月中には9合目まで達するでしょう。

これが無事完了するのは間違いありませんが、目標No. 5は先送りの可能性が高くなってきました。別件が割り込んできちゃったんでね。拙速を避け、慎重に事を進めるべきです。遅くとも来年の夏までには必ず実行します。

No. 1〜4はいずれも奮闘努力の結果です。内1つはまったくプライベートなことですが、残りの3つは誇るに足る成果だと思います。自分にとっては、すべて意義深く喜ばしいことでした。

■ 2008年10月19日(日) 社会勉強

某家電製品をそろそろ買い換えたくなってきました。購入希望品の販売価格を価格.comで調べたところ、21,800〜24,600円(1〜10位)でした。21,800円は通信販売価格(送料無料)です。

次に某大手家電量販店に出かけ、同製品をギリギリがんばっていくらで売ってもらえるか、値切り交渉してみました。ネットでの調査結果ははっきり告げました。答えは、なんと29,000円(ポイントなし)。もちろん手ぶらで帰宅しました。家電量販店と言えども、一部の目玉商品以外はけっして安くないようです。

■ 2008年10月20日(月) 実益と言うよりは趣味

AdSense10月14日参照)の導入以来、一連の手続き(かなり煩雑)やGoogleのビジネスモデルなど様々なことを学びました。結構楽しめます。

当初、戸惑ったのは、サイト運営者向けレポートの日付が中途半端な時間(午後4時)に変わることでした。しばらく経ってから、太平洋標準時間を採用しているのだと気づきました。個人識別番号 (PIN) の郵送に3〜6週間かかるというのも、アメリカ西海岸から船便で郵送するためなのでしょうね。

■ 2008年10月21日(火) 贅沢は素敵だ! いや、それほどでも…

結局、15インチMacBook Pro(Late 2008)は2.8 GHz Core 2 Duo(6 MBオンチップ共有二次キャッシュ)搭載のハイエンド機を発注しました。

といっても、さほど嬉しくも待ち遠しくもないなぁ。ウンザリ症候群(9月21日参照)がこういうところにまで伝わってきたようです。こんなザマでは新車を買っても同じようなものと思い、13年目のシビックを車検に出すことに決めました(10月2日参照)。見栄を張ったり、景気悪化の食い止めに貢献する気はさらさらありません。

StuffIt Expander v13.0.1がリリースされました。

■ 2008年10月22日(水) 定額減税並みの効果?

Wise Registry Cleaner 3 Professional10月13日参照)によるレジストリ掃除とシステムの最適化のおかげで、鈍重なWindows Vistaも多少は軽くなったように感じます。格段に俊敏になったというほどではありませんが、体感速度は確かに向上しています。

■ 2008年10月23日(木) 最近、おバカタレントがもてはやされてますが、

ときどきテレビで小中学校の教室を見かけますが、そのたびに生徒が少ないなぁ、と感じます。私がガキの頃は一クラス55名程度、最後尾の席と壁の間は通れないのが当たり前でした。要するに、細かいところまで教師の目が行き届かない、おざなりな教育しか受けていないということです。

おまけに勉強嫌いで、授業中は上の空、ノートはいつも真っ白(1月6日参照)というアッパラパーでしたから、今こうして研究に従事しているのが自分でも不思議でなりません。普通は勉強が得意(あるいは好き)な人が選ぶ道ですよね。今は亡き両親の話では、幼稚園のころ交通事故で頭部を強打して内出血し、外科医からバカになるかもしれないと言われたそうなんです。幸運にも、そういう羽目には陥らなかったということなのかなぁ。

まあ公務員試験に合格し、博士号を取得し、巨大なプログラムを作成し、賞を数回いただき、本WebサイトをすべてHTML言語で記述する程度の頭はあったのですから、脳は致命傷をこうむっていなかったのでしょう。おっと、その道のプロを驚嘆させた●●●●の芸を忘れるところだった。しかし、それくらいのことは別に(以下、グダグダ書き散らすのが面倒なので省略)

■ 2008年10月24日(金) 世界同時不況の到来

日経平均株価が前日比811円安の7,649円にまで暴落しました。バブル後最安値の7,607円に迫りつつあります。文字通りスーパー・クラッシュ(10月8日参照)です。19:00現在の為替レートはなんと1ドル=91.55円、1ユーロ=114.98円という円の独歩高となりました。ユーロはとりわけ悲惨な状況に陥っています。

このままでは輸出産業は大幅な減収・減益が必至です。地価の下落にも拍車が掛かるでしょう。少なくとも現時点では、現金(円)が最強です。

信用収縮と実体経済の悪化がもたらす不景気風は、あと2・3年は吹きすさびそうです。資金繰りに窮した会社の破綻、大量リストラ、就職氷河期が再現するのかなぁ。弱肉強食の時代を乗り切るのは本当に大変です。

5月に■■を▲▲してよかった。それに●●●を全部△△したのも先見の明がありました。オイラはおバカさんどころか、何もかもお見通しの賢者だった! しかし調子に乗っちゃダメ。当分は余計なことをせず、ひたすら首をすくめ縮こまっている方が身のためです。

■ 2008年10月25日(土) アメリカ追随の果て

大澤真幸編「アキハバラ発 <00年代>への問い」(岩波書店)では、6月8日に秋葉原で起きた無差別殺傷事件について22人の作家、評論家、ジャーナリストが様々な切り口で論じています。

これをつまみ読みした印象は「空しい文言の羅列」の一言です。自暴自棄におちいった卑小な男が引き起こしたナンセンスな犯罪を口舌の徒があれこれ解釈してみせたところで、なんの訴求力もありません。元々、一冊の本として上梓するに値するほど深みのある事件ではないのです。

ただ一つ言えるのは、厳しい格差社会では必然的に安全が脅かされるということです。勝ち組・負け組を問わず、いつどこで被害者になるかわからない「いきなりかい!」の社会 —— それが21世紀初頭の日本の現実です。独身者はともかく、扶養者のいる人は生命保険に入るしかありません。

以前、経済的事情による高校中退者が急増しているとテレビで報道していました。ある高校の先生曰く「口先だけで頑張れよ、といっても無意味」—— その通り、社会を根本的に変革しない限りどうしようもありません。

しかし、加藤智大が働いていたのは前経団連会長の所属会社のグループ企業であり、現経団連会長の所属会社では偽装請負が相次いで発覚しているくらいですから、いくら個人が「派遣・契約社員を正規雇用しろ」と主張したところで、蟷螂の斧同然です。それに、少子・高齢化が深刻になりつつある我が国で、グローバル化した世界でのサバイバルと格差是正を両立させうる変革戦略を描ける人がどれだけいるでしょうか。もちろん私も妙案を持ち合わせていません。

他人の心配よりも頭の上の蠅を追うのに忙しく、傍観者に徹するしかないというのが偽らざる心境です。9月14日にも記したように、いろいろな依頼に応じているだけで精一杯 —— あっ、そう言えば随想の締切はいつだったっけ?!

■ 2008年10月26日(日) すでに先口が…

自分が挙式する予定のリゾートホテルに当日、放火した男が逮捕されましたが、その動機は「すでに妻がいる」ということでした(笑)。昔、私が企画を立てた某学会の催しでの講演をいったんは引き受けたのに、その後、別な講演を頼まれたのでキャンセルする、と通告してきたオジさんがいて、その身勝手さに唖然としたことがありましたが、どっちもどっちだなぁ。

あれもこれも引き受け過ぎて、到底処理しきれなくなり、死んでお詫びした(あるいは、そのストレスであの世に逝った)センセイがおりました、ということにならぬように気をつけないといけません。

■ 2008年10月27日(月) 26年ぶりの株安

日経平均株価8,000円が視野に、と10月8日に書き込んだばかりですが、本日の終値7,162円はバブル崩壊後の最安値を大きく下回り、7,000円割れの可能性すら出てきました。下値の見えないスーパー・クラッシュです。

こういう暗い世相の中で日頃心がけているのは、ひたすら勤勉に働き、仕事を一つずつ片付けていくことです。ぐずぐずしていたら、処理しきれずに破綻してしまいます。お金でなく仕事が回らなくなるのです。はっきり言って、健康には自信なし。いつまで体が持つかわかりませんが、少しでも先に進むよう努めます。

■ 2008年10月28日(火) CUI vs. GUI

11月22日(土)に神戸で開かれるDV-Xα分子軌道計算講習会では、一般コースとアドバンスコースの実習が設けられます。定員は各コース20名で、参加者はいずれか一つのコースを選択します。

一般コースでは従来通りCUI(Character User Interface)が使われ、コマンドプロンプト上でコマンドを打ち込むことによりDV-Xα計算を行います。DOSやDV-Xα計算関係のコマンドの手入力が苦にならない方に向いています。

一方、アドバンスコースではDV-Xα法計算支援環境eduDVVESTAを含む)、すなわちGUI(Graphical User Interface)を通じてDV-Xα計算を行い、計算結果をVESTAで3D可視化する一連の操作を学びます。参加者はノート型PCを持参します。DV-Xα法計算支援環境は実習中に構築するそうです。

DV-Xα法計算支援環境の作者としては、両コースの人数の比に興味津々です。一般コースを選ぶ人の方が圧倒的に多かったとしたら、同支援環境の開発は無意味だったということになる! 参加登録を締め切った後、担当者にこっそり教えていただくことにしましょう。

この記念すべき講習会にぜひ参加したいのですが、大阪(情報機構セミナー)・名古屋から戻ってきた直後なので、ちょっと無理ですね。遅れに遅れている●●●の■■を急がなければならないもんで…

■ 2008年10月29日(水) バージョンアップ3件

MacNote3 v1.4.0、Igor Pro v6.10b03田楽DLL v2.99がリリースされました。

MacBook Proが届きました。かなり幅広に感じます。つなぎ目のないユニボディの美しさに感動しました。「スタイリッシュ」という言葉がぴたりと当てはまります。最初はクリックボタンらしきものが見当たらないのに面食らいました(笑)。今日はインターネットに接続し、ソフトウェア・アップデートを実行してお終い。

■ 2008年10月30日(木) 環境構築

MacBook Proにユーティリティなどをいくつかインストールした後、ファイル共有を設定しようとしたら、FTPがサービス項目から消えていました。あれこれ調べた後、Leopardでは、AFP、FTP、SMBによるファイル、フォルダの共有は[オプション...]をクリックしてからオン・オフするよう変わったことに気づきました。後はつまずくこともなく、セッティングを完了。

ハイフンを挟んで左をクライアント、右をサーバーとすると、Mac-MacはAFP、Windows-MacはFTPとSMB、Mac-LinuxはSFTPというように、4つのプロトコルを使い分けています。これ以上、手を出すと混乱するので、自粛しています。

■ 2008年10月31日(金) 消耗戦

朝から晩まで延々と書類作り —— 空しいだけです。書類と会議は根っから嫌いなんだよなぁ。

結局、今日はMacBook Proを棚にしまい込んだままでした。よくよく考えれば、MacBook Proで書類を書けば良かったんだよね(後の祭り)。

■ 2008年11月1日(土) 一安心

情報機構セミナー「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」の集客状況が気になり、事務局に問い合わせてみました。5月に東京で同セミナーを開いたときの受講者数を考慮して自分なりに設定した目標まで、あと3人! 一般に開催月に入ってからの参加申込みが多いそうなので、目標達成の可能性が出てきました。この不景気な御時世に、ありがたきこと限りなし。

そういえば当ホームページでAdSenseを始めてから19日経ちましたが、これまでに得た収益はわずか●●ドルです(涙)。講演・講習会のお客と広告のクリックを増やすのは生やさしいことではありません。集客能力は知名度、人気、実績のバロメーターですし、AdSenseはクリック要請厳禁ですからね。拙作ソフトに関する論文の被引用回数なら、放っておいても自ずと増えていきますが。

■ 2008年11月2日(日) 無機材料への粉末回折の応用に関する特集

日本セラミックス協会の学会誌セラミックス11月号が届きました。「粉末回折法の最前線」特集の一編として、

というレビューが掲載されています。我ながら、最初と最後の節は巧みに書けたと自負しています。しかし、限られた紙面ではRIETAN-FPとVESTAについて語り尽くせませんでした。VESTAの部では、粉末回折による構造研究で直接役立つ結晶化学的計算に焦点を絞って記述しました。両システムの全貌を把握するには、電子マニュアルを眺めるに限ります。ぜひそうしてください。いずれも会心作です。

本特集のレビュー10報の大半でRIETAN-2000/FP、PRIMAあるいはVESTAが使われているのは嬉しい限りです。

現在、共同研究者とともにRIETAN-FPに強力な機能をいくつか追加するべく準備中です。これらの実装が完了すれば、RIETAN-FPの弱点が減り、我が国における粉末回折の領域に新たなトレンドをもたらすでしょう。すでに公開済みのVESTAは広い分野で利用されており、VESTAで作成した図を含む論文が続々と発表されています。プログラマー(門馬君)はまだ二十代であり、VESTAの将来性は抜群です。

RIETAN-FP、VESTAとも、まだ発展途上 —— 上述のレビューは7月末の原稿締切時点における現状報告に過ぎないということを強調しておきます。

■ 2008年11月3日(月) 空しく過ぎ去った休日

三連休の間に、書類(10月31日参照)を9分通り書き終えました。きつかった… 疲れのせいか、風邪ひいちゃいました。

■ 2008年11月4日(火) Mac倦怠期

未処理の仕事が負債のように重くのしかかっています。今月中は身動き取れません。常に急かされ、追い立てられているような感じがつきまとっています。憧れのスローライフを楽しめるのはいつの日か。いや、あちこちからお声がかかるだけでもありがたいと思うべきなのか…

手に入れたばかりのMacBook Proなど、もうどうでもよくなりました。「物体」がそこにあるという感じ —— 冷淡なもんです。もちろん仕事には使いますが。

最重要の商売道具たるPCに対してさえ不感症なのだから、何を買おうが同じことでしょう。人間、こうなったらお終いです。

■ 2008年11月5日(水) あり得ないバグ

Windows上で作成したと覚しきWord形式ファイル*.docをMicrosoft Word 2008 for Macでほんの少しだけ編集し、保存しようとしたら、「"Macintosh HDへの書き込み中にディスクが一杯になりました。(後略)」と叱られました。ディスクの空き容量は十分なのですが。まったく編集しなくても、保存時に同じエラーメッセージが出ます。新規文書へのコピー&ペーストも効果なし。

仕方ないので、Windows用Wordで編集しました。何のトラブルもなく編集・保存できたのは言うまでもありません。

こういう不具合って、MacユーザーにWindows用Officeも売りつけようというMicrosoftの陰謀じゃないかなぁ。

■ 2008年11月6日(木) 昨日に引き続き、

Microsoft Word 2008 for Macにより別なファイル*.docを添削しました。数時間編集作業を続けた後、例の「Macintosh HDへの書き込み中にディスクが一杯になりました。(後略)」というエラーメッセージが現れました。

しかし、何事もなかったようにWordを終了させ、再び編集を再開しました。なにしろ、一二箇所編集するたびにファイルを保存しているので、すぐ直前の状態に戻れるんです(笑)。こうでもしないと、おちおち使っていられません、この粗悪ソフトは。安定性が業務用レベルに達していません。

膨大な人手と経費を費やして開発され、結構いい値段で販売されており、無数の一般大衆が使っている(したがってバグの報告も多い)Microsoft Officeがこの体たらくなのですから、細切れの時間をやりくりして一人か二人で製作し、無料で配付している拙作ソフトがバグだらけでも仕方ないよなぁ。Microsoft製ソフトの安定性の低さは、バグの苦情に対する言い訳に使えますよ。「天下のMicrosoftの代表的ソフトでさえバグの巣窟ですから」とか言ってね。拙作ソフトが重いとか遅いとか指摘されたときは、「あの鈍重なVistaに比べたら、ずっとましです」と開き直ればいいんです。

■ 2008年11月7日(金) 秀丸エディタ+田楽DLLのアップグレード

RIETAN-FP・VENUS統合支援環境とDV-Xα法計算支援環境の基盤となっている秀丸エディタがv7.10にバージョンアップしました。やはり両環境で利用する田楽DLLも最近v2.99にマイナーチェンジしましたので、この際、両方とも更新しておくようお勧めします。

VENUSのWebページで配付しているDV-Xα法計算支援環境に含まれている田楽DLLとそのマニュアルは最新版に入れ換えました。DV-Xα分子軌道計算講習会(11月22日、神戸)における実習(アドバンスコース)では、これを使っていただきましょう。

■ 2008年11月8日(土) Intel Visual Fortran Compilerのバージョンアップ

Intel Visual Fortran Compiler for Windowsがv11.0.061にメジャーチェンジしたので、昨日インストールし直しました。情報機構セミナー「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」(11月17日、大阪)の参加者に配付するすべてのFortranプログラム(64ビット版を含む)はこれで再ビルドします。

■ 2008年11月9日(日) 早速使わせていただきます

StuffIt Expander v13.0.2とLaTeXiT v1.16.0がリリースされました。

■ 2008年11月10日(月) 大塚愛シリーズ(?)、第三弾

セラミックス11月号のレビューではcharge flippingを手短に紹介しました。Charge flippingは結晶学における最近もっともホットな話題です。単結晶・粉末回折データのいずれにも適用でき、空間群をP1とみなして解析をスタートさせます。

Charge flippingアルゴリズムの心髄は、解析過程で得られた電子密度の各ピクセルデータのうち、ある閾値δより小さいものだけ符号を反転させるというところにあります。このような単純極まりない処理により、電子密度、ひいては位相が改善されていくのには驚かされます。

電子密度レベルの解析手法なので、charge flippingプログラムSuperflipの出力する電子密度ファイルをVESTAで3D可視化できるようにしてあります。ぜひご利用ください。

Charge flippingが逆空間法でも実空間法でもない、第三の構造モデル構築法として脚光を浴びてきたのは、論より証拠、実際に有効だからでしょう。δより小さい電子密度は確度が低くフラフラしやすい、言い換えれば解析過程で不安定な挙動を示します。実際にはあり得ない負の値となることさえあるのは、そのためです。そういう情報は役立たずだから切り捨ててしまうという手法も提案されましたが、パフォーマンスは今一でした。実社会での経済活動と同様に、いくら存在感のない影の薄い存在だからといって、血も涙もなくリストラすると、弊害が生じるのです。リートベルト法やMEMでは、実測回折強度が無視できるほど弱い反射も解析に含めています。強度が弱いということも貴重な構造情報にほかならないのです。そこで、

一点で不安定だから すぐ一転する
大塚愛、「PEACH」より

ことにより電子密度を改善していくという画期的なアイデアが生まれました。そして従来、無駄なデータと貶められ、捨てられていた電子密度が構造モデル構築に立派に役立つことが実証されました。

しかし、こんないい加減な説明じゃ、「最大エントロピー法というのは、エロ写真にかけたモザイクを取り除くようなテクニックです」(2004年6月25日参照)と説くのと、さほど変わりませんなぁ。PEACHってのも、かなりエロい歌だしなぁ。誰か、もっと適切に格調高く述べていただければ幸甚に存じます。

■ 2008年11月11日(火) 恐るべき早業

情報機構セミナー「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」(11月17日、大阪)で配付する文書ですが、脇目もふらずに10月16日に箇条書きした追記事項を執筆しました。A4で6ページの追加部分を予想の2/3の時間で書き上げました。いずれの項目も、後で再利用できる形で過不足なく書けたので、にんまりしています。

しかし、現時点では公開したくないことにまで言及しちゃったなぁ。まぁ、いいか(出し惜しみは禁物)。

なかなか仕事がはかどらない自分を駆り立てるには、色々なイベントが必要不可欠です。試験がないと勉強しない学生とさほど変わりありません。

■ 2008年11月12日(水) 効果てきめん

Intel Visual Fortran Compiler for Windows v11.0.061(11月8日参照)でRIETAN-FPの配付ファイル(64ビット版を含む)中の実行形式プログラムを再ビルドしました。64ビット版PRIMAでテストデータを解析したところ、76サイクル、75.052 s → 74サイクル、56.862 sというように、サイクル数、CPU時間がいずれも改善されました。

このコンパイラをアップデートしていくには、毎年年貢を納めなければなりません。しかし、バージョンアップ頻度、信頼性の高さ、最適化レベルの着実な向上を考慮すれば、それくらいは安いものです。フリーのコンパイラを使う気など、さらさらありません。

64ビットコードのアーカイブファイルはパスワードつき配布ファイルのWebページでダウンロードできます。「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」セミナーの参加者には、当日パスワードをお教えします。RIETAN-FPはv1.7bにアップグレードしてあります。spgra中の誤りが修正されたほか、STRUCTURE TIDY用入力ファイルをきちんとチェックしました。また、異なったフォーマット(当面、非公開)のMEMデータセットファイル*.fosを出力するよう改善しました。

上記セミナーで使うスライド140枚と補足試料(17ページ)、すべて完成しました。全部合わせると200 MBを超えています。いずれも当日印刷物として配布するとともに、受講者限定で公開します。なお同セミナーの参加人員は、現時点でちょうど目標値に達したところです(ホッ)。未曾有の不況のさなか、東京やその近辺以外の地で開催されるセミナーにこれだけの参加者が集まれば、上出来です。

■ 2008年11月13日(木) 丘の上を目指す志

丘を越えて」は昭和5年の東京が舞台です。キャリアウーマンとしての自立を目指す細川葉子、文藝春秋社社長の菊池 寛、朝鮮人編集者の馬海松の微妙な三角関係を描いています。いずれも実在の人物で、ある程度フィクションが入った実話といった印象です。茨城県三の丸庁舎(私も入ったことがあります)のようなレトロな建物を求めて、日本各地でロケしたようです。

フィナーレでは、眺望の開けた丘の上でみんなが歌い踊ります。「踊れ、喜べ、幸いな魂よ」というモテット(K.165)がありますが、そのタイトルそのままの雰囲気でした。

「僕は、五十で死にます。」と葉子を口説いた菊池 寛は、戦後、公職追放の憂き目に遭い、失意のうちに昭和23年に60歳で没しました。葉子のモデル佐藤碧子(本名:石井光枝)はこの映画公開から間もなく、本年7月5日に死去しました。享年96歳。

粉末回折の世界に足を踏み入れて、かれこれ30年、未だに丘を越えられない私としては、丘の上で明るくはしゃいでいる人たちがうらやましかったです。我が身を省みれば、脇目もふらず上を目指したなら丘の上に着いたかもしれないのに、フラフラ寄り道したり、道に迷ったりしているうちに、「日暮れて四方は暗く」(賛美歌39番)という状況に陥ってしまいました。恐らく坂を登り切らないうちに、御陀仏になるんだろうなぁ。

2年ほど前に、ある講習会で講演・実習を行いました。その合間に一人の学生が「(粉末回折データの)MEM解析ではあまり精密な電子密度は求まらないのではないでしょうか」と質問してきました。私は次のように答えました。「できるだけ本来のデータを再現するよう努めても、完璧には再現できません。プリミティブなMEM/リートベルト法はもとより、MPF法で構造モデルのバイアスを減らしたところで、不完全なままです。MEMでは観測構造因子|Fo|の誤差が本質的に重要ですが、厳密性を欠く方法で求めています。また、一般にMEMに限らず粉末回折ではTDSを無視しますから、観測ブラッグ反射自身がかなりの誤差を含んでいます(とくに高温で測定したデータの解析では)。|Fo|、その誤差、TDSの寄与が多かれ少なかれ不確かなのですから、(粉末回折データの)MEM解析は完璧からは程遠いです。将来、あなたのような若い研究者がそういう欠点を克服し、解析精度を向上させるよう願っています。」

別に皮肉でも嫌みでもなく、ただ私の願いを率直に伝えただけです。野ざらしになった先達の死骸を乗り越えて前に突き進めば、丘の上にたどりつけるかもしれません。

■ 2008年11月14日(金) ちりも積もれば山となる

GoogleのAdSenseを興味本位に始めてから、ちょうど一ヶ月経ちました。その間上げた収益は、まあこんなもんかなという程度の額でしたが、当Webサイトの運営経費(人件費を除く)、すなわちMobileMeの年間利用料金がその収益でまかなえるのですから、馬鹿になりません。もっと早く導入するべきだった!

当Webサイトの中身とまったく無関係な広告が表示されるのは、ご愛敬です。とくにリンクユニット(掲示板の上、キーワードの直下)中の広告タイトルは笑えます。MEM同様、Googleの広告配信システムも完璧からは程遠いのです。いずれも非常に有効なのは確かですが、解析能力には限りがあります。世界トップクラスの頭脳集団を抱えるGoogleでさえ、(以下省略)

■ 2008年11月15日(土) ちょうど一週間後

坂根弦太氏のブログ(11月11日)DV-Xα分子軌道計算講習会(11月22日、神戸)に関する記事が書かれていました。

■ 2008年11月16日(日) Mac用zip形式圧縮ユーティリティ

YemuZipがv2.2.4にバージョンアップされました。

■ 2008年11月17日(月) 恐るべき活力

情報機構セミナー、無事終了しました。4時間以上立ちっぱなしでしゃべりまくっても平気の平左の自分を頼もしく思いました。さすがに喉はガラガラになりましたが。

■ 2008年11月18日(火) ファインセラミックスセンターを訪問

私の講演(1時間半)には事前の予想をはるかに越える聴講者が集まりました。ご来聴の皆様に厚く御礼申し上げます。

今週は久しぶりに遠くまで足を伸ばし、気分を変えることによりリフレッシュしました。

■ 2008年11月19日(水) ABINITと田楽DLLのバージョンアップ

擬ポテンシャルを用いるDFT計算プログラムABINITの安定版(production version)が久しぶりにアップデートされ、v5.6.3になりました。

ABINITはVESTAとの相性がよく、電子密度、波動関数、静電ポテンシャルのいずれも3D可視化できます。日本材料学会主催の「第5回ノートパソコンで出来る原子レベルのシミュレーション入門講習会」ではVENDによる3D可視化が紹介されていましたが、現時点ではVESTAの利用を推奨します。

田楽DLLがv3.00にバージョンアップしました。

■ 2008年11月20日(木) クリスマスに研究会?!

第4回粉末回折法討論会「粉末法の新しい技術と応用」が12月25日(木)・26日(金)に高エネルギー加速器研究機構で開催されます。私は門馬綱一君と連名で「新構造精密化・三次元可視化システムRIETAN-FP・VESTA」という招待講演を行います。

私の講演時間だけ、ほんの少し長いのはなぜでしょうか。もっとも、本来、泉、門馬が1時間ずつ話してちょうどいいくらいのネタなので、時間不足は明らかです。

私は過去3回の同討論会で発表してきました。自ら話すのは、これが最後になるでしょう(I hope so)。今回の講演では、RIETAN-FPとVESTAの連携に重点を置くとともに、両者の将来像も提示します。最後に自作ソフトの自演も入れたいですが、時間が足りないようだったら止めておきます。

■ 2008年11月21日(金) 未体験ゾーン

昨日記したような講演、講義、レビュー・書籍の執筆なら、お手の物です。英語でも大丈夫。最近は、乾杯の音頭を平気でとるようになりました。年の功ですね。

しかし、随想(=巻頭言、2月16日参照)の執筆は苦手だなぁ。筆が重い… 一行も書かないうちに、締切が迫りつつあります。慣れないことは引き受けるもんじゃありません。過去の掲示板からコピー&ペーストという訳にはいかないし…(11月13日の書き込みなんて、多少手を加えれば再利用できそうですが)。軽率にも建設的な内容にすると宣言しちゃいましたが、前傾姿勢は自分に似合わない —— 愚痴と嫌みを書き連ねる方がよほど楽です。

ともあれ連休中になんとか片付けないと、後が苦しくなります。とは言いつつ、結局、無為のまま時間が過ぎ去るんだろうなぁ。

■ 2008年11月22日(土) ろくに実績ある指導者もいない状況で、

経験の乏しいことにチャレンジするのは、やたらに能率が悪く、迷い道に入り込みやすいです。案の定、J-PARCにおける粉末回折用ソフトの開発(9月11日参照)も滞っています。すでに今年度の実験課題を募集したにもかかわらず、トライアルユースで利用されているRIETAN-2000/FPーORFFEーPRIMAVESTAに相当するようなソフトはベータ版(デバッグ、要望・コメント受付、評価用)すらリリースされていないようです。未経験者・初心者向きのお試しコースで頻用されている標準的ソフトの同等品が未だに提供できないのでは、失態の誹りを免れません。

それに私の事前ダメ出し(2006年7月4日参照)に耳を傾けてくれたかどうか、疑問です。必須機能である一般的な磁気構造の解析でさえ、現担当者の任期切れ後に実現あるいはスルーということになりそうです。

そもそも解析以前の問題として、装置のコミッショニングが本格化するのは12月以降じゃないですか。●●県が民間企業に今年度の実験課題提案を呼びかけたのは明らかに時期尚早で、理解に苦しみます。一般に、企業は冗長性に富んでません(富んでいるようだったら、つぶれてしまいます)。世界同時不況のさなか、完成途上の装置やソフトのテストユーザー(=人柱)をあえて引き受けるのは愚の骨頂です。利益獲得に貢献しない汚れ仕事をやるためにサラリーをもらっている訳でありませんから。

慌てる乞食は貰いが少ない —— 企業人がパルス中性子・放射光源を利用するにあたっては、この文言を肝に銘じるべきです。実験用試料の準備は大変じゃないですか。プロポーザルや実験報告書を書くことだって、相当な手間がかかるんですよ。自社の研究に必要なハード・ソフトが周辺装置・マニュアル込みで勢揃いし、安定・確実に動くことを調査・確認してから、おもむろに課題申請するに限ります。とくに新作ソフトは、枯れるのに相当な年月がかかります。MEEDの悲劇(2003年12月10日参照)が良い例です。国内外を問わず定評ある既製品を選ぶ方が賢明なのは言うまでもありません。使えれば、の話ですが。

■ 2008年11月23日(日) アップデート2件

Intel Visual Fortran Compiler for Windowsがv11.0.066に、レジストリ掃除用ツールWise Registry Cleaner 3 Proがv3.81にバージョンアップしました。

■ 2008年11月24日(月) 盛者必衰

「丘を越えて」(11月13日参照)の原作「こころの王国」(猪瀬直樹)を飛ばし読みしました。意外だったのは、菊池 寛の私設秘書にして愛人である「わたし」の手記という形式だったことです。その前半だけが映画化されました。馬海松が独立運動のために朝鮮に帰国したのはフィクションだということがわかりました。

「丘を越えて」において、学芸会じみたフィナーレの代わりに、戦後、「わたし」と菊池 寛が最後に会う哀切きわまりないシーンを入れたならば、時の移ろいも感得され、もっとしっくり来たのになぁ、と思いました。猪瀬直樹は2年にわたってモデルの女性から取材したそうですから、実話でしょう。

次回の映画評は「百万円と苦虫女」をとりあげます。

■ 2008年11月25日(火) こわごわ通知表を覗いてみると…

情報機構セミナー「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」(11月17日、大阪)の参加者に対するアンケートによれば、同セミナーの評判は上々だったそうです。ほっとしました。

同じセミナーを東京で開いたならば、ざっと二倍のお客様が集まったんだろうなぁ(経験則)。それを承知の上で大阪開催の要望を受け入れてくれた情報機構に深く感謝いたします。

■ 2008年11月26日(水) Mac用Open/Saveダイアログ強化ユーティリティ

Default Folder X v4.1がリリースされました。これに相当するWindows用ユーティリティがあると助かるんですが…

■ 2008年11月27日(木) 毎日勤勉に働いてはいるものの、

遅々として仕事がはかどりません。例の随想(11月21日参照)は相変わらず放置プレー状態です。恐らく、締切の翌日あたりに一時間程度で書き飛ばすことになるでしょう。極端なスロースターターだが、いったん書き始めると異様に速い —— そう開き直ってます。

今年は二つの仕事にかなりの時間を割かざるを得なくなり、消耗し尽くしました。国際研究集会での依頼・招待講演3件をお断りしていなかったら、過負荷状態に陥ったに違いありません。優先順位の高い案件をつつがなく処理していくには、それくらいの手抜きは必要悪です。

来年の最優先課題はすでに決まっています。私にとっても連携先の大学にとっても、学術的にも有意義なことなので、その遂行に全力を傾けるつもりです。また、ここ数年間でもっとも重要と認識している学会行事が7月に開催されます。集客能力を期待されている以上、なんとしても成功裡に終わらせねばなりません。自分のキャパシティーを考慮すると、来年はその二つでいっぱいいっぱいでしょう。残りのプラスアルファは、パニックにならない程度のペースでボチボチやっていきます。

■ 2008年11月28日(金) 芸は身を助く

昨日記した某学会誌の随想、やはり来週までは持ち越したくなかったので、ついに重い腰を上げました。以前書き込んだ通り、タイトルは「びっくりしたい」です。あっという間に擱筆。実質20分くらいしかかかってないんじゃないかな。この猛スピードには、我ながらびっくりしました。

本掲示板に毎日書き込む余裕があるのも、この速筆のおかげです。速けりゃいいってもんじゃないですけどね。

しかし、これほどオプティミズムを前面に打ち出すと、ゴーストライターが書いたんじゃないか、と誤解されかねません(汗)。それくらい手放しの自己肯定です。

ともあれ、内容を全面変更する余裕など毫も無し。週末に推敲し、締め切り日の12月1日に編集担当者に送りましょう。

■ 2008年11月29日(土) Googleの教育的指導

一時は尻つぼみになっていくかと危惧されたAdSenseですが、2008年11月の最適化レポートをGoogleから受け取り、その指示に従ったところ、見事に盛り返しました。さすがはGoogle、商売上手です。

今や飛ぶ鳥を落とす勢いのGoogleは、収益の約41%をAdSenseから得ています。アイデア、技術力、ビジネス遂行力がマッチしたネット企業は一味違います。収益はさほど眼中にありませんが、最先端ネットビジネスの世界を垣間見ることができたのは貴重な経験でした。

Mozillaは2007年度の収益7500万ドルのうち88%はGoogleから支払われており、税務当局は非営利団体という看板に疑念を抱いているそうです。Googleがオープンソースの世界にも影響を及ぼしていることが窺えます。Firefoxそのものは無料ですが、Firefoxに標準装備されているGoogle検索ボックスを通じた広告が6600万ドルもの利益を生み出すのです。勝ち組同士の密接な連係プレーの舞台裏では巨額のマネーが動いています。

■ 2008年11月30日(日) あしあと

過去に講演と講習のお知らせに掲示した研究集会や講習会などはいずれも終了後に消去してきましたが、昨年以降のものについては一覧を表示するよう変更しました。私の講演・講義のタイトルまでは記しませんが、リンクをたどるか掲示板を参照すれば、たいてい分かるはずです。

ご覧のように、人前に立つ機会が結構多いです。●●県BLのための人寄せ代行サービスからはきっぱり足を洗い、国際研究集会は敬遠しているのにこんな具合。来年についても、すでに三つほど決まっています。それぞれかなり準備に時間を取られるので、今後は適切に取捨選択していかねばなりません。

■ 2008年12月1日(月) 借金魔の弁

公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人は2008年度上半期の損失が過去最大の2兆9000億円に達したと発表しました。駒澤大学はデリバティブ取引で154億円もの評価損を計上しました。また、立正大学が資産運用を目的とする金融取引で、今月9月末時点で約148億円の含み損を抱えていることがわかりました。

安全な資金運用を心がけるべき公的年金や大学の金融資産にして、かくの如き惨状を呈しているのですから、個人レベルでは目も当てられない悲劇が至るところで起きていることでしょう。近年、銀行は利ざやが小さい預金をあまり歓迎しなくなりました。銀行がせっせと顧客に売り込んだのは、高い手数料収入が見込める外貨預金や投資信託でした。その口車に乗り、軽率にも老後資金や退職金をそれらに投じた中高年の人々は今、円高、投資銀行などの破綻、株価暴落、世界同時不況に直面し、呻き声を上げています。

ドストエフスキーの「未成年」は青年アルカージィの手記という形をとっています。彼の夢は、ロスチャイルドのような大富豪になり、実社会での力を獲得することです。いかにして金を儲けるか —— 彼の手記にはそのための方策が詳細に記されています。アルカージィのルールを忠実に守っていたならば、上記三組織は巨額の損失を出さなかったに違いありません。

賭博狂で、常に借金の返済に追われていたドストエフスキーの提案する19世紀流蓄財術など今では通用しない、と言うなかれ。そういう禁治産者同然の人物だからこそ知り得た、普遍的な真実もあるのです。

そう言うあんたはどれだけ貯め込んだのかい、と問われそうですね。私の場合は、蓄財は視野の外。ずっと放置してきただけです。生来、モノや金に対する執着心が希薄なのです。自作ソフトを作りっぱなしで、自ら活用する気がないのと、よく似ています。

■ 2008年12月2日(火) さる国際会議で

WIEN2k開発の中心的存在であるウィーン工科大学のBlaha教授がVESTAを賞賛しておられたと聞き、そのエピソードを随想(11月28日参照)の最終稿に急遽、書き足しました。光栄至極です

そういえば、WIEN2kのWebサイトではVENUSへのリンクが張られていましたね。以前、メールをやりとりしたこともあります。

■ 2008年12月3日(水) スイス便り

キール大学からベルン大学に移られ、ますますご活躍中の永嶌真理子さん(2005年11月24日2006年5月20日参照)は、最近、同僚たちへのRIETANVESTAの布教活動に励んでおられます(別に宗教ではありませんが)。とくにVESTAは、普段ATOMSを使っている人たちにはカラフルでモダンに見え、かつ操作性も良いので、彼らはすぐに飛びつきます。電子密度を3D表示してみせると、とくに喜んでくれるとのこと。そして「これがフリーソフト?」と意外そうに聞くのが常だそうです(笑)。

彼女がVESTAで描いた4つの図を含む最新論文(macfalliteの結晶化学)を紹介しておきましょう:
■ 2008年12月4日(木) 三日続けて来訪者

その他にも色々ありましたが、やるべきことはちゃんとやりました。ここ数ヶ月かかり切りになっていた苦役から解放される日は、もう間近です。大勢を相手に奮闘するのも、これが最後でしょう。

本日の来訪者曰く「RIETAN-FPのMac版をつくっていただけませんか」。Mac用実行形式プログラムをビルドするのにそう大した手間はかかりませんが、強力なモチベーションを欠いていますし、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境に匹敵するMac用環境を構築する暇も気力もありません。Mac上でWindowsを動かせばいいじゃん、と言い張りたいです。「●●●●●●の■■■を私の▲▲▲に□□□□□、○○○○させればいいんですよ」と答えておきました。

■ 2008年12月5日(金) 趣味と実益?

VESTAに関する論文(Momma and Izumi, 2008)が"Highly cited top 1% papers in NIMS"という資料の先頭に置かれていたので、びっくり仰天。そうか、2008年に発表された化学分野の全論文中で被引用回数がトップ1%以内ということなんだ。化学はトップ1%に入るための閾値が最も高い激戦区です。当該論文は6月に活字になったばかりなのに、NIMSにおける化学論文ではダントツの首位を走っています。VESTAで作成した図を使った論文では必ず引用するようお願いしているので、被引用回数は今後もぐんぐん増えていくことでしょう。

もっとも、プログラミングの主体は東北大の門馬綱一君であり、私が稼いだ講演・講義料や印税をつぎ込み、互いに知恵を出し合い、両人共通の「個人的趣味」として開発したソフトに関する論文をNIMSの成果だと言われても、ピンと来ません。著者の氏名(所属)は門馬綱一(自宅)、泉 富士夫(自宅)というのが偽らざる実感です。

その論文が化学に分類されているのにも異論があります。VESTAは物理、材料科学、地球科学など物質・材料・鉱物を扱う研究分野で共通に使える3D可視化システムなのですから。実際には、平行六面体中のいかなる物理量でも視覚化できますし。

今年の前半は、VESTA関連の三点セット、すなわち正式版、原著論文、英文マニュアルを取り揃えるのに全力を傾けました。奮闘努力の甲斐あって、上述のようにVESTAがブレークを果たしたのは嬉しい限りです。VESTAを3D可視化エンジンとして含むDV-Xα法計算支援環境DV-Xα研究協会功績賞受賞IUCr国際会議においてVESTAで作成したイメージを採用した絵葉書の配付(8月17日8月27日参照)も大変名誉なことでした。VESTAの勢いは留まることを知りません。

■ 2008年12月6日(土) 三点セットと言えば、

昨年、遅ればせながら購入した三種の神器(ケータイ、ソーラー電波時計、iPod)は、いずれもちゃんと使い込んでいます。埃をかぶってはいません。一番使用頻度の高いiPodは、来年秋にはnanoからtouchに昇格させる心積もりです。

■ 2008年12月7日(日) Superflipのバージョンアップ

Charge flippingプログラムSuperflipの新バージョンが一昨日リリースされました。

ちなみに、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境(フロントエンド)はSuperflipとEDMAをそれぞれcharge flippingと電子密度マップ解析用のエンジンをバックエンドで呼び出します。Superflipはツールバー上のSUPERFLIPボタン、EDMAはプルダウンメニュー(マクロ→その他→EDMA)で起動します。またVESTAはSuperflipの出力する3Dピクセルデータを可視化できます。VESTAもRIETAN-FP・VENUS統合支援環境からバックエンドとして実行可能なのは言うまでもありません。

■ 2008年12月8日(月) 磁気構造解析に関するディスカッション

磁気形状因子やLandeのg因子などについてポスドクと議論しました。大分前ですが、その道の権威にお伺いを立てた上、RIETANで採用した式が一つあるのですが、それでは不十分だという疑いが湧いてきました。人は当てにならないですね。さらに十分調査した後、必要ならRIETAN-FPを改訂しようということになりました。

■ 2008年12月9日(火) 新たな宿題

来年出版予定の某専門書用に表紙の図を作成するよう頼まれましたが、はてさてどうしたものか。数年間は飽きの来ないようなデザインとなると、荷が重いです。

今はなきX線・熱分析装置メーカー、マック・サイエンスの技術情報誌の表紙は私がPRETEP+ORTEP-IIやATOMSで描いた結晶模型で常に飾られていました。評判は上々でした。結構楽しんで製作していた記憶があります。しかしそのような創作意欲は今やめっきり衰え、面倒だなぁという精神的負担だけがのしかかってきます。

とりあえず、この仕事は先送りします。年末年始にでも、じっくり検討しましょう。

私のところには色々な話が持ち込まれすぎるんです。自分くらいの年ともなると、あまり声がかからなくなるのが常なのに、ここ3・4年はむしろ逆。萎えた心に並列処理はきついです。上記のような小物はなんとか片付けますが、中には4年はかかりそうなヘビー級の依頼(最後の聖戦?)すらあります。それらの要請をどう取捨選択したらいいのか、どの辺で切り上げればいいのか —— 真剣に悩んでいます。

■ 2008年12月10日(水) 気息奄々

長期間にわたる悪戦苦闘の末、今年達成すべき目標5つのうち4番目を先ほど完遂しました。さすがの私も、この拷問めいた苦行には疲弊し尽くしました。

残念ながら、浅草寺に賽銭を上げに行く暇は到底ないなぁ(4月24日参照)。昨日記した表紙のデザイン同様、来年に延ばしましょう。

5番目の目標は、その気になればいつでも達成しうることなので、これまた来年に先送りします(どういう理屈?)。

■ 2008年12月11日(木) Windows用CD/DVDエミュレーション・ユーティリティ

DAEMON Tools Lite v4.30.2がリリースされました。

■ 2008年12月12日(金) 掲示板のネタ枯渇時の救世主

名古屋工業大学大学院 物質工学専攻の岩田知之君(D2)は12月6日に開催された日本セラミックス協会東海支部学術研究発表会における講演「分子動力学法によるケイ酸ランタンの酸化物イオン伝導機構の解析」で優秀講演賞を受賞しました。おめでとうございます。受賞の模様はここで見られます。

RIETAN-FPにより結晶構造を精密化し、RIETAN-FPーPRIMAによりMPF法で電子密度分布を決定し、さらに分子動力学シミュレーションで酸化物イオンの動きを解明したそうです。電子状態計算に引き続き、分子動力学計算にまで進出したのですね。大したものです。

構造モデルと電子密度分布の描画には、もちろんVESTAが使われました。VESTAで作成した図は視覚に強く訴え、見栄えがするので、講演賞やポスター賞を獲得するには最強の武器になります。

岩田君は2年続けて4回目の受賞(2007年12月24日2008年8月12日参照)です。すごい勢いですね。拙作ソフトがお役に立てて光栄です。

■ 2008年12月13日(土) かろうじて互換性はあるものの

変更履歴を記録したWord形式ファイルを他のOS上で再編集するのは禁物です。異様に重く不安定になります。

それを知ったのがつい最近 —— 後の祭りです。

■ 2008年12月14日(日) あしあとの範囲拡大

講演と講習のお知らせを2006年にまでさかのぼった内容に改めました。量子ビームセンター発足後に依頼・招待された講演・講習の一覧とするためです。一般に公開した国内の研究集会・講習会だけを掲示しており、外国で開かれた国際会議や大学での講義は含んでいません。

■ 2008年12月15日(月) 最適化レベルの更なる向上

Intel Visual Fortran Compiler for Windowsの最新版v11.0.066をインストールし、最適化用コンパイラオプションを色々変えて64ビット版PRIMAを再ビルドしてみました。RIETAN-FPの配付ファイルに含まれているsorbitolの放射光データを使ったベンチマークテスト(1月29日2月4日11月12日参照)をDELL Precision T5400上で実施し、新たなコンパイラオプション4つを追加してビルドした実行形式ファイルprima64.exeで49.52 sという新記録を樹立しました。前バージョン(パスワードつき配付ファイルからダウンロード可)比で約14%高速化したことになります。

これだけ着実に進化しているコンパイラなのですから、毎年取り立てられる年貢(ライセンス更新料)は少しも惜しくはありません。意外に思われるでしょうが、私は少なくとも業務用に常用するソフトは有料ソフトが望ましいと考えています。一般に、ユーザーサポートと継続的かつ適切な頻度でのバージョンアップが期待できますから。gfortranG95はインストールすらしたことがありません。

ちなみに、かの有名なフリーソフトウェアemacsは「地獄からやって来たエディタ」と呼び、毛嫌いしています。今となっては、前世紀の遺物です。あんなものを有り難がる人の気が知れません。

■ 2008年12月16日(火) えっ、最終回の視聴率28.7%だって

一昨日「篤姫」を初めて見ました。宮崎あおいといえば「害虫」での怪演(当時15才)しか思い浮かばない私にとっては、綺麗事とお涙頂戴のオンパレードに過ぎず、ほとほと閉口しました。大体、死ぬ間際でも老け顔になっていなかったのは、なぜなんだ?こんなクソみたいなドラマ、見なきゃよかったなぁ。

■ 2008年12月17日(水) 些細なことで手間取り、時間を浪費

第4回粉末回折法討論会「粉末法の新しい技術と応用」における招待講演の準備にとりかかりました。まずはアブストラクトとプロシーディングの原稿を執筆し、早々と送ってしまいました。

引き続き、数式入りのスライドをLaTeXiTで作成している際、preambleの変更方法が分からなくなりました。デフォールトのpreambleに

¥usepackage{bm}
¥usepackage{txfonts}
¥setlength{¥textwidth}{100mm}

の3行を追加したのですが、編集中のテキストにどうしても反映されないのです。長時間の試行錯誤の末、[Documents preamble]で自前のpreambleを選択し、[Apply to open documents]をクリックすればよいということが判明しました。

■ 2008年12月18日(木) 幻のマルチスライスTEMシミュレーション・ソフト

東北大学多元物質科学研究所の津田健治氏から、VESTAで作成したSiの電子密度+静電ポテンシャルのイメージ(9月1日参照)がActa Crystallogr., Sect. A: Found. Crystallogr., Vol. 65 (2009)の表紙に採用されたという喜びのメールが届きました。おめでとうございます。

確かに図の説明には、"The figure was drawn using VESTA [Momma & Izumi (2008), J. Appl. Cryst. 41, 653-658]."という文言が入っています。X線・中性子回折ばかりでなく電子回折の分野でもVESTAが活躍していること、このような最先端の研究にVESTAが貢献したことは実に喜ばしいです。過去の例を調べると、同じ図が1年間使われるんですね。著名国際誌を舞台とするデモンストレーションの波及効果は、第21回IUCr国際会議で配付された3枚の絵はがき(8月27日参照)どころではありません。

実はRubenがNIMSで働いていたとき、マルチスライス法による結晶構造像のシミュレーションのためのプログラムMULTISをVENUSの一部として製作してもらいました。その際には、津田氏にも相談した覚えがあります。しかし、Rubenの雇用継続の危機に浮き足立ち、マニュアルも書かずに放置せざるを得なくなり、彼の離日とともにお蔵入りしてしまいました。当時の脱線・暴走ぶりの凄まじさを物語るエピソードです。

大体、自分に残された時間を考えて行動すべきだよなぁ。このバランス感覚の欠如が持ち味といえば、それまでですが。

■ 2008年12月19日(金) 静電ポテンシャルと言えば、

昨日は収束電子回折パターンの解析により電子密度と静電ポテンシャルを求める研究に言及しましたが、X線回折データから電子密度ばかりでなく静電ポテンシャルも計算できないか、という質問がPRIMAVESTAのユーザーから複数寄せられています。答えはイエスです。それはとりたてて最新のテクニックではなく、10数年も前に次の論文

で提案されており、そのためのプログラム(XD2006パッケージ中のXDGRAPHモジュール)も公開されています。ただし、自分で試用した経験がないので、詳細は知りません(質問禁止モード)。電子状態の計算結果と比較するのも有意義でしょう。分子科学の研究者はぜひチャレンジしてください。

たとえば、つい最近の論文

でもXDGRAPHが活用されています。

■ 2008年12月20日(土) タンス預金の使途

日銀が政策金利を0.1%に引き下げ、トヨタは通期で営業赤字に転落する公算が大、2009年度末の国債残高が581兆円(国民一人あたり456万円)という日本経済の惨状を目の当たりにし、これまで温存してきた外部研究資金を使って内需拡大に貢献(?)しようかと思い立ちました。ところが、MacBook Proを入手済みの今、いくら思案しても使い道が思い浮かびません。一人で仕事を回している限り、極端な低コスト体質なのです。

こりゃ、今年度も繰り越しだな。目減りするもんじゃないから、当面それで構わないでしょう。

大体、これまで内部留保をしこたま確保し、余裕綽々のはずのト●タ、キ●●ン、ホ●ダ、ソ●ーなどが、不況となるや否や血も涙もなく非正規雇用労働者の首を切りまくっているというのに、なんでオイラがなけなしの手持ち資金を放出しなければならないんだって抗議したくなります。日本を代表するような企業でさえ、まともに社会的責任を果たしていないのです。

■ 2008年12月21日(日) 固定費削減: 効果が持続し、しかも無税

昨日の書き込みは仕事の話。プライベートに欲しい物は —— う〜ん、とくにありませんねぇ。強いて言えば、バリューコースに切り換えるためのケータイの機種変くらいかな。基本料金がほぼ半分になりますから。旧機種の激安販売が狙い目です。

最近は固定費削減に励んでいます。たとえば、近日中に某ゴールドカードから退会する予定です。今後は年会費無料カードしか使いません。それでも利用可能枠は50万円もあります。

■ 2008年12月22日(月) 実話だそうですが

おっぱいバレー」って、どうみても「ドラッグストア・ガール」(2004年11月12日)の真似してるよなぁ。

■ 2008年12月23日(火) メモ代わり

Fetchでファイル・フォルダ名を変更するには、ファイル・フォルダを選択した後、Remote → Get Info。

同じくFetchで同一フォルダを別なWindowとして開くには、そのWindowsをcontrol-クリックし、Clone Windowを選択。

■ 2008年12月24日(水) 在庫過剰に右往左往している自動車業界の中で、

ただ一社、スズキだけがこの一年、在庫(棚卸し資産)を大幅に減らしてきました。最近社長に復帰した鈴木 修氏(78)の勘ピューターのおかげだそうです。カリスマのカリスマたる所以は、こういう危機探知能力と有無を言わさぬ実行力にあります。

どんなことでも、過剰は良くないです。私の場合、肝に銘じなければいけないのは、降りかかってくる火の粉を巧みにかわし、To-Doリストを絞り込むことです。あれもこれもと欲張ると、どれもポシャッてしまいかねません。

一方、やりたいことだけやっているようじゃダメ(2007年5月14日参照)、という大人の意見もあります。要はバランス感覚なんでしょうなぁ。

■ 2008年12月25日(木) トップバッターとして

第4回粉末回折法討論会「粉末法の新しい技術と応用」で講演するため、久しぶりにKEKに行ってきました。会場の国際交流センターは、以前はなかった建物です。浦島太郎になった気分でした。参加者は予想外に多かったです。

■ 2008年12月26日(金) 仕事納め

実質的に今日で仕事は終わりです。一年を振り返れば、まずまず大過なくミッションを果たせたと自負しています。来年もマイペースで着実に仕事をこなしていくつもりです。大きな努力目標は二つあります。内一つは来年度中になんとか片付けたいです。

■ 2008年12月27日(土) Free fall(垂直落下)

「もはや米系も日系もなく、大型も小型もなく、自動車と名の付くすべてが真っ逆さまに坂を転げ落ちている。」(週間東洋経済、12/20)。

「(自動車販売台数の減少は)すべての国、地域で日を追って変わっていて、底が見えない。」(トヨタ自動車、渡辺捷昭社長、12/22)

世界同時不況の下では、自動車販売は当然落ち込みます。個人の所有物としては自動車は住宅や土地に次いで高価なものですし、金融危機の余波でローンを組むのが困難になりますから。それに、自動車の耐久性が向上しているにもかかわらず、これまで廃棄や売却のタイミングが早すぎたんですよ。MOTTAINAIの精神を大事にしましょう。そしてプレーヤーが多すぎる自動車業界における統廃合を促そうではありませんか。

私も新車の購入は避け、車検に出しました。満13才の大衆車でも、なんのトラブルもなく動いています。後4年はこれで行けそうな気がします。

■ 2008年12月28日(日) うっかり忘れてしまいました

第4回粉末回折法討論会「粉末法の新しい技術と応用」での講演時には、RIETAN-FP最新版の配付についてとくに告知しませんでした。同討論会の出席者で、入手をご希望の方はメールでご連絡ください。折り返し、アーカイブファイルのURLをお知らせします。

■ 2008年12月29日(月) うまいこと言うなぁ

先日、某大手企業の知人と話す機会がありました。彼曰く、「産業界がSPring-8やJ-PARCを必要としているのでなく、SPring-8やJ-PARCが産業界(の利用)を必要としているに過ぎませんよ。実は●●●が(以下略)」 はあ、アカデミックな研究だけに使うのでないということを数値データとして示すには、産業利用の割合を遮二無二増やさねばならない、ということですか。納得。

そういう苦しい事情の下では、ゆるい審査とビームタイムの大盤振る舞いは必要悪なんですね。(たとえ報告義務のある実験成果でも)企業活動にとって重要な結果ほど表に出て来ないのは遺憾ですが、施設の維持と予算獲得を図るためには、四の五の言ってられないのでしょう。

ともあれ、私は産業利用の拡大に向けて御先棒などかつぐ気などこれっぽっちもありません。勝手におやりになったら、という傍観者的立場で臨みます。当方(私やNIMS)にとってほとんどメリットがないどころか、時間の浪費につながるからです。もちろん何らかの見返りがあるのなら、話が別ですが。

未曾有の不況により体力を奪われた製造業にとって、喫緊の課題は収益の改善です。製品の開発・改良に直結するわけでない放射光・中性子利用に腰を据えて取り組むどころじゃないでしょう。事実、上記の知人に11月22日の書き込みを見せたら、同感だと言ってました。

■ 2008年12月30日(火) elmiXの最新版

RWTH Aachen大学(ドイツ)が配付する電子顕微鏡関連データ解析・教育用Linux LiveCD、elmiX4月11日参照) v2008.1が12月19日にリリースされました。三次元可視化システムVESTAが唯一の国産ソフトとして含まれています。

■ 2008年12月31日(水) 申し訳ありませんでした

12月28日にお知らせした粉末回折法討論会参加者限定のRIETAN-FPの配付ですが、昨日までに5名の方からURL教示要請のメールが届きました。どうして講演の最後で配付について述べるのを忘れたんでしょうかね。まだらボケが始まったのかなぁ。今後はこういうことがないよう十分気をつけます。

あっ、今日で今年はお終いですね。よいお年をお迎えください。本掲示板への書き込みは来年も細々と続けます。