掲示板バックナンバー: 2009年


2009年

■ 2009年1月1日(木) 二つのアップデート

DAEMON Tools Lite v4.30.3とWise Registry Cleaner 3 Pro v3.91がリリースされました。

新年早々こんなショぼいことしか書き込めないようでは、先が思いやられます。明日は実利に直結するネタで行きましょう。

■ 2009年1月2日(金) 今ここに一千万円あるとします。

それを3年定期で三菱UFJ銀行に預けると利率0.35%なのに対し、イーバンク銀行に預けると0.83%、実に2.37倍の利率です。もちろんネット銀行といえども、元本一千万円までとその元本に対する利息が保証されるのは大手銀行の場合と同じです。

したがって、Webなどちんぷんかんぷんの化石人間でない限り、大手銀行に一千万円を定期預金するのは愚の骨頂という結論が得られます。

粉末回折装置の分解能が何%、リートベルト解析のR因子が何%なんてことより、利率が何%という情報の方がよほど重要ですよ、こういう超低金利時代には。生活が成り立ってこその研究でしょう。もっとも、本掲示板を読んでいる人のうち、何%が一千万円の現ナマをもっているのやら。なにしろ無貯蓄世帯率が約20%であり、単身世帯に至ってはなんと約30%だそうですから。

■ 2009年1月3日(土) 単なる休止、それとも樹海逝き?

それにしても無職ヒッキーだめ男はどうしたんでしょうなぁ。ブログを休止した二日後に小泉毅が警視庁に自首ということから、だめ男=小泉 毅説も出ていますが、小泉 毅はデイトレで損した口です。だめ男くらい儲かっていたら、自暴自棄の果ての犯罪を犯すはずがありません。

■ 2009年1月4日(日) 明日は仕事始め

これほど何もせず、炬燵にあたりながらボーっとしていた年末年始は珍しいです。

暇つぶしに、年末に届いたJ. Ceram. Soc. Jpn.の1月号のページをくくったところ、RIETAN-2000/FPとVESTAに関する論文が計15回も引用されていました。非常に勇気づけられる数字です。無機材料の分野では、これらのソフトはここまで普及しているんですね。

しかし、営々と築き上げてきたソフト資産の利息を数えて、ひとり悦に入っているような後ろ向きの姿勢では生き残れません。さらに資産を積み増すための投資を惜しまぬよう、今後も留意します。ご支援・ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします。

■ 2009年1月5日(月) 生まれついての縮み指向

ふと気がつくと、今年中に5回も人前に立つことになっており、思わず身震いしてしまいました。今後どうしても断れない依頼が飛び込んできたら、落ち着いて仕事できない! 引っ込み思案でシャイな私にとって、過剰な露出は自殺行為に近いです。限度を越えると、心がひび割れし、こわれかねません。保留中の招待講演(国際会議)は、自己防衛のため切り捨てることにしました。

その程度の依頼件数でひるむほどcapacityが小さいのは、我ながら情けない限りです。言い訳になりますが、高温超伝導バブル全盛時代に負ったトラウマが未だに尾を引いています。過労と睡眠不足で倒れそうな体にむち打ち、2週間に1度(!)くらい講演していた時期さえありました。毎月のように論文やレビューを書きまくりながらですよ。そのつらさや圧迫感は精神的・肉体的にタフな御仁には理解し難いでしょう。高温超伝導体の構造解析で、とある学会賞を受賞したのですが、受賞者が執筆すべきレビューも書かずに済ましたという恥ずかしい逸話もあるくらい、当時は疲弊していました。

後年、粉末X線・中性子回折による構造解析を忌避するようになり、拙作ソフトを自ら駆使するのを止めてしまったのも、そのトラウマに根ざしているのかもしれません。

高温超伝導フィーバーの際にくぐり抜けた過酷な試練については、2003年3月8日にも記しました。そういう修羅場を乗り越えると神経が図太くなって然るべきですが、私の場合は逆に萎縮してしまったということです。

■ 2009年1月6日(火) 延長戦

昨年末で完了したつもりでいた苦行の継続を余儀なくされています。それだけに専念できる状況ではないので、来週前半くらいまでかかりそうです。

■ 2009年1月7日(水) お言葉を返すようですが…

1月2日の書き込みに関連し、「泉先生が定期預金の利息などに言及するのは違和感があります。」というお叱りのメールをいただきました。私のイメージと合致しないということですか。実のところ、そのギャップを狙ったんですよ。ゆうこりんが焼肉屋を出店したり、株やFXに投資しているのが意外性があって面白いのと同様です。

もっとも、私は奇を衒っているだけで、お金に対する執着心も資産運用の実行力も到底ゆうこりんにかないません(笑)。「投資をしないリスク」を敢えてとっている口です。論文の被引用数や当ホームページの訪問者数には目を瞠るものがありますが、そんなもの、いくら増えようが一銭にもなりませんわな。

「あんたはよく『オレをただ働きさせるんじゃねえ!』と息巻いてるじゃないですか。」というツッコミが入るかもしれません。別に金(外部資金)欲しさに吠えてる訳ではありませんよ。気乗りしないことには関わり合いたくないから、そう毒づいているだけです。ストレスを溜め込むと、健康を損ないかねません。ある程度長く年金を頂戴してから、この世を去りたいです。

ああ、語るに落ちてしまった。今日はここでおしまい。

■ 2009年1月8日(木) RIETAN-FP最新版配付のデッドライン

昨年の12月28日にお知らせした粉末回折法討論会参加者限定のRIETAN-FPの配付につきましては、明日まで申込みを受け付けます。

■ 2009年1月9日(金) 昨日の続き

結局、計15名の方々からRIETAN-FPの配付を要請するメールを受け取りました。

当掲示板のバックナンバーをチェックしてみたところ、同討論会の出席者にRIETAN-FPのダウンロード法を教えるとは約束してませんでした。わざわざ手間暇かけなくてもよかったんだ。

まあいいか、有意義なことなんだから。

■ 2009年1月10日(土) 携帯電話の脳腫瘍リスク

を調査したところ、最悪の中間結果が得られたそうです(情報源はここ)。

そろそろ機種変したくてうずうずしているのですが、らくらくホンなら安全てことはないんでしょうか(笑)。

■ 2009年1月11日(日) MacTeX-2008(1月8日版)

Mac用TeXインストール・パッケージMacTeX-2008が1月8日に更新されました。TeXShopはv2.18のままですが、再ビルドされています。本パッケージにおいてどれがどう変わったのかは不明ですが、私にとってはIntel Visual Fortranとともに最重要のアプリケーションなので、それに入れ換えておきました。

入れ換え作業が終わった後、TeXフォルダの直下にTeX Live Utilityというユーティリティが追加されたことに気づきました。今後はこれでアップデートできそうです。

■ 2009年1月12日(月) まるでガクっと来たときの己を見ているような気が…

広告市況の悪化で、テレビ局の業績が悪化しています。とくに番組と番組の間に放送されるスポット広告が急減しており、番組制作費削減が至上命令となっています。

苦境下にあるテレビ局にとって魅力的なコンテンツとなるのが、お笑い番組です。視聴者に根強い任期があり、しかも比較的予算をかけずに製作できるからです。しかも、お笑い予備軍の若者は無尽蔵にいます。人材の枯渇が目立つ理工系とは、大違い。底辺が分厚ければ、逸材の含まれている確率は自ずと高まるのです。

ところで、私が好きなお笑い芸人は、なんといってもザ・パンチです。ご存じない方はこれをご覧あれ。

パンチ浜崎(ボケ)vs. ノーパンチ松尾(ツッコミ)の掛け合いを楽しんでいると、ついつい自作ソフトの低レベルユーザー vs. 作者(泉)を連想してしまします。マニュアルをろくに読まずに質問してくる横着者(いきなりかい!)、結晶化学の知識の欠如のため到底あり得ないような構造モデルをでっち上げる企業人、質問に丁寧に答えてあげたとたんに応答しなくなるちゃっかり者(無数)、Readme.txtを和訳してくれと泣きついてくる英語アレルギー患者、オイラのPCにインストールしたRIETANが動かないから助けてくれと次々にメールを送りつけてくる学生、結晶解析の経験がないので弟子入りさせてほしいと泣きついてくる●●、などなど —— 過去にこういった底辺ユーザーの相手を嫌になるほど務めてきました。その都度、松尾のように顔をゆがめてうめき声を上げたくなりましたよ。

挙げ句の果てに、私はフリーライドお断りの姿勢をとるようになり果てました(1月7日参照)。「オレをただ働きさせるんじゃねえ!」—— 身も蓋もない文言ではありますが、「そうか、無理もないな」と同情していただければ幸甚に存じます。

■ 2009年1月13日(火) ソニーが14年ぶりに営業赤字に転落した件

膨大な研究開発資金を投じたPS3とブルーレイ・ディスクが売れ行き不振の上、液晶テレビの価格がかなり下落してますから、世界同時不況と円高が同時に押し寄せれば、必然的に悲惨な状況に陥ります。

ソニーがゲームマシンで任天堂に惨敗したのは、高付加価値商品ならば必ず売れるという幻想に囚われていたからでしょう。バブルの頂上と周期が合えば大ヒットした可能性が強いですが、現実はそう甘くありません。今や時価総額でソニー(1兆9307億円)は任天堂(4兆7813億円)に大きく水を空けられています。

低画質のDVDが依然として幅をきかせており、ブルーレイは未だに主流になっていません(ビデオ屋を覗けば一目瞭然)。おかげで、アメリカでの年末商戦では、ブルーレイ・ディスクは大幅値引きを余儀なくされました。

液晶パネルは内製してませんから、大分コスト高なんじゃないでしょうか。いくら売れてもろくに儲からないんじゃ、話になりません。コニカミノルタの技術を注入したデジカメも苦戦しています。要するに圧倒的な強みをもつオンリーワン商品が存在しないのです。

ソニーに限らず、自動車・電気産業を中心とする輸出産業は総崩れ。こういう世界経済に連動しやすい業種は、来年度も厳しい業績が続くでしょう。一方、国内をターゲットとするNTTドコモ、NTT、東京電力、セブン&アイ・ホールディングスなどは相対的に堅調です。

戦場で真剣を手に血みどろになって戦っている企業に比べると、道場で竹刀を振り回しているような大学や独法研なんて楽なもんだと、つくづく思います。共著者でさえ読まないような論文でも、まったく社会の役に立たない道楽じみた研究でも、売れない特許でも、業績になるんですから。世界景気悪化の荒波から隔絶した場で、ぬるま湯につかってるようなもんだなぁ。研究者にとっては総引用回数が企業における収益に相当するのでしょうが、収益がろくに上げられなくてもリストラされないんだから、大甘の世界です。

■ 2009年1月14日(水) こりゃ楽だ!

韓国のソフトウェア会社ESTsoftの日本法人が配付しているALFTP(ベータ版)が簡易FTPサーバーとSFTPクライアントの機能も備えていると知り、さっそくインストールしました。

FTPサーバーとしての駆動はあっけないくらい簡単(マイコミジャーナルの記事が参考になります)。Anonymous FTPでよければ、単にサーバーボタンをクリックし、サーバー実行を選び、確認ボタンをクリックするだけです。サーバーのIPアドレスは自動的に取得してくれますし、アクセス許可フォルダを複数指定できます。接続許可人数は最大5ですが、自分のPC同士でファイル転送している分には接続数1で大丈夫です。

Fetch(Mac OS X)あるいはNextFTP4(Windows)をクライアントソフトとし、ファイルを転送してみたところ、正常に動作しました。

非常に気に入ったので、FTPサーバー・SFTPクライアント機能をもたないNextFTPから乗り換えることにしました。正式版は20ドルになる模様です。

■ 2009年1月15日(木) テスト続行

今日は、ALFTPをクライアント・ソフトとして使ってみました。Mac(FTPサーバー)、Windows機(FTPサーバー)、Linux機(SFTPサーバー)との間でちゃんとファイル転送できることを確認しました。

Jedit X v2.10がリリースされました。

■ 2009年1月16日(金) Blu-ray Discの威力

Power Mac G5中のファイルのバックアップを長くさぼっており、同機の老朽化を考慮すると、かなりヤバい状況に入っています。そこで、iDefrag 3で断片化を解消した後、外付けBlu-ray DiscドライブBRD-UXP8を箱から取り出してPower Mac G5にUSB接続し、片面2層BD-RE Disc(パナソニックLM-BE50DW)に計19.24 GBのデータを書き込んでみました。ライティングソフトにはToast 9 Titaniumを使用。

2倍速で記録し終わるのに41分もかかりました。今後はBD-R Discに8倍速で記録したいです。

DVD-Rだとディスク3枚が必要でしたが、BD-RE Discの場合は1枚の片面に収まります。ただ、書き込みデータを検証したところ、エラーが1箇所検出されました。記録中に何回か別なソフトを使ったせいかもしれません。

■ 2009年1月17日(土) 正式版のリリースを待たず、

数日前からFirefox 3.1 Beta 2を自宅のiMac上で使用中です。とくにトラブルもなく正常に動いています。

■ 2009年1月18日(日) レジストリ・クリーナ兼最適化用のツール

Wise Registry Cleaner 3 Pro v3.92がリリースされました。

これのおかげで多少はVistaが軽くなっているはず。しかし、Vistaの起動、とりわけスタートアップに時間がかかりすぎることに変わりはありません。セッションをメモリに保持し、休止状態にすれば大丈夫ですが… ネットブックでも快適に動作するというWindows 7の登場を心待ちにしています。

■ 2009年1月19日(月) スピード狂の自己満足的ワールド

長く放置していた「Intel Visual Fortranリファレンスガイド」(2008年8月26日参照)を週末にところどころ読み、その際得た知識に基づいて64ビット版PRIMAのさらなる高速化を試みました。PRIMAのビルドに使ったのはIntel Visual Fortran Compiler v11.0.066+Intel Math Kernel Library 10.1.1のペアです。

v11.0でシンボルが変わったCPU依存のコンパイラ・オプションも使って64ビット版VistaをインストールしたDELL Precision T5400のCPU(Penryn)用に徹底的に最適化したところ、以前は49.52 sかかっていたMEM解析(2008年12月15日参照)が46.66 sで終了するようになりました。パスワードつき配付ファイルで配付している2ヶ月前のバージョンに比べると、実に2割近く高速化したことになります。SSE4.1を利用した自動ベクトル化がとりわけ威力を発揮しています。

ここまで最適化レベルを上げるには、これまで相当な時間を費やしてきました。そのノウハウをすべてメモしてあるのは言うまでもありません。

■ 2009年1月20日(火) Windows用ファイルコピー・削除ツール

FastCopy v1.92がリリースされました。

■ 2009年1月21日(水) いらつくバグ

Intel Visual Fortran Compiler for Windowsでは、/Qxと/Qaxオプションの組み合わせにより特定のCPU用に最適化したコードと汎用コードをドッキングできます。しかし、少なくとも私の64ビットVista機上では、こうしてビルドした実行形式プログラムは正常にCPUを判定してくれません。/Qxだけでビルドしなければ、特定CPU用コードは実行できないのです。何ともはや、手の施しようがありません。

PRIMAに引き続きRIETAN-FPをかなり高速化するオプションも見つけたのに、このままでは複数の実行形式ファイルを配付する羽目になりそうです。

■ 2009年1月22日(木) 摩訶不思議な現象

Intel Visual Fortran Compilerのコンパイルオプションを徹底的に検討し始めてから4日経ちました。その過程で、RIETAN-FPの場合は32ビット版の方が64ビット版より速く、PRIMAの場合は64ビット版の方が32ビット版より速いことがわかりました。現時点では、64ビット版のRIETAN-FPは不要ということです。

Wise Registry Cleaner 3 Proが早くもv3.93にアップデートされました。

■ 2009年1月23日(金) (アメリカ沈没 → 日本も道連れ)というシナリオ

えっ、ボーイングが民間航空機部門を対象に約4500人の人員削減、米マイクロソフトが創業以来初めての人員削減(5000人規模)、トヨタが北米と英国の工場に勤務する正社員の削減を検討中だって! いずれも世界最強の勝ち組企業じゃないですか。これじゃ、どんな会社がリストラや非正規社員切りに走っても不思議はありません。おまけに12月の米住宅着工・許可件数は過去最低。ヤバすぎ…

はたして現下の厳しい経済情勢を打開できるんでしょうか、オバマ大統領は。

■ 2009年1月24日(土) ソリューションとプロジェクトの違いを明確化

Windows用Fortranプログラムの開発環境としては、Microsoft Visual Studio 2005を使っています。これまでは各ソリューション・フォルダ中に一つのプロジェクト・フォルダを収め、ソースコード・フォルダは別なところに置いていたのですが、階層構造が不格好なのが気になってきました。32・64ビット・アプリケーションを個別に扱わなければならないのも不便です。

そこで、32・64ビット・アプリケーション用の2プロジェクト・フォルダとソースコード・フォルダを単一ソリューション・フォルダに収めるよう変更しました。これでフォルダ・ファイルの配置がすっきりしましたし、32・64ビットコードを単一ソリューション内で同時に扱えます。コンパイラオプションやバージョンの異なるプロジェクトも簡単に追加できるという利点もあります。

■ 2009年1月25日(日) クラウド・コンピューティングの名の下に

アルプス社のProAtlasXを長く利用してきましたが、Webアプリケーションの普及により営業不振に陥った同社はYahoo!JAPANに買収され、その地図データや技術は実質的にYahoo!地図に引き継がれました。そこで、今後はYahoo!地図に切り換えていくことにしました。

当Webサイトでは多数の大学・研究所・公共施設の地図にリンクを張っていますが、Yahoo!地図の該当場所にジャンプするよう改めました。とくに講演と講習のお知らせ中の開催場所については、すべてそうしました。もちろん縮尺は最適化してあります。家のマークが入った青いピンはターゲット・ポイントを示しています。

Yahoo!地図では地図の拡大・縮小・移動が可能になりますし、左カラム内での情報・検索・道案内の利用により情報量が飛躍的にアップします。航空写真や天気予報もワンクリックで見られます。詳しくは、Yahoo!地図の使い方をやさしくガイド!をお読みください。

たとえば物質・材料研究機構・並木地区で、情報タブをクリックし、[最寄り駅]として[つくば]をクリックしてみてください。TXのつくば駅までの最短経路が青線で示されます。同様に、[周辺のお店、施設など]で[銀行]、[コンビニ]、[飲食店]、[ホテル]などの位置がわかり、[投稿スポット]で「日本一長いバス停留所名」を知ることができます。

当WebサイトはアップルのクラウドサービスMobileMe上に構築されています。MobileMeのWebページには、雲の上に各種Webサービスが隠れているイメージが飾られています。当Webサイトはその雲から降ってくる恵みの雨に他なりません。そのコンテンツを収めたフォルダSitesはクラウド中のiDiskに保存されており、ときどきiMac内のSitesと同期を取っています。

クラウド・コンピューティングの隆盛期に、典型的なクラウドサービスであるGoogle AdsenseとYahoo!地図を当Webページに取り込んだことは、きわめて時宜に適ったアップデートと言えましょう。

なお、表示された地図のURLをケータイに送って表示してみましたが、画面が小さくて実用性に欠けています。iPhoneのようなスマートフォンにでも乗り換えない限り、事前に地図を印刷して持ち歩く方がよほど便利だ、というのが結論です。

■ 2009年1月26日(月) 豚に真珠、猫に小判、宝の持ち腐れ

Adobe IllustratorをCS4にアップグレードしました。Illustratorをろくに使いこなしていない私にとっては、タブ付きマルチウィンドウが使えるようになったのが唯一の利点です。VESTAに当初から備わっていた必須機能をAdobeがようやく実現した訳ですが、Word 2008 for Macの文書ウィンドウはなんと未だにタブなしですね。それとも私がタブを付ける方法を知らないだけなのかな。

ついでにVisual Studio 2005をアンインストールした後、Visual Studio 2008をインストールし、SP1をアップグレードしました。嫌になるくらい時間がかかりました。いかに巨大な開発環境であるかを実感。ランタイムライブラリをマルチスレッドDLLとしてビルドすると、なぜかRIETAN-FPが動かなくなってしまいました。

擬ポテンシャルを用いるDFT計算プログラムABINITの最新版v5.6.4がWindowsに移植されました。ここからダウンロードできます。

■ 2009年1月27日(火) どうでもいいことにこだわる質で…

せっかくVisual Studio 2008をインストールしたからには、宿願を叶えるべきだ、と思い立ちました。すなわち64ビット・アプリケーションをビルドしたときにプロジェクト・フォルダの下に余計なフォルダx64が生成するという問題です。別に実害はありません。オブジェクト・ファイル*.objや実行形式ファイル*.exeがx64¥Releaseというサブフォルダ内に出力されるのが少々不格好なだけです。

結局、Project Propertyのダイアログボックスで出力ディレクトリ名を2箇所変更すればよい、ということで一件落着しました。

大学の教員・学生はVisual Studio 2008 Professional Edition アカデミックをなんと12,096円(9割引!)で買えます。ハイエンド開発環境、Visual Basic、Visual C#にVisual C++まで付いてこの値段 —— 安すぎます。

Visual StudioがVistaやOfficeのようなタコじゃないことは私が保証します。定額給付金を受け取ったら、それに96円足して購入し、自分のPC上で"Hello, world!"を出力してみてください。その第一ステップをきっかけとしてプログラミングに慣れ親しむようになり,ひいては科学技術ソフトを開発しようという人が増えてくれれば、きわめて評判の悪い定額給付金も少しは国のためになったと言えるんじゃないですか。既成ソフトを使って、手っ取り早く業績を挙げようという風潮が蔓延しているのは情けない限りです。

■ 2009年1月28日(水) J-PARCウォッチング: 出鼻をくじかれたiMATERIA

J-PARC・●●県BL20の粉末中性子回折装置iMATERIA(2008年9月11日参照)が早くもダウンしました。真空槽のAl製窓が破損したそうです。それ以外のパーツはダメージを受けていないのか、いつごろ運転再開するのか、などの詳細は不明です。

実のところ、解析ソフトは依然として未公開、配布開始時期すら未定という体たらくなので、現時点ではユーザーにとってほとんど実害ありません(苦笑)。ハード・ソフトは車の両輪。タイヤが一つパンクしただけでも車は走れなくなりますが、現時点では両輪とも回らないのです。

それにしても、解析ソフトの事前ダメ出しに耳を傾けてくれたのかなぁ。両輪のバランスもとれていないと乗る気がしないんですよ。

本日は久しぶりに「粉末回折情報館」の名にふさわしい情報を提供しましたが、こんなガクっとなるような故障や遅延について述べるのは不本意です。もっと前向きな、元気の出る話題はないものでしょうか。

■ 2009年1月29日(木) DASH-RIETANの連携

2008年2月15日にも述べましたが、ab initio構造解析システムDASHの最新版v3.1は、DASHのGUIを通じて三つのポピュラーなリートベルト解析プログラムTOPAS、GSAS、RIETAN用のファイルを出力し、引き続きそれらを外部プログラムとして実行できます。DASH-RIETANの連携を活用したいという方は、Help → DASH Helpで

をお読みください。DASHのパワーユーザーから、この機能は実に便利だと伺いました。RIETANの作者である私自身が一度も当該機能を使ったことがないのは誠に遺憾に存じます(物質にも材料にも興味を失ったもので…)。

■ 2009年1月30日(金) 大ニュース(個人的には)

TeXShopがv2.20にバージョンアップしました!

■ 2009年1月31日(土) 包接水和物における圧力誘起電子密度変化

オタワ大学のFlacauらは、水分子の氷状ネットワークからなるケージ中にキセノン原子がトラップされたsIキセノン包接化合物中の電子密度分布を研究しました:

RIETAN-2000PRIMAを用い、高圧下で測定したX線回折データをMPF法で解析することによりRwpは3.22%(リートベルト解析)から2.29%へと激減しました。0.16、0.58、1.24 GPaにおける電子密度分布の比較を通じ、Xeの電子密度とゲスト-ホスト間相互作用の圧力依存性が議論されています。

■ 2009年2月1日(日) J-PARCウォッチング: iMATERIAの故障に関するプレス発表

●●県材料構造解析装置の機器故障に伴う平成20年度実験利用の変更について」というプレス発表資料がWebで公開されています。本年度に実施を予定していた22件の実験は延期されます。

私は2008年11月22日に次のような警告を発しました:

そもそも解析以前の問題として、装置のコミッショニングが本格化するのは12月以降じゃないですか。●●県が民間企業に今年度の実験課題提案を呼びかけたのは明らかに時期尚早で、理解に苦しみます。一般に、企業は冗長性に富んでません(富んでいるようだったら、つぶれてしまいます)。世界同時不況のさなか、完成途上の装置やソフトのテストユーザー(=人柱)をあえて引き受けるのは愚の骨頂です。利益獲得に貢献しない汚れ仕事をやるためにサラリーをもらっている訳でありませんから。

私の警鐘がものの見事に可視化されたことになります。慌てる乞食は貰いが少ない —— 企業人がパルス中性子・放射光源を利用するにあたっては、この文言を肝に銘じるべきです。実験用試料の準備は大変じゃないですか。プロポーザルや実験報告書を書くことだって、相当な手間がかかるんですよ。自社の研究・開発に必要なハード・ソフトが周辺装置・マニュアル込みで勢揃いし、安定・確実に動くことを確認してから、おもむろに課題申請するに限ります。

●●県と企業ユーザーの双方を再び戒めたいです、「中性子利用技術に拙速は禁物です」と。

■ 2009年2月2日(月) 次回は十分時間に余裕をもって…(汗)

寄贈というスタンプが押された封筒入りで、セラミックス誌2月号が郵送されてきました。例の「びっくりしたい」という随想が巻頭に掲載されているはずです。あれは締め切り直前に30分足らずで書き殴り、そのまま投稿したんだよなぁ(2008年11月28日参照)。人様に「拙速は禁物」なんて言えた義理じゃありません。

ごく丁寧に原稿を推敲するのが常の私としては、そのページから目をそむけたいです。封も切らずに棚にしまい込みました。

なお、この随想中で言及した「牛肉と馬鈴薯」はここで読めます。便利な時代になったものですが、著作権切れの小説をネット公開するのは出版不況に一役買っているような気もします。きっと理工学書の売れ行きもよくないでしょうね。先日届いた某書籍(3年も前に刊行)の印税計算書を手に取ってみたところ、なんと第1版第1刷に対する支払いだったので、思わず「あ〜あ」と叫んでしまいました。

■ 2009年2月3日(火) 初物にトラブルが付き物なのは、雲の上でも同じこと

アップルの有料クラウドサービスMobileMeの評判は相変わらず芳しくありません。昨年7月のサービス開始直後から多くの障害が発生し、アップルはMobileMeの利用者に対し60日の利用期間を無料で提供するとともに、一部機能の公開を延期するという措置をとらざるを得ませんでした。現状でも、MobileMeはスピード、パフォーマンス、信頼性、安定性に多くの問題を抱えています。

Mac上でアドレスブックやiCalの中身が変更される否や、それがiPhoneに反映されるエクスチェンジ・システム「プッシュ」がiPhoneの目玉でしたが、同時更新など実現されていないことにクレームが殺到し、アップルは「プッシュ」という謳い文句を取り下げるという醜態をさらしました。MobileMeの完成度がそのキャッチフレーズ"Exchange for the rest of us"に値しないことを自ら認めたのです。

WebDABプロトコルによるiDiskとのファイルのやり取りが超スローなのは.Macの時代から悪評紛々でしたが、その原因はiDiskサーバーの処理能力が貧弱なためだという調査結果が報告されています。しかし、転送速度の低さがサーバーの能力不足だけに起因するとは思えません。Transmit 3によるファイル転送は十分速いからです。自宅では、もっぱらTransmit 3とJedit Xとの連携によりHTMLファイルを開き、編集し、保存しています。

自宅のiMacでiDiskの同期をとると、なぜか特定のHTMLファイル、具体的にはRIETAN-2000のWebページangle_dispersive.htmlだけ同期されません。不可解です。一方、Transmit 3は正常かつ迅速に同期してくれます。

しばしば.Mac iDiskによるアップロードを拒否されるのには、本当にイライラします。また、ローカル・アプリケーションで編集したHTMLファイルをMobileMe iDiskでアップロードすると、Firefoxで当該Webページを閲覧できなくなるというトラブルも起きています。なぜか、そのHTMLファイルをダウンロードしてしまうのです。再現性100%なので、アップルに不具合をなんとかしてほしいと訴えましたが、「サポートできかねる内容」と門前払いされてしまいました。

アップルはクラウド・コンピューティング用インフラの構築に十分な人材と資金を投入せず、手を抜いているように見受けられます。ない袖は振れぬということでしょうか。早急な改善を強く望みます。

■ 2009年2月4日(水) がんばらない & 安売りはしない

受注・売り上げ・利益激減、在庫急増、金融資産の含み損拡大で青息吐息の企業が、ちょくちょくテレビの画面に映し出されています。逆に当方は、色々な方面からの注文や依頼が多すぎて、さばき切れず、悲鳴を上げている始末。中には年単位で遂行すべき大事業まであるというのに、そう先が長くないときていますから、途方に暮れてしまいます。世代交代と資産委譲の必要性を痛感します。

といっても、己を急き立て、身を粉にして働く気などさらさらありません。仕事が延長戦入りしてからは、年相応、サラリー相当の働きぶりに徹し、マイペースで悠然と研究しています。オーバーワークになりそうなときは依頼を謝絶。そして、

と自分に言い聞かせています。こういう現実的かつ冷徹な態度が私の持ち味です。

■ 2009年2月5日(木) ボケ防止のつもりが、ついエスカレートして

本日も「板」に関する話題をお届けします。「しつこいなぁ」などと非難しないでください。1月28日2月1日の書き込みのようなローテクかつローカルな話ではありませんから。Al板などでなくエッチング加工したガラス板、すなわち最先端テクノロジーであるマルチタッチトラックパッドについて語ります。

一昨日、MobileMeに苦言を呈しましたが、MacBook Proのトラックパッドは素晴らしいの一言です。しょっちゅうこれに触っていれば、格好の脳トレになりますよ。なにしろ状況に応じて1〜4本指を使い分けるのですから。なかでも2本指によるスクロールと3本指(スワイプ)によるページ移動は実に便利で、堪えられません。おまけに、コンテクストメニューは指1本で出現します。

4本指でアクティブウィンドウを切り換える局面はさほど多くないかもしれません。デモンストレーション用といったところでしょうか。

このトラックパッドを自由自在に操るようになれば、ケータイでメールを送りまくっている親指姫に「5本の指をまんべんなく使わないと、脳が退化しちゃうよ」ってアドバイスできます(笑)。

セクシーなマルチタッチジェスチャーに魅せられた結果、MacBook Proをいじり倒したいという欲がムラムラ湧いてきました。こうなったら、Intel Fortran Compiler for Mac OS v11.0のライセンスを購入するしかない。そう、Mac OS X版のRIETAN-FPやPRIMAなどをビルドするためにね。公開するか否かも定かでないMac版製作に運営費交付金をつぎ込むというのもナニなので、寄付金を投入します。できるだけ税金を使わずにソフトを開発しようとする癖がついてしまったなぁ。

毛嫌いしているWindowsでの自作ソフトの利用には、どうしても違和感がつきまといます。この数年、相次ぐ苦役に耐えてきた自分自身にMac版をプレゼントしたいです。新しもの好きの暴走は、もう誰にも止められない!

■ 2009年2月6日(金) 分光化学系列への電子状態計算からのアプローチ

香川大学工学部の石井知彦氏に新たな分光化学系列に関する論文を送っていただきました:

DV-Xα分子軌道計算の結果に基づき、6配位3d金属錯体であれば、どのような金属と配位子の組み合わせにも通用する汎用分光化学系列が提案されています。この成果は配位子場分裂の予想と物性の理解に役立ちます。Electronic supplementary information (ESI)にVESTAで描いた分子軌道の図が含まれています。

私は昔、第一遷移周期金属イオン(M2+; M = Co, Ni, Cu, Zn)の混合配位子錯体の遠赤外スペクトルについて研究したのですが、酸素4つ、窒素2つが2価陽イオンに配位した、それらの錯体には適用できないんでしょうね。

第2著者の坪井紫乃さん(2007年8月7日参照)にはiPod nano用ヘッドホンを買う際、貴重な助言をいただきました(2007年10月9日参照)。K414Pは今でも毎日のように愛用しています。彼女がこの書き込みを読む可能性はまずないでしょうが、この場を借りてあらためて御礼申し上げておきます。

■ 2009年2月7日(土) 悪い夢

昨晩、帰宅する前にセラミックス誌2月号(2月2日参照)を恐る恐る封筒から取り出し、「びっくりしたい」に目を通しました。意外とスラスラ読めました。完全にお笑いの世界ですね、こりゃ。結構楽しめます。自分に滑稽な読み物を書く才があることを初めて知りました。

のっけから「暗くて汚い実験室で、髪の薄いさえない中年男が」というショぼくれた文で始まるのですから、尋常じゃありません。しかし、先に進むにつれ重苦しい雰囲気は影を潜めていき、怪気炎をあげ出します。「その類の仕事には疲れるだけでなく飽き飽きしてしまい、きっぱり足を洗ってしまいました。」という文言は、究極のブラックユーモアですね。なにしろ「その類の仕事」ってのは、何を隠そう「●●●●の■■■■」なのですから。他人でもできることに自ら手を下すのはアホらしいと、ごーまんかましてるのは顰蹙物です。次の自慢話5連発は、どうか目くじら立てずに読み流してやってください。誰も褒めてくれないから自画自賛するという、ありがちなパターンに陥ってはいるものの、嘘や誇張など一切ありませんので。「びっくりしたい」の意味が出典中のノーブルな祈願と異なり、俗塵にまみれているのは頂けません。最後の「筆を擱きます。」という古風な表現には苦笑します。筆も鉛筆も使ってませんよ。凄い勢いでキーボードをたたきまくり、短時間ででっち上げたのはどなたでしたっけ。

この随想は、肩の凝らない打ち明け話として笑い飛ばしてもらいたい。シリアスに捉え、「協会誌の巻頭にこんなふざけたものを…」と責めるのは無粋というものです。

と汗だくになって弁解している夢を今朝見ました。

■ 2009年2月8日(日) Mac OS用アプリケーション開発の下準備

Intel Fortran Compiler for Mac OSのライセンス契約はすでに発注しました。次に、開発環境のXcodeを最新版v3.12にアップグレードしておこうと思い立ちました。ところが、なんと995.8 MBもある! 23分かけてダウンロードし、MacBook Proにインストールしました。

これで準備万端整いました。Windows、Mac OSのいずれでもIntel製コンパイラを使うのですから、プログラムの移植など、いとも簡単でしょう。

アップルのノートPCの成長率は前年比34%増で、他のメーカーと比べ突出してるんだそうだ。今や絶好調のネットブック(ミニノートPC)を販売していないにもかかわらずです。この勢いを無視するわけにはいきません。といっても、あくまで軸足はWindowsに置いたままです。根っからの現実主義者ですから。

前・次世代OSのWindows XP/7と同様にMac OS X Leopardは1 GBの主記憶容量でも軽快に動くので、アップルもいずれネットブックを発売すると踏んでいます。あのマイクロソフトですら次世代Word・Excelの無料ネットサービス実施に踏み切るというクラウド・コンピューティングの時代に突入したからには、低パフォーマンス機も取り揃えておくのがビジネスの常道でしょう。でもその前に、MobileMeが安定に動くようにしてもらわないと。

■ 2009年2月9日(月) えっ、霞ヶ浦の北が首都圏?

来年3月に開港する茨城空港(旧百里基地)への就航を表明したのは、今のところ、韓国のアシアナ航空だけ。韓国向け名称は

トウキョウ・メトロポリタン・イバラキ・エアポート

になる可能性が高いそうです(笑)。

JALとANAは4月以降、不採算となっている国内・国際線計28路線を廃止・減便します。景気が低迷する中、国内航空会社が茨城空港にそっぽを向くのは間違いありません。開港前に終わりが始まっているのです。

茨城空港の売り物は無料駐車場。要するに「交通の便が極度に悪いので、行き帰りはセルフサービスでお願いします」ということです。もっとも、ここから車で都心に向かうのはお勧めできません。常磐自動車道経由だと、隅田川沿いで渋滞に巻き込まれる可能性が高いです。

長年茨城に住んで不満に感じるのは、なんといっても新幹線が通っていないことです。これは重いハンディキャップですよ。だから、あらずもがなの空港を欲しがるんじゃないかな。

ただTXの開業以来、その沿線は東京へのアクセスがぐっと良くなり、さほど交通格差を感じなくなりました。つくばー東京・羽田空港間の高速バスも便利です。

一方、茨城北部の交通事情は相変わらずパッとしません。日立城下町の多い地域ですから、日立が日本の製造業として過去最大となる7000億円の最終赤字に転落する影響をもろに受け、商店街のシャッター通り化が進行し、ますます街に活気がなくなり、衰退していくのは目に見えています。主たるターゲットの居住地域がこんな惨状では、茨城空港はお先真っ暗。利用者の少ないハコ物は維持・補修費ばかりかかり、負の資産として将来に禍根を残します。

しかし、開港に向けて暴走した人たちが今更後に引くはずもありません。そのつけは結局、納税者が支払うことになります。個人的には、早期廃港のため絶対利用しないよう心がけるつもりです。

■ 2009年2月10日(火) 世に掲示板のネタは尽きまじ

本掲示板で採り上げる話題が枯渇してきたら、RIETAN-2000/FPやVENUS関連の最新論文を紹介するに限ります。今日は、BiVO4の結晶構造と電子状態の計算結果をVESTAで視覚化している論文

でお茶を濁しておきましょう。VESTAで作成した6つの図が含まれています。

■ 2009年2月11日(水) ファースト・ステップ

Intel Fortran Compiler for Mac OSをMacBook Proにインストールしました。Xcodeは、以前使っていたAbsoft Pro Fortran Compilerでも開発環境として採用されていました。そこでXcodeのマニュアルも読まず、当てずっぽうにテスト用プログラムのビルドを試みました。プロジェクトの構築に少々手間取りましたが、"Hello, world."が表示されるところまで漕ぎ着けました。

我ながらよくぞそこまで、といった感じです。「そんなことやってるどころじゃねぇだろ」という内心の声に抗い、あえて脱線するところが、いかにも自分らしい。こういうリダンダンシーに富む性格は今更直りません。

■ 2009年2月12日(木) 久々のアップデート

VESTA v2.0.2がリリースされました。Preferencesダイアログボックスで等値曲面レベルのデフォールト値を設定できるようになったほか、一部のハード・OSの組み合わせにおける動作の安定性を高めました。

■ 2009年2月13日(金) Webフィルタリングの怪

VESTA v2.0.2が早くもv2.0.3にバージョンアップしたというので、出勤後にダウンロードしようとしたところ、「このサイトは現在管理者によって規制されています。」と叱られてしまいました。規制理由はなんと「ア●●ト > ■風■」! おバカソフトにはお手上げです。

■ 2009年2月14日(土) Mac用RIETAN-FPのビルド

Intel Fortran Compiler for Mac OSでRIETAN-FPをコンパイルしてみました。Intel Visual Fortran Compiler for Windows用ソースコードをなんら変更することなくビルドできました。余計なモジュールに対するUSE文が含まれていても大丈夫。助かった!

フッ素アパタイトのファイル(FapatiteE.ins + FapatiteE.int)を実行してみたところ、一発で動きました。CPU時間は0.57 s。これでMac OS Xへの移植は終わったも同然です。

なおRIETAN-FP起動用のシェル(bash)スクリプトx.commandでは、次の命令により自分自身を含むディレクトリをカレント・ディレクトリとします:

cd `dirname $0`

以前はこんな呪文を唱えなくても、*.insを含むディレクトリがそのままカレント・ディレクトリになったのですが…

さらに、計算結果を見るためのアプリケーションとしてターミナル・ウィンドウ、lessemacsnanoJedit Xのいずれか一つを.bash_profile中で指定できるようにしました。.bash_profileに1行、x.commandに2行を書き足せば、他のエディタ(たとえばmi)でも大丈夫です。

x.commandをDocにドラッグ&ドロップすれば、以後そのアイコンをクリックするだけで、RIETAN-FPが起動し、解析終了後に出力を閲覧できます。ターミナル・ウィンドウでコマンドを打ち込む必要はまったくありません。

自分一人で使うのは、もったいないですね。今後、ORFFE、lst2cif、PRIMAなどもMac OS Xに移植し、Readme_mac.txtを更新した上、講習会などの参加者向けに配付しましょう。

■ 2009年2月15日(日) 二つ同時にバージョンアップ

Intel Fortran CompilerがWindows、Mac OS版ともマイナーアップデートしたという通知が届きました。かなりの頻度で更新しているからこそ、毎年税金(ライセンス料)を払う気になるのですが、ダウンロード・インストールがやや煩わしい。まあ、仕方ないか。

■ 2009年2月16日(月) 遅ればせながら、

VESTA v2.0.3対応のマニュアルがアップロードされました。

v2.0.Xには新たな機能は追加しませんが、メンテナンスは続行します。昨年の講演(5月23日、12月25日)でわれわれが提示したVESTAの将来像は、来年度以降に開発する第2世代VESTAで具現化していきます。ご期待ください。

■ 2009年2月17日(火) 期待はずれ ★★

百万円と苦虫女」はさほど気に入りませんでした。日陰者をヒロインとするロードムービーですが、地方都市における大学生との交情と別れのパートがあまりにも作為的で、白けてしまいました。煮え切らない男というよりは、まわりくどいことをする男 —— 私のようなstraightforwardな人間には理解不能です。

次回は「純喫茶磯辺」をとりあげます。

■ 2009年2月18日(水) 汗と涙のサクセスストーリー

2004年から大学教員に応募し始め、その顛末をハイテンションで2チャンネルに投稿しまくり、90連敗にもめげずに奮闘した末、悲願のアカポスをゲットした男の手記: 大学教員公募戦線仏恥義理・星取り表スレッドがおいらを変えたんだ!

「苦労は買ってでもするな」をモットーとしており、公募戦線でふるいにかけられることもなく、あっさり研究公務員に採用された私(2007年10月22日参照)は、コメントする立場にありません。

■ 2009年2月19日(木) bashスクリプトのブラッシュアップ

Intel Visual Fortran Compiler for Windowsの最新版11.0.072をインストールしていたところ、原因不明のトラブルに見舞われ、かなりの時間を浪費しました。インストーラが圧縮ファイルの解凍中に訳の分からないメッセージを発し、作業を停止してしまうのです。テクニカルサポートの助けを借り、なんとか裏技で切り抜けました。なぜ異常終了するのか、今でも不明のままです。64ビット版のWindows Vistaなんてゲテ物とつき合っている報いがきたのでしょうか(汗)。

今日は、Mac OS用RIETAN-FP起動用シェル・スクリプトx.commandを改良し、ブラックボックス化しました。標準入力ファイル*.insを含むフォルダにx.commandをコピーしておけば、そのアイコンをダブルクリックするだけで、自動的に*.insのベースネームを取得し、RIETAN-FPがそのベースネームをもつ一連のファイル(*.insや*.intなど)を処理し、計算終了後に指定エディタ(ブラウザ)で標準出力ファイル*.lstを見せてくれます。さらに、*.lst表示用エディタにmiを追加しました。

凝りに凝ったスクリプトのように感じられるかもしれませんが、そう大したことはありません。核心部分はシェル変数sampleを取得している次の行です:

sample=$(basename $(ls *.ins) .ins)

要するにbashが強力なのであって、私が名人芸を発揮している訳ではないのです。他のソフト(ORFFEやPRIMAなど)でも同様のスクリプトを用意します。

過去にAppleScriptを散々いじくりまわした口ですが、Macの世界でしか通用しない方言にはもはや興味を失いました。Windows用に作成した二つの支援環境のために作成した秀丸マクロにも食傷気味なので、しばしbashスクリプトの作成を楽しみたいです。こういう飽きっぽさ、移り気も私の持ち味です。「美人は三日で飽きる。●●は三日で慣れる」という下世話な文言は、人類普遍の真理なのではないでしょうか。

■ 2009年2月20日(金) VESTAの快進撃

2月4日の掲示板で、私は「論文の被引用数さえNIMSのトップクラスを維持していれば、十分すぎてお釣りがくる。」と大見得を切りました。大言壮語と侮られるのも不本意なので、今後も時々その証拠を提示していくつもりです。

RIETAN-2000に関する論文の被引用数の多さは夙に知られていますが、今回は、昨年6月に発表したばかりのVESTAに関する論文の被引用状況を初めて報告します。ISI Web of Knowledgeで調べたところ、こんな具合でした:

J. Appl. Crystallogr.はインパクト・ファクター(3.629)が比較的高いのですが、我々の論文は別格で、2位の結晶構造可視化ツールMercury CSDの論文を大差で引き離しています。一昨年に同じ雑誌に掲載された著名ソフトSuperflipDRAWxtlの論文をも抜き去りました。VESTAで作成したイメージ三つの絵はがき(2008年8月27日参照)の配付を通じて賞賛されて当然なレベルの波及効果を及ぼしつつある、と言ってよいでしょう。

Scienceのような超有名誌に掲載された論文をも、被引用数で圧倒しています。ご存じのように、被引用数は分野によってかなり異なります。結晶学はどちらかというと論文が多くない研究領域ですから、様々な分野の論文1,231報の頂点に立つというのは想定外でした。

一般にプログラムを紹介する論文の被引用数は半減期がきわめて長いですし、VESTAのアップグレードは来年度以降も続行しますから、今後も同論文の被引用数はグングン伸びていくことでしょう。上の書き込みで数値データの明記を避けたのは、すぐ古くなってしまうからです。

過去に繰り返し強調してきたように、VESTAは「個人的趣味」の産物に他なりません。もともとVESTAの前身であるVICS・VENDは、無味乾燥な数値データだけ吐き出す構造解析ソフトの開発に倦み疲れた私が、エンターテインメント性に富むビジュアル系ソフトに食指を伸ばした結果、誕生しました。ゲームソフトと同一テクノロジー(OpenGL)を共有するソフトに関する論文が、J. Appl. Crystallogr.のインパクト・ファクターとNIMSの論文被引用数の増加に貢献し、なおかつ公共的ソフトウェアとなりつつあるという珍現象は、「趣味と実益」の好例と言えますね(笑)。

■ 2009年2月21日(土) BlackBerryに執着したオバマ大統領

セキュリティと警備上の問題から反対論があったRIM社の携帯電話端末BlackBerryの継続使用を勝ち取ったそうです。

今や携帯電話の台数はPCに比べ3倍を超えており、普及のカーブはより急となっています。しかし、携帯端末がほぼ電話とメールだけに使われていた時代には、その利用価値を疑問視し、自宅さえブロードバンド化していれば十分と見なしていました。そういう私が携帯を使い始めたのは、「ホームレスやネットカフェ難民でさえ持ってる」、「化石人間になりたくない」、「若い世代から見放され、孤立する」という消極的理由からです。バランス感覚の発露といってもよいでしょう。しかしプッシュなどの新機能の出現を知るにつれ、次第にワイヤレス情報機器としての重要性を認識するようになりました。

クラウド・コンピューティングの重要性を認識し、新しいことを覚えるのを好む私が、いずれBlackBerryやiPhoneのようなスマートフォンを使い出すのは目に見えています。

まあ、その前に早く携帯を機種変しないと。バリュープランに乗り換えるためにね。

■ 2009年2月23日(月) 日本語が苦手なレジストリ掃除職人

Wise Registry Cleaner Proがv4.11にメジャーチェンジしました。$9.99払ってアップグレードしました。ところがメニュー以外はすべて文字化け。嗚呼。

■ 2009年2月24日(火) アセットライト(asset-lite): 資産圧縮。持たざる経営。
資産の総額が大きくなるにつれて、資産の維持・管理コスト(固定資産税、保険料、消耗品、メンテナンス経費など)が膨張する。アセットライトを励行することによって固定費を削減し、利益をひねり出すことが肝要である。

私の場合、全財産は事実上、自作ソフトのソースコードだけで、維持・管理コストはゼロです(バージョンアップさえしなければ)。腐るもんじゃないですし、消耗したり劣化したりしませんし、置き場にも困りません。無意識のうちに、アセットライトを心がけていたのかなぁ。

ここで、ソースコードの取り扱い方について一言。生き馬の目を抜く世界で揉まれているうちに、オープンソースの理想など、どこかに吹っ飛んでしまいました。過去の経験によれば、フィードバックはあまり期待できませんし、バグを見つけても通知してくれるとは限りません。一方、先端技術やノウハウがブラックホールに吸い取られていく可能性は非常に高いです。少なくとも私が開発しているソフトの場合、オープンソースはデメリットの方が多いのです(一般論ではありません)。今では、開発に協力する意志と能力のある人にだけソースコードを公開するのが身のため、と達観しています。

ソースコードが全財産なのだとすると、それを公開したとたんに、丸裸になるというのが偽らざる実感です。どこに出しても恥ずかしくない見事なソースコードだったら、まだ胸を張ってられますよ。しかし中身が大したことなかったら、貧乳の女優が脱ぐようなもんです。厚化粧はことごとくはげ落ちてしまいます。中身がスパゲッティ状態だったら、赤っ恥をさらすことになります。いずれにせよ、ろくなことはありません。

■ 2009年2月25日(水) PPC Macの切り捨て

インテルMacで動くRIETAN-FPはすでに完成しましたが、これをuniversal binary化するかどうかを検討しました。Intel Fortran Compiler for Mac OS以外のコンパイラでPPC(PowerPC)用実行形式プログラムをビルドし、lipoコマンドでuniversal binaryとして再構築する必要があるのです。面倒ですね。

迷いに迷っているうちに、以前Absoft Pro Fortran for Mac OS X PPCPRIMAをビルドしたところ、原因不明のsegmentation faultで異常終了したことを思い出しました(2006年3月22日参照)。今更あんなコンパイラは使う気がしねぇ! 今後PPC Macの台数は減る一方だし、次期OSの10.6(Snow Leopard)はインテルMacにのみ対応とのことなので、自作ソフトはインテルMac専用で十分 —— そう思えてきました。自作ソフトでお金を儲けてはいませんから、インテルMacだけ相手にしても、苦情が出る恐れはありません。

そこで、インテルMac専用のORFFE、lst2cif、PRIMA(これだけ64ビット版)をビルドし、実行用シェル・スクリプトを作成し、テストしてみました。lst2cifは異常終了しましたが、ORFFEとPRIMAは正常に動作しました。Mac OS X上でPRIMAを実行したのは、これが初めてです。

■ 2009年2月26日(木) lst2cifの異常終了の件

RIETAN-2000をRIETAN-FPにバージョンアップした際、構造パラメーターの一覧表中に文字データ(サイト名、最初の等価位置)を追加しました。それに対応してlst2cifもバージョンアップしたのですが、改訂部分を古いソースコードのままコンパイルしていました。新しいソースコードを探し出し、古いものと差し替えて一件落着。

2月23日に記したWise Registry Cleaner Proの文字化けはv4.12のリリースにより解決しました。

■ 2009年2月27日(金) 書籍版elmiX

RWTH Aachen大学(ドイツ)の電子顕微鏡中央施設が製作した教育用LiveCD、elmiX(2008年3月10日4月11日8月2日参照)にはVESTAが唯一の日本製ソフトとして収録されています。昨年9月に開催された14th European Microscopy CongressでelmiXに関する論文が発表されました:

■ 2009年2月28日(土) ルール変更

Mac用RIETAN-FPを実行する際カレントフォルダ内に存在するファイルについて、3つのルールを定めました:

  1. 標準入力ファイル*.insのベースネーム(ピリオドの前の文字列)はスペースを含んではならない。
  2. 強度データファイル*.intがカレントフォルダに存在するときは、Finder(カラム表示)で最も前に表示される*.intが計算の対象となる。
  3. *.intがカレントフォルダに存在しない場合、Finder(カラム表示)で最も前に表示される*.insが計算の対象となる。

Mac OS X用FortranプログラムはUNIX用アプリケーションですから、ルールNo. 1は当然の制限です。たとえば"FapatiteE のコピー.ins"というファイル名はスペースを含むため、このルールに違反しています。

通常、*.intはカレントフォルダに一つだけ置くのが定石ですが、カレントフォルダがごちゃごちゃしても平気な人のためにルールNo. 2を設けました。もちろん、*.intのベースネームに拡張子.insを付けたファイルが標準入力ファイルとなります。

No. 3はシミュレーション・モード(NMODE = 1、*.int不要)に対応しています。

上の規則に基づき、起動用シェル・スクリプト(rietan.commandと改名)を改訂しました。

■ 2009年3月1日(日) 今日から3月。

ということは、半月後が確定申告の期限 —— 鬱。これほどやりがいのない作業はありません。

そろそろイータックスにチャレンジしましょうか。

■ 2009年3月2日(月) ベータ版OS対応のベータ版

Windows 7に対応した秀丸エディタ v7.11β1がリリースされました。

悪名高いWindows Vistaと対照的に、Windows 7ベータ版の評判は上々です。しかし、現在使用中のPC2台にWindows 7をインストールする気はありません。余計なトラブルを引き起こす可能性が高いですから。Windows 7をインストールしたPCが発売されるのを待って購入します。

■ 2009年3月3日(火) シェル・スクリプトは短いのが粋なのに

2月28日に記したように、Mac用RIETAN-FP起動用シェル・スクリプトrietan.commandは処理の対象とするファイルを自動決定します。しかし、UNIX形式のテキストファイルrietan.commandはユーザーが書き換えることができるため、*.insなどのベースネームをユーザーが指定できるようにしたくなってきました。

その機能はBasicやFortranなどに備わっているgoto文を使えば、いとも容易に実現できます。ところがbashにはgoto文がない! 「構造化プログラミングを心がけよ」という訳だ。結局、ベースネームを取得する部分をget_basenameという関数に書き換え、復帰コードも追加して、体裁を整えました。

本改善の結果、rietan.commandは108行にまで膨張しました。凝りすぎかも。まあ、いいか。

余勢を駆って、orffe.command、lst2cif.command、prima.commandも同様に作り替えました。prima.commandでは、MEM解析終了後に3D密度データを収めた*.pri(バイナリー)あるいは*.den(テキスト)をVESTAで読み込み、等値曲面を自動表示できます。VESTA v2.0.2以降は等値曲面レベルの初期値をPreferencesダイアログで指定する機能をもつため、最初から適切な水準の等密度曲面を視覚化してくれます。

これらのシェル・スクリプトをDockに登録し、ファイルドロワを表示させたJedit Xで入出力ファイルを編集・閲覧すれば、一連の解析を効率よく実行できます。少なくとも私のMacBook Pro上では、どのソフトも至極軽快に動いています。

■ 2009年3月4日(水) 最終仕様?

2月中旬以来、インテルMac用アプリケーションのシェル・スクリプトの完成度を上げるべく奮闘してきました。その過程で仕様を何度も変えたのですが、なかなか満足できる水準に達しません。もっと単純明快で、ストレートなのが自分の性格に合っています。あいまいさが残るのは気分が悪い! そこで次のように仕様を変更しました。

  1. *.insや*.intなどが置かれたフォルダにスクリプト作成コマンドmake_scripts.commandをコピーし、そのベースネームを適当に変える(ここでは"abcde"とする)。
  2. abcde.commandをダブルクリックすると、abcde.ins、abcde.intなどを処理の対象とするコマンド*.commandがそのフォルダに出力される。

以後は、こうして生成した*.commandをダブルクリック(Finder)あるいはシングルクリック(Dock)するだけで、RIETAN-FPなどを起動できます。Dockを利用する場合は、[ファイル]→[情報を見る]で好みのアイコンをペーストしておくといいでしょう。処理の対象とするファイルを変える場合は、abcde.commandのベースネームを変えた後、それを実行します。

かなり手こずった末、sedを活用したスクリプトを書き上げました。今のところ問題なく*.commandを出力しています。

■ 2009年3月5日(木) 昨日の続き: シェル・スクリプトの美化

今日はmake_scripts.commandに手を入れました。テキストファイルなので、素顔(中身)を見られても恥ずかしくないように化粧しておかねばなりません。

ついでに、将来*.commandを追加してもそのまま使えるように、ループ(for文)を導入しました。これで万全の態勢が整いました。

一連の自作ソフトがMacでビュンビュン走る様は、感動的です。Mac OS Xの土台であるDarwin上で直接動くせいか、Windows Vista上よりも動作がキビキビしています。

PRIMAは64ビット版なので、メモリー大食いのMEM解析も平然とやってのけます。今のところ、45 nm世代のCore 2 CPU以上用に最適化しています。64ビット化が一段と進む次期OSのSnow Leopardがリリースされたときのパフォーマンスが見物です。私はSnow LeopardをインストールしたiMacの発売を心待ちにしています。自宅のiMacはもう3歳になりましたから、そろそろ買い換えてもいい時期です。

この魅力的なMac版を配るタイミングに迷っています。講習会の予定はありますが、まだ大分先。Readme_mac.txtを書き直すのも面倒くさい。いかがいたしましょうか。

■ 2009年3月6日(金) 昨日の続き: ALBA、plot・MADELコマンド

今日は最大エントロピー・パターソン法プログラムALBAをMac用に移植しました。

さらに、リートベルト解析や回折パターンのシミュレーションの結果をグラフとしてプロットするコマンドplot.commandとマーデルング・エネルギー計算プログラムMADEL(VESTAに同梱)を起動するためのコマンドmadel.commandも追加しました。グラフ作成ソフトとしては、とりあえずIgor Proを使うようにしましたが、他のソフト用に書き換えるのは簡単です。

■ 2009年3月7日(土) Mac用統合TeX支援環境のアップデート

TeXShop v2.25がリリースされていました。改善点がかなり多いです。

■ 2009年3月8日(日) 純喫茶磯辺: ★★★☆

確定申告は慣れたものだけれど、今年は初めての分離課税申告にてんてこ舞い。イータックスは電子証明書が必要だということを知り、敬遠しました。

二日間にわたる苦闘の末、確定申告書B、申告書第三表、内訳書3枚を作成しましたが、分離課税に関する知識が不足しているため、確定申告書Bは取消線だらけと成り果てました。市役所で新品をもらってきて、書き直します。

税理士に依頼したら、数万円は請求されただろうなぁ。情報やファイルをネットから得なかったら、自力申告なんて到底無理でした。

気晴らしに「純喫茶磯辺」を観ました。仲里依紗がシングル・ファーザーのダメおやじ(宮迫博之)と自由きままな女(麻生久美子)に振り回される女子高生を好演。演技がうまいというよりは、地が出ただけでしょう。そこはかとなく「もののあはれ」を感じさせる結末は意外でした。

次回は「ハルフウェイ」あるいは「愛のむきだし」をとりあげます。大分先になりますね。

■ 2009年3月9日(月) MADELの再ビルド

サイト・ポテンシャルとマーデルング・エネルギーを計算するプログラムMADELのMac版にはVESTAに同梱しているuniversal binaryを流用していましたが、今後のことを考え、Intel Fortran Compiler for Mac OSの最新版で再ビルドしました。

このコンパイラは新規プロジェクトの構築法にややわかりにくい上、プロジェクトの内容を変更後にビルドする際、ちょっとしたノウハウが必要な場合があり、当惑しました。試行錯誤で切り抜けましたが、後で忘れないよう、すべてMacNote3でメモしておきました。これさえあれば、もう大丈夫です。

■ 2009年3月10日(火) Mac用ユーティリティ二つのアップグレード

Jedit Xがv2.12に、CopyPaste Proがv2.0にバージョンアップしました。

■ 2009年3月11日(水) テストユーザー募集

インテルMac用ソフトのベータ版(RIETAN-FP、ORFFE、lst2cif、PRIMA、ALBA、MADEL、Igor Pro起動用コマンド)が勢揃いし、それに対応したReadme_mac.txtも出来上がりました。Readme_win.txtは日本語文書なのに、Readme_mac.txtはなぜか英語で書かれています。

最新の15インチMacBook Pro(2.8 GHz Core 2 Duo、4 GB RAM)上でフッ素アパタイトのリートベルト解析(RIETAN-FP)、D-sorbitolのMEM解析(PRIMA)などを実行する限りは、すこぶる快調に動いています。D-SorbitolのMEM解析は約1分で終了しました。Mac Proでも問題なく実行できるという報告も受けています。そこで、次のステップとして、

  1. Windows用RIETAN-FPを使用しているが、Mac版の使用も希望する。
  2. Mac OS X 10.5.X(Leopard)を使用している。
  3. テスト中に起きたトラブルや改善すべき点を報告する意志がある。

という条件を満たすベータ版のテストユーザーを若干名募集することにしました。

ただし、PRIMAあるいはALBAはCore 2 Duo以降のインテルCPU(64ビット)を搭載したMacでのみ実行可能です。それらを使わないならば、Core Duoのような32ビット機でも構いません。PRIMAとALBAで巨大なデータを扱いたい場合は、十分なメモリー(たとえば4 GB、あるいはそれ以上)を積んだ64ビット機が必要となります。64ビットOSであるLeopardの広大なメモリー空間(Mac Proなら最大32 GB)を活用するためです。メモリーが許す限り、反射数やピクセル数がいくら多くても解析できます。Windows Vistaと違って、32ビットと64ビットのOSを使い分けなくても済むのがLeopardの利点です。

上記ベータ版の試用をご希望の方は、メールで私に申し込んでください。「若干名」に達し次第、申込みを締め切った旨を本掲示板に書き込みます。

なお、Mac版のビルドにあたっては、寄付金で購入したコンパイラを使いました(2月5日参照)。私の研究活動を支援し、活性化するための研究資金を提供していただいた企業に、あらためて御礼申し上げます。

■ 2009年3月12日(木) Mac用配付ファイルのアップデート

インテルMac用プログラムのベータ版を収めたディスクイメージファイル(テストユーザーに配付)を早くも更新しました。Readme_mac.txtに加筆するとともに、ExamplesフォルダにALBAとMADELの計算例のフォルダを追加しました。

今のところ、テストユーザーからは障害の報告を受けていません。Snow Leopardを視野に置いてビルドした64ビット版PRIMAも安定に動いているそうです。Windows版と同一のソースコードをインテルのFortranコンパイラでビルドしており、Darwin+bashスクリプトという安定な土台の上で動かしているTerminalアプリケーションなので、当然と言えば当然。ベータ版といえども、実質的にRC(release candidate)の域に達しています。

昨秋、MacBook Proを購入していなかったら、Mac版の作成は半年近く先送りになったことでしょう。たまには贅沢するのも悪くありません。

Mac版試用の申込みはまだ受け付けています。お早めにどうぞ。今後、SPring-8のNIMS専用ビームラインBL15XUに設置された粉末回折装置のユーザーにも使っていただくよう、担当者にMac版の配付について通知しました。

■ 2009年3月13日(金) 今日もMac用配付ファイルのアップデート

RIETAN-FPのマニュアルRIETAN-FP_manual.pdfをインテルMac版の登場に対応して改訂するとともに、ExamplesフォルダにCu3Fe4P6Eフォルダ(3相試料のリートベルト解析)を追加しました。

これまで、日本人が作成した結晶学プログラムについては、ろくな英文マニュアルを見たことがありません。UNICSのマニュアルは相当な力作でしたが、日本語で書かれていました。ドメスティックなソフトだったということでしょう。

一方、RIETAN-FPとVESTAの英文マニュアル(計311ページ!)は出色の出来映えだと自負しています。いずれも英文添削を受けていないので、英語を修正すべき箇所は多いでしょうが、中身は質・量ともに充実しているはずです。また文献、章・節・項、図表、索引、Webページなどに張り巡らしたリンクとしおりは実に壮観で、文書内検索が可能なことと相まって、利便性で紙のマニュアルを凌駕しています。

正直なところ、RIETAN-FP_manual.pdfの製作にはRIETAN-2000 → RIETAN-FPのためのプログラミングに比べ、少なくとも2倍の時間を費やしました。よくもまあ、そんなエネルギーが残っていたもんだと、我がことながら感心しています。

■ 2009年3月14日(土) テストユーザー募集終了

インテルMac用自作ソフトのベータ版をテストしてくださるユーザーを一昨日から募集していましたが、すでに十分な数の志願者様が集まったため、本日で締め切らせていただきます。

不具合によるトラブルは、依然として報告されていません。

本日のアクセス解析によれば、当ホームページへのアクセス(過去3000件)に使われたOSのうち23%がMac OS Xであり、かつてないほど高い割合にまで上昇しています。多くのMacファンがMac用ソフトに期待を寄せていることの顕れでしょう。

WindowsはMac OS Xに比べ多くの点で劣っていると感じます。Vistaはとりわけ不出来です。UNIXテクノロジーの基盤(Darwin)をもつMac OS Xはプロフェッショナル仕様であり、大規模な科学技術計算に向いています。

腐れOSの高いシェアに目を奪われ、より洗練された頑健なOSを好む少数派を切り捨てて平然としているようだったら —— それは自分じゃない、別な誰かだ! Mac用ソフトの製作により、私は本来の姿に立ち戻ったと言ってよいでしょう。

■ 2009年3月15日(日) Mac用ノートパッド・プログラム

MacNote3 v1.5.0がリリースされました。[バージョンアップを確認する]というメニュー項目を選択してダウンロードします。

この週末は研究以外のことでレパートリーを増やそうと、じっくり勉強しました。およそ私に似つかわしくないようなギラギラした事柄ですが、新鮮な気持ちで取り組んでいます。来月以降に努力の成果を実践に移すつもりです。

■ 2009年3月16日(月) 良い手本になるようなコードでないと…

Mac用プログラム実行コマンド*.commandについては、「テキストファイルなので、素顔(中身)を見られても恥ずかしくないように化粧しておかねばなりません。」と3月5日の掲示板で述べました。RIETAN-FP・VENUS統合支援環境とDV-Xα法計算支援環境用の秀丸マクロ*.macでも、同様に注意を払う必要があります。

しかし、*.macの一部には瑕疵が残っています。ステルス・モードで開いたファイルがカレントファイルとなった状態でマクロが終了するよう、冗長性を持たしているのです。たとえばRIETAN-FP.macの場合、

readonlyopenfile "/h " + $out;
readonlyopenfile "/h " + $out;

というように、同じ命令を2回繰り返しています。これらのマクロを作成した当時、Core DuoをCPU、Winodows XPをOSとするDELL XPS M1210で当該ファイルを再現性よくカレントファイルにするには、こうせざるを得ませんでした。

別に実害はないので、自分一人で使っている分には一向に構わないのですが、無様なマクロの公開は恥部をさらけだしているようなもんです。そこで「秀丸エディタ公式マニュアル」を棚から取り出し、試行錯誤で改善を試みました。かなりの時間を費やした末、

readonlyopenfile "/h " + $out;
showwindow 1;

というように変えれば大丈夫だということを突き止め、両支援環境の秀丸マクロ多数を改訂しました。

DV-Xα法計算支援環境の最新版はVENUSのWebページからダウンロードできます。同梱している田楽DLLはv3.01に更新しました。

それにしても、秀丸マクロを不可視にはできないものかなぁ。中身が見えない方が有り難みがあるじゃないですか。

■ 2009年3月17日(火) Mac用自作プログラムの配付ファイルを更新

Mac用プログラム実行用コマンド*.commandの終了後にTerminalウィンドウを自動的に消すよう改めました。この改善は、*.commandの末尾にAppleScriptのコードを5行追加することにより実現しました。シェル・スクリプトはAppleScriptとの親和性が高いのです。かつて慣れ親しんだAppleScriptの知識をこんなところで再利用できました。

参考までに、セラミックス誌の2001年5月号のために執筆した「AppleScript —— 単純な繰り返し操作からの解放」という記事をお読みください。かつて、私がいかにAppleScriptに傾倒したかが読み取れます。さらに、その頃の私が知性と感性の一致した、綻びのない文章を書くよう努めていたことも窺えます。同誌の2009年2月号に掲載された随想(2月2日2月7日参照)の臆面の無さや粗っぽさとは対照的です。加齢とともに劣化していく自分を直視するのはつらいです。

他にも軽い修正事項があります。標準出力ファイルの閲覧にはページャ(less)あるいはエディタ(emacs、nano、Jedit X、mi)のいずれかを使うことにし、Terminalウィンドウでの閲覧は止めました。Terminalウィンドウへの出力をただ眺めるのでは芸がないと判断したためです。またrietan.command以外のコマンドで、lessによりファイルを開いた後、検索する文字列が間違っていたのを修正しました。

これらの改善に合わせてReadme_mac.txtも書き換えました。

■ 2009年3月18日(水) バージョンアップ2件

Mac用自作プログラムの配付ファイルを更新しました。Jedit Xで出力ファイルを閲覧する場合、RIETAN-FPが*.insを更新した場合(NUPDT=1)に備えて、rietan.command中でRIETAN-FP実行直後に*.insを読み込むようにしました。

やはり*.commandとの相性は、Jedit Xが一番いいです。個人的には、タブ付きウィンドウを利用できないemacsやnanoは20世紀の遺物とみなしています。

シェル・スクリプト*.commandにはまだ改良の余地があります。良いアイデアが浮かんだので、早急に実践してみます。

Mac用統合TeX環境TeXShopがv2.26にアップグレードされました。

■ 2009年3月19日(木) コマンドファイルの置き場所を変更

昨日に引き続き、Mac用自作プログラムの配付ファイルを更新しました。変更点は次の通りです:

  1. RIETAN_ProgramsとVENUS_ProgramsフォルダをRIETAN_VENUSフォルダに合体した。
  2. *.commandのひな形はRIETAN_VENUS/template_commandsフォルダに格納し、不要なひな形はRIETAN_VENUS/unused_commandsフォルダに置くよう改めた。
  3. make_scripts.commandのベースネームを変え、実行することによって生成する*.commandの行き先をRIETAN_VENUS/commandsフォルダに変更した。
  4. こうして生成した*.commandは必要ならアイコンを張り付けた後、Dockに登録できる。
  5. *.commandはホームフォルダ以下の任意のフォルダ(たとえば解析すべきファイルの置き場所)にコピーできる。
  6. DocumentsフォルダにALBAのマニュアルALBA_manual.pdfを追加した。

No. 1はファイル・フォルダの階層構造をすっきりさせることを意図した変更です。

No. 2〜5により、*.commandの置き場所に関する制限が完全に撤廃されました。解析中のファイル(*.insや*.intなど)を収めたフォルダが散らからないで済み、Dockに登録した*.commandをずっと使えるという利点もあります。*.commandには*.insなどのベースネームだけでなくフォルダの絶対パスも記録されます。この改良は、sedで二つの文字列の置換を連続実行した後、標準出力を*.commandにリダイレクトすることにより実現しました。

■ 2009年3月20日(金) wxWidgetsのアップグレード

VESTAのGUI構築に利用しているツールキットwxWidgetsがv2.8.10にバージョンアップしました。

■ 2009年3月21日(土) 異変

研究バカは自慢にならないということにようやく気づき、生涯学習として経済の勉強を少しずつ続けています。数字を扱うことが多いので、比較的馴染みやすい世界です。

そんな初学者でも直ちに気づくのが、2月以降の株価収益率(PER)の急上昇です。ずっと20倍近辺に留まっていたのが、すでに業績を公表した企業の収益があまりにも低下していることから、最近は80倍寸前にまで増えています。3月19日の日経平均は7945.96円ですから、一株あたりの利益はたった100.45円! PERの増加に反比例して激減しています。

Excelで一株あたりの利益、長期金利、名目GDP成長率から日経平均の上限と下限を試算してみたところ、衝撃的な数字が… ここに書くには忍びません。とにかく現下の株価はあまりにも高すぎる!

とすると、株価はまだ落ちしろが十分残っており、日経平均が7000円を割り込むのは時間の問題のように見えますが、実際に株は暴落するんでしょうか。ド素人の私には判断できかねます。確実にそうなるとわかっていたら、空売りで大儲けできるんですが。

■ 2009年3月22日(日) 私用Eメールアドレスの変更

私用EメールアドレスのドメインをMobileMeのme.comに変えました。従来の私用メールアドレス(ドメイン:mac.com)もそのまま使えます。

新アドレスfujioizumi@me.comは本ホームページにも表示していますが、URLも画面表示部分もスパム防止のためにエンティティコード化しています。イメージファイルを貼り付けたり、一部全角文字にするといった稚拙かつ不格好な対策はとっていません。エンティティ化の効果は絶大で、毎日大量に届くスパムのほとんどすべては公用アドレス宛です。

Mac用自作ソフトを始めとするMac関係の話題が増えているせいか、Mac OS Xが当ホームページへのアクセス(過去3000件)に使われたOSの24%を占めるまでに至りました。約1/4という割合を定着させたいと願っています。

■ 2009年3月23日(月) お互い様

Ruben Dilanian(VENUSの共同開発者。オーストラリア在住)から久々に便りが届きました。別な大学に移ったとのこと。(彼にとって)重要な仕事を頼まれたので、ここぞとばかり、少々手間の掛かるものの、きわめて有意義なことをお願いしておきました(笑)。喜んで協力してくれるそうです。

■ 2009年3月24日(火) ほぼ最終調整

Mac用自作プログラムの配付ファイルを更新しました。

commandsフォルダにアイコン(万華鏡から頂戴)を張り付けた*.commandをサンプルとして置きました。こうしておけば、make_scripts.commandがそれらの*.commandを重ね書きする際、アイコンはそのまま残り、Dockに複数のアイコンを登録しても、互いに見分けがつきます。もちろん、好みのアイコンに替えても差し支えありません。

rietan.commandでJedit Xをエディタとして使う場合、*.insと*.lstを一度に読み込むよう変更しました。*.lstを眺めながら、アップデートされた*.insを編集できます。解析の対象とするファイルが存在するフォルダをファイルドロワで表示しておけば、一々Finderに戻らずにファイルを開くことができ、一連のプログラムの使い勝手がきわめて良くなります。この秀逸な機能をもつJedit Xとの併用を強くお薦めします。

さらに、plot.commandをview.commandに改名しました。その理由は、上記のアイコンを眺めればすぐわかります。

Windows・Mac用自作プログラムの最新版をいつどこで配付するかは、来月上旬にアナウンスします。

■ 2009年3月25日(水) な〜るほど、そういうことだったのか

昨日Rubenから届いたメールで、私の要請を彼が一も二もなく引き受けてくれた理由を悟りました。オイラは本当に強運の持ち主だなぁ。いや、運が上向くよう常に手を打っているというべきか。絶好のタイミングでカンピュータが作動するのが私の強みです。昨年5月には懸案(研究以外)を処理するための適切な指示を出してくれました。

■ 2009年3月26日(木) アップグレード4件

Igor Proがv6.05に、FastCopyがv1.98に、Wise Registry Cleaner Pro がv4.22に、PCalcがv3.4.1にバージョンアップされました。

■ 2009年3月27日(金) ちょっとした余技

本掲示板を更新した後にはブラウザによるチェックが欠かせません。しかしチェックするたびにアクセス解析やAdsenseが収集するデータに自己閲覧寄りのバイアスがかかってしまいます。エディタでそれらに関連する行を一々削除した後、ブラウザで閲覧するのは面倒です。

そこで、自作ソフトをMac OSに移植する際に会得したbashスクリプト+AppleScriptの技法を使って、

sedでindex.html中の不要行を削除 → index_conv.htmlとして保存 → Terminalを終了 → index_conv.htmlをSafariあるいはFirefoxによりオープン

という一連の手続きを自動化するためのコマンドCheck_HP.commandを作成してみました。チョチョイのチョイで完成。あまりにも簡単なので、拍子抜けしました。ツールバー上のCheck_HP.commandのアイコンをクリックするだけで動くようにして一丁上がり。

■ 2009年3月28日(土) 珍しい品物を購入

定額給付金を前倒しで使うため、ショッピングにでかけました。国産品、金7,245円也。何を買ったかは、ここで公表したくないです(笑)。

■ 2009年3月29日(日) 実害はありませんが…

金曜から日曜にかけて、*.insや*.intなどをドラッグ&ドロップするだけでそのファイルの絶対パスとベースネームを取得し、RIETAN-FP、ORFFE、PRIMAなどを実行するためのコマンドを一度に生成してくれるスクリプトをAppleScriptで記述するのに熱中しました。そのスクリプトmake_commands.scpt中では、AppleScriptでは手に負えない繰り返し処理を行うためのbashスクリプトconv.commandを呼び出しますが、その際、Terminalウィンドウがスクリーンに現れないようにするのに腐心したのです。まあ、どうでもいい些細なことですけどね。

FortranやCなどで書かれたTerminalアプリケーションを実行する際、Terminalウィンドウに出力が現れるのは、アプリケーションが終了した後、そのウィンドウが消えるのであれば、実用上好ましいことです。計算の進行状況を把握できますから。一方、Terminalウィンドウでのコマンドやデータの入力をユーザーに要求したり、その必要もないのにTerminalウィンドウが一瞬見えてしまうのは、あまりにも時代遅れかつ不格好で、興ざめします。オエッ、て感じ。もちろん、Windowsにおけるコマンドプロンプトでも同様です。

do shell script構文を使ってmake_commands(アプリケーション)を実行すればTerminalを起動しなくても済むのですが、なぜか呼び出した実行形式bashシェルスクリプトconv.commandが正常に実行されませんでした。かなりの時間を費やした後、ようやくその原因を突き止めました。要するに、Terminal抜きでシェルコマンドを実行する場合、bashの設定ファイル.bash_profileが読み込まれないため、環境変数は参照できないのです。それさえ気づけば、後は簡単でした。

参考までに、上記のスクリプトをここに公開しておきましょう:

on open dropped_files
  repeat with a_File in dropped_files
     set FileName to POSIX path of a_File as text
     do shell script "/Applications/RIETAN_VENUS/conv.command " & FileName
  end repeat
end open

繰り返し処理の形となってはいますが、ループ内の二つの命令は一度しか実行されません。わずか6行のコードを書くのに手こずったことに自分の衰えを感じ、落胆しました。諸行無常。

ともあれ、ファイルドロワという秀逸な機能をもつJedit XとDockを併用すれば、一連のMac用自作ソフトの使い勝手が劇的に向上します。当初はここまでやる気はなかったのですが、結局のめり込んでしまいました。

なお、3月27日に記したCheck_HP.commandもAppleScriptで記述したスクリプトから呼び出すよう改良しておきました。毒を食わば皿まで、ということです。

■ 2009年3月30日(月) Mac用配付ファイルのアップデート

昨日記したMac用自作プログラムの改良点をReadme_mac.txtとRIETAN-FP_manual.pdfに反映させ、配付ファイルを更新しました。

■ 2009年3月31日(火) VBScriptでワンクッション置いて

一昨日、プログラムの計算結果を出力するとき以外にTerminalのウィンドウが現れるのは無粋だと指摘し、AppleScriptでそれを回避する方法を紹介しました。その後、バッチファイルの実行時にコマンドプロンプトの窓が出ないようにする方法を知りたい、というメールが知人から届きました。

簡単です。「AppleScript —— 単純な繰り返し操作からの解放」の末段で述べたVBScriptを使いましょう。VBScriptはWindowsに内蔵されています。

たとえば、引数argをもつバッチファイルexample.batを実行する場合は、

Dim WShell
Set WShell = WSCript.CreateObject("WScript.Shell")
WShell.Run "example.bat arg",0

というコードをexample.vbsとして保存します。example.vbsをダブルクリックすれば、コマンドプロンプト窓が出現することなく、example.batが実行されます。各自お試しあれ。

もちろんVBScriptで全部記述してもいいのですが、中高年(自分も含む)にはやや難度が高いですし、Windows専用のコードになってしまいます。複雑な文字データ処理を行う際には、UNIX互換言語で書いたスクリプトをバッチファイル中で実行する方がいいでしょう。Cygwinなど不要です。Windows用には、AwkやPerlはもとよりPythonやRubyまで揃ってますからね。

RIETAN-FP・VENUS統合支援環境とDV-Xα法計算支援環境でもこのテクニックを活用すべきなのですが、今のところ、その余裕がありません(汗)。

今日も、Mac用自作ソフトの配付ファイルをアップデートしました。Readme_mac.txtを少々修正しただけです。もうFinal Candidateと呼んで差し支えないほど完成度が高まり、評判も上々なので、配布先を増やすことにしました。試用希望者は私にメールをお送りください。Intel Macの持ち主なら、どなたでも結構です。ただし、64ビット・アプリケーションのPRIMAとALBAを使う場合はCore 2 Duo以上のCPUが必要となります。適当な人数に達したら、本掲示板で締切を通知します。

■ 2009年4月1日(水) Jedit Xのアップグレード

Jedit Xがv2.13にバージョンアップされました。

RIETAN-FP、PRIMAなどのMac用プログラムをJedit Xを組み合わせて使う際には、表示 → ツールバーのカスタマイズ...でファイルドロワのアイコンをツールバーに張り付けておくと便利です。それをクリックするだけで、ファイルドロワを引き出し、戻すことができます。

■ 2009年4月2日(木) PRIMAの非連続的な高速化

昨日、門馬綱一君がNIMSの研究員として着任しました。今後、私の後継者として粉末回折用ソフトの開発を担当してもらいます。もちろんVESTAのアップグレードも続行します。ご期待ください。

早速、大きな収穫がありました。彼からPRIMAの一部(X線回折、F-constraint、MEMサイクル)をOpenMPにより並列化したコードを受け取り、Mac用64ビット・アプリケーションとして再ビルドしてみたところ、sorbitolの放射光データを使ったベンチマークテスト(2008年12月15日参照)で一挙に31%も高速化を達成したのです。MacBook Pro(2.8 GHz Core 2 Duo、4 GBメモリ)上での実行時間(CPUタイムにあらず)は42秒しかかかりませんでした。門馬君の話では、同じUNIX系OSであるLinuxにおけるパラレル化の効果はMac OS Xの場合と同程度だそうです。

一方、DELL Precision T5400(Winodws Vista 64ビット版、3.0 GHz クワッドコア インテルXeon X5450、8 GBメモリ)上での実行時間は、並列化してもさほど変わりませんでした。クロックがCore 2 Duoより少し高く、コアが4つなのにもかかわらず、MacBook Proと実行時間はほぼ同じです。Vista機でOpenMP化の御利益が見られないことが、Vistaのおバカぶりを示しているのか否かについては、現時点ではなんとも言えません。

今後、Intel Fortran Compiler for LinuxでOpenMPによりPRIMAにおける律速部分全体を並列化し、そのコードをMac OS Xで再ビルドしようということになりました。といっても、LinuxをインストールするためのPCをこれから発注するため、完全に並列化したPRIMAが完成するのは、しばらく先です。

■ 2009年4月3日(金) 擬似クアッドコアの限界

OpenMP化したPRIMAがXeon X5450機で意外に遅いのは、X5450がデュアルダイ・クアッドコア構造を持つためだと思われます。2つのCPUコア間のデータのやりとりがメモリへのアクセスでも利用される通信経路を占有するため、データ通信が遅延するのです。シングルダイ・クアッドコアのCore i7のPCだったら、ぐっと高速化するはずです。Core i7機に乗り換えたくなってきました。

もちろん、シングルダイ・デュアルコアのCore 2 Duoではこのようなオーバーヘッドは生じません。OpenMP化したPRIMAがMacBook Pro上で予想外に速かったのは、そのためでしょう。

■ 2009年4月4日(土) 粉末X線回折に関する講習会開催のお知らせ

東京理科大の中井 泉氏の依頼により、

日本結晶学会講習会「粉末X線解析の実際」 (2009年7月13〜15日、東京)

への参加募集をPDFファイルとして掲示しました。余談ですが、4ページで「地図」にリンクを張るのには大変苦労しました。

交通至便の地(東京理科大・神楽坂キャンパス)で開かれる上、本講習会に合わせて朝倉書店から刊行される「粉末X線解析の実際」第2版(中井 泉・泉 富士夫編集)の執筆者が講師を務め、同書がテキストとして配付されるため、定員に達するのがかなり早まることが予想されます。お申し込みはお早めにどうぞ。

なお、同書には講習会の三日目に相当する内容(MEM・MPF解析と未知構造の解析)をかなり追加しました。初版の読者にもぜひお読みいただきたいと願っております。

同書はリートベルト・MPF解析にRIETAN-FPとPRIMAを使うことを前提として編集しました。もちろん、RIETAN-FPの最新版を含むWindows・Mac OS X用自作プログラム・パッケージは同書の出版と同次期に正式リリースします。

ついでながら、Mac OS X用RIETAN-FPの追加配付は本日にて締め切りました。不具合は依然として報告されていません。

■ 2009年4月5日(日) Pythonで遊ぶ

今日は、sedでなくPythonのスクリプトを使ってindex.html中の不要な行を削除するようCheck_HP.command(3月27日参照)を改造してみました。今後は複雑なファイル・テキスト処理にはPythonを活用していこう、と決意したためです。遅すぎの感は否めませんが… 今時FortranやCに頼っているようじゃ、体裁が悪すぎます。

もっとも、所詮インタプリタに過ぎないPythonでアプリケーションを作ったりはしませんよ。そんなの、邪道ですから。コマンドやユーティリティだけに留めます。

Perlを使った経験は多少ありますが、ソースコードが理解しにくく、どうしても好きになれませんでした。汎用性と汎用性を兼ね備えたオブジェクト指向言語としてはRubyという選択肢もあったのですが、段付けだけでブロック化できるPythonの方を選びました。

関数とリストを使用した23行のスクリプトが出来上がりました。sedなら一行で済みますが、ファイルの基本的な扱い方もわかったので、初心者向きのトレーニングとしては格好の課題だったと思います。

なお、Mac OS X v10.5.6にはPython v2.5.1が標準で組み込まれています。Windows用Python v2.6.2とv3.0.1はここからダウンロードできます。

■ 2009年4月6日(月) Mac用Open/Saveダイアログ強化ユーティリティ

Default Folder Xがv4.2にバージョンアップされました。

■ 2009年4月7日(火) 芸は身を滅ぼす?

Mac用自作ソフトの配付ファイルをアップデートしました(一度アップロードしたファイルを夕方、再び更新しました)。

4月2日に記した並列化実行形式プログラムprima_MPを試供品としてRIETAN_VENUSフォルダに追加しました。Core 2 Duo以上のCPUを搭載したMacの持ち主は、RIETAN_VENUS/template_commands/prima.command中の

${PRIMA}prima $sample.prf

という行を

${PRIMA}prima_MP $sample.prf

と書き換えてから、お使いください。現時点では、X線回折かつF-constraintという場合にMEMサイクル部分だけが並列処理されます。将来、全面的に並列化したプログラムをシングルダイ・クワッドコアのCore i7のPCで実行したならば、真価を発揮するに違いありません。

make_commands.appとmake_commands.scpt(AppleScriptのソースコード)も更新しました。空白行と注釈行を除けば15行しかないミニ・スクリプトです。make_commands.appをダブルクリックし、解析の対象とするファイルを"Choose a File"ダイアログボックスで指定できるようにしました。make_commands.appへのドラッグ&ドロップと同等の操作を別な方法で実行できる、ということです。Default Folder Xによるダイアログ機能拡張も有効です。もちろんTerminalウィンドウは現れません。

最近は、PRIMAの並列化、AppleScript、Python、bashスクリプトにトラップされ通しで、3月末締切の原稿は一行たりとも書いていません(汗)。いや、筆が重すぎるから趣味の世界に逃避しているという方が当たってます。7月の「粉末X線解析の実際」講習会には絶対間に合わせなければならないということを免罪符にしてはいますが…

年相応に花見をしたり盆栽をいじったり温泉につかったりして、スローライフを享受するのがまっとうな生き方と、自分でも思っています。いつまでこういうハードかつ非人間的なことをやっていたら、気が済むんでしょうかね。

■ 2009年4月8日(水) 恰好の練習台、いや、やさしすぎ

今日は、Pythonスクリプトによる数値データを含むファイルの変換を試みました。

ρの単位はbohr-3です。電子状態計算の世界では、一連のatomic unitに単位が統一されていますから、当然のことです。

VASPの場合は、例外的にρ/bohr-3に単位胞体積V/bohr3を掛けた無次元の物理量ρVを*.vaspに記録するため、VESTA内でρ/bohr-3に戻しています。VENDの時代にはÅ-3単位に変換していたのですが、後に他の電子状態計算プログラムとの統一を図るため、単位をbohr-3に変更しました。

一方、X線回折により決定した電子密度の場合、普通Å-3単位とするのが普通です。実験・シミュレーションで求めた電子密度分布を比較する場合、電子状態計算プログラムの出力したファイル中の電子密度をÅ-3に変換できるツールがあると助かります。そこでPythonにより*.vaspを標準入力から読み込み、3Dデータの単位を変えてから標準出力に吐き出すスクリプトconved.pyを作成しました。固定長の文字変数しか使えないFortranと違って、Pythonによる文字列処理能力ははるかに高く、短時間でスクリプトが完成しました。Mac OS XとWindows上で動作を確認しました。

通常、3Dデータファイルでは数値データ部分がブロックになっているため、他のフォーマット用に本スクリプトを書き換えるのは容易です。ただしWIEN2kの出力ファイルの場合は、NIMSの新井正男氏が作成したPythonスクリプトwien2venus.pyが入手できるので、それを手直しすれば十分です。

Windows用Pythonでは、テキストファイルの行末はCR+LFで構わないのですね。今日初めて知りました。

もう一つ気づいたのは、Jedit Xによる巨大ファイル(*.vasp)の入力が非常に遅いことです。以前から、やけに重いな、と感じてはいましたが。冷却ファンの回転数が急に上がります。秀丸エディタの方が圧倒的に読み込みが速く、ヘビーユースに適しています。

■ 2009年4月9日(木) 先走りの極致

Python v3.0のWindows版が公開されていることを知り、すでにインストール済みのv2.6.1と入れ換えました。ところが、v3.0はv2.Xとの互換性がさほど高くないらしい。そこで2to3.pyというスクリプトを使い、昨日作成したばかりのconved.pyをどのように変更したらいいのか教えてもらいました。指摘通りに修正した後、*.vaspを変換してみたところ、余計なスペースが行頭に一つ入った行が続出。2to3.pyは明らかにバグってます。

怪しいところは、まず間違いなく改行抑止出力命令

print(line, end=' ')
です。これを
print(line, end='')

に変えたら、完動しました。

print関数は頻繁に使いますから、こんな単純なバグは2to3.pyを使った人なら、すぐに気付くに違いありません。Pythonは超メジャーなスクリプト言語であり、2to3.pyの更新日時は2008/09/08(!)ですから、もう十分枯れてるはず。どうしてオイラみたいな初心者が人柱にされちゃうんだ、と嘆きました。

今日はxsf形式のファイル中の電子密度をÅ-3単位にするためのスクリプトconved_xsf.pyを作成しました。*.xsfは、たとえばABINITの出力ファイルからCut3Dを用いて得られます。案の定、コーディングは楽なもんでした。その過程で得たノウハウをconved.py改めconved_vasp.pyにフィードバックしました。

■ 2009年4月10日(金) もう一回!

VASPとxsf形式のファイルにおける3Dデータの単位を変更するためのPythonスクリプトの汎用性を高め、他の形式用に変更しやすくしました。一行あたりの3Dデータの数を任意とするよう工夫するともに、できるだけ簡潔なコードとなるよう心がけました。

効果の程を確認するため、DV-Xα法分子軌道計算プログラムSCATの3Dデータファイル*.scatに記録されているデータの単位を変換するスクリプトconved_scat.pyを作成してみました。もともとフォーマットが単純な上、Pythonではファイルの終わりをチェックする必要もないため、あっという間に完成しました。

今週作成した4つのPythonスクリプトは、今後新たなスクリプトを開発する際、大いに役立つことでしょう。未だに新しい技術を身に付けようとする意欲が衰えていない自分を頼もしく思いました。

■ 2009年4月11日(土) .Mac HomePageって何?

.Mac HomePageは7月7日をもって終了し、それ以降は、新しいページを作成したり、公開済みのページを編集したりすることはできなくなる、というメールがアップルから届きました。今後はiWebでWebサイトをMobileMeに公開するよう勧める、とのこと。

7月7日からは本Webサイトhomepage.com.mac/fujioizumi/を更新できなくなるとてっきり思い込み、あわてふためきましたが、詳しく調べたところ、そういう乱暴な話ではないということがわかりました。要するに、HomePageという名のWebアプリケーションが利用できなくなるだけで、iDiskの/ユーザー名/Sitesフォルダ以下にHTMLファイルなどをWebDAVプロトコルでアップロードする分には、何ら影響ないのです。ほっとしました。

上記のメールは明らかに不親切かつ説明不足で、http://homepage.mac.com/ユーザー名/というURLが使えなくなる、と解釈した人が多いのではないでしょうか。私は.MacにHomePageなんてサービスがあることすら、忘れていました。紛らわしいこと言うんじゃねえ、ってのが当方の反応です。。

エディタで編集したHTMLファイルをWebサーバーに転送するという当方の古典的利用形態が、アップルにとって想定外なのでしょうか。いや、それは重々承知の上で、iLife(iWebを含む)の購入へと誘導してやれ、って企んだのだろうなぁ。要りませんよ、iWebなんて。

なお、iDiskの/ユーザー名/Web/Sites以下にHTMLファイルなどを置けば、http://web.me.com/ユーザー名/あるいはhttp://web.mac.com/ユーザー名/というURLでアクセスできます。そう変更したところで、とくにメリットがある訳でないので、当面、現状に留めておきます。

■ 2009年4月12日(日) Jedit Xのパフォーマンスを見くびってました

4月8日Jedit Xによる巨大ファイルの読み込みが遅すぎると愚痴りましたが、認識不足でした。Jedit XのWebページでは「Mac OS X 10.5(Leopard)からは不連続レイアウトモードをサポートし、マルチメガバイトを超える長大なファイルもストレスなくオープン/編集できます。」と謳っています。事実、環境設定... > 一般 > 編集で、「高速(不連続)レイアウトを有効にする」をチェックすれば、スイスイ読み込んでくれます。おみそれいたしました。

自宅のiMacにPython 3.0.1をインストールし、4つの自作Pythonスクリプトをv3.0.1用に書き換えるとともに、一行中の全数値の単位を変換し、ファイルに出力する関数をブラッシュアップしました。注意すべき点は、各スクリプトの1行目を

#! /Library/Frameworks/Python.framework/Versions/3.0/bin/python

に変更することだけでした。

■ 2009年4月13日(月) 毎度おなじみ、手垢まみれのネタですが、

RIETAN-2000による解析結果を報告する際に引用するよう要請している論文の被引用数がついに800回に達しました:

ソフトは使われてナンボのもの。これほど多くの研究成果に貢献したというのは、プログラマー冥利に尽きます。

RIETAN-FPに乗り換えたユーザーは別な論文を引用するため、上記論文の被引用数は700回を越えたころから、やや伸び悩みの傾向を見せていました。「粉末X線解析の実際」講習会の開催、「粉末X線解析の実際」第2版の刊行、Windows・Mac OS用RIETAN-FPの公開(4月4日参照)は、RIETAN-2000からRIETAN-FPへの移行をさらに促進するに違いありません。

RIETAN-2000+RIETAN-FPで被引用数1000回という目標(2007年1月20日参照)は軽くクリアできるでしょう。願わくば私の目の黒いうちに、しかもボケる前に成就するよう祈ってます。

■ 2009年4月14日(火) PDFファイルに関する二つの情報

日本結晶学会講習会「粉末X線解析の実際」に関する掲示(4ページのPDFファイル)を改訂しました。MS Word形式の参加申込書(p. 3下の青枠内)がそこでダウンロードできるようになりました。

NIMS内から"International Tables for Crystallography", Vol. A〜GのPDFファイルを閲覧・ダウンロードできるということを今日初めて知りました。節あるいは項ごとにPDFファイルが手に入るため、非常に便利です。ご存じない方のために、ここに記します。

■ 2009年4月15日(水) そこまで凝っていたとは、

CIF(Crystallographic Information File)に記録されている特殊点の分率座標には有効数字が少ないものがよくあります。たとえば、1/3は0.3333、2/3は0.6667というように有効数字4桁で記録されることが多いです。Crystallography Open Databaseがその典型例です。American Mineralogist Crystal Structure Databaseのように、もう一桁増やしてもらいたい。目の玉が飛び出るほど高価な某電子状態計算ソフトの出力するCIFも4桁組です。

門馬君の話では、VESTAは特殊位置の座標をチェックし有効数字が少ない場合、自動修正するので、まったく問題ないそうです。

確かにGaNのCIFをVESTAで読み込んでみたところ、0.3333 → 0.333333、0.6667 → 0.666667というように変わっていました。完璧。無料ソフトの方が丁寧で、しかも賢いというのですから痛快です。

RIETAN-2000/FPはユーザーがCIFなどを参考にして入力した分率座標を鵜呑みにするので、0.333333や0.666667というようにきちんと入力しなければなりません。そういう仕様だとマニュアルに明記し、予防線を張ってあります。

■ 2009年4月16日(木) ソースコードの整形手術

指数・多重度発生プログラムLAZY PULVERIXを書き換えました。動的メモリ・アロケーションにより、指数・多重度を格納する配列を伸縮自在にしました。

パンチカード時代のソフトなので、73桁目以降に行番号が含まれています。そこで最近習い始めたばかりのPythonで行番号を削除し、しかも行末の空白をすべて削除してから標準出力に書き出すスクリプト(Python 3.0専用)を書いてみました:

import sys

for line in sys.stdin:
    print(line[:72].rstrip())

モジュールのインポート宣言を除けば、実質2行。これだけで、ソースコードを見違えるように美化できたのには感動しました。ああ、本当にいいものを覚えたなぁ。

■ 2009年4月17日(金) ソースコードの整形、第2弾

今日は、固定形式のFortranプログラム中の文字列をエディタやsedなどで一括置換した後、73桁目以降にはみでた文字を翌行に移すPythonスクリプトreform_fortran.pyを作成しました。ただ2行に分けるのでは芸がないため、翌行の7桁目以降に挿入し、その行が72桁を越す場合は72桁以前の最初の","を探し、それより後ろを次の行に移すという手続きを行の最後まで繰り返すという仕様にしました。空白行や注釈(最初の文字が'C'あるいは'*'、'!'以降)の存在も考慮しなければならないため、結構面倒です。

かなり手こずりましたが、無事完成。PARAMETER文中の数値の桁を増やしたり、COMMON領域名を長くするときに役立ちます。

■ 2009年4月18日(土) Logophile:言葉好き

電子辞書ブラウザJammingLogophileというCocoaアプリケーションとして生まれ変わりました。これはありがたい!早速、広辞苑第6版研究社新英和(第7版)・和英(第5版)中辞典を登録し、試用しました。

Intel Macでは正常に動きますが、Power Mac G5上では電子辞書を登録しインデックスを作成するユーティリティLogophileDicManagerが異常終了します。なんどやってもダメ。早急な修正を期待します。

Intel Macで動けば十分なので、乗り換えることにしました。これで、未だに使っているPowerPCバイナリのソフトはNewNOTEPAD Proだけになりました。

■ 2009年4月19日(日) 実用ユーティリティ化を目指して

同一フォルダに置いた全Fortranプログラム・ファイル*.f90中の文字列(複数も可)をsedで一括置換し、reform_fortran.py(4月17日参照)で整形して*_conv.f90に出力するbashスクリプトconv_fortran.commandを作成しました。

*.f90を格納したフォルダと置換前後の文字列は、あらかじめconv_fortran.command中に一行ずつ入力しておきます。reform_fortran.py実行中にエラーが起きたか否かは、grepが*_conv.f90を検索し、教えてくれます。また置換行は*_subst.txtに記録され、全ファイルの置換終了後にJedit Xで一斉にオープンされます。余計なところが置換されていないかをただちにチェックできます。

conv_fortran.command+reform_fortran.pyは固定形式のFortranプログラムを扱う際、一般的に使えるスクリプトです。Pythonの練習問題として作成しましたが、今後、大いに有効利用していきたいです。

■ 2009年4月20日(月) ×もったいない → ○贅沢は素敵(未曾有の経済危機につき)

職場のPower Mac G5がいよいよヤバくなってきました。危険性を示唆する兆候がいくつか出ています。5年前に購入して以来、酷使し続けてきたマシンであり、いつ壊れるかわかったものでありません。物持ちがいいにも程があります。

こういう不景気な御時世には、どんどんお金を使おうじゃないですか。古いものは捨てましょう。今こそ、ほとんど手つかずのまま眠っている「タンス預金」を引き出すべきです。善は急げ、Mac Proの見積もりを依頼しました。CPUについては、ネイティブ・クアッドコアのIntel Xeon W3540(2.93 GHz)1基で十分と判断。別なCPUとの間の通信がボトルネックになるのではないかという懸念(4月2日参照)と値段の点で、Xeon2基の上位機種は敬遠しました。メモリは8 GB、HDは1 TB、ビデオカードはATI Radeon HD 4870にカスタマイズしました。ガンガン計算しまくる訳でありませんから、この程度の仕様で十分です。

そのMac Proが真価を発揮するのは、カーネルが64ビット化するSnow Leopardのリリース以降となるでしょう。

■ 2009年4月21日(火) 腑抜け同然

先週末、「粉末X線解析の実際」第2版の校正刷りが一冊分丸ごと届きました。箱の分厚さに圧倒され、まだ開けていません。初版より数十ページは増えているはずです。細々とした点まで丁寧にチェックし、徹底的に添削した過去の自分は偉かった! 今はもう、その気力は失われてしまいました。

明日は同書の編集・校正・出版に関する打ち合わせのため、神楽坂に行ってきます。同書をテキストとして配付する「粉末X線解析の実際」講習会までには時間的余裕が十分あるため、できるだけ完成度を高めて出版したいです。

■ 2009年4月22日(水) Power Mac G5でも大丈夫

Logophile用電子辞書登録ユーティリティLogophileDicManagerの不具合(4月18日参照)がv1.0 R2では解消したので、Logophileのライセンスを購入しました。ランダムハウス英語辞典も追加登録しました。

Logophileでは、すべての辞書を対象に検索した後、それぞれの辞書の検索結果だけを選別して見られます。こういう気の利いた仕様のおかげで、常にすべての辞書を検索しても大丈夫です。

秀丸エディタがv7.11にバージョンアップしました。Windows 7に対応したとのこと。

■ 2009年4月23日(木) イオン置換に伴う構造と物性の変化

平面4配位のFe2+イオンを含む酸化物SrFeO2中のSrをCaで全置換したCaFeO2の結晶・磁気構造、物性、電子状態がJACSに報告されています:

放射光・中性子回折データのリートベルト解析にはRIETAN-2000が使われました。

■ 2009年4月24日(金) いつまでも馬鹿正直に入力を要請

Mac用Safariを使用中に毎回メールアドレスとパスワード入力を要求され、面倒だなぁ、と苛立っていたWebアプリケーションがあったのですが、それは以前、そのサイトでは記憶しないように指示したせいなんだね。キーチェーンアクセスで当該サイトを削除し、アクセス・入力し直したら、ちゃんと記憶してくれるようになりました。

■ 2009年4月25日(土) 構造解析に飽き飽きしたばかりか

終日雨。家に閉じこもり「粉末X線解析の実際」第2版の7章(リートベルト法)を校正しました。エディターとして執筆担当分以外もざっとチェックしますので、連休はすべて同書の校正でつぶれるでしょう。

数年前までは、他人の原稿のダメ出しだろうが、自分の論文や著作の校正だろうが、英文だろうが和文だろうが、気を散らしながらでも平気の平左で、スイスイこなしていました。テレビや映画を見ながら、ということも多かったです。悪条件の下でも隅々にまで十分注意が行き届くことが自慢の種でした。

ところが、年とともに次第にその類の仕事を敬遠するようになってきました(4月21日参照)。昨年秋、同書の原稿を全体にわたって校閲したときは生き地獄同然の気分に陥りました。そればかりか、昨今は依頼原稿を書くのでさえ億劫で仕方ありません(そう言えば、例のあいつは未だに一行も…)。

往年の活力と気力が失われてきたのでしょうか。いや、むしろ今まで嫌になるほど繰り返しやってきたことに倦み疲れたのだと思います。その証拠に、この一ヶ月ほどはPythonの習得に熱中していましたから。Pythonによるプログラミングって、本当に楽しいですね。

■ 2009年4月26日(日) 昨日に引き続き、

「粉末X線解析の実際」の11章(リートベルト解析に取り組む人へのアドバイス)を校正しました。

初版では、この章は多くの初学者に歓迎されました。たとえば、粉末回折パターン中の各反射に(101)や(111)というようにカッコつきの指数を付すというミスを犯している論文をしばしば見かけますが、回折指数hklにはカッコを付けないんだよ、ということを本書から学び、恥をかかずに済んだという感謝の声を聞いたことがあります。また、構造精密化のプログラムでは、同価位置の内、一つだけについて構造パラメーターを入力すればよいということも強調していますが、これはSiの等価位置8組を全部入力した人が実際にいたので、念のために明記したものです。そんな低レベルなことにまで言及したくはなかったのですが、なにしろその人が某X線装置メーカーの社員だったもんで(笑)。

校正の合間を縫って、すでに書き上げたPythonスクリプトを進化させています。いい気晴らしになりますね。

掲示板チェック用スクリプトcheck_HM.pyは、urllibモジュールを使ってiDiskからHTMLファイルをダウンロードするように改訂しました。また引数を初めて使ってみるとともに、入出力ファイルはスクリプト内で開きかつ閉じるよう変更しました。Fortranプログラム整形スクリプトreform_fortran.pyでは、組み込み関数range()で繰り返し条件を与えるように改良しました。すべて、Pythonによるコーディングに慣れるのが目的です。

ふと気づいたら、定額給付金の残り(12,000-7,245=4,755円)はPythonに関する書籍3冊(計7,539円)の購入で、とうに使い切っていました。どの本もそれなりに役立っています。定額給付金を速やかに消費に回しただけでなく、有意義なことにも使ったと言ってよいでしょう。

■ 2009年4月27日(月) 今日もまた、

「粉末X線解析の実際」第2版の10章(MEMによる解析)、10.1〜10.3節を校正。これで、自分の執筆分が終わりました。

この章は初版にはありませんでした。もともと初版は、X線リートベルト解析を中心テーマとする講習会(7月13〜15日の講習会の前身)のテキストを発展させたものだったからです。2002年当時、MEMを使っていたのは一部の専門家に限られていました。その後、PRIMAの出現によりMEM解析が数十倍も高速化したことを考慮し、第2版に含めました。数年の間に、初心者向き書籍の1章全体がMEMに割り当てられるほど普及したのです。ごく普通のPC上で手軽に実行できるようにし、詳細にわたるドキュメンテーションを心がけた賜でしょう。

といっても、PRIMAの開発期間はごく短かかったんですよ。ソースコードもさほど長くありません。アルゴリズムや重要な式は懇切丁寧にLaTeX文書ファイル(PRIMA.pdf)に明記しました。何も包み隠したりしていません。だから、ソースコードがほしいという人が後を絶たないのには困惑しています。はっきり言って想定外。「それほど大したもんじゃないですから、マニュアルを参考にして自作されたらいかがですか」というのが典型的な返事です。VICS・VENDVESTAのような巨大ソフトと異なり、プログラミングの心得があり、結晶学の分野で飯を食っている人ならば、同程度のパフォーマンスを示すソフトの開発はさほど困難でないはずです。

なお、第2版では「リートベルト法入門」という副題は消え、MEM・MPF解析ばかりでなく未知構造解析や応用事例集が追加されました。

10.3節では、最大エントロピー・パターソン法について述べています。本来、これは未知構造解析用の技術なのですが、パターソン関数を対象とする、位相抜きのMEM解析なので、ここに突っ込みました。重畳反射の|Fo|の推定値を改善する強力な技法として、今後の普及と発展が望まれます。

■ 2009年4月28日(火) 悪運の強さ

購入後13年経過した高齢車を廃車にして10年度燃費基準を満たす新車を購入すると、最大25万円の補助金を貰える —— 我が家のシビック(2008年10月21日参照)はそれに該当します。自動車取得税と重量税も免税(ハイブリッドカー)あるいは減税ですか。ホンダのフィットに買い換えたなら30万円強の負担減なんですね。う〜ん、買うっきゃないって感じ。来年3月までですか。ぜひそうしましょう。

■ 2009年4月29日(水) Google Analyticsへの移行

これまで本ホームページの運営にあたっては、これまでSumNETという有料アクセス解析サービスを利用してきましたが、来月からGoogle Analyticsに切り換えることにしました。3月29日からAnalyticsを試用してきた結果、その無料サービスで十分と判断したためです。Google AdSenseに続くGoogleサービスの利用は、AdSense同様、クラウドから降ってくる恵みの雨で水浴びする趣味人たらんとする欲求に根ざしています。実益は眼中になし。

単にホームページへのアクセスに関する情報を得るだけなので、サービス利用開始前の手続きはAdSenseほど面倒でありませんでした。

一ヶ月の間に得られたデータの一端を披露しましょう:

「たつの」はほとんどすべてSPring-8からのアクセスです。リピートセッション数51〜100回が3.56%というのには驚かされました。精神的健全性を保つため、当ホームページの読み過ぎに注意しましょう。

■ 2009年4月30日(木) Mac Proの納品

まずネットワーク関係の設定を行い、Power Mac G5のデータをBlu-ray Discにバックアップし、とりあえずMailのデータだけMac Proにコピーしました。ここで軽率なミスを二つ犯し、大分余計な時間を食ってしまいました。本日はここまで。

アクティビティモニタでCPU使用率を表示したところプロセッサ8つ分が現れたのには度肝を抜かれました。インテルはXeon W3540でハイパースレッディング・テクノロジーを復活させました。そこで、Mac OS Xは8スレッドを同時実行可能な仮想8CPUとみなしたのでしょう。

■ 2009年5月1日(金) 景気のどん底にしては大健闘

日本結晶学会の事務局が「粉末X線解析の実際」講習会の集客状況を教えてくれました。まだ日本結晶学会誌に会告すら出ていないにもかかわらず、非常に順調な滑り出しであり、盛会となりそうです。出張旅費や経費の削減のために参加者が減るのではないかという危惧は取り越し苦労に過ぎませんでした。

やはり「粉末X線解析の実際」第2版を出版と同時に、しかも実質的に割引価格で入手できるのが魅力なのでしょう。第2版は索引を除くと274ページに達しており、初版(192ページ)に比べ82ページも増えています。これだけの厚みの本を編集するのは、さすがにきついです。各執筆者に丸投げしてはいませんから。

三つのコースで登録者数に多少バラツキがあります。ご希望のコースを確実に予約するには、早めに登録を済ましておく方がいいでしょう。

■ 2009年5月2日(土) Mac Proの環境構築、

昨日でほぼ終わりました。ソフトのインストール時にときどき訳のわからない症状が出ましたが、なんとか仕事に使える状態にもって行きました。これで連休明けには●●●●に全力投球できる(?)。

ただしSnow Leopardがリリースされたら、速やかにインストールしたいです。Leopardの垢がたまっていないうちなら、上書きインストールで大丈夫でしょう。念のためにLeopardはMacBook Proに残しておきます。

■ 2009年5月3日(日) それにしても、

老骨にむち打って連休中ずっと仕事漬けっちゅうのは、残酷物語ですなぁ。といっても、過去20年以上にわたり年末年始、連休、週末はかき入れ時と心得ていたわけで、今更そういう悪習が止むはずもありませんが。

■ 2009年5月3日(日) サンイシドロ国境検問所

朝刊にサンディエゴ(アメリカ)とティファナ(メキシコ)を結ぶ国境検問所の状況が書かれていたことから、以前、サンディエゴの空港から迎えの車に乗ってメキシコ入りしたときの体験を思い出しました。その車は検問所の脇をすり抜けてしまいました。仰天しましたよ。メキシコ入りの際、パスポートに検印くらい押してもらわないと、後でアメリカに戻るときトラブルになるかもしれませんからね。運転手に問いただしても、「これで大丈夫」と言うだけ。頭を抱えてしまいました。

バハ・カリフォルニアの田舎町エンセナダに滞在中は、ずっと重苦しい気持ちでいました。治安が悪そうな雰囲気も漂っていましたし。

運転手の言った通りでした。要するにメキシコ入りするときは車も人もノーチェック、逆にアメリカ入りするときはパスポートを提示すればいいのです。24車線の大検問所ですが、朝の通勤時間帯はアメリカに向かう車が数珠つなぎになるため、十分時間に余裕をもって行動する必要があります。

新聞によると、豚インフルエンザの監視態勢は緩やかで、検問官はマスクもしていないそうです。この分じゃどんどん伝染するなぁ。

■ 2009年5月4日(月) 忌野清志郎逝去

そこで、「恋の門」(2004年10月17日参照)のDVDを棚から取り出し、猥雑なエネルギーに満ちた挿入歌の部分だけ観ました。もともとそこが気に入って買ったのです。

歌が終わり、清志郎も群衆も消え失せ、恋乃(酒井若菜)が一人ポツンと残されるシーンには言うに言われぬ寂寥感が漂っていました。己も可及的速やかな退場を希求しつつ遺産・人脈の継承、残務整理、執筆、出版、催し、その他のために奮闘中なので、胸が締め付けられました。奮闘中というよりは悪あがき中かな? まあ、どっちでもいいや。

本日までに「粉末X線解析の実際」第2版の編者校正の担当分(計6章)をすべて片付け終わりました。余勢を駆って、他の部分もチェックし始めちゃいましたとさ。

■ 2009年5月5日(火) 気になること2件

ユニクロの姉妹店ジーユーに例の990円ジーンズが山と積まれていました。中国製生地をカンボジアで縫製とのこと。さすがにこの値段だと、裾上げは有料に違いありません。いったいいくらなんでしょうか(注:その後300円だと知りました)。

MOVIXつくばで「おっぱいバレー」を上映中ですが、このタイトルでは少々チケットを買いにくいです(とくに私のように地声のデカい男は)。客の入りはどうなんでしょうか。

無論、私は990円ジーンズを買う気もなければ、「おっぱいバレー」を観る気もありませんよ。ネタが枯渇したので、埋め草にしたまでのことです(笑)。

■ 2009年5月6日(水) 大型連休最終日

ゴールデンウィークの間は「粉末X線解析の実際」初校の校正に明け暮れましたが、今日はNIMSで最終作業に従事しました。その合間にMacTeX-2008Python v3.0.1などをMac Proにインストールし、Wordで同書用に参考書のリストを作成しましたが、この最新機はさすがにパワフルですね。Illustratorの起動も劇的に速くなりました。

リストを作りながらつくづく思ったのは、結晶学全般に関する書籍としては"Fundamentals of Crystallographty," 2nd ed.が凄すぎて、とりあえずこれ一冊あれば十分だ、ということです。"Fundamentals"と銘うってはいるものの、中身は実に濃いです。結晶学ソフトの開発に携わる者としては、数式が豊富なところがとくにありがたい。既刊の和書が束になってかかっても、この名著には太刀打ちできませんよ。もちろん英語を見ると吐き気がするという人はその限りでありませんが。どなたか翻訳されたらいかがでしょうか。

夕方までにすべての作業を終えました。あまりにも分厚い紙の束なので、箱詰めにして、明日、宅急便で出版社に送ります。

とにかく、本書の刊行は「粉末X線解析の実際」講習会に是が非でも間に合わせねばなりません。できるだけ良質な本にしたいという欲求だけでなく、絶対守るべき締め切り日の存在が、脇目もふらぬ編集活動の駆動力となっています。ただ、疲労の色が濃く、体調が芳しくありません。

■ 2009年5月7日(木) 平成21年春の叙勲

廊下ですれちがった人から、恩師が叙勲されたと伺いました。めったに貰えないような高ランクの勲章だそうです。へ〜、そんなことをチェックしてる暇人がいるんだ、と驚いただけで、とくにコメントはありません。

■ 2009年5月8日(金) Mac用配付ファイルの更新

書籍だけでなく、Windows・Mac OS用RIETAN-FP正式版も「粉末X線解析の実際」講習会までにリリースしなければなりません。疲れた体と萎えた心に鞭打ち、Mac用RIETAN・VENUSのインストーラInstall_RIETAN_VENUSをAppleScript+bashスクリプトで作成し、Toast Titaniumでディスクイメージ化しました。テストユーザーの方々は、以前お教えしたURLを使って配付ファイルをダウンロードしてください。

インストールはとくに何も表示されずに、あっという間に終わります。ターミナルの窓が開き、インストール後に手動でそれを閉じなければならないといった無様なことは、無用の用的スクリプトにより回避しています。設定ファイル.bash_profileと.bashrcは、ホームディレクトリに自動的に作ってくれます。

8日前に届いたばかりのMac Pro上でPRIMAによりsorbitolの放射光粉末回折データ(4月2日参照)をMEMで解析してみたら、わずか20秒で計算終了。アクティビティモニタでCPU使用率を表示すると、MEMサイクルに入るや否や8つの論理CPUを総動員して計算し続ける様が視覚化されます。さすがはハイパースレッディング技術を盛り込んだネイティブ・クアッドコアCPUだなぁ、と喜びました。

律速部分をすべてパラレル化した訳でないこと、カーネル部分が32ビットのLeopardでは64ビットアプリケーションとの間でデータをやりとりする際、オーバーヘッドが生じることを考慮すると、いずれさらに高速化するのは間違いありません。門馬君にOpenMPによるパラレル化の拡大をお願いしておきました。

■ 2009年5月9日(土) 働き過ぎで、げんなり

今日もMac用配付ファイルを更新しました。具体的には、ホームフォルダに.bash_profileと.bashrcが既に存在する場合はそれぞれ.bash_profile~と.bashrc~にバックアップするとともに、/Applications/Igor Pro Folder/Igor Proceduresフォルダが存在する場合はIgor Pro用マクロreflection.ipfをそこにコピーし、Readme_mac.txtを/Applications/RIETAN_VENUS/DocumentsフォルダにコピーするようbashスクリプトFile_manipulation.commandを改良しました。それに応じて、Readme_mac.txt中のSect. 3を大幅に書き換えました。

インストーラがUNIX風で、寡黙なのに変わりはありません。設定ファイル二つを除けば、すべて断りなしに上書きします。AppleScriptを使えば、警告やメッセージをダイアログで出すのは簡単ですが、それは意識的に避けました。

さらに、Power Mac G5からiCalのデータを取り込みました。丸一日ではなかったものの、今日も仕事する羽目に陥ったのは嘆かわしい限りです。

■ 2009年5月10日(日) 紙よりネット

今日は大型連休以降、事実上、初めての休日です。

近着の日本結晶学会誌(51巻、2号)には4ページにわたって「粉末X線解析の実際」講習会の会告が載っています。といっても、これが手元に届く前、すでに同講習会の定員はかなりの割合で埋まっていました。昨今は、紙面よりネットから種々の催しに関する情報を得る人の方がはるかに多いのではないでしょうか。

紙媒体が本質的に不利な点は掲示に至るまでのスピードに劣り、リンクを張れず、修正が効かず、長期的には置き場所に困ることです。たとえ紙面で会告を見たとしても、たいていの人はWebページから最新情報を得ようとするでしょう。

手間、経費、人件費をさほどかけず、資源も浪費せずに、迅速かつ広範囲に宣伝を浸透させる —— ネットを徹底活用せずには、不景気風が吹きすさぶ、この世知辛い御時世を乗り切れません。それがこの3年余り、種々の催しのために力を尽くしてきた自分の実感です。学協会誌に会告が出ない上、パルス中性子源では使えない(あるいは直接関係ない)ソフトや技法を紹介せざるを得なかった超ローカル研究会+アンコール講習会でさえ延べ300人を越す人々を集めたくらいですから、ネットの集客力には目を瞠るものがあります。本情報館のような完全にプライベートなサイトでも、組織の公式サイトを圧倒する力を秘めているのです。

もっとも、ろくに訪問者がいないような不人気サイトじゃ話になりませんよ。日頃どれだけ手数を掛けているかが勝負の分かれ目です。

なお、「粉末X線解析の実際」講習会に参加を申し込まれた方で、一刻も早くWindows・Mac用のRIETAN-FP(VENUSの一部も含む。正式版ではありません)を入手したいという方は、所属と名前を明記し、「事前ダウンロード希望」という件名のメールを私にお送り下さい。折り返し、配付ファイルのURLをお知らせします。

■ 2009年5月11日(月) 奇遇

中山将伸氏が東工大から名工大に栄転されたと伺い、LINKS中の逆リンク集に記載されている所属を変更しました。

偶然ですが、私は名工大-NIMSの連携に客員教授として加わることになっています。手始めに公開講座や学内向けセミナーの講師を務める予定です。公開講座については、日時や場所が正式に決まった後、当Webサイトにてお知らせします。

■ 2009年5月12日(火) ミラー指数でなく回折指数なのに

粉末X線回折パターン中の各反射hklに"( )"を付けるのはド素人、ということを先日書き込んだばかりですが、近着のJ. Ceram. Soc. Jpn.、5月号のページをめくると、各反射に"( )"を付けている論文が目白押しじゃありませんか。ということは、レフェリーもご存じないってこと?! あ〜あ。

昔観た映画「しこふんじゃった」には、相撲取りが身に付けるのは「ふんどし」じゃなくて「まわし」、という台詞が繰り返し出てきましたが、hkl反射のことを(hkl)反射と言われると、「まわし」のことを「ふんどし」って言われたのと同様、イライラします。「いばらき」(県名)を「いばらぎ」と呼ぶのは別に構いませんが。

まあどうでもいいか、そんなこと。それよりも、私くらいの年配になると、「ズボン」を「パンツ」と呼ぶ方がずっと違和感があるんだよなぁ。

■ 2009年5月13日(水) 先月末に入手したばかりのMac Pro

昨日までにPower Mac G5からの移行を完了し、今日は3月発売の新機種に関する不具合を修正したとみられるMac OS X v10.5.7にアップグレードしました。

Mac Proへの乗り換えに伴うスピードアップを如実に感じるのは、AdobeやMicrosoftのヘビー級アプリケーションを起動するときとFruitMenuでSystem Preferencesのサブメニューを表示させるときです。Power Mac G5と違って「待たされ感」や「モッサリ感」がほとんどなく、動作がキビキビしています。8つの仮想CPUの使用率が滅多に高まらないことをアクティビティモニタで確認し、やはりXeon1基+8 GBメモリーのマシンで十分だったと感じています。

粉末回折用ソフトウェアの開発の意義と波及効果を認めていただき、寄付金を提供してくださった企業に厚く御礼申し上げます。大切に使わせていただきます。

ところで、Snow Leopardはいつリリースされるんでしょうか。リリース、即インストールします!

■ 2009年5月14日(木) またしても新しもの好きの本性がうずいて

NIMSのWebメールシステムが昨年末からDenbunに変わったことを知り、早速それに切り換えました。これまで使ってきたSun Java System Messenger Expressは使い勝手が悪いだけでなく、Word形式の添付ファイルをダウンロードする際、しばしば壊してしまうからです。

自宅のiMacで試行錯誤した結果、Safari 4ーAjax版Denbunの組み合わせが最適だということがわかりました。Safari 4は昨日リリースされたばかりのパブリック・ベータ(5528.17、英語版)で、Ajaxに基づくWebアプリケーションとの相性は申し分ないはずです。

第一印象は —— まあこんなものかな、といったところ。夜間や週末に自宅でメールを送受信している分には、なんとか我慢できそうなレベルには達しています。Sun製ソフトに比べ、ファイルの添付は格段に楽になりました。目立つ欠点は、メールの選択に時間が掛かること、ウェブメールとアドレス帳のウィンドウサイズが記憶されないことです。

■ 2009年5月15日(金) フォルダ1個全滅の危機を回避

Power Mac G5のデータをBlu-rayディスク(パナソニックLM-BE50DW)にバックアップしたとき、Crystallographyフォルダが正常に記録されなかったことがわかりました。たとえばテキストファイルをエディタで開いても何も見えませんし、zipファイルは解凍できません。何かが壊れています。油断できないなぁ。

あわててPower Mac G5中のCrystallographyフォルダをUSBメモリに記録し、Mac Proのアプリケーションフォルダ中にコピーし直しました。

ちなみに、1月にデータをバックアップしたときのBlu-rayディスクにはちゃんと記録されていました。謎は深まるばかり…

一方、Mac OS X v10.5.7はトラブルなしに動いています。Safariを使ってiDiskにHTMLファイルをアップロードするときの挙動は明らかに改善されました。

■ 2009年5月16日(土) 価格下落率はテレビ以上?

Windows機に接続している液晶ディスプレイの劣化が著しいので、20〜23インチの最新製品4つの見積もりを依頼しました。金額を見てびっくり仰天、予想の半分以下でした。こんな値段で、利益が出るんでしょうか? 990円ジーンズじゃあるまいし。

要するに、液晶パネルが凄い勢いで値崩れしてるのでしょう。こんな値下げレースの場で血みどろの戦いを繰り広げていたら、徒に消耗するだけ。「他社と同じことをやっていたら、競争に勝てない」、「他社にない差別化製品で市場を創出する」ということを肝に銘じておかねばなりませんね。研究者とて同じこと。「すでにあるものをつかう」のでなく「どこにもないものを自らつくる」んじゃないと、高い評価とストック収入は得られません。

結局、大台より上の製品で見積もりを取り直すことにしました。

■ 2009年5月17日(日) Firefox 3.5b4 → Safari 4 (5528.17):いずれもベータ版

これまで自宅のiMacではNIMSのWebメールとの互換性が高いFirefoxを使ってきましたが、このたびDenbun5月14日参照)と相性が良いSafari 4に完全に移行しました。まだ英語版しかないパブリックベータバージョンですが、安定性は十分高いです。

なお自宅でメールをチェックするために、勤務先宛てのメールをGmail、Hotmail、Yahoo!メールなどに迂回させるのは禁じ手だと思います。一時的にせよ、業務上の機密も含むメールを雲(クラウド)の中に置くってのは、セキュリティーの点でまずいですよ。置きっぱなしなんて論外ですね。

■ 2009年5月18日(月) 悲願成就を目前にして

先週末、NIMS内で利用可能なWebサービスとして、Denbunに引き続きSCOPUSを試用してみました。SCOPUSのサポートページでは「Scopusは、エルゼビア社が提供する世界最大級のデータ量を誇る新しい学術情報ナビゲーションツールです。 科学・技術・医学・社会科学分野で研究をされる皆様の情報探索や論文作成の生産性を上げるため、徹底した研究を重ねて開発されました。」と謳っています。

まずはRIETAN-2000Mater. Sci. Forum)とRIETAN-FP(Solid State Phenom.)を利用して得た結果を報告する際に引用すべき論文について調べてみました:

上のスクリーンショットに示す通り、被引用数は826+96+33=955という結果が得られました。ISIのWoSによる検索結果(4月13日参照)と比べ、かなり多くなっています。2番目の論文は、単に最初の論文のボリューム321〜324を321と誤って入力しただけで、最初の論文と重複してはいませんでした。ちなみに、NIMS発足後の研究成果としてはダントツに引用が多いので有名なCo系超伝導体の発見を報じた論文の被引用数は694でした。

955 —— 些少なself-citationにもかかわらず、これほどの数字を叩き出すとは!

2007年1月20日の時点では、RIETAN-2000/FPに関する論文の被引用数1000回という破格の記録さえ達成すれば、もう研究者として思い残すことはないと考えていました。1000マイナス955は、たった45じゃありませんか。数ヶ月以内には軽く達成できそうです。

意外だったのは、私が講演・講義した研究集会や講習会などの参加者限定でプレゼントしてきたにすぎないRIETAN-FPのβ版が、すでに33もの研究成果に貢献していたことです。RIETAN-FPの正式版を公開し、その使用を前提とする「粉末X線解析の実際」第2版が上梓され、それをテキストとする「粉末X線解析の実際」講習会が開催される7月中旬以降には、一段と普及が進むでしょう。

といっても、一昨年とは研究ベクトルの方向と長さが変わり、自分に残された時間が減ってきている今、1000回の大台突破という目標を上方修正する気はありません。特定の数値にこだわるのは愚かしい、というのが現下の心境です。いくら増えようが懐に一銭も入るわけじゃなし、単なる自己満足は空しいだけです。

被引用数など誇示しなくとも、RIETAN-2000/FPの巨大な波及効果は明らかでしょう。計算速度にかけては他の追随を許さないPRIMAとの連携に加え、知名度アップと広範な普及に拍車が掛かりつつあるVESTA2月20日参照)との相乗効果もジワジワ効いてきました。当方のソフト資産が時代遅れになり、次第に立ち枯れていく恐れはほぼなくなりました。被引用数は、本日のように当掲示板で採り上げるべき話題が枯渇したとき、埋め草に当てるだけで十分です。何度お世話になったかわからないよなぁ、このしょうもないネタには(笑)。

■ 2009年5月19日(火) 一行芸

とある事情から、Window Vista機でDHCPサーバーが動的に割り当てたIPv4アドレスをときどき取得する必要が出てきたのですが、その手続きがやや面倒です。スタートでネットワークを右クリックし、プロパティを選び、状態の表示をクリックした後、詳細ボタンをクリックするといった具合。おまけに、その過程で開いた三つのウィンドウをすべて閉じなければなりません。そこで、IPアドレス取得用Pythonスクリプトをネットで拾ってきて、Python 3.0用に書き換えました:

import socket
print(socket.gethostbyname(socket.gethostname()))

実質1行。しかも標準モジュールだけで実行できます。

■ 2009年5月20日(水) Windows版の模様替え

体調悪し。微熱。やや疲れ気味。

しかし休んでなど、いられません。Windows用RIETAN-FP・VENUS(VESTAを除く)の階層構造をインテルMac版と同様にするべく、大幅に変更しました。実行形式ファイル、それらが読み込むテキストファイル、Documents・Batch_files・MacrosフォルダはすべてRIETAN_VENUSフォルダ内に、Examplesフォルダはユーザーデータの領域に置きます。そのため、バッチファイルと秀丸マクロを多数修正せざるを得ませんでした。Readmeファイル二つも大幅に書き直しました。

■ 2009年5月21日(木) インテルMac用自作プログラムの配付ファイルを更新

といっても、Readme_mac.txtとtemplate_commandsフォルダ中のbashスクリプト*.command(view.commandを除く)を修正しただけです。

昨日に引き続き、Windows版の方も微修正しました。牛歩の如きペースで前進中です。

なお、あるユーザーがRIETAN-FPの英文マニュアルの間違いを教えてくださいました。ありがとうございました。

■ 2009年5月22日(金) 見た目が大事

「粉末X線解析の実際」第2版の表紙と口絵に使う色つきの図について時々メールで相談しながら、RIETAN-FPの配布パッケージに解析例を二組追加しました。

候補の大半は、VESTAで作成したイメージです。私が用意した図はややジャギーだったので、VESTAにおける諸設定を門馬君に最適化(ダメ出し?)してもらったところ、見違えるように綺麗になりました! VESTAによるイメージングのノウハウを伝授する講習会を催せば、ウケるんじゃないかな。

とりわけ重要なのが表紙です。本書を座右に置いて活用する際、否が応でも目に飛び込んでくるからです。売れ行きにも効いてくるでしょう。第1版では、C60と二重カーボンナノチューブの球棒模型をVICSで作成しました。第2版用には、甲乙付けがたい二つの候補に絞り込みました。

■ 2009年5月23日(土) HTMLファイル作成用マクロを二つ追加

昨年1月16日にも記しましたが、本ホームページにはJedit XAppleScript Macro Collection for HTMLで書き込んでいます。このコレクションにはなぜか2種類のタグ

<center> … </center>
<pre> … </pre>

で選択部分を囲むというマクロが含まれていません。既成マクロを参考にして自作し、スクリプトメニューに追加しました。

■ 2009年5月24日(日) Windows用MEM解析プログラム二つの改良

Windows用のPRIMAとALBAを使うには、それぞれ同じ名前の環境変数をシステムというコントロールパネルで定義しておく必要があります。おまけにフォルダの絶対パスの最後に"¥"をぶら下げなければなりません。これは面倒かつ間違いやすい作業なので、それぞれPRIMA.batとALBA.batというバッチファイル中で環境変数を設定するよう変更しました。この改良に伴い、それらのバッチファイルを呼び出す秀丸マクロPRIMA.macとALBA.mac、マニュアルPRIMA_manual.pdfとALBA_manual.pdfも修正しました。

かねてからの懸案が解決したのはめでたい限りです。

Mac OS版では、インストーラがホームディレクトリに作成してくれる.bash_profile中で環境変数が定義されているため、ユーザーに負担がかからないことを申し添えておきます。

■ 2009年5月25日(月) Windows版のインストーラ

Mac OS版にはInstall_RIETAN_VENUSというインストーラがあるのに、Windows版の場合はエクスプローラでファイル・フォルダをコピーしてください、というのでは片手落ちです。そこで、v1.99r2にバージョンアップしたばかりのFastCopyを活用したインストーラInstall_RIETAN_VENUS.batを作成してみました。マイクロソフト謹製のxcopyやrobocopyを敬遠した理由は簡単 —— めったやたらに遅いからです。

厄介なのは、Vistaにおけるユーザーアカウント制御(UAC)です。この悪名高い「余計なお世話」的機能を有効にしておくと、ファイル操作や設定変更ののたびに警告が現れ、閉口します。もちろんインストーラにとっては目の上のたんこぶです。「Windows Vista上級マニュアル」(橋本和則)には、UACなんか停止しちまえと書かれていたので、UACをオフにしてからインストールしてね、ということにしました。そのままオフにしておくことを推奨します。

FastCopyによるコピーは文字通り抜群に高速です。もちろん、タイムスタンプが以前のままのファイルは上書きしません。大した手間でないのですから、もっと早くインストーラを作るべきでしたね。

■ 2009年5月26日(火) Windows版配布ファイルをアップロード —— しかし…

Windows版のインストーラの改良を終えた後、サーバーに配付ファイル(89.3 MB!)をアップロードしたのですが、ブラウザではダウンロードできませんでした。

その後、アップロードしたzipファイルのアクセス権をTransmitで調べたところ、「その他」(ユーザとグループ以外)の「読み」がなぜか不可になっていたので、Octalを664(rw-rw-r--)に変更したところ、正常にダウンロードできるようになりました(ホッ)。

結論:サーバーにアップロードする前にTransmitでアクセス権をチェックするべきである。

■ 2009年5月27日(水) 振り返ってみると、

過去4年ほどは、色々なところから舞い込んでくる依頼に応じてきただけで過ぎ去りました。自発性が欠如しているという誹りは免れません。

しかし、黙々と要望に応えるだけでも結構大変なんです。中には、あまり関わり合いたくないことも含まれています。「やりたくないことをやらずに済む幸せ」はとても大切ですから、いつの日か頼まれ仕事に切れ目が生じたならば、その機会に研究の世界に別れを告げたいと願っています。しかし、未処理の案件がいくつか残ってるんですよ。どこかで自ら幕を引かないと、いつまでもズルズルと… —— は〜(汗)。

とは言いつつ、今日もMac OS・Windows版の一貫性向上に余念がありませんでした。どうも、根が真面目すぎるんだよなぁ。どうでもいいようなことでも手を抜かない愚直さはほどほどにしないと… あれこれそれが好例です。いや、つい一昨日もやらかしました。FastCopyを徹底活用するインストーラなんて、どうみてもやり過ぎだよなぁ。そこまでマイクロソフトを蔑視しちゃ可哀想じゃありませんか。

つい先日、G5 MacのデータをMac Proに移していたとき、19年前に「応用物理」第59巻に掲載された総合報告の原稿がたまたま目に入りました。冒頭を眺めているうちにぐいぐい引き込まれていき、我に返ったらイントロダクションを読み終わっていました。もはや今の私に、これほどのレベルの文章は書けません。過去の自分には到底太刀打ちできない! じわじわ劣化が進行中 —— 食い止める術はないのか。

■ 2009年5月28日(木) 理解不能なトラブル

やはり日本人には日本語が一番、ということで、RIETAN-FPのユーザー入力ファイル*.insの一つを日本語化しました。ところが、New Tinkが"抑"あるいは"マ"を注釈として含む行を処理する際に、原因不明のエラーを引き起こします。当該文字を別な言葉で置き換えるという応急処置で、なんとか入力できるようにしました。

結局、一日が丸つぶれ。明日「粉末X線解析の実際」の再校、一冊分すべてが届きます。執筆者任せにしない責任編集態勢をとっているため、週末も校正に没頭せざるを得ません。つらいなぁ。

■ 2009年5月29日(金) 英語嫌いのRIETANユーザーにとって超重要な情報

昨日記したトラブル、一件落着しました。要するに、Shift_JISコードの一部が制御文字とみなされてしまうのです。EUC-JPコードで*.insを保存すれば、このような障害を回避できます。特定のカナ漢字を含む*.insをUTF-8やJISなどEUC-JP以外でエンコードすると、必ずエラーが発生します。

このノウハウを会得したので、少し元気が出てきました。プログラムをあれこれ弄らずに済んで、本当に助かった!

しかし再校の詰まった宅急便を手にしたとたん、げんなりしてしまいました。やれやれ。

■ 2009年5月30日(土) 「粉末X線解析の実際」再校の校閲

すごい勢いで、4つの章を片付けました。己の執筆分はすべて終了しました。

初版を上梓した2002年の時点では、それが9刷まで増刷を重ねた末、第2版を出版するまでに至るとは予想だにしていませんでした。ご存じのように、初版は粉末X線リートベルト解析講習会のテキストを土台とし、RIETAN-2000の使用を前提として編纂しました。RIETAN-2000と同書の相乗効果がRIETAN-2000の普及・活用、同書の販売、同書をテキストとする講習会への集客を促進したのでしょう。

RIETAN-2000/FPの被引用数は5月18日の時点に比べて7つ増え、962になりました(あ〜、またしても手垢まみれのネタを…)。

ボリュームが大幅に増えた「粉末X線解析の実際」第2版の方も、ぜひよろしくお願いしいたします。といっても、実質的な発売日は「粉末X線解析の実際」講習会が開かれる7月13日以降となりますが。

■ 2009年5月31日(日) 「粉末X線解析の実際」再校の校閲、二日目

今日は、さらに3つの章をチェックしました。まだ前半の章が残っています。

■ 2009年6月1日(月) 「粉末X線解析の実際」再校の校閲、三日目

体調不良につき年休をとったにもかかわらず、執筆者および編集者(朝倉)とメールをしきりにやりとりしながら、朝から晩まで3つの章+付録の校訂に励みました。再校といっても、赤を入れた箇所はきわめて多いです。新たに書き起こされた章・節は、とりわけそう。本来は休養しなければいけないのに、この勤勉さ。我ながら恐るべし。

日本結晶学会の事務局が「粉末X線解析の実際」講習会のA・B・Cコースの参加登録者数を知らせてきました。これらの数値データについて感想を申し述べたいところですが、ぐっとこらえて、沈黙を守ることにします。

しかし、それとなく状況をほのめかしても構わないでしょう:聴講希望のコースを確実に予約するには、参加登録はお早めに。←言外の意味を察してください。

■ 2009年6月2日(火) 「粉末X線解析の実際」再校の校閲、四日目

長大な章のチェックをさっさと終え、次の章に入ったとたんに難渋し出し、悪戦苦闘しました。この章の校訂は明日に持ち越しです。

■ 2009年6月3日(水) 「粉末X線解析の実際」再校の校閲、五日目

ついに校了しました。明日、ざっと再チェックし、明後日、出版社宛に発送する予定です。よく耐えたなぁ。連日、全力を尽くしているうちに、精神的圧迫感は雲散霧消していました。

といっても、これでお終いじゃありませんよ。約2週間後にデスマッチ(出張校正)が控えてますから。

■ 2009年6月4日(木) たまには日本経済について

5月中旬から長期金利がジリジリ上がっており、昨日は1.545%に達しました。今日発売の個人向け国債(変動10年)の利率は0.73%です。21年度の一般会計総額に占める税収の割合は過去最低の45%にまで低下していますから、国債の売りが膨らむ(=長期金利が上昇する)のは自然の流れです。借金大国の危なっかしさが冷厳な目で見透かされている、って感じがします。株価が底を打った(=株式投資のリスクが減った)という見方も影響しているのかもしれません。

長期金利と連動して金融機関の貸出金利も上昇しますから、借金を抱えている企業や家庭の負担が増し、景気回復の遅延をもたらします。

2009年度の名目GDP成長率を-3.5%と仮定し、3月21日に記したのと同じ方法で日経平均の上限と下限を見積もると、それぞれ2,343円と1,953円です。実際は9669円なのですから、今後、株が暴落しても不思議はありません。

さて、そういう状況下で、あの●●はどうしたらいいかな。

■ 2009年6月5日(金) 一段落

「粉末X線解析の実際」第2版の再校、一冊分を段ボール箱に詰め込んで出版社に送付しました。表紙と裏表紙のイメージ5つ(内三つはVESTAにより作成)の準備も完了。中でも一番目立つ表紙のイメージは門馬君に提供してもらった2点から選ぶことになりました。

RIETAN-FP用日本語入力ファイル*.insをすべてEUC-JPエンコーディングで保存し直しました(5月29日参照)。さらに、フーリエ・D合成やMEM解析に用いる構造因子のnondispersive componentsを計算する方法についてRIETAN-FPの英文マニュアルに追記しました(文献も引用)。

"Nondispersive"(非分散)という用語が出てきたところで一言。International Tables, Vol. Cには"X-ray dispersion"は決して異常な現象ではないので、"anomalous dispersion"(異常分散)などと呼ぶべきでないと戒めています。至極もっともな指摘です。IT原理主義者たる私は「粉末X線解析の実際」中では、"X線分散"と記しました。

心身ともに疲れ気味なので、この週末は久しぶりに休養する予定です。

■ 2009年6月6日(土) 今更こんなものを出したところで、

一昨日リリースされたばかりのGoogle Chrome for Macを試用してみました。NIMSのWebメールシステムDenbunとの互換性が低いため、ただちにゴミ箱逝きとしました。ログインした直後にアドレス帳が出てくるようじゃ使えません。

DenbunだけでなくGoogleのGmail、AdSense、AnalyticsなどのAjaxアプリケーションもSafari v4 Public Betaからアクセスすれば、それで十分です。実のところ、Google自身もそう考えているんだとか。

■ 2009年6月7日(日) 気晴らし、ならず

旧知の若者(?)から、ある用件にてメールが届いたので、それに返答し、「このところ辛気くさい仕事ばかり続き、心が折れそうです。何か元気が出そうな小説(映画も可)でも紹介してください。」という追伸を加えました。もちろん「心が折れそう」というのは、言葉の綾みたいなもんです。私の心は折りたたみ傘同様、簡単に折れますが、すぐさま元通りになります。だからこそ、今まで生き残ってきたのです。

「泉先生が喜びそうなものでしたら、舞城王太郎の『阿修羅ガール』がお勧めです。」というのが返事でした。善は急げ、書店に行ってみたのですが、新潮文庫の棚には在庫なし。といって、そのうさんくさそうな本を注文する気も起きず、スゴスゴ帰宅しました。

それよりも、先月刊行されたばかりの「久生十蘭短編選」(岩波文庫)を優先すべきです。先延ばししてきたケータイの機種変も実行しなきゃ(バリューコースに切り換えるため)。

■ 2009年6月8日(月) 「粉末X線解析の実際」の表紙イメージ候補二つ、

門馬君に微修正してもらいました。いずれも装飾的な絵柄です。

■ 2009年6月9日(火) Safariのバージョンアップ

Safari 4.0正式版がリリースされました。残念ながら、自宅のiMacではDenbunで日本語入力ができなくなってしまいました(ベータ版では大丈夫でしたが)。とりあえずFirefoxで代行します。

なお、Mac OS X Snow Leopardは9月発売だそうです。

「粉末X線解析の実際」第2版の編集作業も最終局面に入りました。今日は「改訂にあたって」と「どのように使うか」を校訂しました。また急遽、門馬君にVESTAで結晶構造模型を追加作成してもらいました。13章の扉を飾るイメージです。

■ 2009年6月11日(木) あっさり満員御礼が出たBコース

日本結晶学会講習会「粉末X線解析の実際」の開催は一ヶ月以上先ですが、早くもBコースが定員(160名)に達しました。絶大な人気を誇ってきた同講習会といえども、未曾有の不況の最中、受講者が激減するのでは、と危惧していたのですが、杞憂に過ぎませんでした。参加登録のペースでは、これまでの同講習会を凌駕しています。

上記のニュースから、6月1日に記した「聴講希望のコースを確実に予約するには、参加登録はお早めに。」という文言が理解できたでしょう。要するに、「Bコースへの申込みは近日中に締め切る」ということを暗示したのです。

A・Cコースはまだ参加申込みを受け付けています。Aコースは「粉末X線解析の実際」の共著者ら11名(予定)が応用事例に関するポスターの前で自ら説明するという新企画(16:30〜17.30)を含んでいます。「粉末X線解析の実際」第2版にはVESTAで描いたイメージが多数使われており、人気ソフトの作者を拝みたいというファンも多いでしょうから、門馬綱一君にもVESTAによる結晶構造と電子密度の可視化についてのポスター発表するよう依頼しました。それらのポスターは3日間とも掲示します。Cコースは「粉末X線解析の実際」第2版に追加された「10章:MEMによる解析」と「12章:粉末結晶構造解析」、計48ページ分に対応しています。

■ 2009年6月12日(金) 日頃の摂生が功を奏し、

定期健康診断におけるメタボリック症候群の検査(腹囲測定)は無事クリアしました。体重は平均値に比べ2〜3キロ少ないくらいですから、「デブにだけはなりたくねぇ」という願望は今のところ満たされています。

■ 2009年6月13日(土) 名工大公開講座

講演と講習のお知らせ名古屋工業大学セラミックス基盤工学研究センター公開講座(7月30日、木曜)を掲示しました。門馬綱一君とともに「リートベルト法とMPF法による結晶構造の精密化」について講義します。名工大の教員・客員教員による5つの講義(7月9日〜8月6日)全体の受講申込みは6月25日まで受け付けています。

これまで泉・門馬が巡業(?)に出る際には、できるだけ自作ソフトに新機能やマニュアルなどを追加するよう努めてきました。上記講座と翌日午前の研究会(名工大御器所キャンパス)では何を披露するのか —— まあ、楽しみにしていてください。

■ 2009年6月14日(日) 至極もっともな挙動

ブタがいた教室」で唯一私の目を釘付けにしたのが、ブタのPちゃんと子供たちがお別れするラストシーンでした。ブタは演技できませんから、動物的判断だけで行動します。では、名残を惜しむ子供たちが次第に遠ざかって行く際、Pちゃんはどう振る舞ったのか。ネタばれになるので、これ以上述べるのは控えることにします。

「手塩にかけて育ててきたブタだから」なんて、勝手な思い入れに過ぎません。同様に「手塩に掛けて育ててきたソフトだから」なんて意識は捨てるべきではないでしょうか。ソフトに心などありません。そして、世に送り出したとたんに一人歩きするようになります。もちろん、自分の分身(2006年10月20日参照)だなどと思い込むと、結局は作者自身が自作ソフトに裏切られることになるでしょう。

■ 2009年6月15日(月) 2009年の6大目標

手帳に明記してあるんですが、今日チェックしたところ、

という進捗状況となっていました。順調に前進中といったところです。昨年から積極的に推進してきた「構造改革」が実を結びつつあります。

論文の被引用数云々、なんてのは含まれていませんよ。当方の場合self citationがほとんどなく、もっぱら他力本願なんですから、目標とする意味がありません。

"Self citation"という文言と関連して、「一流の論文」に関する私の個人的基準について述べさせてください。私は

被引用数 ー (self citationの回数) > 100

という式を提案したいです。Self citationの回数を差し引く理由は言うまでもありません。第三者に与えた影響の尺度とするためです。右辺の100は、滅多に達成できない数字として適当に決めました。50程度では明らかに小さいし、200というハードルは高すぎる、ってところです。

筆頭著者としてこのような論文を複数執筆した人は研究者として一流とみてよいでしょう。この式の左辺が数十程度の論文を量産しただけの研究者は、さほど高く評価できません。ホームランを狙わずにヒット数を稼いだという印象が強いからです。

■ 2009年6月16日(火) ページ数がかなり増えた割には…

「粉末X線解析の実際」第2版の価格が5,800円(+消費税=6,090円)と決まりました。朝倉書店の近刊案内にも掲示されています。日本結晶学会講習会「粉末X線解析の実際」の会場で、テキストとは別に「おみやげ」としても5,177円(税込み)で割引販売する予定です。

表紙・裏表紙のイメージ5つの説明がすべて揃い、後は18・19日の最終校正を残すだけとなりました。

■ 2009年6月17日(水) ちょっとしたノウハウ → 効果抜群

LaTeXiTで数式入りの講習会用スライド(Illustrator形式ファイル)を次々に作成しています。これまではLaTeXのソースを一々テキストファイルとして保存していたのですが、PDF形式でイメージを保存すれば、ソースも記録されていることを昨日知りました。長く気付かずにいたのは、誠に迂闊でした。

このフリーソフト、複雑な数式のタイプセットと自前のPreambleへの変更に四苦八苦しましたが、上記のコツの会得により、ようやく自家薬籠中のものとしました。

「ノウハウ」と言えば、先日読んだ新聞に靴紐が解けるのを防ぐための工夫が数種類載っていましたが、その中で一番シンプルなものを試しています。確かに効き目があります。靴紐がほどけるメカニズムが理解できたような気がします。

■ 2009年6月18日(木) この逸品さえあれば、

理科大における「粉末X線解析の実際」第2版のだめ押し校正に先立ち、JETSTREAM SXN-150の赤と黒を一本ずつ購入しました。神楽坂に面したビルの一室に陣取り、戦闘開始。かなり広く、しかも新しいゲストハウスで、快適です。しかし、ふらっと遊びに出たくなる環境だなぁ。

■ 2009年6月19日(金) ひやり

「粉末X線解析の実際」三校をチェックしている最中に、7章の図を1枚、別な図と取り違えていたことを中井 泉氏から指摘されました(汗)。不覚。

急遽、編集者を通じて印刷会社に問い合わせたところ、差し替え可とのこと。助かった!

■ 2009年6月20日(土) 昨晩は普段通りに就寝

神経を集中し、夜を徹して行った最終校正でしたが、さほど疲れは残りませんでした。日本結晶学会講習会「粉末X線解析の実際」の絶大な人気(6月11日参照)が、やる気と活力を引き出してくれたのでしょう。

■ 2009年6月21日(日) 遊蕩漢による教育

荷風没後50年にちなんで上梓された佐藤春夫の「小説永井荷風伝」(岩波文庫)を拾い読みしながら、ボンヤリ過ごしました。

佐藤春夫は「あめりか物語」に心揺さぶられ、荷風が主任教授を務め、近代フランス文学史論を講じていた慶應義塾大学文学部予科に学びました。自称「博徒にも劣る非国民、無頼の放浪者」(「歓楽」より)が教官では、さぞかし休講だらけで、しかも支離滅裂、脱線しっぱなしの講義だったろう、と想像してしまいます。しかし荷風は放蕩の限りを尽くしながらも、大学では精勤に励み、「三田文学」の主幹としても腕を振るったのだそうです。「その講義ぶりは必ずしも学者のようではなかったが、用意周到に講義の形態をそなえて、亦、権威ある者のようにわたくしには聞き倣された。(中略)先生の講義はひとり合点でなく、せっかく話す以上はみんなによくわからせたいという親切のよく現れたものであった。(中略)話者の精神がそこに息づいているかのような生きのいい話しぶりで決して退屈なものではなかった。(中略)授業はまったくなおざりにせず、めったに休むようなことは無かった。」と佐藤は述べています。意外でした。漁色にふけりつつ講義の準備 —— そんなの、ふつう無理だよなぁ。

我が身を省みれば、これまで「ひとり合点でなく、せっかく話す以上はみんなによくわからせたいという親切のよく現れた」講義や授業を行ってきたとは言い難いです。生まれつき人前に立つのが苦手な上に、スライドとその内容は無造作の最たるもの、時間の配分もいい加減です。得意とするのは客寄せだけ。といっても、どうして大勢の人が集まってくるのか、不思議でなりません。

過去のことは今更どうしようもありませんが、今後は精一杯努力いたしましょう。私はもう先が短いのです。

■ 2009年6月22日(月) 立体のπと∂

LaTeXiTでスライドを作成する際には、timesフォントの方が見やすく、しかも"π"(円周率)と"∂"(偏微分)は立体としたいので、preambleにおいて

¥usepackage{txfonts}
¥usepackage{pifont}

と宣言し、"π"は$¥textrm{¥Pisymbol{psy}{"70}}$、"∂"は$¥textrm{¥Pisymbol{psy}{"B6}}$と記述しています。

ただし、この方法で出力した"π"はComputer Romanのフォントにはマッチしません。"∂"の方は大丈夫です。

■ 2009年6月23日(火) Adobe Acrobatによるページの一部のトリミング
ツール > 高度な編集 > トリミングツール

を選んだ後、マウスでドラッグしてトリミング領域を指定する。その領域内でダブルクリックしてOKボタンをクリックすると、トリミングした部分が新たなページとなる。引き続き当該ページのサムネールを右クリックし、[ページの抽出...]を選び、[ページを個別のファイルとして抽出」をチェックして保存する。

■ 2009年6月24日(水) 「粉末X線解析の実際」講習会追加情報

日本結晶学会講習会「粉末X線解析の実際」、Aコース(7月13日)におけるポスター形式の講義「粉末法の応用事例」のタイトルと講師をX線分析研究懇談会のホームページで見ることができます。

当日は私もその場をうろついていますので、気楽に声を掛けてください。

なおBコースに続き、Aコースも定員に達しました。Cコースだけ若干の余地を残しています。

■ 2009年6月25日(木) 立ち往生

IntelのFortranコンパイラ、WindowとMac OS X用のv10.1.XXXがリリースされました。Windows版は無事インストールできましたが、Mac OS X版はインストール中にハングしてしまいます。仕方ないので、Xcodeとともに直前のバージョンに戻しました。いずれもターミナル上でコマンドを入力してアンインストールしなければならず、バージョンアップ・ダウンがいずれも面倒です。

■ 2009年6月26日(金) Wordの使用を強制しないでほしい

最近LaTeXiTで数式(timesフォント)入りのスライドを沢山作成したせいか、Word文書中の数式の薄汚さに呆れ果てました。"("、")"、ギリシャ文字とカナ漢字の間を自動調節してくれない欠陥は相変わらずです。こんな代物を一生使い続ける人たちが憐れでなりません(ブ●は三日で慣れる?)。

■ 2009年6月27日(土) 二つのバージョンアップ

Gaussian 09が発売となりました。

Igor Pro v6.1.0正式版がリリースされました。

■ 2009年6月28日(日) 違う世界を垣間見る

今日は友人から頼まれた仕事に取り組みました。研究以外の領域ってこんな感じなのか、というのが唯一の感想です。

■ 2009年6月29日(月) わざわざ来日してまで(絶句)

日本結晶学会講習会「粉末X線解析の実際」の全コースをぜひ受講したいという積極果敢な外国人学生が現れたのには驚かされました。想定外の椿事です。

それにひきかえ、招待講演を打診されても、遠路外国に出かけるのを敬遠している最近の自分(1月5日参照)は、不甲斐ないなぁ、とつくづく思います。健康面の不安さえなければ、多少無理してでも出張するんですけどね。末期症状です。

昨日記した仕事を片付け終わったとたんに別な特急の依頼が舞い込み、またしてもてんてこ舞いしました。明日の午前中まで、この件でつぶれそうです。

■ 2009年6月30日(火) Windows用最速ファイルコピー&削除ツール

FastCopyがv1.99r3にバージョンアップされました。

■ 2009年7月1日(水) 新しもの好き=人柱

X code v3.1.3 + Intel Fortran Compiler for Mac OS v11.1.046という最新版同士の組み合わせがようやく使えるようになりました。単に言語環境で言語をEnglishとしてから、コンパイラをインストールするだけのことでした。どうやら、この不具合を最初に見つけたのは私のようです(笑)。

Firefox v3.5正式版とPython v3.1がリリースされました。

■ 2009年7月2日(木) 「粉末X線解析の実際」第2版の読者と講習会受講者の皆様へ

RIETAN-FP正式版や周辺ソフトなどを収めた配付ファイル(Windows機およびインテルMac用)は、「粉末X線解析の実際」講習会が開かれる7月13〜15日の翌週、遅くとも7月24日までに本Webサイトで公開いたします。本来なら「粉末X線解析の実際」第2版(執筆者と目次が掲示されています)と発売、それをテキストとする上記講習会の開催と同時にリリースするべきなのですが、心身ともに疲れ気味なのと、拙速によるミスを避けたいという気持ちから、そう決めました。ご了承ください。

上記講習会のA・Bコースについては、参加登録を締め切った後も、なんとか受講させてくれないかという問い合わせが沢山来ているそうです。三つのプレゼン用スクリーンを備えた広大な会場のため、座席の余地は十分あるものの、講師の席も確保しなければなりませんし、ギッシリ感を極力減らし快適に受講して頂くために、定員を160人に絞っております。このような運営方針をご理解いただければ幸いです。

現下の不景気が当講習会の足をまったく引っ張らなかったのはなぜでしょうか。その理由(複数)は明白ですが、言葉を濁しておくのが粋というものです。

■ 2009年7月3日(金) パスワードつきPDFファイル公開

私はプレゼンテーションにはPowerPoint+*.pptでなくAcrobat Reader+*.pdfを使います。そして講習会やセミナーの出席者には、講義や講演で用いたPDFファイルを差し上げることが多いです。

これまではPDFのURLを最後のスライドで提示してきましたが、「粉末X線解析の実際」講習会における二つの講義で使うPDFファイルは、当Webサイトで自由にダウンロードできるようにするつもりです。ただし、PDFファイルにパスワードを設定し、B・Cコースの受講者に当日、パスワードを教えることにします。悪平等は避けるべきですから。

講習会の後に、「粉末X線解析の実際」第2版のページをめくりながら、じっくり眺めていただければ幸いです。

なお、Cコースは後2、3名で定員に達するそうです。

■ 2009年7月4日(土) 最近では珍しいことですが、

終日、無為に過ごしました。

■ 2009年7月5日(日) しょっぱなでトラップ

先月、飯田橋駅近くの書店で買い求めたままになっていた「阿修羅ガール」(6月7日参照)を読み始めるやいなや、女子高生アイコの独白の冒頭、

減るもんじゃねーだろとか言われたのでとりあえずやってみたらちゃんと減った。私の自尊心。
返せ。

というところで、釘付けになりました。「とりあえずやってみたら」という身も蓋もない文言に衝撃を受けたわけでありません。我が身上に当てはめ、「減るもんじゃねーだろ」と「自尊心」を別な言葉に置き換えると、様々なバリエーションが出来上がるな、と思ったからです。戯れに三つ四つメモった後、馬鹿らしくなってゴミ箱に捨てました。ここに公開し、当HPの評判をますます下げるには忍びませんでした。

「阿修羅ガール」は猥雑の度が過ぎており、ちっとも好みじゃありません。なにを勘違いしたんでしょうね、あの男は。ヒロインが女子高生でさえあればいいってもんじゃねーだろ。

■ 2009年7月6日(月) 名工大の教職員と学生の皆様へ

7月31日(金)の9:00〜12:00に2号館A棟6階617A室で「リートベルト法と密度分布の三次元可視化」研究会を開催することになりました。私は客員教員として門馬綱一君とともに参加します。

私が「結晶構造精密化への二つのアプローチ:リートベルト法とMPF法」、門馬綱一君が「最大エントロピー法への多重F制約条件の導入とその効果」というタイトルで話します。前者はセラミックス基盤工学研究センター公開講座(7月30日)における講義のダイジェスト版、後者はPRIMAの後継として開発中のC++プログラムに盛り込んだ新規アルゴリズムに関する講演です。ぜひご来聴ください。

■ 2009年7月7日(火) 20数年、あっという間に過ぎ…

元日本結晶学会会長、元日本鉱物学会会長、東京大学名誉教授の竹内慶夫先生が逝去されたとのこと、心から哀悼の意を表します。

竹内先生と私は何の接点もないように見えるでしょうが、生まれて初めての招待講演で座長を務めていただいた方なんです。ただ私の講演を司会するために、本郷から駆けつけてくださったと、その討論会の開催責任者から伺いました。RIETANの前身を開発していたころですから、もう20数年前になります。その際の簡にして要を得たイントロダクションは、今でもはっきり覚えています。講演の後、二三十分ほど懇談していただきました。最後に今後も粉末回折の研究に邁進するよう激励してくださった後、大学にお戻りになりました。

同時期に接点があった須藤俊男先生(2006年10月30日参照)と同様に、竹内先生にお会いしたのはその一度だけです。

その後、私が脇目もふらず粉末回折の研究に励んだかというと、必ずしもそうでなかった(2008年11月13日参照)のですから、竹内先生には顔向けできません。その上、もう残された時間がさほどなく、退場の準備にいそしんでいるという体たらくには、内心忸怩たるものがあります。

■ 2009年7月8日(水) Mac用Open/Saveダイアログ強化ユーティリティ

Default Folder Xがv4.2.1にバージョンアップしました。

■ 2009年7月9日(木) う〜ん、そうだったのか

偶然ですが、須藤俊男先生(一昨日、言及したばかり)のお弟子さんと昨日面会するチャンスがあり、須藤先生が学生をどのように教育・指導されていたかについて教わりました。まったく想定外の話で、勝手に抱いていた須藤先生のイメージが変わってしまいました。

■ 2009年7月10日(金) プレシャーがかかってきました

「粉末X線解析の実際」講習会の受講者名簿が送られてきました。延べ230名もの参加者にはただただ圧倒されるばかりですが、中には、エッ、この人が受講するの、と驚かされた方々も含まれています。かくも多くの人々が聴講されるのは喜ばしい限りで、今後の仕事の励みになります。

Bコースはとりわけ人気があり、受講をお断りした方々の数はかなり多いです。中には、立ち見でもいいから受講させてほしいという熱心な方もおられるそうです。そういう話が耳に入ると、どうしても重圧を感じてしまいます。下手な講義はできません。

■ 2009年7月11日(土) 大台に乗った被引用数

VESTAのベータ版を配布していた頃は、それで作成したイメージを論文中で使う場合、

を引用するようお願いしていました。VESTAの正式版を公開したのは、昨年3月27日です。VESTAに関する論文

を発表した昨年6月以降は、それの引用を要請しています。この一年、後者は順調に引用され続け、このたび

という快挙を成し遂げました。本日現在、104に達しています。RIETAN-FPとVESTAの両方を使用して得た成果を発表する場合は、Solid State Phenom.掲載の論文を引用してもらっていた時期もありましたが、そこまでは被引用数の合計に含めませんでした。

J. Appl. Crystallogr.掲載の論文については、2月20日に記した勢い、すなわち

という状況を依然として保ち続けています。この論文が6月15日の掲示板で定義した「一流論文」に該当するまでに至る日は、そう遠くないでしょう。

上記論文については、日本人以外が筆頭著者の論文における引用が増える傾向にあります。今後、VESTAは国産結晶学関連ソフトとしては希有な国際的ソフトとして認知され、普及していくことが期待できます。

門馬綱一君はまだ若く、VESTAは発展途上です。いずれは出現するであろう後継ソフトに関する論文まで含めれば、被引用数の合計が次の大台(1000回)を越す日は必ず来ると確信しています。もっとも、その頃、私はあの世に逝ってるかもしれませんが。

なお、「粉末X線解析の実際」講習会、Aコース(7月13日)で、門馬君が「VESTA を利用した結晶構造および電子密度の可視化事例」というタイトルでポスター発表しますので、参加者の方々はぜひお立ち寄りください。

■ 2009年7月12日(日) アップルメニュー・コンテキストメニュー用ユーティリティ

FruitMenuがv3.7.2にバージョンアップしました。

■ 2009年7月15日(水) 「粉末X線解析の実際」講習会の総括

「粉末X線解析の実際」講習会の反省会(要するに飲み会)を終え、帰宅しました。疲労の極に達しているため、初日と二日目の書き込みはサボることにします。

泉センセイというと、縄帯でも締めていそうな奇矯な男というイメージを抱いている人が多いようなので、同講習会の間は地味なスーツ+ネクタイ+黒い革靴という格好で通しました(注1)。

三日間とも記念講堂の最後列まで席が埋まりました。とくに人気があったBコースについては、AコースあるいはCコースの受講者で、なおかつBコースの受講も希望されている方々に追加受講を受け付ける旨のメールを9日に送りました。そして、タイムリミット(10日16時)までに申し込まれた方々にBコースを受講して頂きました。その結果、Bコース受講者は177名に増えたそうです。

受付では、初版に比べ90ページ近く増えた「粉末X線解析の実際」第2版(注2)をおみやげとして15%引きで直販しました。あらかじめ用意しておいた本は売り尽くし、急遽、追加分を取り寄せました。

この不景気な御時世にもかかわらず、未だかつてないほどの大盛況となったのは、望外の喜びです。梅雨明けの炎暑の中を参加していただいた方々、講師、出展企業、会場係として熱心に働いてくれた中井研究室(注3)の学生諸君に厚く御礼申し上げます。

今だから話せることですが、未曾有の経済危機と新型インフルエンザの流行に直撃された今回の講習会は、参加者数が伸び悩むのではないかと危惧していました。一日あたりの参加者数が定員の半分(80名)以下なんて事態に陥ったら、まさに悪夢です。RIETAN-FPとVENUSの利用を前提としている講習会ですから、本講習会の不人気は私の自信を喪失させ、失意の底に沈ませかねません。講師がインフルエンザに感染するという最悪の事態にも怯えていました。そのような心配はまったくの杞憂でした。

本講習会の参加者が、リートベルト解析や未知構造解析に取り組み、さらには放射光・中性子施設を利用した高度な研究にチャレンジするよう祈っています。RIETAN-FPとVENUS(注4)に慣れ親しんでおけば、他の同種ソフトに乗り換えるのは比較的簡単です。進化の止まったソフトにしがみつくのは得策でありません。RIETAN-FP、PRIMAVESTAの後を継ぐオブジェクト指向C++プログラムに移行するのもいいでしょう。

講習会開催中に、ざっと20数名の方々から「粉末X線解析の実際」第2版にサインするよう頼まれました。ほとんどが学生のようでした。ちょっと照れくさかったですが、躊躇せずに応じました。本当は



泉 富士夫

と書きたかったのですが、その意味を説明する時間など到底ないので、「夢」の一文字は省きました。詳しくは2005年5月19日の記事をご覧あれ。よろしければ、各自、追記していただければ幸甚に存じます。

粉末回折の研究者としての命脈が尽きつつある自分には、夢に終わったことが沢山あります。後続の研究者がそれらの夢を実現してくれれば、先達(と言えるほどの存在かどうか疑問ですが)としてこれに優る喜びはありません。ひょっとしたら、今回の参加者の中からヒーローが出てくる可能性もありますね。

とにかく、これで肩の荷が下りました。次の目標は、来週末までにRIETAN-FPや関連ソフトの正式版をリリースすることです。


注1:さる大学の先生が、ポスター講義の会場で三人の女子学生に囲まれてニヤニヤしている私の写真を送ってくださいました。この場を借りてお礼申し上げます。それには正装の私が写っていますが、ここでは絶対公開したくありません(笑)。

注2:13日の夜には森戸記念館で同書の出版記念会を開きました。その席で、朝倉書店編集部の方から初版の総発行部数を伺い、想定外の多さに驚きました。過去に刊行された結晶学分野の日本語書籍ではもっとも売れた書籍でしょう。

注3:「粉末X線解析の実際」編集の相棒である中井 泉氏が今週土曜の「世界一受けたい授業」(日本テレビ)に出演されるそうなので、ぜひ観ようと思います。

注4:「粉末X線解析の実際」第2版はVICS、VEND、VESTAで作成した多くのイメージを含んでいます。たとえばカバー・口絵の図15のうち、表紙のイメージをはじめとする10の図がそれらのソフトで描かれました。

■ 2009年7月16日(木) 講義用ファイルの配付

「粉末X線解析の実際」講習会、B・Cコースにおける私の講義で使用したPDFファイルを講演と講習のお知らせのWebページでダウンロードできるようにしました。駆け足で講義したので、これらのファイルをじっくり眺めて復習してください。

同講習会の参加者だけが閲覧できるよう、講義の最後で教えたパスワードで保護してあります。こういう方式の方が秘密のWebページで公開するよりスマートですね。

■ 2009年7月17日(金) 野田聖子大臣の色紙

これをご覧ください。ひぇ〜、危ねぇところだった。「夢」(7月15日参照)なんて書かなくて良かった。

■ 2009年7月18日(土) 分子モデリング用ファイル形式変換ソフト

Open Babelがv2.2.2にバージョンアップしました。

■ 2009年7月19日(日) 中井教授の授業

7月15日に記したように、中井 泉氏が出演されると聞き、「世界一受けたい授業」を初めて観ました。盗難や産地偽装の鑑識がテーマでした。テレビ慣れしていて、場を盛り上げるのが実にうまいですね。この番組も二回目だそうです。

椅子の上の足跡を調べる作業に従事した男女二人には見覚えがありました。出版記念会と反省会の際、酔余の馬鹿話で笑わせた学生じゃありませんか。思わず顔が赤くなりました。引き出しの数が多いのも、いいことばかりじゃないな。

■ 2009年7月20日(月) 三連休

18日の午前中はNIMSで緊急の仕事。後は呆然としているうちに過ぎ去りました。

■ 2009年7月21日(火) 是が非でも金曜までに…

今日は、RIETAN-FPや周辺ソフトの正式版を配付するための準備に没頭しました。

対称心のない空間群(noncentrosymmetric space group)に属する物質の回折データをPRIMA V3.6bで解析すると、位相がフラつく場合があることに門馬綱一君が気づき、とりあえずゼロ次単一ピクセル近似についてだけ修正しました。非線形単一ピクセル近似を指定した場合は、強制的にゼロ次単一ピクセル近似に切り換えます。実行速度はかなり低下しますが、致し方ありません。

門馬君が製作中のMEM解析用C++プログラムでは、多重F制約条件とOpenMPテクノロジーの導入によりそれぞれ最終密度分布と計算速度が改善されます。しかし、その公開は大分先となるので、とりあえずPRIMAの改訂版v3.7を上記配付ファイルに含めることにしました。インテルMac版は32・64ビット用コードをlipoコマンドで合体したもので、OSが最適コードの方を実行してくれます。

さらに三つのマニュアルも少しずつ改訂しました。

■ 2009年7月22日(水) 着実に前進

今日も自作ソフトの配付に向けた準備作業を続行しました。7月2日に約束した通り、明後日までには必ず公開すると、ここに誓います。

秀丸エディタの先行開発バージョン8.00β1がリリースされました。

■ 2009年7月23日(木) 拙作ソフトの正式版を公開

ここでダウンロードできます。Multi-Purpose Pattern-Fitting System RIETAN-2000とうって変わって、実にシンプルで飾り気のないWebページです。何もかも配布物中に含まれているので、これで十分でしょう。

RIETAN-FP、PRIMAのいずれも、どのCPUでも動く安全な形でビルドしました。CPU依存の高速版の内包は、いずれ実現させます。

一つ不本意なのは、Readme_win.txtとReadme_macros.txtを日本語で、Readme_mac.txtを英語で書いたことです。Windows・Mac版を両方とも使う物好きはまずいませんから、不統一を気に掛けるまでもないのですが…

ともあれ、これで「粉末X線解析の実際」第2版の読者と同書をテキストとする講習会の参加者からお叱りを受けずに済みます。最優先すべき義務を果たし、安堵しました。

■ 2009年7月24日(金) 早くもインテルMac用配付ファイルIntel_Mac_versions.dmgを更新

32・64ビット版PRIMAの合体をtemplate_commands/prima.commandに反映させました。

■ 2009年7月25日(土) 貼絵の制作は楽しいでしょうが、

とある知人から久しぶりに電話がかかってきたのですが、第一声が「講習会でサイン会を開いたんだって?」だったのには面くらいました。開いてねぇよ、そんなもん。そこまでオッチョコチョイじゃありません。そのガセネタ、いったいどこから仕入れたのやら。訊ねても答えてもらえませんでした。こんな根も葉もない噂が立つのは不徳の致すところか。

まだ子供のころ、有名人のサイン会を一度だけ見たことがあります。その男 —— 山下清は無表情で黙々とサインしていました。以前、エゴロワ(女子マラソンの金メダリスト)が「あなたにとってマラソンとはなんですか」と問われ、「工場で働くのと同じです」と答えたという逸話を紹介したことがありますが、あの時の山下清は、まさにお金を稼ぐため苦役に従事しているという顔をしていました。そういう「労働」をしょっちゅう強制されるんだったら、自由気ままな放浪の旅に出たくもなりますね。

■ 2009年7月26日(日) ようやく問題解決

Safari 4.0.2 + ATOK 2009 for MacDenbunの組み合わせでは、自宅のiMacでも日本語メールの入力が可能なことを確認しました。6月9日に記したトラブルはSafari 4.0のバグに起因していたようです。

■ 2009年7月27日(月) Windows版インストーラを改善

Windows用配付ファイルWindows_versions.zipを更新しました。C:¥Program Files (x86)フォルダが存在しない場合は32ビット版Windowsが使われていると判断し、C:¥Program Files¥RIETAN_VENUSフォルダから64ビットコードprima64.exeを削除するよう改訂しました。

秀丸エディタ v8.00β2とRIETAN-FP・VENUS統合支援環境との互換性をチェックするため2・3のプログラムを起動してみましたが、幸い正常に動作しました。新機能のエクスプローラ枠を使うと支援環境の使い勝手が一段と良くなるため、64ビット版がリリースされた時点でv8.00βに乗り換えるつもりです。

■ 2009年7月28日(火) 昨日に引き続き、

Windows用配付ファイルWindows_versions.zipを更新しました。インストール用バッチファイルInstall_RIETAN_VENUS.bat、Readme_win.txt、Readme_macros.txtを少々手直ししただけです。

インテルMac用配付ファイルもアップデートしました。Readme_mac.txt中の些細な間違いを修正しました。

■ 2009年7月29日(水) お金持ちでないと、ちょっと無理…

NISTの角度・プロファイル形標準試料(ケイ素)SRM 640dが$705(7.5 g)という価格で発売になりました。オーバーシーズ・エックスレイ・サービスのWebサイトで価格を調べたところ115,500円(!)でした。

■ 2009年7月30日(木) 多治見、名古屋出張

客員教員を務める名工大の公開講座(7月30日)と研究会(7月31日)の準備が終わりました。今日から三日間、出張してきます。公開講座が開かれる多治見は2年前に40.9 ℃という国内最高気温を記録した場所なので、ネクタイを締めるのは止めておきます(笑)。

31日の研究会における門馬綱一君の講演は注目に値します。将来、PRIMAに取って代わるオブジェクト指向MEM解析プログラムで採用した新アルゴリズムとそのパフォーマンスについて述べます。

拙作ソフト正式版の公開から一週間経ちましたが、トラブルやバグの報告はまだ届いていません。

■ 2009年7月31日(金) 水溶液入り貴金属カプセルの溶接はお手の物でした

昨日お会いした名工大のO先生は学生時代に若き日の私と話したことがあるとのこと。その当時、私と彼が独立に研究していたTiO2の多形(ルチル、アナターゼ、ブルッカイト)の水熱合成に関する話題で盛り上がりました。

前にもどこかで書いたような気がしますが、無機合成の腕とセンスには自信がありました。水熱合成装置を二組、パーツから自作し、順調に成果を挙げ続けました。水熱合成だけでなく気相成長法も利用し、数年にわたり相当な勢いで論文を書きまくりました。英文を書くのを苦にしなくなったのは、当時の鍛錬の賜です。

もともと私がプログラミングに取り組みだしたきっかけは、気相化学種の分圧の温度依存性を調べる必要に迫られたことでした。複雑な方程式を解くには、計算機に頼らざるを得ませんでした。

後年の構造解析同様、無機合成からきっぱり足を洗った理由は単純 —— 飽き飽きしたからです。どんなことでも飽きちまったらお終い。研究然り、趣味然り、衣食住然り、女然り、●●●然り。

それでは得意中の得意とは言い難いプログラムつくりにはなぜ飽きないのか。多分、どんな種類のプログラムにも比較的容易に手を出せるからでしょう。

■ 2009年8月1日(土) 出張終了

沛然たる雨が降りしきる名古屋からつくばに戻ったところ、きれいに晴れていました。

■ 2009年8月2日(日) 甲斐無い努力の美しさ

中身については口をつぐみますが、20ページの文書を今日書き終えました。これほど長く、しかも利用価値が高いのに発表・公開する気が更々ないのですから、もったいない話です。「あっちの世界に行ってました」としか形容できません。しかし、かくの如きredundancyを私から取り除き、常識的なバランス感覚を付与したならば、さほど面白みのない別人格に変わってしまうわけでして、(以下略)

■ 2009年8月3日(月) インストール用スクリプトの簡素化

RIETAN-FP・VENUS配布ファイルで公開しているアーカイブファイル二つを更新しました。最上階層のReadme_*.txtをエイリアス(ショートカット)に変えました。

■ 2009年8月4日(火) 準備中

RIETAN-FPを格納するフォルダはベータ版と正式版とで互いに異なっています。その点を考慮し、これまでに報告のあったバグを取り除き、マニュアルも修正したVESTAのマイナーバージョンアップ版を近日中にリリースする予定です。

■ 2009年8月5日(水) Windows用インストーラの改善

Windows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルWindows_versions.zipを更新しました。インストール時にコマンドプロンプトの窓が開くのは不格好なので、VBScriptファイルInstall_RIETAN_VENUS.vbsでインストールするように変更しました。ファイル・フォルダのコピー状況はfastcopy.logに記録されますが、自動表示は止めました。また、Install_RIETAN_VENUS.batはFile_manipulation.batと改名しました。このバッチファイルはInstall_RIETAN_VENUS.vbs中で呼び出されます。

Mac用電子辞書ブラウザLogophile for Mac v1.0 R5がリリースされました。

■ 2009年8月6日(木) Mac用インストーラ:改悪でした

インテルMac用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルIntel_Mac_versions.dmgを更新しました。仮想ディスクの最上階層に置いたReadme_mac.txtのエイリアスと本体とのリンクが切れていることに気付き、以前と同様に、インストール時に仮想ディスクの最上階層から/Applications/RIETAN_VENUS/Documentsフォルダにコピーするよう改めました。

遺憾ながらWindows・Mac OS用配付ファイルはいずれもインストーラの出来が今一つで、7月23日の正式版公開以来、何度も微修正してきました。この騒ぎはそろそろ収束しそうです(I hope so)。

■ 2009年8月7日(金) 売れ行き絶好調につき、

出版元における「粉末X線解析の実際」第2版の在庫が少なくなってきたため、早くも増刷の準備に入るとのこと。発売されてから一ヶ月足らずの理工学書にしては上出来といってよいでしょう。

■ 2009年8月8日(土) 著名DFT計算プログラムに対応

昨日、VESTA v2.1をリリースしました。

RIETAN-FPの実行形式ファイルを含むフォルダのデフォールトパスを改めました。

密度汎関数理論(Density Functional Theory: DFT)に基づく電子状態計算プログラムCASTEPの出力ファイル2種を読み込めるようになったことは注目に値します。今後CASTEPがテキストファイルとして出力する物理量が増えたならば、その都度対処していく方針です。Electron Localization Function(ELF)については、テキスト出力するためのキーワード(WRITE_FORMATTED_ELF)が存在するにもかかわらず、実際には無効となっています。この不具合の解消が強く望まれます。

実は、CASTEPへの対応は日ごろ個人的に親しくしている方から1年半も前に頼まれたことでした。義理を欠かずに済んだのは喜ばしいことです。

今回のアップグレードに対応し、マニュアルも改訂しました。

7月11日に記した二文献の被引用数は、8月8日現在、計123にまで伸びています。IUCr Newsletter掲載のレポート(obsolete!)が未だによく引用されており、その分J. Appl. Crystallogr.の論文が割を食っています。といっても、後者の被引用状況(2008年発表の論文としてJ. Appl. Crystallogr.とNIMSにおける首位をキープ)は不変です。飛ぶ鳥を落とす勢いといって過言でありません。

■ 2009年8月9日(日) Open Babel: Open Source Chemistry Toolbox

Open Babel v2.2.3(WindowsMac OS)が公開されました。

DV-Xα法計算支援環境をお使いの場合は、Open BabelをC:¥Program Files¥OpenBabelというフォルダにインストールしてください。今年のDV-Xα研究会には参加しなかったので、同支援環境の改善について意見を聞けませんでした。何か要望がありましたら、お聞かせください。SCATおよび関連プログラムの入出力ファイルは拡張子がなく、エクスプローラでは開きにくいです。秀丸エディタ v8.00βに追加されたエクスプローラペインを使えば、それらのファイルをエディタ内で容易に開けるため、同支援環境の利用価値がますます上がります。

■ 2009年8月10日(月) RIETAN-FP・VENUS配布ファイルをアップロード

Windows・インテルMac用配付ファイルをいずれも更新しました。Readme_mac.txtと一部の*.insをわずかに修正しただけです。

■ 2009年8月11日(火) 平穏な一日

とくに何事もなく●●回目の誕生日が過ぎました。無事是好日、といったところです。

宮沢賢治が亡くなる10日前に花巻農学校時代の教え子である柳原昌悦に送った手紙より:

風のなかを自由にあるけるとか、はっきりした声で何時間も話ができるとか、自分の兄弟のために何円かを手伝へるとかいふやうなことはできないものから見れば神の業にも均しいものです。そんなことはもう人間の当然の権利だなどといふやうな考では、本気に観察した世界の実際と余り遠いものです。どうか今のご生活を大切にお護り下さい。上のそらでなしに、しっかり落ちついて、一時の感激や興奮を避け、楽しめるものは楽しみ、苦しまなければならないものは苦しんで生きて行きませう。

これが「じぶんの築いてゐた蜃気楼の消える」のを散々見続けた後、不治の病に苦しみ、敗残者として死を迎えようとしている賢治の悲痛な認識です。砂上の楼閣など築いたことのない冷徹な現実主義者たる私にも、彼の諦念はすんなり理解できます。死すべき運命をもって生まれてきた人間の所業、名誉、財産など、死後まもなく世界から忘れ去られてしまいます。己が今「風のなかを自由にあるけるとか、はっきりした声で何時間も話ができるとか、自分の兄弟のために何円かを手伝える」のをこの上なく有り難いことだと思わねばなりません。

■ 2009年8月12日(水) ユーティリティ三つのアップデート

FruitMenu v3.7.3、FastCopy v1.99r4、Wise Registsry Cleaner v4.71がリリースされました。

■ 2009年8月13日(木) 小刻みな修正を続行中

RIETAN-FP・VENUS配布ファイル二つを更新しました。

ヒスタミンH2受容体拮抗薬シメチジンの放射光粉末回折データのリートベルト解析例を追加するとともに、*.insの一部を修正しました。

Windows_versions.zip中のFastCopyを最新版v1.99r4と差し替え、HTMLヘルプFastCopy.chmを追加しました。

Intel_Mac_versions.dmg中のアップルスクリプトInstall_RIETAN_VENUS.scptは文書とは言い難いので、RIETAN_VENUS/DocumentsフォルダからRIETAN_VENUSフォルダに移しました。

■ 2009年8月14日(金) この商品、在庫がなくなった時点で改名するしかないな

海苔ピーパックを食べながら、そう思いました。CMにまで出てたんですね。

■ 2009年8月15日(土) XeTeXの試用

MacTeX-2008に含まれているXeTeXを使えば、pTeXなしに日本語文書をタイプセットできると知り、早速トライしてみました。組版が日本語向きに最適化されていないため、試行錯誤で完成度を高める必要があることに失望しました。

■ 2009年8月16日(日) インテルMac用配付ファイルの更新

英語で書いたReadme_mac.txtをLaTeX文書ファイルReadme_mac.pdfにアップグレードしました。ぐっと読みやすくなったでしょう。

■ 2009年8月17日(月) 二つのアップデート

VESTAが早くもv2.1.1にバージョンアップしました。

昨日に引き続き、インテルMac用配付ファイルを更新しました。Readme_mac.pdfをわずかに修正しただけです。

ところで、これだけMac用のReadmeの見栄えが良くなると、Windows用のReadme_win.txtが未だに日本語かつテキストファイルのままだというのが残念です。しかし、日本人は日本語文書に執着する(英文を敬遠する)という一般的傾向を考慮すると、英訳→LaTeX文書化には二の足を踏んでしまいます。一日あれば片づく程度のことですが、面倒くさくてやってられません。外圧が高まらない限り放置しておきましょう。

■ 2009年8月18日(火) すみません、今日も…

インテルMac用配付ファイル中のReadme_mac.pdfを手直ししました。RIETAN-FP・VENUS配布ファイルのWebページも拡充しました。

今月中に片付けなければならない仕事にそろそろ着手しなければならないため、もうこれくらいにしておきます。

■ 2009年8月19日(水) 早業

Windows用配付ファイルに同梱されているReadme_win.txtについて熟考した末、日本語のままLaTeX文書化しようと決意しました。ユーザー数については、Windows版はMac版の4倍近くに達すると推定されます。粗略に扱う訳にはいきません。今月は無理ですが、来月に入ったらReadme_win.pdfに入れ換えましょう。

となると、8月15日に記したXeTeXなどでなく、本格的な日本語組版システムであるpTeXを導入すべきです。善は急げ、小川版pTeXパッケージJTeXをMac Proにインストールし、必要なフォントをすべて/System/Library/Fontsフォルダに置いた後、再起動。これでJTeXEdit(JTeXのエディタ)からpTeXを制御する環境が整います。

かつて私はTextures+JTeXEditで日本語LaTeX文書を組版していました。しかしUniversalアプリケーションのTexturesはいつまで待っても販売になりませんでした。そのため日本語文書はWordで書くようにしているうちに、JTeXEditの方だけCocoa化されていました。

8月11日に記した宮沢賢治の手紙の全文を縦組みで組版した結果がこれです。

■ 2009年8月20日(木) 文語体の素晴らしさ

今日は、樋口一葉の「わかれ道」をテンプレートに貼り付けてからJTeXで組版してみました。JTeX専用の命令をまったく挿入することなくPDFを作成できることがわかりました。

「わかれ道」を選んだのは、ごく短く、しかも上田 敏が秀逸な作品と推しているためです。文語体って、なかなかいいもんですね。別例として、幸田露伴が一葉の「たけくらべ」の復刊に寄せた序をお読みください。

遡(さかのぼ)りてしづかにありし日を考ふれば、秋巌(注:江戸時代後期の書家、萩原秋巌)の筆の「静者安」とありし額(がく)の下に、頭やゝ低うしてつゝましやかに坐り、しめやかに語りたる、薄皮だちの人の清らなるおもかげ、やさしき肩つきも、おぼろげながら眼に浮ぶ心地してなつかしく、黯然(あんぜん)として其の不幸短命を傷(いた)むのおもひに禁(た)へず。しかも人世は短く芸術は永し、女史の文、今猶(なお)生きて、女史の才、終(つい)に死せず。これ寿無くして寿有りといふべし。又今更に何をか傷み何をか言はんや。

露伴は一葉の死の4ヶ月前にただ一度、彼女に会っています。上の文で思い浮かべているのは、病魔に冒され、身体が弱っていた一葉の姿です。これを口語訳したら、はなはだ冗漫となり、格調の高さが雲散霧消してしまいます。文語訳聖書に比べ口語訳聖書は気が抜けたように感じられるのと一緒です。

露伴によれば、一葉の小説は「優(やさし)い心と、烈(はげし)い抵抗力と、血や涙を以て、実世間を写した物である」とのこと。掌編ながら「わかれ道」にはこの文言がぴたりと当てはまります。

■ 2009年8月21日(金) 中近東を股に掛け

この夏、「粉末X線解析の実際」第2版関連の連絡のため理科大の中井 泉氏と時々メールをやりとりしていますが、その都度、居場所が変わるのには驚かされます。まずはトルコ、次にエジプト、それからシリア —— 国内を移動するのでさえ面倒くさがっている自分から見ると、圧倒的な行動力です。その神出鬼没ぶりは、まるでアラビアのロレンスのよう。そういえばロレンスも考古学者だったんですね。

もっとも、向こうもこっちのことを、色々な意味でスゴイ人だと思っているようですが…

水熱合成の実験法を習得するために私を訪ねてきたとき、彼は学部の4年生でした。水熱条件下での酸化チタン(IV)の多形生成について研究していると言ったところ、炭酸カルシウムの多形(カルサイト、アラゴナイト、バテライト)生成のメカニズムが地球化学の分野で活発に研究されていると教えてくれました。水溶液中の共存イオン(たとえばMg2+イオン)が多形生成に大きな影響を及ぼすということも、そのとき初めて教わりました。好奇心旺盛で将来性が楽しみな学生だなぁ、と感心しましたが、その後30年余りもつき合うことになろうとは、思いも寄りませんでした。そう言えば超伝導フィーバーの最中には、日本結晶学会誌と固体物理に高温超伝導体の構造解析と結晶化学について解説を共同執筆したこともあったなぁ。もう、あれから22年もの歳月が流れました。

■ 2009年8月22日(土) 当面こんなところでお茶を濁しておきますか

RIETAN-FP・VENUS配布ファイルのWebページがようやく様になってきました。

RIETAN-FPやPRIMAなどはNIMS-名工大連携の一環としてVESTAと同様にゼロからC++で書き直され、多数の新機能(たとえば複数のデータセットを合併した解析、ファンダメンタル・パラメーター法、スケーラビリティ、GUI)を具備したオブジェクト指向プログラムに生まれ変わります。しかしそれらが出現するまでの間は、既成ソフトの拡充と手入れを続ける必要があります。

RIETAN-FPで取り組むべき最優先課題としては、第一に磁気構造解析機能の拡張が挙げられます。J-PARCのための事前ダメ出しでも指摘したことですが、磁気構造解析は中性子回折の最重要な目的の一つと断言できます。それは、

という2点からも明らかです。磁気散乱については手を抜いていたとしたら、ジャンクコードの誹りを免れません。

実はRIETAN-2000をリリースした少し後に、一般的な磁気構造因子を組み込んだRIETAN-94のソースコードを恵与されたのですが、長く死蔵したままになっています。磁性に関する知識が浅い私にはやや手強く感じられたのと、当時、三次元可視化技術の方に関心が向いていたためです。

一方、RIETAN-2000/FPに実装済みのShirane (1959)のcollinear磁気構造因子(化学的単位胞=磁気的単位胞)には、ずぶの素人でも手軽に使えるという大きなメリットがあります。さらに、supercellに対応しうる空間群を使うという荒技を繰り出せば、化学的単位胞≠磁気的単位胞の物質にも適用できることが多いです。このため、RIETAN-2000を利用して得た研究成果が過去にかなり発表されてきました。

Non-collinearな磁気構造の解析は次世代ソフトで実現するとして、反強磁性体のような化学的単位胞と磁気的単位胞が一致しない(磁気モーメントだけに由来する反射が出現する)collinear磁気構造くらいはRIETAN-FPで解析できるようにしておきたいです。それだけで、磁気構造の数割が決定可能と見積もれます。

さほど骨が折れる仕事ではありません。問題はモチベーションが一向に上がらないことです。なにしろ、中性子散乱研究施設から公式に要請されたり、誰かから直接要望された訳ではないのですから。

名案が浮かびました。上記のプランをここに提示したにもかかわらず、中性子業界やユーザーからポジティブな反響がほとんど届かなかったら、利用希望者僅少につき機能追加を見送ればいい。そうしましょう。

さらに追加したい機能が二つ三つあるのですが、現時点でここに明記し徒に波紋を広げるのは避けます。

■ 2009年8月23日(日) TeXShopに一本化

JTeXで日本語文書を作成できるようになったものの、組版環境ソフトをTeXShopに統一したいという欲求が抑え難くなってきました。そこで小川版GhostScriptパッケージを追加インストールし適当に環境設定した後、テンプレートをタイプセットしてみました。ところが、"! LaTeX Error: File 'Jarticle.cls' not found."というエラーメッセージが出て、そこから先に進めません。

試行錯誤で調べたところ、タイブセットメニューで"TeX + DVI"をチェックすればOKということがわかりました。すなわち、[環境設定→タイプセット→デフォルトのスクリプト]を"TeX + DVI"と設定するだけではダメなのです。

JTeXと違って、PDFファイルを直接出力してくれるところがありがたい。これで、一般大衆向きアホバカワープロソフト(MS Word)は依頼原稿の執筆+アルファに使うだけに留められそうです。

■ 2009年8月24日(月) 有言実行

8月22日に提案したド素人救済プラン、「ぜひ頼む」というメールが早くも二つ届きました。こうなったら、やるしかないですね。できれば年末まで、遅くとも年度末までの完成を目標に努力してみましょう。こう宣言しておけば、リタイアするか、ボケるか、あるいは御陀仏になるまでに、なんとか片付けるんじゃないかな(笑)。

機能追加完了の暁には、十分なフィードバックを得るために、使用(協力)を申し出てきた人たち限定で本機能を公開します。希望者が増えるほど私へのプレシャーが強まり、ひいては完成が早まるのは言うまでもありません。将来、一般公開するか否かは未定です。使用法は知る人ぞ知るというのも一興。

■ 2009年8月25日(火) プレミアム価格伝説

「粉末X線解析の実際」第2版は事前の予想を越える売れ行きのため、出版取次や書店などに出回っている残部が僅少となっているようです。たとえばamazon.co.jp、楽天ブックス、紀伊國屋書店BookWebではしばらく前から在庫切れが続いています。刊行後一ヶ月余りで第1刷が払底するのは、理工学専門書としては希有な事と言ってよいでしょう。そして、amazon.co.jpでは中古商品がなんと10,200円(注)で販売されています。しかし10,200ー6,090+340=4,450円も上乗せして購入する気前の良い御仁がいるでしょうか。


(注)それどころか、14,609円(!)の新品がその後出品されました。すぐ売れちゃったようですが。

■ 2009年8月26日(水) UNIXにおける作法の遵守

Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。入力ファイル名やフォルダ名にスペースが含まれていてはならないとReadme_mac.pdf中に明記しました。スペースを入れたくなる箇所には"_"を置きましょう。

■ 2009年8月27日(木) Mac OS X Snow Leopard

8月28日に出荷と知り、即発注。現下の楽しみはこれだけです。

ところで、Windows 7が10月22日に発売されますね。Windows 7がインストールされたノート型PCでも購入しましょうか。

■ 2009年8月28日(金) 滅法腕っ節の強い用心棒(VESTA)の手を借りて…

この二三日ほど、8月22日に記したcollinear磁気構造(化学的単位胞≠磁気的単位胞)の解析をいかにして実現するか、知恵を絞っていました。門馬君とも議論した結果、VESTAの既存機能を複数活用するというアイデアが浮かびました。拍子抜けするくらい簡単に磁気構造解析機能をRIETAN-FPに追加できます。「目から鱗が落ちた」というよりは、「目から鱗をはがした」って感じです。

二面角への抑制条件はVESTAとRIETAN-FPの連携プレーを通じて付加します(マニュアル、2.7.4参照)。あれと同様のパターンです。これまで営々と培ってきた三次元可視化技術の醍醐味を満喫できそうです。

夏バテ気味かつ慢性的体調不良の体で、よくもまあ妙案をひねり出したもんだ。しかし、アイデアを形にする段になると、面白みと熱気は薄れてしまいます。微弱なdriving forceの下では「もう終わったも同然」という心境に陥りやすいのです。上記の計画をリアルタイムで書き殴っているのは、未来の自分がサボらぬための自戒にほかなりません。

■ 2009年8月29日(土) グラフ作成ソフトのバージョンアップ

Igor Pro v6.11へのアップデータが公開されました。

■ 2009年8月30日(日) iDiskの大掃除

本Webサイトのコンテンツ(配付ファイル以外)はMobileMe iDiskに格納しています。Transmitの表示メニューで[不可視ファイルを表示]をチェックしたところ、ファイル名の先頭が "." の不可視ファイルが多数生成していました。早速すべて削除。しかし残念ながら、Transmit使用時の体感速度はあまり変化しませんでした。

■ 2009年8月31日(月) 名工大客員教員としての活動

研究会、講義、共同研究の打ち合わせのために、11月17〜19日に名工大を訪問することが決まりました。

講義(11月17日、18:30〜21:00)は、物理、化学、材料科学、情報科学といった特定の範疇に属さない、理工学一般で通用するチュートリアルです。名工大の教員・学生だけでなく外部の人たちの聴講も歓迎します。タイトル、概要、時間、教室などが確定しましたら、本掲示板でお知らせします。

結晶学(とくに粉末回折)関連の集中講義ならば、過去に相当な数をこなしました。外国の大学で英語で講義したことも数回あります。しかし、上記の講義では初めての内容を扱うため、少々緊張しています。まずは実戦向きのテキストを完成させなければなりません。

■ 2009年9月1日(火) 別に実害はないのですが

RIETAN-FPは各サイトの多重度+Wyckoff文字、最初の同価位置、非等方性原子変位パラメーターに課せられる線形制約条件を*.lst中の構造パラメーターの表に出力してくれます。この新機能はSTRUCTURE TIDYをRIETAN-FPに組み込むことにより実現しました。

ただし斜方晶系の場合、STRUCTURE TIDYが軸設定を変えたり、原点をシフトすることにより標準化した結晶データにおける多重度+Wyckoff文字などが出力され、実際のリートベルト解析における結晶学的サイトに対するデータと一致しなくなる場合があります。つい最近、ユーザーからの問い合わせを通じて知りました。

もちろん事前に標準化した結晶データに基づいた解析では、そういうトラブルは生じません。不一致に気付いてからでも結構ですから、RIETAN-FPあるいはVESTAで標準化した結晶データに基づいて再解析するようお勧めします。VESTAのUtilitiesメニューの下のStandardization of Crysta Dataで結晶データを標準化し、FileメニューでExport Data...を選んでRIETAN-FPの入力ファイル*.insを出力した後、RIETAN-FPを実行するのが一番楽です。

■ 2009年9月2日(水) 大分前に締切が過ぎた依頼原稿、

ほぼ書き終えました。あくまで「ほぼ」なので、しばらくはSnow Leopardが納品されぬよう祈るばかりです。そちらに心奪われてしまいますから。

■ 2009年9月3日(木) Mac OS用64ビット版pTeX・GhostScript

Snow Leopard専用の小川版pTeX・GhostScriptパッケージが公開されました。Snow Leopardは明日届くとのことなので、それと一緒に明日インストールします。

■ 2009年9月4日(金) 矢も楯もたまらず、

届いたばかりのSnow LeopardをMac Proに上書きインストールしました。デスクトップ、Finder、Dockなど、見た目にはあまり変わりはありません。すぐ気付いたのはFruitMenuが動かないことです。開発元が現在検証中とのこと、しばらく我慢しましょう。

幸い自作ソフト(RIETAN-FP、ORFFE、lst2cif、64ビット版PRIMA)は正常に実行できました。TeXShopSnow Leopard用pTeX・GhostScriptパッケージの組み合わせ、PowerPCコードのNewNOTEPAD Proも大丈夫でした。

ということで、Mac OS Xのバージョンアップはほとんどトラブルもなく無事完了しました。来週からSnow Leopardをフル稼働させます。

■ 2009年9月5日(土) 名工大、福田研究室の研究成果

Powder Diffractionの9月号に掲載されましたが、Ba3MgSi2O8の球棒模型とMPF法で決定した電子密度の等値曲面を重ね合わせた図(VESTAで作成)が同号の表紙を飾りました。

■ 2009年9月6日(日) 961+41=1002

Scopusからのアラートにより、RIETAN-2000Mater. Sci. Forum)とRIETAN-FP(Solid State Phenom.)を利用して得た結果を報告する際に引用すべき二つの論文の被引用数が計 1002 となったことを知りました。予想を大幅に上回るハイスピードでここまで増えました。

祝 被引用数 1000 到達

と横断幕を掲げてはみたものの、感涙にむせぶほど偉大な記録じゃないなぁ。日本の結晶学分野ではダントツなんでしょうが。あっそう、掲示板のネタにありつけて助かった、という程度の喜びです。

RIETAN-FPは今後も多数の研究・開発に貢献し続けるでしょう。RIETAN-FPの利用を前提としている「粉末X線解析の実際」第2版を上梓し、同書をテキストとする講習会を開催し、160ページにも達するマニュアルを提供し、今後もメンテナンスを続行し、しかも次世代ソフトの登場が確実なのですから、この勢いは当分衰えそうもありません。

RIETAN-FPの命脈が尽きるのは、上記二論文の被引用数が 1500 に迫るころじゃないかな。もっとも、そのとき私がこの世にいるか否かは定かでありませんが。

ところで、RIETAN-2000に関する論文

の被引用数がScopusとISI Web of Knowledgeの間でかなり差があることが、前から気になっていました。どうもWeb of Knowledgeはボリューム(321-324)を誤って321とした論文(の一部?)をカウントしていないようです。一方Scopusでは、たいてい別な論文とみなすため、それらを足すことにより実際の数を把握できます(5月18日参照)。

ちなみに、PRIMAVESTAに関する文献の被引用数はそれぞれ90と135 でした。こちらも順調に増えつつあります。

■ 2009年9月7日(月) 恒久的64ビットモード化

なにっ、Snow Leopardは32ビットのカーネルと拡張機能がデフォールトだって!そんなの我慢ならねぇ。オイラのMac ProはクアッドコアXeon機なんだぜ。

早速yebo blogの教えに従い、Terminalで

cd /Library/Preferences/SystemConfiguration
sudo emacs com.apple.Boot.plist

と打ち込み、com.apple.Boot.plistを書き換えました。再起動してから、システムプロファイラの[ソフトウェア]で[64 ビットカーネルと拡張機能]が[はい]に変わったことを確認。これで心安らかになりました。

出荷直後のSnow Leopardを直ちにインストールしたばかりか、こんなマニアックなカスタマイズにまで目の色を変えているんだから、気だけは若いなぁ(笑)。

■ 2009年9月8日(火) インテルMac用配付ファイルのアップデート

二つのアップルスクリプト*.scptの置き場所を/Applications/RIETAN_VENUS/Scriptsフォルダに変更し、それに応じてReadme_mac.pdfを改訂しました。フォルダとファイルの整理が大分行き届いてきました。

■ 2009年9月9日(水) 無謀な試み?

名工大での講義(8月31日参照)で配付する資料、ほぼ完成しました。付録も入れると、20数ページになります。講義そのものより資料の方が立派だったと言われかねません(笑)。なにしろ物理や化学と直接関係のない講義を行うのは初めてですし、人前でしゃべるのが大の苦手(っていうか、ほとんど恐怖)ときてますから…

■ 2009年9月10日(木) 重い腰を上げて

8月22日に記したcollinear磁気構造(化学的単位胞≠磁気的単位胞)の解析は潜在的な需要が相当見込めると中性子業界の方からお聞きしたため、真剣に取り組む気が出てきました。優先的に処理しなければならない仕事の量からみて、今年度中というのは無理かもしれませんが。

人のためというより、自分が思いついた単純かつ絶妙なアイデアが通用するのかどうかが興味あります。10年以上前にILLの研究者から送ってもらったLaMnO3(反強磁性体)の粉末中性子回折データがテストの際,役立つでしょう。

■ 2009年9月11日(金) Snow Leopard、快調です

Mac OS X v10.6.1 Updateが配付されたので、早速アップデートしました。

Snow LeopardをインストールしたMac Proは依然として安定に動いています。差し支えがあったのは、FruitMenuとAppleTalk(PostScriptプリンタ用)が使えなくなったことくらいです。キヤノンのバブルジェットプリンタBJ-F930については、アップル自身が提供する64ビット化ドライバで対応しました。ところが、このドライバの完成度がまだ低く、PDFファイルの印刷でトラブルを引き起こします。動作が安定になるのはしばらく先でしょう。

■ 2009年9月12日(土) RIETAN-2000のWebページの玄関を閉鎖

RIETAN-FP正式版をすでに公開した以上、RIETAN-2000を平行して配付する意味はあまりありません。そこでMulti-Purpose Pattern-Fitting System RIETAN-2000を当ホームページで表示するのを止め、RIETAN-FPへの乗り換えを促すことにしました。ただし、当該WebページはiDisk上に残しておきますので、リンク切れにはなりません。

SCOPUSによれば、RIETAN-FPを使用して得た結果を報じる論文で必ず引用するよう要請しているSolid State Phenom.の論文の被引用数はまだ42に過ぎず、2007年発表のNIMSの論文として5位に甘んじています。このような伸び悩みは、RIETAN-FP正式版が7月下旬にリリースされたばかりであり、その使用を前提とする「粉末X線解析の実際」第2版も刊行間もないことから、RIETAN-2000のユーザーの方が圧倒的に多いためでしょう。プログラムに関する論文は半減期がきわめて長いのが通例です。RIETAN-FPの普及さえ進めば、RIETAN-FPに関する論文がトップに躍り出るのは間違いありません。

7月11日に記した通り、VESTAに関する論文は2008年発表のNIMSの論文として被引用数で首位に立っています。それがトップに君臨し続け、なおかつ上記の目標を達成できれば、被引用数が2年連続で首位という栄誉に浴せます。そうなれば、RIETAN-FPにせよVESTAにせよ勝ち組ソフトとして認知されたことになり、量子ビームセンターに飼ってもらっている恩義には十分報いたと言えるのではないでしょうか。

■ 2009年9月13日(日) wxWidgetsのアップグレード

VESTAのGUI構築に使用しているwxWidgetsがv2.9.0にバージョンアップしました。

■ 2009年9月14日(月) 嫋嫋とした調べ

朝、階下に降りてきたところ、ラジオからピアノの音が幽かに聞こえてきました。寝ぼけ眼がいっぺんに醒めるほど心に染み渡るメロディーです。典雅の極み —— 感動しました。

こうなると曲名が気になって仕方ありません。心当たりをいろいろ調べた結果、モーツァルトのピアノ・ソナタ 第8番 イ短調 K.310の第2楽章だということがわかりました。その妙味をこれまで堪能していなかったのは、恐らく悲壮感に溢れた第1楽章が強烈な印象を与えていたためでしょう。

音質が悪く、しかも音量も小さいラジオの音楽にこれほど心揺さぶられるとは —— 年々、感受性の鈍化が進行している自分にとって貴重な体験でした。

長く先延ばしにしていたレビューを本日投稿し終え、肩の荷が一つ下りました。

■ 2009年9月15日(火) Windows・Mac OS用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新

今後、日本語LaTeX文書作成支援環境(=TeXShoppTeX+GhostScript)を積極的に使い込んでいきます。まずは、テキストファイルReadme_win.txtをPDFファイルReadme_win.pdf(8ページ)にアップグレードしてみました。Mac版より数倍はユーザーが多いWindows版のユーザーを大切にしようという熱意の表れです。大分、読みやすくなったでしょう。

RIETAN-FP_manual.pdfもわずかに修正しました。

RIETAN-FP・VENUS統合支援環境のマニュアルReadme_macros.txtの方も一両日中にPDF化します。

ソプラノ歌手の方からメールを届いたのにはびっくりしました。昨日の書き込みとは無関係です。なんであんたに、と言うなかれ。日々、●●を■■している私だからこそ、畑違いの方との接点が生じた訳ですよ。

■ 2009年9月16日(水) Mac Proに引き続き、

MacBook ProにもSnow Leopardをインストールしました。Core 2 Duo機なので、やはり64ビット環境で動かします。Grand Central Dispatchへの対応も果たした64ビット化Finderの処理速度は、格段に向上しているそうです。ついでに小川版pTeX+Ghostscriptも使えるようにしておきました。64ビット版のTeXShopの登場を待ちわびています。

「鉄は熱いうちに打て」という諺に従い、Readme_macros.txtをpLaTeXでLaTeX文書化しました。Mac Pro上での作業は快適そのもので、ストレスがたまりません。6節からなる11ページの文書が1日で出来上がりました。これから綿密にチェックします。

自宅のiMacはLeopardのままに留まっています。CPUがCore Duo、メモリが1 GBという貧弱な仕様では、Snow Leopardにバージョンアップする気が出ません。案の定、Snow Leopard専用のpTeX+GhostScriptはエラーを引き起こすため、Leopard以前用の旧バージョンに戻しました(涙)。来年には買い換えようかなぁ。

■ 2009年9月17日(木) Readme_*.pdfを更新

Windows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルWindows_versions.zipをアップデートしました。RIETAN-FP・VENUS統合支援環境の手引き8Readme_macros.txtをPDFファイルReadme_macros.pdfとして再編成するとともに、Readme_win.pdfを少しだけ修正しました。とくにマクロの一覧の部分が読みやすくなったはずです。

まだpTeXではhyperrefパッケージを使えないため、URLにリンクを張れません。この困難を早急に克服すべきです。

■ 2009年9月18日(金) 今日もWindows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新

pLaTeX文書でhyperrefパッケージを使うための呪文がわかったので、Readme_win.pdfとReadme_macros.pdf中の全URLにリンクを張りました。連休前にここまで到達したのは予想外でした。

さらに両文書の完成度を上げるべく、連休中にも手直しを続けます。

■ 2009年9月19日(土) 予告通り、

本日もWindows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。Readme_win.pdfとReadme_macros.pdfを少しずつ改訂しただけです。今日はMacBook Pro上でタイプセットしました。

以前のテキストファイルと比べてもらえば、いかに読みやすくなったかが一目でわかります。

■ 2009年9月20日(日) 二人の自分

5年前、チェーホフの「退屈な話」について本掲示板に書き込んだことがありました(2004年5月6日、6月25日)。近頃、あの主人公の心境にますます近づきつつあり、少々鬱屈しています。しかし同時に自分を客観的かつ冷静に見つめ、評価し、叱咤激励するもう一人の自分がいて、精神的均衡を微妙に保っています。その証拠に、連休の間も着実に宿題に取り組んでいます。今年のゴールデンウィーク同様、一日も休まずに仕事するのでしょう。連休や年末年始に仕事を片付けるという悪癖は長年にわたって不変です。

こういうバランス感覚の持ち主であるが故に、これまで研究の世界でサバイバルできたのだと思います。シニカルかつ虚無的な方の自分があまり肥大しないよう注意しなければなりません。それには、新しもの好きの性格を刺激するのが効果的です。今日から万能メモサービスEvernoteを使い始めました。クラウド・コンピューティングの世界にどっぷり浸かるのも悪くありません。

■ 2009年9月21日(月) 箱入り箇条書き

三つのReadme_*.texの手入れを飽きもせずに続けています。今日はfancybox.styboxedminipage.styを使って特定部分を箱で囲う方法を習得し、早速Readme_*.texに導入しました。罫線と行との間隔を調整するのに手間取りましたが、なんとか克服。さらに一段と見栄えがよくなりました。

名工大での講義(8月31日参照)で配付する資料も少しずつ増強しています。ついに30ページに達しました。

■ 2009年9月22日(火) Windows版配布ファイルをアップデート

Readme_win.pdfとReadme_macros.pdfを箱による囲みを入れた文書に更新し、同梱している田楽DLLを最新版v3.10に替えました。

■ 2009年9月23日(水) 連休最終日

Windows・Mac OS用配付ファイルを更新しました。

昨日アップロードしたWindows版はReadme_*.pdfのショートカットに不具合があったため、修正しました。Mac OS版については、箱による囲みをReadme_mac.pdfに導入しました。

結局、シルバーウィーク中はMacBook Proをフル稼働させ、連日仕事、仕事、仕事…で終わりました。こういう味気ない生活を空しいと感じるようなら、まだ救いがありますが、必ずしもそうは思っていないのですから、狂っているとしか言い様がありません。

MacBook Pro(先代)の欠点は、たとえ使わなくても電池の容量がどんどん低下していくことです。長期間使わないときは、ときどき50%程度のレベルまで充電してやる必要があります。なんとかならないものでしょうか。

■ 2009年9月24日(木) Mac用配付ファイルだけ更新

Readme_mac.pdfを微修正しただけです。

■ 2009年9月25日(金) 今日はWindows版だけ更新

Windows 7との互換性が向上したというIntel Visual Fortran for Windows v11.1.046で、各アプリケーションを再ビルドしました。またReadme_win.pdfとReadme_macros.pdfを開くと、文字化けしたしおりが表示されるという問題を取り除きました。

まあ、しおりの文字化けなんてどうでもいいことですよ、講演と講習のお知らせにしばしば「創価学会員が建てたいお墓」や「創価学会員購入の墓地情報」という広告が表示されることに比べれば。創価学会にせよ、お墓にせよ、このWebページの内容とまったく関係ないんですが。Googleの広告配信技術も大したことはないなぁ。

■ 2009年9月26日(土) スゴすぎる!

Evernoteの素晴らしさを次第に認識しつつあります。不安定な動作に悩まされてきたMacNote3はもはや使う気がしなくなったため、Macユーティリティから削除し、代わりにEvernoteを特薦ユーティリティとして追加しました。

Evernoteの一番の有り難みは雲(クラウド)の中にデータが保存されるため、ネットにつながったすべてのPCやケータイから同一のデータにアクセスできることです。こうなると、iPhone(あるいはiPod Touch)が欲しくなってきます。

もっとも、Windows用アプリケーションの出来はさほどよくないです。やむを得ぬ場合以外は使いたくありません。

■ 2009年9月27日(日) 「ハルフウェイ」★★

ハルフウェイ」は「天然コケッコー」の高校バージョンのような映画でした。いずれも岡田将生がヒロインの相手役を務めています。

「天然コケッコー」ほど出来がよくありません。大体、halfwayの誤読という楽屋落ちをタイトルにしてしまうのは、どうみてもやり過ぎ。予算不足のせいか、ラストシーンは冬の北海道だというのに雪のかけらも見当たりませんでした。どう見ても晩秋の風景です。自転車を駅に放置したまま上京というのも、だらしなさ過ぎます。

北乃きいには華がありません。明治生まれのおばあさんのような名前のせいじゃなく、どうもあまりチャーミングじゃないんだよなぁ。「天然コケッコー」の場合と違って、ヒロインが岡田君を地元に引き留められなかったのもそのせいか。Salyuの主題歌は二人の行く末が将来「木綿のハンカチーフ」化するのを暗示しているように聞こえました。

といっても、石狩川支流の広大な風景は実に素晴らしい。とくに川面に青空と白い雲が映っているシーンの美しさには目を瞠りました。

■ 2009年9月28日(月) 64ビット版をインストール

まめFile5 Second Edition v6.05はv5.5Xからの変更点がかなり多く、当惑しています。最初はどうやったらタブを追加できるのかがわからず、往生しました。フォルダあるいはファイルをタブバー上にドラッグ&ドロップするか、既存のタブをダブルクリックすればいいんですね。

Second Editionの最大のメリットは、VistaにおけるFastCopyとの連携が可能になったことです。これまではエクスプローラに切り換えざるを得なかったので、大分便利になりました。64ビット版の動作が俊敏なのも嬉しい。

■ 2009年9月29日(火) Windows版配布ファイルのアップデート

Windows用アーカイブファイルに同梱している田楽DLLとそのマニュアルがなぜか旧バージョンのままになっていたのに気づき、v3.10に更新しました。

■ 2009年9月30日(水) 配付ファイルの更新2件

DV-Xα法計算支援環境の配付ファイルDV-Xa.zipに同梱されている田楽DLLをv3.10に替えました。田楽DLLのマニュアルも更新しました。

近い将来、DV-Xα法関連の一連の実行形式ファイルがアップグレードされ、新プログラムmakef25が追加されるそうです。それに対応した支援環境をリリースすることになるでしょう。

Windows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルに田楽DLL v3.10のReadmeファイルDengakuDLL.txtを追加しました。

■ 2009年10月1日(木) すみません、本日も…

RIETAN-FP・VENUS配布ファイルの小刻みなアップデートが続いています。今日はMac OS用配付ファイルIntel_Mac_versions.dmgを更新しました。Readme_mac.pdf中の2節(ターミナルの環境設定)に日本語の訳語を一部挿入しました。

Snow Leopard上でIntel_Mac_versions.dmgをダブルクリックすると、「このディスクイメージには問題がある可能性があります。開いてもよろしいですか?」というメッセージが出ます。配付ファイルはVirusBarrier X5でウィルスチェックしてからアップロードしているため安全なはず(開いても問題ないはず)ですが、各自が自己責任でマウント・インストールするようお願いいたします。

■ 2009年10月2日(金) 久しぶりに自作秀丸マクロを手入れ

なんと、うろ覚え状態でした。メモに頼らないと、手も足も出ません。あれほど多くのマクロを書きまくった割には、忘れるのが早すぎる(汗)。

■ 2009年10月3日(土) 自分が知らないだけ?

一組の原子のデカルト(Cartesian)座標があり、X, Y, Z軸を任意の角度だけ回転させた後のデカルト座標を計算する —— 昨日、その方法について議論したのですが、ネットで調べてもそのような機能をもつソフトは見つかりませんでした。もし当該機能を備えた既成ユーティリティをご存じでしたら、ぜひ教えてください(自作は面倒なので)。レスポンスを期待せず、気長に待っています。

■ 2009年10月4日(日) 電子辞書ブラウザ

Logophileがv1.0 R8にバージョンアップしました。

■ 2009年10月5日(月) スペースを削ってもページ数は減りませんが…

昨日書店で、しばらく前に刊行された講談社ブルーバックスの本を手に取り、バラバラめくってみました。書名は興味深かったのですが、すぐ元に戻しました。数値と単位の間にほとんどスペースが入っていないからです。"100kg"、"10cm"といった具合。スペース入りのところも多少あり、不統一。執筆者(複数)が無知な上、編集者も無能 —— そんないい加減な本、買う気するかよ!

啓蒙書に限りません。論文を審査していると、そういう基本的ルールを無視した論文に時々でくわします。理工系の研究者としては非常にみっともないことですから、くれぐれもご注意ください。NISTが提供している物理量、数値、単位の記述法に関するチェックリストを投稿前に利用することをお勧めします。

■ 2009年10月6日(火) Leopard専用pTeX

小川版pTeXパッケージが10月4日版にバージョンアップしていました。このように着実にアップデートを続けていただけるのは、実にありがたいです。

■ 2009年10月7日(水) ファイルシステムに保険をかけた気分

Time Capsule (2 TB)が届きました。早速LANケーブルでMac Proに接続し、そのハードディスクをまるごとバックアップしました。これで今後はバックアップを意識せずに済みます。

それにしてもいい値段(50,800円)だなぁ。ネットブックが軽く買えますね。利点はデザインの良さと静かなことです。今年3月発売の1 TBモデルと比べ、値段が同じで容量が倍になったのですから、絶好の買い時といってよいでしょう。

■ 2009年10月8日(木) 台風18号が本州直撃

一日家に閉じこもり、ゴロゴロしていました。この一ヶ月ほど休日もほとんど仕事していたので、いい休養になりました。

■ 2009年10月9日(金) 宇宙空間上のタイムマシンに入ってファイルを復元

Time MachineとTime Capsuleの組み合わせは素晴らしい!自動バックアップだけなく、1時間前、3日前、6ヶ月前というように、過去にさかのぼってファイルを復元できます。業務用としては申し分なし。Blu-rayディスクへのバックアップなんて、もう二度とやらないでしょう。

Windows機のデータについては、バックアップすべきフォルダ・ファイルをMac Pro中の特定のフォルダに保存しておくことで対応します。バックアップの対象が自作ソフト関係に限られるため、Macへのフォルダ・ファイルの転送はそう大した手間ではありません。

しかし、放熱対策は万全なのかなぁ。それが心配の種です。短寿命の予感がする。

■ 2009年10月10日(土) 通信手段としてのケータイ

ケータイからNIMSの電子メールサービスDenbunを利用してみました。スクリーンが狭小で、ログイン時の入力が面倒ですが、外出先での一時しのぎには十分使えそうです。現有機種(N703iD)購入から2年8ヶ月経ちましたが、バリューコースへの変更を目的とする機種変はしばし先送りにします。

今のところケータイを捨て、化石化するつもりはありません。このWebサイトを閉鎖し、ホームレスと化すのも遠い先の話です。

■ 2009年10月11日(日) My sincere advice

「高学歴ワーキングプア」(2007年10月22日参照)の作者、水月昭道が放つ第2弾:「アカデミア・サバイバル」(中央公論新社)。裏表紙には

就職できない「博士」たちの窮状を世に知らしめた著者の、次なるテーマは「大学での生き残り術」。受験の比ではない大激戦を勝ち抜けるのは、正攻法から裏技まで知り尽くした者だけだ。

とあります。

上記の本とは直接関係ありませんが、某月某日、某教授と私の会話:

泉: 授業はどれくらい担当しているんですか。かなり多いのでしょう?
教授: それほどでもありません。学部の授業の約半分は非常勤講師に丸投げですから。なり手はいくらでもいますよ。大学の教員を増やすより安上がりです。
泉: フ〜ン、そうなんですか。

要するに、非常勤講師(ポスドク、任期付き助教、etc.)のような不安定な身分から抜け出すための世渡り術とノウハウが本書には盛り込まれているわけだ。しかし、これを読んで定職にありつけるくらいだったら苦労は要りません。第一、この本の著者自身がパーマネントの職に就いていないんじゃないですか。

非正規雇用の博士持ちが定職を得るのに、自他共に認める実力は必ずしも必要ありませんが、運も味方に付けないとダメです。したがって、将来アカデミック・ポジションを得ようと博士課程に進学するのは、かなりギャンブル性が強いと言わざるを得ません。安心してお薦めできる進路じゃないです。それを承知の上で、なおかつ博士課程に進みたいという殊勝な学生を引き止めたりはしませんが、マーケットが広く、需要の旺盛な分野を選ぶ方がサバイバルに有利ということをお忘れなく。

教授の格付けも必要不可欠です。一口に教授といっても、ピン(正真正銘の大先生)からキリ(肩書きだけ)までいます。ろくに外部資金やポスドクを獲得していないようなボンビー教授、論文の被引用数が唖然とするほど少ないトホホ教授、放置プレイ連発の無責任教授、若手研究者を平気で使い捨てにする冷血教授の主宰する研究室は避ける方が身のためですよ。将来の展望が開けず、やる気が失せ、自分のポテンシャルまで下がってしまいますから。世の中にはそういうセンセイ方が掃いて捨てるほどいるということを忘れてはなりません。要するに、研究指導者を選別し、ワーキングプアに成り下がる確率を能う限り減らせ、ということです。博士課程で初めて師事することになるセンセイは、とくに要注意です。外部の者が実態を把握するのは困難ですからね。

■ 2009年10月12日(月) 急ぎの用を片付けるため休日出勤

仕事が終わった後、Time Capsule前面でオレンジ色のLEDランプが点滅しているのは設定に問題があるためだと気づき、その解決を図りました。あれこれ設定を変更しているうちに、いつのまにか正常動作を示す緑色に変わっていました。トラブル解消の理由は不明のままですが、ともかく一件落着。

■ 2009年10月13日(火) Productive!

ベルン大学(スイス)の永嶌真理子さんがAm. Mineral.の10月号に掲載された論文2報のPDFファイルを送ってくださいました:

これら二つの力作はいずれもVESTAで作成した結晶模型図を含んでおり、後者では粉末X線解析データをRIETAN-FPで解析しています。永嶌さんの所属している研究室では、VESTAが全員のPCにインストールされていて、活躍中だそうです。

Am. Mineral.の同一号に筆頭著者の論文が2報掲載されるというのは誠に天晴れ、快挙といってよいでしょう。このほか5報の論文を投稿中とのこと。凄い勢いと、ただただ感嘆するばかりです。拙作ソフトのパワーユーザーが順調に業績を挙げ、成長してていくのを見るのは嬉しい限りです。

■ 2009年10月14日(水) 期待はずれ

「ハルフウェイ」(9月27日参照)を観た最高齢者じゃないの、と某氏にからかわれたので、先週から年配者向きの「久生十蘭短編選」(岩波文庫)を読み始めました。

今日までに読了しましたが、とくに感興を催しませんでした。筆が達者なのは認めますが、どの作品も強く心に訴えかけてこないのです。ああそう、でお終いといったところ。いかにもそっけない文体のせいなのかな。

同書の解説を読んでいたとき、久生十蘭が海軍報道班員として南方に派遣された折り、ボゴール植物園を見学した、というくだりが目にとまりました。私はジャカルタ近郊から車に揺られてボゴールに行き、その広大な植物園を散策したことがあります。ところが、2度にわたるインドネシア渡航のうち、いずれの機会に訪れたのか、どんなところだったのか、どれくらいの時間、滞在したのか、ほとんど記憶に残っていません。熱帯植物にあまり興味がないため、例によってアッチの世界に行ってた可能性があります。いや、もし2回目の旅で訪れたのだったとしたら、帰国後に苦しめられた発熱、嘔吐、下痢のせいで、記憶の一部が失われたのかもしれません。あのときは本当に、もう死ぬのかと思いました。

■ 2009年10月15日(木) 配付ファイル二つの更新

Windows・Mac OS X用配付ファイルをアップデートしました。Readmeファイル二つとPRIMA.pdfを少々訂正しただけです。

■ 2009年10月16日(金) 日本人以外に不親切なRIETAN-2000をどうやってマスター?

POSTECHの研究者がYMnO3の強誘電転移におけるY-O混成について最近報告しました:

SPring-8で測定した8つの粉末X線回折データ(室温〜1000 K)をRIETAN-2000PRIMAでMPF解析することにより電子密度分布を決定し、VESTAで3D可視化しています。

RIETAN-2000の使用法に関する英文情報が乏しい中で、日本人の共同研究者抜きで外国人研究者がMPF解析に関する論文を発表したのには驚かされました。詳細な英文マニュアルを提供しているRIETAN-FPを使えば、そう大変なことではありませんが。さぞかし苦労したんだろうなぁ。

外国人への配慮については、Windows版のRIETAN-FPも完璧とは言えません。Readme_macros.pdfはともかく、Readme_win.pdfくらいは英訳し、RIETAN-FP・VENUS配布ファイルのWebページの英語版も提供すべきなのですが、一向にモチベーションが上がりません。最初から英語文書にしておけばよかった。講習会や講演会の参加者に配るテキストファイルだったので、先のことなどお構いなしに日本語で書いてしまったというのが実情です。

そういえば、永嶌さん(10月13日参照)が「粉末X線解析の実際」第2版を同僚に見せたら、「英語版はないのか?日本語で出すなんてずるいぞー!」と言われたそうです。ずるいもへったくれもありません。和書でさえ編集に疲弊し尽くすのですから、洋書なんぞ出版していたら疾うにあの世に逝ってましたよ。そんな死に様はかっこ悪いよなぁ。

■ 2009年10月17日(土) Mac OS X用FTPクライアントソフト

Transmit 3がv3.6.8にバージョンアップしました。自宅での本Webサイトの更新に利用しています。

■ 2009年10月18日(日) 業務上必要なもんで…

散々な評判だったWindows Vistaの後継Window 7が10月22日に登場します。すでに発注ずみ。週刊アスキーの臨時増刊「ウィンドウズ7のすべて」も買いました。7が納入されたら、ただちにVistaと入れ換えます。出来が悪すぎるVistaにはさっさと退場してもらうということです。

といっても、Windows 7に多くは期待していません。Vistaのマイナーチェンジ版に過ぎませんから、Snow Leopardに比べたら月とスッポンでしょう。未だに64ビット版と32ビット版に分かれているところにやる気のなさが如実に顕れています。

納得いかないのは27,090円(Windows 7 Professionalの場合)という高額なアップグレード料金です。Leopard → Snow Leopardはたったの3,300円でした。完成度の低いVistaを売りつけておいて、さらにお金をふんだくろうとするマイクロソフト悪徳商法 —— 私のようなソフト開発者以外の方々はWindows 7へのアップグレードをパスするのが筋ではないでしょうか。

■ 2009年10月19日(月) iMacのキーボードが不調

右側のシフトキーとテンキーの4、5、6が使用不能になってしまいました。メモリーを2 GBに増設しSnow Leopardにアップグレードしようかと思っていましたが、いまどきCore Duo機じゃ話になりませんね。来年の2月で満4才 —— 適当な時期に買い換える方がよさそうです。

■ 2009年10月20日(火) Windows用配布ファイルの更新

Windows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルをアップデートしました。リリースされたばかりのIntel Visual Fortran Compiler for Windows v11.1.048で自作ソフトをすべて再ビルドしました。Windows 7の出荷を目前に控え、同OS上での安定動作に万全を期すためです。Vistaへのバージョンアップをためらっていた人たちがWindows 7にどっと飛びつくとみています。

ここに書けるようなことではありませんが、未経験のジャンルに、えいやっとばかり足を踏み入れてしまいました。先行きの見通しはつきませんが、興味津々です。まだまだバーンアウトする気配はありません。

■ 2009年10月21日(水) Mac用配布ファイルの更新

Mac用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルをアップデートしました。X-codeをv3.2.1に、Intel Fortran Compiler for Mac OSをv11.1.067にバージョンアップし、PRIMA以外の全自作プログラムを再ビルドしました。Readme_mac.pdfも少々修正しました。

本日発売のiMac (Late 2009)では、Core i7も選択可なんですね。ついにこのクラスにまでクワッドコアCPUが進出してきたということです。しかし今回の購入は見送り、次のモデルチェンジまで待ちましょう。

■ 2009年10月22日(木) 「科学英語論文執筆の手引き」講習会

11月18日に客員教員を務めている名古屋工業大学で研究会を開催しますが、その前夜、11月17日18:30〜21:00に「科学英語論文執筆の手引き」講習会を開催することになりました。長く英語論文の添削(悪く言えばダメ出し)に従事してきた経験に基づく実戦的な内容にするつもりです。8月31日に書き込んだ「理工学一般で通用するチュートリアル」とはこのことを指していました。

学外者も比較的参加しやすい時間帯となっています。中京圏の方々はぜひご参集ください。テキスト準備の都合上、学内者も含め聴講希望者は名工大の井田 隆准教授にメールで申し込むようお願いいたします。

私の講義そのものよりは、参加者に配付するテキスト(33+5ページ)の方が値打ちがあります。最後の2ページには「日本語文書執筆の心得」という少々脱線気味のタイトルが付いています。英文・和文を問わず、私の文章(本掲示板を含む)はそのテキストに記したガイドラインに忠実に従って書いています。それがバレバレになるのは少々気が重いですが、出し惜しみするのは止めておきましょう。

■ 2009年10月23日(金) 突貫工事

秀丸エディタ上で動くRIETAN-FP・VENUS統合支援環境と同様なものをJedit X用に構築しようと俄に思い立ちました。昨日着手し、今夕までにRIETANやORFFEなどの8つの項目(実体はAppleScriptで書いたマクロ)をマクロメニューの下に追加し、それぞれにキーボードショートカットを割り当てました。Jedit X、AppleScript、bashスクリプトが渾然一体となったシンプルな支援環境です。もちろんJedit Xのタブウィンドウをフルに活かした仕様となっています。

AppleScrript 用語説明が見られないというJedit Xのバグのせいで停滞を余儀なくされなかったら、今日の午前中には終わっていたでしょう。それくらいあっけなくコーティングを終えました。これまで蓄積してきたAppleScriptやシェルに関する知識が直接役立ったということでしょう。

本環境の下ではmake_commandsはもはや不要です。キーボードショートカットは好きなように設定して構いません。

もちろん本環境のReadmeファイルは日本語で書きます(笑)。

■ 2009年10月24日(土) ドライかつ冷淡な態度

Windows 7 Professionalはなんと発売日の22日に納入されました。問題はDell Precision Workstation T5400にインストール済みのVistaを7にアップグレードするタイミングです。Snow Leopardのときと違って、どうも食指が動きません。

近年、私は公私ともに現実主義と実利主義の傾向をますます強めています。Windows 7にさしたるアドバンテージがないことなど、とうにお見通し。1ヶ月程度放置しておきましょうか。

■ 2009年10月25日(日) AppleScriptに関するメモ

AppleScriptで書かれたスクリプト中で次の二つのコマンドを実行すれば、強力なbashシェルとUNIXコマンドを存分に活用できる:

  1. do shell script: 標準出力を表示せず。tell application "Terminal" … end tellは不要。
  2. do script: 標準出力を表示。tell application "Terminal" … end tellで囲む。

プログラム実行中の標準出力をリアルタイムで眺めたいときはdo scriptを使うとよい。いずれの場合も、.bash_scriptで定義した環境変数はbashスクリプト*.command中では参照できない。

■ 2009年10月26日(月) Windows用支援環境寄りの仕様変更

Jedit Xのカレントファイルの名前(絶対パスを含む)を文字列として取得し、それを引数として各bashスクリプトを起動するよう、Mac OS X用支援環境を改良しました。さらにマニュアル(RIETAN-FP_manual.pdf)を表示するためのマクロも追加しました。

一般にJedit Xのマクロは秀丸マクロよりシンプルです。強力なAppleScriptとシェルを駆使できるので、田楽DLLのような拡張ライブラリーは必要ありません。とはいえ、これほど簡単に環境を構築できるとは予想していませんでした。

■ 2009年10月27日(火) pTeXだと筆が進む

Mac OS X用支援環境のマニュアルReadme_scpt.pdfを一気に書き上げました。冒頭の段落を以下にコピー&ペーストします:

Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境はテキストエディタJedit X上でRIETAN-FP、VENUS、関連プログラムを起動し、それらの入出力ファイルをタブ切り替えで編集・閲覧し、ファイル操作を行うための計算機環境である。Jedit Xでは、ユーザーが作成したアップルスクリプトをマクロメニューに登録することにより機能を増強できる。その強力なカスタマイズ機能をフルに活用したのが本支援環境である。メニュー項目へのキーボードショートカットの割り当ても可能となっている。Jedit X内で一連のデータ処理を行えるため、従来のようにmake_commandsによって生成したシェルスクリプト *.commandを利用するよりはるかに使い勝手がよいであろう。

Windows用支援環境に比べると、まだこじんまりとしています。今後、少しずつスクリプトを追加していくつもりです。

Jedit Xがv2.17にバージョンアップしました。改訂履歴に記されているAppleScript 用語説明に関するバグ修正は私が依頼したものです(10月23日参照)。早急に対応して頂いたことを感謝します。

■ 2009年10月28日(水) えっ、126人収容の教室で!(汗)

「科学英語論文執筆の手引き」講習会10月22日参照)のWebページを少々書き改めました。

Mac OS X用配付ソフトに同梱している文書Readme_scpt.pdfとReadme_mac.pdfにも手を加えました。前者には二つの図を追加しました。なんとか今週中にMac OS X用支援環境を公開するべく、急ピッチで磨きを掛けています。

■ 2009年10月29日(木) 先走りWindows 7 Professional上書きインストール報告

Mac OS X用支援環境が予想外に早く仕上がったのに気をよくして、今日はDell Precision T5400のVistaを7にアップグレードしてみました。もちろん64ビット版です。あらかじめ互換性のないソフトをアンインストールあるいはバージョンアップしておいたため、さしたるトラブルもなくインストールできました。

鈍重極まりなかったVistaよりは体感速度が上がっているのは認めますが、Snow LeopardをインストールしたMac Proと比べると今一。モッサリ感が一掃された訳ではないな、というのが第一印象です。土台(カーネル)をそのままにして、厚化粧のやり直しに努めたという安直なバージョンアップですから、GUIも含めた諸機能の劇的な改善は望むべくもなく、Vistaでの失態を糊塗し切れていません。どこでどのように操作・設定するのかがわかりにくいのも相変わらずです。たった3,300円だったSnow Leopardのアップグレード版と比べると、1,500円くらいの値打ちしかないな、と毒づきたくなります。

自作ソフトの互換性チェックのためにWindows 7にアップグレードしたのだということを思い出し、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境上でRIETAN, Plot, ORFFE, lst2cif, VESTA/lst, PRIMAを実行したところ、正常に動きました。予想通りです。

過去を振り返るに、現有機種のWindowsをアップグレードしたのは今回が初めてです。これまでは、PC購入時にインストールされていたOSを最後まで使ってきました。アップグレードする気を起こさせるほどの魅力はなかったということでしょう。

■ 2009年10月30日(金) Mac OS X用支援環境の同梱

Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルIntel_Mac_versions.dmgにJedit Xを利用したRIETAN-FP・VENUS統合支援環境を追加しました。まず「Mac OS X 用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境の手引」(Readme_scpt.pdf)を注意深く読んでからセットアップしてください。Jedit Xはv2.17に更新しておくのが無難です(最新版でしかテストしてないので)。

Menu Masterを使えば上の手引きに記した方法より手軽にキーボードショートカットを登録できるのですが、Menu MasterはまだSnow Leopard互換になっていません。Unsanityのことだから、どうせ超スローペースで対応するんだろうなぁ。副業に過ぎないんですかね。

本支援環境は入出力ファイルのエディター兼アプリケーションのランチャーとしてJedit Xを利用したいという方々にとって、恰好のお手本として役立つでしょう。こういうひな形さえあれば、そう難しくはありません。

■ 2009年10月31日(土) Windows 7におけるスタートアップへのプログラムの登録

[スタート]から[すべてのプログラム]で[スタートアップ]のフォルダを右クリックで[開く]を選択し、 スタートアップさせたいプログラムのショートカットを入れる。

■ 2009年11月1日(日) 今年も余すところ2ヶ月

昨年から自分を駆り立てるため、いくつかの年間目標を立て、それらを成し遂げるべく力を尽くしています。私事も入ってます。本年の目標5つ(1件は前年からの持ち越し)の内、4つはすでに達成しました。残る一つはもう達成したのも同然です。今年も精一杯奮闘したと言えましょう。

ここに記して差し障りのない目標としては、「粉末X線解析の実際」講習会を三日間とも満員御礼にすること」が挙げられます。これには大分苦戦しました。なにしろ未曾有の不況と新型インフルエンザの流行に直撃されましたから。出張規制・経費節減モード入りした企業が多かった模様です。それに、もともと定員が一日あたり160名と、かなり多めだったのです。面目を保つことができたばかりか、二日目は定員を超える参加者を集めるまでに至ったのは、めでたい限りでした。集客請負人としての自信を喪失せずに済みました。

「目標」ではありませんが、Pythonの習得に励み、数本のスクリプトの実作にまで踏み込んだのは偉かった! 中でも、本掲示板が正常に表示されるかどうかをチェックするためのスクリプトCheck_HP.pyは毎日必ず使っています。Pythonスクリプトの作成は脳トレにも有効なので、今後も少しずつレベルアップしていきたいです。

Jedit Xのマクロ機能を使いこなせるようになり、Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境の構築に漕ぎ着けたのは渋いヒットでした。将来、色々なアプリケーションに応用可能なため、自分の引き出しを増やしたことになります。

「科学英語論文執筆の手引き」講習会(11月17日)も自分にとって初めての試みにほかなりません。いつでも粉末回折に関する講演・講習ばかりじゃ、げんなりですよね。今後も目新しいことに猛然と飛びつくダボハゼ精神を失わないよう心がけていきましょう。

■ 2009年11月2日(月) Mac OS X用配付ファイルの更新

Mac OS X用支援環境のマクロメニューに新項目[VESTA]を追加しました。これを選択すると、まずVESTAが立ち上がります。そして、カレントファイル(現在、最前面で表示されているファイル)が *.ins, *.lst, *.cif, *.den, *.vestaならば、それぞれのファイルを入力し、結晶模型や等値曲面を表示します。それら以外がカレントファイルだったら、何も読み込みません。頭文字が"V"なので、マクロメニューの項目[View]を[Graph]に変えることによりキーボードショートカットを設定しやすくしました。

この改訂に応じてReadme_scpt.pdfも修正しました。

今回は、余計なファイル・フォルダが残らないよう/Applications/RIETAN_VENUSフォルダを削除してからインストールする方がいいでしょう。

RIETAN-FP・VENUS配布ファイルのWebページに記されているRIETAN-FPとVENUSのPDFマニュアルの総ページ数ですが、今日調べたら384ページ(!)にまで増えていました。初版に比べぐっと厚みを増した「粉末X線解析の実際」第2版でさえ296ページなんですよ。結晶学関連ソフトのマニュアルとしては、異例中の異例のボリュームです。

■ 2009年11月3日(火) 不可解なトラブル

自宅のiMac(Leopard)でMac OS X用支援環境用をテストしました。マニュアルReadme_scpt.pdf中の図2では[Manual]にoption+Mを割り当てていますが、このショートカットがなぜかLeopardでは無効でした。そこでshift+control+Mに設定しておきました。マニュアルの例もそう変えることにしましょう。

逆にSnow Leopardでは、TeXShop用に自己定義したショートカットが無効になってしまいます。Menu Master10月30日参照)さえ使えればトラブルは発生しないのでしょうが、困ったものです。

■ 2009年11月4日(水) Mac OS X用支援環境の拡充

SUPERFLIPとEDMA(Electron Density Map Analysis)のペアをマクロメニューに追加しました。これでマクロの総数は11となりました。この改訂に合わせてReadme_mac.pdfとReadme_scpt.macも修正しました。

SUPERFLIPによるチャージフリッピング解析終了後にVESTAが電子密度分布を3D可視化するようになっています。EDMA実行後には結晶データを収めたCIFが開かれますので、それがカレントウィンドウとなっている状態でマクロメニューから[VESTA]を選ぶと、ただちに結晶模型が表示されます。もちろんSUPERFLIPが*.xplorに出力した電子密度の等値曲面との重ね合わせ表示も可能です。

なかなか良い感じに仕上がってきました。もう一息といったところです。

「科学英語論文執筆の手引き」講習会(11月17日)のテキストは当日配布するつもりでいたのですが、手間を省くためパスワードつきPDFファイルとして事前に送付し、各自印刷していただくことになりました。現時点で予想の約2倍に達している参加登録者と37というページ数を考慮すると、印刷物としてお渡しするのはちょっと無理だということをご理解ください。

なお、聴講を希望される方は名工大の井田 隆准教授にメールで申し込まれるようお願いします。

■ 2009年11月5日(木) Mac OS X用配付ファイルを今日も更新

Intel Fortran Compiler for Mac OS X v11.1.076がリリースされました。Snow Leopardにおける安定動作のために、PRIMA(32・64ビットCPU兼用)も含め、すべての自作プログラムをこの最新版で再ビルドするとともに、細かい点を多数修正しました。目につくところでは、RIETAN_VENUSフォルダ中のcommands_Jeditフォルダがcommands_commonフォルダに改名され、conv.commandがそこに移っています。もちろんReadme_mac.pdfとReadme_scpt.pdfも改訂しました。

今回は、必ず/Applications/RIETAN_VENUSフォルダを削除してからインストールするようお願いいたします。さもないと、そのフォルダに不要なゴミが残ってしまいます。

Intel Visual Fortran Compilerもv11.1.051にバージョンアップしたので、明日はWindows用配付ファイルの方を更新しましょう。Windows 7でインストーラが動かないというトラブルも解決せねばなりません。

Igor Proがv6.12にアップグレードしました。

Windows 7完全対応を謳うDAEMON Tools Lite v4.35.5を64ビット版Windows 7機に怖々インストールしました。32ビット版のようです。ユーザーインターフェースがかなり変わったのには戸惑いましたが、正常に動くことを確認しました。

■ 2009年11月6日(金) Windows用配付ファイルのアップデート

昨日予告した通り、Windows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。

自作プログラムをすべてIntel Visual Fortran Compilerの最新版で再ビルドしました。EDMA.macのバグを退治し、SuperflipとEDMAの実行例を収めたZrPO4-pyrフォルダをRIETAN_VENUS_examplesフォルダに追加しました。これまでEDMA.macの不具合がまったく指摘されていないのは不思議ですが、使っている人がほとんどいない上、トラブルに気付いてもわざわざ報告してくれないということなんでしょうね。

さらにインストーラをWindows XP/Vista/7互換のInstall_RIETAN_VENUS.batに変更しました。Windows 7ではInstall_RIETAN_VENUS.vbsを管理者権限で実行できなくなったため、やむを得ずそうしました。コマンドプロンプト窓が現れるのは無様ですが、致し方ありません。なおWindows Vista/7上でインストールする際には、Install_RIETAN_VENUS.batを右クリックし、[管理者として実行...] を選ぶ必要があることをお忘れなく。

Readme_win.pdfとReadme_macros.pdfにも手を入れました。後者では図が二つ増えています。大分長くなってきたので、ケアレスミスが残っているかもしれません。お気づきの点がありましたら、些細なことでも結構ですから、ぜひご指摘ください。

LaTeXiT v2.0.0がリリースされました。

■ 2009年11月7日(土) 更新に次ぐ更新

休日出勤してWindows用とMac OS X用のRIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。

Windows用ではReadme_macros.pdf、Mac OS X用ではReadme_mac.pdf、Readme_scpt.pdf、5つのスクリプトファイル*.scptが改訂されています。Readme_scpt.pdfには図を一つ追加し、*.scptでは有害無益なactivateコマンドを削除しました。

これでWindows 7およびMac OS X Snow Leopardとの互換性の確保とJedit Xを利用したRIETAN・VENUS統合支援環境の構築は一段落したことになります。新テクノロジーへの対応には苦戦しましたが、なんとか切り抜けました。この元気もいつまで続くやら…

WindowsとMac OS X、いずれのプラットフォームでも時代遅れのバッチファイル(コマンドプロンプト)やコマンドファイル(ターミナル)を直接使わずに済む環境が整ったのは時宜に適ったことです。秀丸エディタ v8.Xにおけるエクスプローラ枠とJedit X v2.1Xにおけるファイルドロワが両支援環境の利用価値を一層高めてくれるでしょう。

RIETAN-FPとVENUSのPDFマニュアル(Readme_*.pdfも含む)の総ページ数は406ページにまで増えました。なんともすさまじいエネルギーだと感心する方もいるでしょうが、それほど大したことじゃありません。英文だろうが和文だろうが、とにかく私は速筆なんです。もっとも、贅肉をそぎ落とした簡潔な文章を書くのは苦手ですよ。冗長の誹りは免れません。

■ 2009年11月8日(日) RIETAN-2000昇天

RIETAN-2000のメンテナンスを停止してからすでに2年半が経過しました。二つの支援環境の完成を機に、RIETAN-FPへの乗り換えを促すためWindows・Mac OS用RIETAN-2000の配付ファイルを削除しました。今のところRIETAN-2000のWebページには裏口から入れますが、近日中に閉鎖するつもりです。

■ 2009年11月9日(月) マニュアル重視の顕れ

Windows用とMac OS X用のRIETAN-FP・VENUS配布ファイルをアップデートしました。Readme_macros.pdf(Windows)にエクスプローラ枠(フォルダツリー+ファイル一覧)を表示した秀丸エディタを図4として追加し、Readme_scpt.pdf(Mac OS X)中の図3をファイルドロワ付加時のJedit Xに変更しました。なお、エクスプローラ枠は秀丸エディタ v8.0以降(βテスト中)でのみ使えます。

64ビット版秀丸エディタ Ver8.00β24をWindows 7機にインストールし、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境をテストしてみたところ、なんのトラブルもなくスイスイ動きました。新たな窓やタブが小気味よいスピードで次々に現れる一方、脱力感も漂うこの環境はバグルスの「ラジオ・スターの悲劇」でも聴きながら使うといいんじゃないでしょうか。

■ 2009年11月10日(火) アンインストール

Windows用とMac OS X用のRIETAN-FP・VENUSシテテムを容易にアンインストールできるようにしました。詳しくはReadme_win.pdfとReadme_mac.pdfをお読みください。7月下旬以来、小刻みな更新が延々と続きますが、進歩が止まり停滞するよりはましと、あきらめてもらうしかありません。

Mac用アンインストーラのテスト中に肝心要の/Applications/RIETAN_VENUSフォルダを削除してしまい真っ青になりましたが、Time Capsuleのおかげですぐさま復元できました。今やもう、これは必需品です。

Mac OS X v10.6.2 アップデートまめFile5 Second Edition v6.08が配付されています。

■ 2009年11月11日(水) 追憶

「科学英語論文執筆の手引き」講習会の準備をしている最中に、故Jim Jorgensen(アルゴンヌ国立研究所)とのメールのやりとりをふと思い出しました。

10年近く前のことです。購入したばかりの「科学英語論文のすべて」第2版(日本物理学会編)を開き、最初の例文(p. 11)

を眺めたとき、妙な英語だな、と直感しました。実験データに式を当てはめるのですから、データと式が逆のはずです。私はリートベルト法などで粉末回折データを解析した結果を報告する機会が多いため、この際、これらの例文が正しいのか否かをきちんと調べておくべきだと思いました。そこで遠慮なく質問できる友人であるJimに

のいずれが正しいのか訊ねました。Jimの答えは次の通りでした:
The correct grammar would be "the fitting of theoretical curves to experimental data," but this would apply only in the case where there were variables that define the theoretical curves which are allowed to vary to achieve the best fit. If not variables are allowed to vary, the correct description would be "the comparison of theoretical curves with experimental data."

上記の本は、「数値と単位をくっつける」という研究者らしからぬ誤り(10月5日参照)も多数犯しており、執筆者によってはあまり鵜呑みにしない方がいいかもしれません。英文を論じる前に和文としてこれでいいんだろうか、という箇所も散見します。もっとも4章は出色の出来だと思います。

こんな低レベルな質問にも親切に答えてくれたJimが昇天してから3年経ちました。一時は毎年のように実験しに行ったアルゴンヌの中性子源IPNSは運転を停止しました。私自身も粉末中性子回折の材料解析への応用には興味も情熱も失ってしまいました。時の流れを感じます。

「科学英語論文執筆の手引き」講習会は、現時点で事前予想の2.5倍ほどの聴講者が集まりました。名工大だけでなく、名大、豊田工大、愛知工大、JFCCなど外部の方々も多数お集まりいただくことになっており、恐縮しています。講義のほとんどは配付文書を読んでいくのに費やしますが、ところどころ板書を入れる予定です。

■ 2009年11月12日(木) 見違えるほどのスピードアップ

TeX Live 2009MacTeX-2009がリリースされました。後者はSnow Leopardに対応しており、TeXShopはv2.28にバージョンアップしています。

早速、日本語LaTeXファイルReadme_macros.texとReadme_scpt.texをTeXShop v2.28でタイプセットしてみました。それぞれWindows・Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境のマニュアルです。スクリーンキャプチャのイメージを複数含むこれらのファイルは前バージョンv2.26によるタイプセットが極端に遅く、不満が募っていました。

ところがv2.28による組版では、あっという間にPDFファイルが生成・表示されるではありませんか。意外です。日本語文書の場合、実際の組版とDVI→PDF変換はpTeX+GhostScript (dvipdfmx)が担当するはずで、これほど高速化した理由がさっぱりわかりません。ともあれ、最近pTeXを使う機会が多い私にとって今回のバージョンアップは効果てきめんで、大いに喜んでいます。

■ 2009年11月13日(金) 今日は13日の金曜日

予告通り、RIETAN-2000のWebページを撤去しましたが、なんの感慨も湧きませんでした。前方しか視野に入っていないからです。

Windows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。Windows Vistaと7におけるインストールとアンインストールの手順が実質的に同じだということに気づいたため、急遽Readme_win.pdfを書き改め、すっきりさせました。

上記Webページの英語版を作成するのが当面の課題となっています。そのためにはReadme_win.pdfの英語版も書かねばならないため、足踏みしています。

■ 2009年11月14日(土) 行政刷新会議第3ワーキンググループによる「事業仕分け」、SPring-8についての評決結果

「このグループの結論としては、少なくとも(事業費108億2100万円の)1/3から半額の縮減を求めたいというふうに思います。」

あくまでワーキンググループが出した結論であって、閣僚による最終決定でありませんから、意見や感想を述べるのは差し控えます。

概算要求からの3兆円削減はどうやら達成できそうだという見通しから、今週に入って長期金利は1.475 %から1.340 %へと急落しました。長期金利が上がり過ぎると、国の借金がますます膨張するだけでなく景気回復の足も引っ張りますから、鳩山政権は遮二無二、予算削減(仕分け結果の尊重)に向けて突っ走るしかないと見ています。

■ 2009年11月15日(日) 痴呆に成り果てたマイiPod

プレイリストが表示されない! もちろん選曲もできません(涙)。

■ 2009年11月16日(月) Mac OS X用配付ファイルの更新

Readme_mac.pdfとReadme_scpt.pdfをほんの少しずつ修正しました。

いつまたボケるかわかりませんが、マイiPodが正気を取り戻しました。何事もなかったかのように振る舞っています。

■ 2009年11月17日(火) 今日から名古屋に出張

昨日午後の時点で、「科学英語論文執筆の手引き」講習会の参加登録者は事前予想の約3倍にまで増えました。想定外の人数に、内心ビビっています。

参加者はテキストを印刷してくることをお忘れなく。

■ 2009年11月18日(水) 「科学英語論文執筆の手引き」講習会終了

初めての試みのため手際の悪いところもありましたが、渾身の力作であるテキストは英語論文執筆の際、すこぶるお役に立つと確信しています。英語・日本語の文章の執筆に共通する心得を説いているところに付加価値があります。スケジュールの都合で残念ながら出席できないという4名の方々にはPDFファイルを差し上げました。

完璧からは程遠かったですが、望外の数の聴講者相手に未経験の教育活動を遂行したという満足感が残りました。いずれ機会がありましたら、今回の講習会の内容をブラッシュアップした催しを再度開きたいです。2回目以降はぐっと楽になりますからね。出前講義の要請にも喜んで応じます。

■ 2009年11月19日(木) RIETAN-FP・VENUS統合支援環境の基盤

Jedit X v2.18と秀丸エディタ v8.00β26がリリースされました。

■ 2009年11月20日(金) Readme_scpt.pdfの微修正

Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。Readme_scpt.pdfにおけるキーボードショートカット登録の部分を書き改めるとともに、図2中の[+]ボタンを赤丸で囲みました。

■ 2009年11月21日(土) パスワードを盗まれかねないFTPよりはましなので、

Snow Leopard機(Mac Pro)とWindows 7機(Dell Precision T5400)の間のファイル共有にはSMBプロトコルを使うことにしました。Windows機側の設定に手間取ったものの、ついに双方向のファイル転送を実現しました。

残念ながらWindows XP機(Dell XPS M1210)からSnow Leopard機とWindows 7機には接続できたものの、その逆はダメでした。あれこれ試行錯誤すればなんとかなるのでしょうが、もうXPなんかどうでもいいという気持ちが強く、一方通行のままに留めることにしました。

その間、会得したノウハウは一週間も経つと忘れそうなので、すべてEvernoteに記録しておきました。27番目のノートになります。

■ 2009年11月22日(日) ノート型Windows 7マシンが欲しくなってきた

3年前に購入したWindows XP機(メモリ: 1 GB)にいまさらWindows 7を新規インストールするのは得策でありません。Windows 7をインストールしたノート型PCを新たに買うか、MacBook ProでBoot Camp+Windows 7を利用するか、迷っています。もちろん後者の方が経済的ですが、4万円弱の通常版Windows 7 Professionalの購入には心理的抵抗を感じます。

■ 2009年11月23日(月) マイナスをハイフンで代用している人の方が圧倒的に多いですが

「科学英語論文執筆の手引き」講習会では、WindowsとMac OS Xにおいてマイナス記号をキーボード入力する方法を教えるつもりでいたのですが、うっかり、すっとばしてしまいました(テキストには明記)。Windowsでは"2212"と入力した後(必要なら"2212"を選択し)Alt+X、Mac OS Xではoption+ハイフンです。Windowsの場合、やや面倒なので、クリップボード・ユーティリティに登録しておくといいでしょう。

■ 2009年11月24日(火) Readme_scpt.pdfをさらに微修正

Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。Readme_scpt.pdfにおけるマクロ登録の部分(2.3.1)を修正しただけです。Finderですべての*.scptを選択し、まとめてスクリプトウィンドウ中にドラッグ&ドロップすると書き改めました。

■ 2009年11月25日(水) 今日もまた…

Windows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。Readme_macros.pdfを少しだけ修正しました。

RIETAN-FPを使ったにもかかわらずMater. Sci. Forumに掲載された論文を引用する人が未だに多いです。恐らく以前執筆した論文から引用文献をコピー&ペーストしているのでしょう。そういうケアレスミスを防ぐために、RIETAN-FP・VENUS配布ファイルのWebページの末尾にSolid State Phenom.の論文を引用するよう明記しました。

Precision T5400へのWindows 7の上書きインストールに伴い、CtrlキーとCaps Lockキーの入れ換えが無効になってしまいました。キーアサイン・ユーティリティの使い方を新たに覚えるのは面倒なので、レジストリエディタでCaps LockキーをCtrlキーに変更するという荒技を繰り出しました。Caps Lockは通知領域中の[CAPS]のクリックで代用します。これで十分ではないでしょうか。

■ 2009年11月26日(木) 20の電子顕微鏡関連プログラムからなるLiveCD

WTH Aachen大学(ドイツ)の電子顕微鏡施設が頒布しているelmiX 2009.1が約1ヶ月前にリリースされていたのに気づきました。唯一の国産ソフトウェアとしてVESTAが収録されています。

「唯一の国産ソフトウェア」という文言から、次世代スーパーコンピューターの予算がカットされたのはとんでもない、という声が高いことを思い出しました。しかし、ソフト開発に携わる者としては、世界に通用する日本製科学技術ソフトウェアがほとんど見当たらないのに、特定のハードウェアと施設に湯水の如くお金をつぎ込み、世界一の地位を一時的に獲得することにどれだけの意義があるの、とツッコミを入れたくなります。そういうお寒い現実を誰も表だっては指摘せず、見て見ぬ振りをしているのはいただけません。

外国製のソフトウェアの使用法やノウハウを仲間内で共有し、手っ取り早く成果を挙げようって連中ばかり目に付きます。たとえば結晶学の分野では、タンパク質の構造解析がまさにそれに該当します(20年以上前から国産ソフトウェアは壊滅状態)。直接法やXAFSも同じようなもんでしょう。もういくらがんばっても追いつけそうもありません。

国家財政の危機のためにスーパーコンピューターの性能が世界のNo. 2やNo. 3に甘んじなければならないのだとしたら、独創的な高速アルゴリズムを考案し、ハードウェア+ソフトウェアの総合性能でNo. 1になればいい。それとも、傑出した科学技術ソフトウェアの開発なんて到底無理だから、せめてハードウェアでは世界一の地位にのし上がりたいということなのでしょうか。それが本音だとしたら、一点豪華主義の最たるもの。借金まみれの家庭(国債および借入金債務=865兆円)の子供が高価なおもちゃを欲しいと駄々をこねているのと大差ありません。別な方面に血税を振り向ける方がましです。

科学技術ソフトウェアの自主開発が重要だと息巻くそばから、無償配布開始直後のEXPO2009を嬉嬉としてダウンロードしている自分も情けない。しかし、まあ仕方ないです。直接空間法と逆空間法を兼ね備えた未知構造解析システムを自作できっこありませんから。私にとって放射光・パルス中性子粉末回折装置がどうのこうのなんてローカルかつ誇大広告じみた話題より、EXPO2009のリリースの方がはるかに重要かつ興味深いグローバル・ニュースなんです。IUCr2008におけるEXPO最新版に関する招待講演をGiacovazzo先生に依頼したのも、そのためでした。早速、明日使ってましょう。

■ 2009年11月27日(金) EXPO2009試用報告

Windows用EXPO2009をPrecision T5400にインストールし、硫酸バリウムの粉末X線回折データ(RIETAN-FP配付ファイルにおけるLe Bail解析例)を解析してみました。強度データファイルBaSO4.powの一行目を変更する必要がありましたが、入力ファイルBaSO4.expは無修正で使えました。重原子を含む単純な構造なので、難なく解析できるのは言うまでもありません。

次に、前座(EXPO2009)によるLe Bail解析後に出力されるextra.hklをBaSO4.ffiと改名し、このファイルに記録された|F|2を出発値とするLe Bail解析をRIETAN-FPで実行してみました。初回の解析では尺度因子を精密化し、そうして収束させた尺度因子を初期値として2回目の解析を行います。いずれの計算でもCHGPCは1.0に固定します。Le Bail解析を2回繰り返すのは、フィットの良さが尺度因子の初期値に依存するためです。

EXPO2009とRIETAN-FPによる硫酸バリウムのLe Bail解析における信頼度の指標は次の通りでした:

ここで、RIETAN-FPの入力ファイル*.insを作成する初心者向きの方法について述べておきます。自分が使っている粉末回折装置で標準物質の強度データを測定し、それをRIETAN-FPでリートベルト法により解析し、最後にNUPDT = 1として*.ins中の可変パラメーターを更新しておきます。これで線源、光学系、プロファイル・パラメーターなどの初期値をカスタマイズしたひな形ファイルが出来上がります。VESTAのPreferencesでその*.insをTemplate (*.ins)に指定します。

個々の物質のリートベルト解析では、結晶データファイル(CIF形式を推奨)を読み込むか、Edit → Structureで結晶データを入力し、必要ならUtilities → Standardization of Crystal Dataで結晶データを標準化してから、File → Export DataにおいてRIETAN (*.ins)フォーマットで*.insを出力します。次にエディタで*.insを開き、必要に応じて種々のパラメーター、フラッグ(たとえば構造パラメーターのID(I))、設定を変更してから、RIETAN-FPを実行します。

EXPO2009、Superflip+EDMA、その他の未知構造解析システムが決定した構造モデルはCIF(*.cif)として出力できます。上記のように、それをVESTAで読み込んでRIETAN-FPの入力ファイル*.insをexportすれば、ただちにリートベルト解析に移れます。ただし、EXPOが出力するCIF中の空間群名では格子タイプ(P, I, Fなど)が小文字になっていたため、大文字に改める必要があります。さもないと、VESTAは空間群をP1とみなしてしまい、非対称単位内の原子しか表示してくれません。

■ 2009年11月28日(土) 双方向のファイル共有を実現

11月21日に記したSnow Leopard機とWindows 7機からのWindows XP機への接続がようやく可能になりました。Windows XP機の「共有ドキュメント」フォルダ、すなわちC:¥Documents and Settings¥All Users¥Documentsを介してファイル・フォルダをやり取りするようにしただけです。

■ 2009年11月29日(日) Microsoftを儲けさせるのはしゃくですが

ノート型Windows 7機(11月22日参照)については、あれこれ迷った末、MacBook Pro上でBoot Campを使おうと決意しました。なんといっても、無償ソフトですからね。Windows 7 Professionalを発注しておき、Boot CampがWindows 7に正式対応するのを待ちます。

■ 2009年11月30日(月) 10日を費やして…

Windows XP、Windows 7、Snow Leopard機の間で手早くファイル共有するためのノウハウをようやく会得しました:

いずれの場合も、共有フォルダを一発で開けます。iDiskやUNIXサーバーとの間のファイル転送を除けば、FTP/SFTP/WebDAVクライアントソフトはもはや不要となりました。OSが具備する機能しか使わないファイル共有は実に快適です。

■ 2009年12月1日(火) 己の背中を押すための調査

RIETAN-FP・VENUS配布ファイルのWebページを未だに英語化していない身としては、われわれが配付しているソフトがどの程度、外国人によって使われているのかが気になります。そこで、ISI Web of Knowledgeを使ってRIETAN-2000とVESTAを使用して得た成果を報告している論文(RIETAN-2000: 最近の100報、VESTA: 100報弱)の筆頭著者が外国人である割合を調べてみたところ、RIETAN-2000は28 %、VESTAは35 %でした。

う〜む、RIETAN-2000の国際化率は意外に高いんだな。こりゃ、英語ページも作成せざるを得ませんね。Webページ自体よりReadme_win.pdfの日本語版作成の方が面倒で仕方ないですが。

今朝の毎日新聞に次世代スーパーコンピューター予算のカット(11月26日参照)に関する金田康正(仕分け人)、平尾公彦(理研)両氏の見解が掲載されていましたが、ソフトウェアの重要性を強調しておられる金田氏の方がずっとまともだと感じました。NECと日立の離脱により瀕死の重傷を負ったわけあり事業の見通しは、どう見ても明るくありません。

平尾氏曰く「われわれはソフトウエア開発にも力を注いでおり、成果でも世界一を目指している。」 そう大口を叩くのは、ご自分の専門分野のソフトウェアで世界の先頭を走っている(平尾ソフトが世界レベルで通用している)という明確な証拠を示してからにしてほしいです。ただのマネージャーに過ぎないというなら、その限りでありませんが。

■ 2009年12月02日(水) 新ユーティリティset_VESTA_PREF

Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。

VESTAの設定ファイルや一時ファイルを保存するtmpフォルダの置き場所は環境変数VESTA_PREFで指定できます。たとえば粉末回折パターンのシミュレーションを実行したとき生成する*.insと*.itxはtmpフォルダに出力されます。しかし、Mac OS Xでは、GUIアプリケーションに引き渡す環境変数は~/.MacOSXという不可視フォルダ内のXML形式ファイルenvironment.plistに記述せねばならず、その定義はかなり面倒です。UNIXに詳しい人でないとお手上げかもしれません。

そこでenvironment.plistを作成しやすくするために、AppleScriptで書かれたset_VESTA_PREFというユーティリティを提供することにしました。詳しくはReadme_mac.pdf中の15.2節をお読みください。set_VESTA_PREFの実行直後にログアウトすることをお忘れなく。

VESTAが思い通りに動かなくなったときは、set_VESTA_PREFと同一フォルダにあるenvironment.plist中の

        <string>~/Documents/VESTA_workspace</string>

という行を

        <string>/Users/(ユーザー名)/Documents/VESTA_workspace</string>

というように絶対パスを記述してから、もう一度set_VESTA_PREFを実行してください。もちろん"Documents/VESTA_workspace"を別なフォルダに変えても差し支えありません。

set_VESTA_PREFは一両日中にリリースするVESTA v2.1.2との互換性を有しています。

■ 2009年12月3日(木) 配付ファイル更新3件

昨日提供し始めたMac OS X用ユーティリティset_VESTA_PREFは、ストリームエディタsedでenvironment.plist中の"~"を/Users/(ユーザー名)に置換してから~/.MacOSXに保存するよう改良しました。ユーザーの手に委ねるほどのことでありませんからね。久しぶりにsedを使ったため、少々てこずりました。set_VESTA_PREF実行直後に再ログインする必要があるのは同じです。Readme_mac.pdfの15.2節も手直しした上、Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルをアップロードしました。

VESTA v2.1.2がリリースされました。このマイナーアップデート版では、EXPO2009が出力するCIF(11月27日参照)を無修正で入力できます。

DV-Xα研究協会会員限定でdvscat用対称軌道生成プログラムmakef25のベータ版が配付されているため、MAKEF25.macというマクロ(No. 2)を追加したDV-Xα法計算支援環境の配付ファイルを公開しました。従来はMathematicaの助けを借りていた計算が無償ソフトmakef25で手軽に実行できます。makef25をインストールしてからお使いください。

■ 2009年12月4日(金) 弱音を吐くのは珍しいですが…

WindowsとMac OS X用のRIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。

Bond valence sumを計算するためのbond valence parameterを記録したCIFの2009年版(bvparm2009.cif)が最近公開されたため、Windows用配付ファイル中のbvparm2006.cifをbvparm2009.cifに置き換えました。

Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境にもbvparm2006.cifを同梱するとともに、それを表示するための新マクロBond valence parameters.scptを追加し、それらの変更をマニュアルに反映させました。さらに、set_VESTA_PREF終了時のメッセージに"Logout and then login to make VESTA_PREF effective."という文を追加しました。こう念を押しておけば、再ログインし忘れることはまずないでしょう。

気がつけば、この3日間に5回も配付ファイルを更新していました。すごい勢いなのは結構ですが、日頃ここに書き込んでいること以外の仕事も沢山ある上、気苦労も多く、かなり消耗しています。体調も芳しくありません。

■ 2009年12月5日(土) 1.25 %(基準金利)− 0.80 % = 0.45 %(適用利率)

個人向け国債第29回債の利率はたった0.45 %(税引き後0.360 %)にまで落ち込んでしまいました。日銀は期間3ヶ月の量的緩和に踏み切りました。

こういう超低金利時代のまっただ中にもかかわらず、日本株の配当利回りは歴史的高水準にあります。配当金は今後も増加しそうです。つまり株式を所有し、長く塩漬けにしておき、株価がまったく変動していなかったとしたら、預金の利息とは比較にならないほど多額の配当金が手に入るわけだ。インカムゲインを期待する直利志向の人は、貯金の一部を取り崩してでも比較的安全な投資(たとえばTOPIX連動型上場投資信託)に振り向けるべきでしょう。

■ 2009年12月6日(日) 余計なお節介を避けるには

Mac OS X用RIETAN-FP・VENUSパッケージをインストールするには、ディスクイメージファイルIntel_Mac_versions.dmgをダブルクリックしてIntel_Mac_versionsというボリュームをマウントしてから、インストーラInstall_RIETAN_VENUSをダブルクリックします。すると、

“Install_RIETAN_VENUSは、アプリケーションで、インターネットからダウンロードされました。開いてもよろしいですか?

という警告が発せられます。その際には、"このディスクイメージ内のアプリケーションを開くときには警告しない" (もしあれば)をチェックしてから [開く] ボタンをクリックしてください。さもないと、インストール後にRIETAN_VENUS_examplesフォルダおよびRIETAN_VENUSフォルダ内の各テキストファイルを初めて開くとき、

(ファイル名)はアプリケーションである可能性があり、インターネットからダウンロードされました。これは(アプリケーション名)で開かれます。開いてもよろしいですか?

というダイアログが現れ、かなり煩わしい思いをします。

インストールの前にUninstall_RIETAN_VENUSを実行してアンインストールする場合も同様です。同一仮想ディスクで一度だけ"このディスクイメージ内のアプリケーションを開くときには警告しない"をチェックすれば、その仮想ディスク内のファイルは安全と見なされます。

■ 2009年12月7日(月) 今日もまた…

Windows・Mac OS X用RIETAN-FP・VENUSパッケージをいずれもマイナー・アップデートしました。

bvparm2009.cif(bond valence parameterを記録したCIF), Effective_ionic_radii.txt(Shannonの有効イオン半径を収録したテキストファイル), Space_groups.xls(230空間群のHermann-Mauguinシンボルを収めたExcel形式ファイル)をdocumentsフォルダ内に置くことにしました。PDFマニュアルだけが文書(documents)という訳でないからです。Space_groups.xlsはExcelあるいはOpenOffice.orgのCalcに関連づけておいてください。

有効イオン半径については、多くの書籍(たとえば「粉末X線解析の実際」第2版)やWebページに転載されているため、閲覧用マクロを提供するまでもないと判断しました。空間群のシンボルはRIETAN-FP(に埋め込まれたLazyが)が回折指数hklと多重度mを発生するのに使うことから、RIETAN-FPの標準入力ファイル*.insへのコピー&ペースト用にマクロを用意しました。

Windows用支援環境ではSpace_groups.macをNo. 29に、BVP.macをNo. 30に入れ換えました。Mac OS X用に空間群シンボル閲覧用マクロSpace groups.scptを追加しました。

これまでMac OS X用ディスクイメージファイルIntel_Mac_versions.dmgはToast 10 Titaniumで作成してきました。このソフトが出力する*.dmgをダブルクリックすると「このディスクイメージには問題がある可能性があります。開いてもよろしいですか?」という余計な警告を発するため、FreeDMGに乗り換えました。さらにマウント後のフォルダにアイコンが規則正しく並ぶように改善しました。

VESTAマニュアルVESTA_Manual.pdfに些細な間違いが見つかったため、訂正しました。

■ 2009年12月8日(火) 両支援環境のマニュアルを微修正

Windows・Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。Readme_macros.pdf(Windows)とReadme_scpt.pdf(Mac OS X)をわずかに修正しただけです。ついにReadme_*.pdfの合計ページ数は42にまで増えました。

Space groups.scptは職場のMac Pro(8 GB, Snow Leopard)上では正常に動きます。一方iMac(1 GB, Leopard)の場合、Excelは立ち上がるものの「'Macintosh HD'が見つかりません」というエラーメッセージを出し、Space_groups.xlsを読み込んでくれません。原因は不明です。

RIETAN-2000/FPに関する論文の被引用数が1000に達したことを9月6日にお祝いしてから3ヶ月経ちました。SCOPUSで調べたところ、その間に一ヶ月あたり約14回も引用されていました。RIETAN-2000からRIETAN-FPへの移行が滞っているのが気になりますが、RIETAN-2000のWebページはすでに閉鎖しましたし、RIETAN-FPの使用を前提として編集した「粉末X線解析の実際」第2版も7月に出版しましたから、徐々に世代交代していくと見ています。

RIETAN-FPの利用促進のためにも、自作ソフトの配付ページの英訳を急ぐべきですね。しかし、その元気がありません。

■ 2009年12月9日(水) 昨日、泣き言を言ったばかりですが、

RIETAN-2000により得られた結果を報告している論文の筆頭著者のうち3割近くが外国人だという事実(12月1日参照)は重く受け止めなければなりません。英文マニュアルと言えるほどのものを提供していなかったにもかかわらず、それほど利用されているのです。和文が読めない人たちを切り捨てる訳にはいきません。

Readme_win.pdfの一部を英訳するのを避け、自作ソフト配布のための英文Webページを追加するだけなら、話は簡単です。RIETAN-200からRIETAN-FPへの移行促進にも有効でしょう。そこでDistribution Files for the RIETAN-VENUS PackageというWebページを新たに作成しました。これを出発点とし、英語によるドキュメンテーションを少しずつ充実させていきましょう。

英訳にはさほど時間がかかりませんでしたが、バックスラッシュを表示させるのに相当手こずりました。

RIETAN-FPを利用して得た成果を報告するとき引用すべき論文(Izumi & Momma, 2007)を間違う人が後を絶たないため、英文の配付ページ中にも赤字で当該文献を明記しました。11月25日に述べた通り、そういうミスは、過去の論文の原稿からRIETAN-2000に関する論文(Izumi & Ikeda, 2000)をコピー&ペーストした結果生じるのでしょう。2000年にはRIETAN-FPは影も形もなかったことをお忘れなく。

いずれの論文も被引用数のカウンターに過ぎません。しかし(Izumi & Ikeda, 2000)は材料科学分野におけるNIMS発の論文の被引用数(2005年6月〜2009年2月)が世界第3位となるという快挙の実現に、これ一報で数パーセントは貢献しました。といって、これが材料科学の論文とは到底思えません。内容的には物理あるいは化学の範疇に入ります。Materials Science Forumという雑誌名から機械的に材料科学に分類されたのは、私にとっては不本意なことですが、NIMSにとっては誠に幸運でした(笑)。

今後は(Izumi & Ikeda, 2000)に替わり(Izumi & Momma, 2007)がその順位の死守に一役買うに違いありません。Solid State Phenom.も確実に材料科学の雑誌とみなされるでしょうから。数値データが重んじられる時代には、単なるカウンターでさえ威力を発揮しうるのです。

■ 2009年12月10日(木) 二つの非古典的構造解析法の応用

カルフォルニア大学とロスアラモス国立研究所の研究グループがLaSr2AlO5:Ce3+蛍光体の放射光粉末回折データを対象にMPF解析と原子対相関関数(atomic Pair Distribution Function: PDF)を用いる局所構造解析を行った結果を報告しました:

リートベルト・MPF解析にはRIETAN-2000が、MEM解析にはPRIMAが、電子密度分布の描画にはVESTAが使われました。

■ 2009年12月11日(金) もうそろそろこんなもんで…

Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。実行例に硫酸バリウムの粉末X線回折データ(Le Bail解析に使用したデータと同じもの)のリートベルト解析を追加したほか、二つのReadme_*.pdfを微修正しました。Readme_mac.pdfでは、12月6日に記したイメージファイルのマウント時におけるチェック項目の和訳を赤字で挿入しました。またReadme_scpt.pdfには、空間群シンボル閲覧用マクロSpace groups.scptはSnow Leopardでだけ使えるという注釈を追記しました。どうもAppleScriptにおけるopen文の仕様がSnow Leopardでは変更になったようです。

■ 2009年12月12日(土) 並木2号機のリタイア

昨晩はNIMSの1300 kV超高圧電子顕微鏡とのお別れのセレモニーに顔を出し、関係者一同の前でNIMSにおける高温超伝導体の研究で電子顕微鏡(局所構造の解析)と粉末中性子回折(平均構造の解析)が果たした相補的役割について関係者一同の前で所感を述べました。

壁にかかっていた炭酸イオンを含有する超伝導酸化物のバネルをつくづく眺めてきました。これは世界で初めて発見された酸素酸イオンを含む高温超伝導体の結晶構造像であり、私が松井良夫氏に依頼して1300 kV電顕で撮影していただいたものです。このイメージはCuとCの規則配列を知り、TOF中性子回折データのリートベルト解析用の構造モデルを構築するのに直接役立ちました。ご存じない方も多いでしょうが、私には高温超伝導体の構造解析に熱中していた時代もありました。泉・松井が第1回超伝導科学技術賞を共同受賞したのは古き良き思い出となっています。

乾杯の音頭や挨拶を平然とこなせるようになったのは、つい二三年前です。大の苦手を一つ克服した自分は、まだ発展途上なのかもしれません。

■ 2009年12月13日(日) 一度しかない人生を三通りに

今年の6月に「粉末X線解析の実際」第2版の最終校正で修羅場っていたとき、東京理科大の中井 泉教授から社会人ドクターの取得を目指す学生が彼の研究室に入ったという話を伺いました。一昨日の毎日新聞夕刊にその学生、菊川 匡さん(44)に関する記事が出ていました。

菊川さんは理系出身の金融工学の専門家としてゴールドマン・サックス証券などの外資系証券会社を渡り歩きましたが、その間稼ぎまくったお金を古代エジプトの遺物の収集につぎ込み、7月に古代エジプト美術館を渋谷に開館しました。中井研究室では考古化学の研究もこなし、時には海外へも足を運ぶそうです。

■ 2009年12月14日(月) 亀の歩み

Windows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルをアップデートしました。実行例として硫酸バリウムの粉末X線回折データ(Le Bail解析に使用したデータと同じもの)のリートベルト解析を追加するとともに、Readme_win.pdfを修正しました。

このように小出しのアップデートを続け、その内容をここに掲示しているのは、ほんの少しずつでもいいからブラッシュアップを進め、作業メモを残しておきたいからです。RIETAN-FPとVENUSのPDFマニュアルは計412ページにまで増えました。

■ 2009年12月15日(火) もうこの話題には自分でも飽き飽きしましたが

ネタ切れで困っているところに、RIETAN-2000を利用して得た成果を発表する際に引用するようお願いしている論文(Izumi & Ikeda, 2000)の被引用数がちょうど1000に到達したというScopus Document Citation Alertが届きました。9月6日に記した1000という数字はRIETAN-FPに関する論文(Izumi & Momma, 2007)の引用も合算していましたが、今回は(Izumi & Ikeda, 2000)単独で達成した被引用数です。RIETAN-2000は未だに根強い人気を誇っています。

NIMSの量子ビームプロジェクトにおいて私が仰せつかった使命は、RIETAN-2000の後継ソフト(RIETAN-FPとして結実)の開発とソフト遺産を継承すべき後継者の確保(2月22日参照)でした。

前者については、RIETAN-FPおよびその長大なマニュアルを作成し、RIETAN-FPとVESTAとの密接な連携を果たし、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境二組を構築した上、多くの講習会・研究会・セミナーでの講演・講義や「粉末X線解析の実際」第2版の上梓を通じて自作プログラムの普及を図っているのですから、まさに順風満帆といってよいでしょう。オブジェクト指向の次世代ソフトの開発もすでにスタートしています。

RIETAN-FPは進化の歩みを停止した訳ではありません。来年には反強磁性体(化学的単位胞≠磁気的単位胞)の磁気構造を解析する機能(8月22日参照)を追加するつもりです。

日本語英語のRIETAN-FP・VENUS配布ページを眺め渡し、仕事の成果を目に見える形で発表・公開することの意義をあらためて痛感しました。今は、少し前に査読意見を受けとったレビューを修正しています。

■ 2009年12月16日(水) Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境の土台

Jedit Xがv2.19にバージョンアップしました。

■ 2009年12月17日(木) こいつを買ったのは一年ちょっと前なのですが、

MacBook Proのバッテリーが早くもへたってしまいました。不使用期間中の放電が異常に速いのです。当初からそういう傾向がありましたが、最近ますますひどくなってきました。不良品だったとしか思えません。

こんな有様では話にならないので、交換用バッテリーを注文しました。高価ですなぁ。しかし、このMacBook ProのおかげでMac OS X用RIETAN-FP・VENUSパッケージを世に送り出せた(2月5日参照)のですから、疎略に扱ったら罰が当たります。近々、Boot CampによるWindows 7の起動を実現する予定です。

■ 2009年12月18日(金) 一里塚

VESTAに関する論文の被引用数が本日、ちょうど100に達しました。当論文が出るまで引用を要請していたニュースレターの被引用数を加えると、157となります。

■ 2009年12月19日(土) 凝ったことをやるのは年齢的にキツい

Mac OS X用RIETAN-FP・VENUSパッケージに含まれているRIETAN-FP・VENUS統合支援環境を整えるには、Jedit Xのスクリプトウィンドウに13個のアップルスクリプト*.scptをドラッグ&ドロップしてから、適当な順序に並べ換えねばなりません。この作業はやや面倒です。そういう汚れ仕事はインストーラInstall_RIETAN_VENUSに全部押しつけてやれ、と思い立ちました。

案の定、一筋縄では行きませんでした。長時間、苦心惨憺した末、ようやく正常にインストールできるようになりました。

アンインストーラUninstall_RIETAN_VENUSの方も作り替えました。不要になった*.scptを削除し、マクロメニューは初期状態に復帰させます。ユーザーがカスタマイズしたキーボードショートカットはしっかり覚えていますので、再インストール後に設定し直す必要はありません。

十分動作チェックし、Readme_mac.pdfとReadme_scpt.pdfを書き直した後、リリースします。

■ 2009年12月20日(日) 有機粉末結晶解析講習会

日本化学会 有機結晶部会が主催する講習会「有機粉末結晶解析 ーー 構造決定からRietveld法まで ーー」が2010年1月22日(金)に東京で開催されます。前半の構造モデル構築の実習にはDASHが、後半のリートベルト解析の実習にはRIETAN-FPとVESTAが使われます。

今や、実験室系のX線回折装置で測定したデータを用いて有機化合物の未知構造を解析するのは、さほど難しくありません。たしかに選択配向が泣き所ですが、近年の検出器感度の飛躍的な向上により、よほど原子番号の大きな原子を含んでいない限り、Cu Kα1特性X線+デバイ-シェラー光学系での回折実験が十分可能になりました。未知構造解析には放射光が必需品などと思い込まない方がいいです。事実、上記の講習会における実習でも、特性X線を用いる粉末回折装置で測定した2組の強度データを解析するそうです。

RIETAN-FPでは、サイト名を一種のメタデータとして扱うため、多数の結合距離や結合角に一度に抑制条件を課せます。たとえば二重結合の酸素、芳香環中の炭素、四面体配置の炭素というように分類して各サイトを命名しておけば、幾何学的パラメーターの束縛に好都合です。VESTAとの連携を通じた二面角への抑制条件の付加も可能です。一般に抑制条件下でのリートベルト解析では、出発値近傍の局所的な最小値(local minima)に落ち込みやすいですが、RIETAN-FPが具備している共役方向法はその防止に効果的です。したがって、RIETAN-FPは有機化合物のリートベルト解析に非常に適しています。

■ 2009年12月21日(月) 少なくとも自分のMacでは正常に動くことを確認したので、

12月19日に記したようにインストーラとアンインストーラを改善したMac OS X用RIETAN-FP・VENUSパッケージをアップロードしました。

ショートカットキーはユーザーが設定しなければならないのが残念です。しかし、一度キーバインドすれば済みますし、好きなようにカスタマイズできるのも悪くないと思います。それに、Menu MasterがSnow Leopardに対応したら、"on the fly"に設定できるようになります。

■ 2009年12月22日(火) ユーザーからの通報にすぐさま反応

WindowsとMac OS X用RIETAN-FP・VENUSパッケージを更新しました。RIETAN-FP用入力ファイルFapatiteJ.ins中の一行に間違いがあったのを訂正しました。さらに複数のマニュアルを微修正しました。

これは唯一の日本語入力ファイルなので、多くのユーザーがひな形として使うに違いありません。速攻対応したのはそのためです。

■ 2009年12月23日(水) マニュアルは人のためならず

放射光粉末回折データを再解析する必要に迫られ、久しぶりにMac上でRIETAN-FPを動かしてみました。まずは結晶データをVESTAに組み込んだSTRUCTURE TIDYで標準化。RIETAN-2000フォーマットの入力ファイル*.insをRIETAN-FPフォーマットに書き換えた後で、VESTAの*.ins出力機能を利用すべきだったことに気づきましたが、後の祭りでした。

Jedit X上で*.insを少しずつ変更しながらリートベルト解析を繰り返しているうちに、ある機能の使い方をろくに覚えていない自分に気づきました(汗)。すぐさまマクロメニュー中の[Manual]を選び、マニュアルをくくったところ、使用法が懇切丁寧に書かれていました。

要するに、RIETAN-FPはあまりにも機能が豊富なため、ちょっとマイナーな機能を利用しようとすると、その生みの親でさえうろ覚えなのです。マニュアルなしには、にっちもさっちも行きません。詳細を極めたマニュアルは、ユーザーだけでなく自分にも必要不可欠だからこそ、長期間を費やして作成したのだということを、今ごろようやく悟りました。

休日(天皇誕生日)そっちのけで解析に没頭した結果、構造モデルの再構築に成功し、めったに拝めないほど美しいフィットを達成しました。RB、RFとも1 %台 --- リートベルト解析に留まらず、さらに高度な新解析技術の応用へと移行する目処がつきました。

それにしても、自ら解析するなんて、珍しいこともあるもの。天変地異の前兆かもしれません。

■ 2009年12月24日(木) 出版不況の最中ではありますが、

「粉末X線解析の実際」第2版の2刷が早くも出ました。1刷刊行後に見つかった誤りが訂正されています。

本書では、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境についてまったく触れていません。しかし、配付ファイルに同梱されている詳細な日本語マニュアルReadme_macros.pdfとReadme_scpt.pdfを読めば十分です。バッチファイルやシェルスクリプトを直接使用する場合に比べ、はるかに快適かつ効率的に解析を進められるので、同支援環境の利用を強くお薦めします。

■ 2009年12月25日(金) 東工大の植草秀裕氏の話では、

講習会「有機粉末結晶解析 ーー 構造決定からRietveld法まで ーー」は、本掲示板で紹介した20日以降、急に参加申し込みが増え、もうじき定員に達する勢いだそうです。多少なりともこの講習会の宣伝になったことを知り、うれしいです。

有機化合物の未知構造解析が今や粉末回折分野の中心的研究テーマであることに疑いの余地はありません。RIETAN-FPとVESTAを実習で使用することが上記講習会の大きな目玉となっていると植草氏から伺い、光栄に思いました。

■ 2009年12月26日(土) RIETAN-FP v1.71のビルド

12月23日に記した解析の過程で、RIETAN-FにMPFがらみの不具合が見つかり、休日出勤して解決を図りました。Intel Fortran Compiler for Mac OSの最新版がなぜかインストールできなかったため、前バージョンに戻した後、デバッグしました。ほんのちょっとしたケアレスミス(NRFNの数え直しを忘れていた!)が訳の分からないエラーを引き起こしていました。

■ 2009年12月27日(日) 実質、休日ゼロ

この数日、取り組んでいた解析は本日、目論み通りに完了しました。いつでも論文としてまとめられます。

今回の再解析の過程で、かねてからの念願であるREMEDYサイクルの自動化への意欲がにわかに湧いてきました。OpenMPテクノロジーの導入により劇的なスピードアップを果たした次世代MEM解析プログラムもほぼ完成したことですし、来る年末年始の間に、強力なbashシェルとストリームエディタsedが標準で使えるMac OS Xにおいて実現しましょう。重要な仕事は週末や休日に片付けるという悪癖は十数年来、不変です。

■ 2009年12月28日(月) 今年最後のアップデート

WindowsおよびMac OS X用のRIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。変更点は下記の通りです:

  1. NAUTO = 0に設定したMPF解析において、精密化の指標ID(I)を1から0に変えないと、"The coefficient matrix is not positive definite"というメッセージを出して異常終了するという不具合を解決した。これでNAUTO = 0の場合でも、ID(I)の部分をまったく変えずにリートベルト解析からMPF解析に移行できるようになった。
  2. MPF解析におけるID(I)の取り扱いに関するRIETAN-FP_manual.pdf中の記述を改訂した。
  3. Windows用配付ファイル中の実行例FullereneとSorbitolの入力ファイル*.insにおいて、観測構造因子の誤差調節因子SCIOとラグランジュの未定乗数λの初期値を入力するようになっていたので、いずれも削除した(今では*.prfで入力するようになっている)。
  4. Readme_macros.pdf中に、*.prf作成用ダイアログボックスのスクリーンイメージ(図4)を追加した。

ここ1週間ほど取り組んでいたMPF解析の過程で、Mac OS X用VESTAのバグを見つけました。2次元イメージを作画するとき、2D Data Displayウィンドウの右下をマウスでドラッグしてリサイズしないと、イメージが現れませんね。

もう一つ気付いたのが、"(hkl) plane in the bounding box"モードにおいてbounding boxを(100)面でカットした断面を描く際に出くわす不具合です。デフォールトの座標範囲(bounding box=単位胞)のままだと、"Distance from origin"がInterplaner spacing単位で0あるいは1の場合、イメージが表示されないのです。Windows・Linux版にも同じ症状が見られます。修正版の登場を気長にお待ちください。

■ 2009年12月29日(火) 自分の方がよほどダメなように思えてきました

あの無職ヒッキーだめ男が一年ぶりに帰ってきました。この男、身辺の不幸やデイトレード技術の拙劣さをぼやきまくっているにもかかわらず、ついに資産が1億円を超えたのだそうです。言い換えれば、裸一貫から富裕層の仲間入りしたということです。ただ者じゃありません。汗水垂らしてつくったソフトを無償で公開することに喜びを感じているI先生とは大違いです。

不景気風が吹きすさぶ今の世の中では、大金を稼ぎ、多額の税金を正直に納める人こそ一番エラいんだと、心の底から思います。莫大な資産を相続するだけの富豪(たとえば鳩山首相)や税金を湯水のように消費する人じゃありませんよ。アイデアと才覚でお金を儲ける人が実質的に世のため人のためになるんです。多数の人々を雇用しているなら、さらに良し。

だめ男氏は今後、別なブログで普通の日記を書くとのこと。私も本掲示板に愚にもつかぬことをうだうだ書き連ねるのは、いずれ止めたいです。いくら速筆だといっても、ネタ枯れかつマンネリじゃ価値なし。ある程度、脳トレにはなっているんでしょうが。

■ 2009年12月30日(水) 案ずるより産むが易し

REMEDYサイクルを自動化するためのシェルスクリプトMPF.command(12月27日参照)を一気呵成に拵えました。これほどあっさり作れるとは思いも寄りませんでした。これしきのことに長年尻込みしていたとは、我ながら情けない限りです。

リートベルト解析用に使用したフォルダの中にcycle1, cycle2, cycle3, …というサブフォルダを作成し、各サイクルで入出力したファイル(*.ins, *.int, *.bkg, *.fba, *.fosなど)をそれらの下に格納します。芸が細かいのは、各REMEDYサイクル終了後にPRIMAが算出した電子密度分布をVESTAで可視化するところです。それぞれのイメージに異なるタブが割り当てられるため、たとえREMEDYサイクルが進行中でも、すでに表示された3D密度データを相互に比較できます。もちろん、可視化しないというオプションも選べます。

すでに完成度はかなり高いといってよいでしょう。AppleScriptのオブラートで包み、近い将来、PRIMAを次世代MEM解析プログラム(門馬綱一君が鋭意作成中)に置き換えれば、一丁上がりです。

このスクリプトは、GnuWin32のコマンドtee, sed, grepを使えば、容易にWindowsに移植できます。Boot CampでWindows 7を立ち上げるようにしたら、使い初めとして取り組んでみましょう。

■ 2009年12月31日(木) ざっとこんなもんだ!

リートベルト解析と全REMEDYサイクルで得られた信頼度の指標がファイル*.rinに出力されるたびに、Jedit Xが*.rinを再入力・表示するという機能を追加しました。Jedit X内で解析進捗状況を常時モニターできます。

次に、各サイクルで入出力したファイルを収めたフォルダのすべてと*.rinを*.prf中で指定したフォルダに移せるようにしました。σ|Fo|を調節するための因子SCIOを変えて実行した一連のMEM解析結果を保存するのに便利です。

さらに、Jedit X上でMPFを実行するためのマクロMPF.scptを作成しました。もちろん、MPF.commandとMPF.scptの組み合わせはJedit Xの下で動かします。