掲示板バックナンバー


2010年

■ 2010年1月1日(金) 元旦だというのに、相も変わらず…

MPF.commandは*.lst中に"Rwp ="を含む行を複数出力する可能性があるので、パイプでつないだgrepの連続技を繰り出し、解析終了後のRwpを含む行だけ*.rinに出力するよう改善しました。これで、NPRINT = 1やNLESQ = 2にしても支障なくなりました。

■ 2010年1月2日(土) フライングではありますが…

2009年末までにBoot CampをWindows 7に正式対応させるというAppleの発表は、結局、反故にされました。それで意気阻喪するようなオイラではありません。正月早々だというのに、Boot Campを使ってMacBook Pro上で64ビット版Windows 7 Professionalを立ち上げられるようにし始めました。とりたててどうということもなく、順調に完了。ネットにもすぐつながりました。右クリックに相当する操作を二本指によるクリックで実現するためのソフト、Multi-Touch Trackpad Update 1.1 for Windowsを追加インストールしました。

さらに、Windows用キーボード・マウスのエミュレーションソフトAppleK BC for 7/Vista 64bitも導入しました。これは掘り出し物です。

といった操作が可能になるため、MacユーザーがWindowsを併用する際の違和感がかなり減ります。

今のところ深刻なトラブルは発生していませんが、ドライバーが不完全で、タスクバーの右クリックが無効です。そこに不満が残りました。

早速、秀丸エディタ v8.00β33とRIETAN-FP・VENUSパッケージをインストールし、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境上でRIETAN-FPを実行し、正常に動作することを確認しました。PC1台が実質的に2台となり、得をした気分です。いや、MacはUNIXマシンでもありますから、実質3台か。もうWindows機など買う気はしません。

とりあえず、今日はここまで。

■ 2010年1月3日(日) 連続解析技術の応用

温度、圧力、試料の化学組成、解析条件などを少しずつ変えて一連の回折データを測定し、それらすべてを解析するのは、全自動に限ります。昨日までに作成していたMPF.commandを書き換えれば、そのようなデータセットの解析を比較的容易に自動化できます。

今日は、SCIO(整数)を複数指定し、それらのSCIOにおけるMPF解析を自動的に行うためのスクリプトMPF_multi.commandを作成しました。各解析結果(cycle1/, cycle2/, ....., *.rin)は"E"の後ろにSCIOの値が付いた名前のサブフォルダに格納されます。

変化させるパラメーター(温度、圧力、試料の化学組成、解析条件など)ごとにひな形のスクリプトを公開すれば、私以外の人でも使えるでしょう。もっともbashの基礎を知らないと、それらを自分の解析に適合させたり、うまく動かなかったときに対応したりするのは無理です。そういう意味では中・上級者向きのツールです。

実り多き年末年始でしたが、この勤勉さには自分自身が付いていけなくなりつつあります。キツい…

■ 2010年1月4日(月) 無様なコマンド

今日からMPF_multi.commandをWindows用バッチファイルMPF_multi.batに書き換え始めました。bashの場合、コマンドの実行結果を変数に代入するのは実に簡単です。たとえばカレントディレクトリをcurrentdirという変数に入れる場合、

curdir=`pwd`

という単純明快な命令で事が済みます。コマンドプロンプトではどうなのか調べたところ、

for /f "usebackq tokens=*" %%i in (`cd`) do @set curdir=%%i

という垢抜けない命令を使わざるを得ないということがわかりました。ちょうど5倍の長さ。しかもループなんかを使ってる! 中身を理解しようせず、「呪文」を唱える気で使えばよいでしょう。

ここまで進んだところで、門馬綱一君からお年玉、すなわち次世代MEM解析ソフトDysnomiaのアルファ版を受け取りました。VENUSシステムの一部なので、ギリシャ神話の女神の名前を拝借したそうですが、最終的にその通りになるかどうかは未定です。

DysnomiaはOpenMPとFFTを徹底活用したC++プログラムであり、巨大データを扱う場合、メモリー使用量が激減します。マルチコアCPUを装備したPCを使い、反射数数が数100を超えるデータを扱うのにうってつけです。年末年始の間中、PRIMAで解析していたデータがまさにそれに該当するため、早速Mac Proでテストしてみました。予想を超えるスピードアップに驚愕 --- 恐れ入りました、というしかありません。

■ 2010年1月5日(火) えっ、そんなに!

朗報です。門間君が、とあるテクニックの活用により、Linux版Dysnomiaをさらに約2.4倍高速化することに成功しました。

至急、Mac OS X版(64ビットコード)をビルドしてもらいました。シングルダイのクアッドコアCPUを装備したMac Proで走らせるためです。さらに、Dysnomiaが/Applications/RIETAN_VENUSフォルダ中に存在するときは、PRIMAに代わってDysnomiaでMEM解析を実行するよう、MPF_multi.commandを拡張しました。*.fos, *.prf, *.fbaを一切変更せずに実行できます。

MPF_multiを起動すると、複数組のMPF解析(REMEDYサイクル数=3)を猛スピードで片付けて行き、Jedit Xにおいて各MPF解析に一つのタブが割り当てられ、現時点における解析の途中経過が全自動表示されます。MPF_MultiとDysnomiaの組み合わせは「素晴らしい!」の一言です。もうPRIMAには戻れません。

■ 2010年1月6日(水) コマンドプロンプトのショボさゆえに悪戦苦闘

この三日ほどMPF_multi.batの作成に四苦八苦していましたが、今夕、ようやく動くようになりました。コマンドプロンプトには様々な制約が多く、しかもbashと比べて低機能なので、長時間を費やしただけでなく、恐ろしくストレスがたまりました。ループの制御変数がたった一文字なのと、grepの連続実行が不可なのには落胆しました。

RIETAN_VENUSフォルダ内にDysnomia.exeが存在する場合は、PRIMAでなくDysnomiaでMEM解析を行います。Windows用Dysnomiaが出来上がり次第、テストするつもりです。

結構面倒なのが、grepとsed(GnuWin32)の標準出力の行末がCR/LFだったりLFだったりすることです。両者が混在したファイルが生成すると、後でトラブルを引き起こすため、常にCR/LFとなるよう小細工しました。

いまさらPowerShellを覚えるほどの物好きでないので、「不格好なバッチファイルでも、安定に動けばいいじゃん」と開き直るしかありません。

■ 2010年1月7日(木) だいぶ完成度が上がってきました

MPF_multi.commandとMPF_multi.batの細部をブラッシュアップしました。秀丸エディタで解析の途中経過をモニターできるようにし、昨日述べた「小細工」の副作用を実質的に消したほか、MPF_multi.batを起動するための秀丸マクロMPf_multi.macも作成しました。

MPF_multi.commandとMPF_multi.batはいずれも、かなり長くなってきました。従来は、これらに記述した一連の手続きを人間がやっていたのですから、かなり面倒で、しかも手順を間違いやすかったはずです。

Mac OS X用RIETAN-FP・VENUSパッケージのプログラムは、フォルダの絶対パス+ファイル名にスペースが含まれていると、正常に動きません。そのことはReadme_mac.pdfに明記しましたが、訳のわからぬエラーに苦しむ人が出ないよう配慮すべきなのも事実です。フェイルセーフのために、スペースが含まれているぞ、と警告するダイアログボックスが現れるよう、Jedit X用マクロ*.scptの大半を改善しました。

■ 2010年1月8日(金) MPF_multi.commandとMPF_multi.batの改訂を続行

複数のSCIOの値と最大REMEDYサイクル数を*.prf中で入力できるようにしました。サイクル数のデフォールト値は3です。

MPF_multi.batでは、異なるSCIOでの解析データを収めたフォルダを削除・再生するのを止めました。さらに、MPF_multi.batにおいてechoコマンド使用時に余計なスペースを出力していた箇所を修正しました。

後は、Windows版Dysnomiaの登場を待つだけです。

■ 2010年1月9日(土) 讃岐うどん、キャレット、そしてヘッドホン

ここ数年はめっきり出不精になり、外国はもとより、つくばの外に出ることさえ減りました。いずれ香川大を訪問させていただきたい、と同大学の石井先生にお願いしてから、もう何年経ったのかなぁ。本年も行きそびれそうです。こんなことじゃ、リタイアの方が先に来ちゃいます(汗)。

香川といえば、讃岐うどん。そこで、歩いて10分足らずのところにある丸亀製麺に初めて行き、一番安いぶっかけうどんを注文しました。味はまずまず、隣のコンビニで弁当を買うよりはましかな、といったところでした。

「やっぱり、本場のうどんじゃないと」とぼやきつつ自宅に帰り、ただちにMPF_multi.batのブラッシュにとりかかりました。なんとしても、for文中でパイプ入りの複合コマンドを使い、スクラッチファイル抜きで変数に値を代入したい、と切望していたからです。Boot Campで起動したWindows上であれこれ試行錯誤を重ねているうちに、パイプを表す'|'にエスケープ文字を付ける必要があるのではないかと思いつきました。

早速ググってみたところ、私の問いに対する答えがなんと2チャンネルに掲載されていました。便所の落書きも捨てたもんじゃありません。エスケープ文字はキャレット(^)でした! それさえ分かれば、終わったも同然。たとえば、%sample%.prfというファイル中の'#E='という文字列を含む行を見つけ、その行から'#E='を削除して、結果をfindEという変数に代入するとき唱えるべき呪文は、

for /f "usebackq tokens=*" %%e in (`grep "#E=" "%sample%.prf" ^| sed "s/#E=//"`) do @set findE=%%e

となります。もはや、スクラッチファイルなど不要です。

粗食から建設的エネルギーを抽出する力が自分に残っていたんでしょうか(笑)。しかし、なんとも泥臭い命令ですなぁ。

夜になってから、iPod nanoとペアで使っていたヘッドホンが壊れたことに気付きました。このAKG K414Pは3年前に、当時、石井研(!)の学生だった坪井紫乃さんに奨められて買ったものです(2007年10月4日10月7日11月23日参照)。新たなソフトが産声を上げる一方、使い古した電気製品が死亡して、身辺における幸不幸のバランスが保たれた、ということでしょうか。

■ 2010年1月10日(日) これ以上速くなっても、

やはりDysnomiaの御利益はクワッドコアで一段と増しますね。Core 2 DuoのMacでは、PRIMAに比べ約2.6倍のスピードアップに留まりました。もともとPRIMAが速いせいもありますが。iMacにすらネイティブクアッドコアのCore i7が装着される時代ですから、時間のかかる科学技術計算はクワッドコアCPUにおまかせ、でもいいんじゃないですか。

もちろんDysnomiaは、コア数に関してスケーラブルです。今年、市場に投入されるヘキサコアのWestmereなら、申し分ない高速性能を発揮してくれるに違いありません。いずれオクタコアCPUも発表になるでしょう。「Core 2 DuoやCore 2 Quadはもう古い ─ 2010年はCore iシリーズを使いなさい」というのが、インテルのご託宣です。

■ 2010年1月11日(月) コマンドプロンプトにはとことん可愛がられています

バッチファイル中で環境変数%time%を一度参照すると、次回以降は同じ値に固定されてしまうのですが、どうしてなのでしょうか。

仕方なしにGnuWin32のdateコマンドで代行しようとしたら、まともな出力が得られませんでした。長時間奮闘した末わかったのは、引数の+%H:%M:%Sを+%%H:%%M:%%Sにしなければならない、ということでした。

もう一つ。forループの内側ではsetコマンドによって変数に値を代入できません。この問題は未だに未解決です。そもそも、多重ループを使う複雑なバッチファイルなんて書くべきじゃない、というような気がしてきました。

今となっては手遅れですが、Mac OS XにはPythonが含まれていますし、Windows機にPythonをインストールするのは簡単なのですから、MPF_multiはPythonでコーディングすべきでした。自作ソフトはsubprocess.Popenを通じて実行すればいい。なぜそうしなかったんだろう。愚かだなぁ。

年末以降、ぶっ通しで仕事し続けてきた結果、疲労の色が濃いです。ここに書いて(も意味の)ない雑事、私事、気苦労も多いですからね。

■ 2010年1月12日(火) ケアレスミス二つを修正

Mac版RIETAN-FP・VENUSの不具合と誤りのご指摘を受け、Intel_Mac_versions.dmgを更新しました。make_commands.appを最新のmake_commands.scptからコンパイルしたものと差し替え、Readme_mac.pdf中のタイプミスを一箇所、訂正しました。

三連休の間は、ずっとMacBook Pro(2.8 GHz Core 2 Duo)でDysnomiaをテストしていたため、すっかりそのスピードに慣れてしまいました。今日クアッドコアXeonを搭載したMac Proで同じデータを解析し、あまりの速さに度肝を抜かれました。ハイパースレッディング技術を活用し、実質8つのCPUを同時にフル稼働させると、ここまで加速するんだな。おまけに、計算規模が大きくなるとメモリーを大食いするPRIMAに比べ、はるかに小食です。

MacBook Pro上でWindows 7を長時間使って感じたのは、Windows用の2ボタンマウスで操作するに限るということです。トラックパッドではイライラが募る一方です。不要になったマウスを再利用すればいいだけのことです。ドライバーのインストールは必要ありません。

■ 2010年1月13日(水) Precision T5400によるベンチマークテスト

門馬君から64ビット版Windows専用のDysnomiaを受け取りました。ちょうど急ぎの仕事(アブストラクトの作成と論文の査読)が終わったところだったので、Dell Precision T5400(Intel Xeon X5450、8 GBメモリー)上で反射数2529、単位胞分割数128×96×160のデータを対象にベンチマークテストを実施したところ、

という結果が得られました。Dysnomiaの方が4.7倍高速ということです。もちろんPRIMAも64ビット版を使いました。

X5450はデュアルダイ・クワッドコア方式のCPUを搭載していますが、シングルダイ・クワッドコアのXeonをCPUとするMac Pro上でさらにDysnomiaが加速するのは、昨日書き込んだ通りです。Mac Proは同じデータの解析を73 sでやってのけます。ところが、MPF_multi.commandで延々と並列計算を続けると、Mac Proが電源スイッチを切ってくれと悲鳴を上げます。ファンの回転数は上がってないので、CPUが過熱した訳ではなさそうです。安全のためには、MPF_multi.command実行時のMEM解析は最高10回くらいに留めておいた方が無難です。

■ 2010年1月14日(木) 非専門教育、第2弾

香川大学の石井先生(1月9日参照)から、「坪井さんは昨年11月に姓が変わりました」というツッコミが入りました(笑)。

石井先生と相談の上、来年度の適当な時期に香川大で学生に「或ること」を教えることにしました。去年、名工大で「科学英語論文執筆の手引き」講習会を催しましたよね。あれと同様に、粉末回折とはまったく無関係なことを教授するのです。新鮮な気持ちで取り組めます。専門以外の知識も研究や仕事に役立つ、ということを先達から学んでもらいたいです。

教育にそっぽを向き続けてきた自分は、実のところ、教育好きだったんじゃないかなと、この年になって思うようになりました。好きだからこそ一生懸命努力する。すると、専門の方がおろそかになり、実質的にポシャる。そういう事態を恐れていたような気がします。何もかもバランスよくこなしていける、そんなご立派な人と違うもんね。

「そんなご立派な人と違うもん」--- あっ、こりゃ、あの映画のセリフだった。香苗役の上野樹里はまだ16歳。そんな小娘のたわごとをオイラが…(汗)。

■ 2010年1月15日(金) 何もそこまで凝らなくても、

DysnomiaとPRIMAのベンチマークテストではGnu版dateで経過時間を計っていましたが、秒の単位までしかわからないので、ミリ秒の桁までの経過時間を計測するFortranプログラムsecondsを自作しました。もちろんTerminalあるいはコマンドプロンプトで使える汎用コマンドであり、Fortran 90の標準サブルーチンdate_and_timeを利用しています。MPF_multi.commandとMPF_multi.bat中で、MEM解析プログラム実行の前後にsecondsを呼び出せば、2回目に経過時間が標準出力として得られます。

CPU時間でなく経過時間を表示する理由は、マルチコアCPUの場合、全CPUの作動時間の総和がCPU時間になってしまうためです。もちろん経過時間はバックグラウンドで動いているデーモンなどの影響を受け、多少は変動しますが、計算速度の尺度として十分使えます。

余談ですが、Mac OS Xの場合、Terminalウィンドウを隠してしまうと、DysnomiaによるMEM解析の実所要時間が1割近く短縮されます。全サイクルにおけるR因子の画面表示が足を引っ張っているようです。アンチエイリアス処理を止めても、ほとんど影響ありませんでした。一方、Windowsの場合は、コマンドプロンプト窓を隠しても、わずかしか加速しません。この違いはどこから来るのでしょうか。

■ 2010年1月16日(土) 赤毛の縁

石井先生が赤毛(AKG)の死を悼む旧姓坪井さんからのメールを転送してくださいました(深謝)。

赤毛が逝っても、当面は大丈夫です。iPod nano付属の純正イヤフォンでしのげますから。

■ 2010年1月17日(日) 廃物利用の妙味

Boot Camp+Windows 7、すこぶる快調です。1台でMac OS X, UNIX, Windowsがすべて動かせるというのは、本当にありがたい。仮想環境ではないから、なおさらです。Windows 7の壁紙スライドショーは意外と楽しいんだよね。

今や粗大ゴミと化したDell機の付属品だったマウスをMacBook Proにつないで悟ったのは、Mac OS X上でさえ2ボタンマウスの方が快適だということです。おまけにWindows 7の場合と同様に、ドライバもインストールせずに済みました。

ミリ秒の桁までの経過時間が計測可能なMPF_multi.commandとMPF_mult.batを用い、1月13日に書き込んだのと同じベンチマークテストをMacBook Proで実施してみました:

OS、MEMプログラムとも64ビット版で統一しています。Core 2 Duo搭載機にしては意外と健闘してますね。いずれのプログラムもWindows版の方が低速でした。MacでWindowsを動かすというハンデのせいかもしれません。

阪神大震災から早15年経ったのですね。15年前の今日、私はジャカルタ郊外の家に滞在しており、朝のTVニュースで大地震発生を知りました。神戸市街のあちこちで火の手が上がっている様子が映し出されていて、ショックを受けました。神戸大で集中講義を行ったこともありましたし、知人の安否も心配でした。9.11テロ事件は、ミュンヘンで開かれた国際会議のエクスカーション(ノイスバンシュタイン城)からの帰りに、バスの中で知りました。ホテルに戻ってから世界貿易センターに飛行機が突っ込む映像を見て、仰天しました。

外国に出かけると、何か不吉なことが勃発するような気がして落ち着かなくなるのは、そういう過去の体験に根ざしています。

所詮は他人事だろう、と言うなかれ。外国滞在中は、我が身にも災厄は容赦なく降りかかってきました。ジョン・F・ケネディ国際空港では大雪に見舞われ、飛行機の発着が全面停止という事態に遭遇しました。雷を伴う集中豪雨のためオヘア国際空港で一泊したこともあります。モスクワ近郊のホテルでは風呂の水がオーバーフローし、階下の部屋にポタポタ落下。台湾では交通事故に巻き込まれましたし、スーツケースが行方不明になるというトラブルも何度か経験しました。そういえば、グルノーブル駅ではスーツケースを収納したコインロッカーがどうしても開かず、一騒ぎしました。最悪だったのはバルセロナの安宿。バスタブの中でスッテンコロリン、腰をしたたか打っちまいました。その後のドイツ滞在中は、寝返りをうつのさえ苦痛でした。全快するまで、ざっと10日はかかりました。

■ 2010年1月18日(月) Fe2O3ナノ粒子の構造相転移

東大のSakuraiらはメソポーラスシリカを使ってFe2O3の多形(γ, ε, β, α)を系統的に合成し、粒径の増加とともにγ→ε→β→αという順序で相転移することを見出しました:

多相および単相試料のX線リートベルト解析にはRIETAN-FPが使われました。

■ 2010年1月19日(火) Snow Leopard機をハングさせる簡便な方法

MPF_multi.commandでSCIOを変えながらMPF解析を繰り返すとMac OS Xがハングするという障害(1月13日参照)について、腰を据えて調査しました。まず突き止めたのは、Dock中のTerminalウィンドウをマウスで長押しして「隠す」を選び、Terminalにおけるスクロールを止めてしまえば、延々とMPF解析を続けても大丈夫だということです。Dysnomia実行中は、各サイクルにおけるλ、制約条件式の値、R因子が猛烈な勢いで出力され続けます。これがMac Proに過大な負荷を掛けていたようです。

しかし、枯れたOSに立脚したプロ仕様機がハングするなんて、腑に落ちません。「待てよ、何かTerminalの設定がまずいんじゃなかろうか」と思案し、Terminalの環境設定をチェックしたところ、スクロールバッファが「無制限」になっているのが目につきました。これを10000行に変えたら、トラブルはあっさり解消。要するに、Terminalのスクロールバッファがあふれたとたん、OSがハングするという脆弱性に起因する障害だったのです。あー、あほくさ。Snow Leopardは意外とヤワだった! いずれ、この脆弱性につけ込むウィルスをバラまく輩が現れるかもしれない。

忘れないうちに、Readme_mac.pdf中のスクロールバッファに関する文を訂正しておきました。

■ 2010年1月20日(水) なんちゅうこった!

バッチファイルにおけるループ内で環境変数をsetするには、「遅延環境変数の展開」という荒技を繰り出す必要があるということをようやく知りました。また、ループ内からgotoでジャンプするのは禁じ手のようです。

bashスクリプトなら30分で実現できるが、バッチファイルだと二三日かかることすらあります。コマンドプロンプトはあまりにも非力です。面倒くさくて、やってられねぇ。

■ 2010年1月21日(木) 想定外のスピードアップ

「遅延環境変数の展開」なんて無粋なテクニックは敬遠し、新たに自作したconvergeというコマンドでMPF_multi.batにおけるREMEDYサイクルの収束をチェックすることにしました。収束する(Rwpが増える)とREMEDYサイクルのループから抜け出る必要がありますが、昨日記した通り、ループ内からのジャンプは御法度なので、ループ全体をサブルーチン化するという姑息な手段で切り抜けました。サブルーチンからの復帰=ループからの脱出になるという寸法です。

MPF_multi.batを改良し終えたところで、Windows用Dysnomia(64ビット)の改訂版を門馬君から受け取りました。Static linkが不完全だったのが修正されただけでなく、FFT(高速フーリエ変換)とDFT(離散フーリエ変換)の自動選定が可能になりました。なんというグッド・タイミング! すぐさまDell Precision T5400上でのベンチマークテスト(1月13日参照)をやり直したところ、

という経過時間となりました。もちろん、PRIMAの計算時間は不変です。Dysnomiaの方が7.7倍高速であり、前回の4.7倍に比べ計算速度が格段に向上しています。

これで、門馬君と歩調を合わせ、年末から取り組んできたミニプロジェクトがほぼ完結しました。

MPF_multi.batの作成に苦闘したのは、Pythonやbash(Cygwin)のインストールの強制を回避したい、という親切心からでした。しかし、複雑な文字列処理を伴う二重ループを含むスクリプトとなると、非力なコマンドプロンプトには荷が重いです。grepとsedに加え、二つの自作コマンドまで投入せざるを得なかったのはそのためです。MPF_multiをPythonスクリプトとしなかったのは、大げさに言えば、一生の不覚に相違ありません。

■ 2010年1月22日(金) あっさり倍速に

昨日テストしたDysnomiaと同じソースコードからビルドしたMac OS X版を門馬君から受け取りました。Mac Pro上でのベンチマークテストは37 sちょっとで終了。あれっ、以前は73 s(1月13日参照)かかっていたはず。門馬君によれば、アルゴリズムを少々変更しただけだそうです。

ちなみにMacBook Pro+Windows 7での経過時間は100 s程度でした。これまた1月17日の計測値、約163秒よりはるかに短くなっています。Static linkに関する不具合の解消に起因しているのでしょうか。

要するに、Dysnomiaはまだ開発途上なのです。これだけ速いと、もうスピードなんかどうでもいい、という気分になりますね。Dysnomiaには、従来のMEM解析ソフトに比べghostやrippleが現れにくいアルゴリズムが実装されています。高速化よりは、物理的・化学的に意味のある密度分布の決定を重視すべきです。

私の方も、MPF_multi.bat中で呼び出している収束判定ルーチンconvergeをすっきりさせました。、このバッチファイルでは、Rwp.tmpというファイルが存在すれば未収束、存在しなければ収束と判定します。今や前世紀の遺物となったコマンドプロンプトの尻ぬぐいは大変です。Mac OS X用のbashシェルMPF_multi.commandでは、convergeなど必要ありません。

■ 2010年1月23日(土) 「愛のむきだし」

この週末に観るつもりでいたのですが、もうクタクタで、4時間の大作を鑑賞する気力など残っていません。なにしろ、開始30分後(!)にようやくタイトルが現れるそうですから、半端でありません。心してかかるべきです。後倒しにしましょう。

■ 2010年1月24日(日) ついに公開されたBoot Camp 3.1

アップルが昨年末までにリリースすると約束していたBoot Camp更新プログラム 3.1が20日遅れで公開されました。これで安心してMacBook Pro上でWindows 7を使えます。ただちにBoot Camp 3.0を3.1にバージョンアップしました。

ついでに秀丸エディタもv8.00β38にアップデートしておきました。

秀丸エディタ関連の余談を一つ。先日、知人から、エディタ以外のアプリケーションに関連付けられたファイルを素早くエディタで開くにはどうしたらいいのか、と聞かれました。彼女はエディタ以外のアプリケーションに関連付けられたテキストファイル(たとえばバッチファイルやHTMLファイル)や拡張子のないファイルを秀丸エディタで開く機会が多いそうです。秀丸エディタのショートカットへのドラッグ&ドロップは面倒で鬱陶しいと訴えておられました(マウスを引きずる距離が長いと、とくに)。

「それしきのこと、オレに聞くまでもなかろう」と返答したかったです。簡単すぎます。秀丸エディタで

その他 → 動作環境 → 関連付け → スタートメニュー等への登録

で、[コンテキストメニューの直下に「秀丸エディタで開く」を入れる]をチェックするだけです。以後、テキストファイルを右クリックすれば、「秀丸エディタで開く」を選べるようになります。サブメニューまで降りずに済むため、能率的です。Boot CampでWindowsを立ち上げる場合は、Macに2ボタンマウスをつなぐことをお奨めします。

■ 2010年1月25日(月) 昨日の続き:Jedit Xの場合

「あんたの大好きなJedit Xでは同じようなことはできないのかい」と問われるかもしれません。答えは「Yes」です。実質的に同じことがOpenMenu Xの力を借りて実現できます。実は、いつまで待っても一向にSnow Leopardに対応しないFruitMenuには見切りを付け、最近OpenMenu Xに乗り換えちゃいました。

OpenMenu Xでは、テキストファイルを選択した後、コンテキストメニューでなく独自のポップアップメニューを通じてJedit Xを選びます。若かりしころemacsで左手の小指を鍛えた私は、controlキーのダブルタップでメニューをポップアップさせています。Jedit Xにショートカットキー(たとえばommand-J)を割り付ければ、ポップアップメニューすら不要です。もちろん、Jedit X以外のアプリケーションでも、ポップアップメニューに登録できます。

■ 2010年1月26日(火) RIETANという名のもとに

18年前に「愛という名のもとに」というドラマがありましたが、私には「愛」について語る資格などないので、「愛」を「RIETAN」で置き換えてみましょう。愛の神である「VENUS」でも構いません。

年末から一ヶ月ほど、人様が解析済みのデータを何組か集めて再解析したのですが、以前の解析はどれも不完全でした。すなわち再解析では、R因子がかなり下がりました。

世の中では、当方が配付しているソフトを使って、「これはまずい」と顔をしかめたくなるような解析結果が山ほど発表されているんだろうなぁ、と痛感しました。たとえば、精密化するパラメーターの初期値が真の値から離れすぎていて、あっさりlocal minimumに落ち込んだ、という解析は枚挙に暇がないでしょうね。

以前、さる研究集会で民間企業の方がペロブスカイト類縁構造をもつ化合物の放射光粉末回折データのリートベルト解析を報告しているのを眼前で聞いたことがあります。発表者が結晶化学的にあり得ないような構造モデルに基づいて解析していたので、「そのモデルは不自然です」と指摘したところ、R因子が十分低いのだから、これで問題なかろう、という答えが返ってきました。私は唖然とし、真剣に議論する気を失い、口をつぐんでしまいました。

ただでさえ種々の負荷に苦しんでいる私が、自作ソフトのユーザー一人一人を技術指導する余裕などありませんから、結局は「当方は関知せず」、「コントロール不能」、「野放し」、「自己責任」の世界にはまり込んでしまいます。自作ソフトが不完全な解析結果を次から次へと世に送り出しているのです。別にわれわれのソフトに限った話ではありませんが。

もっとも、私はそういう現実から目をそらすことなく、講習会、講演、集中講義、レビュー、書籍などを通じた普及・啓蒙活動に、精一杯励んできましたし、今後も微力を尽くす気でいます。計400ページを超えたRIETAN-FPとVENUSのマニュアルの提供も、もちろんそういった活動の一環です。世間に対しては、そういう実績を免罪符として振りかざし、自己を正当化するしかありません。

放射光や中性子の施設もときどき講習会や講演会を開いていますが、教育やサポートが行き届いているとは言い難いです。高コスト体質の施設がその程度のお気楽行事でお茶を濁しているだけでいいんだろうか、という批判的な目で見ていますが、そういうサムい状況に苦言を呈するのは天に唾するようなもの。「じゃ、あんたがやれば」という事態に直結してますからね。

私の体力・気力には限界がありますから、あれもこれも手を出す訳に行きません。私は千手観音ではないのです。"User support is not my business"という私の見解は、3年前、「自作ソフトのサポート係を務める不幸」と題する駄文を書き散らしたときと毫も変わっていません。

やはり大型施設からサラリーを支給されている人たち(任期制職員も含む)に、もっとがんばってもらうしかないんじゃないかな。巨額の運営費交付金には、そのコストも当然含まれているのですから。時間的余裕がない、マンパワー不足だ、人材がいないと言い張るんだったら、雇用すればいいだけのこと。「データさえ持ち帰れりゃいいんだろ」では、共同利用施設本来の使命と義務を果たせてませんよ。

実際にビームラインで汗水垂らして働いている方々にイチャモンつけてるんじゃありません。どこかから●●りしてきて、■■を取っている▲▲い人に向かってもの申しているだけです。念のために申し添えておきます。

■ 2010年1月27日(水) 自動MPF解析関連のマイナーチェンジ

まだ配布はしませんが、RIETAN-FPをv1.72にアップグレードしました。R因子を小数第3位まで出力するよう改めました。MPF_multi.batとMPF_multi.commandでは、REMEDYサイクルの収束をRwpの増加により判定するためです。さらに'RI'を'RB'に変更し、インテルの最新Fortranコンパイラでビルドしました。

■ 2010年1月28日(木) Cranswick氏の失踪

長くCCP14の前管理人を務めておられたLachlan Cranswick氏(National Research Council of Canada)が先週の火曜日以降、行方不明となり、警察が捜索中です。彼にはオークリッジとブダペストでお会いしたことがあります。過去に数回、IUCrのニュースレターへの寄稿を依頼され、その都度応じてきました。粉末回折関係のソフトウェアについての生き字引といってよいでしょう。ただただ、ご無事を祈るのみです。

■ 2010年1月29日(金) 雲散霧消の可能性

RIETAN-FPやVENUSは業務として開発していますが、私的に配布しています。知的所有権は書籍と同じく著作者にあり、ソースコードを非公開にしようが、無料でバラまこうが、お金を取り立てようが、自分たち(共同研究者を含む)だけで使おうが自由、と心得ています。第三者が口出しする権利はありません。

もっとも「業務として」という表現は正確さを欠いています。VESTAの場合、今年度以前に開発した分(99 %程度?)は純然たる「個人的趣味」の産物です。VESTAの開発が金儲けあるいは外部資金の獲得につながるのなら「趣味と実益」と言えますが、趣味以上でも以下でもないのが現実の姿です。

現在は、MobileMeを利用して雲(クラウド)から地上に向けて自作ソフトを降り注ぐという仕組みを採用していますが、その運営にはコストがかかります。99 %は人件費(私が費やす時間と手間)ですが、MobileMeの年会費も払わなければなりません。その経費は、これまた雲(Google Adsense)から舞い降りてきた広告料で全額まかなうことができ、多少のおつりも残ります。塵も積もれば山となる --- 馬鹿にできません。

MobileMeの安定性、処理能力、使い勝手には少なからず不満を抱いていますが、当WebサイトのURLが変わるのは好ましくないので、ひたすら我慢しています。ただし当サイトをいつまで維持・運営するか、自分自身にもわかりません。ある日突然、消えてなくなる可能性すらあります。そう、私は当サイトを消滅させる自由も保持しているのです。負担を感じ、面倒になったら、さっさと店をたたんじゃいます。もちろん自作ソフトのメンテナンスと配布はなんらかの形で継続しますが。

余談ですが、本日のタイトルを打ち込んでいたら、ATOKは「雲散無償」と誤変換しました。無償(配布)が雲と散る --- その可能性については、否定も肯定もしません。ただ、有償配布には余計なコスト(たとえばユーザーサポート)がかかる上、品質に対する責任も生じます。その負担に対する耐久性はかなり低いんじゃないかなぁ。そうだとすると、有償化は自分で自分の首を絞めるようなもんです。

もっとも、目の玉が飛び出るほどの価格で販売しているにもかかわらず、ろくにサービスを提供しない科学技術計算ソフトも珍しくないようです。多額の血税を注ぎ込まれているにもかかわらず、ユーザーにデータを渡してそれでお終いの放射光・中性子施設(1月26日参照)と同類ってことでしょうか。

■ 2010年1月30日(土) 2日以内に校了せよ、とのお達しにつき、

さる論文誌の3月号に掲載予定のレビューを校正しました。計10ページのうち2ページをカラーにしてくれるそうです。そうと知っていたら、もっと見栄えのするイメージを選んでいたのですが…

■ 2010年1月31日(日) 早咲きの梅がほころび、春の足音が聞こえてくると、

確定申告用の支払い調書や控除証明書がぼちぼち送られてきますが、その都度、3月15日(今年は実質3月12日)という期限を思い出し、軽いプレシャーを感じます。富豪政治家の鳩山兄弟ですら贈与税を払わずにすっとぼけていたのですから、正直に申告するのがアホらしくなります(と言いつつも、真面目に納税しますが)。鳩山家の財政さえ把握できていない男が首相を務めているのは、日本にとって本当に不幸なことだと思います。

そういえば3年間無申告という不祥事が発覚した超ズボラな脳科学者は、相変わらず「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演してるようですね。NHKがこのセンセイの首をただちに切らなかった理由がわかりません。こういうタガの外れた人には、誰かが「納税の流儀」を教え込むべきじゃないでしょうか。

■ 2010年2月1日(月) ちょっと一筋縄では…

Dysnomiaに実装された高速フーリエ変換(FFT)では、結晶格子の分割数として2の累乗だけでなく、3, 4, 5, 7, 11, 13の累乗およびそれらの間の積(複数も可)も許されます。言い換えれば、最適化基数2, 3, 4, 5, 7, 11, 13の累乗に分解できる場合に高速化する混合基数FFTを採用しています。

たとえば、

144 = 24×32
156 = 22×3×13
165 = 3×5×11
175 = 52×7
176 = 24×11
180 = 22×32×5
192 = 24×3×4
198 = 2×32×11

といった具合です。ほとんどの自然数は、上記のように最適化基数の累乗に分解できます。

3桁までの自然数を分解するプログラムを拵えてみたくなり、アルゴリズムを考え始めました。力任せに解を求めるのなら簡単ですが、スマートに処理するとなると、結構難しいです。残念ながら、急ぎの仕事が入ったため、途中で止めざるを得ませんでした。後日、また挑戦しましょう。

■ 2010年2月2日(火) タイムマシンに乗った救世主

RIETAN-FP v1.72(1月27日参照)でR因子を小数第3位まで出力するようにしたら、MPF_multi.batとMPF_multi.commandを改訂する必要に迫られました。ところがMPF_multi.commandを修正しているうちに、誤って無関係な箇所を変更したらしく、立ち往生してしまいました。慌てず騒がず、Time Machineに入ってMPF_multi.commandを数時間前の状態に戻した後、再修正し、あっさり一件落着。

それにしても、MPF_multi.*のペアはよく出来ています。会心作と自負しています。MPF解析ばかりでなく、前座のMEM/リートベルト解析を行う際にも手放せない必須ツールといって過言でありません。

何はともあれ、クラウドサービスEvernoteで、"MPF"というタグの下に6つのnoteとして利用の手引きをメモしておきました。これを再編集すれば、未経験者でもさほど苦労することなくMPF_multi.*を使いこなせるでしょう。ネットを通じてバラまく気は更々ありませんが、いずれどこかのセミナーか講習会の参加者に両者をおみやげとして進呈しようと考えています。要するに、こういう最新の飛び道具は、ちゃんと講習を受けた人にだけ使ってほしい、ということです。野放しにすると、ろくなことはありません。いずれ開催が正式に決まりましたら、ここでお知らせします。

Dysnomiaの高速性能を一度でも享受すると、PRIMAによるMEM解析が亀の歩みのように感じられるのが玉に瑕です。まあ、REMEDYサイクルが回っている間は他の仕事をしていればいいのですから、実害はありませんが。

■ 2010年2月3日(水) VESTAのことを忘れてなんかいません

これまでVESTAは純然たる個人的趣味の産物だと再三再四、強調してきました。1月29日にも、そう言い張ったばかりです。その言辞に嘘偽りはありませんが、半ば公共的なソフト資産とみなされている今、NIMSにおける「業務」として、より積極的な姿勢でVESTAをバージョンアップしていくよう方針転換すべきです。

VESTAに関する文献二つのいずれかを引用した論文(現時点で171報)の筆頭著者のうち、約半数が外国人であり、その割合は徐々に増しつつあります。断じてドメスティックなソフトではありません。これほど国際的に通用している結晶学関連ソフトが、未だかつて我が国にあったでしょうか。寡聞にして存じません。しかし、この勢いをさらに加速させるには、新機能の追加とブラッシュアップが必要不可欠です。この手の3Dグラフィックソフトは手入れを怠っていると、あっさり賞味期限切れになりかねないのです。

我々はDysnomiaやMPF_multiの開発に留まらず、それらと密接に連携して動くVESTAの補強とリファインにも注力し、そのポテンシャルを一層高めていきます。目に見えるところだけでなく、等値曲面作画エンジンも一新する予定です。ご期待ください。

■ 2010年2月4日(木) ゲスト-ホスト材料の構造解析

Steacie Institute for Molecular Sciences (National Research Council Canada)の研究グループは包接水和物中のケージ占有とゲストの分布を直接空間法とリートベルト法により決定しました:

粉末X線回折データからのモデル構築にはFOXが、リートベルト解析にはRIETAN-2000が、構造精密化結果の可視化にはVESTAが使われました。

粉末X線回折データからの未知構造解析用に商用ソフトがいくつか販売されていますが、衝動買いは禁物です。手元不如意の方々(= ボンビーメン)は、それらを購入する前にFOX, EXPO2009, Superflipくらいは試用するようお勧めします。無料ソフト(EXPO2009はアカデミックユーザーに限る)で解けちゃうんだったら、何も高いお金を払って商用ソフトを購入しなくてもいいじゃないですか。もちろん充実したサポートを提供してくれるというのなら、話は別ですが。

なおFOXについては、Kanza-WikiSDPDに詳細な試用報告が掲示されています。無機化合物にも有効なようですね。

■ 2010年2月5日(金) 少なくとも自分にとっては最重要な基幹ソフトウェア

TeXShop v1.30が公開されました。

私は数年前まで、Texturesという商用TeXプログラムを使っていました。フリーソフトウェアであるタイプセット・エンジン(TeX)にGUIを追加しただけなのに、10万円を越していたと記憶しています。PRIMAの英文マニュアルPRIMA.pdfはそれで執筆しました。しかし、インテルMac用のTexturesは未だに発売されていません。この偉大なフリーソフトウェア(TeXShop)には、到底太刀打ちできないからでしょう。

ついでに申し上げておくと、TeXShop(+pTeX)以外の基幹ソフトウェア(科学技術関連以外)はAdobe Illustrator, Intel Compiler (Windows, Mac OS X), Jedit X, 秀丸エディタです。この顔ぶれからわかるように、無料か有料かについては無頓着です。多少高価でも構いません。あくまでパフォーマンス、安定性、持続的進化だけを重視しています。

■ 2010年2月6日(土) RIETANやVENUSの作者として、プログラミングの才に恵まれた人たちに告げたいのは、

先達を厳しく批判し、乗り越えていくのが先達への礼儀だということです。賞味期限が切れかかった中高年でなく、アクティブな若手研究者が当方のプログラムを罵倒し、それらを凌駕する優れものを世に送り出す --- 停滞を憎む私にとって、それはこの上なく喜ばしいことです。

先駆者が茨の道を歩み、後出しする者は舗装道路(ソースコードが手に入るなら高速道路)を車で突っ走るというのは事実ですが、進歩は進歩。年寄りが若者の成し遂げた快挙を素直に褒め讃えるべきです。追い抜いていく者がいない方が、よほど寂しく、つらいのですから。

そういう意味では、門馬綱一君のおかげで老朽化したVICSとVENDがVESTAに、誤差分布の取り扱い、スケーラビリティ、コンカレンシーに改善の余地があったPRIMAがDysnomiaに生まれ変わったのは、望外の慶事でした。

「凌駕する」と言っても、単にGUIの提供やマルチプラットホーム対応といった副次的なことでお茶を濁しているようじゃ、情けないです。他に類を見ない、学術的価値のある機能を具備した国産ソフトを創り上げて頂きたい。そういうソフトが出現したら、本掲示板でぜひ紹介したいです。ご存じでしたら、ぜひ教えてください。

なお、評判の悪い某ソフトのことなら再三耳に入っていますが、言及するに値しない代物をダメ出しするのは時間の浪費、スペースの無駄遣い。無視するに限ります。

■ 2010年2月7日(日) Snow Leopardがカーネルまで64ビット化したといっても、

OS付属品を除けば、64ビットアプリケーションはほとんど見当たりません。64ビット化が急務のように見えるIllustratorやPhotoshopですら、Mac版は未だに32ビットアプリケーションに留まっています。

そこで、Snow Leopard専用64ビットバイナリで公開されているgnuplot v4.5をMacBook Proにインストールしてみました。*.pltをgnuplotコマンドの引数とするか、gnuplotを起動後にload命令で入力することによりグラフがプロットできることを確認しました。本日はここまで。じっくり使い込んでいきましょう。

実は、1年半前にCCDCのソフト開発者から、RIETANのgnuplot用データ出力*.itxをグラフ化する際、リートベルト解析パターンの一部をズームするにはどうしたらいいかを教わったにもかかわらず、これまで放置してきました。そろそろ重い腰を上げて、gnuplotの活用を図ろうかと考えた次第。しかし、やらなければならないことが山積みで、いつ取りかかれるやら見当もつきません。

■ 2010年2月8日(月) 悲しいことに、

忽然と姿を消したLachlan Cranswickは、未だに見つかっていません(1月28日参照)。Ottawa Citizenに彼の失踪に関する記事が出ています。

■ 2010年2月9日(火) 熱心なユーザーからの要望に応えました

鋭意開発中の次世代VESTAとの連携を目指し、シミュレーションモード(NMODE = 1)でもORFFE用入力ファイル*.xyzを出力するようRIETAN-FPを改造しました。バージョン番号は1.72のままです。

まず、*.ins中で全結合距離を出力する201命令を与え、RIETAN-FPにより粉末回折パターンのシミュレーションを行います。次いでORFFEを実行し、その出力ファイル*.ffeを削除した後、ORFFEを再実行すると、全結合角の計算値が追加された*.dstと*.ffeのペアが生成します。便宜上、幾何学的パラメーターの標準偏差はゼロとしています。最初に出力された*.ffeを削除するのは、それがカレントフォルダに存在すると、2回目のORFFE実行時に上書きされないからです(RIETAN-FP_manual.pdf、2.7.3参照)。

*.insあるいは*.lstをVESTAで読み込むと、同一フォルダ中の*.ffeも自動的に入力されます。VESTAのUtilitiesメニューで[Geometrical Parameters]を選べば、*.ffeに記録された結合距離と結合角が通し番号付きでリストアップされます(VESTA_Manual.pdf、12.2参照)。その表中のデータとグラフィックウィンドウ内の原子・結合を双方向で対応づけられるのは、今まで通りです。CIFをVESTAで入力し、粉末回折パターンのシミュレーション(Utilities → Powder Diffraction Pattern)を行った後、ORFFE で結合距離と結合角を計算し、それらを VESTAのグラフィックウィンドウ内で視覚化・確認するといった一連の操作にも使えます。

粉末回折パターンのシミュレーション結果の一つとして原子間距離と結合角の一覧表も得られれば、引き続き実行するリートベルト解析に多少は役立つでしょう。幾何学的パラメーターへの抑制条件の付加にも使えます。

本機能の追加にあたっては、たとえ*.ins中にシミュレーション時のORFFE用入力データが存在しなくても、RIETAN-FPが正常に動くよう工夫しました。*.insのひな形を修正せずに済むためです。

今回追加した新機能はVESTAとの連携に特化した裏技として、隠しておきます。講習会やセミナーの際にでも、参加者に教えれば十分でしょう。5月下旬には、そういう機会が訪れそうです。場所、日時、内容などが正式に決まりましたら、ここでお知らせします。

■ 2010年2月10日(水) どちらかというと

私は金銭感覚が鈍い方なのですが、このままじゃまずいと反省し、2年ほど前から固定費の削減を心がけてきました。たとえば、●●●を■■し固定資産税と都市計画税をカット、ゴールドカードは退会、火災・地震保険と自動車保険は保証内容の縮減、生命保険に至っては払い済みの荒技、といった具合です。経済観念の欠如ゆえに、大分無駄な金を使っていたんだなぁ、と痛感しました。

たとえば、ゴールドカードは頻繁に外国出張していた時期に海外旅行保険目当てで入会しました。外国に出かけるのを避けるようになってからも放置していたのは、怠慢からでした。生命保険(終身)などは、そもそも契約すべきでありませんでした。

いくら節約したところで税金はかかりませんし、金儲けと違って時間も費やしません。そして、その効果は何の努力もなしに持続します。固定費の削減はお金を稼ぐより、よほど経済的な恩恵が大きいです。

残るターゲットのうち、もっとも金食い虫なのが自動車です。これに費やす固定費(税金、駐車料金、車検代、保険料など)に比べたら、ケータイの支払いなんてたかが知れています。今年こそ2台を1台に減らしたい! しかし北極振動のもたらす寒気に音を上げ、年明け以降、連日ボロ車で通勤している始末。この寒空の下ではチャリなんか漕ぐ気にならねぇ、とボヤいているのですから、我ながら軟弱になったもんです。そろそろチャリに乗るようにしないと、このまま惰性で自動車通勤が続きそうな気配です(汗)。

■ 2010年2月11日(木) 建国記念日

今日が祝日だということを昨晩知りました。断じてボケじゃありません。言い訳めきますが、休日と平日の差が少ない生活をしていると、こういうことは珍しくないんですよ。実際、今日も午後はずっと自宅で仕事していました。

Mac用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境の土台となっているJedit XのRev. 2.20がリリースされました。

■ 2010年2月12日(金) 白リュウ石同族体の結晶構造の再解析

DaresburyやESRFで測定した放射光粉末回折データとISISのHRPDで測定したTOF粉末中性子回折データを用い、水熱法で合成されたCs2CuSi5O12 leucite(白リュウ石)の結晶構造が再解析されました:

この論文にはVESTAで作成されたイメージが7つも使われています。VESTAも国際的になったものです。

ヨーロッパで開催された、とある国際会議における基調講演で、私は「偽の極値(false minima)に落ち込んだリートベルト法の解析結果が多数論文として発表されています。」と述べ、そのような解析例としてESRFで測定された放射光粉末回折データの再解析例を示しました(Windows用RIETAN-FPの配付ファイルに含まれています)。上記論文の著者の一人であるFitch博士(ESRF)も私の講演を聴講されていましたが、エクスカーションのときに「確かにあなたの仰る通りです。」と認めておられました。VESTAのような3D可視化ツールを使えば、そのような過ちが多少なりとも減るのではないでしょうか。

といっても、上記の論文中で図示されている5つのリートベルト解析パターンを眺めると、どれもR因子が今一です。世界最高水準の粉末回折装置で測定したデータにしては、ショボすぎる解析結果です。中にはR(F2) = 0.17なんて極悪フィットの解析まで強引に突っ込んでいます。偽の極値以前の問題(たとえば構造モデルの誤り)なのかもしれません。

リートベルト解析にはGSASが使われました。粉末回折データが公開されているので、RIETAN-FPで再々解析したら、R因子が激減するんじゃないでしょうか。技癢を感じます。しかし、そんな悠長かつ無慈悲なことをしている暇はありません。時間に余裕のある方(=暇人)はチャレンジされたら如何。

■ 2010年2月13日(土) 久方ぶりのオリジナル講演

日本セラミックス協会2010年年会で次の口頭発表(3月22日17:30〜, 1J35)を行います:

DysnomiaおよびMPF_Multiの開発とそれらを用いたリン酸塩の静的不規則構造の解析について話します。もっとも、後者は付け足し(蛇足?)に過ぎませんが。

別に意識してそうしている訳ではありませんが、これまでVENUSシステムに関する講演は、なぜか日本セラミックス協会主催の研究集会で発表してきました。VICSとVENDについて初めて講演したのは同協会の2002年年会(関西大)でしたし、VENUSに関する初めての招待講演は同協会の2002年秋季シンポジウム(秋田大)のために依頼されました。また、CD-ROM版「セラミストのためのパソコン講座」には唯一の配付ソフトウェアとしてVENUSシステムが収録され、同CD-ROMが完売になるほどの好評を博しました。「三次元可視化技術のインパクト」ミニシンポジウムも同協会2003年年会(都立大)における催しでした。今回、VENUSの新規メンバーについて講演するのも、何かの縁なのでしょう。私がまだ現役だということをアピールしたいです。

Dysnomiaはぼちぼち連携先に試供品として提供し始めました。放射光と中性子源のユーザーとの共同研究を通じてブラッシュアップし、そのポテンシャルを一層高めていく方針です。Dysnimiaは単結晶・多結晶試料のX線・放射光・中性子・パルス中性子回折データに全方位で適用可能なオールラウンダーを目指して開発しています。現在、某パルス中性子源からの要請に応じ、TOF粉末中性子回折データのMEM解析のソフトウェアと技術一式をライセンス供与するべく準備中ですが、先方の装置群にわれわれのソフトを適合させる作業の過程でもDysnomiaを試用し、その改良に役立てようと目論んでいます。

Dysnomiaをネットで公開する予定はまったくありません。一方、MPF_multiはMEM解析プログラムがPRIMAだろうがDysnomiaだろうが動くため、5月末に開催予定のセミナーの参加者に配付するつもりです。

なお、今回の年会では、ICSDVESTAの利用を通じた教育に関する講演(3月23日13:48〜, 2K010)

があるので、聴講しようと思っています。

■ 2010年2月14日(日) 上澄みと沈殿

Google Analyticsを用いたアクセス解析によれば、2010年における本Webサイトの閲覧者の約73 %がWindowsユーザーであり、そのうち約76 %がWindows XPを使用しています。Windows 7の割合は6 %に過ぎません。

XPはこのように圧倒的多数の利用者を獲得している枯れたOSですが、マイクロソフトは今月9日にXP用月例パッチとして凶器をばらまいてしまいました。死のブルースクリーンを目にした人は、命が縮む思いでしょう。詳しくはCNET Japanでご覧あれ。さては、XPで満足している顧客をWindows 7に移行させるための謀略か、と勘ぐりたくなります。

ABSがらみのプリウスの不具合といい、今回のXPの深刻な障害といい、日米のトップメーカーが主力商品の安全性で醜態をさらけ出しています。恥辱にまみれ、周章狼狽しているという点では、我が国の政治を牛耳っている小沢幹事長と鳩山首相(与謝野氏曰く、平成の脱税王)も同様です。頂点に立つ企業や政治家がこんな体たらくだとすると、中小・零細企業や下々(自分自身も含む)はそれに輪を掛けてダメなのでしょうか? けっしてそんなことはない、と思いたい。しかし、下に沈んでいる顧客や選挙民が愚鈍でいい加減、しかも人を見る目がないから、上が驕り高ぶり、腐敗するって面もあるんじゃないでしょうか。

■ 2010年2月15日(月) 7, 6, 5, 4の悲劇: 生き馬の目を抜く世界

上村愛子が4位に甘んじるしかなかったのは、昨シーズンまでに手の内をさらけ出したからでしょう。我々に喩えれば、ソースコードを公開したに等しい愚挙です。身体能力に優るトップレベルのアスリートは、一年もあれば、先行者を簡単に追い越せるんですよね。世界は広く、上には上がいるのです。

たとえば、最高峰の雑誌(たとえばNature)に論文を投稿すると、レフェリーがこっそり追試をし、その論文が活字になるや否や、もっと洗練された実験結果を発表したなんて裏話はよく聞きます。そのための時間稼ぎに、レフェリーが難癖を付けることもあるようです。油断も隙もあったものではありません。研究者と名の付く者は皆、亡者なのです。自分の名と地位を上げるためには、手柄の横取り、誇大宣伝、自分に都合の悪いことの隠蔽のような、えげつないことでも平気でやりますよ。研究者が紳士かつ人格者だなんて幻想は抱かない方がよろしい。ビジネス、政治、ヤクザの世界と似たようなもんです。

■ 2010年2月16日(火) 降りかかる火の粉をはらう

Windows用とMac OS X用のRIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。

RIETAN-FPをv1.72(1月27日2月9日参照)にバージョンアップしました。5つのマニュアル(RIETAN-FP_manual.pdf, Readme_win.pdf, Readme_macros.pdf, Readme_mac.pdf, Readme_scpt.pdf)を微修正するとともに、Windows用のひな形ファイルsn0020.insとhx5008.insにおけるMEM解析用データSCIOの入力行を削除しました。

昨年8月22日に記したcollinear磁気構造(化学的単位胞≠磁気的単位胞)を早くRIETAN-FP+VESTAで解析できるようにしたいのですが、取りかかろうとするたびに割り込みが入り、なかなか着手できません(忙しすぎる…)。もうアルゴリズムは構築し終えたんですけどね。磁性に興味のない年寄りがなんでこんな七面倒くさいことをやらなきゃならないのか、ってボヤきたくなります。

大体、国産リートベルト解析プログラムへの磁気構造解析機能の追加は中性子散乱研究施設(JAEA, KEK, KURRI, J-PARC)の人たちが率先して取り組むべきことですよ。誰もやろうとしないじゃないですか。情けない連中です。なにしろ、RIETAN-FP_manual.pdf中の式(2.3)によれば、中性子回折における反射Kの積分強度は

と表されるのです(LaTeXiTに感謝)。右辺の第2項を無視しちゃったら、まさに片手落ち。第2項を分離すればよい、なんて稚拙な誤魔化しはド素人相手にしか通用しません。いや、見苦しい言い逃れに過ぎないってことは、誰の目にも明らか、失笑もんじゃないかな。

世界トップクラスのパルス中性子源を建設したからには、collinearなんてケチなことを言わないで、一般的なヤツを可及的速やかに組み込まなきゃ職務怠慢ですよ。後回しは困るなぁ。当面はこのトホホなソフトで我慢しろという無責任かつ投げやりな態度をとる御仁しかいないと、磁性原子を含む物質を扱っているユーザーが不自由するだけでなく、火の粉がこっちに向かって飛んで来ますから。実は、建て増しを重ねた温泉旅館同然のRIETAN-FPは、collinear磁気構造の解析までに留めておかないと、ヤバいんですよ。

■ 2010年2月17日(水) 難産の子が産まれ、心機一転

さる学会誌に掲載予定のレビュー論文を投稿し終え、心のつかえが取れたため、久しぶりにチャリで出勤しました。実はクルマだろうがチャリだろうが、通勤時間(約15分)はあまり変わらないんです。CO2排出量削減のためにも、今後はできるだけクルマに乗らないよう心がけます。

■ 2010年2月18日(木) 往復1時間20分

今日は雪の中を歩いて通勤しました。至って元気です(期間限定)。

■ 2010年2月19日(金) VESTA v2.1.3のリリース

9つのバグフィックスと改良が施され、研究・教育用ソフトとしての品質が向上しています。新たにVASP v5.2形式のファイルに対応しました。

第一世代のVESTAのリファインはこれにてほぼ終了。国際レベルの「勝ち組ソフト」として、次世代VESTAの開発を推進していく所存です。

最近、VESTAはますます国際的に普及しつつあります。飛ぶ鳥を落とす勢いといって過言でありません。University of Bath(イギリス)の研究グループによる論文

では、なんと6つの図すべてがVESTAで描かれています。

■ 2010年2月20日(土) 論文引用Q&A

先日、VENUSに関する文献の引用に関する問い合わせがありました。その際のやりとりを多少修正の上、以下に紹介しておきます。

Q: 解説(レビュー論文)中でVESTAを用いて作成した図を使用する際もVESTAに関する論文を引用する必要がありますか。

A: VENUS License Agreement中の12.3には、"Drawings produced by VESTA may be used in any publications provided that the following article is quoted"と明記されています。解説も"publication"に相違ありませんから、当然引用しなければなりません。全世界のパルス中性子源で測定したデータを使って直接・間接に得たデータの解析(PRIMA)と可視化(VESTA)も規制している(ライセンスの取得が必要)ことをお忘れなく。2月13日にも述べたように、公式ライセンスを供与するパルス中性子源も出てきています。

Q: VESTAに関する論文を引用しないと、なにか祟りがあるのですか。

A: 仮に私が故意あるいは過失による引用ミスに気付いたとしても、抗議もしなければ、罰金も取り立てません。使用禁止の宣告も避けます。人と争うことを嫌い、協調性を重んじる私としては、そんな面倒くさい手荒なことは、やりたくありませんから。せいぜいガス抜きのために、本掲示板でグチるくらいのところでしょう。しかし、そういう過ちを(組織的に)繰り返すようだと、堪忍袋の緒が切れて、何か対抗措置を講ずるかもしれません。

Q: 引用ミスに気づいたら、どうすればよいのですか。

A: 当方に謝罪すれば、水に流します。謝罪する気などない、と開き直るような無法者は二度と使わないでほしい。

Q: その他、文献の引用で注意すべき点は?

A: 研究者って、注意散漫な人が多いですね。なにしろ、RIETAN-2000を利用して得た成果を報告する際に引用すべき論文のボリューム(321-324)を321とする人が、なんと1割強もいるのですから。SCOPUSが「321論文」も別な論文としてカウントしてくれるおかげで、当該論文がNIMS発足以来もっとも引用された論文なのは明らかなため、実害はありませんが。また、RIETAN-FPを使ったのにもかかわらず、上記論文が引用されている例を散見します。マニュアル(RIETAN-FP_manual.pdf)中の9 章やRIETAN-FP・VENUS配布ファイル中の「4. 使用許諾条件および免責」をじっくり読んでいただきたいです。

■ 2010年2月21日(日) Mac用統合TeX環境

今や最重要アプリケーションとして頻用しているTeXShopの新バージョン2.31が公開されました。13もの改良が加えられています。

Boot CampでSnow LeopardとWindows 7を起動可能にしたMacBook Pro、安定に動いてます。もちろんTeXShopもインストールずみです。

■ 2010年2月22日(月) 後の後悔、先に立たず

依然として行方不明のLachlan Cranswickの業績についてLe BailとSwainsonがsdpd Mailing Listで紹介しています。ほとんど「追悼文」といった趣の文章です。そこには、彼が"organizing all kinds of events such as satellite workshops during international congresses and independent events"に貢献したと書かれています。

今、私が深く悔いているのは1年半前に大阪で開催されたIUCr国際会議のために彼が催した企画での招待講演をLachlanから依頼され、にべもなく断ったことです。「粉末X線解析の実際」第2版の編集に集中したかったのだと記憶しています。あまりにも手がかかるため、当時はもう手一杯という心境でした。こうなるとわかっていたら、万難を排して彼の期待に応えたのですが…

■ 2010年2月23日(火) 長期低落傾向の日本

近年、我が国の地盤沈下が多方面で急速に進んでおり、何から何までパッとしないのは気になりますなぁ。すでにIC、薄型テレビ、携帯電話、スポーツでは、韓国に完全に追い越されてしまいました。

経営判断が甘く、決断力に乏しいトヨタのお坊ちゃま社長が米下院の公聴会でボコボコにされ、しかも冬季五輪の女子フィギュアで浅田真央が金メダルを獲得できない(日本の金メダル=ゼロ)ようだと、日本中が意気消沈し、デフレスパイラルからの脱却がますます遠のくような気がします。

ここ数年ほど、大学の教員と話すたびに、最近の学生がいかに無気力で、覇気がなく、プレシャーに弱いかを散々聞かされてきました。そのような脆弱な学生たちが日本の将来を担えるでしょうか。この分だと、科学の分野も韓国の後塵を拝すことになりかねません。そういう羽目にだけは陥らないよう、心から祈っています。

ともあれ人は人、自分は自分。研究者としての「臨終」が刻々と近づいていることは常に意識していますが、わずかに残った力を絞り出し、なんとか死に花を咲かせたいです(実際に咲くかどうかは別として)。

今日は、collinear磁気構造(化学的単位胞≠磁気的単位胞)の解析機能をRIETAN-FPに追加するための下準備に着手しました。まずは、4×4変換マトリックスと3×3基本テンソルを用いる格子定数と座標の変換に関する知識を門馬君から仕入れました。二面角への抑制条件の付加と同様に、VESTAの既存機能の助けを借りれば簡単に実現できそうです。

ところで、またしてもレビューを執筆せざるを得なくなりました。前の二つとの重複は極力避けたいのですが、それが結構難しい。持ちネタには限りがありますからね。引き出しをあさってみましょう。

■ 2010年2月24日(水) 秀丸マクロの参考書

Windows用RIETAN・VENUS統合支援環境は秀丸エディタのマクロからなっています。最近、「秀丸マクロ ポケットレファレンス」(技術評論社)が出版されたので、早速、近所の書店で購入しました。マクロ→マクロヘルプで秀丸マクロに関する情報は得られますが、書籍も座右に置いておくと、なにかと便利です。

Igor Pro 6.0のベータ版v6.20B01が公開されました。ベータ版といっても、多くのバグフィックスも含んでいるので、この際アップデートしておくのも悪くありません。

■ 2010年2月25日(木) 頭の切り替えが大変

昨日は、

を時分割処理しました。

外部との連携(1番目と2番目)はプロデューサーとしての仕事です。異なる装置で測定した放射光・中性子回折データにわれわれのソフトウェアを適用し、その過程で得た情報やノウハウをDysnomiaの開発にフィードバックすると同時に、アウトプットも着々と稼いでいこうという企てです。

3番目の磁気構造解析がらみの作業としては、VESTAのマルチウィンドウを活用した結晶学データ取得をテストしてみました。Good Job well done! VESTAが単なる可視化ソフトに留まらぬ結晶学的ツールだということを再認識しました。

テストの際に参照したマニュアル(VESTA_Manual.pdf)にも感動しました。当該機能実装時に使いたい数式がことごとく記載されているではありませんか。VESTAが国際的ソフトとして好評を博し、結晶学や材料科学ばかりでなく電子状態計算の分野にも利用が広がっているのも、この充実した英文マニュアルあればこそです。

しかし、RIETAN-FPにしろVESTAにしろマニュアルが分厚すぎて、英文添削を業者に依頼する気にもなりません(その経費がバカにならない)。よくもまあ、こんなに長大な文書を書き上げたものです。はたして大丈夫なんでしょうか、推敲を重ねた訳でない英文は。ユーザーの皆様、何かミスや間違いが見つかりましたら、ご一報いただければ幸甚に存じます。何卒よろしくお願いいたします。

■ 2010年2月26日(金) さっぱり意気が上がらぬ日本

2月23日に危惧した通りの結果に終わりました。豊田章男社長は公聴会後の従業員集会で泣きじゃくり、浅田真央はキムヨナに大差をつけられての2位に終わりました。

といっても、彼らはそれぞれの分野で最上階層に属しています。一般社会に目を転じれば、不甲斐ない若者の割合が増えています。国の借金は1000兆円に迫りつつあり、大幅な増税が避けられません。遅かれ早かれ確実に発生する東南海・南海地震は、日本の中核部分に深刻なダメージを与えるでしょう。

要するに、日本の衰退は急ピッチで進んでいるのです。グローバル化が進んでいますから、ドメスティック指向ではシュリンクしていくだけです。研究の世界でも、優秀な外国人をどんどん取り込んでいかないと、人材が枯渇するに違いありません。

この暗い世相の渦中で、己はどう振る舞ったらいいのか。いくら先が短いといっても、膨大な借金を抱え、少子化の進行に苦しみ、ひたすら衰退していく日本を傍観者として横目で眺めている気にはなりません。一昔より前、私は日米欧の中性子源を顔パス(同然)で使いまくっていました。あのころの勇猛果敢な自分に戻りたい。それには、最近取り組み始めたばかりの国際共同研究をぜひとも軌道に乗せ、立派な成果を挙げ、最後の花道とするのが最良の道です。海外への技術流失など意に介しません。科学技術に国境などないのですから。今日も若手研究者二人とともに提携先に送るテスト結果を取り揃え、それらについて詳しく説明したメールを送るのに汗をかきました。

■ 2010年2月27日(土) 国際活動は楽じゃない

朝起きてメールをチェックしたら、昨日提携先に送付したメールが受け取れなかったというメールが届いていました。先方のメールサーバーが受け取りを拒否する拡張子のファイルが添付zipファイルに含まれていたとのことです。ああ、面倒くさい。しかしすぐ気を取り直して休日出勤し、ブロックされたファイルを削除するとともに、メールを書き直し、再送しました。そうしたら、自宅でメールを受け取ったという返事がすぐに来ました。私が要求したデータも添付されていました。

よくよく考えると、先方はガチガチにセキュリティーを固めるべき性格の国家基幹組織なんですね。なにしろ、●●と■■に○○された□□はそこで▲▲されたくらいですから。なるほど。

恐らく先方は私のメールを読んで、日本にもこれほど■■■●●●●●に詳しい男がいたのか、と驚いたと思いますよ。なにしろ、わが国におけるその分野における草分けですから、年季が入っています。

■ 2010年2月28日(日) チリの地震

というと、鬼才クライストの代表作「チリの地震」のタイトルそのままじゃないですか。同じくクライストの「サント・ドミンゴ島の婚約」と並びドイツ文学史上屈指の名作です。

■ 2010年3月1日(月) ダメな会社の轍を踏まぬようにせねば

ここのところ、国際共同研究の相手先が次から次へと長文のメールを送ってきます。週末はその対応に大童でした。といっても、私はあっという間にメールを書き上げ、速やかに返答しています。長年の鍛錬の結果、英文を書くスピードは日本人離れしています。そして、メールの中身は極めてstraightforwardで、ファジーなところが微塵もありません。仮に当方のソフトに不具合が見つかれば、率直に誤りを認め、即座に修正するつもりでいます。

プリウスやカローラなどの不具合に関する苦情に対するトヨタのレスポンスの鈍さと顧客軽視の姿勢ゆえに、日本の会社や日本人に対する悪いイメージが広がりつつあるのではないでしょうか。迅速なレスポンスには「そんな会社とオイラを同一視しないでくれ!」という心がこめられています。大体、裏でこっそり油圧・回生ブレーキ制御プログラムを手直ししておいて、「フィーリングの問題です」とゴーマンかますなんて、ずるいよなぁ。

先方にVESTAによる熱振動と密度分布の3D可視化について教えたところ、早速試用したそうで、"Congratulations to this great software!"と褒めてくれました。VESTAはさらなる進化を目指し、メジャーバージョンアップの最中です。抜本的に改造するため、別系統のソフトとして現バージョンから切り離して開発を進めています。次世代版が完成した暁には、感動の渦を巻き起こすと確信しています。結晶学的側面や科学教育を重視する姿勢に変わりはありません。

VESTAがいかに広く普及したかをデータベースの検索結果で示しましょう。我々がVESTAに関する論文(Momma and Izumi, 2008)を発表したとき、門馬綱一君は東北大の学生(D3)でした。SCOPUSによれば、筆頭著者の所属が東北大である全原著論文(2008年以降)のうち、被引用数で首位に立っているのはVESTAについての論文なのです。Physical Sciencesばかりでなく、Life Sciences, Health Sciences, Social Sciences & Humanitiesなど全領域の原著論文の頂点に君臨しているんですよ。物質・材料研究機構の研究者が2008年以降に発表した全原著論文においても、当該論文はトップの地位を占めています。場外ホームラン論文と言ってよいでしょう。

我々がVESTAのメジャー・バージョンアップを急いでいるのは、伊達や酔狂でなく、その波及効果と有効性を定量的かつ客観的に評価した結果に基づいているのです。

■ 2010年3月2日(火) これでもか、これでもかのスコーパス地獄

SCOPUSのアラートにより、RIETAN-94を作成していたころリートベルト解析を手ほどきした金 容日氏が共著者となっている論文を知りました。

放射光粉末回折データのリートベルト解析とMEMによる電子密度分布の可視化にはRIETAN-FPとVESTAが使われたと書かれています。おそらく金氏が解析したのでしょう。

私は学ぶ意欲が十分あり、約束(契約)を守る人には、国籍を問わず、何もかも教え、与えてきました(ソースコードは別として)。今後もその方針に変わりはありません。RIETAN-FPやVESTAのマニュアルを見ればわかるように、英文のドキュメンテーションならお手の物ですから、3D可視化やパルス中性子に関するものも含め、今後、我々のソフトや技術はどんどん海外に流れていくと予想されます。今やソニーやパナソニックがサムスンの後塵を拝しているのも、元をただせば技術流出のせいでしょう。私は別にビジネスに携わっている訳じゃありませんし、ドメスティックな存在としてシュリンクする気も更々ないので、「ガラパゴス化は真っ平ごめん。技術の海外移転、大いに結構」というスタンスで臨みます。バガボンのパパ同様、「それでいいのだ!」と言ってはばかりません。

おっと違った、「引用すればいいのだ!」or「契約すればいいのだ!」だった。引用もしなければ、契約もしないというような泥棒猫は蹴散らすだけのことです。

ところで、私はRIETAN-2000/FPとVESTAに関する論文三つが引用されるたびに、SCOPUSのアラートがメールで送られてくるよう設定しています。確かに情報収集には便利ですし、こうやって掲示板のネタに使えるのもありがたいですが、FrequencyをDailyと指定したため、かなりひんぱんに通知が届きます。三報ごとにメールが届くため、仕事に集中している時は気が散って仕方ありません。Monthlyに変えるか、それともいっそMy Alertsを止めてしまうか、迷っています。

■ 2010年3月3日(水) 冷却の必要性

国際共同研究の相手先が解析途上の結果に狂喜し、興奮しまくっています。過熱状態といってよいでしょう。長文のメールが一日に何通も届き、レスポンスが大変。技術移転までも急かされています。

一方、「交渉人」たる私は冷静そのものです。「そうあわてんなよ」といった心持ち。研究のことより、次の週末までに片付けたい確定申告の方を気にかけている始末です(なにしろ鳩山首相のアレのせいで、納税意欲の低下が著しいもんで)。この温度差を利用して発電ができるんじゃないかな。

技術移転だったら、直接、面と向かって口頭で説明するのが一番楽です。行ったことがないところだったら喜んでそうしますが、諸国漫遊していたころ訪問したことがあるからなぁ。さっぱり、その気が起きません。

今回の共同研究のテーマについては、彼我の技術力と知識の差は歴然としています。しかし、技術移転したとたんに同列となってしまいます。われわれがこれまで長年を費やして磨きをかけてきた技術(ソフトを含む)と先方の充実した設備・回折装置・周辺装置とを組み合わせて、次から次へとアウトプットが出るでしょう。当方の先端技術が国際的に評価されるのは誠に喜ばしいことですが、己の年を考えると、遅きに失したという感は否めません。先方も、私ともっと早くコンタクトすべきだったと悔いておられました。

■ 2010年3月4日(木) メールを通じた技術指導と交渉

結局、昨日、提携先に送付したメール(もちろん英文。しかも結構長いのが多い)は10通に達していました。今日も同じくらい送ることになるのでしょう。どれも短時間で書き殴ったものですが、その内容は様々で、私のscientist、educationist, producer, tough negotiatorとしての側面が如実に窺えるものです。サイトライセンスの内容を通告したメールでは、ドライかつ現実的な姿勢と日本人離れした押しの強さを顕わにしています。Educationistとしての面目を見せた箇所は一般の方々にも役立つ情報なので、ここで公開したいくらいですが、相手があることですから、控えておきましょう。

少々疲れてきました。どうも体調がよくありません。

■ 2010年3月5日(金) 相関係数ほとんどゼロ

研究を除いたら何も残らないという寂しい人間にだけはなりたくありません。仕事一辺倒はカッコ悪い!それで近年、NIMSから退いた後のことも考え、●●●●にかなり注力してきましたが、ここに来て、その成果がじわじわ出てきています。

仕事と関係ないことにも関心を持ち、少しずつ知識を仕入れ、自分なりのアイデアを実践していくのは、社会とつながっている人間としてのバランス感覚を養うのに役立ちますし、脳トレにもなります。飽き飽きするまで、コツコツ続けたいと思います。

■ 2010年3月6日(土) 癒着の構図

理研 → 高輝度光科学研究センター → スプリングエイトサービスという順にSPring-8関連業務(の一部)を丸投げしていけば、自ずと天下り役人、利害関係者、賞味期限切れの定年退職者用の受け皿ポストも増えるという単純な仕組みです。もちろん、こういう階層構造のために発生する余計なコストには文科省からの運営費交付金が当てられます。

しかし、SPring-8に対する事業仕分けがとうに終わった時点で大々的に報道しても、手遅れだよなぁ。

TeXShop v2.33がリリースされました。

■ 2010年3月7日(日) 責任転嫁?

昨日の午後、嫌々ながら確定申告書を作成し始めました。しかし、贈与税逃れに走った鳩山家(1月31日参照)やら、スプリングエイトサービスで高給をゲットしている天下り役人(3月6日参照)やらが脳裏に浮かび、作業に集中できませんでした。その結果、書き損じた箇所が多数発生。こんなザマでは市役所に申告書を取りに行って、書き直さざるを得ません。本当に罪作りな連中です(人のせいにするな!)。

■ 2010年3月8日(月) 一般論は控えめに --- 一味違うセミナー

5月28日(金)に開催される

についてのお知らせを講演と講習のWebページで掲示しました。

これまで幾度となく粉末回折について講義してきましたが、たいていは解析技術全般の一般的な説明止まりでした。「活用術」というタイトルが物語っているように、今回は、RIETAN-FPやVENUSの具体的な使い方に踏み込んだ、実際の解析に直接役立つ話に方向転換しようと目論んでいます。MPF_multiや「科学英語論文執筆の手引き」(昨年11月17日に名工大で開いた講習会のテキストを修正したもの)を配付するのも、その一環です。「粉末X線解析の実際」第2版には書かれていないものの、実際に粉末回折データを測定・解析する上で心得ておくべきことにできるだけ言及するよう心がけます。

放射光や中性子の施設の関係者は自分たちに都合の悪いことには口をつぐむのが常です。接客業という側面がありますからね。その類のこともオブラートに包まず、ストレートに語るつもりです。といっても、一昨日書き込んだような臭気芬々たる俗事ではなく、アカデミックな事柄に限定します(笑)。

同セミナーの準備段階で、何について話そうとするのかを本掲示板を通じてポツリポツリ伝えていこうと思います。

■ 2010年3月9日(火) とある理由から、

Mac OS X用RIETAN-VENUSシステムの配布ファイルを更新しました。RIETAN-FPをIntel Fortran Compilerの最新版v11.1 Update 5で再ビルドするとともに、Readme_scpt.pdfを微修正しました。

■ 2010年3月10日(水) バカ丸出し

「41歳母、中3娘らと公衆電話機丸ごと盗む」というニュースには、思わずのけぞりました。今や、ホームレスやI先生でさえケータイをもってる時代です。公衆電話の中のコインを盗んだって、大した稼ぎになる訳ありません。

「住職が自分の寺に放火、前日3億円の保険」ってのにも呆れ果てました。火災保険に入った上、徳川家光や吉宗の押印のある朱印状9通などを入れた荷物約60箱分を妻の実家に運び出していたんだそうです。いずれも前日にですよ(笑)。しかも借金まみれだというのですから、保険会社が黙ってはいないでしょう。

「平成の脱税王」も迂闊としか言いようがありません。富豪かつ首相の政治資金や税金なんて、反対勢力やマスコミが目を付けるのに決まっています。内閣支持率が35%を切るのは時間の問題でしょう。

■ 2010年3月11日(木) どこでもドア(ドラえもん)ならぬ

どこでもJedit製品版が公開されました。ちょっと試用した後、購入しました。種々のアプリケーションでoptionキーをダブルクリックすると、コピーやペーストなしにJedit Xで編集し、書き戻せるという気の利いたユーティリティです。

Charge flipping法プログラムSuperflipのWebサイトがここに移りました。

LaTeXiT v2.1.1とGraphicConverter v6.7がリリースされました。

■ 2010年3月12日(金) またしてもTime Machineに入って…

自作ソフトを配付していると、テストのために自らインストーラを実行することがよくあります。当然、既存フォルダを重ね書きしますが、その際、未配布のファイルが失われてしまいます。Dysnomia関係のファイルがその例です。

今日もTime Machineで2月中旬にさかのぼり、MPF_multi.commandとMPF_multi.scptを取り戻して来ました。Dysnomiaそのものも消失していたので、門馬君に最新版をビルドしてもらい、インストールし直しました。TOF中性子回折データなどの解析を通じて判明した不具合が直っています。

■ 2010年3月13日(土) またしても

VESTAで作成した図がPowder Diffr.誌(Vol. 25, No. 1)の表紙に採用されました。こういうカラーマップした3次元図はなかなか見栄えがします。

なお、Gnuplotでも"set pm3d"というコマンドを入力すれば、同様の図が描けます。

■ 2010年3月14日(日) 見え透いたおためごかし

「おためごかし」って言葉をご存じですか。「表面は相手のためになるように見せかけて、実は自分の利益をはかること」(広辞苑)という意味です。

卑近な例を挙げましょう。近年、銀行は優良な貸出先の不足に苦しんでおり、預金はあまり歓迎していません。むしろ割高な手数料(為替手数料を含む)や信託報酬などを稼げる金融商品へと顧客を誘導しようと躍起になっています。銀行が推奨するのは、利益率の高い外貨預金、投資信託、個人年金保険(変額保険)、ソブリン債といったところです。株価低落や為替変動のリスクは顧客にすべて押しつけ、顧客でなく銀行が確実に儲かる商品を売りつけようとするのですから、おためごかしそのものです。

銀行が売っている金融商品に手を出すのは、資産運用に暗いド素人と相場が決まっています。銀行の言うなりになった中高年が、リーマンショック後に到来した大不況で深手を負ったのは言うまでもありません。銀行で買ってもいいのは個人向け国債くらいでしょう(手数料が少ないので、販売に消極的ですが)。

銀行に新たな口座を開設したとしましょう。必ずと言っていいほど、年会費無料のクレジットカードに入会しませんか、と勧誘されますよ。こちらには貧困ビジネス用の罠が仕掛けてあります。目当ては、リボ払い、分割払い、キャッシングに手を出す貧乏人が支払う高利の利息です。

国や地方公共団体が放射光や中性子の産業利用を熱心に呼びかけているのにも、おためごかし的面が多分にあるということは、2008年12月29日に書き散らした通りです。民間企業の方がそう指摘しているのですから、間違いありません。

施設側による実験以外のサポートが無きに等しいこと、放射光・中性子ビームの高度利用を担える人材の確保、人件費、出張旅費などまで考慮したら、それらが企業の利益に直結するとは到底思えません。他の追随を許さぬ画期的な工業製品を発明し、先端技術を熟成させ、実用化・商品化するのが企業にとって一義的な仕事なのです。放射光や中性子を用いるキャラクタリゼーションは、その過程での副次的研究手段の一つに過ぎないということを肝に銘じるべきです。目的と手段をはき違えてはなりません。

もっとも、利に聡い民間企業がそれら高コスト体質の大型施設のビジネスモデルに基づいた「大本営発表」を鵜呑みにするほど愚かとは思いませんが。こうした、みせかけを良くしたがる施設は必要に応じて、ほどほどに使っていくのが賢明です。

■ 2010年3月15日(月) Microsoft Security Essentials

Windows 7機(Precision T5400)にはMicrosoft Security Essentialsをインストールしてあります。カスタムスキャンを選べば、スキャンするフォルダを指定できます。「Microsoft Security Essentials を使用すると、ウイルス、スパイウェア、およびその他の悪意のあるソフトウェアから自宅のPCをリアルタイムで保護できます。」という文言が事実だとすると、市販のWindows用ウィルス対策ソフトはもはや不要なのでしょうか。その辺がよくわかりません。

ちょっとネットで調べたところ、「MS無料ウイルス対策ソフトでできること、できないこと」という記事が見つかりました。「最低レベルの保護を実現するための限定的な対策」とのことです。Windows上でメールをやりとりすることは絶対ありませんし、ブラウザも必要最小限しか使わないので、これで十分ではないでしょうか。

ちなみに自作ソフトの配付ファイルは、常にVirusBarrier X5でスキャンしてから、アップロードしています。

■ 2010年3月16日(火) 比較的楽に書き上げられそうな原稿

内々に打診されていた某学会誌へのレビュー執筆の正式依頼メールが届きました。現在、印刷中のレビュー二つとの重複を避けた内容を提案。深刻なネタ不足に喘ぐ本掲示板と異なり、研究成果の方には、手垢の付いていない話題を収納した引き出しがまだ残っています。

■ 2010年3月17日(水) 少なくとも40分はかかる内容を15分で…

日本セラミックス協会年会での講演(2月13日参照)に使うPDFファイルがほぼ完成しました。最後にSr9In(PO4)7の放射光粉末回折データのMEM解析について、Mac Proでのベンチマークテストの結果を記しておこうと思い立ちました。単位胞の分割数、反射の数がいずれも大きく、FFTの威力を味わえるMEM解析です。

まずはDysnomiaで解析。30.6 sで計算が終わりました。同じデータをPRIMAで解析したところ、171.9 sかかりました。Dysnomiaの方が5.6倍速いという結果は、まあそんなもんかな、といった印象です。

一方、MEMで求めた構造因子をフィードバックした全回折パターンフィッティング(初回のREMEDYサイクル)におけるR因子は、Rwpは、5.108 % (Dysnomia) → 5.121 % (PRIMA)というように、PRIMAを用いた解析で若干悪化しています。RBとRFについても同様です。このようなR因子の変化の理由まで説明している時間などありません(汗)。表に出さないことにしました。

Dysnomiaの使用により計算が劇的にスピードアップしたばかりか、フィットまで改善 --- もうPRIMAの時代は去ったという感が強いです。お疲れ様でした。

なお、タイトルの直後に現れるVENUSシステムの概要を説明するためのスライドには、門馬君が鋭意開発中の次世代版VESTAの主要新機能5つが付記してあります(まったく言及しませんが)。その中に意表を突いたヤツが一つ混ざっていますので、来聴者は楽しみにしていてください。

■ 2010年3月18日(木) 昨日、PRIMAの労をねぎらったばかりですが、

PRIMAによる解析結果を報告するとき引用文献に含めるようお願いしているレビュー論文

がついに100回引用されました。SCOPUSを使えば、書籍に収録されたレビューの被引用数を間接的に調べられます。

MEM解析のソフトウェアは規模が小さく、アルゴリズムも単純で、比較的容易に作成できます。事実、PRIMAは驚くほど短期間で完成しました。VICS+VENDのおまけという意識が強かったのは否めません。

当時は経済的困窮が甚だしく、Rubenをいつまで雇用できるかわからないような状況で、浮き足立っていました。PRIMAに関する論文を投稿する余裕などないくらい精神的に追い詰められていたため、上記レビューにPRIMAで採用したアルゴリズムを記述することでお茶を濁しました。後日これほどPRIMAが普及すると知っていたら、一も二もなく論文を投稿していたでしょう。

計算速度やドキュメンテーションなど二の次、三の次、とにかく情報エントロピーを最大とする解が得られさえすればいいのなら、MEM解析ソフトは学生でも作れますよ。だから、被引用数が大台に乗ったからといって、格別の喜びは感じません。「あっ、そう」ってくらいのところです。

■ 2010年3月19日(金) 冥土の土産?

RADIOISOTOPES誌に連載中の講座「中性子回折の基礎と応用」のために執筆したレビュー

が活字になりました。(粉末)回折における未解決の問題についてストレートに述べた箇所(3・4項)があるのですが、無修正で掲載されました。とくに高Q領域のデータを測定できるパルス中性子回折で構造解析結果の確度と精度を悪化させる、厄介な物理現象です。粉末回折の分野では、精密解析の前に立ちはだかる、この障害が無視され続けてきました。今回の記述が、現状の解析技術の限度をわきまえないユーザーにラチェット効果を発揮することを願ってやみません。

この連載終了後に同講座は単行本として刊行される予定です。VENUSシステムはおろか、まだRIETAN-98すら影も形もなかった13年前、同様な講座が同誌に連載され、2年後に「中性子による計測と利用」という書籍(丸善)として上梓されました。その際、私は高温超伝導体の構造解析に関するレビューを執筆しました。アルゴンヌ国立研との共同研究の成果(たとえば圧力誘起構造変化)などを紹介したと記憶しています。前回の執筆陣は、今回ほとんど残っていない模様です。同誌の編集者は「前回の執筆者に今回もお願いするとは…」と、絶句されていました(笑)。こうしてしぶとく生き残っているご老体は、そろそろ後進に道を譲り、表舞台から去るべきではないでしょうか。

■ 2010年3月20日(土) ソフトウェア更新二つ

もっとも重宝しているクラウドサービスEvernoteの日本語版の提供が始まりました(INTERNET Watch)。早速、これまで使っていた英語版と差し替えました。もっとも、メニューやダイアログボックスが日本語化しただけのことで、以前から日本語を入力できましたが。

現時点におけるノート数は101に達しており、少しずつ増えています。ほとんどすべてが備忘録です。

3月13日にGnuplot v4.4.0正式版がリリースされていました。一方、Snow Leopard専用64ビットバイナリで翌日リリースされたGnuplotの方はv4.5先走り版となっています。

昨晩、金曜ロードショー「スパイダーマン3」を後半だけ観ましたが、MJの声優が北乃きいだったのにはガクッとなりました。

■ 2010年3月21日(日) いよいよネタが尽きてきたところにSCOPUSのMy Alertsから恒例の助け船

昨年9月6日にRIETAN-2000(Mater. Sci. Forum)とRIETAN-FP(Solid State Phenom.)を利用して得た結果を報告する際に引用すべき二つの論文の被引用数が1,000の大台に乗ったと報告してから、半年余り。次の一里塚1,100にあっさり到達しました。

2007年1月20日の掲示板を読むと、2006年末の時点で、私は被引用数1,000を達成するのに4、5年はかかると踏んでいたことがわかります。過小評価でした。この勢いだと、RIETAN-FPの命脈が尽きるまでに次の大台2,000を越すのも夢ではありません。といっても、その前に(以下略)

■ 2010年3月22日(月) 今日、明日と

日本セラミックス協会2010年年会に参加します。私の講演(1J35)は22日の17:30からです。

■ 2010年3月23日(火) 年会に二日間参加し、帰宅

私にとって研究集会はビジネスの場にほかならず、当然ながら、宣伝マン兼営業マンとして振る舞います。今回の年会も例外でありませんが、首尾がどうだったか(商談をまとめてきたか)をここに記すのは控えておきましょう。

■ 2010年3月24日(水) 投影モードに関する記述の追加

VESTAのマニュアルを更新しました。6.2.1に基本テンソルを含む変換式を追加しました。さらに、2D Data Display(13章)におけるProject along [hkl] axis("axis"というよりは"direction"ですが)モードが説明不足だったので、くどいくらい丁寧に追記しました。指定範囲にわたり2次元平面へ密度を投影すると、しばしば特定の原子の分布が理解しやすくなります。この機能がもっと利用されることを願って改訂しました。

日本セラミックス協会2010年年会での口頭・ポスター発表では、VESTAで作成したと覚しきイメージがあちこちで使われているのが目につきました。結晶構造を示すための超定番ソフトとして日本中の大学で活用されています。光栄の至りです。

RADIOISOTOPES誌掲載のレビュー(3月19日参照)のPDFファイルが日本アイソトープ協会から送られてきました。ご所望の方にはメール添付にてお送りしますので、私にメールでご請求ください。

■ 2010年3月25日(木) Mac OS X用統合システムメニュー環境

OpenMenu X Rev. 2.04が公開されました。

秀丸エディタβ版の会議室に「ずいぶん長いことβをしていますが、ほぼこの状態で正式にしようと思います。」と書かれていました。

■ 2010年3月26日(金) 矢印: 磁気モーメントと原子変位以外の用途

VESTAで作成したイメージをふんだんに取り入れた論文

のPDFファイルを野口祐二氏(東大)からお送り頂きました。Editors' SuggestionによりHighlighted Articleに選定されたとのこと、おめでとうございます。我がことのように嬉しいです。VESTAでは各原子に矢印を付けられますが、上の論文では、強誘電体の自発分極ベクトルを表すためにその機能を活用しています。

野口氏は、何年にもわたる努力の末、格子欠陥を最小限に減らした高品質の単結晶を酸素気流中で育成するテクニックを確立されたそうです。上記論文もその自主開発技術の産物です。希少金属の鉱脈を掘り当てたようなもので、今後、成果が続々と挙がるに違いありません。

■ 2010年3月27日(土) 情けは人のためならず

TOF粉末中性子回折データを用いたMEM解析における前処理のための英文チュートリアルをほぼ書き上げました。後はスクリーンキャプチャしたイメージをいくつか挿入するだけです。

こういうふうにキーポイントを明記したドキュメントを作成しておかないと、細かい点をすぐ忘れてしまいます。VENUSのライセンスの提供先に解析テクニックとノウハウのすべてを教えるために作成したのですが、自分自身のためにも役立ちます。

今晩、NHK TVの「春うた2010」で観た(聴いた)水樹奈々、スゴかったです(何が?)。

■ 2010年3月28日(日) 科学に国境はないはずですが

今日も、暇をみてはチュートリアルを書き足しました。明日までに書き上げるつもりです。

国産科学技術ソフトがなかなか国際的に普及しない理由の一つとして、詳細な英文ドキュメントが提供されていないことが挙げられます。島国根性が抜けていない我が国では、プログラムの製作者が長文の英文マニュアルの執筆を敬遠し、ユーザーも日本語文書を欲しがるという悪い風潮が幅をきかしています。当然、ドメスティックなソフトとして東洋の島国に局在化することになります。惜しんでも余りあることです。

授業も日本語なら教科書も日本語、ソフトウェアに至ってはメニューやダイアログまで日本語化しないと承知しないという鎖国状態では、国際化は一向に進みません。こうした状況を打破するには、充実した英文マニュアルのないようなローカル指向の科学技術ソフトは相手にしないくらいの厳しい接し方が必要なのではないでしょうか。

■ 2010年3月29日(月) すみません、またしてもこのネタです(汗)

VESTAに関するレビュー

と論文

の被引用数がそれぞれ59(Google Scholar調べ)と142(Web of Knowledge調べ)となり、合計(201)が200を突破しました。

論文の方は、2008年にJ. Appl. Crystallogr.に掲載された全論文、物質・材料研究機構の研究者が2008年に発表した全論文のうち、被引用数でトップを走っています。特筆大書すべきなのは、2008年刊行のJ. Appl. Crystallogr.にはCCDCの有機結晶構造可視化プログラムMercury CSD 2.0に関する論文(被引用数:114)も掲載されていることです。VESTAがこの著名ソフトに大差をつけて首位に立っているのを誇りに思います。

最近、VESTAの普及にますます拍車がかかっていることから、本論文単独の被引用数が200を越す日はそう遠くないでしょう。

ちなみに、RIETAN-FPを利用して得た成果を発表する際、引用すべき論文

は物質・材料研究機構の研究者が2007年に発表した全論文(レビューを除く)のうち、被引用数で2位に躍り出ました。RIETAN-2000のメンテナンス・配付停止によりRIETAN-FPへの移行が徐々に進むでしょうし、一般に科学技術ソフトに関する論文は半減期が非常に長いので、いずれトップの座を奪うのは確実です。ということは、2年続けて(以下、略)

■ 2010年3月30日(火) とんとん拍子

VENUS(PRIMA+Dysnomia+Alchemy+ALBA+VESTA)のサイトライセンス契約に基づき某パルス中性子源に提供する英文資料は、2部に分かれています。第1部は昨夕に発送しました。今日から第2部を書き始めましたが、既存文書中の必要にして十分な部分を抽出して英訳するだけなので、そう大した手間ではありません。突貫工事で仕事を進めているので、遅くとも明後日までには完成するでしょう。

第1部はMS Word、第2部はLaTeXで書いたのですが、今にして思えば、LaTeX文書に統一しておくべきでした。物理量のシンボルを数多く含むテキストをWordで書くと、文字間隔を手動で調節しなければならない箇所がやたらに多く、実に面倒です。

何年か前の私だったら、上記2部の文書を抱え、海外のパルス中性子源への技術輸出のために外国出張したことでしょう。実は今でもやる気満々なのですが、●●●■■ないかもしれないので、控えておきましょう。

■ 2010年3月31日(水) 8ヶ月余りのβテストを経て正式版をリリース

ついに秀丸エディタがv8.00にバージョンアップしました。ずっと64ビット版のv8.00βを使ってきましたが、とくにトラブルは経験しませんでした。これからも、Windows用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境とDV-Xα法計算支援環境の基盤として使い込んでいくつもりです。

以前にも述べた通り、「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナー(5月28日)の参加者にはRIETAN-FP・VENUS支援環境上で動く自動MPF解析用マクロMPF_multi(Windows・Mac OS X版)を配付する予定です。簡単な説明書も添付します。MPF解析にチャレンジする人にとっては、格好の手引き書となるでしょう。

■ 2010年4月1日(木) 今日から新年度

だからといって、とくにこれまでと変わったことはありません。眼前の仕事を一つ一つ片付けていくだけです。某パルス中性子源への技術輸出用英文チュートリアルの2つ目がほぼ完成しました。明日の夕方に非公開ソフトを含む全ファイルをサーバーにアップロードし、ダウンロードしてもらいます。

来週はじめに、某協会から依頼されたレビューの執筆に着手します。例によって時々割り込みがかかるでしょうが、遅くとも4月中には書き上げたいです。

■ 2010年4月2日(金) 大学教育への貢献

岡山理科大の坂根弦太氏から、私立大学情報教育協会の機関誌「大学教育と情報」の最新号における特集「人材育成のための授業紹介・化学」に「教育用分子軌道計算システムeduDVを利用した電子についての基礎化学教育」という記事を発表されたという知らせが届きました。

研究成果を直接、目に見える形で社会に還元したいというのが長年にわたる私の願いであり、ソフトウェアの無償配付を通じてその理想の実現に一歩でも近づこうと努力してきました。我々の開発したソフトウェア(DV−Xα法計算支援環境VESTA)が研究開発ばかりでなく化学教育にも役立っているという事例を知り、うれしい限りです。3月22日の日本セラミックス協会年会でも、山梨大の熊田伸弘氏が大学院の講義でVESTAを活用した実習を実施する、と講演で述べておられました。大学教育のお役に立てて、誠に光栄です。

ここで強調しておきたいのが、VESTAの前身であるVICSとVENDは当初から科学教育を念頭に置いて製作したということです。賞味期限切れとなったWebページ「電子・核密度と結晶構造の三次元可視化プログラム」中の「創造的破壊行為としてのプログラミング」で、ちゃんとそう述べています。ゲームソフト用テクノロジーを存分に活用してみたいという、良き道楽感覚で始めたプロジェクトでしたが、当時から教育へのエンターテインメント性の導入が時代的要請だということを認識していました。なにしろ、ゲームマシンを存分に使い込んで育った世代が相手なのですから、視覚に訴える教育手段が必要不可欠です。先見の明があったと言えましょう。

自分の才能を巨額のお金を稼げるビジネス(たとえばゲームソフト制作)に注ぎ込むべきだったと思うことがない訳ではありません。当初からアカデミックな仕事への執着は薄かったので、もう10歳くらい若かったら、そちらの業界に進んでいたかもしれません。幸か不幸か人生は一度限り、「これで一丁上がり」という仕儀と相成りました(苦笑)。

■ 2010年4月3日(土) 突貫工事完了

某パルス中性子源に提供するソフトウェア・チュートリアルは予定通り、昨夕完成しました。即時にアーカイブファイル(16.51 MB)をサーバーにアップロードし、先方にダウンロードするよう連絡しました。これでライセンス合意に基づく知的財産の引き渡しは無事終了。技術指導のステージに移行します。今後のフィードバックを通じ、TOF中性子回折用の改良を進めていきます。

■ 2010年4月4日(日) 久々のマイナー・バージョンアップ

CD/DVDエミュレーション・ユーティリティ、Daemon Tools Lite v4.35.6が公開されました。

■ 2010年4月5日(月) 三つ目のベータ版

Dysnomiaの最新ベータ版と英文チュートリアルを共同研究者に公開しました。Dysnomiaはスピード、スケーラビリティ、解析結果の信頼性でPRIMAを凌駕しているものの、まだ実戦で鍛えていないため,ブラッシュアップが欠かせません。今回の改訂で、PRIMAとの後方互換性が向上しました。

共同研究者の数は少しずつ増やしています。効果的なフィードバックを期待し、種々のビーム(パルス中性子を含む)と光学系のユーザーをカバーしたつもりです。強いて言えば、単結晶X線回折のユーザーを1名ほど補充したいです。ご希望の方は私にご連絡ください。

■ 2010年4月6日(火) 相変わらずのスロースターター

某協会誌から依頼された粉末中性子回折に関するレビューを執筆し始めたのですが、遅々として筆が進みません。締め切りが迫らないと(あるいは締め切りを過ぎてからでないと)エンジンがかからない体質は、如何ともし難いです。おまけに、例によって「Wordで執筆せい」という制約条件付き ーーー それだけで意気阻喪します。

Igor Pro 64ビットベータ版v6.20B02が公開されました。なぜか、Mac OS X用は64ビット版が出ませんでした。

■ 2010年4月7日(水) 昨日の続き

なんとかIntroductionを片付けました。あぁ、つらかった。

明日からは、VESTAとRIETAN-FPの連携による反強磁性体の磁気構造解析(もちろん化学的単位胞 ≠ 磁気的単位胞)の手続きについて執筆する予定です。こういうトピックスを採り上げるのは初めてなので、比較的やる気が出ます。

■ 2010年4月8日(木) OpenMPによる並列計算のパフォーマンス

Dysnomiaは数人の共同研究者に配付済みですが、その一人からベンチマークテストの結果を受け取りました。

というMEM解析を

という豪勢なマシンで実行したところ、PRIMAが187.2 s、Dysnomiaが4.1 sの所要時間となり、Dysnomiaの方が46倍高速という結果が得られたそうです。ハイパースレッディング・テクノロジー対応のクワッドコアCPU 2基を装着していますから、Dysnomiaでは実質16個のCPUによる並列処理が行われます。

分割数を8倍(304×208×168)に増やし、キャッシュ-主記憶間のデータのやりとりを大幅に増やしたところ、所要時間はPRIMAで1425.3 s(メモリー: 13.82 GB)、Dysnomiaで56.9 s(メモリー: 753 MB)に増えました。Dysnomiaの方が25倍高速で、なおかつメモリーの消費量が1/18に激減したということです。ノート型PCで十分動くでしょう。

今はなきMEEDに比べると、3桁は速くなっているのではないか、と驚いておられました。

分割数という用語で思い出しましたが、PRIMAやDysnomiaを使う際には、適切な分割数を選ぶ必要があります。無頓着に分割数を指定すると、まともな解析結果は得られません。グリッドの交点や対称要素が平行六面体(voxel)のどこに位置するのかを心得ていなければなりません。その辺のところは、「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナーで説明する予定です。

■ 2010年4月9日(金) 小数点以下からスタート

Dysnomia v0.1を共同研究者に公開しました。DysnomiaによるMEM解析を再現できるように、*.prf中の入力データとDysnomiaのバージョン番号を*.outに出力するよう改善しました。

0.1というバージョン番号には、ようやく出発点に立ったという気持ちが込められています。共同研究者からのフィードバックを通じてブラッシュアップしていき、できるだけ早くv1.0(正式版)に到達させたいです。

ネットを通じた公開は考えていません。PRIMAでの経験から、一般大衆向けでない解析ソフトの野放し配付は無責任かつ危険だということを悟りました。

■ 2010年4月10日(土) 肥大成長中

先月末から共同研究の相手先に配付するために執筆してきた英文文書が少しずつ膨張してきました。簡単なメモ程度のものを渡し、相手先(英語のnative speaker)が我々との間のQ&Aを通じ、それをきちんとしたマニュアルに仕立て上げる、というプランからスタートしたのですが、結局、私がほとんどすべて書いてしまいました。以前からあるDysnomiaに関するチュートリアル(和文)まで含めると、もうじき30ページに達しそうな勢いです。

今のところ、とくに質問は届いておらず、しかも近々、実際に解析してみるとのことなので、そう出来は悪くないようです。

我々のソフトの強みの一つが充実したドキュメンテーションである以上、手を抜く訳にはいきません。日本語マニュアルしか提供しない、なんてドメスティック指向は論外です。

■ 2010年4月11日(日) たまには浮気してやれ

Mac用ブラウザには主としてFirefox、補助的にSafariを使ってきましたが、Ajaxアプリケーションを使う際のトラブルと重さに嫌気が指し、Google Chromeに手を出してみました。

さすがに軽いです。Google Analyticsにおける期間指定時の動作不良は完全に解消。ハイパーリンクのアンダーラインを表示しないようにするのが面倒そう(その方法がまだ分かりません)なのと、Denbunにログインした直後に現れるのがアドレス帳なのには不満が残りますが、そこはグッと堪え、使い込んで行こうと思います。

■ 2010年4月12日(月) 比較的単純なcollinear磁気構造

4月7日に記した磁気構造解析ですが、具体例に則して説明すると分かりやすいだろうと思い、私が共著になっている論文を物色し、propagation vectorが(1/2, 1/2, 0)の反強磁性体のリートベルト解析について紹介することにしました。

STRUCTURE TIDYによる結晶データの標準化、VESTAによる磁気的単位胞の生成、RIETAN-FPへの座標変換用データ取り込み、VESTAによる磁気構造の可視化について説明し、こんな手順で解析するんだよ、といった調子で平易に記述します。

■ 2010年4月13日(火) 英語アレルギーほど多くはないでしょうが

「平易に記述します」と宣言してはみたものの、過不足のない文章とするには、数式をいくつか含めるのが望ましいです。しかし、数式アレルギーの人って、結構多いんですよね。(4×4)マトリックスを含むゴツいヤツ、逆格子の基本テンソル、転置行列などがゾロゾロが出てきたら、即座にスキップされかねません。どうしたらいいのか —— 一工夫必要です。

あれこれ思案している最中にVESTAのマニュアルのまずい点に気付き、忘れないうちに修正しておきました。まあ,これだけ長大だと、目の行き届かないところが多々あるのは仕方ないです。

結晶学的単位胞をCUC(Crystallographic Unit Cell)、磁気的単位胞をMUC(Magnetic Unit Cell)と略すことにしました。文章が多少コンパクトになりました。

J-PARCの連中が一般的な磁気構造解析のサポートから逃げまくっている理由(2月16日参照)がわからないでもありません。2種類の単位胞と構造因子を同時に扱うのは、相当大変なんですよ。しかし中性子でメシを食っている癖に、そんな手抜きをしているような低レベルぶりでは(以下略)

■ 2010年4月14日(水) A start from zero

かつてコピー&ペースト王を自称していた私ですが、今回のレビューでは、その得意技を活かせません。何もない状態からスタートするのは、本当に疲れます。

ソフト開発でも、既存ソフトのソースコードがあるとないとでは大違いです。まだ30代のころ、英文ワープロを100%自作したことがありますが、プログラミングに疲れ果て、かえって論文が出なくなってしまいました(笑)。

余談ですが、そのワープロで博士論文を執筆した人が、私が知っているだけでも、旧無機材研に二人はいました。一方、自分の博士論文はIBMのタイプライターで全ページ手打ち(PCの普及より前だったので)。人助けしたようなものでした。

よくよく考えてみると、英文ワープロばかりでないような気が… まあ、いいか。

拙作ワープロのソースコードの一部を再利用して商用の英文ワープロを開発した学生(東大)がいたのには、驚かされました。ベンダーがcopyright ownerである私の許可を求めてきたので、当該ワープロと別なデータベースソフトとひき替えにあっさり許可しました。結局、それらのソフトは使わずじまい。これまた、人様の金儲けを支援しただけに終わりました。己の才能をお金に換える才能に恵まれなかったと自嘲するしかありません。

しかし、英文ワープロの製作で培った文字列処理のテクニックは後年、大いに役立ちました。RIETAN-FPに内蔵されている入力ファイルの前処理系New Tinkがその一例です。「労多くして功少なし」という羽目に陥らなかったのが、せめてもの救いでした。

■ 2010年4月15日(木) RIETAN-2000→RIETAN-FP促進キャンペーン

RIETAN-2000からRIETAN-FPへの移行を促進するために、RIETAN-FP・VENUS配布ファイルのページに

RIETAN-2000はもはやメンテナンスも配付もしていないので、今後はRIETAN-FPだけお使いになるようお願いします。

と書き加えておきました。RIETAN-FP-FP_manual.pdf中の「多目的パターンフィッティング・システムRIETAN-FPの新機能について」という文書を参照しながらテンプレートファイルを書き換えることにより、比較的簡単に移行できます。

「粉末X線解析の実際」第2版はRIETAN-FPの使用を前提として編集しましたし、「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナーのような講習会でもRIETAN-FPについてだけ話します。多少手間がかかったとしても、RIETAN-FPに乗り換えるよう強く呼びかけたいです。

■ 2010年4月16日(金) やっと折り返し点に

執筆中のレビューは、ようやく磁気構造解析の節を書き終えたところです。来週からは、Dysnomiaの新機能を紹介する後半を執筆します。こちらは日本語と英語のチュートリアル(非公開)が存在するため、難渋することはないでしょう。

■ 2010年4月17日(土) 上海万博の公式テーマソング

が岡本真夜の「そのままの君でいて」のパクリじゃないかと取り沙汰されています。「そのままの君でいて」を聴いてビックリ。冒頭のメロディーはマイケルの超有名曲「I'll be there」に瓜二つじゃありませんか!? ということは…

■ 2010年4月18日(日) 懸案解決

Evernoteのフォントサイズと行間のスペースを自分好みにできず、困惑していたのですが、そのノウハウをようやく会得しました。フォントパネルでOsakaを選び、右端のレバーをドラッグしてフォントサイズが16となるようにするだけです。環境設定でも、フォーマットメニュー中の[フォントパネル]でも同じです。行間のスペースはフォントサイズで決まります。

現時点でのノートの数は108 —— 他人はさておき、自分にとってはこの上なく貴重な情報です。

■ 2010年4月19日(月) 苦あれば楽あり

去年の今ごろは「粉末X線解析の実際」第2版の校正刷りが一冊分丸ごと自宅に届き、浮き足だっていました。初版での経験を踏まえ、執筆者任せにせず、編者も全体にわたって二度チェックするという方針でしたから。7月の講習会が終わるまでは、まさに生き地獄。実質的に休日もなく、働き通しでした。

当時の精神的圧迫感と労苦を思えば、今年は楽なもんです。

お陰様で、同書の売れ行きは順調です。手間暇掛けた甲斐がありました。

■ 2010年4月20日(火) 日本鉱物科学会の和文誌に掲載予定の総説

が受理されました。46もの引用文献を含む力作です。できるだけ鉱物について執筆するよう心がけましたが、中には無関係な物質も —— ご容赦ください。

VESTAの結晶学的ツールとしての有効性を強調した内容となっています。IX節の「Charge flipping解析への応用」とVII節の「WinGX,Jana2006との連携」はSuperflip, WinGX, Jana2006のユーザーにとって、非常に有益な情報となるでしょう。

旧日本鉱物学会の会員ではなかったにもかかわらず、「岩石鉱物科学」の前身である「鉱物学雑誌」にはレビューを2回執筆させていただきました。いずれもRIETANに関する記事だったので、このたび違うソフトウェアに関する話題を提供できたのは、誠に喜ばしいです。地球科学の研究者に「狭い世界(粉末回折)に引きこもったまま研究人生を終えた人」という印象を与えたくないですから。

なおVESTAは目下、メジャーチェンジへ向けて鋭意、作業中です。その波及効果が拡大の一途をたどりつつあることを考慮し、「個人的趣味」でなく、最優先すべき業務として真剣に取り組んでいます。次世代版といって過言でないほどの機能増強を図りますので、ご期待ください。

このところ掛り切りになっている別なレビューの方は、本日、ついに本文を書き終えました。VESTAで作成したイメージを4つほど入れる予定です。本当に働き者ですよ、こいつは。

■ 2010年4月21日(水) タイポだらけ

RIETAN-FPで電池材料の中性子回折データを解析する必要が生じ、コメントが英文の雛形ファイル*.insをJedit Xで開いたところ、注釈部分にタイプミスがあることに気づきました。そこで、すべての英文ファイルを全体にわたってチェックしたところ、9箇所のタイプミスが見つかりました(汗)。早速、全部修正。次回の配付ファイル更新の際に修正を反映させます。

燃料電池材料や二次電池材料の中性子回折データの解析で、しばしば見過ごされていることがあります。一見うまく解析できているように見えることもありますから、相当ヤバいです。ものによっては、中性子回折実験の前に●●●●くらいは行うべきです。専門家によるコンサルティングと支援の必要性を感じます。その辺のところは、実例を交えて「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナーで話す予定です。

■ 2010年4月22日(木) 職人芸の極致

共同研究者から新たな構造モデルに基づく粉末中性子回折データのリートベルト解析結果が送られてきました。フィットが悪く、しかも空間群の選定を誤っているようなので,最低位の超群(Minimal supergroup)の一つに変更して再解析し、さらにMPF_multiを使ってMPF解析も実行しました。フィットの良さを示す尺度は次のように変わりました:

最初の矢印がリートベルト法による再解析、2つめの矢印がMPF解析を示しています。一般にMPF解析ではEを大きくするほどR因子が小さくなりますが、ゴーストピークの出現を避けるためにE=300に留めました。RIETAN-FP・VENUS配布ファイルにGSASとFullProfによるリートベルト解析の再解析結果が三つ含まれていますよね。それらと同様に、フィットが劇的に改善されました。まだ解析の腕は落ちていないようです。

フィットの改善にも増して嬉しかったのは、Dysnomiaの新機能によりゴーストピークの出現を抑制できたことです。早速、このネタを現在執筆中のレビューに投入しましょう。

■ 2010年4月23日(金) An invited lecture at ICC3

3rd International Congress on Ceramicsでの招待講演を依頼されたので、「国際会議での講演はこれでおしまい」という気持ちで、迷うことなく引き受けました。

3月の日本セラミックス協会年会における口頭発表では、冒頭で「これが最後の講演です」と口走りました。「最後のオリジナル講演」という意味でしたから、今回の講演応諾と矛盾はしていません。

いずれ、この掲示板にも「これが最後の書き込みです」と記すことになるでしょう。いつごろなのかは、定かでありませんが。

■ 2010年4月24日(土) 事業仕分け第2弾

今回の仕分けで大幅縮減を申し渡された某法人、私はかつてここの●●で■■■■したことがありますが、そのとき関係者から、聞く耳を疑うような○○○○を公然とやっていると聞きました(伏せ字にしたのは、当時口止めされたからです)。大幅縮減をぜひ断行してもらいたいですが、手段を選ばず、巻き返しを図ってくるでしょうね。どうせ元の木阿弥同然になるのでしょう。

■ 2010年4月25日(日) Wordの出来の悪さが駆動力

今月はWord 2008(Mac用)を使う日が多く、その異様な重さとEquation Editorの吐き出す数式の薄汚さにストレスがたまりっぱなしでした。編集中のファイルの保存を拒否されるという不条理なトラブルも頻発し、どうしても筆が重くなります。一刻も早くこの苦役から解放されたいと思い、週末も少しずつ書き足しました。その結果、図を取り揃えればお終い、というところまで到達。半日あれば片付く程度の仕事です。

締切の直前か、締切を過ぎてから書き始めるのを常とする自分が、締切の1ヶ月以上前に書き上げるとは、異例中の異例。春の椿事と言えましょう。ちなみに、一つ前のレビューは半年遅れ(!)で脱稿という有様でした。

■ 2010年4月26日(月) トラブル解消

WindowsおよびMac OS X用のIntel Fortran Compilerがv11.1 Update 6にバージョンアップされました。前バージョンのMac OS X用コンパイラには、リンク時に

Link /Applications/rietan/build/Rilease/…
warning #11015: Warning unknown option -no_compact_unwind

というエラーメッセージが常に出るという不具合があったのですが、この最新版では正常にリンクが終わるようになりました。一方、rootとしてログインしないとインストールできないというバグはそのまま。少なからぬライセンス料を毎年徴収する割には、綻びが目立ちます。

■ 2010年4月27日(火) これでも精一杯努力したつもり

今月初めから断続的に執筆していたレビューの図が揃いました。これで完成です。

結言の冒頭を以下にコピー&ペーストしてみましょう:

リートベルト法による結晶構造精密化について述べても新鮮味があるまいと考え、今回は■■■■と●●●●という、やや専門家寄りのテーマを採り上げた。

完全にマンネリ化した本掲示板のように、「またか」と思われるのも癪ですから、目新しい材料を調理してみたという訳です。おいしい料理に仕上がったどうかは定かでありません。

かねてからの懸案が片付いてホッとしているところに、某国から想定外の申し出を記したメールが届きました。へ〜、かの国ではオイラのソフトはそんなに高く評価されていたんかいな。光栄ではありますが、はてさて、何と答えたらいいのか。正直なところ、当惑しています。

■ 2010年4月28日(水) Mac OS X用FTP・SFTP・WebDAVクライアント・ソフトのメジャーチェンジ

Transmit v4.0がリリースされました。v3.Xのユーザーは1,900円でアップグレードできるとのこと。ちょっと高いなぁと感じましたが、自宅で毎日のように使っていることを考慮し、気前よく支払いました。

転送速度が劇的に速くなったそうです。確かにきびきび動きますが、もともと十分高速なので、体感速度が増したという感じはしません。GUIは、よりスタイリッシュになりました。

■ 2010年4月29日(木) 一歩でも先に…

大型連休は昨年同様、仕事、仕事で終始しそうです。別にデッドラインが迫っている案件がある訳ではないのですが、何かに急き立てられるような心持ちがして、ゆったりくつろげません。

こういうときは、ズルズル先延ばしにしてきたことを片付けるに限ります。となると、アレだな。

■ 2010年4月30日(金) 依然として猛威を振るっているRIETAN-2000/FP

我々は有言の時間、体力、気力、マンパワー、予算の制約のもとにソフトウェアを開発している訳ですから、何を優先させるかという意志決定が重要となってきます。そのためには、我々の開発した各ソフトがどの程度社会に受け入れられ、影響を及ぼしているのかを、きちんと把握していなければなりません。

たまたま手帳をめくっていたら、昨年10月末日におけるRIETAN-2000/FPとVESTAに関する論文の被引用数がメモしてありました。現時点での被引用数からこれらの値を差し引けば、直近半年間の被引用数が容易に計算できます。半年という期間は、ごく最近の傾向を知るのに好都合です。そこで、得られた値を2倍し、1年あたりの被引用数を見積もったところ、

RIETAN-FP/2000: 194
VESTA: 162

という望外の数字が出てきました。RIETAN-FP/2000については、このグラフに示した過去のデータと比べても、遜色ないどころか、かえって凌駕していることがわかります。現時点では、RIETANの勢いはまったく衰えていないと断定してよいでしょう。当面はこのレベルで横ばいになり、いずれ漸減していくと読んでいます。

一方、VESTAもRIETANほどではないものの、瞠目すべき数字を叩き出しています。もともと粉末回折よりはるかに大きなマーケット(物理、化学、地球科学、結晶学、材料科学、大学教育など)を対象とするユーザーフレンドリーなソフトなので、鋭意開発中の次世代版が世に出る頃には、RIETAN-FP/2000を追い越すのではないでしょうか。

ところで、NIMSの事業仕分けを報じる毎日新聞の記事では、材料科学分野での被引用数が世界3位という数字から、NIMSが当該分野で世界トップクラスの研究機関だと紹介されています。それに関するコメントは昨年12月9日の書き込みをもって代えるとして、中国科学院が1位というのが笑えました。組織や予算の規模なども考慮した上で評価しないと無意味ですよね。

■ 2010年5月1日(土) Windows・Mac OS X用アーカイブファイルを更新

「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナーの参加者には自動MPF解析用スクリプトを進呈すると3月8日に約束しましたが、そのためには実行形式ファイルconverge.exeとseconds.exe(Windows)とseconds(Mac OS X)をRIETAN_VENUSフォルダに追加しなければなりません。それらをRIETAN-FP・VENUS配付ファイルに含めて、MPF_multiのセットアップにかかる手間を軽減することにしました。

あくまで「こちらの都合」によるアップデートです。上記セミナーに出席されない方は、とくにアップグレードする必要はありません。

今日は、一日中家に閉じこもり、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境とは独立に、スタンドアローンで動くようにMPF_multi用スクリプトMPF_multi.bat(Windows)とMPF_multi.command(Mac OS X)を改造しました。MPF_multiをエディタから起動すると、そのエディタでのファイルの編集に支障を来す上、他のソフトでの作業を妨げることもあるため、バックグラウンドで実行する方がよさそうだと気付いたためです。案の定、その通りでした。

いずれのスクリプトでも、中身を編集せずに起動できるようにしました。これで、ようやくMPF_multiの仕様が固まったことになります。MPF_multiを使えるようにするためのセットアップは、非常に簡単です。

■ 2010年5月2日(日) 無意識のうちにUNIXのコマンドを…

昨日作り直したMPF_multi.bat中で、GnuWin32のコマンドlsを使っていたことに気付きました。もうこれ以上RIETAN_VENUSフォルダを肥大させたくないので、'ls'を'dir /M'に置き換えました。

MPF_multiの使用法を記したReadme_MPF_multi.txtもWindowsとMac OS X用に書き上げました。これで、自動MPF解析関係のファイル一式が整いました。MEMに興味ない人を除けば、「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナーの参加者には最高のお土産となるでしょう。

今日も家から一歩も外に出ませんでした。不健康なこと、この上なし。一昨日、誇らしげに書いた194という数字が空しく映ります。少々疲れました。

■ 2010年5月3日(月) 悪の魅力が台無しに

映画チャンネルで「ハゲタカ」(TV版)を観ました。鷲津政彦(大森南朋)が冷酷非情な金の亡者に徹しているうちは十分堪能できるのですが、終わりに近づくにつれて、汗水流して働く労働者の味方に成り果て、説教じみたことまで口走りだし、精彩を欠いていきます。

喩えが悪いかもしれませんが、「無機材料の構造解析には疲れると同時に飽き飽きした」と広言してはばからなかったIセンセイが心変わりし、放射光や中性子の施設に課題申請し、自ら実験と解析に取り組み、ついには大論文を書き上げる、なんて腐れ話のようなもんです。くそ面白くありません。失敗作ですよ、これは。

ところで、三島由香(栗山千明)の顔を見ると、どうしても「キル・ビル」(2003年11月2日参照)のゴーゴー夕張を思い出しちゃいますね(笑)。主役のユマ・サーマンは栗山千明に完全に食われてました。

■ 2010年5月4日(火) 単に'> null'を追加するだけ

MPF_multi.batとMPF_multi.commandをバックグラウンドで動かすのなら、MEM解析中の標準出力を画面でなくブラックホール(null)に放出するのが理に適っています。1月15日にも記したように、Terminalやコマンドプロンプトで各サイクルのR因子などを表示すると、MEM解析が1割ほど長引くからです。

そこでDisplya_outというフラッグを追加し、画面に出力するか否かを指定するようにしました。MPFではMEM解析を繰り返しますから、この改良は効果てきめんです。

昨年暮れから取り組んできたMPF_multiですが、紆余曲折を経たものの、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境へのこだわりを捨てた結果、贅肉をそぎ落としたスリムな形となりました。要するに、延々と計算が続くMPF_multiを支援環境から起動するのは不適切だったということです。

■ 2010年5月5日(水) 最終仕上げ

結局、大型連休はMPF_multiのブラッシュアップとドキュメンテーションに捧げ尽くしました。

MPF_multi_Win.txtとMPF_multi_Mac.txtには、MPF_multiを使う上で必要なことはすべて書き込みました。「大は小を兼ねる」という言葉通り、MPF_multiは前座であるMEM/リートベルト解析にも使えます。そこで、蛇足ではありますが、両*.txtファイルに

初回のw.p.f.で収束する場合は、
(1) いわゆるMEM/リートベルト解析
(2) w.p.f.によるフィットの向上の確認
と実質的に変わらないが、(2)の追加によりMEM/リートベルト解析の御利益がR因子の向上という形で確認できる
のは、結構ありがたい。

と指摘しておきました(笑)。

MPF_multiの配付ファイルには解析例も含めるべきだと判断し、RIETAN-FP・VENUS配布ファイルに同梱しているフッ素アパタイトのデータをMPF_multiで解析してみました。MPF_multi_Mac.txtというチュートリアルを参照すれば、下準備はすぐ終わります。後はMPF*_multi.commandをダブルクリックするだけ。全自動でMPF解析を片付けてくれます。

リートベルト解析およびE(SCIO)でのMPF解析(REMEDYサイクル数: 2)により得られたR因子は次の通りでした:

Rwp: 8.22 % → 7.54 %
Rp: 6.39 % → 5.70 %
RB: 3.80 % → 1.47 %
RF: 2.01 % → 1.04 %

リン酸イオン中のP-O結合は共有結合性が強いので、サイクル数は1(つまりMEM/リートベルト解析止まり)に留まらず、フィットがかなり向上するだろうと予想していましたが、まさにその通りでした。MPF_multiさえ使えば、さほど手間をかけずに、あっさりここまで到達します。

これほど手軽にMPF解析が実行可能になったのは画期的! ーー そう実感したとき、2日に記したような空しさと疲れが雲散霧消していることに気づきました。

必要性を痛感しつつも、MPF_multiのような自動化スクリプトの作成を長年さぼっていたのは、なぜでしょうか。答えは簡単 —— 三次元可視化システムVENUSの製作にフォーカスしていたからです。飽きっぽく、新しもの好きで、面倒なことを嫌う性格は、今更変えようがありません。

■ 2010年5月6日(木) お先真っ暗

ピークオイル、すなわち石油の需要が供給能力を上回る日が刻々と近づいています。深刻な石油不足、ひいては石油価格の高騰が発展途上国の経済を停滞させるのは必至です。中国経済のバブルも同時期にはじけるかもしれません。グローバル経済の牽引車がそういう事態に陥ったら、サブプライムローン崩壊時を遙かに上回る衝撃波が走るでしょう —— 空恐ろしいです。

日本の平成22年度予算の国債依存度は48 %です。事業仕分けが単なるガス抜きなのは明らかであり、今や金食い虫の疫病神でしかないもんじゅの再稼働に代表される放漫財政は一向に改まっていませんし、自民党政権時代から消費税率のアップは先送りされ続けていますから、日本がギリシャ化し、財政破綻する可能性は否定できません。日本の国債がヤバいという認識が広まると、その金利が急上昇し、巨額の利払い費が財政を一層圧迫することになります。日本の国債はほとんどすべて国内で消化されており、対外債務ではないものの、国債の所有者たる日本人や日本の会社が悲惨な目に遭うのは必然です。預金の大半を国債につぎ込んでいるゆうちょ銀行は壊滅的打撃を受けるでしょう。

こういう前途に暗雲が立ちこめている時代に、個人としてどう資産を運用していったらよいのか。戸惑うばかりです。

■ 2010年5月7日(金) 恐るべきスピードで

「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナー用の追加スライドを作成し始めました。従来の私の講演、講義、レビューでは言及したことがない実戦向きテクニックが中心です。すでに

  1. VESTA(昨日v2.1.4をリリース)で任意の面の二次元マップを描くには、その面のミラー指数が必要になる。単位胞を斜めに切るような(hkl)面だと、かなり厄介である。複数の原子を対象とする最適平面のミラー指数を求めるにはどうしたらいいか
  2. RIETAN-FPによる粉末回折パターンのシミュレーションにおいて結合距離と結合角の一覧表を作成する裏技(標準偏差は付かないものの、結構便利)
  3. RIETAN-2000からRIETAN-FPに乗り換える際、つまずきやすいところ(*.ins中の2カ所)
  4. EXPO2009によるLe Bail解析とリートベルト解析における問題点(場合によっては相当深刻)
  5. 特定の粉末回折装置に適合したRIETAN-FP用入力ファイル*.insを手軽に作成するための手続き
  6. MEM解析における単位胞の分割数(グリッドとvoxelの関係、対称要素、特殊点)
  7. TOF中性子回折データのリートベルト解析とMEM解析で、格子面間隔dの小さい高Q反射まで処理すると結晶構造に関する情報がかえって劣化する理由(パルス中性子の関係者が揃って口をつぐむ現象)
  8. MEM解析の結果の妥当性を検証する二つの方法

といった内容のスライドが出来上がりました。来週以降も続行します。これまでの講演・講義では時間の都合上、割愛してきた磁気構造解析についてのスライドを若干追加するつもりです。

スライドは140〜150枚に達しそうですが、当日ハードコピーをお渡しします。MPF解析スクリプトMPF_multi.batとMPF_multi.command、それらのチュートリアル、「科学英語論文執筆の手引き」(PDF)はファイルとして配付します。MPF_multi用スクリプトはテキストファイルですから、MPF解析の手続きの説明書としても役立ちます。

■ 2010年5月8日(土) 一種の文化遺産(?)

本ホームページを無意味に重くしていたGIFアニメーション二つを撤去しました。

このWebサイト全体を見渡すと、長く手入れせずに放置しているページがほとんどなのは一目瞭然です。すでに跡形もなくなったRIETAN-2000のページ同様、いずれリストラを断行しましょう。必要不可欠なのはRIETAN-FP・VENUS配布ファイルだけです。

その際、大いに迷いそうなのが、これまで蓄積してきた膨大な掲示板バックナンバーの処置です。粗大ゴミとして捨てるに忍びないのですが、いかがいたしましょうか。

■ 2010年5月9日(日) 一昔前、ホームページを持ってない人は「ホームレス」と呼ばれました。

しかし、コンピュータ音痴でも飛びつけるブログやツイッターが普及した今、「ホームレス」は死語と化しました。では、本来の意味通りのホームレスでも肌身離さず持っているというケータイを持ち合わせてないレアな人は? 答えは「無ケー文化財」です(荻原魚雷による)。

どこかのテレビ番組で、マサイ族の牛飼いを報じていました。彼は牛糞と泥で壁を塗り固めた掘っ立て小屋同然の家に住んでいます。もちろん電気は通じていません。なんと、そういう貧乏人が中国製ケータイで牛の相場を問い合わせているんです。ケータイのおかげで牛を高く売れるようになった、と喜んでいました。手元にお金がないと、機会損失という損を被ります。文明の利器、すなわちケータイをもってないと、儲け損なうということもあるんですね。

私の場合ケータイは、ないよりはある方が便利といった程度のところです。不要なサービスを徹底的にカットし、割引サービスを最大限に利用し、無料通話・通信の範囲内に留める限り、さほどお金はかからないということは、購入してから知りました。

一番、役に立ったのは、高速道路のバスストップで「迎えに来てくれ」と大学の先生に電話したときでしたね。なにしろ、公衆電話など、どこにも見当たりませんでしたから。近年、公衆電話の設置数は激減していると思われます。需要が少ないのですから、当然ですが。

ケータイ所有のもう一つのメリットは「ケータイの番号は」と問われたときに、弁解せずに済むことです(笑)。

出張・外勤時のメールチェックにも使ってます。もっともケータイのメールアドレスは誰にも教えてないので、NIMSやMobileMeのアドレス宛てのメールをDenbunで眺めるだけですが。

スマートフォンに変える気は更々ありません。ハマるのは目に見えてますから。それよりも現行機種を買い換え、バリューコースに変更して基本料金を現行の半額に減らすのが先決問題です。面倒なので、先送りし続けていますが。

ところで、ホームページ、ブログ、ツイッター、ケータイのいずれとも無縁の人は何と呼ぶべきなんでしょうかね。「シーラカンス」(生きている化石)じゃピンと来ませんから、「通信ヒッキー」なんてのはどうでしょうか。

■ 2010年5月10日(月) 再解析の必要

今日は4月21日に記した「一見うまく解析できているように見える」が実はダメという例をスライドにしました。Mn, Fe, Co, Niを含む化合物の中性子回折データはとりわけ要注意です。世の中では、こういう誤った解析結果がはびこっていると推定しています。

■ 2010年5月11日(火) 矢印と根本を見れば一目でそれとわかります

The 6th International Conference on DV-XαのホームページはVESTAで作成されたと覚しきイメージが飾られています。RIETAN-FPやVESTAが韓国でも使われ始めたことは、3月2日に書き込んだ通りです。

この国際会議が開かれる大田(太田にあらず)には技術指導のために2度滞在したことがあります。ついでにソウル大学、釜山大学、HANAROなどで講演したりして、あちこち移動したのですが、いずれも終始韓国の方々が付きっきりでサポートしてくれたので、楽なものでした。しかし、自分一人で韓国を旅行したら、相当大変だったろうなぁ。どこに行っても、ハングル >> 漢字でしたから。

■ 2010年5月12日(水) ちょぼちょぼ+上乗せ分

アイデア、時間、お金を注ぎ込む必要がある以上、研究は一種の「投資」に他なりません。超伝導フィーバーが去った後の私は、基本的に逆張り(+多少のリスクヘッジ)指向です。他人と同じようなことはやらない(流れに逆らう)が、損失は避けるといったスタンスをとっています。

自作ソフトの活用を避けているのも、そのせいです。人様がすごい勢いで使って下さるのだから、オイラは別なことをやるさ、という訳です。自らは放射光や中性子の施設を利用する気がさっぱりないのも、同様な理由に基づいています。

そういう危なっかしい方針で突っ走ってきて、結局、大いに利益を上げたのかというと、怪しいものです。ある映画に「人間、みんなちょぼちょぼや。」というセリフがありましたが、それをmodifyして「逆張り研究人生、まあちょぼちょぼや。」といったところではないでしょうか。

でも、別に大儲けしなくてもいいんだと思いますよ。自分のやりたいことを自由気ままにやってきて、研究ビジネスがまずまず成り立っているのですから。ただの紙の束(社会の役に立たない論文の山)を作っただけ、つまり自己満足だけでは終わらなかったと自負しているので、ちょぼちょぼ+アルファくらいだったと言わせてやってください(笑)。「+アルファ」はもちろん当方がこれまで配付してきたプログラム群です。

「研究しか能がありませんでした」というのもナニなので、最近は反強磁性体のように180度逆を向いたベクトルに興味を抱いています。むしろ研究よりはこちらの才能に恵まれていたと胸を張れるか否かは、今のところ定かでありません。

■ 2010年5月13日(木) うっかりミス

Windows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。

客人からIgor Pro用マクロreflection.ipfが同梱されていないと伺ったので、それを追加するとともに、Readme_win.pdfを改訂しました。reflectionマクロの使い方(2.3項)については、Readme_mac.pdfからの英文のコピー&ペーストしただけで済ませました。

■ 2010年5月14日(金) カルフォルニア大学サンタバーバラ校の研究グループの成果

ABINITによる電子状態計算の結果を報告した論文

には、VESTAで描いた結晶模型、波動関数、電子密度の図が8つ含まれています。

Cut3Dというユーティリティを使うと、ABINITが出力した波動関数、電子密度、静電ポテンシャルのバイナリーファイルをXSFフォーマットのテキストファイルに変換できます。

ただ、フリーソフトウェアであるABINITはベンダーのサポートを受けられないので、専門家や指導者に恵まれた方々でないと、まず使いこなせないでしょう(別にABINITに限った話ではありませんが)。高度な専門知識を必要とするサポートには対価が必要なのです。

■ 2010年5月15日(土) スクラップ&ビルド必至

「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナー用の追加スライド、30枚を越えました。来週も続行しますから、講義の時間が足りなくなる恐れがあります。取捨選択するしかないなぁ。添付資料の追加も検討しましょう。

近ごろ、私はアカデミズムに拘泥するよりは、できるだけ長く社会と繋がっていたいという気持ちが強くなってきました。上記のセミナーもそういう気持ちの顕れに他なりません。自作ソフトの改訂の続行はもとより、解析に関するコンサルティングの必要性も感じています。

■ 2010年5月16日(日) ニッチ市場は相手にせず

小さいマーケットでいくらがんばっても限界がある —— 中国から撤退した、ある零細企業経営者の弁ですが、研究の世界も同様の市場原理が働きます。ニッチなこと(典型例はTOF中性子回折)に積極投資しても、「労多くして功少なし」「出血サービス」という事態に陥るだけ。自分と自作ソフトの存在意義と知名度が必然的にシュリンクしてしまいます。自主技術の汎用性と影響力を常に念頭に置いたビジネスモデルを構築し、ドライかつ無慈悲に振る舞うべきです。

論より証拠、私はLinux用のRIETAN-FP・VENUS配布ファイルは配付していません。市場シェアが無視できるほど小さいためです。本ホームページの訪問者のうち、Linuxのユーザーは約1%に過ぎません。パルス中性子のユーザーはさらに少ないでしょう。

隙間市場を無視する訳ではありませんよ。不要不急の課題として優先順位を下げ、後回しにするだけです。もっとも、私が在職中にスタックの最上部に浮上して来ない限り、実質的に切り捨てることになりますが。

もちろん外部資金が獲得できたならば、話は別。即座に優先順位を引き上げます。研究も一種のビジネスですから。

某パルス中性子源への有償技術供与は、最低限の投資(ドキュメンテーション)だけで済む案件であり、万全のリスクヘッジになりうる上、国際的な評価も必然的に高まるからです。まさに「労少なくして功多し」。融通無碍な対応と即断即決は私の得意技です。

コモディティ化した技術(たとえば、通常のリートベルト解析)も高評価にはつながりません。技術的優位性を誇れない以上、誰も褒めてくれませんよ。そこに留まっている限り、じり貧への道が待っています。

マーケットがかなり大きく、需要が旺盛で、しかも既存の要素技術を活用できる分野 —— この数年はそういう土俵で勝負してきたつもりです。ここに来て、その効果がじわじわ出てきています。

■ 2010年5月17日(月) 意外と、こういう情報の方が歓迎されるかも

「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナー用のスライドを数枚追加しました。それらは

  1. 格子・構造パラメーターの値とIDについて厳守すべきルール
  2. 分割原子モデルの構築における分割の仕方に関する指針
  3. 陽・陰イオンを取り込みやすい格子間位置を調べる方法
  4. Finger, Cox, Jephcoatの非対称プロファイルパラメーターを安定・確実に収束させるには
  5. Microabsorptionを補正した多相リートベルト解析における反則行為
  6. Bond valence sumの計算結果が今一のときトライすべき事とその実例

というノウハウの類も含んでいます。リートベルト解析のノウハウとテクニックに追加するのに相応しいような事柄ばかりです。時間が足りなかったらスキップしますが、参加者にはスライドのハードコピーを配付するので、差し支えないでしょう。

ある大学の学生から、RIETAN-FPの実行が最終段階で止まってしまうのはなぜか、という質問が届きました。上記セミナーのスライド作成の参考になることを期待し、*.insをチェックしてみました。少々時間を費やした後、その理由を突き止めました。すでに作成済みのスライドに明記した注意を守っていなかったためです。早速、当該部分を赤字+太字で強調しておきました(笑)。

■ 2010年5月18日(火) RIETAN-FP・VENUS配布ファイルの更新

FastCopy v2.01正式版がリリースされました。Windows 7に公式対応しています。

FastCopyはWindows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルのインストール時に使っています。また不覚にも、RIETAN-FP_manual.pdfにおいて重要事項を書き漏らしていたことに気づき、追記しました。そこで、Windows・Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを両方ともアップデートしておきました。

RIETAN-FP_manual.pdfを眺めた人は、その長さに度肝を抜かれるかもしれません。本音を言わせていただけば、それほど大したことはありませんでした。なぜだか分かりますか。

もったいぶらずに、種明かししましょう。要するに、RIETAN-FP_manual.pdfは新たに執筆したものではないのです。ソフトだろうが、マニュアルだろうが、白紙の状態からスタートするのは大仕事です。しかし、ベースとなるソースコードや文書が存在する場合は、ぐっと楽になります。

RIETAN-FP_manual.pdfの場合は、複数の既存文書のコピー&ペーストと英訳からスタートしました。それらを少しずつ肥大成長させただけのことです。文字通りゼロから書き上げたVENUS(VICS, VEND, PRIMA, ALBA)のマニュアルの方がはるかに大変でした。

小説の場合も、純然たる創作よりは、他人の書いたものをリライトする方がずっと楽なのは言うまでもありません。構想を練る必要もなし、素材が目の前にころがっており、文章を手直しするのはお手の物なのですから。竹山 哲の『「盗作疑惑」の研究』には、盗作(ないしは単なるリライト)と言われかねないような小説の例として

などを挙げています。確かに、素人の文章を多少添削しただけ、創作と言えるかどうかの限界ギリギリという印象がぬぐえません。楽な仕事で商売したといって過言でありません。

■ 2010年5月19日(水) 安い!

MacBook(13-inch, Mid 2010)は2.4GHz Intel Core 2 Duo、2 GBメモリを搭載して94,800円。メモリを4 GBに増設しても104,880円です。Boot CampでWindows 7に切り換えられますから、お買い得だと思います。

マルチコアCPUをフルに活用でき、DFT/FFTを自動的に切り替えてくれるDysnomiaを使えば、大規模なMEM解析でも4 GBメモリのMacBookで行けるはずです。もっとも、長時間を要する計算の場合は、冷却台に乗せる方がよいでしょうが。

4年前に購入したデルXPS M1210の代替機として入手したいところですが、そう頻繁に講演している訳ではないので、我慢しておきます。

■ 2010年5月20日(木) 福袋?

「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナーのために新たに作成したスライドは、既成ファイルの修正も含めると、すでに45枚に到達。丁寧に話している時間は到底ないので、参加者限定で配付するファイル(再配布禁止)を7つに増やすことにしました。

2008年の5月と11月に開催した情報機構セミナー「RIETAN-FPとVENUSを活用した構造精密化・三次元可視化技術」の参加者に配付した補足資料に、1.5ページほど加筆しました。

Windows・Mac OS X用のスクリプトMPF_multiは、RIETAN-FPとPRIMA(Dysnomiaも可)の組み合わせでMEM・MPF解析を行う人にとって必需品に近いです。一連の計算にかかる手間が激減し、別次元の自動MPF解析を享受できます。非力なコマンドプロンプトのせいで、Windows用MPF_multi.batの作成には辛酸をなめ尽くしましたが、今にして思えば、PerlやPythonを使わずに済ましたのは適切な判断でした。大半のユーザーはプログラミング言語のインストールなど敬遠するのに決まってますから。

「科学英語論文執筆の手引き」(38ページ、パスワードつき)は英語論文ダメ出し職人としての長年の経験に基づいて執筆しました。それには「日本語文書執筆の心得」が含まれています。私は常日頃、そこに記した自己流作法に忠実に守って作文し、添削しています。自由奔放に書き殴っているかのように見える本掲示板も例外でありません。しかし、その心得が人様のお役に立つかどうかは疑問です。一般に理工系の人たちのほとんどは、文章に無頓着ですから。

例によって、プレゼンテーション用のPDFファイルも配付します。

残る三つはレビューのPDFファイル(内一つは印刷中)です。上の4つと違って、入手困難というものではありません。

■ 2010年5月21日(金) Windows_versions.zipの更新

「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナーの参加者に配付するWindows用MPF_multiのテスト中に、MPF_multi.bat中で実行されるREMEDYサイクル収束判定用コマンドconverge.exeに些細なバグがあることが判明しました。そこでRIETAN_VENUSフォルダ中のconverge.exeを更新し、Windows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。MPF_multiを使わないならば、アップデートしなくても大丈夫です。

converge.exeに相当するコマンドはMac OS X用のMPF_multiにはありません。ループ内で環境変数をsetするのが困難なため(1月20日参照)、converge.exeでスクラッチファイルにRwpを記録しておくようにしたのです。「遅延環境変数の展開」なんて苦し紛れの姑息なテクニックには、見向きもしませんでした。

■ 2010年5月22日(土) 他社の自動車エンジニア曰く「あれを考えた人は天才だよ」、「なぜ、このシステムが成立するんだ?」

トヨタはなんと2年でプリウスの開発を成し遂げました。しかし、シリーズ・パラレル方式と呼ばれる、手の込んだトヨタ・ハイブリッド・システム(THS)の製品化には、少なくとも4年はかかりそうに見えます。わずか2年でTHSの発売に漕ぎ着けたのは、奇跡でないでしょうか。

トヨタがいかにしてそのクレイジー・プロジェクトを達成したかを知るために、木野龍逸の「ハイブリッド」(文春新書)を読みました。所詮はトヨタの提灯持ちに終始する本に過ぎませんが、THSの開発秘話には興味深いものがありました。本書の内容を要約すれば、

ということになります。

好き勝手に事を運び、実にいい加減で、突拍子もない野放図さ —— あたかも自分のことを言われているような気がします。VENUSに至っては、仕事も道楽もゴチャ混ぜ、まさにやりたい放題の暴走の果てに完成したソフトでした。上意下達のシステムが成立しているトヨタと違って、無理難題を問答無用で押しつけてくるエラい人はいませんでしたが。

VICS・VENDについての初めての発表では、胸の谷間も顕わな女性戦士の絵が入ったビデオボードの箱をスライドで示しました。ビデオゲームで使われるテクノロジー(OpenGL)をそのまま応用した、という訳です。DV-Xα法計算支援環境の開発も、脱線以外の何物でもありませんでした。なにしろ私にとって、電子状態の計算は未体験ゾーンなのですから。

自動車販売台数のトップを独走するプリウス同様、VENUSも「結果良ければすべてよし」(3月1日3月18日参照)ということにしていただければ幸甚に存じます。

トヨタは電気自動車のベンチャー企業テスラモーターズとの提携により、時間を金で買ったのだと思います。背に腹は代えられないということでしょう。THSのような純然たる自主技術をいずれ実現してほしいものです。

One more thing ..... 「ハイブリッド」という用語からの連想ですが、MPFも一種のハイブリッド・システムに他なりません。MEM解析が構造因子の改善を、全回折パターンフィッティングがカーブフィッティングと観測ブラッグ反射強度の再分配を受け持つことにより相互補完するハイブリッド構造精密化システムです。こちらも短期間(二三ヶ月)でコーディングを終えました。リートベルト解析における構造モデルよりのバイアスが減り、燃費の代わりにR因子が良くなるという御利益があります。

■ 2010年5月23日(日) 省力化

Adobe Illustratorで、Symbolフォントのギリシャ文字をイタリックにするのは、かなり面倒です。その文字だけ切り離し、オブジェクト > 変形 > シアー...で傾けなければなりません。つまり文字列の一部を傾けるのが無理なのです。理工系ユーザーにとっては、Illustratorの一大欠点だと思います。

そこで最近、全角のギリシャ文字を入力することにしました。最初からイタリックになっており、手を抜けます。全角なのが少々気になりますが、スライドなら差し支えないでしょう。

■ 2010年5月24日(月) これまたカルフォルニア大学サンタバーバラ校の研究成果 —— その理由

のWebページにはRIETAN-2000とPRIMAを用いMEM/リートベルト法で決定したLa2BaPdO5の電子密度と部分球棒模型をVESTAで可視化した派手なイメージが飾られています。

一般には、日本人以外の研究者が独力でRIETAN-2000+PRIMAを使いこなすのは、至難の業だと思われます。大量の日本語情報が利用できませんから。MEM/リートベルト解析どまりで力尽きたのも無理はありません。

大分前に上記論文の共著者の一人からメールを受け取ったことがあるのを思い出し、あらためてそれを読んだところ、私の弟子から一切合切教わったと書いてありました。それでは、筆頭著者はひ孫弟子ということじゃありませんか(絶句)。後進に道を譲り、成仏したくなってきました。

■ 2010年5月25日(火) セミナー会場変更のお知らせ

「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナー(5月28日)の会場をきゅりあん5階の第3講習室から第2講習室に変更するという連絡が情報機構から入りました。

第2講習室の方が広いです。定員倍増伝説の時ほどではないものの、参加者が予想より多かったのでしょう。情報機構のセミナーはこれで3回目ですが、今回の参加者数が最高です。前回のセミナー(大阪開催)のちょうど2倍となりました。

鋭意製作中の次世代VESTAの目玉商品によるイメージの作成を門馬君に依頼しました(まだGUIができていないため)。これを上記セミナーでチラっと見せることにします。無料ソフトでここまでサポートするのかと、皆様、びっくりされるんじゃないでしょうか。オブジェクト指向のC++プログラムだからこそ実現できた、魅力的な新機能です。

しかし、次世代VESTAをリリースするやいなや、応用範囲が広い当該機能は「あって当然」「ないんじゃ論外」となるに違いありません。なにしろ、VESTAは我が国における代表的3D可視化ソフトなのですから。まして商用ソフトがその機能を欠いていたら、致命傷となるでしょう。

■ 2010年5月26日(水) あと二日…

「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナーにおけるプレゼンテーション用のPDFファイル(260 MB)が出来上がりました。スライド184枚からなっています。もちろん講義では適当に間引きせねばなりませんが、「粉末X線解析の実際」第2版には記載してないことも多く、RIETAN-FPやVENUSのユーザーにとって、この上なく貴重な資料となるでしょう。

これから、参加者に進呈するアーカイブファイル(5月20日参照)の準備にとりかかります。

■ 2010年5月27日(木) このバージョン、スキップしてよし

Adobe Illustrator CS5が納入されたので、さっそくインストール。高額のアップグレード料金を徴収するにもかかわらず、32ビット・アプリケーション止まりだったのには失望しました。未だにCocoa化を果たしていないとは、怠慢の誹りを免れません。AdobeはもはやMac OS Xに力を注いでいないように見えます。

Jedit X v2.21がリリースされました。

■ 2010年5月28日(金) これから大井町に行ってまいります

昨日、「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナーの参加者に差し上げるアーカイブファイルの作成中にMac OS X用MPF_multiの軽微なバグ二つを発見し、あわてて修正しました(汗)。結局、98のファイルからなる217 MBのzipファイルをサーバーにアップロードしました。これにて準備完了。

■ 2010年5月29日(土) 「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナー無事終了

きゅりあんは品川駅の隣の大井町駅から目と鼻の先でした。これほど交通至便な会場も珍しいです。内部も清潔でした。

テキストは、一ページにつきスライド2枚ずつがきれいにカラー印刷されていました。さすが、プロが製作すると、見事に仕上げてくれます。

4時間立ちっぱなしの講義が終わった後、まだ2・3時間は平気でしゃべれそうな自分に気づきました。商談も一つまとめました。アクティブすぎます(笑)。

大学、独法、民間企業の方々を引き寄せた本セミナーの開催を通じて、自分が社会にしっかり繋がっている(社会から必要とされている)ことを実感しました。それが最大の収穫です。自作ソフトの配付に留まらず、ありとあらゆる機会を捉えて、知識と情報を伝えていくのが自分の使命と心得ています。

■ 2010年5月30日(日) 信用過多?

先週、長期金利は1.245 %から1.000 %に急落しました。1.000 %とは、ただならぬ低金利です。仮に6月3日の金利決定まで金利が変わらなかったとすれば、変動金利型10年満期個人向け国債の金利は0.2 %(税引きで、わずか0.16 %)に落ち込んでしまいます。

投資団体や銀行などが手持ち資金のはけ口として大量に国債を買いまくったのでしょう。いくら株価が低迷しているとはいえ、超借金大国の日本国債がそこまで信用されている理由がわかりません(注:5月31日には1.260 %にまで一気に戻しました。1.000 %は何かの間違いか?)。

ソブリン債という言葉があります。ソブリンというのは国家のことですから、ソブリン債=国債ということです。大分前から銀行はグローバル・ソブリン・ファンドという投資信託の売り込みに躍起になっています。PIIGS国債も組み込んでいる可能性が高いですから、警戒を怠ってはなりません。私は「どうせグリーン・ゴブリンのようにヤバいもんだろう」と思い、見向きもしませんでした。ソブリン危機という言葉が飛び交う昨今、先見の明があったと言えましょう。

ところで、先日、後半だけTVで観た「スパイダーマン3」では、グリーン・ゴブリンことノーマン・オズボーンの息子ハリー(ジェームズ・フランコ)はあの世に逝ってしまいました。ジェームズ・フランコは主人公のピーター役のオーディションを受けたのですが、ハリー役に回されたのだそうです。トビー・マグワイアでなくジェームズ・フランコにスパイダーマンを演じてほしかったと思うのは、私だけでしょうか。

■ 2010年5月31日(月) Just in time

4月上旬から書き始めた某協会誌、中性子特集号用のレビューを締切当日の今日、J-STAGEの投稿審査システムを通じて投稿しました。

■ 2010年6月1日(火) もう一回!

「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナー(5月28日)で私が実例を挙げながら述べた、中性子回折のユーザーが落ち込みやすい二つの陥穽については、目から鱗が落ちた方が何人かおられたようです。いかに今まで、肝心なことが覆い隠され、いい加減に処理されてきたかを悟ったことでしょう。■■を下げると面倒なことになるし、上げると手に負えなくなる —— 一筋縄では行きません。くれぐれもご注意ください。

どうも、これまでの講習会における自分の講義は通り一遍で、上っ面をなでていたように思えてきました。書籍や解説には記載されていないものの、実戦に即応用できるような知識も授けるという姿勢の方が歓迎されるのではないでしょうか。もっとも、今回のような4時間もの長丁場でないと、まず無理でしょうが。通常の講習会では1・2時間しゃべってお終い —— それじゃ短すぎるんですよ。

情報機構のスタッフの話では、上記セミナーの評判は上々だったとのこと。講義の内容に磨きを掛けるとともに福袋の中身(配布ファイル)をさらに充実させ、来年の適当な時期に再度開催したいと伝え、了承を得ました。

■ 2010年6月2日(水) ようやくプログラミングを再開

中性子関係の新機能を追加します。オリジナルなアイデアに基づいているため、やりがいがあります。

ところが初日から、一つの数式で躓いてしまいました。まずはこの問題を解決する必要があります。

しかし、あせるとろくな事はありません。一気に片付けようとせず、「いつかは終わるさ」と心に言い聞かせ、一歩ずつ前進していきます。

■ 2010年6月3日(木) Mac用数式作成ユーティリティ

LaTeXiT v2.2.0がリリースされました。講演や講義のスライドに貼り込む数式のPDFファイル作成に重宝しています。

話は変わりますが、最近、Internet Explorer 8によるMobileMe iDiskへのアクセスが、見違えるように安定かつ迅速になりました。どこがどう改善されたのかは不明です。

■ 2010年6月4日(金) やっぱり!

中性子回折関連のプログラミングで出鼻をくじかれた件(6月2日参照)ですが、International Tables, Vol. C中の数式が間違っていることが判明しました。念のためにOnline Editionを調べてみましたが、訂正されていませんでした。罪作りだよなぁ。この式を鵜呑みにしてコーディングしたら、自作ソフトが長年にわたり害悪を垂れ流し、なおかつ誰もそれに気づかないという最悪の事態に陥りかねませんでした。

この権威ありそうな本は要注意です。しかし、これだけメジャーな本だと、訂正事項も貴重な情報に相違ありません。

要するに、ほとんどすべての人たちはプログラムをブラックボックスとして使っているため、その数式など気にもとめなかったのでしょう。プログラム開発者は、そうは行きません。

ちなみに、microabsorptionの補正機能をRIETAN-2000に組み込んでいたときも、同書の他の箇所で、とんでもない間違いを見つけました。もっとも、こちらは誰でも気づくミスであり、Online Editionで訂正されていました。

余談ですが、10数年前にVol. CのエディターであるPrince先生から御高説を拝聴したことがあります。もうリタイアされていましたが、勤務先の居室をそのまま使っておられ、そこで面会していただいたのです。マルチカウンターで測定したデータの解析について詳しく教えていただいたと記憶しています。しかし、肝心の中身はすっかり忘れてしまいました(汗)。

プログラミングがデッドロックに乗りあげている間に、その道の専門家から当該機能に関する知識をばっちり仕入れておきました。半歩前進といってよいでしょう。1週間の停滞を余儀なくされてしまいましたが、来週から本格的にプログラミングを再開します。

■ 2010年6月5日(土) Mac用TeX文書作成ユーティリティ

私にとって、この上なく大切な商売道具TeXShopがv2.34にバージョンアップしました。RIETAN-FPやVESTAなどのマニュアルはTeXShopで組版しています。

TeXShop自身は*.texを編集し、種々のエンジンやユーティリティーを起動し、出力を表示するためのGUIを提供するにすぎませんが、LaTeX文書が迅速かつ快適に組版できるよう導いてくれます。RIETAN-FP・VENUS統合支援環境、ひいてはDV-Xα法計算支援環境は、TeXShopと祝鳥に触発されて開発しました。たとえばRIETAN-FP・VENUS統合支援環境におけるRIETAN-FP用入力ファイル*.insの編集は、TeXShopにおける*.texの編集に相当します。

上記二つの支援環境を世に送り出せたという意味でも、RIETAN-FPのマニュアル作成をきっかけにTeXShopを使い始めたこと(2006年10月15日参照)は、本当に幸運でした。

■ 2010年6月6日(日) 配付停止

「RIETAN-FP・VENUS徹底活用術」セミナーの参加者に対する配布ファイルは、すでに削除しました。ダウンロードし損なった方は、お手数ですが、私にご連絡ください。

■ 2010年6月7日(月) 広い視野にたって…

Mac用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境の基盤であるJedit XがRev. 2.22にバージョンアップしました。

RIETAN-FP・VENUS統合支援環境は粉末回折専用ですが、単結晶X線解析用の支援環境としてはWinGXYadokari-XG日本結晶学会誌, 51, 218 (2009))がよく使われます。Yadokari-XGはSHELX-97を大黒柱とする結晶学プログラム群の日本語GUIです。

VESTAのマニュアル、97ページに明記したように、SHELX-97で結晶構造を精密化する際、WinGXが出力するCIFには空間群のシンボルも番号も出力されない(ことがある)のですが、Yadokari-XGはちゃんと空間群のシンボルを出力してくれます(坂根弦太氏による。たとえばこの最新論文のCIFはOK)。したがって、Yadokari-XGがSHELX-97を介して出力するCIFは、VESTAで直接読み込めるはずです。万一VESTAで正しい空間群に設定されないCIFが見つかったならば、ぜひ私にお送りください。今後もheavy-dutyな業務用ソフトとしてVESTAを鍛え上げていく所存なので、そのようなファイルの提供を大いに歓迎します。

ここで、我々は粉末回折しか眼中にないというようなローカル指向でなく、むしろグローバル指向だということを強調しておきたいです。PRIMAとDysnomiaが単結晶X線・中性子回折データも扱えるのは言うまでもありません。VESTAに至っては、単結晶・粉末結晶解析(X線および中性子)、電子状態のシミュレーション、分子動力学計算のいずれにも役立ち、多種多様な物質・材料に適用可能な汎用ソフトです。それどころか、平行六面体およびその周辺に分布する任意の物理量までも三次元可視化できます。過去の実績と知名度が物を言う結晶解析ソフトと異なり、一目で分かるCGの威力を考慮すれば、VESTAを国際的に遍く普及させることも夢でありません。実際そうなりつつあるのは、本掲示板で数値データとして再三、提示した通りです(たとえば3月1日参照)。

研究専用の道具ではないことも指摘すべきですね。最大の売りである「無償でネット公開」に加え、視覚に対する訴求効果の高さゆえに、科学教育への貢献も見込めます。教育現場での活用が本格化すれば、ユーザー数は必然的に2桁は増えます。なんと間口が広く、懐が深いソフトでしょうか。

膨大な需要が見込めるからこそ、我々はVESTAの新装開店を目指し、その補強に注力しているのです。ニッチな案件(5月16日参照)にそっぽを向いているのも、そのためです。隙間風が気になり出したころ、おもむろに手を打てばいいでしょう。

■ 2010年6月8日(火) なんじゃ、これは

GoogleからGoogle AdWordsの5000円分無料お試し券が送られてきました。「今月末を期限として、あんたのホームページの広告を5000円分表示してやるよ」とのことです。検索連動型広告経由の訪問者が増えたところで、本Webサイトでは何も販売していないので、意味がありません。自作ソフトを無料で公開しているだけで、宣伝すべき品物もサービスも持ち合わせていないのです。

AdSenseのサイト主に片っ端から送っているのでしょう。面白半分でAdSenseに飛びついたに過ぎず、収益など当てにしていない私としては、Googleからの郵便をゴミ箱に放り込むしかありませんでした。

ちなみに、当Webサイトのクリック率(=クリック数/ページの表示回数)は0.68 %に過ぎません。収入は推して知るべし。

■ 2010年6月9日(水) LZH圧縮形式の使用中止の呼びかけ

Micco's HomePageでは、もはやLZH書庫の利用は勧められないと注意を喚起しています。

■ 2010年6月10日(木) 圧縮の極致

結晶軸の変換行列P、その転置行列Pt、格子の基本テンソルGは、いずれも3行3列の行列です。今日は、結晶軸を変換した格子の基本テンソルG'(=PtGP)を計算するコードの短縮化に挑み、

PTGP = MATMUL(MATMUL(TRANSPOSE(P),G),P)

という1行に圧縮することに成功しました。

といっても、Fortran 90/95にかかれば、この程度の芸当は朝飯前です。もちろん、人に見せるほどの値打ちはありません。ネタの枯渇につき、今日はこんなところで勘弁してください、といったところです。まさかAKB48総選挙についてコメントするわけにはいかんでしょう。偽造する者まで現れたという握手券に至っては、なおさらです。

ついでに一行芸をもう一つ。配列の全要素を特定の数にするのは、いとも簡単です。たとえば

A = 0.0

で、二次元配列A(1000,1000)の百万個の要素を一行でゼロにできます。

この他、条件を満たす配列要素に対する演算WHERE, ELSEWHERE, ENDWHEREはすこぶる強力なので、Fortran 90/95のユーザーはできるだけ使うよう心がけましょう。

といっても、これから大規模なアプリケーションを自主開発しようという意欲に燃えている人には、オブジェクト指向が不徹底なFortran 90/95は勧められません。将来性、拡張性、安全性、クラスの活用による開発効率の向上を重視するならば、やはりC++が最良の選択でしょう。CやFortran 77は論外です。短いユーティリティーを作成するだけなら、どの言語でも構いませんが。

■ 2010年6月11日(金) Mac用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境の基盤

Jedit Xが早くもRev. 2.23にバージョンアップしました。

■ 2010年6月12日(土) ハイテク広告

Google Chromeをメインのブラウザとして使い始めて二ヶ月が経ちました。アンダーライン付きのリンクに慣れただけでなく、Googleがブラウザまで供給するようになった理由の一つを悟りました。つまり、ユーザーが閲覧したWebサイトに関する情報を収集・解析し、それらと密接に完成したAdSense広告を配信するように自己組織化するのです。

さすがはGoogle、高度なテクニックを駆使しているなぁ —— と感心しますが、自分の行動を監視されているような薄気味悪さを感じてしまうのも事実です。

■ 2010年6月13日(日) 38/100

週刊ふるさと百名山の全面広告が新聞に出ていましたが、暑寒別岳、金北山、高尾山、倶留尊山、金剛山、弥山などは百名山と言えるのかな、と首を傾げてしまいました。結局、日本全国をまんべんなく網羅し、少しでも販売部数を増やそうという意図なのでしょう。商魂ばかりが目に付き、いただけません。

そもそも百名山という文言は、深田久弥の名著「日本百名山」に端を発しています。自分はいったい元祖百名山にいくつ登ったことがあるのだろうと思い、数えてみたところ、38でした。

30代に入ってから一つも増えていないのは、生来の飽きっぽい性格を反映しています。本業の構造解析でさえ飽きたくらいですから、山登り(=辛抱我慢の世界)に飽きるのは当然の成り行きでした。

38ということは、後二つで40! ほとんど歩かずに済むような山に登るのも一興ですね。

ちなみに38山のうち、もっとも印象に残っているのは北岳と間ノ岳(白根三山)です。小型台風の通過直後だったため、北岳から間ノ岳を経て農鳥岳まで縦走し下山するまで、快晴だったにもかかわらず、ほとんど人に会いませんでした。

百名山とは無関係ですが、富士山より高い地点に二度立ったことがあります。山以外では、シカゴのウィリス・タワー、トロントのCNタワー、モスクワのオスタンキノ・テレビタワーにも(エレベーターで)登りました。このように高いところが好きなのは、自分の名前のせいかもしれません(笑)。

■ 2010年6月14日(月) サムいギャグ

自民党の谷垣総裁が党本部での会合で開口一番「『ガッキー』こと谷垣禎一です」と切り出し、失笑を買ったそうです。

私もジョークが苦手なので、人のことをとやかく言えません(2007年1月20日参照)。そういえば、谷垣総裁も私も、存在感のないところが似てますね。そういう影の薄い人間が目立とうとすると、ろくなことはありません。大人しくしているに限ります。

以上、自戒のために記しました。

■ 2010年6月15日(火) 「数字にしか価値を見出せない」

W杯、日本-カメルーン戦で先制点を奪った本田圭佑の弁だそうですが、私も同じようなものです。本田との違いは、私の場合、主語が組織、世間、業界だというところです。コイツはソフト開発、被引用数の多さ、集客能力以外に取り柄がない、という目で見られているのではないでしょうか。

ということは、とりもなおさず、ソフトの開発が滞り、被引用数と集客数が落ちてきたら価値が薄れるということに他なりません。でも心配は無用です。凋落する前に、さっさと姿を消すつもりですから。

ともあれ、ソフトは使われてナンボ、論文は引用されてナンボ、講習会・講演会・セミナーは人が集まってナンボ、書籍は売れてナンボ(専門書の場合、損益分布点は1000部)、特許は実施されてナンボに相違ありません。書籍はともかく、特許で儲けたことなんかないだろ、と誹るなかれ。私の売りの一つは意外性です。詳細は省きますが、かなり○○の●●●を■■した実績があります。

■ 2010年6月16日(水) 未だにエアコン運転開始せず

この劣悪な環境では、Time Capsuleが壊れちゃうんじゃないでしょうか。

一昨日、胃がん検査を受診して以来、体調が芳しくありません。あまりの蒸し暑さに耐えかね、今日は頭脳労働は無理と判断し、雑用処理デーとしました。

まずはVESTAの使用許諾を一件処理し、1年8ヶ月で早くもへたったMacBook Proのバッテリーを交換しました。さらにMac OS X、Windows 7(Boot Camp)、両OSのアプリケーションをことごとくアップデートし、Mac用Intel Fortran Compilerの見積もりを依頼し、さらに来客を応対しているうちに一日が過ぎました。

■ 2010年6月17日(木) 正しい優先順位

Windows版、Mac版のいずれか一つしかない科学技術計算用ソフトは結構あります。大多数はWindows版だけというヤツですが。

Macユーザーには、いざとなればBoot Campや仮想化ソフト(VMware、Parallels Desktopなど)を介してWindows版を使うという手があります。しかし会社の業務にはWindows機しか使えないという方も多いのではないでしょうか。だから、まずはWindows版を作り、余裕があったらMac版も、というのがユーザー本位のスタンスなのです。大のWindows嫌い、Mac命の私でさえ、RIETAN-FPでは躊躇せずそうしました。

マルチプラットフォームを前提に設計さえしておけば、VESTAのようなGUI付きソフトでも、三つのOS用のバージョンを同時リリースするのは、比較的容易です。新開発のソフトでその程度のことが実現できないようでは、技術力低すぎ、アマチュアレベル、手抜きの誹りを免れません。

ちなみに、今年に入ってからの当ホームページの訪問者が使っているOSをGoogle Analyticsで調べたところ、

Windows: 75.77 %
Mac OS X: 22.67 %
Linux: 0.98 %
FreeBSD: 0.31 %
iPhone: 0.18 %
iPod: 0.06 %
iPad: 0.02 %

というデータが得られました。つまり、WindowsユーザーはMaユーザーの3.3倍はいるんです。民間企業での業務用PCに話を限れば、軽く10倍を越すんじゃないかな。ですから、Windows版の最優先は至極当然の姿勢だと思います。

それはそうと、当ホームページをiPodで閲覧する人がいるのには驚かされました。iPhoneやiPadは想定の範囲内でしたが。

■ 2010年6月18日(金) BiMnO3+δの結晶・磁気構造と物性

Alexeiは相変わらずproductiveですなぁ:

RIETAN-2000の磁気構造解析機能がお役に立てて嬉しいです。当該機能の使い方は、以前BiCoO3の反強磁性磁気構造を解析したときに、彼に教えました。マニュアルに全部書いてあることなんですけどね。

Alexeiと初めて会ったのは、彼の母校のモスクワ大学で開かれた国際会議のポスター会場だったと記憶しています。RIETAN-2000を利用して得た成果を発表するとき引用するよう要請している論文は6th European Powder Diffraction Conference(ブダペスト)で発表しましたが、その時、彼に再会しました。いずれの会議でもRIETANを使用したリートベルト解析結果を発表していたので、私の下で学ぶ気があったら連絡するよう伝えました。すっかり忘れたころ、ポスドクとして働きたいというメールが彼から届きました。

STAフェローとして2年間雇用した際の活躍ぶりは2001年6月3日の掲示板に書き込んだ通りです。

彼が京大に移る前の半年余りは生き地獄でしたよ。1ヶ月に1報ずつ論文を書き上げるので、その添削に大童でした。おかげで、翌年初めの業績評価の際には、彼の指導者として理事長から特別ポイントを頂戴しました(笑)。

ここのところ、RIETAN-2000/FPに関する論文の被引用数はぐんぐん増えています。一方、VESTAに関する論文の方は、なぜか伸び悩み気味なので、メジャーチェンジとプロモーション兼教育活動を通じ、テコ入れを図っていく予定です。後者については、近日中にここでお知らせします。

■ 2010年6月19日(土) エコロジーの幻想

蒸し風呂状態に耐えかね、人間様でなくDELL Precision T5400がダウンしました。スリープ状態から目覚めず、画面に何も表示されません。電源を強制的に切って、再起動してもダメ。あれこれ試みているうちに、自然に復旧しました。いずれまた不調になる可能性が大です。

デスクトップ機は温風器のようなものです。したがって、6月中旬にもなってデスクトップ機が何台も置かれた部屋を冷房しないと、必然的にこういうトラブルが多発します。とりあえず、空調の稼働開始までT5400の使用は最小限に留めることにしました。省エネというと、時代の流れに沿っているように見えますが、大局的には損失になることもあるんですよ。長時間仕事がストップするのは、どうみてもまずいでしょう。何よりも健康に悪いです。

政府は特典つきでエコカーとエコ家電製品の購入を奨励していますが、景気回復のためのまやかし的キャッチフレーズにすぎません。製品の製造過程で消費するエネルギーや排出される二酸化炭素、希少資源の大量消費、リサイクルにかかるコストまで考慮すれば、古い物をできるだけ長く使う方がよほどエコだということは、小学生にも理解できる理屈です。

ということで、今週、11歳のボロ車を車検に出しました(枕詞が長すぎ)。

■ 2010年6月20日(日) 頭の上の蠅も追えないMobileMe

MobileMeがアップデートされましたが、Internet Explorer 8以外のブラウザでHTMLファイルをアップロードすると、Firefoxがそのファイルを表示せず、ダウンロードしてしまうという不具合は未修正のままでした。頼りになるのはマイクロソフト製のブラウザだけ、というところが情けないです。

■ 2010年6月21日(月) 5月1日発行のPhys. Rev. Bには

VESTAで作成した図を使った論文がなんと5報も掲載されています:

  1. S. Körbel, P. Marton, and C. Elsässer, "Formation of vacancies and copper substitutionals in potassium sodium niobate under various processing conditions," Phys. Rev. B, 81, 174115 (2010).
  2. B. J. Maier, A.-M. Welsch, R. J. Angel, B. Mihailova1, J. Zhao, J. M. Engel, L. A. Schmitt, C. Paulmann1, M. Gospodinov, A. Friedrich, and U. Bismayer, "A-site doping-induced renormalization of structural transformations in the PbSc0.5Nb0.5O3 relaxor ferroelectric under high pressure," Phys. Rev. B, 81, 174116 (2010).
  3. K. Tsuda, D. Morikawa, Y. Watanabe, S. Ohtani, and T. Arima, "Direct observation of orbital ordering in the spinel oxide FeCr2O4 through electrostatic potential using convergent-beam electron diffraction," Phys. Rev. B, 81, 180102(R) (2010).
  4. E. R. Ylvisaker, R. R. P. Singh, and W. E. Pickett, "Orbital order, stacking defects, and spin fluctuations in the p-electron molecular solid RbO2," Phys. Rev. B, 81, 180405(R) (2010).
  5. G. Nénert, I. Kim, M. Isobe, C. Ritter, A. N. Vasiliev, K. H. Kim, and Y. Ueda, "Magnetic and magnetoelectric study of the pyroxene NaCrSi2O6," Phys. Rev. B, 81, 184408 (2010).

これらの論文では、結晶構造、スピン(磁気モーメント)、電子密度、静電ポテンシャル、波動関数が可視化されています。筆頭著者はそれぞれドイツ、ドイツ、日本、アメリカ、フランスの研究者であり、VESTAがすでに国際的に普及している様子がうかがえます。

■ 2010年6月22日(火) 「三次元可視化システムVESTAの高度化と利用技術」研究会

VESTAのテコ入れを図ると6月18日に記しましたが、具体的には、客員教授を務めている名古屋工業大学の御器所キャンパスでNIMS-名工大研究会「三次元可視化システム VESTAの高度化と利用技術」を8月前半に開催する予定です。現在、門馬君が製作に没頭しているVESTA 3のお披露目を兼ねており、教育・研究の現場からのフィードバックを期待しています。外部にも開かれた集会とし、参加者にはVESTA 3のベータ版を差し上げます。日時、場所、プログラムなどが確定したら、ここでお知らせします。

RIETAN-FPやVESTAなどの開発では、講習会や講演会までに新機能を追加したり、ドキュメンテーションを充実させたりといった流儀で、遮二無二突っ走ってきました。そういうdeadline-drivenな体質は今更変えようがありません。

私は「RIETAN-FPとVESTAとの連携によるリートベルト・MPF解析」というタイトルで講演します。VESTAーRIETAN-FP(未公開版)の連携を通じた反強磁性体の磁気構造解析についても述べたいです。最近発表されたばかりの論文

にVESTAで描いたCoMnSiの磁気構造モデルの図が使われていたのに刺激を受けたためです。

■ 2010年6月23日(水) これは便利: Dropbox

複数のPCに記録されているメモ帳を同期できるEvernoteを愛用していますが、最近、特定のフォルダの内容を自動的に同期するDropboxというクラウド・サービスも利用し始めました。今のところ英語版だけ提供されていますが、あっけないくらい簡単に使えます。

2 GBまでなら無料です。Mac Proに蓄積した大量のデータのバックアップは無理ですが、絶対に失いたくないデータや作業中のデータのバックアップと複数PCでの作業には十分役立ちます。

■ 2010年6月24日(木) プログラム更新3件

Mac用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境の基盤Jedit X Rev. 2.24がリリースされました。

Mac用Open/Saveダイアログ強化ユーティリティDefault Folder Xがv4.3.8にバージョンアップしました。

Mac OS X・Windows用Igor Pro 6.20ベータ版のアップデータが公開されました。Windows版は64ビット・アプリケーションv6.2.0.1も含んでいます。

Apple以外からのMac OS X用64ビット・アプリケーションの出荷は滞っています。Igor Proも64ビット化されていません。私のMac Proの場合、VirusBarrier X5Transmit、自家製のPRIMAとDysnomiaくらいです。

■ 2010年6月25日(金) 毎度おなじみの埋め草

VESTAに関するレビュー

と論文

の被引用数がそれぞれ66(Google Scholar調べ)と187(ISI Web of Knowledge調べ)となり、合計値253が250を突破しました。

以上、3月29日の掲示板のコビー&ペースト+微修正でした。

このペースだと、9月下旬には被引用数300を達成できそうです。Google Scholarはとりこぼしが相当多いので、実際にはIUCr Newsletterの被引用数は100に近づいていると推定しています。

■ 2010年6月26日(土) 一斉に消えた広告

当Webサイトのあちこちに置いたAdSense配信広告が空白になってしまいました。

もうAdSenseには飽き飽きしたので、消滅の原因を調査する気すら起きません。数日待っても復旧しないようなら、退会するつもりです。

■ 2010年6月27日(日) Lachlanの死

Lachlan Cranswick(1月28日参照)の遺体がOttawa riverで見つかりました(NRCのニュースによる)。

私はIUCrのNewsletterに過去4回寄稿したことがありますが、いずれも彼から依頼されたものでした。一昨日記したレビューも、その一つに他なりません。

IUCr国際会議における催しでの講演を断ったのは今でも悔いています。来年開催予定のIUCrの行事で、門馬綱一君にその埋め合わせをしてもらおうと考えています。

2月22日に記したように、Lachlanにはオークリッジとブダペストで2回お目にかかったことがあります。彼は昇天したのに決まっていますし、私はあの世で別なところに行くので、もう二度と会うことはないでしょう。ご冥福をお祈りします。

■ 2010年6月28日(月) 未だに広告が消えたままなので、

あっさりGoogle AdSenseを退会しました。今後、本WebサイトにAdSense配信広告は表示されません。

ホームページのHTMLファイルからAdsenseのためのスクリプトを除去する際、誤ってGoogle Analytics用スクリプトまで取り除いてしまいましたが、Time Machineが救済してくれました。

新しもの好きの私にはとても興味深い試みで、良い社会勉強になりました。2008年10月開始以来の収益は、その間のMobileMeの年会費をすべてカバーし、多少のおつりが残る程度の額でした。

ところで、広告の消滅は、お前もさっさと消えてなくなれ、という警告なのでしょうか。この世は、とうに賞味期限切れした人が老害を振りまいている事例で満ち溢れています。自分もその一人なのだとしたら、速やかにリタイアすべきでしょう。

人生には潮時がある。
「ジュリアス・シーザー」(シェークスピア)より

自分の研究人生には「潮時」がまだ到来していないと信じているからこそ、現役を続行しています。そう思い込んでいるだけだとしたらナンセンスですが、客観的な数値データに基づいて評価する限り、順風満帆 —— 陰りは微塵もありません。「潮時」の判断は実に難しいです。

■ 2010年6月29日(火) しばらくぶりに、

雑用その他のために中断していたプログラミングを再開。注釈不足のため、ソースコードを理解するのに一苦労しました。

■ 2010年6月30日(水) お疲れさま

15年の長きにわたり乗ってきたシビックを来月いっぱいで廃車にすることに決めました。

■ 2010年7月1日(木) VESTA 3のお披露目

6月22日に予告した

NIMS-名工大研究会「三次元可視化システムVESTAの高度化と利用技術」(8月9日、名古屋)

に関するお知らせを講演と講習のお知らせに掲示しました。門馬君が数ヶ月前から全力で開発に取り組んでいるVESTA 3を紹介・実演する初の場となります。社会に向かって解放された催しとするために、名工大の教職員・学生以外の参加も歓迎します。「VESTAを科学教育に役立たせたい」、「開発者を激励したい」と考えておられる方々も、ぜひお越しください。

VESTA 3はVESTA 2.Xとは別次元のソフトといって過言でありません。オブジェクト指向プログラミングの粋を凝らし、核心部分まで大幅に改造されています。

VESTA 3には、名工大の井田 隆准教授が作成されたプログラムも新機能の一つとして導入されました。構造解析分野における名工大-NIMS連携がこのように具体的な形となって現れたのは、誠に喜ばしいことです。

とりあえず、今日はこれまで。今後、本掲示板で断続的に宣伝していきます。

■ 2010年7月2日(金) あの講習会はなぜあれほど人気が…

2009年11月11日に記したように、昨年11月に名工大で開催した「科学英語論文執筆の手引き」講習会は予想外に多くの参加者を集めました。「三次元可視化システムVESTAの高度化と利用技術」研究会も盛会となるよう精一杯努力します。自分たちの専門に直結した研究会が英語の講習会ほどには人を集められなかったとしたら、面目丸つぶれ、汗ダラダラ状態になりますから。

確かに私は英文・和文の添削が得意ですが、所詮、独創性の要求される仕事じゃありませんからね。そんな余技で評価されたところで、さほど嬉しくないです。ダメ出しの空しさを悟り、この数年は大なり小なり手を抜くようにしています。

VESTA 3のプロモーションが不発に終わらぬよう祈るのみです。

■ 2010年7月3日(土) 著名LaTeX入門書の最新改訂版

が7月7日に発売となります。これまでは改版ごとに購入していましたが、第5版はどうしようかなぁ。「独習LaTeX2ε」が手元にありますし、私が必要とするレベルの情報はすべてネットで収集できるんですよね。

ともあれ、出版不況にもかかわらず5回も改訂を重ねたというのは天晴れです。

■ 2010年7月4日(日) Windows 7におけるファイル検索(メモ代わり)

エクスプローラでファイル・フォルダを検索するには、ナビゲーションウィンドウで選択したドライブあるいはフォルダ以下の階層に存在するファイル・フォルダを右上の検索窓で入力する。

検索結果を右クリックし、[ファイルの場所を開く]をクリックすると、そのファイルが存在するフォルダが表示される。

■ 2010年7月5日(月) 二昔前の思い出

昨晩、何気なくテレビのチャンネルを回していたところ、「世界ふれあい街歩き」でオランダ北部の都市アルクマールを紹介しているのが目に付きました。「アルクマール、歩き回る? 面白い地名だなぁ」というのが最初の印象でしたが、なんとなく聞き覚えがあるような気がしました。記憶の糸をたどり、21年前の6月にアルクマール駅に降り立ったことがあるのを思い出しました。

そこから車で二三十分の距離にある田園地帯のモーテルに何泊かしました。部屋は十分広かったのですが、薄っぺらいカーテンには参りました。朝日が昇るとすぐ部屋中が明るくなり目がさめてしまうのです。夜の9時ぐらいまで明るい上に朝がこの有様では、睡眠不足は必至でした。実際そうなったかどうかは覚えていません。

■ 2010年7月6日(火) おバカソフト?

MS Wordで書いた和文原稿(両端揃え)をPDF形式で出力したとしましょう。その中に含まれている英単語をAdobe Readerで検索すると、「Reader による文書の検索が終了しました。 一致するものはありませんでした。」というメッセージがしばしば出力されます。たとえば"addition"という単語が見つからなかったら、"a d d i t i o n"というようにスペースを挟むと、ちゃんと検索してくれます。どうもアルファベット文字間に幅の狭いスペースが挿入されていると解釈しているようです。Adobe Acrobat Professionalでも同様です。

こんなこともできないようでは、使い物になりません。こういうトラブルを解決にはどうしたらいいのでしょうか。ご存じの方はぜひお教えください。

ちなみに、Mac OS Xに付属しているプレビューは完璧に検索してくれます(お前は偉い!)。

■ 2010年7月7日(水) 室温で光誘起の相転移を示す酸化物を初めて発見

東大のOhkoshiらは逆ミセル法とゾルゲル法の組み合わせにより室温で光可逆的にβ-Ti3O5へ転移する酸化物λ-Ti3O5のナノ結晶を合成することに成功しました:

SiO2マトリックス中のλ-Ti3O5のX線リートベルト解析にRIETAN-FPが使われました。

■ 2010年7月8日(木) 「最後の聖戦」従軍記

雑用、来客、投稿原稿の修正などに対処しつつ、オリジナルなアイデアに基づくプログラミングを牛歩の如きスピードで続行中です。どこをどのように変更したかを把握できるように昨日から作業日誌をつけ始めました。10年以上前、MPFの機能をRIETANに実装した際にも、こうしました。かなり大規模な改訂なので、慎重に前進していかねばなりません。

2月16日にJ-PARC製ソフトのサムすぎる現状を歯に衣着せず批判しましたが、こうなるのは誰もが「事前に織り込み済み」だったようで、反響は皆無です。

まずは己が「ざっとこんなもんだ」と手本を見せてやらないと、誰も付いて来ません。未熟なもの、低レベルなものを酷評するよりは建設的なことに没頭し、追随を促す方がよほどまし。老骨に鞭打ち、やるっきゃないです。

■ 2010年7月9日(金) Xcodeのエディタなんて使う気がしねぇ

現在改訂中のプログラムは、基本的にJedit X上でコーディングしています。ソースコードを数個のファイルに分割しているため、Jedit Xの強力なマルチファイル検索機能が役立ちます。ファイルリストに名前を付けて登録できるのも便利です。

検索終了後、ただちに[完了]ボタンをクリックして進行状況ウィンドウを閉じ、検索結果ウィンドウを表示させるのがコツです。検索結果の窓を閉じる際には、[すべてをクリア]をクリックしておくとよいでしょう。

今日は上記機能のおかげでプログラミングが大分進展し、佳境に入って来ました。遅くとも2週間以内には目処を付けたいです。

ちなみに、当掲示板はJedit X+AppleScript Macro Collection for HTML Ver. 2.3で書き散らしています。今どき、HTMLファイルをエディターで編集している人は珍しいんじゃないでしょうか。

■ 2010年7月10日(土) VESTAに関する総説のネット公開

日本鉱物科学会の和文誌「岩石鉱物科学」のために執筆した総説

が、本日、J-STAGEで早期公開されました。三次元可視化プログラムというよりは、結晶学的研究用ツールとしての側面を強調した内容となっており、粉末回折ばかりでなく単結晶回折における利用技術にも言及しています。また雑誌の性格上、能う限り鉱物を扱うよう努めました。

39巻4号が正式に刊行され、ページが確定した時点で再度お知らせします。

この総説で紹介しているのは、もちろん現行のVESTA v2.1.Xです。「むすび」に「VESTA製作の動機でもあった幾つかの先進的機能は、未だに実現できていない。」との文言がありますが、それらの機能はVESTA 3(6月22日7月1日)で実現する運びだと申し添えておきます。VESTA 3に興味をお持ちの方々は、「三次元可視化システムVESTAの高度化と利用技術」研究会にぜひご参加ください。

■ 2010年7月11日(日) Mac用TeX文書作成支援環境

TeXShop v2.36が公開されました。かなりの頻度でバージョンアップされていますね。

結局、「LaTeX2ε美文書作成入門」改訂第5版7月3日)を購入しました。早速、付属のDVD-ROMに収録されていたMac用ptexlive for TeX Live 2009を自宅のiMac(Leopard)にインストールし、同書の349〜350ページに記載されている通りに環境設定しました。残念ながら、日本語文書をタイプセットしても、

### eplatex -kanji=utf8 ex1.tex
dyld: unknown required load command 0x80000022
/usr/local/texlive/p2009/bin/i386-apple-darwin10.3.0/pdfplatex: line 4: 9244 Trace/BPT trap eplatex -kanji=utf8 "$@"
### dvipdfmx ex1.dvi
dyld: unknown required load command 0x80000022
/usr/local/texlive/p2009/bin/i386-apple-darwin10.3.0/pdfplatex: line 10: 9246 Trace/BPT trap dvipdfmx "$dvifile"

というエラーメッセージをコンソールに出力した後、止まってしまいます。

たぶんSnow Leopardだったら、問題なく動作するのでしょう。しかし、原因究明に時間を費やす気はありません。従来通り、小川版pTeX・GhostScriptパッケージを使えばいいだけのことですから。とはいえ、上記トラブルの原因に察しが付くというエキスパートがおられたら、ぜひ教えを請いたいです。

■ 2010年7月12日(月) 一昨日は本だけでなく

新車も買いました。チャリですが… 自転車屋さんからじゃがいもをどっさりもらいました(笑)。

■ 2010年7月13日(火) Dropboxの威力を増進する小技

Dropboxの唯一の欠点は、同期すべきファイルやフォルダを特定のDropboxフォルダに置かねばならないことです。ただしUNIXでお馴染みのシンボリックリンクを使えば、Dropboxフォルダへのコピーは不要となります。すなわちシンボリックリンクにより、バックアップすべきフォルダがDropboxフォルダに存在するかのように偽装すればよいのです。

詳しくはこれをお読みください。

単純なバックアップだけでなく、MacのTime Machineのようなファイルの復元もできます。

シンボリックリンクはターミナル(Mac OS X)あるいはコマンドプロンプト(Windows)でコマンドを打ち込んで設定しています。クラウド・サービスの代表選手と時代遅れなコマンド入力のミスマッチが堪えられません。

■ 2010年7月14日(水) 給与と「やる気」の相関関係について

みんなの党は国家公務員の人件費の2割削減を公約として掲げています。国家公務員は全員が反対し、国家公務員以外は大半が賛成するんでしょうね。皆、己のことしか考えていませんから。

病み衰えつつある日本が背負った膨大な借金は、たとえ消費税を現行の2倍や3倍に上げたところでほとんど減らせません。仮に今後、景気が持ち直し、税収が増えたとしても、国債の金利上昇で相殺されますから、借金の返済は滞ったままでしょう。他種の増税にも踏み切らざるを得ないと見ています。そこまで突っ走っても焼け石に水、いずれは財政破綻寸前の状態に陥ったギリシャと同様に、公務員の給与や年金を大なり小なりカットせざるを得ないのは確実です。それが、少子高齢化とグローバル化の波に翻弄される我が国の現実です。

しかし、手元不如意になると「やる気」も削がれるんですよね。少なくとも私の場合、給与と「やる気」の相関係数はかなり高いです。自分のやりたいことさえやれているなら、収入なんて二の次、三の次だなんて、これっぽっちも思っておりません。給料に見合うだけ仕事すれば十分、という冷徹な態度が、根っからの俗人たる私の基本的スタンスです。

しかし、そう悟りを開いたにもかかわらず、成仏し切れていないところが多々あり、少なく見積もっても、もらっているサラリーの■倍も仕事を(以下の妄言はすべて省略)

■ 2010年7月15日(木) こんなところでもRIETAN-FPが…

物質・材料研究機構 データベースステーションの徐 一斌女史から、結晶基礎データベース(Pauling File)が無機材料データベースAtomWorkとしてリニューアルオープンされたとの知らせが届きました。

上記データベースに含まれる粉末X線回折データ(hkl、2θ、d、回折強度)を計算するために、RIETAN-FPのソースコードを提供しました。お役に立てて光栄です。AtomWorkはSTRUCTURE TIDYで結晶データを標準化しているため、RIETAN-FPとの相性が良いです。

あっ、AtomWorkはMac OS Xに対応していない(ガクッ)。

と思いきや、実際にMac Proでトライしてみたところ、とくに支障なく使えました(ホッ)。

マウスによる結晶モデルの回転も可能でした。当初、CIFのダウンロードがなかなかうまくいかなかったのですが、画面に表示された文字を入力する際、文字間にスペースを入れていたのが原因でした。もちろん、ダウンロードしたCIFはVESTAで入力・表示できます。VESTAを使えば、ブラウザ上でのプリミティブな球棒模型(単位胞内)表示とは比較にならないほど高度な3D可視化と結晶学的計算の機能を享受できます。

このデータベースの編集者に大崎健次先生も加わっておられるところをみると、AtomWorkは日本結晶学会のWebサイトで配付されている無機結晶構造データベースも包括しているはずです。

ICSDは大学以外、とくに民間企業では、かなりの出費を強いられます。たとえICSDが利用できない環境にあっても、AtomWork(86,000件)とCrystallographic Open Database(109,214件)を併用すれば、かなり高い確率で無機化合物のCIFが手に入るでしょう。

なお「無機材料」という看板を掲げてはいるものの、金属材料(合金など)の結晶データも収録しています。たとえばJR東海の超電導リニアで採用されるNb-Ti系合金の場合、"Nb Ti"を検索すれば、4つの合金がヒットします。CRYSTMETの代わりにも使える(可能性がある)ということです。

■ 2010年7月16日(金) ちょっと目新しいイメージ

有機分子磁石の結晶構造とスピンの描画にVESTAが使われたのを初めて拝見しました:

Stephens教授は粉末回折の分野で非常に高名な研究者です。彼が考案した異方的ブロードニングの補正式はリートベルト解析プログラムではよく使われています。2006年6月に開かれたHarima International Forumで、私と門馬君の講演"Development and applications of pattern-fitting three-dimensional visualization systems"を聴いておられ、質疑応答のとき「3D可視化のソフトの開発、大いにがんばってください。期待しています。」と激励されたのをはっきり覚えていますが、社交辞令と受け取りました。まさか4年後にご自分でお使いになるとまでは想定していませんでした。

■ 2010年7月17日(土) 元の木阿弥

自宅のiMac(Leopard)でpTeX最新版が動かなかったことを7月11日に報告しましたが、結局、小川版pTeX・GhostScriptパッケージ(旧パッケージ)に戻しました。といっても、単に環境設定 > 書類で設定プロファイルを"pTeX (Shift JIS)"にしただけです。

今後はもう小川版一筋でいきます。浮気厳禁!

■ 2010年7月18日(日) 自家製文献スタイルファイル

RIETAN-FPとVESTAのマニュアル中の引用文献はunsrt.bstという文献スタイルファイルに従って出力しています。本文で参照した順に並べてくれるのは結構ですが、どうにも書式が気に入りません。どれがボリューム、ページ、年号なのかが判然としないのです。たとえば原著論文の場合、著者名, 雑誌名, 巻, ページ (年号)という順で、雑誌名はイタリック、巻はボールドという書式が私は好きです。RIETAN-FP_manual.pdf中の日本語文書「多目的パターンフィッティング・システムRIETAN-FPについて」の引用文献がそれに該当します。unsrt形式は私の好みからかけ離れています。このため、独自のスタイルファイルへの切り換えが長く宿題として残っていました。

実り多き3連休とするべく、昨日からRIETAN-FPのマニュアル中の"多目的パターンフィッティング・システムRIETAN-FPの新機能について"という日本語文書で採用している形式の文献スタイルファイルを作成し始めました。具体的には、旧BCSJ形式のスタイルファイルを改造し、my.bstと改名しました。

@manualは@bookで代行し、'organization'を'publisher'に代えます。volume, edition, editor, pages, chapterなどについてはちょっとした裏技が必要となりますが、ルールはごく簡単ですし、自分一人で使う分には差し支えありません。my.bstを使って実際にRIETAN-FP_manual.texをタイプセットしてみたところ、unsrt形式より、はるかに明快な出力が得られました。

unsrt形式に戻しても正常にタイプセットできるという互換性の高さと非の打ち所がないほど完璧な出力結果が自慢の種です。

■ 2010年7月19日(月) 最終仕上げ

RIETAN-FP_manual.bibを修正し、形を整えました。タイプセット結果も綿密にチェックしました。文献数が165にも達しているとかなりの作業量で、予想外に消耗しましたが、宿願の達成に深く満足しています。

「LaTeX2ε美文書作成入門」改訂第5版を読んでいたら、三美印刷ではMicrosoft Officeで作成したデータをAVANAS MultiStudio Officeという業務用製版編集ソフトで印刷用データにしていると書かれていました。しかし、TeXなら高品質の組版データからなるPDFファイルを直接出力してくれますから、目玉が飛び出るほど高価なプロ用ツールなど不要です。一切合切すべて無料 —— 素晴らしいじゃありませんか。

■ 2010年7月20日(火) 配付ファイルを久々に更新

Windows・Mac OS X用のRIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。RIETAN-FP_manual.pdfを引用文献の形式を改めたもの(7月18日)に差し替えた他、他のマニュアルのいくつかを微修正しました。RIETAN-FP_manual.pdf中の引用文献のリストを眺めれば、私が文献の書式変更に熱中した理由を理解していただけるでしょう。

さらに、非対称単位内の原子を最大300個まで扱えるようORFFEを改善しました。これで、RIETAN-FPとの互換性を確保できました。

自作ソフトを安心して使っていただくためには、こういう細かいメンテナンスが欠かせません。RIETAN-2000の保守は大分前に停止しましたが、RIETAN-FPについては今後も手入れを怠らぬよう留意します。

■ 2010年7月21日(水) 本年三つ目のレビュー

J. Vac. Soc. Jpn.誌の「中性子ビームを利用した物質・材料研究の最近の動向」小特集号のために執筆を依頼された解説

が昨日、掲載許可となりました。「岩石鉱物科学」の総説と同様に、ページが確定した時点で再度お知らせします。

この解説は手持ちの材料がほぼゼロの状態から執筆したにもかかわらず、締切の1ヶ月以上前に脱稿するという、未だかつてないスピードで投稿に漕ぎ着けました(4月25日)。お馬鹿ソフト(Word)で書かざるを得ないことから生じたストレスが執筆を加速したというところが笑えます。

前半ではRIETAN-FPの最新版v1.8とVESTAとの連携による反強磁性体(結晶学的単位胞 ≠ 磁気的単位胞)の磁気構造解析について、後半では次世代MEM解析プログラムDysnomiaの概要と核密度分布決定のパフォーマンスについて、応用例を一つずつ紹介しながら述べています。いずれも一般公開していないソフトだということも、当方としては異例中の異例 —— ネタに枯渇してきた訳じゃありませんが、成り行きとタイミングでこうなりました。遠い先のことはいざ知らず、当面は共同研究に応じて頂ける方々限定で配付する方針です。

余談ですが、RIETAN-FP v1.8で反強磁性反射の強度がほぼ再現できることを確認した際には、少々エキサイトしました。その程度のこと(本邦初演)で何をいまさら、と言うなかれ。磁気構造の解析に三次元可視化ソフトを活用するというアイデアは斬新かつエレガントで、そう捨てたもんじゃないです。容易かつ直感的に理解でき、付加すべき線形制約条件を最小限に留められるという利点もあります。

■ 2010年7月22日(木) クロスプラットホームGUIツールキットのアップグレード

VESTAのGUIの構築に利用しているwxWidgetsがv2.9.1にバージョンアップしました。

門馬君が「三次元可視化システムVESTAの高度化と利用技術」研究会でお披露目するVESTA 3の開発では、もちろんこのwxWidgets最新版を使っています。Unicodeのサポートは'Å'や'°'(度)などの特殊文字を画面に表示できるという御利益をもたらしました。

■ 2010年7月23日(金) モンペリエ大学のDeschampsらの研究成果

は22ページの大論文ですが、実際にページをくくってみると、VESTAで描いた6つの熱振動楕円体の図がかなりの面積を占めています(笑)。

ちなみに、かの有名な予言者ノストラダムスはモンペリエ大学医学部(ヨーロッパ最古!)に学んだのだそうです。

7月16日と本日に紹介したようなVESTAの利用例(有機化学への応用、欧米への普及)が増えてきたのは、6月7日に述べたグローバル化戦略が功を奏していることを物語っており、喜ばしい限りです。

昨晩はイスラエルの学生からVESTAに関する質問が届きました。VASPで計算した結果を3D可視化したいとのこと。電子状態計算の分野にVESTAが浸透しつつある様子が窺えます。

VESTAに関する論文単独での被引用数は、ついに200の大台に乗りました。Mercury CSDの論文を被引用数でリードしているのは相変わらずです。Mercury CSDの重さに耐えかねたユーザーが軽快なVESTAに乗り換えているのかもしれません。

このように、VESTAが世界に雄飛している証を次から次へと目の当たりにしています。門馬君の奮闘により非連続的な飛躍を遂げたVESTA 3を「三次元可視化システムVESTAの高度化と利用技術」研究会の参加者に披露するのが楽しみです。

■ 2010年7月24日(土) RIETAN-FPのマニュアルに引き続き、

VESTAのマニュアル中の引用文献も新たな書式に変更しました。といっても、いずれも作業が終わっただけで、まだ配布物には反映していません。悪しからず。

小数点の次の数字が一つ増すだけのRIETAN-FP v1.8はさておき、メジャーチェンジ版であるVESTA 3に付きまとう悩みの種はマニュアルの拡充です。20ページやそこらは書き足す必要があります。それに費やす時間と手間は相当なものですし、プログラマーにとってマニュアルの執筆はかなりの消耗を伴う苦役です。しかし、充実した英文マニュアルなしには世界戦略は描けません。遮二無二がんばるしかないでしょう。

■ 2010年7月25日(日) It's all a joke.

TUG 2010におけるD. E. Knuth教授のTeX誕生25周年記念講演"An Earthshaking Announcement"は、TeXの後継としてiTeXというXMLのサブセット、3D印刷、任意精度、自動レイアウト機能のソフトiTeXをリリースするという冗談だったようです。講演全体がジョークというのは常軌を逸しています。

それはそれとして、当該講演の録画を観たら、OHPシートを時々入れ換えながら原稿を棒読みしているだけ。その時代遅れの講演スタイルには少々幻滅しました。

「実はオイラ、Wordを使ってるんだよね。テヘッ」とつぶやき、頭をかきながら退場する方がよほどましですよ、これじゃ。

VESTA 3はジョークでもベーパーウェアでもありませんからね。ご心配なく。実演を見れば明らかですが。

■ 2010年7月26日(月) Leopard非互換コード?

「LaTeX2ε美文書作成入門」改訂第5版のDVD-ROMに収録されているMac用ptexlive for TeX Live 2009がLeopard上ではコケてしまうという障害(7月11日)、すでにご本尊はご存じだとのこと(h_okumuraのtwitter)。ということは、Snow LeopardならOKということ? そうだとしたら…

ということで、また性懲りもなく浮気(改訂第5版のTeX+GhostscriptをMacBook ProとMac Proにインストール)しちゃいました。いずれのMacもOSはSnow Leopardなので、今回は問題なく動きました。これでε-pLaTeXとGhostScript v8.71にバージョンアップできました。この極端な新しもの好きには自分でも呆れるばかりです。

今回のアップグレードで、同書はもう元を取ったという気がします(笑)。

Mac用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境の基盤の役割を担っているJedit Xがv2.25にバージョンアップされました。

■ 2010年7月27日(火) 悪寒と微熱

体調不良を押して出勤し、RIETAN-FP v1.8のデバッグとテスト。結局、完璧に動くようになりました。

RIETAN-FP・VESTAの連携を通じた反強磁性磁気構造の解析には、

  1. ほぼ機械的に磁性原子に関する情報を入手し、*.insに入力できる、
  2. VESTAによる結晶学的単位胞、磁気的単位胞、磁気モーメントの3D可視化を通じたセットアップは直感的に理解しやすく、ユーザーに対する敷居が低い、
  3. 磁気的単位胞をもつ仮想金属相のプロファイルパラメータ、格子定数、結晶構造パラメータに対し制約条件が自動的に付加される、
という利点があります。詳細については、J. Vac. Soc. Jpn.誌の解説(7月21日)で述べました。VESTAが単なる視覚化ソフトでなく強力な結晶学的ツールでもあることが、このような有機的連携を可能ならしめました。

■ 2010年7月28日(水) 一件落着

「LaTeX2ε美文書作成入門」改訂第5版に付属のDVD-ROMに収録されているptexlive for TeX Live 2009が自宅のiMac(Leopard)でコケてしまうトラブル(7月11日)が解決しました。PPC Mac用のパス指定に変えれば、正常にタイプセットできます。同書のサポートページからの情報です。

Rosettaを介しているせいか、やや遅い感じがしますが、十分実用ソフトとして使えるレベルです。

同書の勧めに従い、英文・和文の*.texをすべてUnicode (UTF-8)形式に変更し、¥はバックスラッシュに全置換しました。

■ 2010年7月29日(木) 相変わらず体調が芳しくありませんが、

スライド作成とプログラミングを行いながら、日米中、各一人ずつの頼みに応えました。

途中で気分が悪くなってきましたが、宮沢賢治が死の前日、肥料について相談に訪れた農民に夜遅くまで親切に教えたという逸話を思い出し、なんとか夕方まで踏ん張りました。

帰宅後にロシア人から依頼メールが届きましたが、これについては明日以降に対応すると約束しました。フ〜。

こういう体がきついときにあまり無理をすると、本当にあの世に逝ってしまうかもしれません(汗)。

■ 2010年7月30日(金) Windows用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境とDV-Xα法計算支援環境の基盤

秀丸エディタの正式版v8.01がリリースされました。

■ 2010年7月31日(土) 思ったより安定でした

そろそろ「三次元可視化システムVESTAの高度化と利用技術」研究会の準備をしなければいけないのですが、VESTA 3のアルファ版v2.9.0aのテストに熱中し、ほとんど進捗しませんでした。

VESTA 3は「すげぇ!」の一言 —— 聞きしに勝る優れものです。多くの新機能の追加に伴い、メニュー、ダイアログボックス、パネルがかなり変わりました。上記研究会の前にネタバレしたら興ざめなので、ここで新機能を紹介するのは控えておきます。

なお、上記研究会の参加申込みは8月6日(金)まで受け付けています。

■ 2010年8月1日(日) わずか一報の寄与が…

2009年のJournal Citation ReportsにおけるActa Crystallogr., Sect. A: Found. Crystallogr.のimpact factor(IF)は49.926に達し、全学術雑誌中2位に躍り出ました。同誌がNature(34.480)、Cell(31.152)、Science(29.747)をも上回るIFを叩きだした理由については、IUCrのホームページをお読みください。

巨大マーケットで一人勝ちの超定番ソフト、独占禁止法にひっかかる恐れもなし、となると、こういう椿事が発生するんですね。もっとも2012年には2.0〜2.5程度のIFに戻ると予測されています。

■ 2010年8月2日(月) Mac用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルの更新

ORFFEとPRIMAがLeopard上でコケるという通報を受け、プロジェクトのベースSDKを調べてみたところ、Snow Leopard専用コードを選んでいました。PRIMAの再ビルドはちょっと厄介なことから、そのままにしましたが、lst2cif, orffe, secondsについてはLeopardでも実行可能なコードと入れ換えました。

とりあえず、PRIMAはメモリーを十分積んだMac+Snow Leopard(64ビットカーネル)の組み合わせで実行してください。マルチコアCPU全盛時代の真っ只中で賞味期限切れを迎えつつあるソフトなので、巨大ジョブにおける必要メモリーが激減したDysnomiaのような訳にはいきません。

過去の設定を引き継ぐのであれば、LeopardからSnow Leopardへの移行はごく簡単です。

「賞味期限切れ」といっても、あくまで「当社比」、つまりDysnomiaと比較すると時代遅れで見劣りするというだけのこと。「他社比」なら、当分のあいだ現役として通用する力はもっているはずです。

■ 2010年8月3日(火) ATOK 2010 for Mac

をインストールしました。以前に比べ、アップグレードが大分楽になりました。MS-IMEやことえりではストレスがたまるので、今後もATOKを使い続けます。

ジャストシステム創業者の浮川夫妻は昨秋、同社の取締役を辞任したのだそうですね。私は80年代以降、ATOK(+一太郎)で大量の文書を書きまくってきた口なので、同社の凋落が残念でなりません。一太郎や花子はともかく、せめてATOKだけは生き残ってほしいです。

■ 2010年8月4日(水) Adobe Illustrator CS5による矢印の作画(メモ代わり)

CS4までと異なり、線パネルで [オプションを表示] をクリックして設定します。

■ 2010年8月5日(木) 申し分ない集客状況

VESTA 3のアルファ版とは別に、NIMS-名工大研究会「三次元可視化システムVESTAの高度化と利用技術」の参加者に福袋(37枚のスライドからなるプレゼン用ファイルを含む7つのPDFファイル)を差し上げることにしました。私の講演の最終スライドで、ダウンロード用のURL(短縮化)を示します。

結局、昨秋に開催した「科学英語論文執筆の手引き」講習会にほぼ匹敵する数(事前予想の約2倍)の方々に参加登録していただきました。ありがたいことです。外部の参加者が予想外に多いのは、VESTA 3に対する関心の高さと期待の大きさを反映しているのでしょう。オープンな催しとした甲斐がありました。

後は、VESTA 3が実演中に固まらないよう祈るばかりです。一足飛びに大規模な機能増強を果たしたばかり、核心部分(等値曲面描画エンジン)にまで手を加えたとなると、どうしても安定性が心配の種になります。門馬君は同研究会の前日まで徹底的に動作チェックを重ねるそうです。

■ 2010年8月6日(金) シュールすぎる文章ですが

TeXShopを使えば、ソースウィンドウで異体字を表示できる上、otfパッケージによりPDFファイルにそれらがそのまま埋め込まれるのには、驚くと同時に感銘を受けました。Mac OS Xで扱える2万を超える文字(ヒラギノフォント)が使えます。ここまで国際化を徹底しているとは!

たとえばこんな具合にタイプセットされます:

■ 2010年8月7日(土) RIETAN-FPで多相試料のデータを処理する際の留意点

配付ファイルに含まれているCu3Fe4P6.insを雛形ファイルして書き換えれば大丈夫なのですが、単一相用のファイルを編集する場合は、Cu3Fe4P6.ins中の

# Begin lines for multiphase samples.

# End lines for multiphase samples.

ではさまれた行を

If NMEM > 0 then
   …
end if

の下にコピー&ペーストし、解析すべきデータに適合するよう、その部分を修正する必要があります。さもないと、最後の相のRB, RF, E(SCIO)を出力した後、異常終了してしまいます。

ここでつまずく人がかなり多いようです。くれぐれもご注意ください。

■ 2010年8月8日(日) 今日から名古屋出張

今日の名古屋は天候が不安定で、時には雨が降ることもあり、やや涼しいです。

名工大の仕事で名古屋に来るときは、いつも金山に泊まるようにしています。今回は宿泊料金がぐっと安いホテルを選びましたが、別に駅から遠いわけでなく、部屋はそう悪くないですし、朝食料金も含まれています。今日も本掲示板を更新していることからもわかるように、インターネット接続もOK。かつて山小屋で何度も雑魚寝したことのある私には、このクラスで十分です。

現金払いは500円引きというのを見落としたところが、なんともマヌケでした(笑)。

■ 2010年8月9日(月) VESTA 3のお披露目、無事終了

門馬君によるVESTA 3の実演は、数個のファイルを頻繁にタブ切り換えし、同時に動かしているVESTA 2.14と比較したり、PDFファイルによるプレゼンテーションに移ったり、という過酷な操作を伴っていました。ストレステストを実施するようなものです。メモリーが少ないと、かったるいのではないかと危惧し、Boot CampによりMacBook Pro(4 GBメモリ)上でWindows 7を走らせ、それを講演に使いました。幸い、VESTA 3は終始安定に動作し続け、一度もコケませんでした。

裏目だったのは、教室備え付けの液晶ディスプレイにとってMacBook Proの横方向のドット数(1440)が大きすぎたことで、解像度を落とさざるを得ず、映像の質が落ちてしまったことでした。

今後、着実にVESTAのブラッシュアップを重ねていき、マニュアルを整備した後、ベータ版をリリースすることになるでしょう。大分先になりますね。仕様が変わる可能性もありますから、それまで新機能の紹介はお預けといたします。

9年前、いつ超伝導プロジェクトの予算が打ち切られるかわからぬままRubenを半年間雇用し、VICSとVENDをゼロから開発し始めた当時、両者を統合しGUIを一新した、これほど大規模かつ高度なアプリケーションにまで発展し、国際的に広まるとは想像だにしていませんでした。

残念ながら、高温超伝導の研究は新産業革命もビッグビジネスも産み出してくれませんでした。マーケットが皆無という訳ではありませんが、拍子抜けするくらいスケールの小さいニッチ市場に過ぎなかったということです。一般に、学術的な意義と実用化・産業化(ひいては利益の獲得と雇用の確保)は別な世界の話なのです。MgB2や鉄系超伝導体も同様でしょう。我が国の逼迫した財政事情を改善する救世主となるような研究成果を挙げるのは至難の業です。

しかし、VESTAが今のような形で存在しているのは、超伝導プロジェクトのおかげといって過言でありません。どうしても、「風が吹けば桶屋が儲かる」という下世話な文言を思い出してしまいます。

■ 2010年8月10日(火) 高圧安定化合物の構造解析

Kanzakiは14 GPa, 1400 ℃で新たな高圧型topaz-OH IIを合成し、その未知構造を放射光粉末回折データから解きました:

構造モデルの構築にはFOX、リートベルト解析にはRIETAN-FP、結晶構造の作画にはVESTAが使われました。

2月4日にも記しましたが、FOXについてはKanza-WikiSDPDに詳細な試用結果が日本語で報告されており、参考になります。

高温・高圧下で合成された新化合物に関する最新論文をもう一つ:

こちらの研究でも、放射光粉末回折データの解析にRIETAN-FPとVESTAのペアが利用されました。上のリンクをクリックすると、非常に美しい結晶模型を拝めます。

■ 2010年8月11日(水) 驚異的な早業

今日は私の●●回目の誕生日です。昨日、名古屋からつくばに戻ったばかりで、少々夏バテ気味ですが、まだまだ元気一杯でエネルギッシュということを実証するために、磁気形状因子を計算するためのベッセル関数<j0>と<j2>に含まれる係数A, a, B, b, C, c, Dと誤差e("International Tables for Crystallography," Vol. C, pp. 454〜458)を全磁性原子・イオンを対象として記録した二つのテキストファイルj0.txtとj2.txtを作成しました。11時55分過ぎから作業開始。Jedit Xで1520個もの数値データを扱ったにもかかわらず、正午までに完了しました。

飛び道具(マクロ)など使いませんでしたよ。100%手作業です。

これらのデータさえあれば、RIETAN-FPで磁気構造を解析する際、磁性原子の化学種名とランデのg因子だけをユーザーが入力すれば済みます。5分足らずで片付く仕事を、なぜ今まで敬遠してきたのか、我ながら理解に苦しみます。

なお、この超高速数値データファイル作成術は、"International Tables"(Vol. Cに限りません)中のどの表にも適用可能です。今後、再び活用する機会があるかもしれません。

明日から6連休(エアコン運転全面停止!)なので、その間、RIETAN-FP v1.8に導入した反強磁性磁気構造の解析に関する説明を英文マニュアルに追記するとともに、一部を再編成する予定です。連休中に170ページを超えそうだなぁ。

■ 2010年8月12日(木) MPF解析実行時の留意点

について質問が届きましたので、回答を一般に役立つように変更した上、ここで公開します。

手動でMPF解析を実行する際は、*.insにおいて

NMODE = 0: → NMODE = 2:
NC = 1: → NC = 0:(非線形制約条件があるなら)
NUPDT = 1: → NUPDT = 0:(NUPDT = 1となっていたなら)

と変更します。サイクル#2以降はそのままで大丈夫です。

MPF_multiを使えば、自動的に上記のように変更されます。

構造パラメーターとそれらのID(refinement identifier)は最終リートベルト解析のときのままで構いません。ただし、構造パラメーターに対する線形制約条件の前には'#'を付け、コメントにします。

なお、PRIMA/Dysnomiaの入力ファイル*.prf中の"Will you save a feedback data file?"という問いに対しては、

1: Yes (output structure factors including those for grouped reflections and estimated for unobserved reflections).

を必ず選ばなければなりません。さもないと、2θmax近傍に位置するためプロファイルの一部が欠落した反射の推定構造因子が出力されず、全回折パターンフィッティングにおけるR因子が大幅に悪化してしまいます。

■ 2010年8月13日(金) 秀丸エディタのマイナーチェンジ

秀丸エディタの正式版がv8.01aにバージョンアップされました。正規表現による検索のためのDLL(HmJre.dll)を最新版に差し替えただけとのことです。

■ 2010年8月14日(土) LaTeX文書に貼り込むPDFファイルに関する注意

LaTeXとの互換性のために、Adobe IllustratorでPDF形式のファイルを保存する際には、

互換性のある形式: Acrobat 5 (PDF 1.4)

を選ぶこと。

■ 2010年8月15日(日) 追記部分ほぼ完成

12日から、反強磁性磁気構造の解析に関する章をRIETAN-FPの英文マニュアルに追加し始め、本日は勤務先までファイルを取りに行き、なんとか書き終えました。といっても、J. Vac. Soc. Jpn.の解説を英訳しただけで、まだ推敲は済んでいません。

さらに既存の章も再編成した結果、9ページ増え、RIETAN-FP_manual.pdfは計171ページに達しました。

また、ISO/JISの組版流儀に則り、数式中の定数"π"を立体フォントにするテクニックを会得したので、すべてそう変更しました。これは長年の懸案でした。テキスト中なら、いとも簡単なのですが。ちなみに微分を表す演算子"∂"と"d"、虚数単位"i"、ネイピア数"e"は前から立体となっていました。

VESTA 3のマニュアルが完成した暁には、RIETAN-FPとVENUSのマニュアルの総ページ数は450ページを超えそうです。結晶学関係の国産ソフトウェアとしては、他に類を見ないスケールのドキュメンテーションといって過言でありません。ほとんどすべて英語で書かれていることも含め、今後我が国で開発されるソフトウェアの模範たりうると思われます。韋駄天の如き英作文スピードの賜です。今どきローカル指向の日本語マニュアルを提供しているようでは、やる気と能力を疑われるだけですから、自分が英文速筆の才能に恵まれたことを素直に喜びたいです。

もっとも、英文の質はご自分の基準で判断してください。添削業者のチェックをまったく受けていませんから、あちこちで間違いを犯している可能性があります。

ここまでたどり着くと、余勢を駆って一般的な(collinearでない)磁気構造の式まで導入したくなってきます。基本的には反強磁性磁気構造の場合と同じ方式で実現できる機能ですし、既成のソースコードまで入手済みなので、とりたてて困難ではありません。しかし、RIETAN-FPがこれ以上複雑かつ肥満体になるのは避けたいです。

■ 2010年8月16日(月) 若かりし頃の富士登山

最近、テレビで近ごろの富士登山を何回か観ました。多額のお金をつぎ込んだ登山装備、山スカ、ガイド付きツァー、高山病防止のためのゆったりしたスケジュール(もちろん山小屋に宿泊)、自然渋滞、大挙して押し寄せる中国人観光客、エトセトラ… 隔世の感があります。

私は何十年も前に一度だけ登ったことがあり、「一度も登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿」に成り果てずに済みました。バスで5合目まで行き、懐中電灯片手に夕方から一人で登り始め、山小屋に泊まるどころか一睡もせず、休みもろくにとらずにひたすら登り続け、山頂でご来光を拝み、悠然とお鉢巡りをした後、一気に須走口を滑り降りました。登山道はさほど混んでいませんでしたし、お鉢巡りの際にはろくに人に出会いませんでした。ほとんどの登山者は山頂の一角に立ったことに満足し、ただちに下山してしまうのです。

富士山は独立峰なので周囲の景観は今一、木も生えていない岩山を登って降りるだけの単調な登山ルート —— あまり楽しい山じゃありません。一番印象に残っているのは、真上から眺めた大沢崩れの凄まじさです。ご来光よりは、こちらの方がよほど見物でした。

■ 2010年8月17日(火) 多治見や館林に比べれば…

気象庁のアメダス(表形式)で、日本各地における1時間ごとの気温を知ることができます。昨日のつくばの最高気温は、この夏一番の高さだったのではないかと思い、調べたところ、36.1 ℃(15時)でした。

今日の最高気温は34.5 ℃(14時)。もう暑さも峠を越したようです。

本日で6日間の夏休み(?)は終了です。酷暑の中、肩の力を抜いて毎日少しずつ働き、RIETAN-FPの新機能に関するドキュメンテーションをやり終えたという達成感を味わいました。

■ 2010年8月18日(水) ありゃ〜

磁気形状因子を計算するためのベッセル関数<j0>と<j2>に含まれる係数(8月11日)をテキストファイルから読み込むようにしたところ、精密化後に各相の構造パラメーターを出力する際、エラーが発生するようになってしまいました(涙)。まったく関係ないところのはずなんですが。面倒なことになったなぁ。

■ 2010年8月19日(木) CIFのフォーマットに合わせただけですが…

昨日記した障害の原因は、今月初めにRIETAN-FPの標準出力*.lst中の'Occupation factor'を'Occupancy'に変えたことでした。長年にわたり無節操に機能を積み増してきたプログラムなので、こういう思いも寄らぬトラブルの発生は珍しくないです。

ともあれ、さほど時間を費やすことなく解決し、ほっとしました。

少々時間に余裕ができたので、RIETAN-FPのマニュアルRIETAN-FP_manual.pdfに手を加えました。ページ数は173ページにまで増えました。

■ 2010年8月20日(金) 本日もRIETAN-FPの改訂を続行

円筒状試料に対する吸収因子(厳密にはtransmission coefficient)を名工大の井田 隆准教授が考案された高効率の方法で計算するよう改善しました。そのアルゴリズムについては、

で報告されています。数値積分には12×12項を使いました。

VESTA 3(7月1日参照)に引き続き、RIETAN-FPでもNIMS-名工大連携の実をあげることができ、本当に嬉しいです。

デバイ-シェラー法により測定した粉末X線・中性子データを解析する際には、ダイレクトビームの透過率で測定したμrから吸収因子を計算するようになっています。もっとも「ダイレクトビームの透過率」の測定をサボって、お茶を濁していることも多いようですが、ルーチンワークとして簡単に実行できるので、常にそうすることが望ましいです。

■ 2010年8月21日(土) Firefox 4

Firefox 4.0b3を試用中ですが、結構気に入ってます。すでに良い感じに仕上がっています。

最大の進化はJavaScriptエンジンの高速化です。従来のTraceMonkeyがJaegerMonkeyに変更になりました。TraceMonkeyのトレーシングという最適化手法とWebkitのMethod JITと呼ばれる技術の融合により、高速な実行速度を実現しました。

確かに自宅でDenbunを使うと、起動が速いだけでなく、キビキビ動きます。Google Analyticsの動作も安定しています。

もっとも、Firefox 4よりもSafariやGoogle Chromeの方がベンチマークテストの結果で優っているようです。しかし、Safariは過去に入力したデータがダブルクリックで表示されないのがなんともかったるく、Google Chromeは、Ajaxを使ったWebページでの挙動が不安定で、リンク先のアンダーラインが消せないところがいただけません。一義的に重要なのは、スピードよりむしろ安定性と使い勝手です。今後、少なくとも自宅ではFirefox 4を常用ブラウザにしようと思います。

■ 2010年8月22日(日) 162 + 13 = 175

週末もRIETAN-FPのマニュアルにコツコツ手を加え続けた結果、計175ページとなりました。現行のマニュアルより13ページ増したことになります。

まあ、いくら充実したマニュアルを提供しても、英語で書かれていると、どれだけの人が読むか、という疑問は残ります。なにしろ日本は、外国製品には日本語の説明書の同梱が当然のように要求され、メニューやダイアログまでも日本語化したソフトが歓迎され、ノーベル賞受賞者ですら英語での講演から逃げまくる英語後進国なのです。

しかし、きちんと記録を残しておかないと、自分自身が機能や仕様を忘れてしまいます。また、後続世代の人たちが同種のプログラムを作成する際の参考にもなります。ドキュメンテーションの重要性は肝に銘じておかねばなりません。

■ 2010年8月23日(月) ざっとこんなもの

時間に余裕ができたので、大分前に預かった放射光粉末回折データを再解析し、MPF_multiによる全自動MPF解析(Eを順次変更しながらREMEDYサイクルを実行)の醍醐味を久しぶりに味わいました。

解 析RwpRBRF
依頼者のリートベルト解析6.34 %6.09 %4.17 %
当方のリートベルト解析5.69 %5.93 %4.07 %
MPF解析5.23 %2.26 %1.63 %

異常に大きかったBの値(10.5 Å2)は、構造モデルを変更したリートベルト解析では正常範囲内の値に収束しました。MPF解析でRBとRFが激減するということは —— そう、分割構造モデルでは歯が立たないほど乱れた構造です。

今日のところは大ざっぱな解析を(「遊び半分モード」で)実行したに過ぎないため、さらにフィットを改善できるでしょう。

■ 2010年8月24日(火) 配付ファイルの更新

Windows・Mac OS X用のRIETAN-FP・VENUS配布ファイルをアップデートしました。

一部のマニュアル*.pdfとRIETAN-FP用入力ファイル*.insが修正されています。また、Mac OS X用シェルスクリプト*.command中の変数名をすべて{ }で囲むよう変更しました。このような冗長性の導入により、どこまでが変数名なのかを明示できます。公開はしていませんが、MPF_multi.commandも同様に修正しました。

またWindows用配付ファイルに同梱しているFastCopyを最新版v2.02に更新しました。


昨日の解析を「かなり真面目モード」でブラッシュアップし、R因子を

解 析RwpRBRF
依頼者のリートベルト解析6.34 %6.09 %4.17 %
当方のリートベルト解析5.19 %5.49 %3.90 %
MPF解析4.72 %2.04 %1.52 %

まで引き下げました。「本気モード」で解析し、RBを1 %台にまで改善するか、この時点で依頼者にフィードバックするかを決めかねています。

■ 2010年8月25日(水) 三機関連携の一環としての活動

「三次元可視化システムVESTAの高度化と利用技術」研究会の内容から泉、門馬のプレゼンを抜き出し、少々modifyした説明会ないしは交流会のようなものを9月13日(月)に日本原子力研究開発機構(JAEA、東海地区)で開くことになりました。といっても、数十名の参加者が集まった名工大での研究会と異なり、JAEAの研究者を対象とする、こじんまりした会合です。私はRIETAN-FP v1.8, Dysnomia, MPF_multiについて話します。TOF中性子回折データのリートベルト・MEM解析において留意すべき点と克服すべき課題についても言及します。

出席者にはRIETAN-FP v1.8, MPF_multi, VESTA 3などを差し上げる予定です。Dysnomiaについては、すでにJAEAの共同研究者に提供しています。

我が国における中性子散乱の専門家はMacユーザーが圧倒的に多いので、できれば門馬君にはMac用VESTA 3で実演してもらいたいところですが、当日までにMac版が出来上がるかどうかは定かでありません。

MPF_multiのマニュアルはテキストファイルに過ぎなかったのですが、本日、UTF-8コードの*.texに編集し、ε-pLaTeXで組版しました。Mac OS XとWindows用、それぞれ4ページとなりました。単なるテキストファイルに比べはるかに読みやすく、見栄えがします。もちろん、これらも出席者にお渡しします。


pLaTeXでのタイプセットが終わった後、一昨日スタートした解析を「惰性モード」で続行し、RBをついに目標の1 %台まで下げました:

解 析RwpRBRF
依頼者のリートベルト解析6.34 %6.09 %4.17 %
当方のリートベルト解析5.01 %5.42 %3.84 %
MPF解析4.52 %1.95 %1.52 %

そろそろ限界でしょう。これほどのフィットの改善を軽々とやってのけるソフト(解析法)は、世界中探してもRIETAN-FP・Dysnomia(MPF解析)だけでしょうが、解析している本人が倦怠期に特有の不感症に陥っているところに、悲哀と諸行無常を感じます。

ともあれ、この時点で依頼者にこれまでの解析結果をフィードバックするとともに、再解析のための指針も与えることにしました。

■ 2010年8月26日(木) あっ、こんなところにRubenの名前が…

オーストラリアのラトローブ大学とメルボルン大学の研究チームはマラリア原虫から精製したヘモゾインの放射光粉末回折データのリートベルト解析とMPF解析により、その結晶構造と電子密度分布を決定しました:

リートベルト・MPF解析にはRIETAN-2000、MEM解析にはPRIMA、結晶構造と電子密度分布の可視化にはVICS・VENDが使われました。


昨日までに得た解析結果を依頼者に渡した直後に、突如アイデアが閃き、リートベルト解析の構造モデルを修正してみたところ、

解 析RwpRBRF
依頼者のリートベルト解析6.34 %6.09 %4.17 %
当方のリートベルト解析4.41 %3.79 %3.46 %
MPF解析4.19 %1.92 %1.32 %

という結果が得られました。まさに効果てきめん。要するに、不適切な構造モデルがフィットをかなり悪化させていたのです。私の構造モデルに基づくリートベルト解析をさらにブラッシュアップし、得られた解析結果を論文に含めるよう依頼者に伝えました。

各種学術雑誌に掲載されている論文には、今回の「依頼者のリートベルト解析」レベル以下の不完全な解析結果がかなりの割合で含まれていると思われます。リートベルト解析プログラムの性能というよりは、ユーザーの知識、経験、技量に依存する問題です。自動車を運転するには運転免許が、病人を治療するには医師免許が、産業財産権等に関する業務を行うには弁理士免許が必要です。一方、結晶解析結果を発表するのに免許は不要な上、大学(院)では結晶学の基礎に関する教育はほとんど実施されていないのですから、無謀な「無免許運転」が横行し、いい加減な解析結果がはびこるのも無理はありません。レフェリーが結晶解析に詳しいとは限りませんし、解析結果(コンピュータ出力)そのものを精査しない限り何とも言えないことが多いので、審査時にフィルターにかからない論文が多数出るのは必然なのです。

もちろん、リートベルト解析に限った話ではありません。難度の高いデータ解析一般につきまとう問題点です。

今回の再解析はMPF-multiの説明書のPDF化のきっかけを与えてくれました。私にとっては、それが最大の収穫です。

■ 2010年8月27日(金) 実は再解析を頼まれたデータはもう一つあります。

今日、その解析に着手しましたが、午前、午後にお一人ずつ来客に対応、明日(土曜ですが)もお客がお見えになります。来週までお預けとなりました。

■ 2010年8月28日(土) Mac用電子辞書ブラウザ

Logophile v1.4がリリースされました。

■ 2010年8月29日(日) 疑問が氷解

RIETAN-FPとVESTAのマニュアルをタイプセットする際には、常に

destination with the same identifier (name{page.1}) has been already used, duplicate ignored

というエラーメッセージがコンソールに出力されます。前からこのトラブルが気になっていたのですが、ページ番号のないタイトルページを含む文書において

¥usepackage[ドライバ名]{hyperref}

と宣言してhyperrefパッケージを利用すると、このエラーが発生することがわかりました。

¥pagenumbering{arabic}
¥maketitle
として、タイトルページを1ページ(ページ数は見えない)にすれば、上記のエラーメッセージは出なくなりますが、実質的に2ページからスタートすることになってしまいます。なんとかならないものでしょうか。

RIETAN-FPのマニュアルはさらに2ページ増え、177ページとなりました。こうなったら、ぜひ180ページ超にしたいです(笑)。Collinear磁気構造解析の新機能に関する記述を「多目的パターンフィッティング・システムRIETAN-FPの新機能について」に挿入すれば、一気に数ページは増えますが、まさかJ. Vac. Soc. Jpn.誌のために執筆した解説の一部をコピー&ペーストするわけにはいきません。別な箇所を増量しましょう。

■ 2010年8月30日(月) もうボロボロです

夏バテ気味の上、エアコンで喉を痛めてしまい、一向に元気が出ない老体に鞭打ち、二つ目のデータをざっと再解析し、

解 析RwpRBRF
依頼者のリートベルト解析3.32 %3.95 %2.80 %
当方のリートベルト解析2.36 %3.17 %2.55 %

というところまで漕ぎ着けました。どうにも調子がよくないので、今日はこれでお終いにしました。

帰宅後はもうぐったり。夕飯を食べてから、テレビをつけたままウトウトしていたら、NHKの首都圏ニュース(茨城版)で小倉優子がニュースを読んでいるのがぼんやり目に入りました。「あんれまあ、ゆうこりんが女子アナに?!」—— なるわけないじゃん、と思い返し、よくよく目をこらしたところ、別人でした。水戸放送局の森 花子アナウンサーだそうです。

■ 2010年8月31日(火) 差し戻し

昨日の解析ですが、訳あり試料のため、MPF解析は適用できません。分割原子モデルの誤りを正すとともに、欠陥構造モデルを構築する超絶技法を依頼者に教え、後は自分で汗をかきなさい、とフィードバックしてお茶を濁しました。

■ 2010年9月1日(水) 些細なことですが

図入りのLaTeX文書ファイル*.texをタイプセットすると、グラフィック挿入コマンド¥includegraphicsの箇所で"Overfull ¥hbox ....."というエラーメッセージがしばしば現れます。実害はないので、さほど気にしていませんでしたが、図の右側がトリミングされていないためだということを今日知りました。

¥includegraphics[width=160mm, trim=37 0 37 0]{figure1.pdf}

というように、3つ目のtrimオプションで右側のトリミングを適当な値にすれば、エラーメッセージが出なくなります。

より根本的な解決策は、PDFファイルの余白のカットです。ページの一部をトリミングするには、Adobe Acrobatで

ツール > 高度な編集 > トリミングツール

を選び、マウスでドラッグしてトリミングする領域を指定し、領域内でダブルクリックした後、OKボタンをクリックします。

■ 2010年9月2日(木) なぜか最近、お客が集中してお見えになります。

昨日はかなり複雑な未知構造の解析結果を拝見しました。主としてFOXとRIETAN-FPで解析されたとのことです。独力でこれほど見事な成果を挙げられたということに感銘を受けました。

2月4日にも記した通り、ab initio構造解析用には、フリーソフトウェアのFOXとsuperflip、アカデミックフリーのEXPO2009という傑出したソフトウェアが提供されてます。たとえ民間企業であっても、EXPO2009は低価格で入手できます。高価な商用ソフトを購入する前に、まずこれらを試用してみるのが筋ではないでしょうか(お金がダブついてしょうがないというのなら話は別ですが)。商用ソフトが無償ソフトに優っている確固たる証拠が挙がっている訳ではありません。

■ 2010年9月3日(金) 英米仏の共同研究チームの成果

では、VESTAで描いた構造モデルが二つ使われています。

最近のVESTAの急ピッチな普及と利用拡大には目を瞠るばかりです。Scopus Document Citation Alertsは、VESTAが世界レベルで存在感を高めていることを教えてくれます。国際的に認知され、多数の海外研究者に貢献するメジャーな国産結晶学関連ソフトが史上初めて出現したといって過言でありません。

■ 2010年9月4日(土) Scatfac

RIETAN-FPでは

にリストされている11個の係数から原子散乱因子を計算しています。これらはasfdcというデータベースファイルから自動的に入力されます。放射光を用いる場合は、使用波長におけるdispersion correction(f'とf'')をユーザーが入力しなければなりません。f' & f'' vs. λ/Åの表を使うと補間が必要となり、結構面倒です。

一方、ScatfacというWindows用プログラムを使うと、WaasmaierとKirfelの係数に加え、任意の波長におけるf'とf''(Brennan & Cowan)を計算してくれます。Sasakiの表から求めたf'とf''とは多少違う値となるため、RIETAN-FPによる放射光データの解析では、いずれの値を採用するかによりR因子が微妙に変わります。

■ 2010年9月5日(日) 用意万端ととのう

VESTAとRIETAN-FPの連携を通じた反強磁性磁気構造解析の例として、BiCoO3の粉末中性子回折データのリートベルト解析のデータセット(BiCoO3.*)を配付する許可をAlexeiから得ました。

そこで明日、RIETAN-FP v1.8を公開することに決めました。反強磁性磁気構造解析にはRIETAN-FPだけでなくVESTA 3も使いますが、そのアルファ版は近日中にリリースされる予定です。8月25日に記したように、JRR-3Mの利用者向けにJAEAの研究者にもVESTA 3を供与しますから、さほど支障はないでしょう。

ついでにここで一言:NIMS-名工大研究会の参加者の皆様、VESTA 3のアルファ版、もう少しだけお待ちください。

RIETAN-FPのバージョンアップだけではインパクト不足が否めないので、非常に強力で有用なツールも配付アーカイブファイルに追加することにしました。このツールは数ヶ月にわたりブラッシュアップを重ねてきたため、すでに充分枯れていると思われます。ドキュメンテーションも完了した今、Windows・Mac OS X版の公開に踏み切ることにしました。「LaTeX2ε美文書作成入門」改訂第5版付属のDVD-ROMからインストールしたε-pLaTeX+dvipdfmxによるタイプセットを試みなかったら、計8ページのLaTeX文書は影も形もなかったに違いありません。本当にグッドタイミングでした。

ここまでヒントを与えれば、本掲示板の読者なら、そのツールが何かはほぼ察しがつくでしょう。

■ 2010年9月6日(月) やたらにダラダラ長くて恐縮ですが

RIETAN-FP v1.8とMPF_multiを含むWindows・Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルをアップロードしました。一部のプログラムを除き、最新のIntel Fortran Compilerで再ビルドしました。

昨日記した「非常に強力で有用なツール」とはMPF_multiに他なりません。この最新兵器を使えば、MPF解析が自動化し、劇的に効率が上がります。Windows・Mac OS X用のMPF_multiの使用法については、それぞれMPF_multi_Win.pdfとMPF_multi_Mac.pdfというPDFファイルに詳述しました。RIETAN_VENUSフォルダの下のDocumentsフォルダ内に置いてあります。なお、Windows用のMPF_mult.bat、Mac OS X用のMPF_multi.commandともデフォールトのMEM解析プログラムはPRIMAとなっています。Dysnomiaのユーザーはそちらに切り換えるようお勧めします。今更PRIMAを使ったところで、なんのメリットもありません。

磁気形状因子を計算するためのベッセル関数(l = 0 and 2)の係数を収めたファイルJ0_j2.datをRIETAN_VENUSフォルダに追加しました。その結果,'Fe2+'や'Fe3+'というような化学種名とLandeのg因子さえ入力すれば,RIETAN-FPが磁気形状因子を求めてくれるようになりました.8月11日には5分足らずでJ0_j2.datを作成したと豪語しましたが、今なら1分もかけずに作成できるでしょう(笑)。

RIETAN-FP_manual.pdfは177ページにまで肥大成長を遂げました。Chap. 3, 4, 5はChap. 2から分離独立させた新たな章です。引用文献は自前の文献スタイルファイルmy.bstに基づく書式に変更してあります(7月18日)。

反強磁性磁気構造解析については、RIETAN-FP_manual.pdf中のChap. 7をお読みください。BiCoO3を例にとり、詳細かつ平易に解析の手順を説明しました。(3X3)行列P、(3X1)行ベクトルp、VESTAのテキストエリアに出力される原子座標に関するデータさえ*.insで入力すれば、化学的単位胞に対する基本テンソル(正格子と逆格子)、格子定数、分率座標から磁気的単位胞に対する値をいとも簡単に導けることがお分かりいただけるでしょう。数式を見ると吐き気がするという方は、59ページの最後の行から60ページの6行目あたりを眺めるだけで結構です。英文なんか読み気がしねぇという方は、J. Voc. Soc. Jpn.の解説(7月21日)が活字になるのをお待ちください。

この結晶軸・座標変換法はごく標準的な方法で、"International Tables for Crystallography", Vol. AのSect. 5.1に詳述されていますが、和書ではたとえば

で説明されています。この手続きに従って、磁気的単位胞をもつ仮想的相のプロファイル・パラメーター、格子定数、分率座標、占有率、原子変位パラメーターが非線形最小二乗計算の各サイクル後に更新されるため、それらに対する制約条件は実質的に不要となります。磁気モーメントを除けば、*.ins中で制約条件を指定しなければならないのは尺度因子だけです。

また、RIETAN_VENUS_examplesフォルダ中にBiCoO3フォルダを追加しました。反強磁性磁気構造解析の雛形としてお使いください。Chem. Mater.に掲載された原著論文では、磁気構造と結晶構造がconsistentになる空間群とsupercellを見つけて解析しましたが、もはやそんな苦し紛れな便法に頼らずに済みます。

昨日、VESTA 3を使わないと反強磁性磁気構造解析は無理、と断言しましたが、それは言い過ぎでした。たとえVESTA 2.1.4のテキストウィンドウからコピー&ペーストするデータであっても、ほんの少しだけ加工すれば大丈夫です。たとえば

Atom:  3    Mn Mn  0.25000  0.09426  0.75000  g=1.000   12g     2..  ( 0, 0, 1)+ z, -x+1/2, -y+1/2

というデータの場合、

Atom:  3    Mn Mn  0.25000  0.09426  0.75000  ( 0, 0, 1)+ z, -x+1/2, -y+1/2

というように、'g='とサイト対称性の部分を削除するだけのことです。'g'の位置に'('が来るようにしてください。

ここまで前進すると、(collinearでない)一般的な磁気構造の解析機能をRIETAN-FPに追加するのは、どうということもなさそうです。なにしろ、引き出しの奥にソースコードがしまってあるのですから。しかし後継世代(J-PARCの研究者も含む)が取り組むべき課題として残しておくため、グッと堪えておくことにしましょう。中性子回折による磁気構造の解析は基本的に重要で、なおかつさほど困難なことでもないのですから、尻込みしているようでは、職務怠慢のそしりを免れません(2月16日参照)。

ついでですが、VESTAに関する総説が正式に公開されたことを、ここでお知らせしておきます:

もっとも、これはあくまでVESTA 2.1.Xに関する総説です。VESTA 3に投入した新機能については言及していません。念のため。

デバイーシェラー光学系における吸収因子をより高精度に計算する関数副プログラムTransmittanceCylinder0128月20日)をRIETAN-FPのソースコード中で使わせていただきました。TransmittanceCylinder012を快く提供して頂いた名工大の井田 隆准教授に感謝いたします。

"MPF"という用語が出てきたところで、これまたついでに告知しておきますが、今月下旬に山口大学理学部(吉田キャンパス)でMPF解析について講演させていただくことになりました:

講演と講習のお知らせにも掲示しました。「どなたでもご参加いただけます」とのことなので、興味のある方はぜひご来聴ください。

今回更新したソフトやマニュアルに何か問題点や誤りが見つかりましたら、ご指摘ください。よろしくお願いいたします。RIETAN-FPにはMEMがらみで一つ、多相解析関連で一つ、改善したい点が残っています。急がず、あわてず、ゆっくり片付けるつもりです。

最後に、この冗長極まりない書き込みを辛抱強くお読みいただいたことをお礼申し上げます。

■ 2010年9月7日(火) An invited lecture at ICC3

3rd International Congress on CeramicsにおけるSymposium 1: Advanced Structure Analysis and Characterization of Ceramic Materialsでの招待講演“Three-Dimensional Visualization of Electron- and Nuclear-Density Distributions in Inorganic Materials by MEM-Based Technology”は、11月17日(水)の13:15-15:00のセッションに入るそうです。

Windows・Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを早くもアップデートしました。Readme_win.pdfとReadme_mac.pdfを微修正しただけです。

■ 2010年9月8日(水) あんたは「もうおしまい」

「セラミックス」9月号をパラパラめくっていたら、三重大学の武田保雄先生が

「随想」の執筆の依頼などを受けるようになったら、“研究者としてはもうおしまい”の証拠であろう。

と述懐しておられました。それじゃ、2年半も前に同誌に随想(2009年2月7日参照)を執筆するよう依頼されたオイラは、研究者としてはもとより、人間としても終わりに近づいているんだろうなと思い、へたり込んでしまいました。

今日もまた、Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルIntel_Mac_versions.dmgを更新しました。Readme_mac.pdfをほんの少し訂正しただけです。まずいところは、その都度直していきます。

■ 2010年9月9日(木) VESTAのマイナーバージョンアップ

VESTA v2.1.5がリリースされました。RIETAN-FP v1.8形式の出力ファイル*.lstに対応しました。

VESTAのマニュアルも更新されています。引用文献の書式がRIETAN-FPのマニュアルと共通になりました。

Windows・Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルもアップロードしました。RIETAN-FP_manual.pdfを微修正しました。公開直後のTeX Live 2010(TeXShop v2.37を含む)でタイプセットしました。待ちに待った64ビット・アプリケーションも含まれています。英文の場合、自宅のiMac(Leopard)でのタイプセット速度がぐっと上がりました。Rosettaを介さずに済むようになったためです。

■ 2010年9月10日(金) アップロード記録更新(5日連続)

Windows・Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルをアップロードしました。MPF_multi_win.pdf, MPF_multi_mac.pdf, Readme_mac.pdfを改訂しました。Readme_mac.pdfは英文・和文混在時に使うinputenc, fontenc, CJKパッケージをincludeして再タイプセットしました。コンソールに目障りな警告が出力されなくなり、すっきりしました。

MPF法は他に類を見ない先端テクノロジーであり、RIETAN-FPおよびVENUSの最大の強みとなっています。ドキュメンテーションにも真面目に取り組まねばなりません。

VESTAに関するnewsletterと論文について「9月下旬には被引用数300を達成できそうです。」と6月25日に予想しましたが、最近、論文の方がすごい勢いで引用されており、すでに合計の被引用数が300を越えたということに今日気づきました。すなわち、

の被引用数はそれぞれ67(Google Scholar調べ)と237(Web of Knowledge調べ)であり、合計が304に達していました。もう被引用数の増加ペース(直近1ヶ月では約1回/日!)でRIETAN-2000/FPに関する論文を上回っています。来年2月までには、まず間違いなく400の大台に乗るでしょう。

なかでも驚いたのは、American MineralogistのAugust-September号中の4報の論文でJACの論文が引用されていたことです。快挙といってよいでしょう。

VESTAの人気が国内外で沸騰しているのは、最重要の"機能"である「無料でネット公開」に加え「充実した英文ドキュメンテーション」が評価されている顕れです。いくら高機能を誇ったとしても、有償だったり、ろくな英文マニュアルもなかったりしたら、教育への活用は望めず、ドメスティックな存在に甘んじるしかありません。個人的趣味の産物であるVESTA 2と異なり、純然たるNIMSの業務として開発しているVESTA 3においても、これら二つの基本方針は不変です。

■ 2010年9月11日(土) まだまだ修行が足りん

昨日書き込んだ英文・和文が混在した*.texのタイプセットですが、デフォールトだとwadalab Type1という低品質のフォントが埋め込まれるのだそうです。Readme_mac.pdf中の日本語部分がやけに汚かった理由がこれでわかりました。

そこで、dvipdfmxコマンド実行時にwadalabフォントをヒラギノフォントに差し替えるという裏技を使うことにしました。結構面倒です。3日も経てば忘れそうなテクニックなので、しっかりEvernoteにメモしておきました。

■ 2010年9月12日(日) Dropbox、接続できず

目下、休日返上で働かざるを得ない事態に追い込まれており、早起きして出勤。そうしたら、まったくネットにアクセスできないではありませんか。ということは、雲(クラウド)の中からファイルを取り込めないということを意味しています。もちろんメールの送受信もダメ。午前中にそそくさと帰宅しました。

クラウド・コンピューティングなんてネットワークが不通となったらお手上げ、ということをあらためて思い知らされました。

■ 2010年9月13日(月) JAEAへのソフト供与

高分解能液晶プロジェクタを持ち運んで行ったJAEAでの講演(8月25日)、45分程度のつもりだったのですが、終わってみたら、1時間10分もしゃべりまくっていました。

主としてRIETAN-FPとVESTAの連携プレー(VESTAによる*.insの作成、二面角に対する抑制条件の付加、反強磁性磁気構造の解析など)、新MEM解析プログラムDysnomia、MPF_multiによる全自動MPF解析について話しました。

過去に多数のcollinear磁気構造がRIETANで解析された実績があることを強調しました。さらに、リチウム二次電池材料、固体酸化物燃料電池材料(SOFC)、水素貯蔵合金にはMn, Fe, Co, Niなどの磁性原子を含む物質が多く、磁気散乱を無視して解析すると、とんでもないことになりかねないということをRIETAN-FPによるSOFCとホイスラー合金の磁気構造解析を例にとって指摘しました。念のために、磁気測定くらいは励行すべきです。

TOF中性子回折については、

について警鐘を鳴らしておきました。こういう問題点をしっかり認識し、限度をわきまえた上でパルス中性子をご利用ください、ということです。

最後に、当方が著作権をもつソフトおよび今後開発予定のソフトは、JRR-3MおよびJ-PARCでの中性子ビーム応用研究に資するため、JAEAに使用許諾を与えるという共存共栄の姿勢を打ち出しました。PRIMA, Dysnomia(期間限定共同研究用), VESTAは今すぐにでもお使い頂けます。

これで、三機関連携の相手先であるJAEAへのソフト供与については、実質的に片が付きました。我々のソフトの利用を熱望しているJAEAからの要請に応じることができ、素直に喜んでおります。

私が自らの意志で行動すれば、電撃的に事が運ぶのですね。人任せにしていたのは愚の骨頂だった —— ということを悟りました。

■ 2010年9月14日(火) RIETAN-FP・VENUS配布ファイルの更新

Windows・Mac OS X用のRIETAN-FP・VENUS配布ファイルをアップロードしました。RIETAN-FP_manual.pdfとRead_mac.pdfをわずかに修正するとともに、MPF_multi_*.pdfに自動MPF解析のフローチャートの図を追加しました。また、Windows用配付ファイルに同梱しているFastCopyをv2.03にバージョンアップしました。

■ 2010年9月15日(水) Jedit X Rev. 2.26

Mac用RIETAN-FP・VENUS統合支援環境の土台となっているJedit XのRev. 2.26がリリースされました。

■ 2010年9月16日(木) ついに出ました、Igor Pro v6.20

Igor Pro v6.20正式版が公開されました。ただし、Windows用64ビット版はまだベータ版v6.20B05に留まっています。

Igor Proは高価とみる人が多いようですが、円高の昨今、教育機関に属する人がWaveMetricsから直接購入するなら、さほどでもありません。教員なら$435、学生に至ってはたった$85です。強力な汎用グラフ作成ソフトとして徹底活用すれば、すぐ元が取れます。といっても、手元不如意の人にとっては、なかなか手が出ないのでしょうね。

ご存じのように、RIETAN-FPの出力するリートベルト解析パターン・プロット用ファイル*.itxはIgor text形式のファイルです。このたび、Igor Proを所有していない人々を救済するために、WindowsおよびMac OS Xの両方で動く*.itxプロット用プログラムを作成してくれた奇特な方が現れました。現在、改善要求とバージョンアップのキャッチボールを繰り返している最中です。GUIを備えたクロスプラットホーム・プログラムを自作するのは相当大変なはずですが、若いのに大したものですね。

思い起こせば、IPNS(アルゴンヌ国立研)のSEPDで測定した高圧中性子回折実験データの解析結果をプロットするためにIgorを購入したのは、かれこれ20年前です。共同研究者のJim Jorgensenは4年前にこの世を去りました。リートベルト解析結果のグラフ化までもIgorを活用することでお茶を濁してきた老兵は、早く消え去るべきではないでしょうか。

■ 2010年9月17日(金) 維新の立役者が入浴したという由緒ある温泉

山口大学理学部講演会の前日は大学の近くに宿泊しようと思い、湯田温泉の安宿を予約しました。湯田温泉には坂本龍馬、高杉晋作、西郷隆盛、大久保利通、伊藤博文らが入浴しながら密議をこらしたので有名な「維新の湯」があるとのこと。しかし、二日間にわたり宇部でみっちり仕事した直後で、湯田温泉に到着するころはクタクタに疲れていて、ゆっくり温泉につかる気力が残っていないに決まっています。屋根があるところで眠れれば満足、といったところです。

ところで、上に書き並べた維新の英傑は早世した高杉晋作を除けば、非業の最後を遂げた人ばかりじゃないですか。やはり温泉につかるのは止めておいた方が無難です(笑)。

■ 2010年9月18日(土) 最大の問題点が解決

自宅でのメールの送受信には、iMac上でDenbun IMAP版を使っています。最近、v2.0IAR6.4にバージョンアップされ、ログイン直後にウェブメールのウィンドウがフルサイズで画面表示されるようになりました。一番気になっていた欠点の改善はありがたいです。

ただし、FirefoxかSafariを使う必要があります。Google Chromeでは、相変わらずアドレス帳の小ウィンドウが表示されてしまいます。私はFirefox v4.0b6(8月21日)を愛用しています。

■ 2010年9月19日(日) 大体、MacでWordを使う方がバカなんだよね

論文2報の投稿を急いでおり、やむをえず連休返上で仕事していますが、今日はMS Wordの不具合に散々悩まされました。なぜか数式を編集中に文字が小さくなってしまうのです。もちろん、文字サイズはちゃんと設定しています。修正履歴を記憶させているせいかもしれません。

Office for Mac 2008はもう枯れきっているはず。なにしろ、来月にはOffice for Mac 2011が出荷されるくらいですから。それにもかかわらず、この体たらく。やはり、より安定なWindows用Officeを使うべきなんだと思います。

■ 2010年9月20日(月) YMnO3における構造相転移パスと分極過程に関する研究

この研究には、放射光粉末回折データをRIETAN-2000で解析して得た結晶データが使われました。

■ 2010年9月21日(火) いくら建設的な提案をしても馬耳東風とは…

Windows・Mac OS X用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルを更新しました。RIETAN-FP_manual.pdf中のChap. 7(ANALYSIS OF COLLINEAR ANTIFERROMAGNETIC STRUCTURES)を修正しました。伝播ベクトルkを決める際に使う低角領域の粉末中性子回折パターンの図を一つ追加するとともに、専門用語の誤りも訂正しました。

J-PARC用リートベルト解析プログラムに磁気構造解析機能が欠如していることに非難ごうごう、と漏れ伝わってきています。大失態ですよね。早晩、当該機能を追加せざるを得ないでしょう。私が「何年か先のダメ出しを回避するための有益な助言」を与えてから4年も経つのに、未だに聞く耳をもたないという頑迷さ、不見識、使命感の欠如には呆れ果てます。結局、「何年か先のダメ出しを回避する」ことはできませんでした。

しかし、粉末試料で磁気構造を解析したいという場合、80〜90%はcollinearなヤツでしょう。JRR-3Mは依然として稼働しているのですから、HRPDかHERMESで中性子回折データを測定し、RIETAN-FPで解析すればいいじゃないですか。RIETANに慣れている人なら、楽なもんです。これこそ、恰好のリスクヘッジ。もちろん他の外国製ソフトでも構いません。スピンが一軸性でないならば、かなり手強いのを覚悟の上、そちらをお使いください。

■ 2010年9月22日(水) 大幅なスピードアップに感動

TeX Live 2010 for Macに含まれているpdfTeXを連日使っていますが、すこぶる快調です。DVIファイルを経由せず、直接PDFファイルを生成してくれます(実体はオリジナルのTeXにあらず)。欠点はMac Proでのタイプセットが速すぎて、ほとんど休息が取れないことくらいです(笑)。

TeXShopにおいて環境設定 > 内部設定 > パス設定 > pdf(TeX)で

/usr/local/texlive/2010/bin/x86_64-darwin/

とすれば、この強力なタイプセット・エンジンを始動できるようになります。賞味期限切れのPowerPC機では

/usr/local/texlive/2010/bin/universal-darwin/

と設定します。

しかし、TeX Live 2010では英語文書しかタイプセットできません。ptexlive (for TeX Live 2010)のリリースを心待ちにしています。

Microtypographyという新たな組版アルゴリズムを採用したpdfTeXは確かに素晴らしいですが、その後継と目されているLuaTeXがすでに公開されています。DVIファイルを生成しないという点はpdfTeXと同じです。pdfTeXは遅かれ早かれLuaTeXに世代交代していくのでしょう。

■ 2010年9月23日(木) 名工大教員としての教育活動

講演と講習のお知らせ名古屋工業大学セラミックス基盤工学研究センター、秋の公開講座における講義「粉末回折による結晶構造の精密化」(11月25日、多治見)を掲示しました。

今回は初心者向きにリートベルト法について説明するだけでなく、手軽でスマートなRIETAN-FPの使い方を伝授する予定です。こういう手続きに従ってリートベルト解析を実行すれば、正しい解へと収束させるのに四苦八苦せずに済む、という具体的な指針を示します。この方式のおかげで自分自身が大分楽になりました。

■ 2010年9月24日(金) 衝撃の事実が発覚!

RIETAN-2000を使用して得た成果を発表する際、引用すべき論文は

です。Volumeが321-324、ページが198-203です。赤字は被引用数(Scopus調べ)を示しています。ところが、

というように引用する論文が後を絶ちません。Volumeに範囲があるはずがないという思い込みから来ています。今日、明るみに出たのは、volumeとページを入れ換え、

と引用している論文が、volumeを321とする論文の倍も存在するという意外な事実です。当方の知らぬ間に、この奇形新種はやたらに増殖していたのです。それらの中には、volume=189という二重の誤りを犯している論文も含まれていました(笑)。もちろん、Scopusはvolumeが198189の論文が引用されたとは見なしません。両volumeにIzumi & Ikedaの論文は存在しないからです。

これら三つの合計 1,355 にRIETAN-FPに関する論文(Izumi & Momma, 2007)の被引用数を足すと、1,436 に底上げされます。

上記論文は単なるカウンターとして使っているに過ぎませんが、軽率なミスがこれほど多いとわかっていたら、

というように冗長性を持たせていたことでしょう(笑)。

百数十回/年という被引用数、メンテナンスの継続性、RIETAN-FPの利用を前提として編集した「粉末X線解析の実際」第2版の上梓を考慮すると、RIETAN-2000/FPに関する論文の被引用数が最終的に 2,000 の大台(3月21日)に乗るのは、まず確実となりました。

以上、毎度お馴染みの被引用回数ネタでした。手垢まみれの話題しかなく、申し訳ありません。

■ 2010年9月25日(土) Gow --- The lightweight alternative to Cygwin

UNIXと同等の環境をWindows上に構築するには通常Cygwinを使いますが、Gow (Gnu On Windows)という軽量級の代替ソフトが7月に現れました。

bashも使えるとのことです。いずれ、MPF_multiのbashスクリプトが動くかどうか試してみたいです。win-bashあるいはGNU bash for WindowsGnuWin32のコマンドを組み合わせるという選択肢もありますが。

しかし、ユーザーがインストールすべきソフトが増えるのは好ましくありません。バッチファイル(MPF_multi.bat)からシェルスクリプトに切り換えるのは避けるべきです。

■ 2010年9月26日(日) 3日間の不在

明日早朝に宇部に向かって発ちます。さる民間企業でリートベルト解析講習会(27・28日)の講師を務めた後、湯田温泉に移動し、29日の午後、山口大学理学部(吉田キャンパス)で講演し、同日の深夜に帰宅します。

■ 2010年9月29日(水) 200円払えば、温泉に入れるのですが

湯田温泉で宿泊したビジネスホテルは維新の湯(9月17日)のごく近くでしたが、案の定、温泉につかってゆったり、という余裕はありませんでした(笑)。ホテルから徒歩で二三分の中原中也記念館(中原中也の生家跡)を訪れた後、山口大に向かいました。

■ 2010年9月30日(木) 休暇(?)から復帰

宇部・山口滞在中は計10時間30分、講義・講演した上、二晩とも夜遅くまで宴会で、研究と無縁の俗事について喋りっぱなし。睡眠不足気味なのは否めません。にもかかわらず、微塵も疲れをみせずに平常通り出勤し、猛然と仕事をこなす自分のエネルギーにあらためて感心しました。

両方とも事前の予想を大幅に上回る参加者が集まり、盛会でした。山口大学理学部講演会の方は、民間企業や他の教育機関の方々も聴講されていました。実社会との繋がりを重視している今の私にとって、本当に喜ばしいことです。

■ 2010年10月1日(金) シフトJIS → UTF-8

Check_HP.pyは、本ホームページindex.htmlをhttp://homepage.mac.com/fujioizumi/からダウンロードし、掲示板の部分だけ抜き出したindex_conv.htmlを生成し、Firefoxで閲覧するためのPythonスクリプトです。掲示板への書き込みを素早くチェックするため、一日に一度は必ず使います。今日Python v3.1.2をMacにインストールしたところ、Check_HP.pyが正常に動作しなくなってしまいました。

調査の結果、v3.1.2では関数open()で文字コードを指定する必要があることが判明。そこで、この際HTMLファイルの文字コードをUnicode(UTF-8)に変え、

f0 = open('index.html', 'r', encoding='utf-8')
f1 = open('index_conv.html', 'w', encoding='utf-8')

という命令で両HTMLファイルを開くよう改訂したところ、問題なくindex_conv.htmlを閲覧できるようになりました。

最終的に、本Webサイトの日本語HTMLファイルはLaTeX文書ファイル*.texと同様に、すべてUTF-8コードに統一しました。

■ 2010年10月2日(土) GraphicConverter 7.0

GraphicConverter 7.0がリリースされたので、早速Upgrade Single User Licenseを購入。Cocoaベースのユーザーインターフェースに一新されました。

■ 2010年10月3日(日) マジで限界ギリギリ

量子ビームセンターが発足する前後から、人前に立つチャンスが一段と増えました。一般公開の講演や講習は講演と講習のお知らせに掲示してあります。私がお膳立てし、自作自演した催しも多いです。そこに挙げたもの以外にも、大学での集中講義やNIMS内の行事なども数回こなした結果、少なからず疲弊しました。

この程度だったら何でもないじゃないかという猛者も多いでしょうが、シャイで引っ込み思案な老体としては、これ以上やったら壊れかねない、というのが偽らざる本心です。近年、外国からの講演依頼を辞退し続けているのも、そのためです。

ところで、最近、放射光やら中性子やら、ひっきりなしに量子ビームがらみの無料研究会が開かれてますね。乱発といって過言でありません。

過去にその手の催しで講師を務めると、メーリングリストにメールアドレスが自動的に登録されるとみえて、複数のメーリングリストから一年中途切れることなく参加呼びかけのメールが届きます。某中性子関係メーリングリストに至っては、放射光に関する集会の情報まで垂れ流ししてくる始末。

残念ながら、私にとって有意義で興味深い研究会はほとんどありません。メーリングリストから除いてほしい、というメールを送ればいいのですが、面倒なので放置している結果、一種のスパムと化しています。もし上記メーリングリストの管理者が本掲示板を読んでおられたら、私をリストから削除して頂ければ幸甚です(笑)。

それらの研究会の主目的は大型研究施設利用のプロモーションでしょう。しかし、講師が自分の研究成果について話すのが一般的なスタイルで、話の内容が専門的すぎるきらいがあります。実のところ、放射光や中性子の施設をこれから活用していこうという人たちにとって大いに参考になるとは思えない代物がほとんどです。どうしてそうなるかというと、ただでさえ多忙な講師にとって、自分の仕事のPRになると同時に準備が楽だからでしょう。もっと実際的で、初心者にとって有用な、実験・解析の技術やノウハウを懇切丁寧に説明すべきです(最近、私はそのように心がけています)。一時間やそこらの安直な講演・講義でお茶を濁していたら、ダメですよ。もっとも、参加費無料のお気楽研究会でそこまで徹底するのは、無理な相談でしょうが。

■ 2010年10月4日(月) 昨日、スパム呼ばわりしたメールが今し方、届きました。

以前、私の講演・講義を聴講していただいた大勢の方々にこういうのが送りつけられるのかと思うと、胸が痛みます(汗)。自他ともに認める集客能力の高さが裏目に出たという思いです。

よくよく考えると、大型研究施設のプロモーションの事務局が本掲示板を読んでいる訳ありませんよね。しかし、これだけは戒めておきたい —— 情報公害を防ぐために、メールを受け取るのを了承した人だけメーリングリストに加えるべきです。

■ 2010年10月5日(火) これは便利。しかも無料

職場では、一日に何回かWindows 7機(DELL Precision T5400)にログオンします。Windows嫌いの私が長時間使い続けることはまずありません。となると、一々ログオン、ログアウトするのは面倒です。

このたび、Remote Desktop Connection Client for Mac 2をMac Proにインストールしました。64ビット版Windows 7と互換性があるとはどこにも明記されていませんが、なんの問題もなくMac Proからリモートログオンできました。

セットアップは拍子抜けするくらい簡単でした。[接続] ボタンをクリックすれば、パスワードを入力することなく、ただちにログオン直後の状態になります。Windows 7のデスクトップを全画面表示し、必要に応じてDockを表示させてMac用アプリケーションやFinderに切り換えるよう設定しました。

RIETAN-FP・VENUS統合支援環境を秀丸エディタ内で利用したり、Windows Updateを実行したり、Windowsにおける右クリックに相当するショートカットを定義したり —— いずれも可能です。

Remote Desktop Connectionの導入により、OS切り替えの効率化が実現しました。もっと早くこれに飛びつくべきでした。

■ 2010年10月6日(水) 究極のポジティブシンキング

Dell Precision T5400に接続した液晶ディスプレイが突然、何も表示しなくなりました。他のディスプレイにつないでもダメ。T5400の購入以来、2年9ヶ月 —— 微妙な使用期間です。

とりあえず、本掲示板のネタが見つかったことを喜びませう。

当面、Windows 7(+ Boot Camp)をインストールしたMacBook Proに活躍してもらうしかありません。WindowsはMacで走らせるに限ります(負け惜しみ)。

■ 2010年10月7日(木) デジャブ

今朝Dell Precision T5400のスイッチを入れてみたところ、何事もなかったように立ち上がりました。そういえば、前にも一度、昨日のような障害が起きたような記憶が…

T5400がいつ壊れても大丈夫なように、重要なフォルダはすべてDropboxでバックアップしています。Mac Pro内のDropboxフォルダはさらにTime Machineによるバックアップの対象となるので、危機管理は万全です。

■ 2010年10月8日(金) オスロ大学のOkamotoらの研究成果

ESRFで測定した放射光粉末回折データのリートベルト・MPF解析にはRIETAN-FPPRIMAが、結晶構造と電子密度分布の三次元可視化にはVESTAが使われました。

日本語WebページをすべてUnicode化したおかげで、最終著者の名前に含まれている"å"を正しく表示できるようになったことを喜んでいます。

ところで、RIETAN-FP中の"FP"は何の略ですかと、たまに聞かれます。RIETAN-FPを作り始めたころの私は、藪から棒にころがり込んできた期間限定の●●に困惑し、その■■に腐心していました。早くなんとか▲▲を見つけなければ —— その焦燥感がストレートに顕れた名前を付けてしまいました。ウソっぽく聞こえそうな話ですが、紛れもない事実です。何の略かについては、口をつぐんでおきます。

■ 2010年10月9日(土) ICC3 - Symposium 1

講演と講習のお知らせにおいて、3rd International Congress on CeramicsにおけるSymposium 1: Advanced Structure Analysis and Characterization of Ceramic Materials, Oral Sessionのプログラムへのリンクを張りました。

私の講演 "Three-Dimensional Visualization of Electron- and Nuclear-Density Distributions in Inorganic Materials by MEM-Based Technology" は11月17日(水)の13:15〜13:45と決まりました。

■ 2010年10月10日(日) VESTA 3 アルファ版を限定公開!

お待たせしました。昨日、門馬綱一君がVESTAの次期バージョンのアルファ版v2.9.1aをアップロードしました。

手始めに、NIMS-名工大研究会「三次元可視化システムVESTAの高度化と利用技術」JAEAにおける泉・門馬の講演(9月13日)の聴講者限定でアルファテストを実施します。このWebページからアーカイブファイルをダウンロードし、門馬君の講演の最後に教えたパスワードを入力して解凍するようお願いいたします。

まだ完成途上である上、バグも少なくないだろうということをお断りしておきます。ベータ版のリリースを促進するため、不具合の報告をよろしくお願いいたします。

上記の二集会には出席していないが、アルファ版のバグ退治に協力したいという奇特な方は、私にご連絡ください。ただちにパスワードをお知らせします。

■ 2010年10月11日(月) 連休の成果

本WebサイトのHTMLファイルはすべてUTF-8コードに変更済みです。これを受けて、特殊文字も、気が付いたものはUnicode化しました。たとえば「森 鴎外」は「森 鷗外」に、「墨東綺譚」は「濹東綺譚」になり、"ü"や"é"などの拡張ラテン文字も正しく入力・表示できるようになりました。

10年分の掲示板をチェックするのは、かなり大変な作業でした。その合間に蒼井 優が出演していた「徹子の部屋」を観ました。面白かったのは、蒼井 優が意外にも「私は『黒柳徹子』を演じたことがあるんです。」と口走っていたことです。「花とアリス」では有栖川徹子の父親は黒柳健次なので、両親が離婚する前は「黒柳徹子」だったというのがオチでした(笑)。

Unicode化に留まらず、本ホームページを一挙にXHTMLに書き換えました。XHTML+CSS+Unicodeという潮流に乗るためです。また、塩漬け状態のWebページの表示・リンクは取り去りました。

■ 2010年10月12日(火) 廃物利用

VESTA 3のアルファ版10月10日)には、まだ説明書らしきものがありません。出来上がり次第、配付ファイルに含めますので、気長にお待ちください。

「そんなことじゃ、どこがどう変わったのかわからねぇ」というツッコミが入りかねませんね。「無い袖は振れぬ」という状況なので、とりあえず門馬君がVESTA 3についてIMA 2010で発表したときのポスターを眺めて、情報不足を補っていただければ幸いです。

もっとも重要な新機能は、複数の結晶データを組み合わせたイメージ作成でしょう。固体表面への吸着、原子・原子団・分子同士の反応・結合、多孔体や層状・トンネル状化合物へのゲストの取り込み、複合結晶など、多種多様な応用が期待できます。UndoはGUIを通じた操作のミスを帳消しにしてくれます。等値曲面のレンダリングの劇的な高速化も見逃せない改善点です。

VESTA 2.0をリリースした際には、2008年7月11日から7月18日まで本掲示板で派手な宣伝を繰り広げました。今回のメジャーチェンジ(v2.1.5 → v2.9.1a)の規模は、その時の比でありません。しかし今の私は、ラッパを吹きまくるには忙しすぎます。ドキュメンテーションばかりでなく、宣伝活動の方も控えめにしておきます。

■ 2010年10月13日(水) 新リチウム二次電池材料 Li2Fe(II)P2O7: LiFePO4以外の選択肢

新化合物Li2Fe(II)P2O7の構造解析と結晶構造作画にそれぞれRIETAN-2000とVESTAが使われました。

■ 2010年10月14日(木) 人間タイムシェアリング

今日は、時間を区切りながら5つの仕事を並行処理しました。さすがにきついです。くたびれました。常日頃からすばやいレスポンスを心がけていますが、この分だと放り投げざるを得ない案件が出てくるかもしれません。例によって、帰宅してからまたがんばります。

ところで、ICC3のProceedingsの原稿(刷り上がり6ページ)を書いているのですが、応用例を入れる余地がなくなってしまいました(汗)。まさか「オイラの論文だけ8ページにしてくれ」という訳にはいきません。さて、どうしたものか。

■ 2010年10月15日(金) VESTA v2.9.2a

VESTA 3のアルファ版がv2.9.2aにバージョンアップしました。三つのバグが修正されています。

VESTA 3の開発には不具合のレポートが欠かせません。10月10日にも記したように、バグ退治に協力していただける方にはzipファイル解凍用のパスワードを教えております。ご協力のほど、何卒よろしくお願いいたします。

■ 2010年10月16日(土) 過激派のルール

共和党候補の支援に熱を入れる草の根運動「ティーパーティー」がプロモーションに活用しているアリンスキー理論:

  1. 何も持たない人々は、数によってのみ力を得ることができる。
  2. 相手が経験していない領域で勝負しろ。
  3. あざけりは効果的な武器だ。

「理論」というより「常識」に近いと思いますが、いかがでしょうか。

■ 2010年10月17日(日) 過剰スペック

初めてLED電球を買いました。定格寿命は4万時間です。1日あたり4時間使ったとして、1万日=27年余。ということは、この電球が切れるのは、まず間違いなく私があの世に逝った後です。それにしては安かったなぁ。熾烈な価格競争が繰り広げられている模様で、もうちょっとで千円台です。

これほど長寿命だと、一通り行き渡った後どうするのでしょうか。さっぱり売れなくなるんじゃないでしょうか。

■ 2010年10月18日(月) 一時使っていたエディタ

TeraPadのバージョン番号がちょうど1.00になりました。といっても、これが最初の正式版ということではなさそうです。

TeraPadは「粉末X線解析の実際」講習会での実習用に使ったこともあります。また、RIETAN-FP・VENUS統合支援環境は当初、TeraPad上で構築しかけました。無料という点に惹かれたためです。しかし外部プログラム起動の機能が非力なことに気づき、強力な秀丸マクロが活用できる秀丸エディタに乗り換えました。今にして思えば、的確な判断でした。

■ 2010年10月19日(火) ケセラセラ

来年度はどうなるんだろう、と気に掛けていましたが、結局なるようになりそうです。とくに感想はありません。

■ 2010年10月20日(水) VESTAアルファ版の改訂

VESTA 3のアルファ版がv2.9.3a(パスワード付き)にアップデートされました。ベータ版のリリースに向け、一歩一歩前進していきます。

■ 2010年10月21日(木) いずれ更新する予定の商売道具
■ 2010年10月22日(金) 予測不可

某国際会議での招待講演のスライドを講演前日の晩、必死にこしらえたことがありましたが、精神的・肉体的に相当きつかったです。そういうことがないようにICC3での講演については、用意周到に準備したいですが、実際はどうなるんでしょうかね。自分でもわかりません。

■ 2010年10月23日(土) 困ったときの頼みのネタ

4月30日に調べた (直近半年間の被引用数)×2 を半年ぶりに再調査したところ、

RIETAN-FP/2000: 214
VESTA: 242

という結果が得られました。

ご覧のように両者とも被引用数が増えていますが、とくにVESTAに関する論文の被引用数は前回の5割増しという驚異的な伸びを示し、RIETAN-2000/FPに関する論文を追い越してしまいました。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いです。

もっともRIETAN-FP/2000の方は、9月24日に記したvolume(321-324)とページ(198)を入れ換えて引用した論文(なんと、これまで計239報!)をカウントしていないので、実際にはVESTAと同程度と見ています。

論文が出てから2年4ヶ月しか経っていないVESTAの利用が拡大中なのは予想通りですが、リートベルト解析のマーケットの飽和にもかかららず、RIETAN-FP/2000に関する論文の被引用数/年が1割も増加したのは想定外でした。他のリートベルト解析プログラムへの乗り換えがほとんど進んでいないことを物語っています。

すでに知悉した定番ソフトを使い、素早く解析し、せっせと論文を書きまくらないと、研究者としての評価が下がり、外部資金や次(上)のポストにありつけなくなるということなのでしょう。惰性力はあなどれません。また、ドキュメンテーションが充実し、日本語情報(たとえばこれ)が豊富で、他に類を見ない(自動)MPF解析の機能を利用できるのもRIETA-FP/2000の人気が衰えない理由だと思います。

強力無比なVENUSシステム(PRIMA, Dysnomia, VESTAなど)との親和性が強いのも、RIETAN-2000/FPの強みです。とくにVESTAが*.insを出力してくれるのは、大助かり。互いを補完することによる相乗効果がじわじわ効いています。

■ 2010年10月24日(日) 油断大敵

10月20日の毎日新聞朝刊の水説「インフレの足音」(潮田道夫)は恐ろしくショッキングな内容でした。仕分けによるムダの削減は微々たるもので、増税による財政再建は政治的に不可能に近い(確実に選挙で敗北する)ため、日本政府が財政破綻に追い込まれる可能性は相当高い、と警鐘を鳴らしています。税制破綻は次のような連鎖反応を引き起こします:

財政破綻の回避に失敗

信用不安から市場で資本逃避が起きる

国債が暴落、金利が急上昇

日銀が出動し、日銀券を大散布

円の暴落と悪性インフレの発生

国債は紙切れ同然となり、債務問題は強制的に解消される

低所得者層や年金生活者はものを買えなくなり、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされる

巨額の借金(国債)が実質的に帳消しとなるのですから、政府にとってはむしろ都合の良い事態かもしれません。もちろん、公務員の給与は大幅にカットされるでしょう。年金の減額や支給開始年齢も引き上げにも踏み切らざるを得なくなります。

個人がとれる安全対策としては

がお勧めとのこと。不動産以外の実物資産としては、金も有力な選択肢です。

長い目で見ると「円」の大量保有は危険だ、ということを肝に銘じておかねばなりません。ろくに円建て金融資産を所有していない人にとっては無関係な話ですが。

■ 2010年10月25日(月) ツッコミどころ満載ではあるものの —— 恐い者知らずのオイラも、コイツには腰が引けちまった

「スゴいものを見つけました!」という件名のメールが届きました。「詳しくは、このWebページで公開されている補足説明資料をご覧ください。」とのことです。

とるものもとりあえず拝見。はぁ、iMATERIAのプロモーション資料ですか。iMATERIAでこれまで得られた最重要な成果やチャンピオンデータを発表してるんでしょうな。

と思いきや、……☆★☆★☆★〜! あまりの衝撃に瞼の中で星がチカチカ… Y系超伝導体(p. 4, 上)、マンガン酸化物(p. 5)、酸化スズ(p. 12)のリートベルト解析パターンのド迫力に圧倒されまくりました。スゴすぎる…(汗)。

極め付けは、なんといってもマンガン酸化物です。この極悪フィットには思わず目を背けたくなりました。逆宣伝効果満点。こんなト●ホなグラフをことさらに見せびらかした真意は? —— 謎は深まるばかりです。

汗が引いたら、寒気がしてきました。傍観するしかない以上、コメントは控えておきます。他人の失態を誹るのは天に唾するようなものです。頭の上の蠅を追わなきゃ…

■ 2010年10月26日(火) すっかり忘れてました

昨日眺めた資料が誘発した悪寒に耐えていたところに、ビッグニュースが舞い込んできました。ひぇ〜、これからが大変だぁ!

まあ、手放しで喜ぶべきことなんでしょうね、研究の世界における常識に従えば。しかし(以下、省略)

■ 2010年10月27日(水) MacからWindows機を遠隔操作するためのユーティリティ

Microsoft Remote Desktop Connection Client for Mac v2.1.0がリリースされました。

Macが長くスリープした後は、Windows機に接続できなくなります。そういう場合は、Macを再起動するか、接続可能な状態になるまで待つ必要があります。

■ 2010年10月28日(木) バージョンアップ2件

メニュー項目のショートカットを変更するMac OS X用ユーティリティMenu MasterがついにSnow Leopardに対応しました。早速v2.0.1をインストール。TeXShop, Microsoft Word, Jedit X, Adobe Acrobat Proで自家製ショートカットを使っています。これほど便利なものはめったにありません。お薦めです。Macユーティリティに追加しました。

化学データのコンバータOpen Babel v2.3.0がリリースされました。OpenBabelはDV-Xα法計算支援環境から起動できます。

■ 2010年10月29日(金) RIETAN-FPに関する新情報源

大山研司氏(東北大金研)のブログ I am not what I am. でRIETAN-FPに関する一連の記事が投稿されました。それらのうち「RIETAN-FP:ちょこっとうごいたが・・・」と「RIETAN-FP:よくわからないエラー」という二つの記事に対し、コメントを記しました。

念のために、外国出張中のご本人にそれらのコメントをメールで送ったところ、同ブログにコピー&ペーストされました(笑)。

HERMESで測定した粉末中性子回折データから、RIETAN-FPによって磁気構造(化学的単位胞≠磁気的単位胞)が次々に解析されるよう祈っています。

■ 2010年10月30日(土) 窓の手 2010

Windows XPの時代に、Windows環境改善ソフト窓の手 2004を愛用しました。現在、Windows 7対応版を開発中で、年内には公開を予定しているそうです。楽しみが一つ増えました。

■ 2010年10月31日(日) いっそ全部捨てちゃおうか

本WebサイトのHTMLファイルをすべてUnicode(UTF-8)化したのをきっかけに、掲示板バックナンバーを大分手入れしました。とはいえ、多数のリンク切れの解消までは手が回りませんでした。

改訂中に、akikobrand(2001年11月29日)が消滅していることに気づきました。時の流れは恐ろしい…

■ 2010年11月1日(月) DV-Xα分子軌道計算講習会

DV-Xα分子軌道計算講習会が11月27日(土)に兵庫教育大学・神戸サテライトで開催されます。

アドバンスコースにはDV-Xα法計算支援環境VESTAを用いた実習が含まれています。この組み合わせは2008年以来、同講習会での実習に使われてきました。

■ 2010年11月2日(火) やはりLinuxの方が安定かつ安上がり?

当サイトのコンテンツを収めたhttp://homepage.mac.comのOSが、いつの間にやらLinuxに変わっていました。

■ 2010年11月3日(水) 「日清史上最高傑作」

を謳うラ王 背脂濃コク醤油を食べてみました。新たに、湯切り不要のノンフライ麺を採用しています。ウン、確かにスープはおいしい。値段(税込み248円)だけのことはあります。

■ 2010年11月4日(木) 秀丸エディタの最新版

RIETAN-FP・VENUS統合支援環境DV-Xα法計算支援環境の基盤である秀丸エディタの正式版がv8.02にバージョンアップしました。

■ 2010年11月5日(金) グローバリゼーションに背を向けては生きていけません

JSPSが公募していたプロジェクトへの提案がこのほど採択され、TOF粉末中性子回折の分野でアメリカの二大パルス中性子源LANSCEおよびSNSと三年度にわたる国際研究交流を実施することになりました。すでにLANSCEとは、前倒しで研究協力をスタートさせています。

外部資金を受け取る以上、これまで先送りしてきたTOF中性子回折の優先度をトップレベルに引き上げ、真剣かつ本格的に取り組む義務が必然的に生じます。パルス中性子回折データのMPF解析技術(前座のMEM/リートベルト解析にあらず)の開発と応用が中心テーマとなるのは言うまでもありません。もちろん、相手先もMEMに基づく解析技術の移転、とくにこれまでに手の内化してきた敷居の高い要素技術を集大成したソフトウェアの導入を熱望しています。米国という巨大マーケットに進出できるのですから、大きな波及効果が見込め、やり甲斐があります。

しかし、その前に片付けねばならないことが山積している上、スケジュールも超タイトであり、前途多難です。この国際共同研究を成功させるには、気を引き締め、脇目もふらず目標に向けて前進していくしかありません。

ただ猪突猛進は禁物です。Mission impossibleになりかねません。「超現実主義者」たる私の本領を発揮し、実現可能な研究計画を策定するつもりです。

■ 2010年11月6日(土) もちろん原子間距離や結合角に標準誤差は付きませんが

RIETAN-FP v1.72以降では、シミュレーションモード(NMODE = 1)でもORFFE用入力ファイル*.xyzが出力できるようになったと2月9日に書き込みました。本掲示板のネタがさっぱり見つからないので、今日はその方法を伝授しましょう。といっても、大したことはありません。*Quitというラベルを削除し、*ORFFEというラベルを追加するだけです:

If NMODE = 1 then
   NDA = 0! No file is output which store ORFFE data.
   NDA = 1: *.xyz for ORFFE is output.
   Go to *ORFFE
end if
…
*ORFFE
If NDA > 0 then
  201    5                  35
  …
  } End of ORFFE instructions.
end if

VESTAでCIFなどの結晶データファイルを読み込み、*.insをexportしてからRIETAN-FPとORFFEを順次実行し、、原子間距離と結合角の一覧表を得るのに役立ちます。

■ 2010年11月7日(日) 本日もネタ枯れにつき

昨日に引き続き、Evernoteのノートからのコピー&ペーストでお茶を濁すことにします。

RIETAN-FPで多相試料を扱う場合、雛形ファイルCu3Fe4P6.ins中の

# Begin lines for multiphase samples.

# End lines for multiphase samples.
ではさまれた行を
If NMEM > 0 then
   …
end if

の下にコピー&ペーストして修正する必要があります。以下に例を示します:

# Begin lines for multiphase samples.
*Microabsorption

NPHASE@ = 3: number of phases contained in this sample.

If NPHASE@ = 1 then
   Go to *ORFFE
end if

# Numbers of formula units in the unit cells for NPHASE@ phases
1.0  1.0  4.0

INTSTAND = 0: No crystalline internal standard was added to the sample.
INTSTAND = 1! A crystalline internal standard (phase #1) was added to the sample.
INTSTAND = 2! A crystalline internal standard (phase #2) was added to the sample.
INTSTAND = 3! A crystalline internal standard (phase #3) was added to the sample.

If INTSTAND > 0 then
  FRACIS = 0.10: Measured mass fraction of the internal standard.
end if

If NMODE < 4 and NBEAM > 0 then
   If NBEAM = 2 then
      # Mass attenuation coefficients (cm**2/g) of the real chemical species for SR.
      11.5  75.5  302.0  18.1  # For a wavelength of 1.5418 Angstroms.
   end if

   # Effective radii (micrometers) for NPHASE@ phases. Enter '/' when neglecting microabsorption.
   5.0  5.0  5.0
end if

*ORFFE
If NMODE = 1 then
   Go to *Quit
end if
# End lines for multiphase samples.

さもないと、最後の相の RB, RF, E(SCIO) を出力した後、異常終了してしまいます。その原因がわからず困惑する人がかなり多いようです。

多相試料なのにもかかわらず、NPHASE@(相の数)を正しい値に設定していない例が多いです。これもトラブルを引き起こします。ご注意ください。

■ 2010年11月8日(月) ファイルコピー・削除ツール

Windows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルに同梱しているFastCopy v2.04がリリースされました。

■ 2010年11月9日(火) 本来は、結晶解析と電子状態計算の架け橋となることを願って開発したのですが、

にはVESTAで描いたイメージ9つが含まれています。

事志と違って、電子状態計算結果を報じる論文でVESTAが使われるケースがぐんぐん増えています。結晶解析の論文より、むしろ多いくらいです。

そういえば東工大の神谷利夫氏(2006年8月12日11月30日)は最近、教授に昇任されたと仄聞しました。おめでとうございます(ここに書いても仕方ないか)。

■ 2010年11月10日(水) これでは、ますます電子状態計算の論文の方が…

VESTA 3のアルファ版v2.9.4a、v2.5.5aが続けざまにアップロードされました。

今回の改訂はやや規模が大きいです。VASP POSCAR形式ファイルを出力できるようになりました。Niggli-reduced cellに変換してから出力するオプションが付いています。原子数の減少により電子状態計算に要する時間が激減するため、MedeAを購入する経済的余裕のない人が随喜の涙を流しそうな機能です。ここまで踏み込むと、民業圧迫というクレームが出かねません。

さらに、アメリカのパルス中性子源(11月5日)からの要望にも応えています。

アルファ版配付ファイルを解凍するためのパスワードを入手したい方は私にご請求ください。

■ 2010年11月11日(木) Untouchable!

Windows・Mac OS X用Fortranコンパイラが新世代へと移行しました:

残念ながら、アップデートする時間的余裕は当分ありません。新しもの好きの私としては、内心、忸怩たるものがあります。

■ 2010年11月12日(金) とりあえず、今日はここまで

Office for Mac 2011を納入直後にインストール。Wordの起動やスクロールがかなり速くなったことを確認しました。

■ 2010年11月13日(土) たとえMac上でもMac形式が許されないとは、不条理な…

RIETAN-FPのマニュアルには

と書かれています。今日、初めて気づいたのですが、正しくは、

です。すなわち、CR(Mac形式)でなければ、言い換えれば行末がLFでありさえすれば、Windows・Mac OS X版の両方で正しく読み込まれます。とすると、常に行末をCR+LFにしておけば間違いありませんね。

RIETAN-FPだけでなく、私が配付している全プログラム(Intel Fortran Compilerでビルドしたもの)に通用するルールのはずです。もちろん、各プログラムが出力するテキストファイルの行末はCR+LF(Windows)とLF(Mac OS X)です。

■ 2010年11月14日(日) 最後の花道

13日の日米首脳会談で、菅首相とオバマ大統領は9月に合意した

の三本柱で同盟を深化させる事を確認しました。

我々と米国のパルス中性子源との国際協力は三本目の柱にぴたりと沿ったことじゃないですか!

顧みれば、高温超伝導フィーバー後の10年余は、日米欧超伝導協力という予算枠が設けられていたため、アメリカとヨーロッパの中性子源との国際協力を積極的に展開しました。欧米の研究者の招聘や当方の渡航のために、その予算をふんだんに使わせていただきました。その結果、主な研究の大半は海外の中性子源(IPNS, HFIR, NIST, ILL)を利用して実施することと相成りました。過去にそういう実績を積み重ねた私ですから、日米パルス中性子協力や基幹技術・ソフトの輸出は「上等じゃないの。やるっきゃない!」といった感じです。

遠からず消えていく身としては、これまで培ってきた人脈を活かして国内外の研究所・大学との協力関係の基礎を築き、お膳立てをして一丁上がり。後はお任せするしかありません。それで十分使命を果たしたと言えるでしょう。

■ 2010年11月15日(月) Igor Proの最新版

Igor Proがv6.21にバージョンアップしました。

■ 2010年11月16日(火) ICC3

今日から18日まで3rd International Congress on Ceramicsに参加するため、大阪に出張します。座長と招待講演を一つずつこなすのがノルマです。Proceedingsの原稿(刷り上がり6ページ)は昨日投稿しました。

■ 2010年11月17日(水) ファイルコピー・削除ツール

Windows用RIETAN-FP・VENUS配布ファイルに同梱しているFastCopy v2.06がリリースされました。

■ 2010年11月18日(木) ICC3終了

ICC3におけるMPF解析に関する招待講演は滑舌良好、発表時間はぴったり、質問には淀みなく回答、といった調子で、つつがなく終了しました(年の功?)。

招待講演や講習などで使ったPDFファイルは、聴講者限定でダウンロードを許可するのが常となっています。今回もPDFファイルのURL(短縮形)を最後のスライドで示しましたが、それを映している時間が短すぎたようです。メモしそこなった聴講者は、私にメールをお送りください。

一週間後には秋の公開講座(11月25日)が控えています。名工大教員としての仕事です。できるだけ平易かつ丁寧に講義するつもりです。

■ 2010年11月19日(金) 電子状態計算の領域で人気沸騰中

6月21日の時ほどではないものの、Phys. Rev. BのVolume 82, Issue 15にはVESTAで作成したイメージを使った論文が三報も掲載されています:

VESTAは断じてドメスティックなソフトでありません。国際的に広く通用している国産結晶学ソフトは数えるほどしかありませんが、VESTAはその筆頭と自負しています。来年5月に開催されるMaThCryst Workshop on Crystallographic Softwareで門馬綱一君が講師を依頼されたのは、過去数年にわたる精進と注力の賜でしょう。現在アルファテストを実施中のVESTA 3(本日、v2.9.6aをリリース)の正式版をリリースすれば、一層普及が進むものと期待しております。

■ 2010年11月20日(土) バージョンアップのたびに重くなってきたAdobe AcrobatとAdobe Readerですが、

つい最近リリースしたばかりのAdobe Reader Xでは、そういう肥満化傾向に歯止めがかかったように感じます。自宅のiMacでもヘルプのプロダウンメニューが速やかに降りてくるようになりました。PowerPointを毛嫌いし、プレゼンテーションにAdobe Readerを使い続ける私にとっては朗報です。

■ 2010年11月21日(日) 現時点ですでに合格点

「粉末X線解析の実際」第2版(朝倉書店)はすでに3刷が発行されています。今年初めに早々と損益分岐点を越えた後も、順調に発行部数を伸ばしてきました。未曾有の出版不況の中、マーケット規模の小さい(和文)専門書の売れ行きが軒並み落ち込んでいるという状況を考えれば、胸を張って「上出来!」と言い切って差し支えないでしょう。

同書の編集の際には、数式や物理量のシンボルを正書法に則って訂正するのに大童でした。現在校正中の解説のゲラにも大量のミスが含まれており、この週末、かなりの時間を費やして赤を入れました。とりわけ多かったのが、下付きのシンボルを斜体でなく標準にするという誤りです。Wordで執筆した原稿の場合、数式エディタで作成したオブジェクトは、基本的に印刷所で再入力するそうです。余計な手間とコストが増えると同時に、間違いも発生しやすくなります。こういう本質的な欠陥はどうにかならないものでしょうか。

■ 2010年11月22日(月) なんでエスプレッソ?

Quantum ESPRESSOVASPと同様に擬ポテンシャルと平面波基底を用いる密度汎関数計算プログラムです。VASPと異なりフリーソフトウェアであるばかりでなく、PWguiというGUIも利用できます。

Quatum ESPRESSOが出力するファイルはVESTAで可視化できます(TOOLSをご覧ください)。そこでVESTAのマニュアルにその旨を書き加えました(注: 11月24日に更新)。Quantum ESPRESSOに関する論文は共著者が多く、文献データベースファイル*.bibに記述するのが結構大変でした。

■ 2010年11月23日(火) 行き詰まり感

事業仕分けは事実上空振りに終わりました。下請けに丸投げ同然で投じてきた総予算が約1兆6000億円に達している上、またしても重大な事故を引き起こした高速増殖原型炉もんじゅでさえしぶとく生き残っているくらいですから、仕分けで浮いた予算などたかが知れています。無駄な出費は結構あるのですが、利害関係が錯綜しており、構造的にカットできない堅固な仕組みが出来上がっているのです。

増税による借金返済とTPPへの参加による域内貿易の振興なしには日本は生き残れないと見ています。しかし、終末感が漂う菅政権にそれらを断行する力などありません。たとえ政権が交代しても大差ないでしょう。ということは…(安全策については10月24日をご覧ください)。

■ 2010年11月24日(水) 準備完了

名工大セラミックス基盤工学研究センター、秋の公開講座用のスライドを完成・送付した後、共著論文を大急ぎで添削しました。

■ 2010年11月25日(木) 1泊2日の日程で

名工大、秋の公開講座で講義するため、今日これから多治見に向かいます。

■ 2010年11月26日(金) 昨晩の公開講座、

持ち時間は2時間なので、途中で一回休憩を入れるつもりでしたが、時間不足のためぶっ通しで突っ走りました。それで涼しい顔をしているのですから、我ながら元気すぎる… 用意したスライドは1/3くらいしか使いませんでした(冗長性過剰?)。

いつもセカセカしている己に嫌気が指して、甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、中央アルプス、八ヶ岳の景観を楽しみたいという心境になり、中央本線経由で帰りました。摩利支天を従えた甲斐駒ヶ岳の勇姿を車窓から望み、ついに登らずじまいだったことを深く悔いました。

IWAC04に参加し、プログラム開発についての打ち合わせを行うため、来月も名工大に出張します。

■ 2010年11月27日(土) 中央本線停車駅の怪

昨日は、塩尻で新宿行きの特急に乗り換えた後、小淵沢までの停車駅が多いのにびっくりしました:

塩尻 → 岡谷 → 下諏訪 → 上諏訪 → 茅野 → 富士見 → 小淵沢

少し走ると、すぐ停車。「これでも特急? もういい加減にしてくれ!」という感じでした。それしきのことでイラつくなら、新幹線に乗るべきなんですけどね。

甲府ー八王子間は一転して、停車駅なし。この差はどこから来ているのでしょうか。

■ 2010年11月28日(日) 最適平面上の物理量を2Dプロットするには

一群の原子団のなす平均平面は、原子団を構成する原子と平面との距離の(重み付き)2乗和が最小となるように最小二乗法で求めることから、最適平面と呼ばれます。残念ながら、VESTAは最適平面を決定できません。一方、Mercury(無料版)を使えば、最適平面の (hkl) が容易に求まります:

  1. MercuryでCIFを入力する。
  2. グラフィックウィンドウ内で最適平面上の原子を複数クリックする。
  3. Calculate > Planes... で現れるPlanesダイアログボックスで [New Plane...] をクリックし、Plane Propertiesダイアログボックスで [OK] をクリックし、Planesダイアログボックスで [Close] をクリックする。
  4. Display > More Information > Planes List... でNearest Millerに (hkl) が表示される。

最適平面のミラー指数さえ決まれば、VESTAによる2次元マップのプロットはごく簡単。Edit > Lattice Planes... でミラー指数を入力し、Distance from origin = 0 とした後、[Add] をクリックするだけです。

■ 2010年11月29日(月) 新世代Fortranコンパイラ使い初め

Windows・Mac OS X用の最新Fortranコンパイラ

をインストールし、RIETAN-FPとORFFEを再コンパイル。もちろん正常にビルドできました。

■ 2010年11月30日(火) 今年も余すところ一ヶ月

いったい今年は何をやっていたんだろうと思い、今年の本掲示板をざっと眺め渡してみました。よくもまあ、埒もないことを毎日書き散らしたものです。我ながら呆れてしまいました。

プログラミングに話を限ると、MPF_multi というスクリプト二つを作成し、RIETAN-FPにcollinear磁気構造(化学的単位胞 ≠ 磁気的単位胞)を解析する機能を追加してたくらいですね。来年は、Pythonで何か有用なスクリプトを作成してみたいです。来春にはVESTA 3の正式版がリリースされますが、RIETAN-FPのメンテナンスも必要不可欠。時間をやりくりしながらRIETAN-FPのブラッシュアップを続けていきます。

来年には、現時点ですでに講習会の講師をいくつか務めることになっています。集客力が衰微していないことを祈るばかりです。相当な枚数のスライドを蓄積済みなので、さほど手間はかからないでしょう(もちろん、ある程度は追加・拡充しますが)。というより、大量のスライドの有効利用を図らないと、もったいないです。RIETAN-2000/FPの利用が一向に衰えを見せない(10月23日)のは、開発者自らが白髪を振り乱してプロモーションに励んでいるからではないでしょうか。もうしばらくは人前に立ち続けるつもりです。

50代後半のとき、私は日本から飛び出すことを夢見ていました。外国で研究や教育に汗を流したいと願っていたからです。そういう話がなかった訳ではありません。結局そのようには事は運ばず、未だに惰性で過去のしっぽを引きずりながら極東の島国で細々生きています。元々あまり体が頑健でないので、海外、とくに発展途上国で暮らしていたとしたら、疾うにどこかで力尽き、野垂れ死にしていたことでしょう。その方がましだったような気がします。「命長ければ恥多し」ですから。

■ 2010 年 12 月 1 日(水) 今年度の最後を飾るイベント

書くこと、話すことを問わず、私本来の持ち味を出すには十分なスペースと時間が必要だと自覚しています。よく言えば懇切丁寧かつ親切、悪く言えば冗長にして饒舌、スペースと時間が十分あると、とたんに枝葉の部分が増殖し、脱線が始まる —— これが私の文章や話の特徴です。計 400 ページを越す RIETAN-FP・VESTA のマニュアルや本掲示板のバックナンバーを眺めれば、その一端が窺えるでしょう。

そういう私ですから、粉末回折に関する講演や講義でも、時間は長ければ長いほど助かります。4・50 分で要領よくまとめるのは苦手 —— 必ず後半が駆け足になります。寄る年波に勝てず途中でプッツン、という事態に陥ったら困りますから、4 時間くらいがちょうどいいんじゃないでしょうか。

ということで、過去 3 回催した情報機構のセミナー(半日コース = 4 時間)を来年の 3 月 28 日(月)に開くことにしました。これほど長く喋らせてくれるものは他にありません。「粉末X線解析の実際」第 2 版に書き漏らした重要事項にまで余裕をもって言及できます。繰り返し講師を依頼されるのは、講義の評価が高く、集客状況が良好で、賞味期限が切れていない証拠と勝手に解釈しています。

今回はぐっと初心者向きの平易な内容に変え、RIETAN-FP や VENUS を使う際、直接役立つ知識を提供します。「金を返せ」と言われぬよう、脱線は控えます。

そのセミナーを引き受けるにあたって提示した唯一の条件が「アキバで開催」でした。断っておきますが、セミナーを終えたらメイド喫茶で一服、という訳じゃありませんよ。では、なぜアキバなのか —— それを語り出すと切りがないので、この辺で止めておきます。

■ 2010 年 12 月 2 日(木) 老化防止策?

各種ユーティリティに GUI を付加したら便利だろうと考え、アップロードされたばかりの Mac 用 Python 3.1.3 の標準 GUI 構築モジュールを使うスクリプト gui.py をこしらえてみました。Python で書けば、おのずとクロスプラットフォームのアプリケーションになります。ちゃんとクラスで部品化しました。

ところがなんと、モジュールのインポート

import Tkinter

で早々とつまずいてしまうではありませんか!

何度か試行錯誤した後、"Tkinter" を "tkinter" に変えれば大丈夫だということに気づきました。先走って最新版に飛びつくと、ろくなことはありません。

一辺が 100 ポイント、下地が青、リサイズ可能なウィンドウを開き、その中心に [quit] というボタンを表示し、それをクリックすると、端末に 2 行のメッセージを表示して終了、としたところで本日のお遊びから quit しました。そう難解なものではなさそうです。

「GUI だって? オイラにそんなものを作らせたら、もったいねぇ。ソフト資産としての値打ちは、計算エンジン >>> GUI だよ。」というのが私の本音です。しかし、誰も GUI を作ってくれない場合は、渋々自分でやるしかありません。ごく単純なもの限定で自作することにしました。

■ 2010 年 12 月 3 日(金) 新たな結晶学関連サイトの誕生

結晶学や結晶構造解析に関する日本語情報を発信する Web サイト Crystruct.infoLINKS 中の逆リンク集に追加しました。どこのどなたがそのサイトを構築したのかはマル秘(匿名希望)です。

「RIETAN-FP の英文マニュアルを和訳して公開したいので、許可してください。」と持ちかけられたので、「ご自由にどうぞ。ただし、翻訳が間違っている場合は指摘しますから、修正するようお願いします。」と答えておきました。

筆者自身が持て余し気味の、長大なマニュアルを翻訳したいだって! そんな暇人、おっと物好き、いや奇特な人がこの世に棲息していたとはアンビリバボー! 奇跡って絵空事の中のみならず、現実の世界でも起こるものなんですね(2005 年 7 月 9 日 参照)。

さらに京都大学大学院 理学研究科(化学専攻)固体物性化学研究室も逆リンク集に加えました。

■ 2010 年 12 月 4 日(土) 天は自ら助くる者を助く

12 月 2 日 の書き込みに早くもレスポンス。Python による GUI 構築を共に目指そうという仲間が現れました。願ってもないことです。善は急げ、tkinter に関する文献を送るとともに、プロトタイプの仕様も伝え、試作していただくことにしました。段階的に仕様を膨らませていきます。

最初の目標は、自動 MPF 解析スクリプト MPF_multi 用 GUI の作成です。MPF 解析は、なんといっても RIETAN-FP の最大の強みですから。市場占有率が 100 % の内に、もっと普及させてねばなりません。

■ 2010 年 12月 5 日(日) オイラにも誰か早く引導を…

下っ端ヤクザの夫に見切りを付け、医師からのプロポーズに応じるかどうか逡巡している母親に向かい、醒めた顔して

人間は大きな幸せを前にすると、急に臆病になる。幸せを勝ち取ることは、不幸に耐えることより勇気がいるの。

と言い放った「下妻物語」の桃子(小学生時代:福田麻由子)が戻ってきました。ロボットの Q10(前田敦子)を回収するため、時空を越えてやってきたひきこもり高校生、月子として。やはり白々しい表情で Q10 の秘密を明かし、Q10 をこの世から消し去るため、さっさとリセットボタンを押すよう平太(佐藤 健)に迫ります。

小学生が突然、高校生に変身し、決断をためらっている相手に引導を渡しているように思えてなりませんでした。

あ〜、極度の材料不足のため、またしても下ネタならぬ下妻ネタで掲示板を汚してしまった(汗)。

■ 2010 年 12 月 6 日(月) 空間群対称性の理解促進

Three-Dimensional Space Groups は各空間群における回転軸、鏡面、映進面を理解するのに役立ちます。この Web ページのみそは、"R" という文字を例にとり、対称操作を具体的に示してくれるところです。

もっとも、これは Symmetry, Crystals, Polyhedra and Tilings のほんの一部に過ぎません。他の Web ページも眺めてみてください。

ところで、12 月 3 日 に紹介した Crystruct.infoフォーラム が追加されました。「皆で共有したい質問や,要望,お知らせ等をご自由にお書き下さい。」とのことです。

■ 2010 年 12 月 7 日(火) 2.X で書いたスクリプトなんかを公開したら、末代までの恥

Python スクリプトのプロトタイプ作成(12 月 4 日)を依頼した人から、「Python 3.1.3 での開発で良いでしょうか?(中略)世に多くある情報はまだ 2.X が主流ということを確認しました。」という問い合わせがあったので、「私のような新しもの好きにとって、2.X で我慢するというのは死ぬほどつらいです。3.1.3 で行きましょう。」と答えておきました。

Windows 7 用 GUI サンプルプログラムを添付ファイルで送りました。その使用法を説明するとともに、古いスクリプトを 2to3 で変換する方法も教えました。これで万全、なんとかしてくれるでしょう。このように密接にコミュニケーションをとりながらものつくりに励む方が楽しいし、長続きします。

■ 2010 年 12 月 8 日(水) WIEN2k に関する日本語テキスト

初心者、すなわちド素人が英語と専門知識という二重の障壁を乗り越えるのは困難です。科学技術ソフトの使用にあたっては、日本語情報が手に入ると、「地獄で仏」といった心持ちになります。周囲に指導者がいない場合はなおさらです。

某ノーベル賞受賞者がマスコミの面前で「英語で講演するくらいなら、ストックホルムになんか行きたくねぇ!」と悲鳴を上げ、受賞講演は日本語原稿の丸読みで済ましたという逸話があるくらいですから、英文は勘弁してくれという英語アレルギー患者が掃いて捨てるほどいても不思議はありません。

DFT 計算プログラム WIEN2kWIEN2k-Textbooks には日本語の解説(上から三つ目)が含まれています。まずはこれを通読し、次に引用文献 2)〜4) を読み、さらに WIEN2k-Textbooks 中の英文テキスト、というように読み進んでいくと、WIEN2k に関する理解が深まっていくでしょう。

■ 2010 年 12 月 9 日(木) ミャンマー産鉱物 hibonite の結晶模型

VESTAで作成した hibonite の配位多面体モデルの図(News etc、10月12日をご覧ください)を含む論文を永嶌真理子さん(山口大)から頂戴しました:

M. Nagashima, T. Armbruster, and T. Hainschwang, "A temperature-dependent structure study of gem-quality hibonite from Myanmar," Mineral. Mag., 74, 871-885 (2010).

ベルン大学時代の研究成果です。永嶌さんが今年発表した筆頭著者論文はなんと 7 報、他に共著論文 1 報とのこと —— ポテンシャルの高さに圧倒されます。

■ 2010 年 12 月 10 日(金) 一時はどうなることかと

昨日、突如としてWindows 7機(Dell Precision T5400)に異変が発生。あらゆる設定が無効となり、ネットにもつながりません。ファイルシステムには異常がなさそうです。慌てず騒がず、F8 キーを押しながら再起動し、[セーフ モードとネットワーク] を選んで何日か前の状態を復元させ、T5400 の反乱を鎮圧しました。

このほか、昨日は新発見が一つありました。NIMS 内で「自分の iDisk」をマウントし、なんの制限もなくFinder 上でファイルやフォルダを扱えるようになったじゃありませんか! 以前は、にっちもさっちも行かなかったのですが。これで、職場と自宅におけるファイル共有がぐっと楽になりました。ただし、ファイル転送が非常に遅いのは相変わらずです。

■ 2010 年 12 月 11 日(土) IWAC04

4th International Workshop on Advanced Ceramics に参加し、ソフトウェアの共同開発について打ち合わせるため、名古屋に出張します。

■ 2010 年 12 月 12 日(日) 奇遇

IWAC04 のバンケットでデンバー大学の Davor Balzar 氏に会い、お互いびっくりしました。「なんで、あんたが名古屋におるんや?」という訳です。

Balzar氏は粉末回折による結晶子サイズや格子歪みの解析の専門家です。私を訪ねてつくばに来られたこともありました。2003 年 9 月にクラクフで開かれた国際会議に共に参加して以来、7 年ぶりに再会しました。

■ 2010 年 12 月 13 日(月) 体調不良

昨日午後の名古屋発、東京行きの新幹線は、人身事故(飛び込み自殺)の影響で軒並み数十分の遅れとなりました。名古屋駅で長く立っていたせいか、疲労がたまり、足が痛くてなりません。この年になると、土日がいずれも休めないのは結構キツいですなぁ。

■ 2010 年 12 月 14 日(火) 会場は秋葉原駅から徒歩1分!

12 月 1 日に記した 4 回目の情報機構セミナー(2011 年 3 月 28 日、東京都中小企業振興公社 秋葉原庁舎)の概要が決まりました:

「RIETAN-FP によるリートベルト解析」入門

タイトルから明らかなように、リートベルト解析にチャレンジしたいが、頼りになる知り合い、同僚、教員がいないという方々のために、じっくり時間をかけて平易かつ具体的に解説する予定です。たとえば、RIETAN-FP の標準入力ファイル *.ins を手っ取り早く作成するための便法やリートベルト解析結果の精査を通じて再解析する方法について紹介します。実戦で直接役立つ講義となるよう心がけます。十八番の MPF 解析については触れません。エキスパート向けの、とんがった技術ですから。

コリニア磁気構造の解析が入っているのは、現在、激烈な研究開発レースが繰り広げられているリチウム二次電池、燃料電池、水素吸蔵合金用の材料は Mn, Fe, Co, Ni などの磁性金属を含む物質が多く、室温やそれ以下で測定した粉末中性子回折データを解析する場合、少なくともコリニア(collinear)磁気構造くらいは解析できないようでは話にならないからです(2 月 16 日9 月 21 日)。幸い、RIETAN-FP による磁気構造解析はさほど難しくありません(とくに強磁性体の場合は)。

これまで、粉末回折技術について講習会や大学などで講義した回数は数え切れないほど多いです。国内のリートベルト解析のユーザーは、9 割以上が RIETAN の利用を通じてリートベルト解析を習得したのではないでしょうか。自分は日本にリートベルト解析を普及させ、根付かせた立役者だと自負しています。それも後、数回の講義で一丁上がり —— 有終の美を飾りたいです。

しかし、収容人員 100 人の第 1 会議室って広すぎ —— 参ったなぁ。講習会というよりは講演会用って書かれているじゃありませんか。自力では占有率が上がらないような予感が… 幸運にも当セミナーと同日に AKB 劇場が開かれていたなら、引き続きそっちに回れますよ、という惹句はどうかな(バカ)。

■ 2010 年 12 月 15 日(水) お金を払うだけの値打ちのあるソフト

NIMS 内でも、Transmit 4 で iDisk にアクセスできるようになりました! Finder 経由に比べファイル転送がはるかに速く、しかも安定です。iDisk 上のファイルを Transmit のウィンドウ内でダブルクリックして読み込み、編集が終わったらただちに保存できます。

クラウドサービス MobileMe の利用価値が実質的に上がったような心持ちになりました。アップルは Finder を通じた iDisk の ファイル操作が著しく遅く、しかも不安定であることを猛省しなければいけません。

■ 2010 年 12 月 16 日(木) 早くも次の一里塚に到達

Steacie Institute for Molecular Sciences(カナダ)の Flacau らは放射光粉末回折データのリートベルト・MEM 解析、分子動力学計算、NMR により NH4BH4 の結晶構造を精密化しました:

リートベルト解析には RIETAN-FP 、MEM解析には PRIMA, 電子密度の 3D 可視化には VESTA が使われました。Flacau 女史は、以前にもこれらのソフトを用いた研究成果をいくつか発表しています(2007 年 11 月 20 日2009 年 1 月 31 日)。

VESTA で描いたイメージが使われている最新論文をもう一つ。ケンブリッジ大学の Barcza らの研究成果です:

そろそろ本題に入りましょう。VESTA に関する論文

の被引用数が本日 302(Scopus 調べ)に達し、ついに 300 を越えました。上の論文単独で達成した値であり、IUCr Newslett., No. 7 の記事の被引用数(67)は含めていません。

2008 年以降に発表された材料科学分野の論文中で被引用数が世界一と豪語する論文でさえ 215(やはり現時点。Web of Science 調べ)に留まっているのですから、302 というのは破格の数字といってよいでしょう。2008 年に同じ J. Appl. Crystallogr. に発表された超有名プログラム Mercury 2.0 の論文にも引けを取っていません。

かくの如き別格の被引用数を 2 年半で達成できたのは嬉しい限りです。来春に予定されている VESTA 3 正式版のリリースに向けて全力を尽くさなければいけませんね。「個人的趣味」でなく「業務」として開発しているからには、本気度 100 %、エンジン全開で取り組みます。

RIETAN-2000/FP の論文の被引用数も、切りの良い数字への到達に向けてカウントダウンに入っています。来年初めには報告できるでしょう。

■ 2010 年 12 月 17 日(金) 消えた最重要フォルダ

Windows 用自作プログラムを収容している Solutions フォルダがいつの間にやら消えていることに気づき、背筋が寒くなりました。捨てた覚えはまったくありません。

幸い、Dropbox を通じて Mac Pro にバックアップされていたので、元通りにするのは簡単でした。

ひょっとしたら、Dropbox が何か悪さをしたのかもしれません。君子危うきに近寄らず ーー 思い切って全 PC から Dropbox を削除してしまいました。

■ 2010 年 12 月 18 日(土) "Fundamentals of Crystallography" の第 3 版

結晶学を学びたいというのなら、とにかく "Fundamentals of Crystallography", 2nd ed. がお勧め、と昨年 5 月 6 日の掲示板に記しました。VESTA の電荷分布(charge distribution)算出機能は同書に啓発されて組み込みました。

来年に同書の第 3 版が出版される予定です:

もちろん私は即刻買います。

■ 2010 年 12 月 19 日(日) ガラケー → スマホが時代の趨勢なので、

週末になるたびにケータイの機種変に行かなきゃと思うのですが、その暇と余裕がありません。化石人間になるのはまっぴら、という虚栄心以外にモチベーションがないからです。結局、もうじき満 4 歳となる現有ガラケーのままズルズル、という気がします。それでとくに支障がある訳ではありませんが。

本ホームページは毎日更新し続けています。粉末回折に関する貴重な情報源兼広告塔として役立っていると信じています。ケータイは出張・外勤時に重宝しています。シャイで引っ込み思案、かつ人見知りの激しい私が「ホームレス」や「無ケー文化財」にとどまっていたら、他者とのコミュニケーションが取れず、存在感が薄れ、忘れ去られていく一方でしょう。少なくとも後何年かは、最小限の手間とコストは支払わねばなりません。

■ 2010 年 12 月 20 日(月) 片手間でやっているだけだそうですが、

Crystruct.info がみるみるうちに肥大成長してきました。当方が開発したソフトのマニュアルの和訳が着々と進行中です。この驚異的なエネルギーはどこから来るのでしょうか。情熱が冷めぬよう、RIETAN-FP や VENUS のユーザーはできれば応援してあげてください。

訪問者が足跡を残していくべきフォーラムでさえ Owner が孤軍奮闘という状況を座視するに忍びないため、時間の余裕ができたら、助っ人として何か書き込んでやれ、と考えています。しかし、そこまで踏み込むと、ただでさえネタの枯渇が深刻な当掲示板が…

■ 2010 年 12 月 21 日(火) 過去の足跡

日本結晶学会誌のバックナンバー(2009年まで)が J-STAGE で公開されました。同誌には過去 11 回執筆したことがあるので、今日はそれらをリストアップしてお茶を濁すことにしましょう。

  1. 泉 富士夫, "X 線および中性子回折図形の Rietveld 解析システム", 日本結晶学会誌, 27, 23-31 (1985).
  2. 泉 富士夫, 中井 泉, "高 Tc 超伝導体と関連化合物の結晶構造", 日本結晶学会誌, 29, 365-373 (1987).
  3. 泉 富士夫, "結晶構造作画プログラム ATOMS", 日本結晶学会誌, 34, 41-43 (1992).
  4. 泉 富士夫, "リートベルト法", 日本結晶学会誌, 34, 76-85 (1992).
  5. 泉 富士夫, "超伝導酸化物の結晶化学と圧力誘起構造変化 —— 最近の話題", 日本結晶学会誌, 34, 290-297 (1992).
  6. 泉 富士夫, "新たな観点から見つめ直した高温超伝導体の結晶構造", 日本結晶学会誌, 37, 258-265 (1995).
  7. 泉 富士夫, 池田卓史, "多目的パターン・フィッティングシステム RIETAN-2000 とその微細孔物質への応用", 日本結晶学会誌, 42, 516-521 (2000).
  8. 泉 富士夫, 池田卓史, "RIETAN-2000 を活用した未知構造と不規則構造の解析", 日本結晶学会誌, 44, 30-34 (2002).
  9. 泉 富士夫, "RIETAN 徹底活用ガイド (1) 入出力ファイル", 日本結晶学会誌, 44, 246-254 (2002).
  10. 泉 富士夫, "RIETAN 徹底活用ガイド (2) 粉末回折データから得られる情報", 日本結晶学会誌, 44, 311-317 (2002).
  11. 泉 富士夫, "RIETAN 徹底活用ガイド (3) 電子・原子核密度分布の三次元可視化", 日本結晶学会誌, 44, 380-388 (2002).

最初の解説を執筆するよう私に依頼された方は逝去されました。合掌。

最後の三つは、執筆当時、私の居室の隣室におられた当時の日本結晶学会誌編集委員長から急遽頼まれて、続けざまに執筆したものです。極度の在庫不足だと伺いました。死にもの狂いで編集・執筆した「粉末 X 線解析の実際」第 1 版の上梓、PRIMA と MPF 法に関する英文レビュー(Recent Research Developments in Physics)執筆からさほど時を経ずして、同じ雑誌のために 3 報執筆は過酷すぎました。それで力尽き、以後は同誌に寄稿していません。

RIETAN 徹底活用ガイド (1) と (2) には RIETAN-2000/FP のユーザーにとって有用な情報が沢山盛り込まれています。RIETAN を使い始めて間もない方々はぜひお読みください。

蛇足: 本来は、5 と 6 の間あたりに絶対執筆しなければならない総合報告があったのですが、ついに日の目を見ないままに終わりました。その恥ずべき理由は、本掲示板のどこかに書き散らした覚えがあります。暇な人は掲示板のバックナンバーを探してみてください。

■ 2010 年 12 月 22 日(水) 2010 年の終わりにあたって

今の私は新しいことには手を出さず、基本的にこれまで綿々と手がけてきた仕事のバトンタッチ、ソフト資産と人脈の継承、次世代ソフト開発のためのプロデュース、ネゴシエーション、プロモーションに徹しています。

もろもろのお膳立てだけでも、相当な時間を費消します。少なくとも来年度までは働くしかありませんが、その後は未定です。健康が許す限り、仕事でなく趣味として RIETAN-FP のメンテナンスを続けます。少しでも長く社会と繋がっていたいからです。

残念ながら、力量不足のため粉末回折に関する研究は何もかも中途半端に終わってしまい、「丘」を超えられませんでした(2008 年 11 月 13 日)。たとえば TDS の問題は手つかずのままに留まっています。精密解析には高 Q 領域のデータのカットと極低温での測定が望ましいというしかないのが現状です。もっとも、単結晶法でも事情はさほど変わらないように見受けますが。

「丘」の中腹を彷徨っていたのは隠しようがありませんが、リートベルト法が質・量ともに不十分な構造情報しか含んでいない粉末回折データからできるだけ多くの情報を抽出するために考案されたように、貧弱な頭脳と乏しい体力・気力しか持ち合わせずに生まれてきた自分から最大限の成果を引き出したという自負はあります。無い知恵を絞って精一杯情熱を傾けてきたのだから、もうここまでで勘弁してくれ、後はよろしく —— と訴えたいです。

いかに微力を尽くしてきたかは、昨日の文献リスト一つとっても明らかでしょう。断じて不完全燃焼の研究人生ではありませんでした。「あしたのジョー」じゃありませんが、燃え尽きてになり、しだいに崩れ落ちようとしている、といったところです。

■ 2010 年 12 月 23 日(木) 麻木久仁子、不倫騒動の勃発で記者会見、

というニュースが報じられていますが、麻木女史といえば、私がまだ若かりし頃、FM 東京でディスクジョッキーをやってましたよ。そんなばあさんがまだま現役の女として活動していたとは… 「女はになるまで」云々という逸話を思い出しちゃいました。

二日続けての話題で揃えてみました(笑)。

■ 2010 年 12 月 24 日(金) これで一安心

年末までに某国際誌に投稿すべき依頼論文がほぼ完成しました。週末にみっちり添削した後、提出します。ご協力いただいた共著者の皆様に感謝します。

同誌専用スタイルファイルを使って LaTeX で書いたため、鈍重かつおバカな MS Word にイラつかずに済みました。Mac Pro にインストールした MacTeX-2010 に含まれているタイプセット・エンジン pdfTeX は、論文一報くらいだったら瞬時にタイプセットしてくれます。TeXShop から pdfTeX を起動するには、環境設定... > 内部設定 > (pdf)TeX で

/usr/local/texlive/2010/bin/x86_64-darwin/

と指定します。

1月中は、VESTA 3 のベータ版をできるだけ早くリリースするべく努力します。新機能天こ盛りのため、英文マニュアルの増補が大仕事です。これまた LaTeX を駆使して書き上げます。

■ 2010 年 12 月 25 日(土) クリスマス・プレゼント

Windows XP 時代に重宝した フリーソフトウェア、窓の手の Windows 7 対応版「窓の手 2010 Beta1 for Windows 7」が公開されました。

ソフトの性格上、ベータ版の使用は見合わせるのが無難です。正式版のリリースを待ちます。

■ 2010 年 12 月 26 日(日) 腰砕け

ケータイの機種変、つまりスマートフォンの購入のため、いそいそと出かけたのですが、種々の割引制度もアプリの利用料金もよく知らない新米販売員に色々教え込んでいる内に購入意欲が萎えてしまい、スゴスゴ帰宅しました。

当分、ガラケーで我慢します。

■ 2010 年 12 月 27 日(月) 未だに推敲中

週末に加え、今日も依頼論文(12 月 24 日)の改訂に追われました。連日の添削により着実に改善が進み、洗練されてきたのは事実ですが、締切は絶対に守るべきです。一晩寝かし、明日、投稿します。

■ 2010 年 12 月 28 日(火) 御用納めの日に論文を投稿

提出前に多数のケアレスミス(同一種類)を急遽修正できたのはラッキーでした。

来月のスケジュールについて門馬君と相談し、VESTA 3 のベータ版の公開を最優先することにしました。

先送りしてきた英文マニュアルの改訂にはその後、着手します。マニュアルの執筆は苦役でしかないので、どうしても遅延しがちです。そこで、マニュアルを迅速に書き上げるための秘策を練りました。効果の程は 1 月中に明らかになるでしょう。

■ 2010 年 12 月 29 日(水) 赤 → 黒

RIETAN-FP・VENUS 配布ファイルのページでは、

RIETAN-2000 はもはやメンテナンスも配付もしていないので、今後は RIETAN-FP だけお使いになるようお願いします。

および RIETAN-FP で得た研究成果を発表する際、引用すべき論文

F. Izumi and K. Momma, "Three-dimensional visualization in powder diffraction," Solid State Phenom., 130, 15-20 (2007).

の2箇所を赤色表示することにより強調していましたが、もう RIETAN のユーザーに周知徹底したとみなし、通常の文字に戻しました。英文ページの方も赤色表示部分を変更しました。

これまで、年末年始はしばしば仕事に捧げてきました。人が皆休んでいるときにバリバリ働くバカだけのことはあり、過去数年、寝込むほどひどい風邪をひいた記憶はありません。

昨年の掲示板によれば、去年の今ごろは Mac OS X 用の MPF_multi を一生懸命つくっていたんですね。この年末年始は珍しく自ら解析に取り組む予定で、回折データを待ち構えているところです。今日は事前の準備を行いました。

■ 2010 年 12 月 30 日(木) 進む CD/DVD 離れ

Windows ユーティリティから DAEMON Tools Lite を削除してしまいました。最近はほとんど使っていないもんで…

これで Windows ユーティリティはたった 4 つに。しかもFastCopyまめFile5 はデスクトップ機でしか使っていません。ほとんどの仕事は Mac でこなしてますから、その程度で事が足りるということです。

■ 2010 年 12 月 31 日(金) Shades of Gray

日本の景気と同じで、私にとって 2010 年は「停滞の年」、「我慢の年」でした。傍目にはそう見えないでしょうが。確かに grep と sed を駆使した MPF_multi の出現は画期的でしたが、Mac OS X 用 bash スクリプトは昨年暮れにほぼ完成していましたから、今年の仕事とは言い難いです。

2008 年と 2009 年にはいくつかの目標を掲げ、見事それらをクリアしてきました(両年の掲示板に明記)。少なくとも自分で腕を振るえることに関しては、順風満帆でした。今年も 5 つの目標を設定したものの、どれも中途半端に終わりました。点数をつければ、平均 60 点といったところです。本掲示板で目標についてまったく言及しなかったのはそのためです。

といって、ここで焦り狂って、来年こそはフル回転で突っ走ろうという気はさらさらありません。意欲が空回りし、ストレスを溜め込み、疲弊するだけのことでしょう。肩の力を抜き、マイペースで淡々と自分のデューティーをこなしていくだけです。自分の年とポジションを考慮すれば、それで十分、過不足なし、だと思います。